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番外謡曲引詩考

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Academic year: 2021

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 61 -∼ 1 , 1 1 が , l \ と r I L r ∼ V . L ・ 。 ・ ・ -・ I t 3 -、 ヂ ・ ぐ 、 ・ . , + ・ -' I J : , -一 「 1 、 t ・ ー _ l ・ 蔓 「 王 -一 ・ _ . y r ∼

は     じ     め     に 謡曲の引詩に関する調査には'佐成謙太郎氏の「謡曲と漢詩 -謡曲引詩考 - (﹃能楽全書﹄ 第三巻所収)'拙稿 「信光の能と漢 詩」 (﹃大阪樟蔭女子大学論集﹄第六号所収)がある。しかし'前 者は現行曲のみを扱ったものであ-'後者は室町時代(慶長以前) の成立と推定されている番外謡曲を対象としたものであって'今日 までに伝わっている曲のすべてにわたっているわけではない。謡曲 において'いかなる漢詩が引かれているか'また'それがいかに取 扱われているかを見るには'室町時代の古作のみならず'江戸時代 の新作についても'考察を行なう必要があるであろう。それで、こ の機会に鞘印されている番外謡曲で'前記の拙稿に洩れたものにわ ける引詩を紹介し'もって研究者の参考に供したいと思う。 この調査において'主なる出典とその引詩数を示すと'﹃和漢朗 詠集﹄百三十二 ﹃自民文集﹄ (﹃和漢朗詠集﹄'﹃新撰朗詠集﹄所 収の詩を除-)一八(序一)'﹃三体詩﹄十四'﹃新撰朗詠集﹄八' ﹃百聯抄解﹄四、﹃本朝文粋﹄ 二ということになる。﹃和漢朗詠 集﹄がその大半を占めていることは'上記の二つの調査の結果と同 様であ-'江戸時代の新作においても'人口に胎焚している詩句が 引用される傾向が強いことを物語っている。 番外謡曲における引詩の形態については'「信光の能と漢詩」に 説いておいたが'このたびの調査においても'ほぼ同様のことがい える。漢詩が謡曲のいかなる小段に引かれているかというと'サシ の 類 に 用 い ら れ て い る 場 合 が も っ と も 多 -' ク セ が そ れ に つ づ -が'この事実はへ詩句が登場人物の心情を語るのに多-利用されて いることを示すものにはかならない。 同一の詩句がしばしば用いられていることも'また'室町時代の 作品の場合と同じである。それは'もちろん'一般的に漢詩の方が 和歌よ-も耳遠いことによろうが'多-は後代の謡曲が先行作品の 詞章を借用する場合の砂-ないことに帰せられよう。 渓詩が概して一曲の部分的な場面を彩るものとして使用されてい ることは'すでに佐成氏が指摘されている。この傾向は'番外謡曲

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-ヶ62 -においても認められるのであって'じじつ'漢詩を主材とした曲は 比較的少ないのである。 次に示す引例は'﹃謡曲叢書﹄'﹃謡曲叢書﹄'﹃謡曲全集 (国 民 文 庫 ) ﹄ 、 ﹃ 謡 曲 評 釈 ﹄ ' ﹃ 謡 曲 三 百 五 十 番 集 ﹄ ' ﹃ 新 謡 曲 百 番 ﹄ ' ﹃ 刑 番 外 謡 曲 ( 古 典 文 庫 ) ﹄ ' ﹃ 刑 番 外 謡 曲 ( 読 ) ( 古 典 文 庫 ) ﹄ ' ﹃ 未 刊 謡 I 曲集(古典文庫)﹄から採った。なお○印を附したのは、佐成氏の引 詩考ならびに拙稿「信光の能と漢詩」に見えていない詩句である。 ‖   和   漢   朗   詠   集 逐吹潜開不待芳罪之候 迎頒咋変将希雨露之恩(紀淑望) 夫風おってひそかに開く'芳罪の候をまたず'春を迎へて忽ち に変ず,まさに雨露の恩をねがほんとす(古典文庫本「祇園詣」) ヒ ソ カ ハ ウ ヒ コ ウ 風を逐て潜に開く芳井の候をまたざる梅花の神ンとは、我事 な-(古典文庫本「丁固」) 池凍東東風度解 窓梅北面雪封寒(藤原篤茂) 実々雪は封(じ) て寒- 窓の梅の北面ならねど 麦も越路 に 近さ国の(古典文庫本「夏雪」) 東岸西岸之柳 遅速不同 南枝北枝之梅 開落己異(慶滋保胤) 縦へば東岸西岸の柳'遅速こそ有-とも'南枝をとむる事は岸 にありとて(新謡曲百番本「材本義平」) 気等風椀新柳髪 氷消浪洗旧習寅(都良香) 柳の風に磨くを見て'気零れては風新柳の髪を疏るといふ句の うかびて,其下の句を'暫-案じたたずむ処に'此朱雀門の上 よ-も'鬼神忽ち顕れいで'さもあらけなき声うちあげて'氷 消えては浪旧苔の寅を洗ふと'その下の句をつぎしな-(謡曲 叢 書 本 「 朱 雀 門 」 ) 立ち帰り旧習の'舞を洗ふと句をつぎLt作者は我といひ捨て て'忽ち奮進の鬼神と成って失せにけり(同) 気ほれては 風しん-うのかみをけづ-'氷消ては 浪きうた いの舞をあらふ (古典文庫本「天竜鬼神」) 花下忘帰因美景 樽前勧酔是春風(白楽天) 有明のひか-さす盃もかずそひて'帰らん事や忘るらん(謡曲 叢 書 本 「 岩 瀬 」 ) 美景に依って人心の'酔を進むる花の陰(謡曲叢書本「華自然 居 士 」 ) 花のもとに帰らん事を忘るるは'美景によりて人心'飽-とし もなき木の下の'桜は色に出にけ-(新謡蘭百番本「留春」) 花 の も と に   帰 ら ん こ と を   忘 る る は   美 景 に よ る の   友 に ま 見えんと 恥かしながらも'顕はれたり (古典文庫本 「兼載 桜 」 ) 花の下トに帰らん事を忘るるは'かかる美景にもやよりける と、思はるれ共花見る友の(古典文庫本「桜之前」) 本よ-すきの樽ンの前'酔をすすむる友もがな (古典文庫本 「 須 磨 遅 々 」 ) 花の本に帰らん事を忘るるは'美景によってなり'樽の前に酔 をすすむるは是春の風(古典文庫本「花宴」)

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-63 ○歌酒家家花処処  莫空管領上陽春(白楽天) さらでだに春の心は長閑ならねば'歌酒家々花所々に'入日正を もてあそぶに (古典文庫本「桜之前」) 背燭共憐深夜月 踏花同情少年春′(白楽天) 燭を背けては共に憐む深夜の月'花を踏んでは同じく惜む少年 の'春過ぎ秋を迎へても(謡曲叢書本「佐保川」) 共に憐む深夜の月'花を踏んでは同じ-惜しむ少年の'余波の 袖も有明の'夜もしらじらと明行けば(新謡曲百番本「生田忠 度 」 ) ユあれは共 いはば像や消なまし'消ずは争灯を'背(-)なよ 我詞'噴意の煩身を焦す(古典文庫本「石竹」) 灯をそむけては'ともに哀む深夜の月 花をふんでは同じ-お しむ少年の春(古典文庫本「染衣」) 児童と共に舞楽を奏し散花を、踏て夜すがら慰めんと 同じ-惜む少年の'春の遊びの戯れに(古典文庫本「布袋」) 倍松根摩腰 千年之翠満手(尊敬) 松根に椅_'てきる枝は'緑と友にたかふよ(古典文庫「妓女谷 行 」 ) 春釆遍是桃花水  不弁仙源何処尋(王椎) 春きては'普く是桃花の水■(古典文庫本「為家」) 春之暮月 月之三月 天酔子花 桃李盛也(菅原道真) 王母が盃の'光もさし添へ廻るにも'天花に酔へ-'桃李も盛 な-(謡曲叢書本「政徳西王母」) マ マ 留守の間棺ぶる盃の'花にな酔はせ給ふかや (新謡曲百番本 「 定 家 桜 」 ) 此 山 桜 一 し ぼ に ' 詠 に 続 く 折 な れ や ' 空 き へ 花 に 酔 へ る ら ん ( 新 謡 曲 百 番 本 「 留 春 」 ) たう-のせんじんけんばいに以て'空きへゑゑる花盛(古典文 庫 本 「 兼 載 桜 」 ) 是も包有春の空'天も酔ぬる花心の'いざいざ舞をかなでん ( 古 典 文 庫 本 「 東 山 」 ) (ママ) 紅花の あした紅錦の 盛-'天も酔かもも'げをさるる有様 ( 古 典 文 庫 本 「 百 紅 葉 」 ) 擬石遅釆心箱待 牽流遠退手先遮(菅原雅規) 童子に酒を進めしは'いとど心は無明の盃'流に引かれて'心 浅-酔ひ臥して (謡曲叢書本「語酒呑童子」) 流に浮ぶ盃の'曲水の宴を初めん'手先さへざる盃'所は山路 の菊の酒か'面白や(新屈曲百番本「許由」) 廻れや盃の'流は菊水の 流に引れてと-過れば'手先 さへ ざる此水を(古典文庫本「和泉監将」) . 盃 よ -は 祐 経 を ' 一 さ し 指 て と も か く も ' な り も や せ ん と 思 ひ 切'手先 さへざる打刀'忍びに手をかけた-けるが (古典文 庫本「対面曽我」) 政木は膳を引よせつつ'手先さへざる盃に'腰よりやうでうぬ き出(ど) して'しばしが間ぞしらぺける (古典文庫本「狸 敢 」 )

