活動基 準原価 計算 と経 営意思決定
志
村
正
Several
Features
of Activity-Based
Costing
in Managerial
Decision-Making
Tadashi
Shimura
[Abstract]
Activity-Based Costing (ABC) was originally developed as a elaborate allocation method of overhead costs. However, it has gradually extended its application areas and increased it's value.
This article discusses a part which ABC is played in making the managerial decisions. It would be pointed out that:
(1) ABC isn't decision oriented.
(2) ABC improves the traditional decision model and the relevant cost analysis. (3) ABC provides the trigger which improves the business incomes and changes quantitatively and qualitatively it's cost drivers, therefore reduces the costs.
1.序 活 動 基 準 原 価 計 算(activity-basedcosting:以 下ABCと 略 称 す る)は 、 提 唱 され た 当 時 とは そ の 形 と適 用 領 域 を徐 々 に 変 化 させ な が ら発 展 して き た。 最 近 で は 、 と くに 、ABCの 思 考 が セ グ メ ン ト別 の収 益 性 分 析 や 自製 ・購 入 な ど の経 営 意 思 決 定 に お け る問 題 に も適 用 し得 る こ と、 そ れ に 製 品 以 外 の コ ス ト ・オ ブ ジ ェ ク ト(原 価 計 算 対 象;例 え ば 、 顧 客 、 サ ー ビ ス、 プ ロ ジ ェ ク ト)に も原 価 を 集 計 す る こ とや 、販 売 費 ・一 般 管 理 費 の よ うな 原 価 項 目 を も その分 析 対 象 に含 め る こ とに よ っ て 、 そ の 効 用 を拡 大 し得 る こ とに も気 付 か れ て きた 。 ABCが 提 唱 さ れ て き た背 景 を見 る と、 米 国 企 業 の 対 外 競 争 力 の 低 下 と製 造 技 術 の 目 ざ ま しい 進 歩 に よ る生 産 の 多 品種 化 とい う要 因 が あ っ た よ うに思 わ れ る。 それ は、 あ たか も米 国企 業 の再 生 を図 る上 で 万 能 薬 の よ うに して迎 え られ た 節 も な くは な い 。 米 国 企 業 の価 格 設 定 の 不 適 切 さ と 製 品 ミッ ク ス の 貧 弱 性 の主 因 の責 任 が 、 会 計 サ イ ド、 と りわ け 原 価 計 算 に で も あ るか の よ うな 論 調 も あ っ た よ うで あ る[Tatikonda,1987]。 そ の 意 味 で は、ABCは ま さに 原価 計 算 の復 権 を賭 け る とい う使 命 を帯 び て い た の か も知 れ な い 。 ABCは 、 製 品 の 価 格 決 定 、 製 品 ミ ッ ク ス 問 題 と い っ た 製 品 関 連 意 思 決 定 に お い て最 も威 力 を 発 揮 す るは ず で あ っ た。 なぜ な ら、 実 際 の 資 源 消 費 を もっ と も よ く製 品 原価 の 計 算 に反 映 す るは ず だ か ら で あ る。 多 品種 化 や 複 雑 性 に 伴 っ て ロ ッ トご とに 、 そ して 製 品 ご と に変 動 して発 生 す る
原 価 へ の 注 目 と して特 徴 づ け る こ とが で き よ う。 そ れ は 、 基 本 的 に は 、 全 部 原 価 計 算 で は あ るが 、 ボ リュー ム をべ 一 ス と した 製 品 へ の 間接 費 配 賦 に対 す る全 面 的 な見 直 し を要 求 す る もの で あ っ た。 しか し、ABCは 「間 接 費 を配 賦 す る一 方 法 」 以 上 の もの で あ る。 経 営 意 思 決 定 は、 ア クテ ィ ビ テ ィ、 コ ス ト ・ドラ イバ ー 、 お よび ア ク テ ィ ビテ ィ ・コ ス トに 関 す る情 報 を持 つ こ とか ら 多 く の ベ ネ フ ィ ッ トを得 る こ とが で き る[Scott&Morrow,1991,p.48]。 本 論 は、 経 営 意 思 決 定 へ の 支 援 を狙 っ たABCが 、 果 た して 従 来 の 関 連 原価 分 析 に い か な る影 響 を与 え る の か と い う問題 意 識 の 下 に、 と くにABCが 戦 略 的 意 思 決 定 に お い て果 たす 役 割 に つ いて 検 討 して 行 きた い 。 