• 検索結果がありません。

18~19世紀のグスタフ朝時代におけるフィンランド芸術音楽の諸相とその展開

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "18~19世紀のグスタフ朝時代におけるフィンランド芸術音楽の諸相とその展開"

Copied!
234
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)学位 論 文. 博 士. (芸 術 学. ). 18∼ 19世 紀 の グ ス タ フ 朝 時 代 に お け る フ ィ ン ラ ン ド芸 術 音 楽 の 諸 相 と そ の 展 開. 2012年 3月. 蹴 卜 ﹄ L F. 関西 学 院 大 学 文 学研 究科. 中藤. 有 希.

(2) 《要 旨 》. J. 本 稿 は 、. 18∼ 19世. 紀 の 北 欧 で 活 躍 した 作 曲家 の 、 現 存 す る 自筆 譜. と出版 され た 作 品 、 当 時 現 地 で 流 通 して い た 楽 譜 お よび 関 係 す る資 料 に 焦 点 を 当 て 、 形 式 的 、 様 式 的 、 歴 史 的 側 面 を 考 察 しな が ら包 括 的 に 分 析 す る こ とで 、 今 ま で 辺 境 の 音 楽 で あ る と考 え られ て い た 北 欧 音 楽 の 、 特 徴 とそ の 独 自性 を 明 らか にす る こ と を 目的 とす る も の で あ る。. 全 体 の 構 成 と し て 、 グ ス タ フ 朝 時 代 に お け る フ ィ ン ラ ン ドの 音 楽 受 容 と そ の 傾 向 (第. 1部. )、. 具 体 的 な 創 作 活 動 と そ の 特 徴 (第. 2部. )と い う. 二 部 構 成 で 考 察 を進 め た。 第. 1部. で は 、 グ ス タ フ朝 時 代 の 音 楽 受 容 とそ の傾 向 を探 るた め 、 二. つ の 資 料 を 取 り上 げ て 考 察 を 進 め た 。 第 出 版 され た 楽 譜 集. ν. s,た αJJsた ″. 「. “. Jグ. 1章. で は 、 ス トック ホル ム で. 5/σ rグ rJノ. 〔音 楽 の 気 晴 ら し 〕 に. つ い て 、 そ の概 要 、 収 録 作 品 を分 析 し、 特 徴 と変 遷 を考 察 す る。 この 楽 譜 集 は 、 ス ウ エー デ ン に お い て 定 期 的 に 刊 行 され た こ の 種 の 出版 物 と して最 も古 く、 か つ. 1789年. か ら. 1834年. ま で. 45年. 間 と い う長 期. に わ た り発 行 さ れ 続 け た と い う点 で 、 地 方 性 お よ び 時 代 性 を 色 濃 く 反 映 し て い る 。 ま た 、 同 楽 譜 集 は フ ィ ン ラ ン ド地 域 で も 入 手 可 能 で あ っ た こ と が 分 か っ て お り 、第. 2部. 第. 1章. で 言 及 す る フ ィ ン ラ ン ド地 域 と. 関 わ りの 深 い 作 曲家 が 作 品 を発 表 す る場 で も あ つ た こ とか ら、 当 時 の. =フ. ィ ン ラ ン ド (フ ィ ン ラ ン ド が ス ウ ェ ー デ ン の 一 部 で. ヽ. ス ウ ェ ー デ ン. l〓 ゲ ⋮ ︲J. 音 楽 的 動 向 を知 る うえ で き わ め て 重 要 で あ る。 この 楽 譜 集 を通 して 、. あ っ た 時 代 を い う )に お け る 音 楽 的 受 容 を 考 察 し た 結 果 、大 陸 で の 流 行 を ほ ぼ 忠 実 に反 映 した もの で あ る一 方 で 、 オ ペ ラ に 由来 す る歌 曲 の 歌 詞 はす べ て ス ウ ェー デ ン語 で あ る な ど、 一 貫 して 自国 の 言 語 に根 ざ し た 音 楽 活 動 を行 い 、 時 に は名 もな き 自国 の 作 曲 家 に よ る作 品 の発 表 の 場 で あ り、 自 らの 音 楽 的 源 泉 で あ る 民 謡 に もペ ー ジ を提 供 して い た こ とが 明 らか とな つ た。. J調﹁ 魂 ψ﹁JJギ.

(3) 第. 2章. で は 、 現 在 の フ ィ ン ラ ン ド共 和 国 に あ た る 地 域 で 活 躍 し た 、. 最 初 の 「作 曲 家 」 と 言 わ れ て い る エ リ ク 有 して い た 楽 譜. 0ト. (ト ゥ リ ン ド ベ リ 旧 蔵 楽 譜. ゥ リ ン ドベ リ が 生 前 に 所. )を. 取 り上 げ た 。 こ こ で は. 楽 譜 の 出 版 年 お よ び そ の 入 手 年 の 特 定 を 試 み な が ら 、 ト ゥ リ ン ドベ リ の 生 涯 を. 4つ. の 段 階 に 分 け 、彼 を 取 り 巻 く 音 楽 的 様 相 の 推 移 を 探 っ た 。. そ の結 果 、 学 生 時 代 に は ス ウ ェー デ ン宮 廷 音 楽 へ 向 か つ て い た 音 楽 的 興 味 が 、 出 版 楽 譜 の 普 及 を 通 して 、 ヨー ロ ッパ 大 陸 の 音 楽 的 流 行 と直 に 繋 が っ て ゆ く変 遷 の 過 程 を 明 らか に す る こ とが で き た 。. 第. 2部. で は、第. 1部. で 考 察 した 音 楽 受 容 の 下 で 行 わ れ た 具 体 的 な創. 作 活 動 につ い て考 察 を進 めた。 第. 1章. で は 、 当 時 フ ィ ン ラ ン ドで 活 躍. し 、 作 品 が 現 存 す る 作 曲 家 に つ い て 、 フ ィ ン ラ ン ド芸 術 音 楽 の 流 れ を ふ ま えて ま とめた。 第. 2章. で は、筆者 が. 立 図 書 館 、 ト ゥル ク. 2008年 6月. 0シ. 以 降. 3年. 間 に 渡 リ フ ィ ン ラ ン ド国. ベ リ ウス博 物 館 、 ス トック ホル ム・ 音 楽 図 書. 館 で行 っ た 現 存 す る 当時 の 楽 譜 資 料 に 関す る調 査 を も とに、 特 に グ ス タ フ朝 時 代 に 西 洋 古 典 派 時 代 と並 行 して 活 躍 し作 曲 を試 み て い た も の の 中 か ら、 一 定 量 の 作 品 が 現 存 す る作 曲 家 に 焦 点 を絞 り、 代 表 的 な 作 品 を 取 り上 げ 傾 向 と特 色 に つ い て 考 察 した 。 グ ス タ フ 朝 時 代 の 作 曲 家 は 他 に職 業 を 有 し、 中 上 流 階 級 の た しな み と して 音 楽 を 学 ん だ 者 で 、 現 存 す る 作 品 は 、 市 民 社 会 の 台 頭 と い う社 会 事 情 を 背 景 に 、 中 小 規 模 の サ ロ ン 的 な 音 楽 が 多 い こ とか ら、 家 庭 や 小 さ な サ ロ ン に お い て 自分 た ち で 楽 しむ た め の 曲 を 必 要 と して い た こ とが 考 え られ た 。 ま た 、 本 稿 で 考 察 した 現 存 す る作 品 の傾 向 か ら、 この 時 代 に 自国 由来 の 古 い 旋 律 に対 す る 関 心 が 高 か っ た こ とが 明 らか とな つ た。 第. 3章. で は 、 ト ゥ リ ン ドベ リ の 「 ヴ ァ イ オ リ ン 協 奏 曲 作 品. り上 げ 、第. 1部. 第. 2章. 1」. を取. で 言 及 した 彼 の 旧蔵 楽 譜 に含 ま れ る ヴ ァイ オ リ. ン協 奏 曲 との 影 響 関係 を検 討 した 。 こ こで は 、 作 由 に あ た っ て 参 考 に した と考 え られ る そ れ らの 作 品 との 比 較 を 通 して 推 定 作 曲年 に つ い て 再 検 討 を試 み 、 特 に 第 二 楽 章 の 特 徴 か ら、 作 品. 1-1の. 作 曲年 を. 1783.

(4) 年 頃 とす る説 の 論 拠 を 新 た に 提 示 した 。 そ して 第. 4章. で は 、 ト ゥ リ ン ドベ リ の. 6つ. の弦 楽 四重奏 曲の形式 的 、. 様 式 的 特 徴 に 着 目 し 、18世 紀 後 半 に お け る フ ィ ン ラ ン ド の 弦 楽 四 重 奏 由 に つ い て 考 察 し た 。 さ ら に 、 ト ウ リ ン ドベ リ 旧 蔵 楽 譜 に 含 ま れ る 同 時 代 の 他 の 作 曲 家 に よ る 弦 楽 四 重 奏 曲 との 関 連 を 通 して 、 特 に 独 奏 楽 器 の 扱 い と い う点 で 、 同 時 代 の 協 奏 四 重 奏 曲 と 関 わ りの 深 い 作 品 で あ る 可 能 性 を示 した 。 こ の こ とか ら、 従 来 指 摘 され て い る よ うに形 式 的 に は ハ イ ドン の 影 響 を 色 濃 く受 け て い る 一 方 で 、 様 式 上 の 観 点 で は 旧 蔵 楽 譜 に含 ま れ る よ うな 同 時 代 の パ リで 流 行 して い た 協 奏 四 重 奏 曲 と の 影 響 関 係 が み られ る こ と を 明 らか に した 。. lV.

(5) 《目次》 序. 第. 1部. 第. 1章. グス タ フ朝 時 代 の音 楽 受 容 とそ の傾 向. Musikaliskt Tidsfё rdrifの. 楽 譜 集. 2.ン タsJた 劇 Jsた ″7Jグ s/σ rグ rJ/の. 出 版 とそ の 音 楽. .…. 7. 0… …………・………・010 相死要 と 響罫景 .… ……。. 2-1出. 版 者 オ ー ル ス トレム. 2-2ス. ウ ェ ー デ ン に お け る楽 譜 印 刷 と楽 譜 集 の 出 版 経 緯. 2-3出. 版 意 図 と体 裁. .…. … … … … … … … … … … … … … 10 11. .。. … … … … … … … … … … … … … … … … 13. .…. 3.ン タsJた αιJsた ″rJグ s/σ rグ rJ/の. 特 徴 と考 察. .…. … … … … … … … …. 018. 3-1時. 代 区 分. 3-2刊. 行 年 別 に み る 楽 曲 リ ス ト .… … … … … … … … … … … … 19. 3-3刊. 行 年 別 に み られ る掲 載 由 の 構 成 と特 徴. .…. … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 18. … … … … … 19. 3-3-1第. 一 期 よ り. 1789年. の 巻 を 例 に. .…. … … … … … … … ・20. 3-3-2第. 二 期 よ り. 1811年. の 巻 を 例 に. .…. … … … … … … … ・21. 3-3-3第. 二 期 よ り. 1832年. の 巻 を 例 に. .…. … … … … … … …. 3-4収. 録 され た 作 曲 家 とそ の 作 品 の 傾 向 と推 移. 3-4-1ス 3-4-2. ウ ェ ー デ ン. (フ ィ ン ラ ン ド 含 む. ).…. .…. 022. … … … … 25. … … … … … 25. 牛 国 .… 。 課彗メ ….… ・…・…0… ・…・…・…・…・…・…・…・…0… ・…・…・…・… 27. 3-4-3/Jヽ 結. .…. … …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… 33. 3-5ジ. ャ ンル 別 に み る 特 徴 とそ の 推 移. 3-6出. 版 時 期 に つ い て. 4.時. .‥. 代 背 景 と の 関 わ り. .…. .…. .…. … … … … … … … … 34. … … … … … … … … … … … … … … … 37. … … … … … … … … … … … … … … … … 39. 4-1ス. ウ ェ ー デ ン. .…. … … … … … … … … … … … … … … … … … 39. 4-2フ. ィ ン ラ ン ド. .…. … … … … … … … … … … … … … … … … …. 5.楽. 譜 集 の 役 割. 6. :お. )わ. り に .…. .…. 40. … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 43. 44. .… .… ・…・…・…・…・…0… ・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・ ・.