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:64-川 1   Ⅶ 凡 て , 縄 .         r         / 一 夏は涼しき ながれの水に さかづきをうかべて 手先さへざ る ( 古 典 文 庫 本 「 玉 等 」 ) 岩にさへられておそく来れば'手先遮る花の枝 (古典文庫本 「 為 家 」 ) いとど心は無明の盃 -うにひかれて谷二水の 心浅-も酔臥 て (古典文庫本「幽霊酒呑童子」) ○佑麺沙鴎潮落暁 乱練野馬草深春(菅原道真) うしぼの落る暁は'沖のかもめに心そへ (謡曲叢書本「玉津島 竜 神 」 ) 人無更少時須惜  年不常春酒莫空(小野笠) 凡人間のあだなる事を案ずるに'人更に若きさかりなし'終に は老と成るぞかし(謡曲叢書本「七両」) いかにかたがたに申候'人更に若き事なし'終には老の波より あひて御遊び候へ (古典文庫本「御渡」) ○悔恨春帰留不得 紫藤花下漸黄昏(白楽天) 分行袖の永き日も'ややたそかれは覚束な'花さきかかる藤原 の、ふるき都に着にけ-(古典文庫本「藤原宵」) 鶏既鳴号忠臣待旦  鷺未出号遺賢在谷(謝観) 実や古き詩に鶏既に鳴て'忠臣あしたをまつときく、かかるき どくの烏なれば(古典文庫本「初雪鶏」) 鷺声誘引釆花下 草色拘留坐水辺(白楽天) 聞くも妙なり'うぐひすの'声に誘引せられしも'時えて神の 告げな-と(謡曲叢書本「根芹」) 長楽鐘声花外尽  竜池柳色雨中深(李幡) 夫長楽の鐘の声は花の外に尽きぬ'竜池の柳の色は雨の中に探 し'此心にも似たると申候(古典文庫本「藤崎」) 養得自為花父母  洗釆寧弁薬君臣(紀長谷雄) 養ひ得ては花の父母'母さへびやうかに臥し給へば'御薬の為 に佐保川の (謡曲叢書本「佐保川」) 草木は地よ-生ずれども'雨露をえて養ひのt Lえふの緑栄え ゆ-'花のかぞいろの恵みの春は絶えせず(謡曲叢書本「敷地 . 物 狂 」 ) 薄暮曇れる春の雨の'やしなひえぬれば花の父母'あはれむべ しやをしむべき(謡曲叢書本「素拝桜」) 養ひ得ては花の父母と'雨を人にもたとへたり(新謡曲百番凍 「 松 の 雪 」 ) 花新開日初陽潤  烏老帰時薄暮陰(菅原文時) 花の新に開くる日'初陽うるほふ朝霞'鳥の老いて帰る時、薄 暮曇れる春の雨の (謡曲叢書本「素拝桜」) 斜脚暖風先扇処  暗声朝日未晴程(慶滋保胤) 夫花は斜脚の暖風に甘.らけて、同じく暮春の風にちり(古典文 庫 本 「 行 滝 」 ) ○白片落梅浮澗水  黄櫓新柳出城塔(白楽天) セ イ シ ヤ ウ 白片の落梅は澗水に浮び'黄り栴クの新柳は城増より出たり ( 古 典 文 庫 本 「 花 西 行 」 ) 誰言春色従束到  露暖南枝花始開(菅原文時)

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-65-春の色は東より'来ると云ふに朝がすみ'引きかへ我は東路に (謡曲叢書本「鳳来寺」) よし足引の山桜'花も開-る初めは南枝ぞと'尋ね行末に (釈 謡曲百番本「足引」) 誰かいひし春の色東よ-来るとは'南枝露暖かに'先咲き初む る梅の花(新謡曲百番本「鷺宿梅」) 夫草木無心たりといへ共 花実の時節をたがへず'陽春の春に 随って 南枝より花初めて開-(古典文庫本「布引松」) 夫草木心なしとは申せ共 花実の時をたがへず'陽春の徳を備 へて南枝花始て開-(古典文庫本「睦月桜」) ○梅含鶏舌兼紅気 江弄壇花帯碧文(元横) ケ イ ゼ ッ ト             コ ウ キ                       ケ イ ク , 1   ロ ウ     へ キ モ ン   ヲ ビ 梅は鶏舌を含んで紅気を兼た-'江は竣花を弄して碧文を帯 た-(古典文庫本「花西行」) ケ イ ゼ ツ ト コ ウ キ 梅は鶏舌を含んで紅気を兼た- (古典文庫本「百紅葉」) 正女廟花紅似粉  昭君村柳翠於眉(白楽天) ふんのほどこすかほの色'昭君が柳の眉'かつらをのこもかく こそと(謡曲叢書本「高野敦盛」) 花明上苑 軽軒馳九陪之塵  猿叫空山 斜月登千巌之路(張読) 花上苑に明かに'軽軒九階の塵つも-'白雲かかる山ざくら ( 謡 曲 叢 書 本 「 岩 瀬 」 ) 遠見人家花便入 不論貴頗与親疎(白楽天) 此山本の殊更人家も稀なるに'さればこそ遠に人家を見て'花 ある時にもあらざれば(謡曲叢書本「濁」) 貴膿と親疎を分かず'花に興有る春の空(謡曲叢書本「華自然 居 士 」 ) 遥かに人家を見て花有れば便ち入る'貴膿と親疎を分かず(同) 咲-や桜の言の葉の'多き内にもある詩に日も迄に人家を見 て花あれば'すなはち入る'貴膿と親疎を論ぜざるは'春の情 と聞-物を(謡曲叢書本「不断桜」) 和歌の道をば白雪の、花あれば人家に入'あるじは誰と問事な かれと候ぞや(古典文庫本「二位尼」) 仰尤にて侯去ながら'其上花の本には貴歳と親疎とを論ぜずと 社中候へ (古典文庫本「花宴」) はるかに人家を見て花あればすなはらいる'論ぜず貴鰻と親疎 とをわJT,まへぬをこそ'春のならひと聞物を(古典文庫本「花 見 」 ) 空目空風 高佑千頼万頼之玉(菅原文時) 入日にみが-玉衣の'入日にみがく玉衣の'風にさらせる夕べ か な ( 古 典 文 庫 本 「 二 本 杉 」 ) 誰謂花不語  軽蔑激号影動層(菅原文時) 花もの云はぬ草木なれど'影くちびるを動かしっつ'とるや調 子を松風の声(謡曲叢書本「不断桜」) 軽漂激して影唇を動かす(古典文庫本「鷺」) 軽濠激として影唇を動かす(古典文庫本「難波梅」) 誰か言(つ)Lt花物いはず'軽漂激として 影唇を動(か) す ( 古 典 文 庫 本 「 玉 川 」 )

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- 66 -実やしほれ行- 花の物云よしもな-'かげ唇も動かねば(古 典 文 庫 本 「 和 光 」 ) 朝踏落花相伴出 暮随飛鳥一時帰(白楽天) 朝に落花を蹄で相伴って出で'夕べには飛鳥に随って1時に帰 る (新謡曲百番本「相木」) 夫朝に落花を踏で あひともなって出'夕べには飛鳥に随て 1時に帰る (古典文庫本「東山」) ○慣望慈恩三月尽  紫藤花落馬関関(白楽天) 慈恩に慣撃す三月尽さぬ'紫藤の花落ちて鳥関開た-(謡曲叢 書 本 「 藤 浪 」 ) 紫藤露底残花色 翠竹偶申暮鳥声(源相規) 紫藤露底残花の色'縁の松の煙の内に'鳥の声する春の山風 (新謡曲百番本「鎌倉山」) ○晩薬尚開紅脚賄  秋房初結白芙蓉(白楽天) 晩薬猶開-紅都蹄'秋の花ぶさ初めて結ぶ'白芙蓉(謡曲叢書 本 「 脚 蹄 」 ) 夜遊人欲尋釆把  寒食家応折得驚(源噸) 夜遊.の人は尋ね来ってとらんと欲す。寒食の家に折-えて驚-べ し ( 爵 曲 叢 書 本 「 都 拭 」 ) 又てきちよくは夜遊の人の'折得ておどろく'色とかや(古典 文庫本「花実童子」) 点著雌黄天有意  款冬誤綻暮春風(藤原実頼) 誰か云Lt 欺冬誤って暮春の風に綻ぶと (新謡曲百番本 「欺 冬 」 ) くわんどうあやまって暮春の風にほころび(古典文庫本「花実 童 子 」 ) 褒頭竹葉経春熟  階底寄帝人夏開(白楽天) もたひのほと-の竹葉は春を経て熟し'階のもとの番夜は'夏 に入てひら-(古典文庫本「瓜」) もたひの辺-の竹葉は、春をへて熟すとか'橋の本のしやうぴ は 又夏に入りてぞ開-なる (古典文庫本「長伯仙人」) 風吹枯木晴天雨  月照平沙夏夜霜(白楽天) 又夏の夜の 平砂を照す月影も'雪に見なして待人の'其言の 葉もあらたなれ(古典文庫本「雪月花」) 池冷水無三伏夏  松高風有一声秋(源英明) 誰る知る行く水に'三伏の夏も無-'潤底の松風へ 三戸の秋を 催す事'草木迄もおのづから'見仏間法の結縁な-(新謡曲百 番 本 「 大 原 詣 」 ) 九夏三伏の夏の日も'風一声の秋あ-て'四時にし其色の'と ことはにして変らぬは (新謡曲百番本「松竹」) ス サ マ ケ ウ ト キ 松高ふして風一声の秋冷じ-'気疎臭のから声に(古典文 庫 本 「 伶 倫 」 ) 蛍火乱飛秋己近 辰星早没夜初長(元積) 蛍火乱れ飛ンで秋既に近くはや暮過る野辺の気色'あら物さ びしの有様やな(古典文庫本「蛍」) ○憶得少年長乞巧  竹竿頭上願練多(白楽天) -  ・ ・ ・ 品