2.ABCに 基 づ く分 析 の 構 造 ABCは 資 源 の 消 費(原 価)を ア ク テ ィ ビ テ ィ(活 動)に 集 計 し 、 そ の 後 に ア ク テ ィ ビ テ ィ 別 に 適 当 な コ ス ト ・ ド ラ イ バ ー に よ っ て 各 製 品(広 くは コ ス ト ・オ ブ ジ ェ ク ト:原 価 計 算 対 象)に 割 り 当 て る(assign)手 続 き で あ る 。CAM-1(ComputerAidedManufacturing-lnternational, Inc.)の 用 語 法 に 従 え ば 、 資 源 を 資 源 ドラ イ バ ー に よ っ て ア ク テ ィ ビ テ ィ ・セ ン タ ー に 集 計 し 、 そ れ を さ ら に ア ク テ ィ ビ テ ィ ・ ドラ イ バ ー を 用 い て 製 品 に 割 り 当 て る(1)。 原 価 を な ぜ ア ク テ ィ ビ テ ィ に 集 計 す る か と い う と 、 ア ク テ ィ ビ テ ィ こ そ が 原 価 を 発 生 せ し め る 源 泉 で あ る と い う 認 識 が あ る か ら で あ る 。 こ の 認 識 は 、 ア ク テ ィ ビ テ ィ を 測 定 す る 単 位 で あ る コ ス ト ・ ド ラ イ バ ー を操 作 す る こ と に よ っ て 、 原 価 の 発 生 を 増 や し た り減 ら し た りす る こ と が 可 能 で あ る こ と を 示 唆 し て い る 。 し た が っ て 、ABCで 算 定 さ れ た 製 品 原 価 が 製 品 別 の 実 際 の 資 源 消 費 を 反 映 す る は ず で あ る 。 だ か ら、 取 り扱 う製 品 が 多 品 種 に な れ ば な る ほ ど、 ユ ニ ッ ト基 準 の 製 品 原 価 と の 乖 離 が 大 き け れ ば 大 き い ほ ど、ABCを 導 入 す る効 果 は 高 い と 言 え る 。 多 品 種 少 量 生 産 化 す る に つ れ 、 従 来 固 定 費 と し て 取 り扱 っ て き た 原 価 が 金 額 的 に も 割 合 的 に も 増 大 し た こ と に よ っ て 、 ボ リ ュ ー ム 基 準 で 配 賦 さ れ て 算 定 さ れ た 製 品 原 価 の 不 適 切 さ に 気 付 か れ た こ と を考 え れ ば 、 こ の こ と は 容 易 に 理 解 で き る で あ ろ う。 従 来 の よ う な ユ ニ ッ ト基 準 の 製 品 原 価 は 、 多 量 製 品 (highvolumeproducts)に 過 大 に 、 少 量 製 品(10wvolumeproducts)に は 過 少 に 計 算 さ れ る 傾 向 が 強 い(2)。 し た が っ て 、 こ れ ら の 原 価 情 報 に よ っ て 意 思 決 定 す る な ら 、 少 量(ま た は 小 ロ ッ ト)製 品 を 追 加 す る よ う に 、 ま た 少 量 製 品 に 重 点 を 置 き 多 量 製 品 を 軽 視 す る 製 品 ミ ッ ク ス へ と イ ニ シ エ イ トさ れ る で あ ろ う。 コ ス ト ・オ ブ ジ ェ ク ト と し て 製 品 以 外 に も い ろ い ろ 考 え ら れ る が 、 特 に 顧 客(customer)に 焦 点 を 当 て る こ と が 有 用 で あ る 。 と い う の は 、 顧 客 は サ ポ ー トに 対 す る ニ ー ズ が そ れ ぞ れ 異 な り 、 そ の サ ポ ー ト ・ コ ス トは 多 くの 会 社 で は 金 額 的 に も 大 き く な っ て い る か ら で あ る 。 マ ー ケ テ ィ ン グ とか 注 文 処 理 、 顧 客 サ ー ビ ス と い っ た 顧 客 サ ポ ー ト ・ア ク テ ィ ビ テ ィ は 、 い つ も工 場 の 外 で 発 生 す る[Turney,1992,p.4・7]か ら 、 コ ス ト ・オ ブ ジ ェ ク ト と し て 顧 客 を 含 め る な ら ば 、 収 益 性 を正 確 に 理 解 す る こ とが で き る 。 ま た 、 マ ー ケ テ ィ ン グ お よ び 流 通 の ア ク テ ィ ビ テ ィ を 含 め る こ と に よ っ て 原 価 分 析 を 拡 大 す る こ と は 、 戦 略 的 意 思 決 定 へ の 有 用 性 を 高 め る こ と に な る 。 米 国 の 場 合 、 マ ー ケ テ ィ ン グ ・コ ス ト は 多 くの 製 品 系 列 で トー タ ル ・ コ ス ト の50%以 上 を 占 め 、 そ れ はGNPの ほ ぼ20%に な っ て い る と い う[Lewis,1991,p.33]。 製 造 活 動 だ け を 考 慮 に 入 れ て 無 駄 の 排 除 、 非 価 値 付 加 的 な 活 動 の 削 除 ま た は 業 務 の 改 善 を 図 る こ と は 、 マ ー ケ テ ィ ン グ 、 流 通 活 動 へ の 影 響 を 無 視 し た 誤 っ 一106一