(6) 第. 2章. ト ゥ リ ン ドベ リ 旧 蔵 楽 譜 に み る 音 楽 的 様 相. エ リク. 1     2. ・50 は じめ に 。 … ‥… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …・ ト ゥ リ ン ドベ リ 旧 蔵 楽 譜 の 概 要 .… … … … … … … … … … … … … … … … …. 2-1伝 来. 0・. 50. と 現 状 .… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 51. 2-2ト. ゥ リ ン ドベ リ 旧 蔵 楽 譜 リ ス ト .… … … … … … … … … … … … … … … … 51. 2-3出. 版 者 .… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …・54. a.J.J.フ b.B.フ c。. (Hummel,Burchard 1731-1797).…. ン メル. シュ ミッ ト. d.ア. (Humme19 Johann Julius 1728-1798).… ……………….54. ンメル. ン ドレ. …………………………55. (Schmitt,Joseph 1734-1791)… … … … … … … … … … …・055. (Andr6,Jean[JOhann]1741-1799)…. ・55 … … … … … … … …・. ・56 収 録 作 曲 家 と 作 品 .… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …・. 3-1. ト ウル ク ア カ デ ミー 学 生 時 代. 3-2ト. ゥル ク ア カ デ ミー 奨 学 金 受 給 時 代. 3-3オ. ウル 時 代 初 期. 1785年. 3-4結 婚 以 後 1787年 4。. 1776年. ∼. 1786年. ∼. 1780年. 1781年. ∼. .… … … … … … …・56. 1784年. .…. … … … 58. .… … … … … … … … … … … … … …・63. 以 降 .… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 65. お わ りに 。 ……………………………0… …・…・……・…・……………0… …‥‥………・…0… ………‥…………・67.

(7) 第. 2部. 第. 1章. グス タ フ朝 時代 の創 作 活 動. フ ィンラン. 1     2. は じめ に. .…. … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … ・ 72.  . グ ス タ フ 朝 以 前 の フ ィ ン ラ ン ド 芸 術 音 楽 .… … … … … … … … … … … 73. ^3. グ ス タ フ 朝 時 代 の フ ィ ン ラ ン ド 芸 術 音 楽 .… … … … … … … … … … … 74. 3-1グ a。. ス タ フ 朝 時 代 の 作 曲 家 .… … … … … … … … … … … … … … … … ト ゥ リ ン ドベ リ. b.ビ. ュ ー ス トレム. c.リ. 76. (Bystrё m,Thomas 1772-1839).… ………………… 77. ー ル ・ リ タ ン デ ル. 1843) .… c-2。. c-3。. (Lithander,Carl Ludvig 1773-. .… .… .… .… ・… ・…・…・…・…・…・…0… ・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…。 …・…. フ レ ドリク・ リタ ンデ ル. 1777- 1823) .…. 78. (Lithander,Fredrik Emanuel. .… .… .… .… ・… ・…0…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…. 78. そ の 他 .… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … ・ 79. d. ク ル ー trル 4. お れ)り に. 2章. ……………. タ ン デ ル 兄 弟 .… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … ・ 78. c-1.カ. 第. (Tulindberg,Erik 1761-1814).…. 075. .…. .…. (Crusel19 Bernhard Hcnrik. 1775 - 1838)… …。…… 79. …0… ・…・……・…・…・…・……・…・……・…・……………・………………・…・…・ 80. グス タ フ朝 時代 の 主 要器 楽 作 品 と. 1     2. は じめ に. .…. … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 083. 室 内 楽 曲 .… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 83. ト ゥ リ ン ドベ リ 「6つ の 弦 楽 四 重 奏 曲 」 .… …… … … … … … … 83. ①. ② ビ ュ ー ス ト レ ム 「3つ の ヴ ァ イ オ リ ン 伴 奏 付 き 鍵 盤 ソ ナ タ 作 品. 1」. .…. …… … … … … … … … … … … … … … … … … … …… … … … … … … 86. ③ カ ー ル ・ リ タ ン デ ル 「フ ル ー ト と ピ ア ノ フ ォ ル テ の た め の デ ィ ヴ ェ ル テ ィ メ ン ト」. .…. … … … … … … … … … … … … … … … … … … …88.

(8) 0♪. 避 糠 曲 熱 ビ ュ 一 二. ′ レヱ 、│ド IIシ ァ I:唸 轟毒iニ キ ミ碁 変. :ヽ. 癖 カ ー ル・ り. ・ ル テ 藝 た め ダ》ソ サ。 プ ヾ. ハ 長. iタ. J .… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 9(). :調. レ 心ソ 恭 青 ― タ 4.. yノ. ト′デ ル 「 ピ. │タ. 89. 雛 難J …………………………・=…. 1奏. ` ンデ ル 「 ゾ. :ヤ. I∫. ‐ 夕 │れ lム. 11. 讐. ヽ梵五1欄 J .…. /・. ………… 92. .… .…. モ ギ)他 夕 ………………………………………………………………………. '3. ).. 再. S iポ i l二 :i∫ 夕 。│ギ Fi「. ー ー 'ギ 露W ifン 1等 ト ベ lf Iギ 下. │ン. 曲 f午 黒. :書. 11.   一¨ 一. ¨. F11】 議. `. ・. 1■ ._.…. …. ゝ. …. X…. `…. ヽ …. …. …. ・. 。 ―. ・. X`・. 。. ―. ―. ・. ◆ 一. ―. 。 た 。 ―. ・. ・. ―. 革メ1ヽ 中 ゞ:,「 │)Fく リ ト1轟 1:言. (1バ. パ ヽ 三}Iド ド ギ 群 11 ン. ::ご 」く:り 卜. 1'. :響. 言. :目. :∫. 1繊 ::撃 :彗. 1轟 ::弊. │ま. 諸:二 き. ::′. ヽ. 一. …. ・. …. Xル・. 二. …. …. ・. …. 。 一. 釜曇 ょ… =バ 。_・ … … …・ ^`・ ム… …・A― …・―・一 鸞T. /碁 ミ. 導:ム. 孝 軒:二. :rl千 1111摯. 尋:│ド. .よ. llP,ギ. `・. 卜^J[メ. 1「. き d゛. Iミ. .∫ 億■督1)ll慧 ` A lld r嚇 Fnttγ. iぼ. lLぶ. lT31・. 1ぶ 登露:l_卜. ∵al1lli. 111,C手 :中. ....。 _・ ・ `・ ム… …・・. 議奪 :T藤 椰 :‐ 尋:簾. NI凛. tヽ. 畔. f` ″ IF. 、一 ムで    . ■ 一      一 ■. ヽ1:IaRck導 .Kar: ::(111巌 ヾ1● 、1 lT51‐. / 11〕 ド 曇. ic襲. 1,Vttclav i::1灯 etttcll. ::甲 ボ ノ:ど `′ 〉‐ 11.ギ ン ギ}責 ザユ 「. 卜. │ン. Iヽ. 「 ド・べ:ザ :I〕 ドず ゞ ■・ 警 IF絲 中 い卜. :;│:::〕. 11(1二. :..…. X・. 6・. `ヽ. …. …. x t・. '―. ・. ス ・. '一. ヽ. X…. …. …. i綴 :二. …. ヽ ・. 。 た い. X4…. 1や 3. ,_・ …… 1,… …Ⅲ ・…^-4・ -11)ぶ. 1741・ 1805,._.… …=._・ ……ヽ ―一 l拳 4. ■卜1・ で :難. 1蒸 1警. 1癬 鸞. .Pi:. t… Ⅲ ・1黙 さ尋■、 彙 。 央 __,.・ ・贅 ー ・女 ・`… ゛ ・ ・ ・―羹 ・央 ・ 一 …◆ ・ ・カ ・……… ・……… ―…・ ……・ …・ ……Ⅲ. 1,メ. 7. Ⅲ イ ・・`… …・'… ……・。 ・……。 轟:.… ……...`… ・… ………゛ ー・'… …。 ・ `― ・ …Ⅲl《}量 …………・. 1 lI「 曇 ― F lド ー い( う f"・-111 ,(11帝. 爆↓II「. 学. '尽. ^イ. ト ャ. κ. ^…. ナ ―ト ・一……― ………Ⅲ ータ …… 警T …“. 1. :il:I裁 }:二 │… ………Ⅲ…づ_… ……………………“……。'―・ウ 量.. X…. ヽ. …. …. ::熟. ・ ・. :ヤ. …. …. 。 。 文 ・―… ・た ……・力 '一 ・1(卜 T ……・力. ,_二. ニ キ 11 …. `・. 1,1‐. Ⅲ ・ ・. Xキ ・. : 梓I曇 …. …. …. "ム. …. 1:11仲. 贅 ・. 一. 紺::穀 1傘 導 Ⅲ Ⅲ t'ム. …. …. ・. 11卜. 1).