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-67 -されば織女の'願ひの糸の色々に'おもひ得た-竹竿 項上に ゲ ン シ 頗鯨多しと 歌書'竹葉にかけつつ 軒の隙もる屋祭-(古典 文庫本「現在鏑木」」 林間煩酒焼紅葉  石上題詩掃縁苔(白楽天) 林間に酒をあたためて'紅葉を濁醇の盃も重-'土器取る手も たゆく(謡曲叢書本「語酒呑童子」) 林間に酒を煩めて紅葉を焼くとかや(謡曲叢書本「変化信之」) 庭に散り敷くもみぢ葉を'かき集め林間に、酒暖めて紅葉は' 煙と共に立ちのぼる (謡曲評釈本「清閑寺」) 林 間 ( 下 村 本 ・ 田 安 本 )                     焚 ( 下 村 本 ) 林間に酒をあたためて'紅葉を燐と言置しも'今此時かや面白 や   ( 古 典 文 庫 本 「 鵜 鵡 鳥 」 ) 紅葉をたく'あたため酒も 身にしむ空に (古典文庫本 「玉 等 」 ) ダ 々 ラ ウ 林間に酒をあたためて'紅葉を 濁解の盃も'かさねかはらけ とる手もたゆく(古典文庫本「幽霊酒呑童子」) ○楚思抄だ雲水冷  商声清脆管絃秋(白楽天) 楚思森羅として'雲水冷まし、商声帯臆としては管絃の秋(諺 曲叢書本「幸崎」) ○大底四時心惣苦  就中腸断定秋天(白楽天) 大抵四時心すべて苦しむ中にも'就て腸を断つは秋の天(新謡 曲 百 番 本 「 鈴 轟 」 ) ○望山幽月猶蔵影  聴醐飛泉転倍声(菅原文時) 山を望めば幽月猶影を隠す、相を聞ば飛泉うたた声をます(古 典 文 庫 本 「 小 侍 従 」 ) 秋夜長 夜長無、眠天不明 秋秋残灯背壁影・請請晴雨打悪声 ( 白 楽 天 ) 秋の夜長しよながふして眠る事なければ'天も明(け)ず秋秋 たる灯に'光をそふるがごとく成 (古典文庫本「人形文学異 本 」 ) ○燕子楼中霜月夜 秋釆只為7人長(白楽天) ス ウ ウ ラ イ 燕子楼中 霜月の夜'秋采は只我 独-のみ長うして'閏情頻 に堪やらで (古典文庫本「須磨寺」) 蔓草露深人定後 終再雲尽月明前(小野笠) マ ン サ ウ                   シ ヅ マ ツ           シ ウ セ ウ メ イ ト ウ 蔓草露探し'人定て後'終宵迷頭の雲つきて'本有円成 の月明の前'荒面白の'時節やな(古典文庫本「小萩」) 織錦機中 己弁相思之字 接衣砧上 俄添怨別之声(公乗僚) されば錦を織る機物の'うちには'想恩の字をあらはLt衣う つ椙の上には'怨別のうきも雲晴れて'月明らけき今宵の空' 詠めうれしき'こころかな(謡曲叢書本「錦織」) 三五夜中新月色  二千里外政人心(白楽天) 和歌のはまれ世に勝れ'月を友とし花に愛'二千里の外に心を 尽し(謡曲叢書本「清水小町」) 三五夜中の新月'二千里の外迄も見えて隠れぬ高野寺の'鐘は 枕に響けども(謡曲叢書本「高野敦盛」) 面白や三五夜中の新月の色'二千里の外に至る迄'普く広さ御 恵み'仰ぎても猶あまりあ-∴謡曲叢書本「琢磨」)

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-68-三五夜中新月の色'二千里の外の故人の心(謡曲叢書本「月少 女 」 ) 殊に今宵は三五夜中'二千里の外も雲晴れて'浦わも措き夜塩 かな(新謡曲百番本「難波遅々」) 曇らぬ月の光添ふ'三五の千代若'新月の千代光'二千里の外 ぞなつかしき(新謡曲百番本「箱崎物狂」) 窓の月に古人を忍び'実にや白居易が詩に'三五夜中新月の 色'二千里の外故人の心(新謡曲百番本「欺冬」) 面白や三五夜中の新月の色'二千里の外の古人の心も'おもひ やらるるばか-也(古典文庫本「夢想松風」) いかに旅人'今宵は三五夜中の新月の色'二千里の外の故人の 心迄'おもひしられた-(古典文庫本「夢一字」) 其年月を数ふれば'大治五年の仲秋へ三五夜中の新月の'影も 輝く雲間よ-(古典文庫本「和光」) 秋水鶴来船去連  夜雲収尽月行遅(野展部) 折節秋の水'鶴り落ちて去る舟の'跡立隠す夕霧の'深き愚に 臥沈む(新謡曲百番本「舟戻」) 早明方の天の戸に'嵐烈し-吹落て'浪立騒ぐ秋の水'離落ち てすさまじや(新謡曲百番本「竜神七夕」) (ママ) 夜 の 雲 お さ ま -月 の ち る 事 ' お そ -と も ' み な ぎ -舟 の さ る 事 〓、マ) は するやかな-(古典文庫本「鞍馬判官」) 船もさることを忘れよ 月も行事おそかれ(古典文庫本「文僧 都 」 ) ○不定花申偏愛菊 此花開後更無花(元積)・ 誠に此花ひらけて後、更に花なしと作られLt心の花は末の代 まで'-ちまじき黄金ぎく'思ひ出の詞なるべし(謡曲叢書本 「 翁 草 」 ) 白菊の花の'情を受るや 秋の夜の'上こそ花は またもあら じと'裸を返して'矢にけ-(古典文庫本「一本菊」) 松樹千年終是朽 種花一日自為栄(白楽天) 誰か百年を送る'樺花一日の栄に同じ(謡曲叢書本「東海寺」) 思ふ恩の胸の煙'晴らすは一夜の葵にて'只定植花一日の栄に 同じ(新謡曲百番本「露の宮」) 誠に樺花一日の、さかりの内か夢の世に(古典文庫本「生捕盛 久 」 ) 誰あって百年を送る'樺花一日只同じ(古典文庫本「紙屋川」) 盛は 又表へあ-、樺花一日の 栄花にひとしかるべし(古典 文庫本「人形文学異本」) それ電光石火檀花の栄'いつまで葦のいつまでも'ながらへ果 ぬ身にしあれば(古典文庫本「山中常盤」) 松樹千年終に朽ぬ'種花 一日のゑい 思へば是も・浅からず ( 古 典 文 庫 本 「 竜 」 ) 不堪紅葉育苔地  文是涼風暮雨天(白楽天) 絶ず紅葉 育苔の地'又是涼風 此日も暮なん (古典文庫本 「 笈 捜 」 ) 万里人南去 三春薦北飛(葦承慶)

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壷. -69-万里に人南にさ-'三春にかり北にとぶ(謡曲叢書本「敷路物 狂 」 ) ○切切暗窓下  噴噴深華中(白楽天) 切切たる暗窓の下'噴嘩た/る深草の草の裏よ-も'在し姿を二 たび顕し'まみえ申すな-(新謡曲百番本「鈴轟」) 蒼苔路滑僧帰寺  紅葉声乾鹿在林(温庭鍔) 蒼苔道滑らかにして僧寺に帰-'紅葉声乾て鹿林にあ-(古典 文庫本「鳥辺野露」) (ママ) 蒼海 道なめらか化して'侶寺に帰れば(古典文庫本「古市竜 神 」 ) ○可憐九月初三夜  露似真珠月似弓(白楽天) キウ 憐むべし九月初三の夜、露真珠に似月弓に似たり(古典文庫本 「 紫 野 露 」 ) ○露滴蘭叢寒玉白  風街松葉雅琴清(源英明) ラ ン サ ウ ガ キ ン 露蘭叢に滴りて'寒玉しろ- 風松樹を合で'雅琴宿し(古 典 文 庫 本 「 中 萩 」 ) 八月九月正長夜  千声万声無了時(白楽天) 千声万芦 砧の響きも 皆是便(-)と 虚空に鞠-(古典文 庫本「再現山姥」) うかむ世もな-うつ砧の'千声万声つくるともなきくるしみの ( 古 典 文 庫 本 「 十 市 」 ) むつこと (仙台本) 八月九月正に長き夜'千声万声のむつみを'頼みし人は夢とな -(古典文庫本「和光」) 北斗星前横旅鷹  南楼月下捧寒衣(劃元叔) 北斗の星の前には、旅雁を横たへ'南楼の月のもとには寒衣を うつとへ雲の中よ-答へしも此門にすむ'鬼神の詩な-とは㌧ しろしめきずや'旅人よ (謡曲叢書本「朱雀門」) 又南楼の月影に'うちし堰も遠夫の'夜さむを歎-恋衣(謡曲 叢 書 本 「 錦 織 」 ) 三秋岸雪花初白 一夜林霜葉尽紅(温庭笥) 三ン秋の岸ン雪ッ花初て白し、一チ夜の林ン霜や葉悉(-)紅 な-(古典文庫本「豊原寺」) 暁入梁王之苑  雪満群山  夜豊原公之楼  月明千里(謝観) 暁梁王の苑にいれば'雪群山に満つ、実に絶もなき詠かな(釈 謡 曲 百 番 本 「 松 の 雪 」 ) 暁梁王の苑に入レば、雪群山に満(て)-'夜庚公が楼に登-て、′月を楽(し) む千里の秋(古典文庫本「夏雪」) 暁梁王の園に入ざれども'雪群山に満 庚公が楼も目下'月千 里に'明らかな-(古典文庫本「戴安道」) 彼唐土の梁王の'そのふには入ざれど'雪群山にみつとかや 灰公(井上本) ゆふかうが楼にのぼらねど'月千里にあさらかな-(古典文庫 本 「 雪 山 」 ) 梁 王 ( 明 和 本 )             入 レ ば ( 明 和 本 )             み て り ( 明 和 本 ) あ か っ き り や わ う の ' そ の に 入 て 雪 ' ぐ ん ざ ん に み ち 、 よ る 、 庚 公 ( 明 和 本 )                             セ ン リ ( 傍 訓 明 和 本 ) ゆうこうがろうにのぼれば月'千里にあきらか也(古典文庫本 「 謡 物 雪 山 」 ) 雪似鷲毛飛散乱  入被鶴聾立排御(白楽天)