た意 思 決 定 を もた ら しか ね な い。 ABCの 焦 点 は 、 コス ト ・ビヘ イ ビ ア に 関 す る よ り よ い理 解 に あ る。ABCの コス ト ・ビヘ イ ビ ア の特 徴 は 、 ボ リュー ム 基 準 な い しは ユ ニ ッ ト基 準 か ら見 た変 動 費 だ け で は な く、 非 ボ リュー ム 基 準 か ら見 た変 動 費 が あ りう る こ と を明 示 し て い る点 で あ る。 言 う なれ ば、 そ れ は 拡 大 さ れ た変 動 原 価 計 算 で もあ る。 もは や 、 企 業 の 原価 関 数 を一 元 的 に説 明 す る こ とは しな い 。 つ ま り、 原価 は ボ リュ ー ム の 関 数 で は な くて 、多 元 的 な説 明変 数(コ ス ト・ドラ イバ ー)の 関 数 と して 捉 え る。 こ の 多 元 的 な説 明変 数 は並 列 的 な もの で は な く、 階 層 的 な 関係 に 置 か れ る 。 クー パ ー に よれ ば 、 原 価 は ア ク テ ィ ビ テ ィ の4つ の レベ ル に 応 じ て、 変 動 費 か 固 定 費 と して 捉 え られ る[Cooper, 1990](3)。当然 な が ら、 各 ア クテ ィ ビテ ィ に応 じて 関 連 す る コ ス ト ・ ドラ イ バ ー も異 な る。 ① ユ ニ ッ ト ・レベ ル の ア ク テ ィ ビ テ ィ ② バ ッチ ・レベ ル の ア クテ ィ ビ テ ィ ③ 製 品維 持 レベ ル の ア クテ ィ ビ テ ィ ④ 設 備 レベ ル の ア クテ ィ ビ テ ィ ユ ニ ッ ト ・レベ ル の ア クテ ィ ビ テ ィ は 、1単 位 が 生 産 され る度 に遂 行 さ れ る。 この レベ ル で発 生 す る コス トに は、 い わ ゆ る短 期 的変 動 費 の ほ か に 、 機 械 加 工 時 間 に 比 例 して 消 費 され る 資源 の 費 用(例 え ば 、 機 械 減 価 償 却 費 の よ うな キ ャパ シ テ ィ ・コス トや 機 械 保 全 費 、 消耗 品 費)が 含 ま れ る。 こ れ らの 原 価 は生 産 され る単 位 数 に 比 例 して 消 費 され る資源 の 費 用 を 測定 す る。 バ ッチ ・レベ ル の ア クテ ィ ビ テ ィ は 、財 の1バ ッチ が 生 産 され る度 に遂 行 され る。 生 産 さ れ る 単 位 数 に 比例 して消 費 され な い あ る製 品 関 連 活 動 は 、 遂 行 さ れ る段 取 回数 や 段 取 時 間 に 応 じて変 動 す る。1バ ッ チ ま た は1ロ ッ トに含 まれ る単 位 数 に 関 わ らず 同額 の 費 用 が 発 生 す る ため 、 そ の 単 位 数 か らみ れ ば 固定 費 と して の性 質 を持 つ 。 例 え ば 、 段 取 費、 購 入 注 文 費 、 検 査 費 な どが そ う で あ る。 製 品維 持 レベ ル の ア クテ ィ ビ テ ィ は 、 異 な っ た タ イ プ の 製 品 の製 造 を支 援 す る度 に 遂 行 され る。 製 品系 列 に 一 製 品 を追 加 し た り、 一 製 品 を維 持 す るの に 関 係 す る、 特 定 の 製 品 に つ い て 識 別 さ れ るエ ン ジ ニ ア リン グ変 更 通知 や プ ロ セ ス ・エ ン ジ ニ ア リン グ とい っ た 活 動 が そ の例 で あ る。 製 品 維 持 活 動 の 費 用 は、 配 賦 をす る必 要 な しに個 々 に製 品 に 容 易 に 跡づ け 可 能 で あ り、 製 品 品 目が 追 加 され るに つ れ て増 大 す る。 設 備 レベ ル の ア クテ ィ ビテ ィ は、 設備 の全 般 的 な 製 造 プ ロ セ ス を維 持 す る もの で あ る。 従 来 の 原 価 計 算 シ ス テ ム(ユ ニ ッ ト基 準 原 価 計 算)とABCシ ス テ ム との コ ス ト ・ビヘ イ ビ ア に関 す る取 扱 い の相 違 を表 に し て要 約 す る と表1の よ うに な る。 表iコ ス ト・ビヘ イ ビ ア に対 す る仮 定 従 来 の原価 計 算 シス テム /ABCシ ス テ ム 変 動 費 1 ユ ニ ッ ト ・ レ ベ ル 変 動 費 固 定 費 1 バ ッ チ ・ レ ベ ル 製 品維持 レベ ル 設備 レベ ル 固 定 費 表2ジ ョン ・デ ィア 社 の コ ス ト・ドライ バ ー とそ の レベ ル コ ス ト ・ドラ イバ ー ア クティビ ティの レベ ル 直接労 働 サポー ト 機 械 時 間 段 取 時 間 生産 注文 活動 マアノ丶ン 部 品管理 付 加価 値 (一般 管理 活動) ユ ニ ット ・レ ベ ル 〃 バ ッチ ・レベ ル 11 11 ノ1 ユ ニ ット ・レ ベ ル
