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中世都市リューベックの法典類における不動産関係条文とその特徴(完)

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(1)中世都市リュ ー ベックの法典類における不動産関係条文とその特徴(完). 稲. 不動 産 関係 条 文 と そ の特 徴 ( 完). ハッ ハ第 一法典における不動産関係条文 の特 徴. ). 十 四世紀 の法典における不動産関係条文 の特 徴 (第 三十 九巻 第 三• 四号 ) ハッ ハ第 三法典における不動産関係条文 の特 徴 (第 四十 巻 第 一号 ) プ ロッ ケ ス第 二法典における不動産関係条文 の特 徴 プ ロッ ケ ス第 三法典における不動産関係条文 の特 徴 (第 四十 巻 第 二号 ) 校 訂法典における不動産関係条文 の特 徴. (以 上、本号 ). 校 訂 法 典 に お け る 不 動 産 関 係 条 文 の特 徴. (1. 一. - 83. 中世 都 市 リ ュー ベ ック の法 典類 にお け る. 総括. 序 第 一章 第 二章 第 三章 第 四章 第 五章 第 六章. 第 六章. 概観. 格. 校 訂 法 典 、 即 ち 、 校 訂 リ ュー ベ ック 都 市 法 典 ( das revidi ert eStadt recht )は これ ま で の 法 典 類とは 決 定 的 に 異 な. 冗.

(2) (2. ). di nghaus (J en)、 ローマ (カノン) 法について学 識のあった法律顧問の シャイン ( Dr. on Lii ohann v. り、 その作成 年や作成 過程ははっきりしている。この法典は、市参事会の委 託に基づ き、市長のV ・リューディンク ハウ ゼ ン. i t e n)の三 々6 によって編H禁され、 一五 52 9 -1 6 00)、古巾 4 珍車て会員 のシュティテン( Got t s chal kvonSt hei n1 Cali xt usSc. 八六年に活 字で出版 された。彼 らの中で、 実質的に、編 纂作業を担ったのは最後のシュティテンと考 えられている。. (3. ). この編 簗作業にいたるまでの経過については、 既にエー ベルとラントヴェー アが詳述しており、 筆者もこれについて. 多少言 及したことがあるので、ここでは要点のみを略説するにとどめる。. 法典編 簗の直接的な契 機は、 第一に、 これまでの論述からもうかがえるように、「リューベック法」自体の内容の. 不 明確化である。 多くのリューベック法都 市では、リューベック市参事会によって発せられた十三 •四 世紀の法典と. 並んで、十五 •六世紀の法典類も利 用されていた。しかし後者には、リューベック法以外の法源に由来するものが含. まれており、しかも、 それらはしばしばリューベック法原 則と異なる内容も盛り込んでいた。 それゆえ、 多くのリュ. ーベック法都 市は、 何が真正なリューベック法であるのかを判断できず、 既に十五 世紀末 頃からリューベック市に対. してリューベック法の内容の明確化を要求するようになっていたのである。. 第二に、 このリューベック法の内容の不明確さを理由として、 北ドイツのランデス ヘルがしばしば領 内のリューベ. ック法都 市に対してリューベック市への上訴を禁止し、 それらの都 市を自己 の裁判権力に服属させようとしていたこ. (4 ). とである。 例えば‘一五 七三 年のシュレス ヴィヒ Iホ ルシュタインのラント裁判令は、リューベック法に疑念がある. 場合には、 ザクセン法、さらにロ ーマ(カノン)法を補 充的に適 用するように命じたのである。このような外部から. のリューベック法に対する非難が第二の契 機である。. 一. - 84. 近畿大学法学 第40巻第3· 4号.

(3) 以 上 の よ う な 直 接 的 な 契 機 と 並 ん で 、 リ ュ ー ベ ッ ク 市 の 内 外 の 社 会 的 な 混 乱状 況 の 継 続 も 法 典 編 纂 の 要 因 と し て. ( der Nordi sche Si ebenj ahri ge Kri eg) 」で あ る 。 戦 い は 、 一 五 七0 年 、 シュ テ ッ テ ィ ン. 無 視 す る こ と は で き な い 。 忘 れ て な ら な い 大 き な 事 件 の ― つ が 、 一 五 六 三 年 に 、 スウ ェー デ ン と デ ン マ ー ク の 間 で 勃. 発 し た 「北 方 七 年 戦 争. ( St et t i n) に お い て ポ ン メ ル ン 公 の 仲 介 に よ っ て 暫 定 的 な 和 平 が 結 ば れ 、 一 時 的 に 終 結 す る こ と に な る が 、 こ の 戦 争. は 二 つ の 側 面 で リ ュ ー ベ ッ ク に 消 極 的 な 影 響 を 与 え る こ と に な っ た 。 ―つ は 、 リ ュ ー ベ ッ ク 市 も こ の 戦 争 に 巻 き 込 ま. れ 、 市 は デ ン マ ー ク 側 に 立 っ て 参 戦 し 、軍 船 や 兵員 の 配 備の た め に か な り の 出 費 を 強 い ら れ た こ と で あ る 。 も う 一 っ. は 、 市 の バ ル ト 海 で の 特 権 的 な 地 位 が 市 の 単 独の 力 の み に よ っ て は 保 持 し え な い こ と が 明 白に な っ た こ と で あ る 。 確. 1. - 85 -. Aこ、 一五 七0 年 の 和 約 に よ っ て 、 リ ュ ー ベ ッ ク 市 は 、 バ ル ト 海 域 で の 自 由 な 通 行 権 を 確 保 し た の で あ る が 、 し ヽ カ カ ー. し 、 そ の 主 た る 航 行先 で あ る リ フ ラ ン ト で は 、 相 変 わ ら ず そ の 帰 属 を め ぐ っ て 戦 争 が 継 続 し 、 従 っ て 、 市 の 自 由 な 通. 行権 の 実 現は 、 上記 の 二つ の 王 国の 軍 事 力 に 依 存 せざ る を 得 な く な っ た 。 他 方 、 こ れ と 呼 応 す る か の よ う に 、 西 欧 に. お け る ハ ン ザ の 商 圏 も 特 に イ ン グ ラ ン ド で は 脅 威に 晒 さ れ 始 め 、 一 五 七 九 年 に は 女 王 エ リ ザ ベ ス 一 世 が イ ン グ ラ ン ド. で の ハ ン ザ の 特 権 を 廃 棄 す る に い た っ た 。 こ の よ う に し て 、 リ ュ ー ベ ッ ク 市 を 頂 点 と す る ド イ ツ ・ハ ン ザ の 商 業 的 な 復権 の 可 能性 が ま す ま す 失 わ れ て い っ た の で あ る 。. も う ―つ の 注 目す べ き社会的 な 事件は 宗 教改 革 の 余 波の 継続 で あ る 。 市は 、宗 教改 革 後 、北ド イ ツに お け る ル ター. 易 に し た が 、 他 方 で は 、厳 格 な 教会 の 存 在 が 市 参事 会 と の 間で の 対 立 を 深 め る こ と に な り 、 特に 市 内 に お け る 市 民 生. か っ た 。 こ の こ と は 、 一方 で 、 同 様 の 立 場 を と る 都 市 や 領 邦 、 例 え ば 、ハ ン プ ル ク 市 や ラ ウ エン プ ル ク と の 盟 約を 容. 主 義 の 拠 点 の 一 っ と な っ た が 、 そ の 他 の 改 革 派 、 例 え ば 、バ プ チ ス ト 派 に 対 し て は 全 く 寛 容 的 な 態 度 を 示 す こ と は な. 中世都市リュ ー ベックの法典類における不動産関係条文とその特徴(完).

(4) (5. ). 活の規範をめぐって両者の争いを継続させることにもなったのである。. 以上のような社会的な混 乱も、リューベック法の編 纂を強 く促す原因の一っ となったのであろう。. しかし、校訂法典の編 纂作業は決して十分な準備期間の後に進めら れた訳では ない。十六世紀に入るとともに、リ. ューベック法都市、 例えば、キール、ロストック、 ヴィスマール、 エルビンクが繰 り返しリューベック法の精査 と校. 訂を要求するようになっていたが、リューベック市において、その作業がープ ロッケスの両「法書」を除いてー 進行. していた気配はない。一五八五年 に、ヴィスマール、ロストック、ストラールズ ントの三市が、編 纂作業の開始を強. 硬に要求するに及んで、 漸くリューベック市でも、 前述の市長のV ・リューディンクハウゼ ン等が 編 簗作業を 開 始. し、 翌年 の六月 には早くも出版の運び となったのである。従って、この拙 速とも思える編 纂作業のために、校訂法典 は、後述するように様々の法的な問 題と欠 陥も内包することになるのである。. 以下において校訂法典の内容について論述するが、その際、内容的な比較の第一の対象 となるのはキール法典では. なく、 きわめて近接した時期に作成されたとされるプ ロッケス第二法典と同第三法典である。 なぜなら 我々が管見し. てきた法典類の中では、おそらく、この二 法典が校訂法典の編 纂者にとっても最も身近な法源であったと思われるか. ら である。そして、この両法典を媒 介として、キール法典等の中世リューベックの基本的な法典類との関連性も言及 することにしよう。. 法典 の特 徴 条文全体の特徴 (1). - 86 -. 近畿大学法学 第40巻第3· 4号.