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蒐毛 (下村本・田安本) 誠に 雪は我毛に似人は'鶴聾をひらいて、立て排綱す(古典 文庫本「兄阻頼光」) 畳み (下村本) 吹風は空よ- 鴻毛をふらし 寄来る浪は 鶴聾を頼み(古典 文 庫 本 「 戴 安 道 」 ) あら面白の雪の日や、鷲毛に似て'飛で散乱する人は'鶴嚢を きて立て はい-わいし給ふや (古典文庫本「雪翁」) ○氷封水面聞無浪  雪点林頭見有花(菅原道真) 雪林頭に点じて見るに'花有気色何の時にか是にしかん (古典 文庫本「戴安道」) 春風暗勢庭前樹  夜雨倫穿石上苔(停温) 春のかぜ 空に吹らん庭前の詠めもあかぬよるの雨 石上のこ けや茂るらん(古典文庫本「二本杉」) 山遠雲埋行客跡  松寒風破旅人夢(紀斉名) 想ひ像る'心ばか-はさはらじを'何隔つらむ峯の雲、跡を埋 めば杏々と'山よ-山や伝ふらむ(新謡曲百番本「許由」) 余-に山を遠く来て'雲又跡を立隔て (新謡曲百番本「盛近」) 山遠ふしては雲行客の跡を埋み 松寒ふして風'旅人の夢を破 る (古典文庫本「丁固松」) 白ク雲跡を埋んでは'往来の道もさだかならず'晴嵐夢を破ッ ては'其おもかげも見えざ-け-(古典文庫本「文僧都」) 山遠しては雲行客の跡をうづみ、松寒うしては風旅人の夢をや ぶる(古典文庫本「藤代峠」) 行ば東のはてしなさ 行ば東のはてしなさ 雲又跡を埋むらん ( 古 典 文 庫 本 「 富 士 天 狗 」 ) ○陶宋辞越之暮  眼混五湖之憧(大江以言) 愚な-とよ唐の汚壷が越をじせしも、無欲の忠に似たれども' 命を断てば不忠な-、陶朱が五湖の波の上、世を背きたる一声 は'聞きたからずの問答や「謡曲叢書本「植田」) ト 越を辞せし指轟が'扇舟に梓を移すなる'五湖の煙の波の上 も'かくやと思ひ知れた-(古典文庫本(法海寺」) 越を辞せし汚轟が 扇舟に梓を移すなる、五湖の 煙の浪の 上'かくやと思ひ知(ら)れた-(古典文庫本「北国落」) 九夏三伏之暑月 竹含錯午之風  玄冬素雪之寒朝 松彰君子之徳 ( 傾 噸 ) 玄冬素雪の寒き夜は'あら浅ましの身の上やな(新謡曲百番本 「 大 勝 」 ) 或は玄冬素雪の雪'積-て寒き朝には'君子の徳を顕すとは' 松に寄-ての詞な-(新謡曲百番本「松の雪」) サ ク ゴ ス 九夏三伏の暑き日には'竹錯午の風を含み'玄冬素雪の寒さ朝 には 松君子の徳を顕す(古典文庫本「阿古屋松」) されば大夫といふ松の 恥かしながら栖をも 君子の徳と 顕 はして (古典文庫本「文僧都」) 十八公栄霜後露 一千年色雪中深(源噸) きれば古き詩にも松を超して、十八公の栄は霜の後に顕れ'一 千年の色は'雪のうちに探し(新謡曲百番本「松の雪」) 夫十八公の栄は、霜の後に顕れ'一千年の色は雪の中に探し

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 71 -( 古 典 文 庫 本 「 阿 古 屋 松 」 ) 然るに松は常盤の色をまLt 十八公の粧ひ絶ず (古典文庫本 「 布 引 松 」 ) ○含雨嶺松天更畢 焼秋林葉火還寒(大江朝綱) 夫雨をふ-む嶺松は'天更に晴た-'秋を焼斬葉は'火帰って 寒し(古典文庫本「筆捨松」) 煙 葉 蒙 篤 侵 夜 色   風 枝 詩 魂 欲 秋 声 モ 謂 甥 天 )       ヲ カ 竹林進に 見渡せば'煙ン葉り蒙寵と して、夜色を犯す'風 セ ウ サ ツ ゥ枝薫風と して'秋の声よ-'冷しや(古典文庫本「石竹」) ○草色雪晴初布種 馬声露暖漸綿蛮(大江朝綱) メ ン バ ン 綿鷹と和らげる鷺の 声も姿も'金衣の袖(古典文庫本「七十 二 俣 」 ) 鶴帰旧里 丁令威之詞可聴(都良香) ねぶる程なき老の鶴'旧里に帰-今は又'もとの親子に逢事 も'一世に限る道とかや(謡曲叢書本「敷路物狂」) ○叫漢造驚孤枕夢 和風浸入五絃弾(源噸) 漢に叫んでは遥かに驚かす孤枕の夢'風に和してはみだりに入 る五絃の弾(謡曲叢書本「赤壁」) 巴峡秋深 五夜之哀猿叫月(謝観) 哀猿腸を断つ悲しみ'いま目の前にあはれなり (謡曲叢書本 「 切 兼 曽 我 」 ) 人家も進に遠ざか-'峯に哀猿呼で腸を断つ (古典文庫本「伶 倫 」 ) ○江従巴峡初成字  猿過蕗陽始断腸(白楽天) 哀猿腸を断つ悲しみ'いま目の前にあはれな-(謡曲叢書本 「 切 兼 曽 我 」 ) 子を思ふ夜の鶴 腸を断猿の声 何れか哀れならざらん(古典 文 庫 本 「 鏡 池 」 ) ママ 木ずゑの旅の一さけぴ はらはたをたつ心地して(古典文庫本 「 梶 井 宮 」 ) 猿三声さけぴては はらわたをたつとかや(古典文庫本「天狗 倒 」 ) 人家も遠に遠ざか-、峯に哀猿呼で腸を断(古典文庫本「伶倫」) ○人煙一棟秋村僻  猿叫三苗暁峡深(紀長谷雄) 壌三声さけぴては はらわたをたつとかや(古典文庫本「天狗 倒 」 ) 第一第二絃索索 秋風払松疎韻落  第三第四絃冷冷 夜鶴憶子寵 中嶋  第五絃声尤掩抑 滝水凍咽流不得(白楽天) 第一第二の絃は'索素として松の音'第三第四の調べは帰雁 の'なく音おのづから'夢をも覚ます気色かな(新謡曲百番本 「 定 家 桜 」 ) 闇の夜鶴のな-音迄 子を悲しまぬものやある (古典文庫本 「 磯 松 」 ) 子を思ふ夜の鶴 腸を断猿の声 何れか哀れならざらん(古典 文 庫 本 「 鏡 池 」 ) 第一第二の絃はさ-さ-として秋の風'松を払てそいん落'第

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- 72 -. (ママ) 三第五の絃は'滝水むせんで流るる事を得ず'荒物すごの夜す がらやな(古典文庫本「弘文成」) 夜の鶴(江崎本) 尋ねめぐれる親は子を'思ひの闇の夜更鶴'寵の 内に鳴哀れ をば(古典文庫本「密語橋」) 其音はさくさくたる 雨の碁の'一絃を弾ず 調子に響き(古 典 文 庫 本 「 琵 琶 池 」 ) 竜門原上土  埋骨不埋名(白楽天) 実にや竜門原上にかばねをさらすといヘビも'武将の誉れの名 をば埋まず(謡曲叢書本「義興」) かく洪恩の君の為'竜門原上の'土に屍は晒すとも'惜しかる まじき命かな(新謡曲百番本「大森彦七」) さんげにうれへげん上にうれふ'はねを埋める土猶かは-ひま なし(古典文庫本「常楽」) みどりの苔の其下に'かたちはうづめども'うづもれぬ名を夕 附日(古典文庫本「兼好法師」) ○ 新 豊 酒 色   清 冷 於 鵜 鵡 之 盃 申     長 楽 歌 声   幽 咽 於 鳳 皇 之 管 裏 ( 公 乗 憶 ) ユ ウ エ ツ 新ン豊クの酒の色、長楽の零の声、幽咽として香ばしく(古典 文 庫 本 「 根 元 遅 々 」 ) 唐太子賓客白楽天亦噂酒 作酒功讃以継之(白楽天) 琴詩酒と聞-も隔てぬ友人の'いつも変らでしゆこうざんに' 酒を愛せしこし方の (謡曲叢書本「狛形遅々」) 琴詩酒と聞-も隔てぬとも人の'いつも変らで酒功費に'酒を 愛せしこし方の (謡曲叢書本「七人遅々」) かの楽天と聞へしも'琴詩酒を友となし'酒功讃を作れ-(古 典 文 庫 本 「 生 捕 盛 久 」 ) ○茶能散悶為功浅  萱導忘憂得力微(白楽天) 悶 り ( 樺 本 ) ク ハ ン 茶は能息通-を散ずれ共、功をなす事浅Lt萱はうれへを忘る るといへ共'力をうる事微也(古典文庫本「金沢遅々」) ○酒是下若村之所伝 傾甚美(大江朝綱) カ ジ ヤ ク ソ ン 酒は是、下若村が伝ふる所、傾(-)れば甚(ど)美なり(古 典文庫本「根元遅々」) ○先達院籍為郷導 漸就劉伶問士風(橘在列) キ ヤ ウ ダ ウ リ ウ レ イ ツ イ 先院籍に達て 郷導す'漸(-)劃伶に就て士風を問(古典文 庫 本 「 根 元 狸 々 」 )

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玉動卿が霞は浪を紫て脆Lt欝康山が雪は流れをおふて飛、 (傍訓下村本) あら面白の 理-やな(古典文庫本「根元遅々」) ○黛色過臨蒼海上 泉声逢落白雲申(賀蘭遂) 黛の色は遠に蒼海の上に望み'泉の声は迄に白雲のうちより落 つ (新謡曲百番本「久能」) ○勝地本来無定主  大都山属愛山人(白楽天) 勝地はもとよ-定める主なし'凡そ山は山を愛する人に属す (新謡曲百番本「久能」) ○朝候日高冠額抜  夜行沙厚履声忙(聯句) 折しも五月闇'暗さは暗し降る雨に'砂うるほひて沓音さらに