以 上 よ り、 従 来 の 総 原 価 関 数 とABCに お け る 総 原 価 関 数 とは 次 の よ う に 異 な っ て い る(4)。 〈従 来 の 総 原 価 関 数> TC=aX十f 但 し 、a:生 産 量 単 位 当 た り変 動 費 X:生 産 量 f:固 定 費 総 額 〈ABCに お け る総 原 価 関 数> TC=bXl十cX2十dX3十eX4十g 但 し 、b:ユ ニ ッ ト ・レベ ル の コ ス ト ・ ドラ イ バ ー 単 位 原 価 c:バ ッ チ ・レベ ル の コ ス ト ・ ドラ イ バ ー 単 位 原 価 d:製 品 維 持 レベ ル の コ ス ト ・ ドラ イ バ ー 単 位 原 価 e:設 備 維 持 レベ ル の コ ス ト ・ ドラ イ バ ー 単 位 原 価 9:固 定 費 総 額 X、:ユ ニ ッ ト ・レ ベ ル の コ ス ト ・ ド ラ イ バ ー 単 位 数 X2:バ ッ チ ・レ ベ ル の コ ス ト ・ ドラ イ バ ー 単 位 数 X3:製 品 維 持 レ ベ ル の コ ス ト ・ ドラ イ バ ー 単 位 数 X、:設 備 維 持 レ ベ ル の コ ス ト ・ ドラ イ バ ー 単 位 数 図1は 、 こ れ ら の ア ク テ ィ ビ テ ィ の 階 層 レ ベ ル を 取 り入 れ たABCに も とつ い て 、 間 接 費 資 源 か ら ア ク テ ィ ビ テ ィ ・コ ス ト ・プ ー ル(コ ス ト ・ ドラ イ バ ー 単 位 当 た り 原 価 の 算 定 を 含 む)、 そ し て 製 品 に 至 る 原 価 集 計 手 続 き(ジ ョ ン ・デ ィ ア 社 の も の)を 図 示 し た も の で あ る 。 ま た 、 ジ ョ ン ・デ ィ ア 社(JohnDeereComponentWorks)がABCシ ス テ ム で 用 い て い る 基 準 と そ の 分 類 は 表2の よ う に な っ て い る[Cooper,1990,p.7,8]。 間 接 費 厂 一 一 一1
{
I I i 間 接 労 働 従 業員 福 利厚 生1ス ク ップ1メ ンテナンスll減 価 償 却 費1lII
「材 料1 ㌧プール丿 r労 働/ Lプ ール丿磯械時瀞
Lプ ールノ r段 取/ Lプ ール丿飃入注£I
Lプ ール丿 %テ ハi Lプ ール丿∼
囎 愈
Lプ ール丿畷鯉
㌧プール丿 直接作業時間 当た り 機械時間 当たり 段取 当た り 、 注文 当た り 取扱時間 当たり 部品数 当た り 付加価値 当た り 一 製 品 直接 労 働 原 材 料 ユ ニ ッ ト ・レ ベ ル バ ッチ ・レベ ル 製 品 レベ ル 設 備 レベ ル 図1ジ ョ ン ・デ ィ ア 社 のABCシ ス テ ム 1:この こ とは、 分 析 の 案 件 に よ っ て、 ま た どの よ うな意 思 決 定 の タ イ プ で あ るか に よ っ て、 どの レベ ル の コ ス トが 問 題 とな るか が 決 定 され る こ と を含 意 して い る。 例 え ば 、 製 品 関 連 意 思 決 定 を 行 う場 合 、 設 備 レベ ル の コ ス トは 固定 費 な い し共 通 費 、 期 間 原価 と して処 理 され る こ とに な る(5)。 ABCの 前 提 とす る コ ス ト ・ビ ヘ イ ビ ア の 特 徴 に つ い て は 、 既 に 別 稿 で 述 べ た が[志 村, 1990;志 村,1992]、 経 営 意 思 決 定 に お け るABCの 役 割 を論 ず る上 で必 要 な 限 りで再 度 簡 単 に 取 り上 げ て み た い 。 ABCで は 、 各 ア ク テ ィ ビテ ィ ・セ ン ター に割 り当 て られ た コ ス ト(活 動 原 価)は 、 各 々 関 連 す る コス ト ・ ドライ バ ー に応 じて変 動 す る、 つ ま り コス ト ・ドラ イバ ー の 関 数 と仮 定 さ れ る。 と い う こ とは 、 コス ト ・ ドラ イバ ー 単 位 数 が2倍 に なれ ば 、 そ の ア ク テ ィ ビテ ィの 原 価 も2倍 に な る とい う意 味 で あ る。 この 仮 定 は、 活 動 原 価 を構 成 す る人 的 ・物 的 キ ャパ シテ ィの コス トも コ ス ト ・ドラ イバ ー に 応 じて 変 動 しな け れ ば な らな い とい うこ と を も示 唆 して い る。 この 仮 定 が成 り 立つ た め に は、 コス ト ・ ドラ イバ ー 単 位 数 の減 少 に 応 じて そ の 人 的 ・物 的 キ ャパ シ テ ィ の コス ト の相 当分 も想 定 さ れ る期 間 の 経 過 と と もに 処 分 が 可 能 で な け れ ば な ら な い 。した が って 、い わ ゆ る原 価 残 留 が 生 ず る場 合 な ど に は、ABCの 下 で製 品 に 割 り当 て られ る コ ス トの い くらか は 増 分 的 で な い こ とが 認 識 され る こ とが 重 要 で あ る。 