(9) 第. 4章. エ リク. トゥ リ ン. 1 2. 18世 紀 後 半 の 弦 楽 四 重 奏 曲. 2. 手 稿 譜 の 発 見 と 先 行 研 究 .… … … … … … … … … … … … … … … … … … …. 3. 弦 楽 四重奏 曲 第 一番 。 … … … … … … … … … … … … … … … … … 0113. 3-1-1第 1楽. 章. Allegro.…. 3-1-2第 3楽. 章. Adaglo.… … … … … … … … … … … … … … … … … 0117. 3-2 3-3. 2-1第 1楽. 章. Allegro assai.… … … … … … … … … … … … … … ‥ H9. 弦 楽 四 重 奏 曲 第 五 番 .… … … … … … … … … … … … … … … … …・121. 3-3-1第 1楽. 章. Allegro.…. 3-3-2第 2楽. 章. Minuctto Allegretto.… … … … … … … … … … … … 123. … … … … … … … … … … … … … … … … 0122. 弦 楽 四 重 奏 曲 の 特 徴 .… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 123. 4-1ソ. ナ タ 形 式 の 観 点 か ら .… … … … … … … … … … … … … … … … … … …124. 4-2旋 律 形 成. の 観 点 か ら .… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 125. ト ゥ リ ン ドベ リ 旧 蔵 楽 譜 に 含 ま れ る 弦 楽 四 重 奏 曲 と の 関 連 .… … …126. 5-1. ト ゥ リ ン ドベ リ 旧 蔵 楽 譜 に 含 ま れ る 弦 楽 四 重 奏 曲 .… … … … … 0126. 5-2 四 重 奏 曲 と 協 奏 四 重 奏 曲 6.. … … … … … … … … … … … … … … … … 0114. 弦 楽 四 重 奏 曲 第 四 番 .… … … … … … … … … … … … … … … … …・119. 3…. 5.. H2. 弦 楽 四 重 奏 曲 の 構 成 と 形 式 .… … … … … … … … … … … … … … … … … …・113. 3-1. 4.. 111. .… … … … … … … … … … … … … … … … … …127. お わ. 結論. 《参 考 文 献 一 覧 》. 《あ と が き 》. Musikaliskt Tidsfordrif. 楽 曲 リ ス ト (刊 行 年 順. ト ゥ リ ン ドベ リ. ヴ ァ イ オ リ ン 協 奏 曲 作 品 1-1. ト ゥ リ ン ドベ リ. 弦 楽 四重奏 曲. ス コア. ).

(10) 18∼ 19世. 紀 の グス タ フ朝 時 代 にお け る. フ ィ ン ラ ン ド芸 術 音 楽 の 諸 相 と そ の 展 開. William Faden:. Scandia or Scandinavia. and Norway,w ith. The Danish lsiands◆. Comprchending Sweden, By L.S.Delarochette.…. 1794◆.

(11) 序. 18世. 紀 後 半 の フ ィ ン ラ ン ドは 、 グ ス タ フ. 3世. お よ び グ ス タ フ 4. 世 ア ドル フ 統 治 下 に お け る ス ウ ェ ー デ ン 王 国 の 一 部 で あ つ た 。 こ の 時 代 、 つ ま リ グ ス タ フ 朝 時 代. (1772∼ 1809)は. 、 グ ス タ フ. 3世. が. フ ラ ン ス の 貴 族 的 ロ コ コ 文 化 に 憧 れ な が ら 様 々 な 啓 蒙 主 義 的 改 革 を 実 施 し た こ と か ら 、 ス ウ ェ ー デ ン 文 化 中 興 の 時 代 で あ つ た と さ れ る 。 同 時 に ス ウ ェ ー デ ン 東 イ ン ド会 社 の 成 功 や 、 鉄 、 木 材 の 輸 出 に よ り富 を 築 き 、 市 民 社 会 の 台 頭 が 急 激 に 進 ん だ 時 期 で も あ っ た 。. 北 欧 に お け る. 18∼ 19世 紀 の 音 楽 に 関 す る 研 究 は 、 資 料 の 散 逸 や. 自 筆 譜 を 発 見 、 確 定 す る こ と の 難 し さ か ら 、 ドイ ツ や イ タ リ ア と い つ た い わ ゆ る 西 洋 音 楽 の 中 心 と 考 え ら れ る 国 々 と比 べ 、大 幅 に 立 ち 後 れ て い た. cし. か し近 年 、 北 欧 各 国 で 当 時 の 手 稿 譜 が 発 見 さ. れ る よ う に な っ た こ と で 、 そ の 実 態 が 姿 を 現 しつ つ あ る 。 そ し て 最 近 の 演 奏 に お け る 古 楽 器 復 興 の 動 き も あ り 、 そ の 曲 が 書 か れ た 当 時 の 楽 器 を 用 い た 演 奏 も 録 音 され つ つ あ る 。 一 方 で 、 そ れ ら の 曲 の 様 式 的 研 究 、 お よ び 展 開 の 過 程 に つ い て の 研 究 は 、 そ の 文 化 的 歴 史 的 影 響 関 係 を 理 解 す る 上 で 不 可 欠 で あ る に も か か わ ら ず 、 未 だ 表 面 的 な も の に と ど ま っ て い る 。 そ こ で 本 稿 で は 、. 18∼ 19世 紀 の 北 欧 で 活 躍 し た 作 曲 家 の 、 現 存. す る 自筆 譜 と 出 版 され た 作 品 、 当 時 現 地 で 流 通 し て い た 楽 譜 お よ び 関 係 す る 資 料 に 焦 点 を 絞 り、 形 式 的 、 様 式 的 、 歴 史 的 側 面 を 考 察 し な が ら包 括 的 に 分 析 す る こ と で 、今 ま で 辺 境 の 音 楽 で あ る と 考 え られ て い た 北 欧 音 楽 の 、特 徴 と そ の 独 自性 を 明 ら か に す る こ と を 目的 と す る 。.

(12) 本 研 究 は 、 西 洋 音 楽 史 に お い て イ. ド ン. (1732-1809)、. (1770-1827)に. モ ー ツ ァ ル. 18世 ト. 紀 後 半 ∼. 19世 ベ ー. (1756-91)、. 紀 初 頭 に ハ ト. ヴ. ェ ン. 代 表 さ れ る ウ ィ ー ン 古 典 派 の 大 作 曲 家 が 隆 盛 を 極. め た 時 代 に 、 北 欧 フ ィ ン ラ ン ドで は い つ た い ど の よ う な 人 物 が 活 躍 し 、後 の 時 代 を 導 い て い た の だ ろ うか と い う素 朴 な 疑 問 か ら は じ ま っ た 。 北 欧 の 音 楽 研 究 は 、 ル ウ ェ ー の グ リー グ ー ク の ニ ー ル セ ン ン ドの シ ベ リ ウ ス. 19世. 紀 後 半 か ら. 20世. 紀 初 頭 に 活 躍 し た ノ. (Gricg,Edvard Hagerup 1843-1907)、. (Nielsen,Carl August 1865-1931)、 (Sibelius,Jean 1865-1957)と. デ ン マ フ ィ ン ラ. い つ た ロ マ ン 派. 以 降 の 一 部 の 大 作 曲 家 に 関 す る 研 究 が 大 半 を 占 め て お り 、そ れ 以 前 の 音 楽 的 状 況 に つ い て は い ま だ 明 ら か に な っ て い な い こ と が 多 い 。 特 に フ ィ ン ラ ン ド に 関 し て は 、 12世 紀 以 降 長 く ス ウ ェ ー デ ン の 支 配 下 に あ つ た と い う歴 史 的 背 景 か ら 、 そ の 音 楽 的 状 況 に つ い て も. 19世. 紀 の ナ シ ョナ リ ズ ム の 台 頭 と と も に 語 られ る 事 が 多 く 、. そ れ 以 前 に つ い て は ス ウ ェ ー デ ン 音 楽 史 の 片 隅 に 加 え ら れ る の み で あ つ た 。ま た 、. 1827年. に 古 く か ら文 化 的 中 心 都 市 で あ っ た ト. ゥル ク の 町 が 大 火 災 に よ つ て 壊 滅 的 打 撃 を 受 け た こ と か ら 、バ ロ ッ ク 時 代 を 含 む そ れ 以 前 の 音 楽 的 状 況 を 知 る こ と は 非 常 に 困 難 で あ る 。 しか し現 地 調 査 を 進 め る に 従 い 、 当 時 の 音 楽 的 状 況 を 知 る 上 で 貴 重 な 情 報 源 と な る い く つ か の 資 料 に 出 あ う に い た つ た 。. そ こ で 筆 者 は 、 本 稿 を. 2部. 構 成 と し 、 ス ウ ェ ー デ ン 宮 廷 文 化 が. 花 開 い た グ ス タ フ 朝 時 代 を 中 心 に 、 フ ィ ン ラ ン ドが ロ シ ア 帝 国 の 支 配 下 に 置 か れ る に 至 る 過 程 の 音 楽 的 状 況 を 探 る 。 ま ず 第. 1部. で は 、 グ ス タ フ 朝 時 代 の 音 楽 受 容 と そ の 傾 向 を 探 る. た め 、 二 つ の 資 料 を 取 り上 げ 考 察 を 進 め る 。 第 ク ホ ル ム で 出 版 さ れ た 楽 譜 集 ν ′sJた αJJsた ″rJご s/σ. 1章 rグ. で は 、 ス ト ッ. rJ/1音. 楽 の 気 晴. ら し〕 に つ い て 、 そ の 概 要 、 収 録 作 品 を 分 析 し 、 特 徴 と 変 遷 を 考.

(13) 察 す る。 こ の 楽 譜 集 は 、 ス ウ ェ ー デ ン に お い て 定 期 的 に 刊 行 され た こ の 種 の 出 版 物 と して 最 も古 く、か つ. 45年. 1789年. か ら. 1834年. ま で. 間 と い う 長 期 に わ た り 発 行 さ れ 続 け た と い う 点 で 、地 方 性 お. よ び 時 代 性 を 色 濃 く反 映 して い る と考 え られ る。 ま た 、 同 楽 譜 集 は フ ィ ン ラ ン ド地 域 で も 入 手 可 能 で あ つ た こ と が 分 か つ て お り 、 第. 2部. 第. 1章. で 言 及 す る フ ィ ン ラ ン ド地 域 と 関 わ り の 深 い 作 曲 家. が 作 品 を発 表 す る場 で も あ つ た こ とか ら、当 時 の 音 楽 的 動 向 を 知 る うえ で き わ め て 重 要 で あ る。 こ の 楽 譜 集 を 通 して 、 ス ウ ェ ー デ ン =フ ィ ン ラ ン ド (フ ィ ン ラ ン ド が ス ウ ェ ー デ ン の 一 部 で あ っ た 時 代 を い う )に お け る 音 楽 的 受 容 を さ ぐ る 。 第. 2章. で は 、 フ ィ ン ラ ン ドで 最 初 の 作 曲 家 で あ る と さ れ る ト ゥ. リ ン ドベ リ が 生 前 に 収 集 し た. 34人. の 作 曲 家 に よ る. 51作. め られ た 楽 譜 コ レ ク シ ョ ン を 取 り上 げ る 。 こ の 資 料 は. 品 が お さ. 18世. 紀 後. 半 の 音 楽 家 に よ る コ レ ク シ ョ ン で あ る 点 、ま た そ れ が 散 逸 せ ず に 保 管 され て い る 点 か ら、当 時 の 音 楽 的 状 況 を と ら え る 上 で 貴 重 で あ る。 こ の 楽 譜 資 料 か ら、 い か な る 国 や 地 域 の 作 曲 家 が 好 ま れ 、 ま た い か な る 出 版 社 の 楽 譜 が 入 手 可 能 で あ っ た の か と い つ た こ と を 明 らか に して い く。. 続 い て 第. 2部. 察 を 進 め る。 第. で は 、 グ ス タ フ 朝 時 代 の 創 作 活 動 に 焦 点 を あ て 考. 1章. お よび 第. 2章. で は 、 グ ス タ フ 朝 時 代 の 作 曲 家. と現 存 す る 作 品 に つ い て 、器 楽 曲 を 中 心 に 具 体 例 を 挙 げ な が ら ま と め 、 そ の 特 徴 と傾 向 に つ い て 考 察 す る。 第. 3章. お よ び 第. 4章. で. は 、 規 模 の 大 き な 器 楽 作 品 を 多 く 残 し た ト ゥ リ ン ドベ リ の 作 品 に 焦 点 を 当 て 、第. 1部. で 考 察 した 旧蔵 楽 譜 資 料 に 含 ま れ る他 の 作 曲. 家 の 作 品 と の 影 響 関 係 も 含 め て 、 ト ゥ リ ン ドベ リ 自 身 の 作 品 を 考 察 す る。 そ して 上 記 の よ うな 音 楽 活 動 が い か に創 作 へ と繋 が り内 面 化 して い っ た の か を 明 らか に して い く。. こ こ で 、 本 稿 に お け る 「 フ ィ ン ラ ン ド芸 術 音 楽 」 の 定 義 を 示 し.