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- 73 -∼㍉iト㌣策「軒.;・;iL-I i I・t 'ル・ .: [・Z ,・ Jpr .. jふ. 索 敵 軌 恥 E 整 数 鮒 鮎 訂 義 弟 義 車 譲 賢 JL8, '書、耳Lr=3r一 無かりけ-(新謡曲百番本「甘楽大夫」) 強呉滅号有荊帝 姑蘇台之露湊凄 暴秦表号無虎狼 成陽宮之煙 片 片 ( 源 噸 ) ママ き ゃ う ご ほ ろ ぴ て け い き よ く 有   こ う た い の 露 し や う し や う た り   ぼ う し ん お と ろ へ て こ ろ う な し   成 陽 宮 の 煙 へ ん ぺ ん た り ( 古 典 文 庫 本 「 正 成 」 ) 荒廃見露秋蘭泣  深洞聞風老桧悲(源英明) 是は一樹の陰深みへ深洞に風冷じく'老猿声悲しぴて(謡曲叢 書本「語酒呑童子」) 秋蘭泣深洞に風を聞ば老桧悲しむ、問人なければおのづから' 門は葎に閉られて(古典文庫本「人磨((人麿西行))」) 壷中天地乾坤外  夢裏身名旦暮間(元積) 壷中の天地は乾坤の外'夢裡の身名は日一碁の間 (謡曲叢書本 「 孫 子 遜 」 ) 謬入仙家 維為半日之客 恐帰旧里 穂逢七世之孫(大江朝綱) 七世の孫にあふことも'神のむかしのためしかや(国民文庫本 「 浦 島 」 ) 実にやあやまって半日の客た-しも'今身の上に知られた-( 新 謡 曲 百 番 本 「 盛 近 」 ) シツ 七世の孫に逢心地して 扉をひら-巷 させとは鳴な(古典文 庫 本 「 友 烏 」 ) 桃李不言春幾暮  煙霞無跡昔誰栖(菅原文時) 桃李物いはず'春幾日過ぎぬ'ゑんか跡なし昔かな(新謡曲百 番 本 「 沼 捜 」 ) 桃梨をたけば物云ず'木石と社人はみれ古典文庫本「妓女谷行」) ○遺愛寺鐘歌枕聴 番線峯雪挟簾看(白楽天) ここを以ておもんみるに'遣愛寺の暁の鐘の枕には'今古仏性 の夢を覚し(謡曲叢書本「野寺」) 香臆峯の雪をば'簾をかかげて是を見る(新謡曲百番本「松の 雪 」 ) 山路日落 満耳者樵歌牧智之声 澗戸島帰 遮眼者竹煙松露之色 ( 紀 斉 名 ) 実にや笛竹のよよの契-も徒らに'野を分けて幽かなる、樵歌 牧智の声までも、行方を頼む心かな(新謡曲百番本「暫物狂」) 山路に日暮ぬ樵詔牧童の声(新謡曲百番本「盛近」) 山路に日暮耳にみてる物は樵寄牧笛の声'洞戸鳥帰-眼にさへ ざる物は竹煙松霧の色'あら心すごの庵室やな (古典文庫本 「 赤 間 関 」 ) 山路に日暮ぬ樵歌牧笛の声'人間万事様様の'営むわざにやつ れゆく(古典文庫本「滝文字」) 本より樵寄牧笛とて 草刈の笛木こりの苛は(古典文庫本「須 磨 山 路 」 ) 実御不審は御理-去ながら、樵寄牧笛と申時は'いかでおとが め有べきぞ(古典文庫本「常緑」) キ コ リ 人屋遠さ野原を分'夕陽既にかたぶけり'遠くして樵夫の音な ふ声もなく'牧笛の笛も猶まれ也(古典文庫本「人丸西行」)

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- 74 -山路に日暮ぬ樵苛牧笛の声、人間万事様様の'世渡るわざの浅 ましさよ (古典文庫本「藤代峠」) ○守家一犬迎人吠  放野群牛引憤休(都良藩) 家を守る一犬は'人に向ひて吠え,野に放つ群牛は,中年を牽 て休む(新謡曲百番本一許由」) 実や野に放つ群牛は'壇を引て休み'家を守る一犬は'人に向 て吠ると聞(け)ば(古典文庫本「瓜」) 三千世界眼前尽  十二因縁心裏空(都良香) 或時都良香竹生島詣であ-しに、湖水の致景打ち詠め'三千世 界は眼の前に尽きぬと作-ければ御宝殿'頻りに揺ぎ動きつ つ'気だかき神の御声して'十二因縁は心のうちに空しと'あ らたに示しおはします(謡曲叢書本「朱雀門」) 湖上造かに見渡せば'三千世界は目の前につき 十二因縁は心 の中にむなし(古典文庫本「春之夜」) 願以今生世俗文字之業狂言椅語之誤  翻為当来世世讃仏乗之困転 法輪之縁(白楽天) おもひうかれて立ち舞ふ姿は、狂言椅語の'たはむれと恩へど も'讃仏乗の因なれば(謡曲叢書本「愚妻」) 元来狂言椅語なれば'いでいでさらば舞はんとて (謡曲叢書本 「 幸 崎 」 ) さればかりなる諺も'讃仏乗の因なれば'城蝶の夢のたはぶれ に   ( 謡 曲 叢 書 本 「 松 浦 梅 」 ) 仮初ながら是とても'讃仏乗の因縁と覚しめし、吾が跡とはせ 給へやと(新謡曲百番本「常宿梅」) 狂言椅語も法の縁と夕日影に立出て(新謡曲百番本「相木」) 狂言椅語の戯れごとに'花鳥風月を嫁として'無常菩提に至ら しめ(新謡曲百番本「花鳥風月」) 狂言椅語も世中の'戯な-や諸共にT かなでていざや謡はむ (新謡曲百番本「狩場重光」) 謡ふ心も狂言椅語の'物語と成るこそめでたけれ(新謡曲百番 本 「 舟 戻 」 ) 願-は今生世俗文字の業'狂言締語の誤りを以て翻し'当来世 世の讃仏乗の因'転法の縁となさん(古典文庫本「赤間開」) 伺疑ひもあらば社'増てや是は人身の 狂言椅語も法の縁と ( 古 典 文 庫 本 一 「 鳥 羽 玉 」 ) 元来狂言 椅語なれば、墨の衣の 袖を返し(古典文庫本「布袋」) よしや只 狂言椅語の諺も'一仏乗の御法ぞと'直道に知べし ( 古 典 文 庫 本 「 御 法 」 ) 狂言きぎょを振捨て'さん仏乗の因縁に'引れて行や西の空の ( 古 典 文 庫 本 「 昔 男 」 ) ○蓮眼窒養清涼水  面月長留十五天(紀斉名) セ ィ リ ヤ ウ マ マ 眼の蓮は豊清涼の水やしなはんや'雨月の長るは十五の天' あら面白の心やな (古典文庫本「明静」) ○幽思不窮 深更無人之処  愁腸欲断 閑窓有月之時(長読) 幽思極まらず'深巷に人なき処'愁腸絶えんとす'閑窓に月あ る時(謡曲三百五十番集本「北条」)

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- 75-ユ ウ シ シ ン コ ウ シ ウ チ ヤ ウ 幽志窮(蕊)らず深巷に人なき所'愁腸絶なんとす'閑窓に 月有ルの時(古典文庫本「友烏」) ○人間栄耀因縁浅 林下幽閑気味深(白楽天) 人間万事の栄耀は因縁残し'林下幽閑は気味探し'世語は猶も 耳に聞かじ (新謡曲百番本「許由」) ○都府楼綬看瓦色 観音寺只聴鐘声人菅原道真) 観音寺の夕の空には'信教真如の眠-をきます (謡曲叢書本 「 野 寺 」 ) 後会期遠 雷樫於鴻膿之暁涙(大江朝綱) 江の相公の古へ'越路の国に下-しに'旅の別を悲しみて'後 会期造なり'樺を鴻膿の暁の涙にうるはすと'長篇の序に書き たりしは'(新謡曲百番本「大内裏」) ○万里東釆何再日 一生西望是長襟(小野笠) 又我朝の野相公は'一生西に望む事'是長き襟ひと作-て、隠 岐の流罪を許されしも、是皆詩作の徳ならずや (謡曲叢書本 「 朱 雀 門 」 ) 蒼波路遠雲千里 白露山探鳥一声(橘直幹) 蒼波路遠して雲千里'薄霧山探し烏一声\折柄なれや秋の空, 潤浪風も心せよ(古典文庫本「富士天狗」) 漢皇三尺之剣 坐制諸侯 張良一巻之書 立登師俸(後漢書) 漢王の三尺の剣'居ながら案の乱れを治む(謡曲叢書本「植田」) 柿中三尺の剣闇'居ながら諸侯を制Lt壇上一巻の書は'立所 に'師備にのぼる事も(新謡曲百番本「松竹」) 抑剣の名高きは'漢の高祖の三尺の剣 居ながら西北を制すと かや (古典文庫本「髭伐」) 四海安危照掌内  百王理乱懸心中(白楽天) 四海の安危を掌に治むる処に (新謡曲百番本十現在芙盛」) 実や三皇五帝の跡を継'豊成世を受継て'四海の安危は掌の内 に極め (古典文庫本「荊耐」) 刑鞭滞朽蛍空去  諌鼓苔探鳥不驚(小野国風) 鳥居の笠木も苔むして'烏おどろかぬ代代までも'残す岩門の 御神楽を暫-待たせ給はば(謡曲叢書本「鈍女」) 音せぬ鼓苔むして'鳥驚かぬ君が代を、仰ぐも愚かなるべしや ( 謡 曲 叢 書 本 「 尭 舜 」 ) げに政徳の御代なれば'刑鞭蒲朽ちて'蛍むなしく'諌鼓苔深 うして烏驚-事なし (謡曲叢書本「政徳西王母」) 諌鼓苔むし鳥もおどろかぬふる事を'引もすがるもささがにの ( 謡 曲 叢 書 本 「 玉 津 島 竜 神 」 ) 夜はしらじらと花よ-明-れば、諌鼓苔むし烏驚かぬ'諌鼓苔 むし烏驚かぬ'春の木陰と成にけ-(新謡曲百番本「相木」) きねがおきむる御てぐらの'古き黄もうちしづめ'驚かぬ鳥が ねの (古典文庫本「今泉」) コケ 諌敬の萄露深-'刑鞭の蒲なを朽て'野のすゑ山の奥までも' おもんばかる事なければ(古典文庫本「回向院」) 諌鼓苔むし 鳥驚かず'天下を守- 治め給ふ (古典文庫本 「 松 竹 」 )