あ る人 的 ・物 的 キ ャ パ シ テ ィが 特 定 の 製 品 に 跡 づ け られ得 て も そ の部 分 が 回避 可 能 で な け れ ば 、 増 分 原価 とは な らな い 。 ま た、 減 価 償 却 費 が 割 当可 能 で あ っ た と して も、 製 品 の廃 棄 意 思 決 定 に は 関連 が な い。 処 分 可 能 性 の 保 証 が な い の で あ れ ば 、 増 分 原価 の み が 関 連 す る意 思 決 定 の場 合 に は 、 これ らの キ ャパ シ テ ィ ・コ ス トは、埋 没 原 価 と し て 除外 され るべ きで あ る[Cf.Hirsch&Nibbelin,1992,p.43]。 3.ABCと 戦 略 的 意 思 決 定 戦 略 的 意 思 決 定 とは 、 長 期 的 な成 長 と存 続 の合 理 的 保 証 を会 社 に提 供 す る1つ の 戦 略 ま た は複 数 の 戦 略 を選 択 す る とい う最 終 目標 を も っ て 、 代 替 的 な戦 略 間 の 選 択 をす るプ ロ セ ス で あ る [Hansen&Mowen,1992,p.622]。 戦 略 的 原 価 分 析 が こ れ を支 援 す る。 つ ま り、 戦 略 的 原 価 分 析 の役 割 は 、 持 続 可 能 な競 争 優 位 を生 み 出 す 優 れ た戦 略 を立 て た り、 識別 す るの に役 立 つ 原 価 デー タ を分 析 し、 経 営 戦 略 を支 援 す る原 価 情 報 を提 供 す る こ と に あ る。 繰 り返 し述 べ れ ば 、ABCは ア ク テ ィ ビ テ ィ に 、 そ れ か らア クテ ィ ビ テ ィ を消 費 す る 製 品 に 原 価 を跡づ け る。 異 な っ た戦 略 は 異 な った ア クテ ィ ビ テ ィ を引 き起 こす 。 こ れ らの ア ク テ ィ ビテ ィ とそ れ に 関 連 す る原 価 を知 るこ とに よ っ て、 異 な っ た戦 略 的 チ ョ イ ス の コス トが 評 価 され 得 る。 さ らに 、 こ れ は 企 業 に とっ て競 争 優 位 を確 立 す る と思 われ る戦 略 を選 択 す る よ う に管 理 者 を援 助 す る もの で あ る[Hansen&Mowen,1992,p.637,638]。 と こ ろで 、 ア ク テ ィ ビ テ ィ は仕 事 を引 き起 こ し それ に よ って 資 源 を消 費 す るプ ロセ ス ま た は 手 続 きで あ る が 、 そ れ らは お互 い に 因果 連 鎖 に よ って リン ク され て い る。 あ るア ク テ ィ ビ テ ィ の変 更 が 他 の い くつ か の ア クテ ィ ビ テ ィ へ の 需 要 に 影 響 を与 え る。ABCと の 関 連 で 戦 略 的 意 思 決 定 を捉 え る な らば 、 それ は コス ト ・ドラ イバ ー(ア ク テ ィ ビテ ィ ・ ドラ イバ ー)を 大 き く変 化 させ る こ とに よ っ て 競 争 優 位 をつ く りだ す こ とで あ る。 例 え ば 、 製 品設 計 を変 更 し た り、 部 品 な い し は コ ン ポ ー ネ ン トを 自製 す るか 購 入(外 注)す るか 、 部 品 を手 で 挿 入 す るか機 械 で行 うか 、JIT を採 用 す る か ど うか とい っ た代 替案 は 、 既 存 の ア ク テ ィ ビテ ィの 変 更 を多 か れ 少 なか れ 招 来 し、 した が っ て コス トの 発 生 の仕 方 を変 化 させ る。JIT製 造 戦 略へ の 変 更 は 、 品 質 関 連 の ア クテ ィ ビ
テ ィ を増 大 させ 、 マ テ ハ ン関 係 の ア クテ ィ ビ テ ィ を減 らす 。 こ れ らの ア ク テ ィ ビテ ィに 関 わ る コ ス トは 従 来 の 製 造 環 境 の 下 で 発 生 して き た コ ス トと は大 い に 異 な る だ ろ う。 そ れ ゆ え に 、ABC は戦 略 間 の コ ス ト比較 を可 能 に して くれ るの で あ る。 本 来 、 製 品 の価 格 設 定 、 製 品 ミ ッ クス 、 製 品 設 計 、 製 品の 導 入 と廃 棄 な どの製 品 関 連 意 思決 定 の問 題 は 、 長 期 的 ・戦 略 的 な視 点 に 立 っ て 処 理 され るべ き で あ る が 、従 来 の議 論 は む し ろ短 期 的 な観 点 か ら扱 わ れ て きた き ら いが あ る。 ABC情 報 を用 い て 原 価 引 き下 げ 計 画 を行 う分 析 、 また は 業 務 を改 善 す る ため にABCを 用 い る こ と は 活 動 基 準 マ ネ ジ メ ン ト(activity-basedmanagement:以 下 、ABMと 言 う)と 呼 ば れ 、 業務 を 改善 す る た め だ け で は な く、 競 争 条 件 を よ りよ く満 たす よ うに 管 理 者 と他 の従 業 員 が 経 営 戦 略 を適 合 させ る努 力 をガ イ ドす る[Turney,1992,p.4・12]。 