(14) て お き た い 。 な ぜ な ら 国 と し て の フ ィ ン ラ ン ド共 和 国 の 成 立 は. 1917年. と 、非 常 に 新 し い か ら で あ る 。 先 述 し た よ う に 、そ も そ も. フ ィ ン ラ ン ド地 域 は され る ま で の 約 め. 1809年. 12世. 650年. 紀 以 降 、. 1809年. に 全 域 が ロ シ ア に 制 圧. 間 、 ス ウ エ ー デ ン の 一 部 で あ つ た 。 そ の た. 以 前 の 音 楽 は ス ウ ェ ー デ ン 音 楽 史 の 文 脈 の 中 で 語 られ. る の が 一 般 的 で あ る 。 し か し本 稿 で は 、 時 代 の 移 り変 わ り と と も に 変 化 し て き た 長 い ス パ ン で の 当 地 域 の 音 楽 的 様 相 を 探 る と い っ た 観 点 か ら 、 ス ウ ェ ー デ ン 、 ロ シ ア と言 っ た 宗 主 国 に か か わ ら ず 、 フ ィ ン ラ ン ド地 域 の 芸 術 音 楽 と い う意 味 で こ の 言 葉 を 用 い る こ と とす る 。.

(15) /. EUROPE IN 1792 婦:lo3. E費. `:i3お. /. Fメ. ダ. ノ. メ. r t '1. /. 1792・T‐. σ:)ヨ. マ. ヽ 一 ロ. "Thc Cambridge M o d crll History A tl〔 ls" editcd by Sir Adolphus Ward, G.Wo Prothcro, Sir Stanlcy Mordaunt Iン (lambridgc tlni、 「ersity Presst London,1912.. cathes, and E.A..

(16) グ ス タ フ 朝 時 代 の 音 楽 受 容 と そ の 傾 向. 第 1部. 第. 1章. 1.は. 楽 譜 集 ν ′sJた αιJsた ″rJグ s/σ. rグ. rJ/の 出 版 と そ の 音 楽. じめ に. ァ ル ド・ グ リ ー グ. (1865-1931)、. (1843-1907)、. デ ン マ ー ク の カ ー ル. そ し て フ イ ン ラ ン ド の ジ ャ ン. (1865-1957)と. い つ た. 19世. 紀 後 半 ∼. 20世. 0ニ. 0シ. ー ル セ. ベ. ヴ   ン. 北 欧 の 音 楽 とい っ て ま ず 思 い 浮 か ぶ の は 、 ノル ウ ェ ー の エ ド. リ ウ. 紀 初 頭 に 活 躍 した ロマ. ン 主 義 的 国 民 楽 派 の 作 曲 家 た ち だ ろ う。 し か し彼 ら 大 作 曲 家 に 肩 を 並 べ る よ うな 、ス ウ ェ ー デ ン の 作 曲 家 の 名 前 が 浮 か ん で く る 人 は ほ と ん ど い な い だ ろ う。 確 か に 、 ヴ ィ ル ヘ ル ム マ ル. 0ス. (Stenhammar,Carl Wilhelm Eugen 1871-1927)や. ア ル ヴ ェ ー ン. テ ー ンハ ン ヒ ュ ー. (Alfv6n,Hugo Emil 1872-1960)と. ゴ ・. い つ た 後 期 ロ. マ ン 派 の 語 法 を 示 す 作 曲 家 は 認 め ら れ る が 、西 洋 音 楽 史 に お い て は 、 常 に 片 隅 に 添 え られ る 程 度 で あ る 。 し か し 、 時 代 を さ か の ぼ り. 18世. マ ン. 紀 前 半 の バ ロ ッ ク 時 代 に は 、 ユ ー ハ ン. (Roman,Johan Helmich 1694-1758)が. 0ヘ. ル ミ ク ・ ル ー. ス ト ッ ク ホ ル ム の 宮 廷. で 華 々 し く活 躍 し 、北 欧 の バ ロ ッ ク 時 代 を 代 表 す る 作 曲 家 と さ れ て い る 。 そ こ で 、 こ の 間 、 つ ま り. 18世. 紀 後 半 ∼. 19世. 紀 前 半 の ス. ウ ェ ー デ ン の 音 楽 的 状 況 は い か な る も の で あ つ た の か 、 ま た 、 後 に 生 ま れ る ロ マ ン 主 義 的 国 民 楽 派 の 源 泉 と な る よ う な 動 き は み られ た の か 、 と い つ た 疑 間 が 生 じ る 。 し か し 、 北 欧 に お け る こ の 時 代 の 音 楽 的 状 況 に つ い て は 、一 般 的 に は ほ と ん ど知 られ て お ら.

(17) ず 、 特 に ス ウ ェ ー デ ン に 関 し て は 、 か つ て バ ル ト帝 国 と し て 北 方 に 君 臨 し強 大 な 国 力 を 誇 っ た に もか か わ らず 、音 楽 に 関 して は 北 欧 で 最 も 不 毛 で あ る と い わ れ る ほ ど名 を な し た 音 楽 家 も少 な い 時 代 で あ っ た 。 そ して そ の た め に 、 盛 期 古 典 派 と並 行 し、 ロマ ン 主 義 的 国 民 楽 派 へ の 足 が か り と な る こ の 時 代 の ス ウ ェ ー デ ン 音 楽 に 関 す る 研 究 は 、 ドイ ツ 、 フ ラ ン ス 、 イ タ リ ア な ど の 大 陸 側 の 作 曲 家 や 音 楽 的 状 況 に つ い て は 多 角 的 か つ 詳 細 な 研 究 が 進 ん で い る に も か か わ らず 、い ま だ 十 分 に 明 らか に され て い る とは 言 え な い 。 さ ら に 、 シ ベ リ ウ ス を 生 ん だ フ ィ ン ラ ン ドは 、 こ の 時 代 ス ウ ェ ー デ ン 王 国 の 一 部 で あ っ た た め に 、 そ の 音 楽 を 語 る 上 で も 、 ス ウ ェ ー デ ン の こ の 時 代 こ そ 、の ち の ロマ ン 主 義 的 国 民 楽 派 形 成 に 重 要 な 役 割 を 果 た した 可 能 性 が あ り、 よ り深 い 研 究 が 求 め られ て い る。 こ の よ うな 疑 間 に 答 え る 音 楽 的 資 料 は あ ま り多 くは な い が 、 当 時 広 ま りつ つ あ っ た 市 民 社 会 に お け る 音 楽 の 受 容 状 況 を 知 る 手 が か りは 残 され て い る。そ こ で 本 章 で は ス ウ ェ ー デ ン で 定 期 刊 行 され 一 般 家 庭 に 流 布 され た 最 古 の 印 刷 出 版 楽 譜 で あ る 、 楽 譜 集 ν 夕sJた αJJsた ″ Jグ s/σ rグ rJノ 〔音 楽 の 気 晴 ら し 〕 (以 下 M.T.と 略 す )を 取 「 り 上 げ た い 。 こ の 楽 譜 集 は 1789年 か ら 1834年 ま で 、 約 45年 間 と い う長 期 に わ た り 出 版 さ れ た た め に 、 こ の 時 代 の 音 楽 受 容 と そ の 変 遷 を 探 る こ とが 可 能 で あ る。 さ らに 、第. 2部. 第. 1章. で 言 及 す. る 多 く の 作 曲 家 が こ の 楽 譜 集 を 作 品 の 発 表 の 場 と して い た こ と か ら 、 フ ィ ン ラ ン ドに お け る 音 楽 受 容 を 考 え る 上 で も 重 要 な 役 割 を 担 っ て い た こ と は 否 め な い 。 ま た 、 出 版 者 オ ー ロ フ ・ オ ー ル ス トレム は 、. 1788年. か ら. 1823年. ま で 楽 譜 印 刷 業 者 と して 国 王 か ら. 排 他 的 特 権 を 与 え ら れ 、1818年 ま で は ス ウ ェ ー デ ン で 唯 一 の 楽 譜 出 版 業 者 で あ っ た 。 した が っ て こ の 楽 譜 集 は 、 北 欧 の 音 楽 史 を 体 系 的 に 知 る 上 で 他 に 類 を 見 な い 資 料 で あ る と い う こ と が で き る。 こ の 楽 譜 集 が 出 版 され て い た. 18世. 紀 後 半 ∼. 19世. 紀 前 半 は 、 西. 洋 音 楽 史 で い う古 典 派 、 そ して 初 期 ロ マ ン 派 の 時 代 に あ た る 。 ヨ.