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- 76 -三尺剣光氷在手 一張弓勢月当心(陸軍) 一張の弓のいきほひ月むねに有-'是は真如の月弓の'悪魔も いかで恐れざる (謡曲叢書本「梶原座論」) 三尺の剣の光は氷手に有'一張の弓の勢ひは'月心に当る'荒 騒しの修羅の戦ひやな (古典文庫本「都揃岡」) 雄剣在腰 抜則秋霜三尺(源噸) かいの剣は腰にあ-'ぬけばその色秋の霜(謡曲叢書本「柄」) 釘暗数行虞氏涙  夜深四面楚歌声(橘広相) 四面に楚歌の声声に、敵を射る矢の衡鏑の'陰冷まじく風落ち て (謡曲叢書本「現在殺生石」) 灯暗うしては数行虞氏が涙の雨と降-ぬるおもかげも'今に知 らるる我挟、実に類なきあはれかな (謡曲叢書本「月見) 四面に楚歌の声声や'敵は寄すると夕風の (新謡曲百番本「勝 頼 」 ) 胡角一声霜後夢  漢宮万里月前腸(大江朝綱) よよのかんきうに'てつてさの一せい前後の恨(新謡曲百番本 「 笛 物 狂 」 ) ○倭琴緩調臨滞月  唐櫓高推入水煙(源噸) ママ 和琴ゆるくしらべて短月に望み'からろ高-おきへて水イ煙ン に入ル (古典文庫本「蜜語橋」) ○老眠早覚常襲夜  病力先衰不待年(白楽天) セ イ ロ ウ 老の眠は覚る事早-して常に夜を残す 精汁は先衰て夢更に キ ヤ ウ 短し (古典文庫本「幽霊小町」) 琴詩酒友皆拙我  雪月花時最憶君(白楽天) 琴詩酒の友も其名に大江山'生野の道は遠ければ'未暗もみぬ 山下の'一樹の陰なれや'此酒聞し召れよ(謡曲叢書本「語酒 呑 童 子 」 ) 琴詩酒と聞-も隔てぬ友人の'いつも変らでしゆこうざんに' 酒を愛せしこし方の (謡曲叢書本「狛形遅々」) 琴詩酒と聞くも隔てぬとも人の'いつも変らで酒功費に'酒を 愛せしこし方の (謡曲叢書本「七人遅々」) 琴詩酒の情を知るも是みな'花に和らぐ友とかや(新謡曲百番 本 「 更 科 祐 近 」 ) 袖に廻らす盃の'琴詩酒のたはぶれも'法の友 (古典文庫本 「 駒 形 遅 々 」 ) 猶頼もしき仰事'あだには受じ琴詩酒の'友さへひとし心-む'奥は鞍馬の山桜(古典文庫本「常盤問答」) 立よらせ給ふ御事こそ'琴詩酒の友もかくやらん(古典文庫本 「 牡 丹 」 ) 袖をめぐらす盃の きんLLゆの友も か-やらん(古典文庫 本 「 三 河 遅 々 」 ) 琴詩酒の 友も英名に大江山'幾野の道の遠ければ'まだ ふ みも見ぬ山したの'一樹の陰なれや'此酒聞し召れよ(謡曲叢 書本「幽霊酒呑童子」) ○ 長 夜 君 先 去   残 年 我 幾 何   秋 風 襟 満 涙   泉 下 政 人 多 ( 白 楽 天 ) ママ 長夜もしまづきる残年'我幾ばく何ぞ秋風裸にみつ (古典文庫

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- 77 -.... 本 「 桐 壷 」 ) 往事抄だ都似夢 旧遊零落半帰泉(白楽天) 往事瀞把として都て夢に似た-(古典文庫本「弥子」) 金 谷 酔 花 之 地   花 毎 春 匂 而 主 不 帰   南 楼 頓 月 之 人   月 与 秋 期 而身何去(菅原文時) 金谷(田安本) 禁獄に花を詠じっつ'栄花は先に立ぬれど'無常の風に誘はる る 南楼の月をもてあそぶ 徒も'月に先だち'有為の雲に隠 れぬる(古典文庫本「現在敦盛」) 心為恩使 命依義軽(後漢書) 弓箭の道にいればこそ'恩の為にもつかふなれ'又命を軽んぜ .んとするも心にも任せず'進退是に谷ま-孤(謡曲叢書本「鶴 若 」 ) 命は義に依てかろLt いかでか恩を報ぜざらん (古典文庫本 「 瓜 」 ) ム サ ポ 忠臣の命イは義によって惜まぬを'官を盗み禄を貴る,世の 有様ぞ浅ましき(古典文庫本「関羽」) (ママ) 括る命は本よりも'儀による物と理-を'誰白ま弓弓取の(古 典文庫本「杉本楠」) 翫其硫傑不発玉淵者 局知駿竜之所幡(左太沖) 髭切と中に'日頃は玉殿に住璽喝の髭切'今は硫樫に住小虫 の'、髭切にも劣るべし(古典文庫本「髭切」) 言下暗生消骨火 咲申倫鋭利入刀(惟良春道) 笑ひの中に人を刺す'刃の上にやみやみと(新謡曲百番本「鎌 I .   T .         I l     ・       J 田 」 ) 嘉辰令月歓無極 万歳千秋楽未央(謝僧) 行末千代と菊の酒受れば月の盃の'影活きことぶき'嘉辰令月 とは 此時をいふぞ目出たき(古典文庫本「寵景清」) 長生殿裏春秋富 不老門前日月遅(慶滋保胤) 長生殿に春秋富め-'幾年雪は不老門'善哉善哉と感じ給へば (謡曲叢書本「神渡」) さながら長生殿の内にこそ'春秋を富'不老門の前には日月遅 しと'今此御代に知られたり(新謡曲百番本「田鶴」) 長生殿の内不老門の前とも'斯る事をぞ申すべき(新謡曲百番 本 「 御 騎 乗 」 ) 実や善をつむ'門の前には月と日の'光の陰もおそければ,老 せぬ事も埋りや(古典文庫本「今泉」) 実や年をへて 老せぬ門の外までも 日月おそき名所かな(古 典文庫本「回向院」) 又長生殿不老門に至-'栄花を極め候(古典文庫本「象」) 更関夜静 長門閲而不開 月冷風秋 団扇沓而共絶(張文成) 更開け夜静かにして'声するものは鶏の'羽音もすごき山道を (謡曲叢書本「変化信之」) ある夜月冷じく風秋なるに内侍は'半簾を巻かせて(謡曲叢書 本 「 往 生 院 」 ) 更開け夜静に'月の光もかかやきて(新謡曲百番本「材木義平」) カウタケヨ(傍訓下村本) 更開夜静にひらけざるに盛のごと-に兄へ給ふは'此世には

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- 78 -なき苗しへの'姿顕はし給へるか(古典文庫本「卒都婆子」) スサマ 夜更人静ま-て'風冷し-'月秋なるに (古典文庫本「唐反魂 香 」 ) ○行宮見月傷心色  夜雨聞猿断腸声(白楽天) ア ン ギ ウ イ タ サ ル ( マ マ ) 行宮に月をみては'心を傷ましむるいろ'夜の雨に鈴を聞ては ハーフワタ 腸を断声有(古典文庫本「唐反魂香」) 春風桃李花関目  秋霜梧桐葉溶暗(白楽天) 春風桃李花のひら-る時'秋霜梧桐葉の落る夕 (古典文庫本 「 小 式 部 」 ) ○夕殿蛍飛思惟然  秋灯挑尽未能眠(白楽天) せきでんに蛍飛でおもひ消然た-'秋の灯火かかげ尽してねむ る事あたはず(古典文庫本「恋草」) 観身岸額離根要  論命江頭不繋舟(羅維) それ身を観ずれば、岸の額に根を離れたる草'命を論ずれば' 江のほと-に繋がざる舟(新謡曲百番本「宇治物狂」) それ身を観ずれば岸の額に根をはなる草、命を論ずれば'江の 頭に繋がざる船(新謡曲百番本「義興」) 備我身を観ずれば'岸の額に根を離れたる草'命を論ずれば' 江の辺-に繋ざる船(古典文庫本「井手詣曽我」) 夫身を観ずれば岸の額に根を離れたる草'命を論ずれば'江の 辺-に繋がざる船(古典文庫本「北白川」) 夫身を観ずれば岸のひたひに根を離れたる草'命を論ずれば' 江の辺-につながざる舟(古典文庫本「弘文成」) 夫身を観ずれば'岸の額に根を離れたる草'命を論ずれば'江 の辺りに繋ざる船なれや(古典文庫本「初瀬詣」) 身を観ずれば岸の額に根を離れたる草'命を論ずれば江の辺-につながざる舟(古典文庫本「文物狂」) まとはれきぬる人の世の'あだなる事を観ずれば'朝顔の'朝 日まつ間の花の露'江のほと-に'つながぬ舟の風情也(古典 文庫本「夢想松風」) ○年年歳歳花相似  歳歳年隼人不同(宋子問) 歳歳又歳歳の'花相似た-歳歳'又歳歳入同じからずとや(新 謡曲百番本「宇治物狂」) 年年歳歳花相似たり'歳歳年隼人同じからず (新謡曲百番本 「 相 木 」 ) 人間は四時の形替らねども'年年歳歳人同じからず(古典文庫 本 「 根 元 鶴 」 ) 年年歳歳花相似た- 歳歳年隼人同じからず(古典文庫本「文 物 狂 」 ) 嘱牛角上争何事  石火光中寄此身(白楽天) 思へば同じ夢の間の'鴫牛の角の上'石の火の世中に'何を評 ふ種とせん (新謡曲百番本「生田忠度」 実にや嫡年の評ひを'よそに思ひし腐きよ(新謡曲百番本「石 山 義 衡 」 ) 石の火の光のうちに'此身を寄するなる (新謡曲百番本「宇治 物 狂 」 )

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- 79-嫡年の角のあらそひ'今生接の仮の宿りに'いつ迄も猶有がほ の (古典文庫本「紙屋川」) ○生者必滅 釈尊未免栴檀之煙  楽尽哀釆 天人猶五衰之日(大 江 朝 綱 ) 生ずるものは必ず滅す'釈尊も未栴檀の煙をまぬがれず'楽し みつき悲しみ来る'天人も猶五表の日に達へ- (謡曲叢書本 「 厚 婦 」 ) 楽しみ尽きて悲しみ来ると'云ひけん事も偽-かな(謡曲叢書 本 「 柄 」 ) 生ずる者は必ず滅すといヘビも'塊は残-て閣浮の世に'猶晴 れやらぬ妄執を(新謡曲百番本「相木」) 生ずる者は必 (ず) 滅す'釈尊も未せんだんの煙をまぬかれ かなしみ(下村本) ず'楽しみ尽て憐み来る'天人も猶五表の日にあへ-(宙皿ハ 文 庫 本 「 文 物 狂 」 ) 朝有紅顔誇世路  暮為白骨朽郊原(藤原義孝) 朝に紅顔有って世路に誇れば'夕べには白骨と成って郊原に朽 ちぬ (謡曲叢書本「幸崎」) 朝に紅顔あれども、夕べには白骨と成る (新謡曲百番本「大原 詣 」 ) 朝には紅顔あ-'世路に誇れども'夕べには白骨と成る身の末 ぞはかなさ(新謡曲百番本「宇治物狂」) 実 に や 人 ' 世 路 に は こ る と 申 せ ど も ' 夕 べ に は い つ と な -' 郊 原に朽ちし身の果'悪源太義平が'其亡弟の釆-た-(新謡曲 百 番 本 「 材 木 義 乎 」 ) -人はただ'栄花の枝を広-つらね'錦の袖を重ねつつ'世路に 誇ると申せども'やがて白骨と成て'郊原に朽ちぬべし(新謡 曲百番本「信田」) されば世中の有為転変の道理'つ-づ-と観ずるに'朝に紅顔 ママ 有て'世語に誇るといヘビも'夕には白骨と成て'郊原に朽果 る (新謡曲百番本「江藻髪」) 古人の云し伝へにも'朝には朝露にはこるといヘビも夕べには 白骨と成て郊原に朽つる世のならひ (新謡曲百番本「義経」) あしたには紅顔有て世路にはこるといヘビも'夕には白骨と成 て荒原に-ちぬる事'無常迅速の世のならひ (古典文庫本「笠 寺 」 ) 朝に紅顔有ッて、世路にはこるといへ共'夕べには白骨と成て 郊原に朽ぬ (古典文庫本「石竹」) 目   白   氏   文   集 海漫漫  直下無底勇無辺  雲涛煙浪最深処(海漫漫) 是は又浪の上'煙の底に沈みぬる'別れの程ぞ悲しき(謡曲叢 書 本 「 時 有 」 ) 彼海底に飛入ば'空はひとつに雲の波'煙の浪を凌ぎつつ'海 漫浬とわけ入て'直下と 見れ共底もな-(古典文庫本「現在 蟹 」 ) ○眼穿不見蓬莱畠  不見蓬莱不敢帰  童男押女舟中老(海漫漫)