ABC情 報 の 戦 略 的 利 用 に は、 そ れ に よ っ て 業務 を変 化 させ る こ と な く価 格 の再 設 定 とか 市 場 か ら の撤 退 を通 じて 製 品 戦 略 を変 更 す るケ ー ス、 新 た な市 場 の拡 大 を狙 っ た戦 略 的 ポ ジ シ ョ ンの 改 善 を 図 るケ ー ス、 そ して 業務 の 改 善 を通 じて顧 客 の 多様 な ニー ズ を収 益 的 に満 た す 戦 略 的 能 力 (strategiccapability)を 向上 す る ケ ー ス な どが 考 え られ る。 こ の うち 、 製 品戦 略 を 変 え るア プ ロー チ が も っ と も容 易 で あ るが 、 あ る製 品 や 顧 客 サ ー ビ ス の廃 棄 や 市 場 か らの撤 退 は、 次 善 的 な戦 略 と考 え るべ きで あ る[Hall,eta1.,1991,p.98]。 ア ク テ ィ ビ テ ィ は戦 略 的 チ ョイ ス に よ って 決 定 され るが 、 もっ と も高 いベ ネ フ ィ ッ ト を生 む ア ク テ ィ ビ テ ィ に 資源 を配 置 す る仕 方 で行 わ れ るべ きで あ る[Turney,1992,p.4・13]。 と きに 、 ABCに 基 づ く分 析 が あ る製 品 ま た は顧 客 の 業 績 が 非 収 益 的 で あ る こ と を示 し、 そ の 原 因 を も明 確 にす る か も知 れ な い が 、 それ は企 業 の コ ス ト競 争 力 を増 強 した り、 新 た な収 益 拡 大 の 好 機 を提 供 し、 企 業 の 戦 略 的 ポ ジ シ ョンの 改 善 を促 す もの とな る こ と もあ る。 テ ク トロ ニ ク ス社 の オ シ ロ ス コー プ ・グ ル ー プ の例 を考 え て み よ う[Turney,1992,p.4・ 13]。 同 社 は 異 な る タ イ プ の 顧 客 間 に あ る収 益 性 の差 異 をABCに よ って 分 析 した とこ ろ 、 小 口の 顧 客 が 非 収 益 的 で あ り、 その 原 因が こ れ らの 顧 客 に 製 品 を販 売 し配 送 す る マー ケ テ ィ ン グ ・コ ス トが 高 い こ とに あ る こ と も判 明 した。 マ ー ケ テ ィ ン グ ・コ ス トが 割合 的 に 高 く、 支 配 的 な 流 通 チ ャネ ル(資 格 あ る直接 販 売 員 に よ る 配送)に 関 わ る費 用 が ネ ッ ク と な っ て い た の で あ る 。 一 般 に、 大 口 の顧 客 は マ ー ジ ンの 大 き い高 級 製 品 を購 入 す るが 、 小 口 の顧 客 は マ ー ジ ンの低 い低 級 製 品 を 購 入 す る傾 向 が あ っ た の で 、 小 口 の顧 客 に つ い て は 十分 にマ ー ケ テ ィ ン グ ・コ ス トを正 当 化 す る に至 っ て い な か っ た。 そ こ で、 解 決 策 と して 小 口顧 客 の ため に テ レマ ー ケ テ ィ ン グ を重 視 し た新 しい 流 通 チ ャ ネ ル"TekDirect"を 導 入 した 。 こ の シ ス テ ム は、 小 口顧 客 の 配 送 費 を低 くし た だけ で は な く、 新 しい 膨 大 な顧 客 に製 品 を販 売 す る機 会 を も開 い た 。 戦 略 を成 功 裏 に実 行 す る鍵 は、 戦 略 に 振 り向 け られ る ア クテ ィ ビ テ ィ の業 績 を改 善 す る こ とで あ る。 この 改 善 を遂 行 す る さ い にABMが 役 立 つ 。 製 品 の 特 性 や 市 場 の状 況 に 対 処 す る 上 で柔 軟 に適 応 す る 能 力 を向 上 させ る た め に業 務 を継 続 的 に 改 善 し た り、 と き に はJITシ ス テ ム の 採 用 や 生 産 ・設計 の 自動 化 の 導 入 とい っ た業 務 を変 革 す る こ とに よ っ て 、 こ の能 力 を よ り一 層 向 上 させ る方 策 も と り得 る コー ス の 一 つ で あ る(6)。ABCは 、 そ れ ぞ れ の コー ス に つ いて の 原価 見 積 を シ ミ ュ レー トす る の に効 果 を発 揮 す る。 こ の 点 に 関 して 、2つ の 例 を紹 介 す る[Turney,1992,p.4・13-15]。 ヒュ ー レ ッ ト ・パ ッ カー ド社 の ロー ズ ヴ ィ レ ・ネ ッ トワー ク事 業 部 の 製 品エ ン ジ ニ ア ー は、 製 品 設 計 を修 正 す る こ と が で き る よ うにABCモ デ ル を構 築 した 。 そ の 狙 い は 、 製 造 し易 くす る よ うに 製 品 を設 計 す る こ 一110一