(5) こ の 法 典 は 、 こ れ ま で 検 討 して き た リ ュー ベ ッ ク の 法 典 類 と は 外 見 的 に も 全 く 異 な っ て い る 。. 第 一 に 、 使用 さ れ て い る 言 語が 、中 世 低 地 ド イ ツ 語で は な く 「高 地 」 ド イ ツ 語で あ る こ と で あ る 。 た だ し、 こ の 言. 語 は 近 代 高 地 ド イ ツ 語 に か な り 類 似 して い る が 、 し か し 、 な お 中 世 低 地 ド イ ツ 語 に 類 似 した 部 分 も 含 ん で い る 。. 第 二 に 、 校 訂 法 典 の 基 本 的 な 構 成 は 以 下 の 通 り で あ る 。ま ず 、 表 紙 の 裏 に 都 市 法 の 妥 当 領域 を 規 定 した 法 文 が 、. 分 が 続 く 。 そ れ か ら 、 初 め て 本 文 の 条 文 が 登 場 し、 そ の 条 文 数 は 全 体 で 四 一 八 条 に 上 る. 6. ここで は、条文 は単 に羅 列. さ れ る の で は な く 、 ま ず 大 き く 六 篇 ( Liber ) に 区 分 され 、さ ら に そ れ ぞ れ の 篇 が 章 (Ti tl us )に 細 分 され 、そ の 章 の. 下 に 関 係 す る 条 文 が 配 置 され て い る 。. 各 章 に は 、そ れ ぞ れ ラ テ ン 語 と ド イ ツ 語 の 表 題 が つ け ら れ 、 こ の 表 題 に よ っ て 、そ の 分 類 方 法 が 容 易 に 判 明 す る 。. 第 一 篇 は 、 市 参 事 会 に つ い て の 公 法 部 分 と 広 い 意 味 で の 「人 の 法 」 に 関 す る 条 文 の 合 計 七 ニ カ 条 か ら な る 。 第 二 篇. は 、 相続 に 関 す る 条 文 か ら 主 に 構 成 され る が 、 市 の 不 動 産 と 税 に 関 す る 公 法 的 な 規 定 も 追加 さ れ て お り 、 全 体 で は 五. 六 カ 条 に 上 る 。 第 三 篇 は 、 債 権 、 債 務 、 売 買 、 賃 貸 借 、 会 社 等 の 債 権 法 に 関 係 す る 部 分 と 、 相隣 関 係 と 不 動 産 の 共 有. に 関 係 す る 条 文 の 全 部で 九 七 カ 条 か ら 構 成 さ れ て い る 。 第 四篇 は 、 刑 事 法 に 関 す る 八 六 カ 条 か ら 構 成 さ れ る 。 な お 、. 同 篇 の 第 五 章 の 、 男 女関 係 に 起 因 す る 犯 罪 に 対 す る 六 カ 条 の 刑 罰 規 定 の 内 、 四カ 条 が こ れ ま で の 法 典 類 に 関 連 条 文 を. 有 して い な い よ う に 、 第 四 篇 は 総 体 的 に 刑 罰 の 詳 細 化 と 厳 格 化 の 傾 向 を 示 し て い る 。 第 五 篇 は 、 裁 判 、 訴 訟 手 続 き と. 都 市 帳 簿 に 関 す る 六 九 カ 条 か ら 、 そ し て 、 最後 の 第 六 篇 は 、 海 法 に 関 す る 三 八 カ 条 か ら な る 。. 第 三 に 、「リ ュー ベ ッ ク 法 ( 領域 ) 」 の 用 法 に つ い て で あ る 。「リ ュー ベ ッ ク 法 」 の 表 現 が 、 最初 の 「序 言 」 的 な リ. - 87 -. そ. の 次 の 頁 か ら 「読 者 へ (Adl ec t or em)」と い う 序 文 が 印 刷 され 、 そ の 後 、 条 文 全 体 の 構 成 を 簡 略 に 示 した 「目 録」 部. 中世都市リュ ー ベックの法典類における不動産関係条文とその特徴(完).

(6) ューベック法領域に ついての 規 定を除けば、 市の法であることを 強 調するために用いら れている事例はわずかであ. ( 7. ). る 。大抵は、法的な手続きを簡略 に表現するために利用されたり、 リューベック法の及ぶ地 域や都市を表示するため. に用いら れているにすぎ ない。. 第四に、「ローマ法」 の校訂法典への影響についてである。ラントヴェーアも指 摘するように、校訂法典の分類方. 法には、法学提要( In st i tut i one s)の「人の法」 、「物に関する対人権」 、「人と物に共通 の法」という三分法が幾分看. 取される。また、各章の表題がラテン語によって表記され、条文中の専 門用語がローマ法の用語に置き換 えら れてい. るものもある。しかし、通 説によれば、ローマ法の影響が感じら れるのはここまでであり、それ以上に内容的な影響. はほ とんど ないと言われている。その原因は、法典の内容が私法のみなら ず公 法的な規定を含む こと、また現実 にリ. ( 8. ). ューベック法がなお有効 であり続けていたことにあるのであろうか。ただし、このことは、リューベックの法実 務で もローマ法が知ら れていなかったことを意 味するものではないようである。. 第五に、公 法的な条文について見ると、 上述のように、一番最初に「リューベック法の妥 当領域」の法文が配置さ. れ、第一篇の第一章には、プ ロッケス(以下、 Br と略 記する)第三法典の条文構成と同じ様に市参事会に関する条文. の十三カ条が置かれている。さらに、第四篇の第十三章には、市参事会への反 逆罪に対する刑罰のニカ条と手工 業者. 集会に対する市参事会の監督権についての一カ条が集められ、その刑罰も総体的に厳格化されている。市参 事会の裁. 判権力についても、第四篇の第十八章のニカ条は裁判役人に対する妨害行為を厳しく処罰し、第五篇の第三章の第六. 条(以下、 §のみで略 記する)では、市参事会に提訴された事案は再び 下級 裁判所で審 理されることはないことが新. たに規 定され、第一0章§一では、リューベック市参事会がリューベック法都市のー帝 室裁判所を除いてー最終 審 で. - 88 -. 近畿大学法学 第40巻第3 · 4号.

(7) あることが追加されている。従って、全体として見ると、 明ら かに市参事会権力の強 さが少なくとも再確 認されてい. ると言 をる。なお、第二篇の第三章には、徴税に関する条文が集めら れているが、その内容はこれまでの条文と基本. 的に変 化はない。. ところで、手工 業者については、これまでの法典類と同様に、市参事会の監督権が強 調されているが、彼ら手工 業. ( 10 ). をその主人はリューベック法領域で追求しうるものとされ、この規定は間接的に同法領域での手工 業者の独 占的な地. 位を確 認しているように思われる。 市外 の権力に関する条文については「人」を論 じる場 合に言及しよう。. これまでの法典類との関連性. この三法典すべてに関連条文を見出す、いわば「伝統」的な、校訂法典の条文は一五六条にすぎないが、プ ロッケ. 法、教会裁判、市参事会関係の条文である。. 第三法典、 Br 第二法典そしてキール法典のいずれの場 合も、相続 文を見出す。校訂法典で脱落 した重 要な条文は、 Br. 条と追加ニカ条の内、約二八三条が、そしてキール法典の場 合、その二五七 条の内、約二0三条が校訂法典に関連条. 第二法典の場 合、その三五四 Br 第三法典の四OO条の内、 校訂法典に関連条文を有するのは約三一六条であるo Br. はこれら の法典に関連条文がない場 合、それ 以前の法典類の関係条文も比較検証の対象 となる。. ( 11 ). 第三法典であるが、この両法典を通 して、あるい 第二法 典とBr ここで比較の主たる対象 となるのは前述のよ うにBr. (2). スの二法典を媒 介としないで、校訂法典に直接、関連条文を有する、従って「復活」したキール法典と、キール法典. - 89 -. si nde ) 者の特権も新たに規定されている。 それは第三篇の第八章§九 である。そ れによ れば 、逃亡した使用人( Ge. 中世都市リュ ー ペックの法典類における不動産関係条文とその特徴(完).

(8) と 重 複 し な い ハ ッ ハ 第 二 法 典 の 条 文 は 三 九 カ 条 に 上 る 。 こ れ ら の 条 文 は 、 特 に 校 訂 法 典 の 第 四篇 ( 刑 事 法 ) と 第 五 篇. 訴 訟法 ) に 際立 っ て お り 、 そ れ ぞ れ 十 数 力 条 に 及 ん で い る 。 こ れ に 対 し て 、 ハ ッ ハ 第 三 法 典 、 同 法 典 の 第 二 部 、 即. (. ち、 ーニ 七0 年 の ハ ン プ ル ク 都 市 法 典 等 の そ の 他 の 法 典 類 か ら 「復 活」 し た 条 文 は 少 な く 、 そ れ ぞ れ 数 力 条 程 度 に 上. ( 12 ). 海 商法 ) で は 全三八 条 の 内 、 十 三カ 条 が そ うで あ る 。従って 、 こ れ ま で の 法 典 類に. (. る 。 逆 に 、 採 録 時 期 の 新 し い 、 プ ロ ッ ケ スの 両 法 典 で 初 め て 採 録 さ れ た 条 文 の 内 、 校 訂 法 典 に 関 連 条 文 を 有 す る 条 文. は 二 八 カ 条 に 上 り 、 特に 第 六 篇. 全 く 関 連 条 文 を 持 た な い 、 校 訂 法 典 で 初 め て 採 録さ れ た 、 言 わ ば 「 新 規 」 の 条 文 は 五 四 カ 条 で あ り 、 各 篇 に 平 均 し て. 約 一0 カ 条 位 ず つ 存 在 す る 。. 次 に 、 こ れ ま で の 法 典 類 の 条 文 と 校 訂 法 典 の関 連 条 文 と の 「関 連 性」 の 度 合 い で あ る が 、 こ れ は 条 文 毎 に 異 な っ て. お り 、 一概 に 論 じ る こ と は 困 難 で あ る 。 こ こ で は 校 訂 法 典 の 各篇 で の 基 本 的 な 傾 向 に つ い て 言 及す る に と ど める 。. 第 一 篇 ( 市 参 事 会 と 人 の 法 )の 全 七 三 カ 条 の 内 、こ れ ま で の 法 典 類 と 同 じ 、 あ る い は ほ ぽ 同 じ 内 容 で あ る 条 文 、. 相続 法 と 公 法 )の 全 五 六 カ 条 で は 、 こ れ ま で の 法 典 類 と 同 じ 、 あ る い は ほ ぼ同 じ 内 容 で あ る 条 文 が 九 カ. (. と 、 同 じ 、 あ る い は ほ ぼ 同 じ 内 容 の 条 文 の 十 九 カ 条 が 際立 っ て い る 。 簡 略 化 さ れ た 条 文 は 九 カ 条 、 プ ロ ッ ケ スの 両 法. く 。 キー ル 法 典 に 近 い 条 文 は 三 カ 条 に す ぎ な い 。 第 三 篇 ( 債 権 法 )の 全 九 七 カ 条 で は 、 書 き 直 さ れ た 条 文 の 二 九 カ 条. 条 で 一 番 多 く 、次 に Br第 三 法 典 に 近 い 条 文 と 簡 略 化 さ れ た 条 文 の そ れ ぞ れ 七 カ 条 と 、 書 き 直 さ れ た 条 文 の 五 カ 条 が 続. る 。第二篇. れ に 続 く の は 、 Br第 三 法 典 の 条 文 に 近 い 条 文 と 、 以 前 の 法 典 類 の 条 文 の 内 容 を 簡 略 化 し た 条 文 の そ れ ぞ れ 七 カ 条 で あ. ー ル 法 典 の 条 文 が 「復 活」 し て い る 条 文 、 新 た に 書 き 直 さ れ た と 思 わ れ る 条 文 が そ れ ぞ れ 十 数 力 条 づ つ 存 在 す る 。 こ. キ. 典 に 近 い 条 文 は 七 カ 条 、 Br第 三 法 典 に の み 近 い 条 文 は 六 カ 条 で あ り 、 Br第 二 法 典 の み に 近 い 条 文 は 一 カ 条 に す ぎ な. - 90-. 近畿大学法学 第40巻第3 · 4号.