(18) ― ロ ッ パ 大 陸 側 で は ハ イ ド ン 、 モ ー ツ ァ ル ト、 ベ ー トー ヴ ェ ン に 代 表 され る ウ ィー ン 古 典 派 の 作 曲 家 が 活 躍 し、西 洋 音 楽 の 一 つ の 規 範 と も い うべ き ス タ イ ル が 確 立 され た 。 ま た 、 フ ラ ン ス や イ タ リ ア の オ ペ ラ ・ コ ミ ッ ク 、 オ ペ ラ ・ ブ ッ フ ァ 、 そ し て ドイ ツ 語 に よ る ジ ン グ シ ュ ピ ー ル とい つ た 、 民 衆 的 で 、 よ り身 近 な 話 題 を 取 り扱 う歌 劇 が 大 い に 流 行 し て い た 。 一 方 、 同 時 代 の ス ウ ェ ー デ ン は 、 地 理 的 に は 現 在 の ス ウ ェ ー デ ン 王 国 と フ イ ン ラ ン ド共 和 国 を 合 わ せ た 地 域 を 占 め 、 王 宮 が お か れ 、 交 易 を 独 占 して い た ス トッ ク ホ ル ム を 中 心 に 繁 栄 して い た 。 音 楽 に 関 して は 、 大 陸 側 の 大 国 と同 様 に 、銅 版 印 刷 の 著 しい 発 達 か ら楽 譜 の 印 刷 出 版 が 広 ま り、市 民 社 会 に お け る音 楽 教 育 の 一 般 化 が 進 ん だ 時 代 で も あ つ た 。 これ は つ ま り、 音 楽 の 場 が 、 教 会 や 宮 廷 か ら小 規 模 な 演 奏 会 や 一 般 家 庭 ヘ シ フ ト した 時 代 で あ っ た 。 本 発 表 で 取 り 上 げ る M.T。 の 分 析 か ら 、 こ の よ う な 時 代 に ス ト ッ ク ホ ル ム や そ の 近 郊 で 、実 際 どの 程 度 作 曲 活 動 が 行 わ れ 、 どの よ う な 作 曲 家 に よ る 作 品 が 愛 好 され 、家 庭 で 演 奏 され て い た の か と い う こ と を 、 明 らか に して い く。 楽 譜 集 ン タs,た αJJsた ″rJグ. sノ σrグ. rJ/に 関 す る 研 究 と し て 、ノ ル リ ン ド. iや テ ー ゲ ン iiは 歌 由 に 関 す る 分 類 研 究 を 行 い 、 特 に 楽 譜 集 に 収 め. られ 当 時 非 常 に 人 気 の あ つ た 女 流 詩 人 ア ン ナ ・ マ リア ン. (Lenngren,Anna Maria 1754-1817)の. 0レ. ン グ レ. 詩 の 考 察 を行 っ た 。 ま た ヴ. iliは オ ー ル ス ト レ ム の 楽 譜 印 刷 業 の 詳 細 を 明 ら か に し 、 ィ ー ベ リ フ ェ リ ン ガ ー iVは 定 期 刊 行 楽 譜 に 関 す る 著 作 の 中 で 本 楽 譜 集 の 曲 Vは 名 リス トを 掲 載 し て い る 。 ヘ レ ニ ウ ス ・ エ ー ベ リ. 18世. 紀 末 に. 出 版 され た 本 楽 譜 集 に 収 め られ た 曲 と ク ラ ヴ ィ コ ー ド と の 関 わ Viは 同 じ く り に つ い て 考 察 を 行 い 、ス ワ ン ソ ン. 18世. 紀 末 を 中 心 と. した 掲 載 由 の 特 徴 を提 示 した 。 しか し、以 上 に 挙 げ た 研 究 者 た ち の 研 究 は 、 い ず れ も一 定 の 楽 曲 ジ ャ ンル に 特 化 して い る 、 あ る い は ご く限 られ た 時 期 に 限 定 して 考 察 を試 み て い る た め に 、楽 譜 集 と して の 全 容 を理 解 す る に は 十 分 と は 言 え な い 。.

(19) そ こ で 本 章 で は 、掲 載 され た 楽 由 の 、全 体 的 傾 向 や そ の 推 移 を 抽 出 し、 時 代 区 分 を 行 い な が らそ の 変 遷 を 探 る こ と を 試 み た い 。 ま ず 、 こ の 楽 譜 集 の 概 要 と 出 版 経 緯 を検 証 し、収 録 作 品 の 傾 向 と 特 徴 に つ い て 考 察 す る。そ して これ らの 分 析 か ら流 行 とそ の 推 移 を 探 り、他 国 との 影 響 関係 に つ い て も言 及 しな が ら、 当 時 の ス ウ ェ ー デ ン お よ び フ ィ ン ラ ン ドに お け る 音 楽 的 状 況 の 一 端 を 明 ら か に した い 。 な お 、 楽 譜 集 ν ′sJた αJJsた ″rJグ s/σ. rグ. rJ/は 、 現 在 、 フ ィ ン ラ ン ド 国. 立 図 書 館 、 ト ゥ ル ク Viiの オ ー ボ ア カ デ ミ ー 、 ス ウ ェ ー デ ン の 王 立 音 楽 ア カ デ ミー 図 書 館 に所 蔵 され て お り、 筆 者 の 研 究 は そ れ ら. 3. つ の 図 書 館 に お け る 資 料 を 比 較 検 討 し な が ら進 め て い る も の で あ る. 2. ν. Viii。. sJた. “. 劇 Jsた ″rJグ s/σ. 2-1出. rグ. rι. ノ の 相兄要 と 窄罫景. 版 者 オ ー ル ス ト レ ム. 出 版 者 オ ー ル ス ト レ ム は 、 作 曲 家 、 楽 譜 出 版 業 者 、 教 会 オ ル ガ ニ ス ト と し て 活 躍 し た 一 方 で 、 1780年 以 降 様 々 な 政 府 関 係 の 役 職 を 務 め 、. 1786年. 、グ ス タ フ. 3世. の 息 子 ア ドル フ の ク ラ ヴ ィ コ ー ド. 教 師 と な り 、 彼 が 次 期 国 王 グ ス タ フ. 1792-1809)と. な っ て か ら も 、. 1796年. ル ス ト レ ム は 、 1788年 に “Kunglo. 4世. ア ドル フ. ま で そ の 任 に あ つ た. (在 位 iX。. :. オ ー. privilegierade Not― Tryckeriet〔. 国. 王 特 権 楽 譜 印 刷 社 〕"を 設 立 後 、 先 述 の 通 り 楽 譜 印 刷 業 者 と し て 国 王 か ら 排 他 的 特 権 を 与 え ら れ 、 1818年 頃 ま で ス ウ ェ ー デ ン に お け る 唯 一 の 楽 譜 出 版 業 者 で あ っ た. X。. オ ー ル ス ト レ ム は 「飲 ん べ え 」 を 風 刺 し た 詩 で 当 時 ス ウ ェ ー デ ン で 非 常 に 人 気 の あ っ た 詩 人 ベ ル マ ン. 1740-1795)や. Xl(Bellman,Carl Michael. オ ー ル ス ト レ ム 自 身 の 作 品 を は じ め 様 々 な 国 内 外 の. 10.

(20) 作 品 を 出 版 し た 。 そ の 業 績 は 特 に 長 期 に わ た る 定 期 刊 行 に あ り 、 本 論 で 取 り上 げ る 楽 譜 集 の ほ か 、 れ た. Sた. αJグ θsり εたικSα ″″θ J“ 夕sJた. 1790年. か ら. 1823年. ま で 出 版 さ. 〔音 楽 付 き 詩 集 〕 で は 、 自 国 の 作. 曲 家 に よ る 作 品 に 自 国 語 で 歌 詞 を 付 け る と い う試 み も 行 つ た 。 ま た 作 曲 家 と し て 、鍵 盤 ソナ タ や オ ペ ラ 、歌 曲 も 残 し た 。 S“ 湯 σJα ソιr sり σたθη ノσrり bσ. 出 版 した. rノ. αrι. 1786年. に. 〔初 心 者 の た め の ク ラ. 「 ヴ ィ コ ー ド小 品 集 〕 は 、 ヴ イ ー ベ リ の 言 葉 を 借 り る と 、 裕 福 で は な い 家 庭 で も 入 手 可 能 な 、 ス ウ ェ ー デ ン 人 に よ り は じ め て つ く られ た 鍵 盤 楽 器 の た め の 教 本 で あ り、後 に 様 々 な か た ち で 版 を 重 ね た. 表. Xll」. 1. 。. オ ー ル ス ト レ ム. 年 譜. 子 として生誕、後 に王立音楽 アカデ ミーで学ぶ 日、 農家 の′ ス トックホルムの聖マ リア教会 オルガニ ス トに就任 聖 ヤ コブ教会 オ ル ガ ニス トに就任 グス タフ4世 ア ドル フの クラ ヴィ コー ド教 師 を務 め る (∼ 1796) Kunglo privilegierade Not一 Tryckeriet〔 国 王 特権楽譜 印刷社 〕設 立 Musikaliskt Tidsfё rdrif〔 音楽 の気晴 ら し〕 出版. 華79聾 彗華 難製Skaldestycken satte i musik〔 音楽付 き詩集 〕 出版 1撃. 86. 2-2ス. Smユ. Claver stycken fё r nybё rjare〔 初 心者 のた めの クラ ヴィ コー ド小 品集 〕 出版. ウ ェ ー デ ン に お け る 楽 譜 印 刷 と楽 譜 集 の 出 版 経 緯. 次 に 、 ス ウ ェ ー デ ン の 楽 譜 出 版 に つ い て 概 観 し 、. オ ー ル ス ト. レ ム が 楽 譜 出 版 業 に 携 わ る よ う に な つ た 経 緯 に つ い て 考 察 す る 。 ス ウ ェ ー デ ン で 印 刷 楽 譜 が 流 通 し 始 め た の は 、 1760年 代 の 輸 入 楽 譜 に 端 を 発 す る 。 と く に ア ム ス テ ル ダ ム の フ ン メ ル 社. Hummel & B.Hummel)は. (J.J.. 早 く か ら ス ト ッ ク ホ ル ム に エ ー ジ ェ ン. トを 置 き 販 売 網 を 拡 大 し て い た 。 ま た 、 フ ン メ ル 社 の 楽 譜 が フ ィ.

(21) ン ラ ン ド の ト ゥ ル ク で も 同 時 代 的 に 流 通 し て い た こ と は 、1770年 代 か ら. 90年. 代 に か け て 収 集 さ れ た ト ゥ リ ン ドベ リ. Erik 1761-1814)の 第. 2章. 参 照. (Tulindberg,. 1部. 旧 蔵 楽 譜 資 料 か ら 明 ら か と な っ て い る (第. )。. 一 方 、 ス ウ ェ ー デ ン 国 内 に お け る 楽 譜 印 刷 業 者 と して は 、 グ レ フ ィ ン ス カ 印 刷 社. 1720-1782)が. [Grefingska tryckeriet]の. ホ ー グ. (Fougt,Hcnrik. あ げ ら れ る 。 ホ ー グ は フ ィ ン ラ ン ド の トル ネ オ で. 生 ま れ ス ウ ェ ー デ ン の ウ プ サ ラ 大 学 で 学 ん だ 後. Xiii、. 政 府 機 関 で. あ る ベ ル グ ス コ レ ギ ウ ム XiVで 勤 務 し 鉄 鋼 お よ び 金 属 加 工 に 精 通 し て い た 。 王 室 付 き 印 刷 業 者 の 娘 エ ル サ. 1744-1826)と. XV(Fougt,EIsa. 結 婚 し 印 刷 技 術 の 改 良 に 取 り組 み 、 よ り安 価 な 材. 料 を 用 い な が ら も 「鋳 型 を 用 い た 方 法 で 、 あ た か も 銅 版 印 刷 で あ る か の よ うに 、 同 等 の 外 観 と完 全 さ を も つ て 楽 譜 を 印 刷 した と され る 。 公 文 書 の 印 刷 、 楽 譜 印 刷 、 楽 譜 出 版 を 手 が け の 高 い 印 刷 技 術 に よ り. 1773年. XVi」. XVii、. 質. か ら国 王 に よ る排 他 的 特 権 を得 た 。. 死 後 は 、 共 同 経 営 者 で あ り 、 女 流 ジ ャ ー ナ リ ス トで あ つ た 母 の 才 能 を 受 け継 い だ 妻 の エ ル サ が す べ て を 引 き継 い だ が 、そ の 頃 に は す で に 楽 譜 の 出版 か ら手 を 引 い て い た. XViii。. そ の 頃 楽 譜 印 刷 に 興 味 を 持 ち 始 め て い た の は 、 ヴ ァ イ オ リン製 作 者 の 息 子 で 聖 ニ コ ラ ス 教 会 の オ ル ガ ニ ス トで あ っ た エ ー ベ リ. (Oberg Jr。. ,Johan 1753-1781)で. あ る。 エ ー ベ リは 王 室 付 き 楽 器. 製 作 者 で ク ラ ヴ ィ コ ー ドの 製 作 も 手 が け 、後 に 出 版 を 考 え て い た と思 わ れ る膨 大 な 楽 譜 を所 持 して い た 。一 般 図 書 の 印 刷 会 社 と提 携 し 、 地 方 都 市 の 要 職 者 と 共 に 販 売 網 を 組 織 し て い た が 、 1781年 に若 く して 急 逝 した. XiX。. そ して 同 年 、聖 ニ コ ラ ス 教 会 に お け る エ ー ベ リの 後 継 に 選 ば れ た の が オ ー ル ス. ト レ ム の 友 人 で あ つ た ヴ ィ ク マ ン ソ ン. (WikmansOn,Johan 1753-1800)で. あ る。 ヴ ィ ク マ ン ソ ン は 貧 しい 染. 色 師 の 息 子 で あ つ た が 、幼 少 よ り通 奏 低 音 や 鍵 盤 楽 器 の 演 奏 を 学. 12.