とに あ っ た 。 そ の こ とは 、 短 い製 品 ラ イ フ ・サ イ クル 、 小 ロ ッ ト ・サ イ ズ、 数 百 もの 異 種 製 品 の ゆ え に 重大 で あ っ た。 エ ン ジニ アー は全 般 的 な製 造 原価 を 引 き下 げ る ため に 、 製 品 の 設 計 に慎 重 な る 注 意 を払 わ な け れ ば な ら なか っ た の で あ る。 彼 ら は与 え られ た 製 品 機 能 を維 持 す る最 低 の コ ス トを も た らす ア ク テ ィ ビ テ ィ を入 念 に 選 択 す る の にABC情 報 を用 い た 。同事 業 部 で は、コ ス ト ・ドライ バ ー と して 軸 挿 入 の 回数 、 人 手 挿 入 の 回数 、 検 査 時 間数 、 部 品数 な どが 用 い ら れ て い る が、 人 手 に よ っ て挿 入 で き る部 品 と機 械 に よ っ て 挿 入 で きる部 品 の いず れ か を選 択 す る場 合 の コス ト比較 を可 能 とす る情 報 をABCは 提 供 した 。 ノー ザ ン ・テ レ コム社 の ビ ジネ ス ・プ ロ ダ クツ事 業 部 は 、ABC情 報 を、 もっ と も大 き な原 価 引 き下 げ潜 在 性 を もつ 改 善 機 会 を識 別 し、 こ の 引 き下 げ を果 た す た め の 最 善 の ア プ ロー チ を決 定 す るた め に 用 い た。 そ の分 析 は、 まず 、 も っ と も多 くの コス トを割 り当 て た ア ク テ ィ ビ テ ィ ・ド ラ イバ ー(コ ス ト ・ドラ イバ ー)を 探 求 す る こ とか ら ス ター トす る。 ア クテ ィ ビ テ ィ ・ ドラ イバ ー は、 段 取 り とか エ ン ジニ ア リン グ変 更 に 関 す る もの とい っ た共 通 の タ イ プ に グル ー プ 化 さ れ 、 各 グ ル ー プ の コ ス トが 高 い ものか ら低 い もの へ と並 べ ら れ る。 こ の分 析 に基 づ き、 同 事 業 部 は2 番 目に 高 い 割 合 を 占め る(25%)材 料 関連 の ア クテ ィ ビ テ ィー 一 受 入 回数 、 購 入 注 文 回数 、 移 動 回数 な どの ドラ イバ ー に よ っ て表 さ れ る に 原価 引 き下 げ の タ ー ゲ ッ トを置 い た。 次 に、 材 料 関連 の ア ク テ ィ ビテ ィの コ ス トを 引 き下 げ る最 善 の 方 策 を決 定 す るの で あ るが 、低 い コ ス トで 多 量 の"C"部 品 を調 達 す る代 替 的 な方 策 に 焦 点 を当 て た。C部 品 は 数 千 もあ り、 その ア ク テ ィ ビ テ ィ の大 半 を 占め て い た。ABCモ デ ル を用 い て各 代 替 案 の コ ス トが 計 算 さ れ た とこ ろ 、 現 行 の ア プ ロ ー チ が は るか に 高 い コ ス ト代 替 案 で あ り、 その 原 因 が3つ の ドラ イバ ー(供 給 業 者 の数 、 異 な る部 品 タ イ プ の数 、 調 達 手 続 き)に あ っ た こ とが 判 明 した。 分 析 は、 最 低 コス トの 代 替 案 は C部 品 の 調 達 方 法 をす っか り変 え る もの で あ る こ と を示 した。 つ ま り、 一 人 の供 給 業 者 か らC部 品 をすべ て 購 入 し、 年 間 を通 じて工 場 の ニ ー ズ を満 たす た め に単 一 の 購 入 注 文 が 発せ られ る とす る案 で あ る。 こ の案 は 、3つ の ドラ イバ ー の う ち2つ(供 給 業 者 の 数 、 調 達 手 続 き)を 排 除 した 。 そ の 供 給 業 者 は3か 月 の 生 産 ス ケ ジ ュー ル を与 え られ 、 現 場 に カ ンバ ン棚(KANBANbins) を補 充 す る ため に週 に 一 度 工 場 を訪 問 す る。 そ れ で 、 年 に1回 の購 入 注 文 と12通 の 送 り状 が処 理 さ れ るだ け で済 み、 受 入 、 荷 役 、 検 収 、移 動 、 保 管 な どの ア クテ ィ ビ テ ィ が全 くC部 品 につ い て 排 除 され た 。 コス トに は現 れ て こ な い 改 善 と して は、 弾 力 性 の 増加 、 リー ドタ イム の 短 縮 、 コン ポー ネ ン ト陳 腐 化 傾 向 の 減 少 が 見 られ た 。 この よ う に 、ABCは ど こ に最 大 の 改 善 の 余 地 が あ る か を指 摘 し、 無 駄 の 排 除 と単 純 化 に 向 け て成 功 裏 に 努 力 を集 中す る こ と を促 進 させ る。 4.ABCに 基 づ く分 析 の 特 徴 ABCは 、 重 要 な 戦 略 的 ツ ー ル で あ る と い わ れ る[Hall,et,al.,1991,p.99]。 