(9) い。これに対してキール法典に近い条文は 八カ条にも上る。第四篇(刑事法)の全八六カ条では、 書き直された条文. の十七カ条、 キール法典に近い条文の約十四カ条が顕著である。 その後は、 同じあるいはほぼ同じ内容の条文、プ ロ. ッケ スの両法典に近い条文、 そして詳細化された条文の それぞれ十ニカ条が続く。第五 篇(訴訟法)の全六九カ条で. 条 が その後に続く。 キール法典に近い条文は五 カ条であるが、ハッハ第三法典の第二部、 即ち、 ―二七0年のハンプ. ルク都 市法典に近い条文も五 カ条存在する。最後の第六篇(海商法)の全三八カ条では 、上述のように、 プ ロ ッケ ス. の両法典に近い条文が十 一カ条と圧倒的に多く、次に詳細化された条文の七カ条、 そして、同じあるいはほぼ同じ内. 容の条文の六カ条が来る。. 以上の検 討から、校訂法典の主たる法素材となったのはプ ロッケ スの両法典とキール(ハッハ第二)法典であった. こと、しかし、内容的には、書き直された条文が多数を占めることが明らかになる。さらに、あえて特色を指 摘する. ならば、校訂法典の第一篇と第四篇では、キール法典に、第四篇と第六篇では、プ ロッケ スの両法典に、 そして第五. 篇では、ハンプ ルク都 市法典に、 それぞれ由来する条文が相対的に目立 つことである。. 不動産法関係の条文の特徴. まず、第三篇における不動 産関係の条文は以下の通りである。第 一章(金 銭貸借と債権者の優位)では§十 一ーニ. る。. かし、 広い意味で 不動 産に関する条文が、 第三篇に とどまらず他の篇にも散在していることはこれまでと同じであ. 不動 産に関係する条文は、これまでの法典類とは全く異なり第三篇(債権法)にほぼ 一括して収められている。し. (3). - 91 -. は 、書き直された条文の十八カ条が最も多く、同じあるいはほぼ同じ内容の条文の十力条、簡略化された条文の七カ. 中世都市リュ ー ベックの法典類における不動産関係条文とその特徴(完).

(10) に 不 動 産 に つ い て の 証 明 の 優 先 順 位 が 規 定 さ れ 、 第 四章 ( 質 権 ) で は § 一 ー ニ に 不 動 産 質 が 規 定 さ れ て い る 。 さ ら に. 第 五 章 ( 保 証 ) で は 保 証 と の 関 係 で § 五 l 六 に 不 動 産 が 、 第 六 章 ( 売買 )で は § 一i 三 に 不 動 産 の 売 却 が 、 § 八 l 九. に 定 期 金 と 地 代 の 売 買 が 、 § 十 八 l 九 に は 相続 財 産 と 定 期 金 の 売 買 が 規 定 さ れ て い る 。 第 七 章 ( 相続 財 産 の 売 却 に 対. す る 異 議 ) の ニ カ 条 は 不 動 産 法 に の み 関 係 す る 。 第 八 章 ( 賃 貸 借) で は § 一l ― 一 が 不 動 産 の 賃 貸 借と 関 係 し 、 § 十 二. l 四 は 地 代 あ る い は 定 期 金 の 解 約 と そ の 支 払 い 遅 滞 に つ い て 定 め て い る 。 そ の 後 、 最後 の 第 十 二 章 ( 土 地 、 建 物 ) の. 全 十 五 カ 条 と 第 十 三 章 ( 共 有関 係 の 解 消 ) の 一カ 条 す べ て が 不 動 産 法 と 関 係 す る 。 こ れ ら の 関 係 条 文 は 全 部 で 約 三 八. 条に上る 。. 次 に 、 こ れ ら の 条 文 と こ れ ま で の 法 典 類 の 条 文 と の 関 連 性 の 度 合 い で あ る 。 最も 多 い の は 、 法 典 全 体 の 傾 向 と 同 様. に 、 内 容 的 に 書 き 直 され た 条 文 の 十 ニカ 条 で あ り 、 そ の 後 に 、 こ れ ま で の 法 典 類と ほ ぽ 同じあ る い は 同じ 内 容 の 条 文. と 、 新 し く 採 録さ れ た 条 文 の 、 そ れ ぞ れ 七 カ 条 が 続 く 。 そ の 他 の 、 簡 略 化 あ る い は 詳 細 化 さ れ た 条 文 と そ の ま ま 再 現. さ れ た 条 文 は そ れ ぞ れ 数 力 条 に す ぎ な い 。 即ち 、 Br第 三 法 典 に 近 い 内 容 の 条 文 は ニ カ 条 、 Br第 二法 典 に 近 い 条 文 は 一. カ 条 で あ り 、両 方 の 法 典 に 近 い 内 容 を 有 す る 条 文 は ニ カ 条 で あ る 。 キー ル 法 典 と ハ ン プ ル ク 都 市 法 典 に 近 い 条 文 も そ. れ ぞ れ 一 カ 条 の み で あ る 。 き わ めて 狭 義で の 不 動 産 関 係 の 条 文 が 並 ん で い る 第 十 二章 で は 、 新 し い 規 定 と 書 き 直 さ れ. た 条 文 の み で 十 力 条 に な り 、 そ の 数 は 全 体 の 三 分 の 二に 及 ん で い る 。 つ ま り 、 第 三 篇 に お け る 不 動 産 に 関 す る 条 文. は、 総 体 的 に 、 内 容的 に 新し い もの が 多 い と い う こと に なる 。. 校 訂 法 典 の 全 体 に つ い て 見 る と 、 不 動 産 法 の 関 係 条 文 は 、 第 一 篇 で は 一 〇 カ 条 、 第 二篇 で は 五 カ 条 、 第 四 篇 で は 一. カ 条 、 第 五 篇 で は 一 カ 条 管 見 さ れ る 。 第 六 篇 に は 、 そ の よ う な 規 定 は 存 在 し な い 。 従 っ て 、法 典 全 体 で は 不 動 産 法 の. - 92 -. 近畿大学法学 第40巻第3· 4号.

(11) 関 係条文は約五六カ条程度になる。 不動産と関係する法用語も含めると、 さら にその数は増加するが、 ここでは これ 以上言及する必要はあるまい。. これまでの法典類から 脱落 した不動 産に関係する条文は、まず Br 第三法典の場 合約十四カ条に上る。同法典は不動. ―二七 条(傾斜地における 土盛り ) 、第 ―二九 条( 不動産の売主 の保証人 ) 、第一三四条(教会の定期 金の譲渡禁止)、. 第一三六i三八条(地 代あるいは 大火災以前、 以後の定期 金の買戻し) 、第一四 一条( 不動産質の執行 ) 、第 一四四 条. ( 不動産質入れの際の誓約) が校訂法典では 関連条文を 見出さない。 この他に、 第 一九五条 ( 不動産売買の証人資. 、 第三四八条 ( 相続 財産に 、第 二〇八条(家屋に属す る 橋梁の維持義務 ) 、第一九 九 条(不動産売買とその争い ) 格). 、第三七 七 条(財 産の売却についての保証)も脱落 、第三七 五条( 不動産の賃料についての貸主 の誓約) 対す る 異議). している。 この内、第 一四一条以下は、第 二0八条と第三四八条を除いて、ハッハ第三法典の第 二部、 即ち、ハ ンプ. ルク都市法典に由来する条文である。. 第 二法典の場合は 十五カ条である。 子供のいない夫婦、 血縁者間での財 産の贈与に対する最近親相続人 の異議を Br. 定めた第七 八条を除けば、 Br 第三法典の 場 合と同じ条文である。 さら にキール法典の 場 合も十五カ条が脱落 してい. る。前述 の 二法典の脱落 した条文とは異なる 、キール法典のみから 脱落 した条文は、第一五0 条( 囲障設置に対する. 隣人 の援助義務 ) 、第 二四四条(質入れさ れた不動産から の定期 金の売却禁止) 、第 二四六条(設定さ れた定期 金の買. 戻し ) 、第 二五 二条(市内における市外 民によ る 定期金の所有 禁止)の四カ条である。. 以上の三法典から 脱落 した条文の特徴は、まず定期金に関する条文が多い こと、第 二に、 ハンプ ルク都市法典に由. - 93 -. 、第 産に関 係する条文を第一 ―四 条から 第一四五条に集めていたが、 この中の第 ―二三 条(壁を接する家屋の改築). 中世都市リュ ー ベ ッ クの法典類における不動産関係条文とその特徴(完).