(22) び 、 1770年 か ら コ ペ ン ハ ー ゲ ン で 数 学 と 楽 器 製 作 を 学 ん だ 。. 1772. 年 に ス ト ッ ク ホ ル ム に 戻 り公 務 員 と して 勤 務 す る 傍 ら 、 同 年 か ら オ ラ ン ダ 改 革 派 教 会 で オ ル ガ ニ ス ト を 務 め た 。 1780年 代 に は グ ス タ フ. 3世. が ドイ ツ か ら 招 い た 音 楽 家 フ ォ ー グ ラ ー. Joseph IA bb611749-1814)や 1756-1792)に. ク ラ ウ ス. (Vogler,Georg. (Kraus,Joseph Martin. 作 曲 を 学 び 、そ の 優 れ た 腕 前 か ら. 1788年. に 王 立 音 楽. ア カ デ ミー の 会 員 に 選 出 され 、そ の 教 育 監 督 を務 め 和 声 と対 位 法 を教 授 した. XX。. 1781年. に 聖 ニ コ ラ ス 教 会 オ ル ガ ニ ス トに 就 任 、 前. 任 者 エ ー ベ リの 未 亡 人 と結 婚 し、彼 の 意 志 と地 盤 を 受 け 継 ぎ 楽 譜 出 版 社 の 設 立 を 目指 した 。 そ して こ の 後 、事 業 は ヴ ィ ク マ ン ソ ン の 友 人 で あ つ た オ ー ル ス トレム に 引 き継 が れ る こ と に な つ た. 2-3出. XXi。. 版 意 図 と体 裁. 本 楽 譜 集 に 関 して は 、オ ー ル ス トレム 自身 が. 1789年 9月 23日. 付 け の ス ト ッ ク ホ ル ム ポ ス ト 紙 に お い て 、「 社 交 的 娯 楽 と し て 、 ま た 練 習 に役 立 つ よ うな 、 声 楽 曲 、お よび 器 楽 曲 の 小 品 に 特 化 し た 音 楽 週 刊 誌. XXii」. の 発 行 を 意 図 して い る と述 べ て い る。 ス トッ. ク ホ ル ム ポ ス ト紙 は 、 詩 人 で 批 評 家 で も あ つ た. (Kellgren,Johan Henrik 1751-1795)と トの レ ン グ レ ン 年 か ら. 1833年. ケ ル グ レ ン. 、公 務 員 で ジ ャ ー ナ リス. (Lenngren,Ca rI Pcter 1750-1827)ら. に よ つ て. ま で ス トッ ク ホ ル ム に お い て 発 行 され た. 1778. XXili。. 「声 楽 曲 、 お よ び 器 楽 曲 の 小 品 に 特 化 し た 」 す る と い う オ ー ル ス トレム の 意 図 は 、 出 版 開 始 か ら終 了 ま で 首 尾 一 貫 して お り、表. 2に. み られ る よ うに 、 歌 曲 と鍵 盤 曲 の 割 合 は ほ ぼ 平 等 で あ る。 器. 楽 由 に 関 して は 、 ご くま れ に ツ ィ タ ー や ヴ ァイ オ リン の た め の 曲 も み ら れ る が 、全 掲 載 曲 、約. 1140曲. の う ち 、わ ず か. そ の ほ とん どは 鍵 盤 楽 器 の た め の も の で あ る。. 13. 5曲. ほ どで 、.

(23) 2. 表. 歌曲 と■盤曲の■合. _“ __―. L.___¨. ‐. ‐. m mlHl‐. ‐. ‐. ‐. ‐. ‐. 樹. 0■. 峰 晰. 0盤. 0融. 70‐. ‐. ■● ‐. ●‐. ‐. ‐. ‐. 曲. 同 じ記 事 に は 続 い て 「鍵 盤 楽 由 に 加 え 、 ア リ ア や デ ュ エ ッ ト、 ク プ レや 声 楽 曲 、 ヴ ァ イ オ リ ン や ハ ー プ 、 ツ ィ タ ー な ど の 作 品 を 紹 介 」 し 、「 M“ sJた α′Jsた ″ TJJsノ σ″′rJノ と い う タ イ ト ル で 、 本 日 第. 号 が 発 売 さ れ る の だ が 、ホ ル ム ベ リの 書 店 で. 4ス キ リ. ン グ で 販 売 す る 」と記 され て い る 。1789年 の 第 楽 譜 は. 4ペ. 1号. の. ー ジ で あ る が 、. セ ー デ ル ベ リ に よ る と 、. 1789年. の ス ト ッ ク ホ ル ム. で 働 く 一 般 的 な 労 働 者 の 日当 は. 9,33ス. キ リン グ で. 図. 1. あ る の で 、 庶 民 に と っ て 4. 14. M.T.表. 紙. 1.

(24) ペ ー ジ で. 4ス. キ リン グ は 決 して 安 い 金 額 で は な い. XXiV。. しか し当. 時 の 楽 譜 が 一 般 的 に い ま だ 高 価 で あ つ た こ と に 鑑 み て 推 察 す る と、半 日分 の 賃 金 と 同 額 で あ る とい う こ と は 手 軽 に と は い か な い も の の 、「 裕 福 で は な い 家 庭 で も 入 手 可 能 」 で あ る と は い え る だ ろ う。 一 方 、 当 時 家 庭 に 楽 器 を 有 し 、 歌 を 楽 し ん だ 上 流 階 級 や ブ ル ジ ョ ワ ジ ー に と つ て 、. 4ス. キ リン グ は破 格 の 手 軽 さ で あ つ た に. 違 い な い 。 そ して これ らの 理 由 か ら、. M.T.は. 一 般 に 広 く行 き渡 つ. た 、 最 初 の 楽 譜 集 で あ る と い え る で あ ろ う。. 現 存 す る. M.T.の. 資 料 状 態 は 、先 に 挙 げ た い ず れ の 所 蔵 機 関 に お. い て も互 い に 似 通 っ て お り、 印 刷 され た 年 ご と に製 本 され 、一 巻 あ た り約. 120ペ. ー ジ で 構 成 され て い る。製 本 時 の 紙 が 三 枚 一 組 で. 二 つ 折 りに 綴 じ られ て い る こ とか ら、. 4ペ. ー ジ単 位 で 印 刷 され た. こ と が 推 測 さ れ 、楽 曲 が そ の 単 位 よ り長 い 場 合 に は. 4の. 倍 数 で ペ. ー ジ が くま れ 、短 い 場 合 に は 小 曲 を挿 入 す る こ とで 調 節 され て い る 。出 版 年 ご と に. 4ペ. ー ジ 単 位 で 第. 30号. ま で 通 し番 号 が 付 され 、. sJた αJJsた ′■ ごs/δ rグ rJノ 、 号 数 、 楽 曲 名 が “ 記 さ れ 、 各 ペ ー ジ 上 部 に 通 し 番 号 が 付 さ れ て い る (図 2)。 ま た 、. 上 か ら順 に 年 号 、題 字 の ν. 先 述 の オ ー ル ス ト レ ム の 記 事 に 「音 楽 週 刊 誌 」 と い う 記 載 が 見 ら れ た が 、最 初 の. 1789年. 巻 を 見 る と第. 14号. ま で が 一 度 に 製 本 され. て い る の で 、発 売 開 始 日 を 考 慮 す る と文 字 ど お り年 末 ま で 一 週 間 に 一 度 発 行 され て い た こ と に な る て 一 年 に 第. 30号. XXV。. しか し、翌 年 以 降 は 一 貫 し. ま で が 製 本 さ れ て い る の で 、6割 ほ ど に ペ ー ス ダ. ウ ン して ひ と月 に 約. 2.5回. 発 行 され て い た と推 察 され る。. 15.

(25) 図. 2. 外 観 は 横 長 で. 17.2cm× 23.8cm、. ま た 図. 紙 上 に 残 さ れ た プ レ ー ト痕 か ら 、 使. 14cm×. 用 さ れ た 銅 版 の サ イ ズ は. 19cmで. 、ど れ も 美 し い マ ー ブ ル 紙 の. 表 紙 と 革 の 背 表 紙 で 装 丁 さ れ て い る 。 見 返 し. 3. (表 表 紙 の 裏 紙. )に. は 上 質 の. 浄. 難. 紙 が 使 用 さ れ 、 ミ ツ バ チ の 巣 箱 、C&I. HONIGや. PRO PATRIAの. 文 字 の ウ ォ. ー タ ー マ ー ク が 多 く み られ る こ と か ら 、 主 に オ ラ ン ダ の ホ ー ニ フ 社 の 紙 が 使 用 さ れ て い る こ と が 分 か る 3)。. :TI 鍾轟. 葛. (図. 一 方 、 本 誌 の 紙 は 上 質 と は い い. が た い 、 厚 く ざ ら ざ ら し た 緑 が か つ. た レ イ ド紙 で あ る. XXVi。. ゥ ォ. _夕 _マ. ー ク は 多 く の ペ ー ジ で み ら. れ な い が 、い くつ か 部 分 的 に確 認 で き る も の を 統 合 して 推 察 す る. 16.