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- 80 -とうなんくわぢよが船の内'見ずは帰らじと誓ひけん'蓬莱宮 と申すとも'是にはよもまさらじ(新謡曲百番本「島廻」) とうなんくは女が船の内 見ずは帰らじと誓ひけん'蓬来宮と 申共 是にはよもまさらじ(古典文庫本「島廻」) 鉄撃珊瑚一両曲 氷写玉盤千万声(五絃弾) マ マ ∼ 繊珊瑚を砕く一両曲'氷玉盤に落千万声(謡曲叢書本「月見」) 九華帳中夜惰情 反魂香涌講玖鳩(李夫人) 九花帳の内にして'月の夜終此香を たかせ給ふぞ哀成(古 典文庫本「唐反魂香」) 三千寵愛在一身(長恨歌) 連理の契-浅からず、三千の寵愛一身にあ-(謡曲評釈本「清 閑 寺 」 ) 馬晃城下泥土中(長恨歌) 長生殿のささめごと 千年の秋と契りしも'馬鬼の塵と消失 ぬ (古典文庫本「藤房」) 太液芙蓉未央柳  芙蓉如面柳如眉(長恨歌) 芙蓉の顔ばせ柳の黛 さもみやびたる御粧ひ(古典文庫本「弘 文 成 」 ) 英かたち妙にして 梨花一枝雨をおぴたる粧ひ'未央の柳の春 風になびくがごとくなり(古典文庫本「片山」) 撹衣推枕起排御(長恨歌) 実や衣をと-、枕をおすべき力もなく'苦しき心にせきかぬ る'滑の露の消ゆる身の'置処なや恥づかしや (謡曲叢書本 「 歌 薬 師 」 ) 玉容寂婁涙聞手 梨花一枝春帯雨(長恨歌) 共かたち妙にして 梨花一枝雨をおぴたる粧ひ (古典文庫本 「 片 山 」 ) 七月七日長生殿  夜半無人私語時(長恨歌) 長生殿のささめごと 千年の秋と契-しも'馬晃の塵と消失ぬ ( 古 典 文 庫 本 「 藤 房 」 ) それ唐帝の苗しへも'彼駿山宮のささめごと'いいもれそめて 今の世に'わかれをしたふたねならん(古典文庫本「御影堂」) 在天願作比翼鳥  在地願為連理枝(長恨歌) 比翼連理の契りも'はやかれがれの身となりて (謡曲叢書本 「 薄 霧 」 ) 比翼連理の語らひも'変はれば変はる世の習ひ (謡曲評釈本 「 清 閑 寺 」 ) 連理の契り残からず、三千の寵愛一身にあり(同) 葵は尽さぬ比翼連理'風吹きたゆむ太平楽(新謡曲百番本「定 家 桜 」 ) 天にあらば比翼の鳥'地にあらば妹背山の'枝をかはせる松が 枝の 千年をふるとかはらじと(古典文庫本「鬼猟師」) 比翼連理の其契り'天長く地久しく 残からざりし申とかや ( 古 典 文 庫 本 「 拍 手 」 ) 比翼連理の御契-'世の例にもな-なんと'人のそねみぞ誠な る (古典文庫本「桐壷」)

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 81 -天にあらば 比翼の烏 ( 傍 訓 下 村 本 ) 地に又住マば 連理の枝ならん(古典 文 庫 本 「 螺 女 」 ) 天にあらば二屋と成、地にあらば連理と'たがひに思ひかはし つつ (古典文庫本「法花寺」) 夫比翼のかたらひは二世の中に結び、倍老の契-は万年の外に 念頃な-(古典文庫本「御台巴」) イ ニ シ へ 裏や実往古は'比翼連理のかたらひをなし(古典文庫本「横笛」) 天長地久有時尽(長恨歌) 天長-地久にいく万代の道ならん(謡曲叢書本「芳野」) 天長く地久し- 残からざ-し申とかや (古典文庫本「相手」) 天長-地久に'幾万代のみちならん(古典文庫本「芳野行幸」) ○元和十年'予左遷九江郡司馬'明年秋'送客海浦口'聞舟船中夜 弾琵琶者(琵琶行序) かの楽天が蒔陽の'江の辺-に流されて'琵琶を弾ぜし苗へ も'斯-やと思ひ知られたれ(新謡曲百番本「有子内侍」) ○離離原上草  1歳一枯栄  野火焼不尽  春風吹又生 -た -げ ん じ ゃ う の 草 ' 一 せ い 一 こ え い ' や -は や け 共 つ き ず'春風吹て又生ず'是世の中の、あ-さまなり(謡曲叢書本「薄」一 離離たる原上の草'塁塁たる白骨叢にまとほれて (新謡曲百番 本 「 思 出 川 」 ) 化作路傍土  年年春草生 御覧ぜよ年年の春草は生茂-て'刈払ふ人もなければ(古典文 庫 本 「 勝 尾 寺 」 ) J J l     ・ . i .                   ・ 巣鴨松桂枝  狐蔵蘭菊叢 臭松任の枝に鳴き'狐蘭菊の叢に'隠れて住めば我姿を'人は 知らじと恩へども(謡曲叢書本「現在殺生石」) 黄菊芝関さまざまに'臭松桂の枝に鳴き'狐らんていの草に臥 す(謡曲叢書本「月見」) さも忙がはしかりし身の'心の花か蘭菊の'狐河よ-引帰し (新謡曲百番本「生田忠度」) 蘭菊の'花に住なる我姿'又顕はるる露の玉の (古典文庫本 「 篠 田 森 」 ) 有時は 山路に深き松桂の 枝に臭物すご-(古典文庫本「姫 路 朝 比 奈 」 ) ○莫対月明思往事  損君顔色減君年 彼楽天が月に対ひて'往事を思ふ事なかれと'いひしは妻に送 -し言葉(謡曲叢書本「錦織」) ○身後堆金柱北斗  不和生前一樽酒 人は身後の名あらんより'生前一盃の酒に如かずとこそ存じ候 へ (謡曲叢書本「鴨長明」) ○合者離之始 会者定離のならひとは'達は別れと 聞物を(古典文庫本「形 見 糸 繰 」 ) 実や遅れえぬ'会者定離ぞと聞時は'達は別れと思へ共(古典 文 庫 本 「 袖 の 湊 」 )

(22)

- 82 3 E   三 体 請 ○行尽江南数十程  暁風残月入華清(杜常) 江 南 ( 石 田 本 )   ス         テ イ 実行南の数十ッ 程'梅の匂ひの花衣、重ねて奇特見るやと て (古典文庫本「伊弊諾」) 〇二十五弦弾夜月  不勝清怨印飛来(銭起) ヤ 又甘五絃'夜月に弾ずれば、帰鷹も飛去ぬ 風情やつらね置ぬ 覧 ( 古 典 文 庫 本 「 琴 」 ) 緑樹重陰蓋四郷  育苔日厚自無塵(王維) 掬も我此山にわけ入-'四方のけしきを見れば'緑樹の重蔭四 隣にお僧ひ'青暫日々にあっうしておのづから塵なし(謡曲叢 書 本 「 鳳 来 寺 」 ) 月落烏暗霜満天  江楓漁火対愁眠  姑蘇城外寒山寺・夜半鐘 声 到 客 船 ( 張 継 ) 月落ち烏噂て'夜半も更行鐘の声'夢もあだなる心かな (新謡 曲 百 番 本 「 足 引 」 ) ママ 謡ふや榊葉の'霜天に満ちしかば'江風漁火の紅の顔ばせも' 深さや酒の酔の内も(同) ○柴門流水依然在  1路寒山万木中(韓細) 柴門流水いぜんた-'一路寒山も'斯-やと思ひしら波の(謡 曲叢書本「鳳来寺」) ○ 暁 紅 軽 折 露 香 新   独 立 空 山 冷 笑 春   春 意 自 知 無 主 情   窓 風 吹逐馬蹄塵(崖露) せ う こ う か ろ   ( 井 上 本 )                                 ( 傍 訓 井 上 本 ) 暁紅軽-折て露香あらたな-'独-空中山ンに向(つ) て春 イ (傍訓井上本) を 笑 ふ ' 春 ン 意 は あ る じ の 惜 む 事 な き を 、 知 ( つ )   て ほ し い (傍訓井上本) ままに'風吹キて寺前の塵をなす'あら物すごの春の夕やな ( 古 典 文 庫 本 「 多 門 天 」 ) 遠 上 寒 山 石 径 斜   白 雲 生 処 有 人 家   停 車 坐 愛 楓 林 俄   霜 葉 紅 於 二 月 花 ( 杜 牧 ) あれ御覧候へ,紅葉の最中にて侯、げにや二月の花よ町も紅な -と、眺めし人の心も思ひやられて侯(謡曲叢書本「立田物狂」) 面色は二月の花よ-も紅ゐ也(古典文庫本「金沢遅々」) 遠-かんざんに-ればせつけいはるかなり'白雲生ずる所に人 家あらん'・あら物すごの高根やな (古典文庫本「天狗倒」) ○大道本来無所染  白雲那得有心期(張喬) 大道本来所染なし'白雲何ぞ心あらん(謡曲叢書本「高野参詣」) ゼ ン ゴ 夫大道本卜来り所染なし'白雲ン何事ぞ心期あらん(古典文庫 本 「 竃 之 神 」 ) 罷 釣 帰 来 不 繋 船     江 村 月 落 正 堪 眠     縦 然 一 夜 風 吹 去     只 在 薦 花浅水辺 (司空樗) 実や釣をやめ帰-きって南をつながず'江村月落て'まさに眠 (る) に絶たり'小舟とて一夜風吹ざれども'た-ろくは山水 の辺 (-) に有(古典文庫本二氷上異本」). 〇風瓢碧瓦雨推垣 印有郷人為鈴門(呉融) 実にや風碧瓦を親へして'雨垣を推き'池は水草に埋もれて ( 謡 曲 叢 書 本 「 恋 草 」 )