(12) 来 す る 条 文 も か な り 多 い こ と 、 第 三に 、 内 容 的 に は 、 不 動 産を め ぐ る 争 い に つ い ての 条 文 、 そ し て、 相 隣 関 係 と 建 築. 建 築 の 際 の 隣 地 への せ り だし ) が 復 活 し 、 他 方 、 な ぜな ら 、 一 方 で 、 Br第 三法 典 で 脱 落 し た キ ー ル法 典 の 第 五 九 条 (. 校 訂法 典 の 第 三 篇 に お け る 不 動 産 関 連 の 条 文 に は 「書 き 直 し 」 が 多 い か ら で あ る 。 従 っ て、 こ の よ う な 定 期 金 、 相 隣. 関 係 、建 築 規 制 法 規 の 脱 落 は 、法 典 編 纂 者 が そ れ ら の法 文 を 現 行法 と し ては 否 定 的 に 評 価 し た こ と に 由 来 す る の で あ ろ う。 註. ( 1) この書名も実際 には略称 にすぎな い。 正規 の表題は、DerKays chsSt adtLubec k er li chenFr i li ge nRei eyenvnd desHe St at ut av adtRechtである。なお、同頁 の下段 には出版者と出版年 の 一五八六年が印 刷されている。 nd St ( 2) 彼 は 一五二九年 マイ センに生まれ、 ライプ ツィヒ大学 で両法博士号を取得した後 、ホ ルシ ュクイ ンで法律家 ( Anwalt )とし. て の第 一歩 を踏 み出し、 そ の後キ ー ル市、 デ ンマーク王 フリードリ ッヒニ世 (1534 ー1588)、 メク レンプ ルク公、ザ クセ ンーラ ウ エンプ ルク公 のために外交、政治 の面 で活躍した。 一五六 五年、 その業績を評価され リ ューベッ ク市 に市参事会顧問とし て ss , 招 聘 され、 その後亡くなるま で市参事会 のため に活動した。F.Bruns R a t ur Di e e k r e t a r e b i sz L il b e c k e r S y n d i k e r u n d �fL、 um s t er kunde( eundAlt ungs ht chic anderungvon 1851,i cheGes s ki fass bec Ver tdesVer nZei i f nsfurLil ei chr s t ZLG と略 記す る)Bd. 29, 1938,S. 101.. `. �. j. s s s s ss , , . . . ( 3) W.Ebel S I. 2 11 ££ G L il b i i m R ec h t e n s c h a f t c h e n R e c h t c h e R e c h t La n d w e R ec h t s p r a x i s L il b i u n d w i h r ,i E っぃて」 、 出丁 母H郁古巾 9 ューペ ックの辻 i中{料 に n ZLG.Bd. 60, 1980,S. 24ff. 禍 「 hunder t um 19.Jahr vom 16.bisz 「 近大法学」 、第 三五巻、第 三 •四号、 二四ー ニ八頁。 . . . . , . の 下 で 公 布 さ れ た 。実際 の起 2 10 2 11 a ( 4) W.Ebel.a O こ の 裁 判 令 は ア ド ル フ ・ フ ォ ン ・ ゴ ッ ト ル フ 公 1 5 8 6 ) ( 1 5 2 6 S ,Ges ,Ki 草者は宰 相ト ラ ツィガ ー ( A.Tr wi g-Ho ls el 1976, S. t ei ns es az i ger 1523-1584) であ る。 0.Bra ndt chic ht eSchl . 196 彼 と リ ュー ベ ック市参事会顧問 の シ ャイ ンの間 には、 興味深 いこと に、 そ の学 歴と経歴 に ついてかなり の共 通性 が認め られる。 これ に ついては別稿 で改め て論じよう。. - 94 -. 等 の 規 制 の 条 文 が 脱 落 し てい る こ と で あ る 。 こ の よ う な 脱 落 は 、 編 纂 者 の 不 注 意 に よ る 見 逃 し で は な さ そ う で あ る 。. 近畿大学法学 第40巻第3 · 4号.

(13) ,S.41 ,von A.GraBmann,Lubec ,hr ( 5) L巳冶c ki s cheGes c hi c ht e s g. k1 8 -425. 9 88 ( 6) 前 述の、 この法 典の最初 に置かれた法文 も条文 の一 っとすると、全部 で四 一九条になる。. ( 7) 前 者の意味 での表 現は、第 二篇の第 一章 § 八と第 二章 § 一0に見られる。後 者は、第 一 二篇 の第 八章 § 九と第 四篇 の第 十 七章 §十三である。 ,a. . .S.21 . ( 8) W.Ebel a a• 421 5. C レー ン) を有する者 は市参事会員になり えな いと いう条文 であるが、 ここでは 「 市参事会 ( 9) 第 一条は本来 は貴 族の Amt 11. H. - 95 -. か ら アムトある いは レー ンを得 ている者は市参事会に選ばれる べき ではない ( Es s ol ni uLii emandtz g b ki n den Radt 会が却主のごとく表 現されて 」と恋やわってお0、古ぷ珍事` ) ehat m Radt herAmptoderLehen von de welc den/ en wer r ko ge いる。 この限りで、貴 族は全く視野に入 ってはおらず、まるで市参事会 の役人は市参事会員になる こと はできな いと規定して いるように見える。なにゆえ このような書 換えがなされたのかは不 明である。. ら妥 当し ていたかもしれな い。. ( 10 ) この条文 は、ハッ ハ の 『 古 リ ュー ベッ ク法」 の符号 表によると一五0 九年に デ ィー ツ ( Di etz ) が出版した法 書に関連条文 を 見出すよう である。同書は古 いラテン語の法 文 を基礎とし ていたと言われ ているから、 この条文自体は法慣行とし て従来か. 市 民 と 市 民 で な い者. 不 動 産 法 行 為 の当 事 者 と し て の 「人 」. ( 11 ) この作業も、基本的にハッ ハ の符号 表に依拠し ているが、筆者がその符号 関係が適 切でな いと判 断した場合 には多 少修正を 加 えてお り、全くハッハ の符号 表 のまま ではない。また重複条文 がある ので、 確定 した条文数を示す ことができな いのも これ ま でと同じ である。 二法典 の場合 は四カ条にすぎな い。 第一 第 二法 典にのみ関連条文を有する校 訂法 典 の条文 はニカ条、Br ) Br 12 (. 山. 中 世 リ ュー ベ ック に お け る 「人 」 を、 市 への 帰 属 の 度 合 い を 基 準 と し て分 類 す ると 、「市 民 (g rger)」、 市 民 権 の. )」 に 大 別 さ れ た。 校 訂 法 典 では 、 市 民 身 分 に つい て、 第 一篇 の な い 「住 民 ( I nwaner)」、「市 外 民 ( Frembde,Gast. 中世都市リュ ー ベックの法典類におけ る不動産関係条文とその特徴(完).

(14) . 第 二 章 「 市 民と 住 民に つ い て (Ad mvni ci pal eseti ` nc r gern vnd Ei oli n Bti s Vo )」が 独立 した 章 と して nwonern. こ れ に 当 て ら れ て は い る が 、 こ の 章 は ほ ん の 七 カ 条 を 含 むに す ぎ な い。広 義の 意 味 で 、 こ れ ら の 身分 に 関 す る 規 定 は. 法 典 全 体 に広 がっ て い る 。. 市 民権 を 持た な い 都 市 住 民で あ る 「 住 民 」 i_‘ 「住 -d- プ ロ ッ ケ スの 両 法 典 で は か な り 重 視 さ れ て い た が 、 こ こ で は 、. 民 」 は そ の よ う な 意 味 で は 使用 さ れ て い な い 。 第 一 篇 の 第 二 章 「 市 民と 住 民に つ い て 」の 表 題が 示 す よ う に 、「住 民」. (1 ). は 通 常 「 市 民」 と 並 列 的 に 記載 され て お り 、「住 民」 の 表 現 が 独立 して 使用 さ れ る こ と は こ の 法 典 で は 稀で あ る 。. の 使 用 個所 は 五 カ 条 に 及 ん で い る が 、 こ の 内 の 三 カ 条 で は 、 こ れ ま で の 法 典 類 の 関 連 条 文 で は 「市 民 」と の み 表 現 さ. - 96 -. れ て い た 個所に 、 新 た に 「 住 民」の 用 語が 追加 さ れ て い る に す ぎ な い 。 残 り ニカ 条 も 書 き 改めら れ た 条 文 で あ る 。 従. っ て 、 こ れ ら の 条 文 は 、 本 来 的 に 住 民に 関 す る 独立 した 条 文 で は な く 、 ま た 市 民権 を 持 た な い 住 民身 分 も 想定 し て い. な い 。 少 な く と も 、 法 典 編 纂者 が 「 住 民」 と 「 市 民」 の 用 語を 区 別す る こ と な く 使 用 して い る こ と は 明 ら か で あ る 。. 同 様 に 、「定 住の (bes et ene)」 、「 非 定 住 の ( unbes et ene) 」 の 表 現に も 変化 が 見 られ る 。 こ れ と 関 係 す る 条 文 は 全. る 。 第 四篇 の 第 十 一 章 § 四 l 五 も 本 来 は 非 定 住 の者 の 債 務 保 証人 に 関 す る 規 定 で あ る が 、 関 連 条 文 で あ るBr第 三 法 典. 第 五 篇 の 第 七 章 § 十 七 に も 再 度 登 場 す る が 、 そ こ で は 「定 住、 非定 住の 者 」の 部 分 が そ っ く り 脱 落 して し ま っ て い. れ て い る 。 こ こ で は 、 定 住 、 非 定 住 に か か わ り な く 、 彼 ら は 市 民で あ る こ と が 求め ら れ て い る の で あ る 。 こ の 条 文 は. の者 」と い う 表 現 が 「 定 住、 非 定 住 の 、 名 誉あ る 市 民 (Ehr ess li c en vnd vnbes he Bur gerbes es s en)」に 書 き 直 さ. 第 二 法 典 の 第 ニ ―七 条 そ して Br第 三 法 典 の 第 一 九 七 条 と ほ ぼ 同 じ 内 容 で あ る 。 しか し、 こ の 両 法 典 の 「定 住、 非 定 住. 部 で 四カ 条 で あ る 。 第 一 篇 の 第 五 章 § 十 二 は 、 嫁 資 (Bra ut s c hatz ) の 証 明 に つ い て 規 定 し、 こ れ は 、 内 容 的 に は Br. そ. 第40巻第3 · 4 号 近畿大学法学.