(26) と図. 4の. よ う な 形 態 を 示 し 、縦. 15.3cm×. 横. 7。. 7cmと. い うか な り大. 振 りの ユ リ紋 で あ る こ とが 分 か る。 そ して そ の ユ リ紋 も 、 同 様 の 形 態 を 示 し な が ら も 時 代 と と も に 若 干 変 化 し て い る こ と が 確 認 で き る 。 ま た 、 そ の 他 に ア ル フ ァ ベ ッ トの. Oも. し くは. Dが. 確 認 で き る。. Hと 図. 、判 別 しが た い が. 4. 本 紙 が ど こ で 作 られ た も の で あ る か は 不 明 だ が 、 こ の 種 の 王 冠 や 盾 を 伴 わ な い 同 様 の ユ リ紋 は ア ム ス テ ル ダ ム や ロ ン ド ン を 中 心 に XXVii。. 18世. 紀 を 通 し て 散 見 さ れ る. 最 も 良 く 似 た ユ リ紋 は イ タ リ ア の. 地 図 製 作 出 版 者 ラ フ レ ッ リ の 地 図 (ロ ン ド ン の 王 立 地 理 学 協 会 所 蔵 )に み ら れ る が 、 時 代 が 一 致 せ ず 大 き さ も 若 干 小 さ く 幅 広 で あ り 、 ま た 通 常 出 版 者 の 頭 文 字 を 示 す ア ル フ ァ ベ ッ トに. Hが. 使 用 さ れ て い. る こ と か ら 、 イ タ リ ア で 漉 か れ た 可 能 性 は 除 外 さ れ る で あ ろ う. XXViii。. さ ら に ロ ン ドン で 生 産 さ れ た. 1794. 年 以 降 の 紙 に は 、年 号 が 漉 き 込 ま れ て い れ ば 印 刷 者 や 販 売 者 に 払 戻 金 が あ つ た た め 、年 号 が み ら れ な い 本 誌 の 紙 は オ ラ ン ダ で 漉 か れ た 可 能 性 が 高 い と推 測 さ れ る. XXiX。. しか し. 500種. 類 以 上 の ユ リ. 紋 を 調 査 掲 載 し た ヒ ー ウ ッ ドの 著 書 に お い て 本 楽 譜 集 の 本 誌 と 同 様 の ユ リ紋 、つ ま り こ こ ま で 大 振 りで 中 心 部 分 が 太 い ユ リ紋 が 全 く発 見 で き な い こ と を 考 え る と 、彼 の 調 査 が あ ま り及 ん で い な か っ た 北 欧 で 生 産 さ れ た 紙 で あ る 可 能 性 も あ り 、少 し で も コ ス ト を 削 減 す る た め に 国 内 で 漉 か れ た 安 価 な 紙 を 本 誌 の 印 刷 に 用 い て い た と も 考 え られ る が 、 現 段 階 で は 断 定 に 至 っ て い な い 。. 本 楽 譜 集 は 、 当 時 楽 譜 の 印 刷 出 版 が 盛 ん で あ つ た ロ ン ドン 、 ア ム ス テ ル ダ ム 、 ベ ル リ ン な ど の 大 手 出 版 社 の 楽 譜 と 比 較 す る と 、 そ れ ら と は 異 な る 特 徴 が み られ る 。 つ ま り、 美 し い 表 紙 の つ い た. 17.

(27) 大 判 の 楽 譜 で 、楽 曲 が ま と ま っ て 収 め られ た 高 価 な 楽 譜 で は な く 小 振 りな 紙 で 一 枚. 4ペ. ー ジ ず つ 個 別 に 、か つ 定 期 的 に販 売 した と. い う点 で あ る 。 こ の よ うな 形 態 の 印 刷 出 版 楽 譜 と して は 、 フ ラ ン ス で. 1770年. 代 か ら. 80年. 代 に 、大 振 りな 定 期 刊 行 の 楽 譜 群 が み ら. れ 、器 楽 曲 、 交 響 曲 や 序 曲 が 出 版 され て い た が 、 本 楽 譜 集 も と り わ け 北 欧 で は 先 駆 的 存 在 で あ っ た 。. 3。. ν 夕sJた αJJsた ″ rJご s/σ rグ rJ/の 特 徴 と 考 察. 3-1時. 代 区 分. 本 楽 譜 集 の 詳 細 に 立 ち 入 る に 先 立 ち 、収 録 さ れ た 作 曲 家 と そ の 作 品 の 傾 向 を 提 え る た め に 、 時 代 区 分 を 試 み 、 そ の 区 分 に そ つ て 変 遷 を 探 っ て い き た い 。 ま ず 筆 者 は 、 第 一 期 が 年 、 第 二 期 が. 1810年. か ら. 1824年. 、 第 二 期 が. 1789年. 1825年. か ら. か ら. 1809. 1834年. と 、 大 き く 二 つ に 分 け る こ と で 時 代 区 分 を 行 っ た 。 そ の 理 由 と し て 、 第 一 期 は グ ス タ フ 朝 時 代 、 つ ま り こ れ は 文 化 的 中 興 の 時 代 で あ つ た グ ス タ フ. 3世. と グ ス タ フ. 4世. ア ドル フ の 時 代 と し て 、 刊 行. 開 始 年 か ら 、 そ の 治 世 が 終 わ リ フ ィ ン ラ ン ドが ロ シ ア に 併 合 さ れ る. 1809年. ま で と し た 。 第 二 期 は ベ ル ナ ド ッ テ 王 朝 の 始 ま りか ら. 楽 譜 集 の 規 模 が 年 間. 120ペ. ー ジ か ら. 60ペ. ー ジ に 半 減 す る 直 前 ま. で 、 そ し て 第 二 期 は そ の 半 減 以 降 、 刊 行 の 終 了 ま で と し た 。 こ の 時 代 区 分 は 掲 載 さ れ た 作 曲 家 の 推 移 に 忠 実 に の っ と っ た 区 分 と い う わ け に は い か な い 大 ま か な も の で あ る が 、全 体 的 な 変 遷 を 探 る 上 で の 一 つ の 目安 と し て 採 用 し た 。. 18.

(28) 図. 5. 1789∼ 18o9. ISIo― 1824. 1825∼ 183J4. 簾141鋼. 第 二期. ベ ルナ ドッテ王朝 (1818∼ 現在 ). グスタフ朝時代 (ホ. ルシュタインロゴットルプ王朝の一時期). 金771∼ 18oリ. 3-2刊. 行 年 別 に み る 楽 曲 リ ス ト. 筆 者 は 、. 1789年. の 刊 行 開 始 か ら. 別 収 録 作 品 リ ス ト を 作 成 し 、巻 末. 1834年. (p.142∼. の そ の 終 了 ま で の 年 代. )に 掲 載 し た 。 こ の 表 は 、. 左 か ら順 に 出 版 年 、 ペ ー ジ の 始 ま り と 終 わ り、 号 数 者 、 曲 名 、 分 類. A∼. C、. (No。. )、. 作 曲. そ し て 備 考 欄 と な つ て い る 。 作 曲 者 不 明. の 場 合 は 空 欄 と し た 。 曲 名 は 表 記 に ば らつ き が み られ る が 、 原 本 の 通 り記 した 。 分 類 の 種 類 、分 類. Cは. Aは. 作 曲 者 分 類. (表 3参 照. )、. 分 類. Bは. 楽 曲. 楽 曲 の よ り詳 細 な ジ ャ ン ル 分 け 、空 欄 は そ の 他. お よ び 不 明 、 括 弧 内 は 筆 者 追 記 で あ る 。 掲 載 ペ ー ジ 数 の 割 合 と そ の 推 移 に つ い て は 表. 3-3刊. 3に. ま と め た 。. 行 年 別 に み られ る 掲 載 曲 の 構 成 と 特 徴. で は 次 に 、 具 体 的 な 掲 載 由 に つ い て 考 察 を 進 め て い く 。 ま ず 先 述 の 時 代 区 分 か ら 、 そ れ ぞ れ 典 型 的 な 例 と し て 3つ の 収 録 作 品 リ ス ト を 挙 げ 、 1年 間 の 楽 譜 集 の 構 成 、 掲 載 さ れ た 作 曲 家 や 作 品 に つ い. 19.

(29) て 考 察 す る。. 3-3-1第. 一 期 よ り. 1789年. の 巻 を 例 に. 本 楽 譜 集 が 刊 行 を 開 始 した. 1789年. の 第. 1号 (4ペ. ィ ー ン で 活 躍 し た 同 時 代 の 作 曲 家 ヴ ァ ン ハ ル. B aptist 1739-1813)の 《V isit― い る. XXX。. timman〔. ー ジ. )は. 、 ウ. (Vanhal,JOhann. ア ダ ー ジ ョ、 作 者 不 明 の 歌 曲 、 ク ラ ウ ス の. 面 会 時 間 〕》. (1787)よ り 小 歌 曲 の 3曲 を 掲 載 し て. ヴ ァ ンハ ル の 作 品 は 第. 5号. に も鍵 盤 曲 が 収 め られ て い る. が 、す で に 交 響 曲 や 室 内 楽 曲 、 各 種 協 奏 曲 で 名 声 を得 て い た ヴ ァ ン ハ ル の 作 品 が 、 ほ ど 近 い フ ィ ン ラ ン ドの ト ゥル ク で は オ ー ボ 演 奏 家 協 会 や フ ィ ン ラ ン ドの 作 曲 家 エ リ ク. 0ト ゥ リ ン ド ベ リ が 生 前. に 所 有 して い た 楽 譜 に 含 ま れ て い る こ とか ら. XXXi、. 演 奏 会 で も 比. 較 的 取 り上 げ られ て い た こ とが 推 測 で き る に も か か わ らず 、ス ト ッ ク ホ ル ム で は 演 奏 会 で 取 り上 げ られ て い た 形 跡 が 見 られ な い xxxii。. そ の 理 由 に つ い て は 、 ヴ ァ ンハ ル は. 80∼ 90年 代 に は 、 主 と. して 変 奏 曲 、 標 題 作 品 、教 育 用 作 品 な どで 成 功 を 収 め 、 そ の 作 品 が 初 心 者 や ア マ チ ュ ア の 演 奏 家 の 希 望 を 受 入 れ た よ り軽 い ジ ャ ンル の も の へ と変 化 して い た こ とか ら、音 楽 愛 好 家 の 多 い ス トッ ク ホ ル ム で は 、 同 時 代 的 に は 「演 奏 会 用 」で は な く 「 練 習 、 教 育 用 」 の 楽 由 の 多 い 作 曲 家 で あ る と判 断 され て い た 可 能 性 が 挙 げ られ る。 一 方 、 オ ー ル ス トレム が 彼 の 作 品 を 記 念 す べ き 定 期 刊 行 楽 譜 集 の 冒頭 に ふ さわ しい と判 断 した の は 、続 く. 2曲. 目が 、作 者 不 明. で は あ る が ベ ル マ ン を 踏 襲 し た 「愛 す べ き 飲 ん べ え の 歌 」XXXili、. 3. 曲 目 が 当 時 流 行 して い た コ メ デ ィ・ オ ペ ラ の 一 曲 で あ る こ と も含 め 、 こ の 曲集 を発 行 す る に あ た っ て 示 した 、 人 々 に 人 気 の 曲 を 手 軽 に 楽 し ん で も ら い た い と い う彼 の 意 図 と合 致 し た か ら で あ ろ う。 し か し 、 ヴ ァ ン ハ ル の 作 品 は 、 翌 年 に も う. 1ペ. ー ジ掲 載 され. た も の の 、 以 後 刊 行 終 了 ま で 三 度 と掲 載 され る こ と は な か つ た 。. 20.