(23)

- 83 -草 書 ・ . 敷 , 、 T J . i j ・ ・ Z A . ・ ・ ・ ・ こ . , L + A . i 0 -・ ・ p       1   . . A . . I ○雲霞出海曙  梅流渡江春(杜審言) 雲霞海を出デてあけ'ばいりう江を渡って春な-(古典文庫本 「 睦 月 桜 」 ) 鳥宿池申樹  僧敵月下門(頁島) 烏は宿せる池辺の柳、僧はたたずむ月下の門前に'顕れ出でた る鬼神のいきほひ'おもてをむくべき様ぞなき (謡曲叢書本 「 朱 雀 門 」 ) 鶏声矛盾月  人述板橋霜(温庭埼) 一生住家おろそかにして'心はぼうてんの月に噴き'身は板橋 の霜にただよふ (古典文庫本「諏訪」) ○行到水窮処  坐看雲起時(王椎) キ ハ マ 行て至る水の究る所'座して見る雲起る時(古典古岸本「御 法 」 ) 掴   新   撰   朗   詠   集 〇三十五名之星蹟 造浮於水鏡之面  五万四千之土壌 白化氷壷 之 心 ( 都 在 中 ) 三十五名の屋塵は'造かに水鏡の面に浮み'五万四千の土壌自 ら氷壷の底に化す'あら面白の折からやな (謡曲叢書本「月 見 」 ) ○秋月夜開聞案曲  金風吹落玉爺声(金雲脚) 秋月夜閑にして曲を奏するをきく'金風吹落す玉静の声(謡曲 叢 書 本 「 五 節 」 ) ○ 酒 軍 在 座   菟 薗 之 露 末 席     僕 夫 待 衛     鶏 寵 之 山 欲 曙 ( 紀 斉 名 ) 夜もしらじらと明行けば'有つる姿は消消と'有つる姿は壕楼 の山'木隠れて失せにけ-(新謡曲百番本「生田忠度」) ○新豊樹老寵名月  長生殿闇鎖黄昏(白楽天) 長生殿闇くして'黄昏をとざせ-(謡曲叢書本「月見」) 草奄(日本詩紀) ○茅屋無人扶病起  香焼有火向西眠(慶滋保胤) 草庵人稀にして杖を扶けて立ち'香焼火有って西に向って眠る (謡曲叢書本「御菩薩」) ○蒔陽江畔夜送客  楓葉荻花秋索索(白楽天) フウジユテキ (傍訓井上本) 音に聞 痔陽の江にきて見れば'楓樹荻花の秋の色 眺め妙 なる気色かな (古典文庫本「陶淵明」)1 尊猶南西 松花之色十廻(大江朝綱) 君が代は'尽きじとぞ思ふ松が枝の'幾十返りの色深-'猶光 -そふ天が下(謡曲叢書本「月乙女」) ながめやる'月は雲井に高安の'里をば猶もこひの松'十返-深さ契-とて (謡曲叢書本「天王寺物狂」) 替 ( 石 田 本 ) かへらぬ色は相生の、十帰る松の縁子の よむ言の葉はち-ひ ぢの (古典文庫本「伊弊諾」) 松花十帰-優曇花の'花待得たる心地して'拝み申ぞありがた き(古典文庫本「行幸」) 千年セの命ながらへて、猶幾年シも姫小松の'わか- な-ゆ -十帰-の 緑木高-万歳も(古典文庫本「仲遠」)

(24)

-84 -コ モ モ カ イ デ 木の下闇の百楓 尽せぬ茂-数々に 十帰りの 松にひとし き気色かな(古典文庫本「百紅葉」) 四海八嶋の外迄も'常盤の色や十帰-の'花咲ぬらし松山の' 棺を'高み白雪や つもらじ(古典文庫本「細谷川」) 鴛鳶瓦冷霜撃重 旧枕故余誰与共(白楽天) 古き 会古き枕 ひと-裸を片敷て'歎給ふぞ哀成(古典文庫 本 「 唐 反 魂 香 」 ) ㈲   百   聯   抄   解 花 笑 程 前 声 未 聴   鳥 噂 林 下 涙 難 看 花堅剛に笑ンで声未だ聞ずといへ共(古典文庫本「鷺」) エン(傍訓下村本) 花樫前に笑で声未聞ずといヘビも(古典文庫本「難波梅」) ゲ ン ン 花笑ンで物いはず'正法眼に鳥鳴イて涙なし(古典文庫本「七 十 二 俣 」 ) 花 間 蝶 舞 紛 紛 雪   柳 上 鷺 飛 片 片 金 花前に蝶舞 紛紛たる雪 柳上に鷺飛'片片たる金(古典文庫 本 「 二 人 児 」 ) ○ 花 前 酌 清 春 紅 色   月 下 烹 茶 飲 白 光 花前に酒を酌んで'紅葉をのむとかや(謡曲叢書本「哉滝」) 花前に酒を酌ンで紅色をなすとかや(古典文庫本「花宴」) くんて(吉川本) 花前に酒を汲で紅葉を呑とかや(古典文庫本「牡丹」) 風射被窓灯易滅  月穿疎屋夢難成(杜萄鶴) 簸て (樺本)射て (下村本) 風破窓をひて灯火消安-'月疎屋を穿ちて夢な-難さ閏の内に ( 古 典 文 庫 本 「 野 上 物 狂 」 ) 風破窓を射て灯火消安く'月そをくをうがらて夢成がたし(古 典 文 庫 本 「 雪 翁 」 ) 囲   本   朝   文   粋 家貧親知少11身購政人疎(橘在列) 家貧にして親知少も身壊しうしては故人疎Lt親しき者だに 疎くなれば,他人は何とて訪ふべき(謡曲三百五十番集本「横 山 」 ) 家貧にしては親知すくなく'賎しき身には故人うとし'ただ世 をなにとうらむべき(謡曲叢書本「空也」) 実にや'貧しくしては親知遠ざか-'購しきには古人うとし と,思へば消ゆる道芝の'露幾程の身ならまし (謡曲叢書本 「 孟 宗 」 ) 実にや家貧にして親知少-、購しき海士の身となれば(謡曲叢 書 本 「 留 林 寺 」 ) 一 家貧にしては親知すくなく'購敷身には故人疎Lt親しきだに も疎-なれば(古典文庫本「郭巨」) 実や家貧にしては親知すくなく'購敷身には古人疎しとかや (古典文庫本「上官太子」) ○夫形者百年之旅館也 名著万代之嘉賓也(高階積善) 人の形は百年の旅館な-'名は万代の嘉賓た-(謡曲叢書本 「 浄 蔵 貴 所 」 )

(25)

-85-出   漢   土 ー 詩   句 ○関関推鳩  在河之洲(詩経) いかづち 忽に随喜して'是や惟鳩の水鳥の'関関と声をやは らぐる (古典文庫本「豊浦」) ○蔽帯甘栗  勿前刀勿代(詩経) 惜しませ給ふ甘栗の'伐ること勿れ春風の (謡曲叢書本 「守 屋 」 ) 普天之下莫非王土 率土之浜莫非王臣(詩経) いづ-王地に非ざれば'又安からぬ下水の(謡曲叢書本「現在 殺 生 石 」 ) 普天の下に住ながら'いかで悪事をなす野の狐'常ならぬ御狩 に'心ゆるすなよ (同) 普天の下へ 王土にあらずといふ事なし (国民文庫本 「内 府 」 ) 普天の下率土の内'王土にあらずと云ふ事なし (謡曲叢書本 「 美 人 揃 」 ) 因果といひ勅命といひ'何か遅れん率土のうちの'いづく王地 にあらざるや(謡曲叢書本「野手」) それ普天の下率土の内'何くかま土ならざるやと'主上に頼れ 弓矢を取'甲胃を帯する身成け-(古典文庫本「楠」) 普天の下卒都の内王地にあらずと言事なし(古典文庫本「鞍馬 判 官 」 ) 疎の人のいひ事や'普天の下卒土の内'いづくも王地にあらざ るや(古典文庫本「陶淵明」) 普天の下に住ながら'勅命争背べき(古典文庫本「松竹」) 戦 戦 就 読   如 臨 深 淵   如 履 薄 氷 ( 詩 経 ) いづく王地に非ざれば'又安からぬ下水の'薄氷をふむ'心な り(謡曲叢書本「現在殺生石」) 其い-ぱくは白波の、渡らんはあやふLt薄氷を踏むはせめて な-(謡曲叢書本「大般若」) 心もとけぬうす氷の'危き浪の上'おぼつかな-ぞ覚ゆる(謡 曲 叢 書 本 「 花 森 」 ) カ(傍訓樺本) 敵の宿へ入けるは'薄氷を踏む心地かな(古典文庫本「対面曽 我 」 ) 香りを極め給へば'又世も 氷を蹄にことならず(古典文庫本 「 藤 房 」 ) ○ 代 木 T T   鳴 鳴 嘆 嘆   出 自 幽 谷   遣 手 喬 木 ( 詩 経 ) ケ ウ ア ン 幽谷より出て喬木に移-'噴境としてそれなく'其友を求る声 あり(古典文庫本「七十二俣」) ○ 屈 原 日   挙 世 皆 濁   我 独 清   衆 人 皆 酔   我 独 醒   是 以 見 放 ( 楚 辞 ) 世の人挙ってにごれ-'我独活Ltされば時に脊けり(古典文 庫 本 「 屈 原 」 ) ○ 漁 夫 莞 爾 而 笑   鼓 稚 而 去   歌 日   槍 浪 之 水 清 号   可 以 濯 吾 横   槍 浪 之 水 濁 号   可 以 濯 吾 足 ( 楚 辞 )

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