(15) の 第 三 六 二条 と は異 な り 、「非定 住の 者 」 が 「誰か 、 ある 者 (e i ner )」 に書 き 直 され て い る 。 つ ま り 、 法 典 編 纂者 は 「定 住 」、「非 定 住 」 にそ れ ほ ど 重 き を 置 い て い な い の で あ る 。. このよ う な 「住 民」 と 「市 民」 の 同 一視 と 「定 住 、 非 定 住 」 の 区分 の 軽 視 は、 市 内 にお け る 市 民と 下 層 住 民と の 身. 逆 罪 ) の 法 文 の 中 には、 これ ま で の 法 典 類 の 関 連 条 文 と は異 な り 、 新 た に 「裕 福あ る い は 貧困 で あ れ 、 高 位 あ る い は. h/ 下位 の 身分 で あ れ 、 誰か あ る者 が 何か 暴 力的 な 、そ し て 不 法 な こと に 着 手し よ う と す る の で あ れ ば (Al s o auc. g rdejemandtReichoderArm/hohesvnd niedrigesStandes/etwasthetlichesvnd freuentlichesvornemen)」. と 規 定 さ れ 、 身分 秩序 の 存 在 が 前 提 と さ れ て い る か ら で あ る 。 第 三 篇 の 第 六 章 § 八 ( 買 い 戻 さ れ た 定 期 金 の 法 的 な 性. 格 ) で も 、 定 期 金 売 買 の 当事者 が、 キー ル法 典 の 第 一 九 二条 の 「 誰 か (gen man )」 と い う 曖 昧な 表 現 か ら 「 我 々の. ger )」 へと 限定 さ れ る よ う にな っ て い る 。 ま た 第 五 篇 の 第 三 章 § 七 ( 被 告 の 応 訴の 市 民の 誰 か 全emandtvns erBur. 場 所)で も 、 被 告 の 「市 民」 には、 下 級 裁判 所あ る い は市 参 事 会 の い ず れ か の 裁 判 で 応答す る か につ い て 選択権 が あ. る こと が 新 た に規 定 され て い る か ら で あ る 。. し か し 、 現 実 には市 民の 下層 部 分 と 市 民権 を 持た な い 住 民層 の 間 が 次 第 に曖 昧 にな っ て き て い る こと を 推 測 さ せる. 条 文 も 存 在 す る 。 証人 に関 す る 規 定 で あ る 第 五 篇 の 第 七 章 § 四 は「 証人 は 名 誉あ る 、 非 難 さ れ る こと の な い 人 々た る. べし (Neugen s oll en ehrlic hevnbesc hul dene Leut e i n )」と 規 定 し 、 証 人 資 格 と し て の 不 動 産 所有 を 全 く 問題 と es. し て い な い o Br第 三 法 典 の 第 一 八 〇 条 ( 証 言 ) の 関 連 条 文 と さ れ る 同じ 章 の § 一 ー ニ で も 、 このよ う な 要 件 は要 求 さ. れ て い な い 。 さら に同様 の 規 定 で あ った Br第 三 法 典 の 第 一 九九 条( 不 動 産 売 買 と 証人 ) も 校 訂 法 典 で は関 連 条 文 を 見. - 97 -. 分 的 な 平 準化 を 意 図す る も の で はな い よ う で あ る 。 な ぜな ら 、 例 えば 、 第 四篇 の 第 十 三 章 § 二 ( 市 参 事 会 に対 す る 反. 中世都市リュ ー ベックの法典類における不動産関係条文とその特徴(完).

(16) 出さ ない。. 以上 の条文から 推測しうる ことは、法典編 纂者 が これま での法典類、特にプ ロッケス の両法典で複雑になってい た. 身分 関係を簡略 化し、市民権 を持 たない住 民を校訂法典 の条文から 一掃し た ことである。 この限りで、身分 関係はキ. ール法典やハッハ第三法典 の第二部、 即ち、ハンプ ルク都市法典以来 の伝統に戻さ れたと言 えなくもない。しかし、. 第二法 他方で、そ のような下層民が現実 には存在してい たことをうかがわせる条文も管見されるから、必然的に、 Br. 典で指 摘しておい たよ うな、市 民権を 持 たない 下層民に対する法的な保護 のみ が、 ここではほとんど 脱落 してしまっ. ている ことになる のである。. 市に 到来する「市外 民」 の場合はど うであろうか。 この用語 の登場 する条文は全 部で一0カ条程度である。 ここで. は全般的に 「 Fr embde」の表現 が利用さ れ、「Gast 」は 第三篇 以降に登場する 。両者 の登場 する頻度は同じである が 、. 第 四 篇 の第一章 §二(盗品 の自力によ る 取戻し)では、Gぢtの表現 が「他 の王国あるいは領邦 の Fr e mbde」に書 き. 直さ れており、後者 の Fr e mbde の表現を編 纂者 が好ん だ こと がう か がわれる 。. 市外 民について、新 たに採 録さ れた条文は第二篇 の第一章§十五(市外 民 の遺言執行人は不 可) のみである。同篇. の第二章§ 10 リ ューベック法都市で の市外 民 の遺産相続)は Br 第三法典 の第八三条(寡婦(夫)と子供によ る 遺 C. 産分 割)と第三五五条( 子供 の間で の遺産分 割) の関連条文とされる が、内容的な関連性は低い。 このニカ 条も含め. て、「市外 民」 に有利な法的地 位を 付与 し た条文は存在しない。逆に、 これま で の法典類から脱落 し たのは、 Br 第三. 法 典 の場合、新 たに採録さ れ た、市 民と市外 民、定住 民と非定住 民 の法的な関係を定め た第三二六条(市外 民による. 、 第三二九 条(市外 民と市 民と の間で の訴 訟) 相続 財産 の請求 ) 、 第三三 一条(非定住民による酒手 金(Wei nkauf) ). - 98 -. 近畿大学法学 第40巻第3 · 4 号.

(17) ). と第ニ ―八条(市内に滞在 する市外 民間の争 い) のニ カ条であ. の三 カ条、 Br 第 二法典の場合、第一八三条(市外 民と市民の証言 ) 、 第ニ ―四条の 市外 民の証言に関 する条文のニ カ 条、キール法典の場合、第一三〇条(市外 民の証言. る。こ の限りで、市外 民は法的な関係の外 に追いやら れたと言わざる をえず、少なくとも法典編 纂者は 市外 民に対し. 市外 の世俗権力者である領主、市参事会の権力が直接及ば ぬ教会 と聖瞭者に対しては、婚姻に関 する教会裁判権を. 除いて、市の対決 姿勢が明白に感じら れ、 興味深いことに、キール法典の関係条文が「復活」している。それらは、. 第一篇の第 二章 §五(不動産の市外 民、 聖識者 、 貴族への処 分 禁止 ) 、 §六(市内におけ る 聖職者 によ る 住宅の変 更. 禁止 ) 、第二篇の第三章§四 (教俗の領 主に対 する 財貨の貸与禁止 )である。これら の権力について新たに規定した. 条文はない。 婦人 と親子関係. 場 している 。さら に後見人について定めた第七 章でも、§十二に、 寡婦が、 市参事会の許可によって四半期間、 子供. 責任なし ) 、§十一(夫の債務 に対する 妻の責任 ) 、§十三( 子供のいない寡婦の夫の不動産か ら の退去 )に 新た に 登. ついて規定した第五章では、 子供のいない寡婦に対 する保護規 定が 、§五(子供のいない寡婦は 婚姻前の夫の債務 に. 特 に、 女性の権利 の保護については、第 一篇の第三章§一で、 女性 の債務 のため の拘束の禁止が追加され、嫁資 に. に書き直されているか、ある いは新しい規 定が収録されていることである。. 成人女性 の財産法 的な行為権限についての校訂法典の特色は、妻にせよ、 寡婦にせよ、婦人に関する 条文が総 体 的. (2). の後見人となりうることが新たに規定されている。. - 99 -. て好意 的ではない。なお、 fr e mdtが 「 市外 の」といっ た形容詞として利用されることはこれまでと同様である。. 中世都市リ ュ ー ベックの法典類における不動産関係条文とその特徴(完).