(30) ま た 、 こ の 巻 に は 全. 56ペ. 4曲. ジ が 割 か れ て い る 。曲 目 は 全 章 、 第. 71番 (1780)の. 第. 第. 2、. 13ペ. ー ジ の う ち ハ イ ドン の 作 品 に. 47番 (1772)の. 第. 2楽. 81番 (1783-84)の. 第. 2楽. で 交 響 曲 第. 3楽. 章 、 第. ー. 章 を そ れ ぞ れ 鍵 盤 楽 器 用 に 編 曲 し た も の で あ る 。 オ ー ル ス ト レ ム は す で に. 1786年. 、. 1788年. に ハ イ ドン の 交 響 曲 を 鍵 盤 楽 器 用 に 自. ら編 曲 し た も の を い く つ か 出 版 して い る こ と か ら 、編 曲 者 名 に つ い て 記 載 の な い こ れ ら の 編 曲 も 彼 が 行 つ た も の で あ る こ と が 推 測 さ れ る. XXXiV。. ハ ィ ドン の 作 品 は 、. 1781年 4月. 以 降 ス ト ッ ク ホ ル. XXXV、 ム の コ ン サ ー トプ ロ グ ラ ム に 頻 繁 に 登 場 す る よ う に な り. 印. 刷 楽 譜 の 普 及 と と も に そ の 作 品 も 音 楽 愛 好 家 の 人 気 を 獲 得 し て い っ た と理 解 で き る 。 こ の 楽 譜 集 の 刊 行 開 始 か ら の. 3年. イ ドン の 交 響 曲 を 鍵 盤 楽 器 用 に 編 曲 し た 作 品 は 、 全 部 で. 52ペ. ー ジ も 掲 載 さ れ て い る 。そ し て ほ と ん ど が 最 初 の. し て 掲 載 され て い る が 、 本 楽 譜 集 全 体 で は 、 て 全. 14回. 2曲. 間 で 、 ハ. 11曲. 3年. 、. に 集 中. の 再 掲 載 も 含 め. 掲 載 さ れ て い る 。 そ し て 、 こ れ ら の 作 品 の 多 く が 、 中. 「第 二 野 博 詞 氏 に よ る ハ イ ドン の 交 響 曲 の 創 作 時 代 区 分 に お け る 期. 聴 衆 へ の 迎 合 と 実 験. (1774-1784)」. XXXViの 時 期 の 作 品 と 重 な る 。. 第 二 期 は 、「 強 い 感 情 表 出 に 貫 か れ た 第 二 期 交 響 曲 」 か ら 驚 嘆 に 値 す る ほ ど の 大 き な 様 式 変 化 を 伴 っ て 、「 親 し み や す い 明 解 な 交 響 曲 」 に 転 換 し た 時 期 で あ る と され 、 そ の 変 化 の 理 由 の 一 つ と し て 、 印 刷 楽 譜 の 普 及 に 伴 い よ り広 く聴 衆 を 獲 得 し よ う と い うハ イ XXXVll。 ドン の 意 思 が あ げ られ る. そ し て そ の 影 響 は 本 楽 譜 集 を 通 し. て み る こ と が で き 、お そ ら く版 権 は 無 視 さ れ て お リハ イ ドン に は 一 文 も 入 ら な か つ た で あ ろ うが 、そ の 意 図 し た 状 況 は ス ト ッ ク ホ ル ム に お い て も 現 実 と な つ て い た こ と が 指 摘 で き る だ ろ う。. 3-3-2第. 二 期 よ り. 1811年. の 巻 を 例 に. こ の 年 に 特 に 目立 つ の は 、マ ル タ 出 身 の 作 曲 家 で パ リで 活 躍 し. 21.

(31) た イ ズ ア ー ル. 0ペ. ャ ル ル. (Isouard,Nicolas[Nicolo de Malte]1775-1818)が. ロ ー 原 作 の お と ぎ 話 に よ つ て 作 曲 し た オ ペ ラ. 《Cendri110n〔 シ ン デ レ ラ 〕》 (1810)で 、そ の 中 か ら ア リ ア が デ ュ エ ッ トが 由 の 計. 6曲. 、 シ. 2曲. 2曲. 、. 、 そ して 序 曲 を鍵 盤 楽 器 用 に編 曲 した も の が. 1. が 掲 載 され て い る。 こ の オ ペ ラ は 前 年 に パ リで 初 演 さ. れ た ば か りで 、 こ の 楽 譜 集 で は 同 年 か らい ち 早 く ス ウ ェ ー デ ン語 の 歌 詞 を 付 け て 、 ま と め て 紹 介 して い る。 そ の 他 は す べ て 鍵 盤 楽 器 用 の 作 品 で 、 モ ー ツ ァ ル ト 晩 年 の オ ペ ラ ・ セ リ ア 《皇 帝 テ ィ ー トの 慈 悲 》. K.621よ. り序 曲 を 鍵 盤 楽 器 用 に 編 曲 した も の 、 ス ト ッ. ク ホ ル ム の 教 会 オ ル ガ ニ ス ト 、 ェ ド ム ン ド・ パ ッ シ ー の マ ー チ の ほ か 、 作 者 者 不 明 の 数 曲 が 収 め られ て い る。. 3-3…. 3第. 二 期 よ り. 1832年. の 巻 を 例 に. こ の 年 の 歌 曲 と して は 、前 年 か ら非 常 に 多 く掲 載 され て い る イ タ リア の 作 曲 家 、 リギ ー ニ. (Righini,Vincenzo Maria 1756-1812). の オ ペ ラ 《解 放 さ れ た エ ル サ レ ム 》. (1802)か. らス ウ ェ ー デ ン語 に. 訳 さ れ た ア リ ア が 二 曲 、 フ ラ ン ス の 作 曲 家 ボ イ エ ル デ ュ ー. (Boleldieu,Francois Adrien 1775-1834)の ン ス 語 の 歌 詞 の ま ま で 掲 載 され て い る. ロマ ン ス. (珍 し く フ ラ. ザ ル ツ ブ ル ク で 学 び ヨ. )、. ー ロ ッパ 各 地 や 南 米 ブ ラ ジ ル で 活 躍 した オ ー ス ト リア の 作 曲 家 ノイ コ ム. (Neukomm,Sigismund Ritter von 1778-1858)の. 牧 歌 的 哀 歌. (ゲ ー テ の 詩 を ス ウ ェ ー デ ン 語 に 訳 し た 歌 詞 が 付 さ れ て い る )と い つ た 曲 が 掲 載 され て い る。鍵 盤 曲 で は マ ン ハ イ ム の 宮 廷 音 楽 家 、 教 育 者 で あ り、. 1786年. か ら. 1806年. に か け て ス ウ ェ ー デ ン で 活 躍. し た フ ォ ー グ ラ ー の ア ン ダ ン テ ィ ー ノ 、 ベ ー トー ヴ ェ ン の ピ ア ノ ソナ タ 第. 1番. op.2-1、. 第. 12番. op。. 26(葬. 送. )の. 各 第 一 楽 章 、 ロ ン. ド ン で 学 び サ ン ク トペ テ ル ブ ル ク を 中 心 に 活 躍 し た フ ィ ー ル ド. (Field,John 1782-1837)の. 夜 想 曲 、 ドイ ツ の 作 曲 家 で デ ン マ ー ク で. 22.

(32) 活 躍 した ク ー ラ ウ. (Kuhlau,Friedrich 1786-1832)作. 曲 で. コ ペ ン ハ ー ゲ ン に て 初 演 さ れ た お と ぎ 話 オ ペ ラ 《Lulu》. 1824年. よ り、 序. 曲 を 作 曲 者 自身 で 鍵 盤 楽 器 用 に編 由 した 作 品 な どが み られ る。. 23.

表 2 歌曲 と■盤曲の■合 L.̲̲̲¨ ̲ ̲̲― ● ‐ ‐ ‐ m mlHl‐ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐ 樹 0■ 峰 晰 70‐ ‐ ■● ‐ ‐ ‐ ‐ 0融 0盤 曲 同 じ 記 事 に は 続 い て 「 鍵 盤 楽 由 に 加 え 、 ア リ ア や デ ュ エ ッ ト 、 ク プ レ や 声 楽 曲 、 ヴ ァ イ オ リ ン や ハ ー プ 、 ツ ィ タ ー な ど の 作 品 を 紹 介 」 し 、「 M sJた α′ Jsた ″ TJJsノ σ″′ rJノ と い う タ イ ト ル
図  2 外 観 は 横 長 で 17.2cm× 23.8cm、 ま た 紙 上 に 残 さ れ た プ レ ー ト 痕 か ら 、 使 用 さ れ た 銅 版 の サ イ ズ は 14cm× 19cmで 、 ど れ も 美 し い マ ー ブ ル 紙 の 表 紙 と 革 の 背 表 紙 で 装 丁 さ れ て い る 。 見 返 し (表 表 紙 の 裏 紙 )に は 上 質 の 紙 が 使 用 さ れ 、 ミ ツ バ チ の 巣 箱 、 C&I HONIGや PRO PATRIAの 文 字 の
図  5 1789〜 18o9 ISIo― 1824 1825〜 183J4 簾 141鋼 第二期 グスタフ朝時代 ベルナ ドッテ王朝 (ホ ルシュタインロゴットルプ王朝の一時期 ) 金 771〜 18oリ (1818〜 現在 ) 3‑2刊 行 年 別 に み る 楽 曲 リ ス ト 筆 者 は 、 1789年 の 刊 行 開 始 か ら 1834年 の そ の 終 了 ま で の 年 代 別 収 録 作 品 リ ス ト を 作 成 し 、巻 末 (p.142〜 )に 掲 載 し た 。 こ の 表 は 、
表 掲 載 ペ ー ジ 数 の 割 合 と 推 移 ‐    スウェーデン                                           │ ‐  81 1■ ■口 I Fl               ■ ■■■■  ?   含計   自日 働■ 《 彙職 會鮮 )輸 ヨ │ m■ ■ │           1饉 :l■ ■ 爾  24"  5  1212  124ア │ 1■ 4鴨 │││■ ■ 6鴨                1色 膚 ‐ 214%         
+3

参照

関連したドキュメント

欧米におけるヒンドゥー教の密教(タントリズム)の近代的な研究のほうは、 1950 年代 以前にすでに Sir John

  In the implementation of the "United Nations Decade of Ocean Science for Sustainable Development (2021 – 2030) " declared by the UN General Assembly in December 2017 ,

In this paper, Part 2 , presents current status of children's Satoumi activity cases in Japan and compares them with those of the South Pacific on knowledge of marine

19 世紀前半に進んだウクライナの民族アイデン ティティの形成過程を、 1830 年代から 1840

データベースには,1900 年以降に発生した 2 万 2 千件以上の世界中の大規模災 害の情報がある

1 アトリエK.ドリーム 戸田 清美 サンタ村の住人達 トールペイント 2 アトリエK.ドリーム 戸田 清美 ライトハウス トールペイント 3 アトリエK.ドリーム 戸田

2017 年夏より始まったシリーズ 企画「SHIRAI’s CAFE」。自身も 音楽に親しむ芸術監督・白井晃

須賀川市 田村市 相馬市 喜多方市 会津若松市