(18) 第三 法典での容 認的な傾向は姿を消し 、彼 女たちの権能は再び一 定 限 しかし、婦 人の 財産の 処分行為となると、 Br. 第 二法典までの関係条文と 同様に、相続人であ る 子供の 同意 がない 限 度内に抑え られている。 子供のいる寡婦は、 Br. 。 子供の いない寡婦の 遺贈 についての条文(第 り、財産につ いて 処分能力を認められない(第 二篇の第 二章§ 八). 第 二法典の第六七条と第六八条に近い。た 第三 法典の第三 六〇条よりも、 Br 篇の第九章§四 )も、関連条文である Br. だし 、後者の第六 八条では、寡婦は銀三 マ ルクまで遺贈しえたにす ぎなかったのである が、ここでは、 寡婦は、相 続. (2. ). 財産あるいは 取得財産にせよ、三 六 リューベック ・マ ルクまでの動産を遺贈し え、獲得財産も相続 人あるいは後 見 人. の 同意 があれば贈与し うること が追加されている。第三 篇の第六章§十三 (婦 人による 日用品以外の 財産の 購入に 対. (3 ). 第三 法典の第三 七 八条 が容 認していた、 同意なく購 入された財産の婦人によ る する夫あるいは後 見人の 同意 )は、 Br. mff ,Fraw)」 のみがこの適 用を除外されることを規定するにとどめている。こ 売却を脱落させ 、た だ 「女商人 (お. の 女商人の 定義は 同じ章の最後の§ニ ―に新たに規定されている。 子供のいる寡婦の場合も同様である。第 二篇の第. 二章(相続)の 詳細な条 文が示しているように、校訂法典でも、相続人の 権利 保護が前面にあり、 寡婦にはさまざま. な 制限が課され続けている。. 従って、ここでは、婦 人に 様 々な 一身専属的な権利 が容 認されてはいる が、 旧来の財産法上の制限的な条 項も繰り 返されていることが特徴である。. 同様に、市外出身の寡婦の遺産相続について規定した 第 二篇の第 二章§四 は、キー ル法典の第十 一条に再び近くな. (5. ). り 、持参財産以外の財産は死亡し た夫の相 続 人に 留保される べきこと が再び登場している。 即ち、 Br 第三 法典の第七 四 条で示された寡婦に有利 な法的な取扱いは姿を消しているのである。. - 100 ー. 近畿大学法学 第40巻第3· 4号.

(19) 「親 子 関 係 」に つ い て は 、 Br 第 三法 典 で 初 め て 登 場 した 第 六 七 条 ( 相 続 順 位 の 包 括 規 定 ) が 第 二 篇 の 第 二章 § 一 に. ほ ぼ 同 じ 内 容 で 再 現 さ れ て お り 、 特 に 言 及 す べ き こ と は な い 。 た だ し 、 第 五 篇 の 第 二 章 § 八に は 興 味 深 い法 文 が 新 た. 訴 訟 を 提 起 し う る と い う 内 容 で あ る 。 こ の 条 文 は 、 家 族法 的 な 観 点 か ら 検 討 す る 余 地 が あ り そう で あ る が 、 本 稿 で の 考 察 は 割 愛 しよ う 。 註. (1) 第 三篇 の第 一章§ - ( 貸金ある いは争われること のな い債務 の返済期 日) と第六章§十二 (ワイ ン販売 ) 、第四篇 の第四章§ 二 ( 市 外での同市 民 による虐待、侮辱 に ついての訴え)と第八章 の§ 三 ( 殺人者 の逃走と彼 の財産 の処分) 、第 五篇 の第十 二章 § IO 八 C シリ ンク以 下 の訴 え) 。. (2) Sons s t / vonj hren Kl nderi ei dernoderJ t en magei gl i cheWi t fr aw/ wel c heohneKi nj ngedo me/ ess eyer er betoder . s ch/ darunder wo htdar ti ber nd dr ei s i g Mar ek Lubi l / aber nic echsv bet t e/ auffs ni hr em Todt er wo r ben/ v or ge be ni ben vn V d or munder l obev nd will aw mi tj hrer Er en et wasv o nj Wur deaber ei neFr hr en wo lgewunnen Gut ern lc ben. ei en bl t den vnd kr r eff o ywti s olbe geben/ r o hess v ( 3) 第 二篇 の第 一章§十四も婦人 の遺贈 に ついての制限規定 であるが、 ここでも女商人は除外される ことが新 たに規 定 され てい る。 (4) 「女 商人は、 彼女が購 入した物 に ついて支払わなければならな い。 しかして女商 人とは、売 買し、開かれた店 と窓を持ち、. おもりと秤と分量と尺度 で計算す る者 である ( Ei neKauffFra w wass t / muss i ekauff i ez al en/ Ei nKauffFr s t a / w aberi heausvnd ei welc nkauff t / o ff eneLadenvndFens t erhelt / mi tGewi cht /Wage/ MaB vndEl enausvnd i nwi egetvnd . 。 t s )」 mi (5) 婦 人の財産権とは直接関連はしな いが、男女関係に由来 する犯罪 に ついては、厳格な規定が追加され ており、婦 人 には厳 し . Von J い道徳的規律が要求され ている。 それは第 四篇 の第五章 「 淫蕩罪 ( De s t vpro c t hwec wen s ungfr h' a wen oder Wi. 」 の六カ条 である。 ung). - 101 -. に 収 録 さ れ て い る 。 それ は 、 成 人 し 、 アプ シ ヒト ゥン ク さ れ た 、 つ ま り 、 財 産法 的 に も 自 立 し た 息 子 は 、 父 と は 別 に 中世都市リ ュ ー ベックの法典類における不動産関係条文とその特徴(完).

(20) 不 動 産 法 行 為 の対 象 と し て の 「不動 産 」. 不 動 産 の表 示. t e orfa n) c hteg ① トー ル フ ァッ ハ ト ・アイ ゲ ン (. 校 訂 法 典 の中 で トー ル フ ァッ ハ ト ・アイ ゲ ン に 関 係 す る 条 文 は 三カ 条 のみ で あ る 。 結 論 か ら 先 に 言 う な ら ば 、 こ れ. ndevnd egende Grii li トー ル フ ァッ ハ ト ・アイ ゲ ン の処分 )で は 、 こ の表 現 は 「横 た わ る 土 地 と 立 っ て い る 不 動 産 (. i れ て い る 。 第 二 篇 の第 三 章 § 一 ( 市 の トー ル フ ァッ ハ ト ・アイ ゲ ン の違 法 な 取 得 ) bgii t er )」に 争百き 志 さ st ehende Er. bgti t erが Er ben と 表 記さ れ の場合 も 同 様 で あ る 。 た だ し、 こ こ で は 「立 っ て い る 不 動 産 」 の不 動 産 を 意 味 す る Er. て い る 。 三 番 目 の関 係 条 文 で あ る 第 四 篇 の第 八 章 § 二 ( 鋭 利 な 刃物 に よ る 傷 害 ) で も 、本 来 は 、 証 人 の資格 と して 、. 市 内で のトー ル フ ァッ ハ ト ・アイ ゲ ン の所 持が 規 定 さ れ て い た ので あ る が 、 そ れ は プ ロ ッ ケ ス の両 法 典 の場 合 と 同 様. に 脱落 して い る 。 従 っ て 、 こ の表 現は 、 校 訂 法 典 で は 独自 の法用 語 と し て は 完 全に 否定 さ れ る に い た っ て い る 。 た だ. し、 注目 す べ き こ と は 、 トー ル フ ァッ ハ ト ・アイ ゲ ン の表 現が 、 こ の法 典 で高 地 ドイ ツ 語で 「 横 た わ る 土地 と 立 っ て. い る 不 動 産 」 と 転 訳さ れ て い る こ と で あ る 。 こ のこ と は 、 少なく と も 法 典 編 纂者 に と っ て 、 トー ル フ ァッ ト ・アイ ゲ. ン の表 現が 、 抽 象的 な 法 観 念で は な く 、 具 体 的 な 不 動 産 の表 現 と して 解 釈さ れ て い た こ と を 意 味 して い る で あ ろう 。 な お 、「横 た わ る 土 地 と 立 っ て い る 不 動 産 」 に つ い て は さ ら に 後 述 しよ う 。. W er ③ ヴ ェー レ ( e ). - 1 02 -. 四 (1). ら の条 文 で は 、 トー ル フ ァッ ハ ト ・アイ ゲ ン の表 現は 使用 され て い な い 。 第 一 篇 の第 五 章 § 九 ( 妻 と と もに 取 得 した. 近畿大学法学 第40巻第 3 · 4 号.

(21) こ の表現 も トール フ ァッ ハト ・ア イゲ ンと同じ様な運命をたど っている。ヴ ェー レに広義で関係する条文は全体 で. 十九 カ条に上る。この内、この表現が他の用語に置き換 えら れることもなく 脱落 している条文は七カ 条であり、そ の. 脱落 した 個所のほ とんど が、これまでの法典類の関連条文で、 ヴ ェー レが 不動 産を表示するのか、あるいは中世法の. (1. ). 次に、 ヴ ェー レが別の表現に 置き換 えら れている条文は 六カ条存在する 。 この内、 五カ条は親族 •相続法に関係. し、そこで使用されている表現は「 合有財産 ( g 」 である。もう ―つの書換 えは第三篇の第八章§十四 mptGut ) esa. . ( 賃料の支払いと遅滞)にあるo Br 第三法典での関連条文である第 一四0条の「ヴ ェー レに残された財貨( datGudt. hr e n bli datup der We f t ) 」 の 個所が 、ここでは、 幾分文意 も変 更されてはいるが、「家屋に残された彼の財貨に. m Gut ne m Haus mi asse l ne er i 」に変わっている。 nt e) 目 se ( ehi. ヴ ェー レ自体 は 登場 しないが、本来の法文ではヴ ェー レが使用されていたのではないかと 想像させるのは第一篇の. 夫の債務 超過に基 づく 妻 との離婚)である。この条文中に、妻の嫁資が「一定の場 所に(ange wis s e 第 五章§十一 (. 」 に戻される という法文が登場するが、この「一定の場 所」は、これまで、 しば しば ヴ ェー レの用語が当てら ) er t or. れて いた部分であるからである。た だ し、この条文はこれまでの法典類に関連条文を見出すことはできない。以上の. 書換 えから 、少なくとも法典編 纂者はヴ ェー レを、 財 産の総体あるいは 不動 産を具体的に表示する用語と解していた. ことが判明する。. 売買と 、§ 十 五 ( 売主 の 瑕疵担保責任) (. 逆に、 ヴ ェー レの表現が多少変化 しつつも、なお存続している条文が三カ条存在する。それは第三篇の第五章 §六. 売買の事実が 当事者 に周知されているなら ば 保証人不要) 、 第六章 §十 (. - 1 03 -. 物権的な表 現として のゲヴ ェー レを意 味するのか、判 断に苦慮させら れた部分である。. 中世都市リュ ー ベ ッ クの法典類における不動産関係条文とその特徴(完).

(22) (2. ). 支払い義務 ) である。 こ の辺りの条文は 基 本的に売買に関する規定である。 この三カ条も 商品の引渡し方 法 と関 係. し、例えば、第六章§十一では、買主 が商品を「彼のヴ ェー レにおいて受領する」という用法がほ とんどそのまま残. e wehrの形に さ れて いる 。た だ し、 子細に見ると、他のニカ条も含めて、実はヴ ェー レは、そのままの形ではな-vg. 書き直されていることが分かる。そ して上述の§十一の前の§ 一0( 保証 人の指名と裁判 への出頭期 日)では、この. we hr と表 記さ れー保証( 人)の意 味で利用されている。従って、法典編 纂者 wehr は ー gが大文字となって Ge ge. は、この三カ条において、保証の意 味も込めてー Ge wahrに近い ge we hrに書き直 して ーヴ ェー レの用語を存続さ せ. たのではなかろうか。 ヴ ェー レは、本来保証の意 味も含んでいたとも言われているから、その限りで、そ の伝統的な. 用法が活かされたと言えなくもないが、こ のよ うなー不動 産を表示することも含めたー ヴ ェー レの多義的な用法は、. 少なくとも法典編 纂者には 望ま しいものではなかったのであろう。こ れも 、校訂法典でのヴ ェー レの利用頻度を下げ. る 理由の ―つになったように思われる。. ヴ ェー レに関 しては、もう ―つ 興味深い書き 直しが第三篇の第四章§九(動 産質についての訴え)にあるが、こ れ 」を論ずる際に言 及 しよ う。 は 次節で「Bes itz. ) de l hbe c ③定期金( Wi. 定期金に関係する 条文は全部で十七 カ条存在する 。 Wic hbe l de は定期金を 意 味する用語としては使用されておら. ず、す べて Rent eに置き換 えら れている 。ただ し 、この Rent eは、第三篇の第八章§三(借地 料の支払いと 遅滞 ). と§十二(借家 ・定期 金関係の解約)では借地料を意 味する用語 として 相変わらず使用されている°借地 関係と定期. 金関係との法的な関係性については 後で再度触れることになるであろう。. - 1 04 -. 近畿大学法学 第40巻第3 · 4 号.

(23) hbel de は、そ れが定期 金ではなく領域を意 味する場 合には、これまでの法典類と同様に使 と こ ろで、 前者の Wic. 用され ている。この用法と関係する条文は第四篇の第八章§四(市外での故殺)と§八(故殺)と§九 (同現行 犯)、. c hbel de は「市頷域 そ し て第五篇の第 三章§五 (債務につ い ての争 いの管轄) である。最初 の第八章§四では 、Wi. bi e t e ) 」 と いう表 現に置き 換 えられ ている が、他 の 三カ条では、逆に Wi c hbe l de は 頷域を意 味する用語 ( S団dtGe. ているとも言える。 ④不動産 ( c ht i E2e)と erfa g. こ れま で不動 産を表示する一般的な表現であ った Er veはすべ て、 小文字の Vが bに書き直され て Er beに、ある. i ge n(第 一篇の第 二章§ 三)ーに書き直され ている。この用法は法典 いはこの単語を 含む熟語I例えば 、Erbvnd e. beが不動産を意 味することはほ ぼま 全 体 に広が っているので、ここでは個々の条文につ いて言及はしな い。この Er. ち が いはな いのである が、その語義をより具象 的にー例えば、 土地とー確 定することは 残念ながら 不 可能である 。な. ぜなら 、 st ehe ndeEr beと記載さ れ ている場合、「立 っている土地 」と 解釈することはできな いから である。従 って、. この表現は、校訂法典でも不動産 一般を表示する用語であ ったと言 わざる をえな い。. er fa chti gは 、プロ ッケスの両法典の場 合と同様に、筆者の管見する 限り、校訂法典では登場 し ていな い。. ⑤ よ り具体的な表示. ndeは、 プロ ッケスの両法典の場 合と同様に、ここでも多用され ている が、さらに、 個々の 土地を意 味する Grii. 不動 産につ い ても、その表示は一層具体的にな ってき ている。 例えば、第 一篇の第 二章§六(市内での聖職者による. - 105 -. de の持つ 二義性 は解消され、その語義は「領域」と いう意 味に統一さ れ chbel とし て復活し ている。こ の限りで Wi. 中世都市リュ ー ベックの法典類における不動産関係条文とその特徴(完).

(24) 住宅の変更禁 止)では、関連条 文であるキー ル法典の第 二五 一条で使用されていた wo ni ngeが 「家屋、 屋敷地と 住. .ef Br 第三法典の 第 一三 五 条での「家屋あ るいは 土地 (datHue s t e Wur dt 」が 「家屋あ るいは他の横た わる土地と ). ) 」 に書き直されてい る。このよ う に具体 的 に事 物を列 rande i egendeGrandev ndErbe 不動 産 (ei n Hausode re l. 挙 す ると い う傾向が、少なくとも不動産法 に関しては看取され る。. 不動 産の 区分. 渡す ることはできない。た だし 、や むをえざ る事由が明白 にこのことを必要とす る場合を除く。 その際、相続 財産を. から相続 によって帰属し うる、あらゆ る種類 の財産と言 われてい る。この よ うな相続財産を人は 相続人の 同意なく譲. 財産であ る。しかして相続財産は 一人の 者 に、彼 の 両親あるいは尊属あ るい は 卑属あ るい は 傍系親族 にせよ、 血縁者. 売却)であ る。前者の条文の内容は以 下の通りであ る。「リューベック法 によれば、 相続財産でない物はす べて 獲得. 相続財産の 定義に関して興味 深いのは第一篇の第一0章§六(相続財産の 定義)と第三篇の第七章§二(不動 産の. 表記が 一般的であ る。. 財産の 土地での 建築と改築)での 「共同相 続 人の 土 地 (ge me i ne rEr )」と い う表現を除いて、Er bgutの bengrunde. (3 ). 相続財産と特 に関係 す る条文は、ここでは全部で 八カ条であ る。相続財産の 用語は 、第三篇の第十 二章§ 二(相続. ①相続財産 (Erbgut ). (2). 有 す る者は、彼 が、彼 が着手し うる財 産の 他 には 、いかな る財産も有していないことを誓約しなければならない。 こ. - 1 06 -. 居 (He user /Hofevnd Wo nung e n) 」に、第 一〇章 § 二(相続財産 への 定期金 の 設定)では、同じく関連条 文であ る. 近畿大学法学 第40巻第 3 · 4 号.

(25) ( 4. ). れ が 行われるならば、最 近親相続人は 、彼 らが望む時に、 それを購入す る。しかし、第三者がそれ に ついて 支払おう. 。 次の第三篇の第七章§二は 「 いかなる息子ある いは相続人も、 父自身が自ら購入し、 とする金 額にお いてである」. その後彼 が再び売却しようと欲する 家屋あ る いは不 動 産(の処分)を妨げ、ある いは それに 異 議を唱えることはでき. ( 5. 。 人の同意なく、 それを処分することはできず、 それを相続にとどめおか ねばならな い」. ). 前者の条文は、 ハンプ ルク都 市法典からプ ロッケ スの両法典に混入してきた関係条文を、基 本 的には その内容 を変. 更し ないままに、さらに書き直した条文である。後者の条文は、我 々の 管見した法典類 に関連条文のな い、新たに収. 録された条文ではあるが、明らかにキール法典以来の 伝統的な定義を繰り返して いる。従って、後者 の 「相続財産」. の 定義は 、これまでの法典類を管見して きた我 々には分かりやす い。しかし、前者の場合、 ―つの文言 の書換えが 幾. ( 6. ). 分内容 を混乱させることになって いる。 それは「あらゆる種類 の財産 ( all er handt Gut )」 と いう表現であり、これ. は、本来の関連条文である ハッ ハ第三法典の第 二部の第二五 〇条では「あらゆる種類の不動 産 ( a ll er l e yeeru e )」と. 規定さ れて いたものである。従って、ここでは 「相続財産」の 対 象が不動産のみならず、 それ以外の財産、 即ち、動. 産に も拡張されたように 見える 。もし そうであるとすると、これは リュ ーベック法の原 則の明らかな修正である。実. ( 7. ). 際、 この定義をめぐって、後 に リュ ーベック でもーおそらく ローマ法学 の 影響の下にー 論争が生じることにもなるの. である。. これが、 リ ューベック法原則の 修正か単なる 書きまちが いか、 ある いは この 「財産」は 「不 動 産」と同義である. か、に つ いての決着はここではさし 控えよう。た だ、筆者の推測を述 べるならば、この条文は、ラン トヴェー アの 見. - 1 07 -. な い。しかして、彼 がその 家屋ある いは不動 産を彼 の先祖から相続し て いたのであれば、彼 は、彼 の 子供 そして相続. 中世都市リュ ー ベックの法典類における不動産関係条文とその特徴(完).

(26) 解 と は 異 な り 、 プ ロ ッケ スの 両 法 典 に つ い て 論 じ た 際に 指 摘し て お い た よ う に 、 校 訂 法 典 の 編纂時 期 に も 、 従 来 の 意. 味 で の 相続 財 産 の 定 義は 人 々に と っ て 決 し て 周知 の 事 柄で は な か っ た こ と の 反映の よ う に 思 わ れ る 。 ひ ょっ と す れ. ば 、 当時 の 法 慣 行で は 、 相続 財 産 は 動 産 も 含 むと 既に 見 な さ れ て い た の か もし れ な い 。 こ れ は 、Br第 三 法 典 の 第 三 二. 七 条 ( 相続財 産 の 処分 の 自 由 ) で の 「動 産 で あ る 相続 財 産 」 や同 第 三 九 五 条 ( 債 務 に つ い て の 登 記と そ の 効 力 ) の. 「最 も動 産 的 な 財 産 」 と い う 記述か ら も 想 像が つ く 。. た だ し 、 前者 の 条 文 は 校 訂 法 典 で は 関 連 条 文 を 見 出す こ と が で き な い し 、後者 の 条 文 も第 五 篇 の 第 六 章 § 二 に 関 連. 条 文 を 有 し て い るが 、そ こ で は 、 債 務 額 に 匹敵 す る 「貨 幣と 動 産 (am Gel de/ vnnd bewegli c hen Gut ern)」 が 無 け. れ ば ‘ 債権者 は 「 家 屋、 家敷地 と 不 動 産 (Haus/Hoffvnd Er be) 」 に 占 有 指定 さ れ る もの と さ れ 、 上 述の 動 産 と 不. 動 産 の 区 分 の 曖 昧 さ は 除 去 され て い る 。 こ の 限り で 、 法 典 編 纂者 は 従 来 の 相続 財 産 の 定 義を 再 度 確 認し て い る と 言 え. る 。 第 三 篇 の 第 七 章 § 二 も この目 的 に 沿 っ て 挿 入さ れ た の か もし れ な い 。 従 っ て 、 校 訂 法 典 で も 、 現 行の 法 慣 行と 伝 統 的 な 法 原則 の 併 存 と い う 現 象が 見 ら れ る と 言 わ ざる を え な い 。. 伝統 的 な 法 原則が 繰 り 返 さ れ て い る の は 以 下の 条 文 で あ る 。 第 一 篇 の 第 九 章 § 五 は 、 ハ ッハ 第 三 法 典 の 第 二 部 の 第. 二 五 三 条 を 基 に 、 相続 財 産 の 贈与に つ い て 、 最近 親 相続 人 への 問い 合 わ せと 同意 を 再 び収 録し 、 同篇 の 第 一 〇 章 § ニ. ( 相続財 産 の 売 却 の 際 の 最近 親 相 続 人 への 提示 ) も 基 本 的 に 同じ 様 な 傾 向 を た ど っ て い る 。 他 方 、 新 た な 法. は 、 相続 財 産 へ の 定 期金 の 設定 と 売 却 の 禁 止に つ い て 、 キー ル 法 典 以 来の 規 定 を 簡 略 に 繰り 返し て い る 。 第 三 篇 の 第. 七章§. 慣 行 を 収 録 し て い る の は 同じ 篇 の 第 六 章 § 十八( 相続財 産 の 売 買 と 売主 の 迫奪 担 保 責 任)で あ る 。 こ の 条 文 は ー Br第. 三 法 典 で の 関 連 条 文 で あ る 第 三 三 三 条 で も 、そ の 傾 向 は 看 取され て い た の で あ る が ー 相続 財 産 で は な く 、不 動 産 一 般. - 1 08 -. 近畿大学法学 第40巻第3 · 4号.

(27) についての売買規定に完全に移行している。. (子供のいない夫婦の相 互贈. 従って、以上の条文からすれば、法典編 纂者は 「 相続財産 」について、 むし ろ伝統的な法原 則を繰り返すことにカ. 点 を置いていたと言 えよ うか。. ② 獲得財産 (wol ) ge wone n Gut. これに関する条文は 全部 で九 カ条である。 獲得財産の 表示も、 第 一篇の第六章§. た 財産 」と い う表 現が一般的である。後者の表現については、第三篇の第九章§四(両親から取得した財産の収 益の. 兄弟姉妹 間での分割)では、さらに 「そして相続財産とともにではな く (vndni ) 」と 追加規定さ れ 、 c htmi tErb磨 t. 相続財産と の 違いが強調されている。. 獲得財産の具体的な定義に関しては、相続財産を論じた際に紹介した第 一篇の第一〇章§六の 「 リューベック法に. よ れば、相続財産でない物はす べて 獲得財産である」と、第三篇の第七章§二の 「 いかなる息子あるいは 相続 人も 父. 自身が自ら購入し 、 その後 再 び売却しよ うと欲する家 屋あるいは不動 産(の処分)を 妨げ、あるいは それに 異議を唱. えることはできない 」という法文以上に具体的に規定した条文は存在しない。. しかし、 獲得財産の 処分については、 相続財産の場合と同様に、プ ロッ ケス の両法典でも見られた、新たな法慣行. の支払い、あるいは 最近親相続人の 同意の 獲得、に対する従. 」. と従来の法原 則の併存がここでも看取される。 即ち、新たな法慣行としての、 獲得財産の贈与の際の、処分者による. 彼 の 最近親相続人へ の 「八 シリンクと 四 プ フェ ニッヒ. 来の法原 則としての獲得財産の処分の自由である。これが最も典 型的に 登場するのは第 一篇の第九章§二(獲得財産. - 1 09 -. ne Gut rworbe eを除けば、 これまで通り 「 与)での e wol ge wonen Gut 」あるいは 「 on bl v er Hand 取得され s os. 中世都市リュ ー ベ ッ クの法典類における不動産関係条文 とその特徴(完).

(28) 第 二法典の第三 条とほぼ同じである。「自ら の 獲得財産を 贈与しよ うと欲する者は、 の 処分)であり、 その内容は Br. 前もって彼 の 最近親相続 人に 八シリンクと四 プ フェ ニッヒ を与え ねば なら ない。もし彼 がさらに横た わる 土地と立 っ. て いる不動産を彼 の 獲得財産で購入し て いたのであれば、彼 は それを市参事 会員の 面前で、ある いは彼 の遺言 にお い. て 贈与す る ことができる。 ただし彼 が この都 市法が必要とする権限を有する 限りに お いてである。さて、彼 が、彼 の 8) ( 欲す る いかなる方法に せよ 、 これを 行うのであれば‘ それは有効でありそして存続す べし 」 。 前半部 分での「 八シリ. ンクと四 プ フェ ニッヒ 」の 支 払い義務と、後半部 分での処分の自由である。. 「八シリンクと四 プ フ ェニッヒ 」 の 支払 い義務は 同篇の第六章§ 二( 子供の いな い夫婦間の 財産贈与)と第二篇の. 第 一章 § 八(最初の 婚姻による 子供と 再婚の 妻と その 子供 への 遺贈)にもある。従って、男 に せよ 女に せよ、 子供の. 有 無を問わず 、生前処分か遺贈であるかにかかわらず、 この 「八シリンクと四 プ フェ ニッヒ 」原 則が機能す る ことが. プ ロッケ スの法典と 同様に 繰り返さ れて いるのである。 さらに、「相続人の 同意 」は第 一篇の第九章§四 (寡婦によ. る動 産の処分)では新たに追加されて いる。 ここでの財産の対 象は動産のみなのか、ある いは不動 産も含むのか 必ず. (9 ). しも明白ではな いが、 その追加法文は「しかして、ある婦人が、彼 女の相続 人と 後見人の 同意とともに、彼 女の 獲得. 財産か ら何か を贈与するのであれば、 それは有効にとどまる べし 」である。 ただし 、 ここでは、全体として婦 人の 財. 産に対する 処分能力 を制限する ことが本来の 趣旨であり、獲得財産に対する家族法的な拘束は二次的な意味 しか持ち. えな いのかもしれ な いが、少なくとも、 ここで獲得財産が相続財産と 同様に 取り扱われて いる ことはまちが いな い。. (10). 他方、獲得財産の処分の自由につ いては、まず、第 一篇の第一〇章§ ― (獲得財産の 処分)が、キ ール法典の第九. 条 を「復活 」さ せて いた Br 第三 法典の第五 八条を収 録し て いる。同じく、第 二篇の第 一章 § 二(獲得財産につ いての. - 110 -. 近畿大学法学 第40巻第 3 · 4号.

(29) 遺言の作成)も再び キ ール法典の第一六 二条 に戻っ てい る。第三篇の第九 章§四(両親から 取得 した 財産の 兄弟姉妹. 第三法典の第三五四 条 と同 じであ るが、 前述のよう に、 これもキ ール法典の第一六七 条と同 じであ 間での分 割)は Br. る。前述の第三篇の第七章 § 二( 不動産の処分)も、キール法典以来の伝統的な法原則を繰り返 し てい るのであ る。. 以上の相続 財産と獲得 財産の両財産の定義から 結論 とし て導き出されう るこ とは、法典編 纂者が、 Br 第三法典の場. いか という こ とであ る。 しか し彼らは、 現実 に存在す る法 観念を否定す るこ ともできず、それら を法典の中 に留め 置. かざ るを 得なかったのではなかろうか。. )不動産 nde e ③ 動産化された(品 r. これ に関す る条文は第一篇の第五章§八(商品と し て持参 した妻の財 産の処分)のみであ る。この条文はこれまで. の法 典類の関連条文と同じであ るが、幾分 詳細化さ れ てい る。 即ち、 新 夫 に引き渡され る er ueは 「 相続財産( Er b,. 」 であり、 それを新婦の血縁者が評価し ( a ) es ti mir et ) 、 金額 に換 算し、新 夫 に動 産とし て与 えるこ と、そ し er 荏t. て、 夫はその財産(Er t ern) を 他の商品と同様 に彼の望む 人 に売却 し質入れ しう るこ と、 が書き加えられ bvnd Gti. てい る。貨幣額での当該財産の評価を除けば特 に目新しいものはなく、む しろキ ール法典の第 二0一条以来の法文を. 繰 り返し てい る にすぎ ない。 しか し、 前者の貨幣額での換算は、 当時の、 相続 財産の 個別的 な把握から 量的な 把握 ヘ. の ―つの表象 と見 るこ ともでき るであろ う。. ところで、 Br 第三法典では第一 ―八条( 相続 財産の売却と最 近親相続人への提 示) と第一三四条(教会への定期金. - 111 -. 合 と同 様 にキール法典以来の法 観念を「 復活」さ せ るこ と によっ て、 当時の法的な混 乱を解消させようとしたのでな. 中世都市リ ュ ー ベックの法典類における不動産関係条文とその特徴(完).

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