そ れ で は 、 ABCは 従 来 の 管 理 会 計 意 思 決 定 モ デ ル に 取 っ て 代 わ る も の で あ ろ う か 。 ま た 、ABCは 関 連 原 価 分 析 と は 、 選 択 的 な 関 係 に 置 か れ る も の だ ろ う か 。 否 、 そ の よ う な も の で は な い 。ABCは 意 思 決 定 モ デ ル に 従 来 よ り も正 確 な 原 価 デ ー タ を提 供 す る も の で は あ っ て も、 そ れ 自体 は 意 思 決 定 志 向 で は な い か ら で あ る[志 村,1991,pp.69-70]。ABCは 、 直 接 、 よ り 高 い 利 益 へ と転 換 す る こ と の で き る マ ネ ジ メ ン ト ・ア ク シ ョ ン へ の 途 方 も な く有 益 な 指 針 な の で あ る[Cooper& Kaplan,1991,p.130]。ABCに 基 づ く分 析 に よ っ て 得 ら れ た 情 報 は 、 ど こ に 原 価 を 引 き下 げ
る余 地 が あ るか 、 特 に 利益 を ドラ イ ブ す るア クシ ョ ン を と るか を発 見 す る手 が か りを与 え る もの で あ る。 言 い換 えれ ば 、ABCに 基 づ く分 析 は 問 題 解 決 的 ・意 思 決 定 志 向 的 で は な く、 問 題 発 見 的 ・注 意 志 向 的 で あ る とい う こ とに な る。 し たが っ て 、 クー パ ー と キ ャプ ラ ン は 、分 析 後 に経 営 者 が とるべ きア クシ ョ ン を次 の よ うに 指 摘 して い る[Cooper&Kaplan,1991,pp.134-135]。 ① 経 営 者 は 製 品 の価 格 を再 設 定 す る よ う試 み るべ きで あ る。 支 援 資 源 へ の大 きな 需 要 を もつ 製 品 の価 格 を 引 き上 げ、 他 を助 成 して きた 多量 製 品 の競 争 レベ ル を 高 め る ため 、 そ の価 格 を低 くす る。 も しそ の 再 価 格 戦 略 が 成 功 す る な ら、 会 社 は そ の 資 源 へ の需 要 が よ り少 な い か 、 同 じ資 源 消 費 で よ り多 くの 収 益 をあ げ る新 しい製 品 ミッ クス に到 達 す る で あ ろ う。 ② 経 営 者 は 資 源 消 費 を引 き下 げ る 方策 を探 求 す べ きで あ る。 こ れ は 、 同 じア ウ トプ ッ トに 活 動 を遂 行 す る 時 間 数 を減 少 す るか 、 例 え ば 、 製 品 ミ ッ クス ま た は顧 客 ミッ クス を変 更 す る こ とに よ って 現 在 の 製 品 お よび顧 客 ミッ ク ス を生 産 ま た はサ ー ビス 提 供 す るの に消 費 され る資 源 を引 き下 げ る こ とを 必 要 とす る。 結 論 的 に 言 え ば、ABCは 正 確 な製 品 原 価 情 報 を提 供 す る ゆ え に従 来 の モ デ ル の 質 を 向上 し、 経 営 管 理 者 を誤 導 しな い 意 思 決 定 に 貢 献 し得 る の で あ る。 クー パ ー の 行 っ た調 査 で も、 い く人 か の 管 理 者 は 、ABCシ ス テ ム に よ っ て 報 告 され る よ り正 確 な製 品原 価 が 不 正 確 な 製 品原 価 情 報 の ゆ え に誤 っ た 意 思 決 定 が行 わ れ る リス ク を引 き下 げ る もの と考 え て い る とい う こ とが 分 か って い る[Cooper,1990,p.10]。 ハ ン セ ン とモ ー ウ ェ ンが い み じ くも指 摘 す る よ うに 、ABCの 効 果 は全 般 的 な 意 思 決 定 の質 を改 善 す る こ とで あ る[Hansen&Mowen,1992,p.624]。 ABCシ ス テ ム は 関 連 原価 分 析 の た め に 有 用 な製 品 原 価 情 報 を提 供 す る と述 べ て きた が 、 それ は全 く修 正 を必 要 と しな い とい うこ とで は な い。 この シ ス テ ム は 、 報 告 さ れ た 製 品 原 価 の 正 確 性 を高 め る こ とに よっ て 、 そ して ア クテ ィ ビ テ ィ の4つ の カ テ ゴ リー の コス トを別 々 に報 告 す る こ と に よ っ て 特 殊 調 査 を行 うニ ー ズ を減 らす の で あ る[Cooper,1990,p.13]。 ど の よ うな 点 で 修 正 を必 要 とす るの で あ ろ うか 。 第一 に 、 原 価 関数 が リニ アー で あ る とい う仮 定 か ら生 ず る。 例 えば 、 複 数 の 製 品 が共 通 の 部 品 を用 い る場 合 、 製 品 を追 加 す るか ドロ ップ す るか は、 製 造 され る 共 通 の 部 品 の バ ッチ数 を必 ず し も変 化 させ る もの で は な い。 第 二 に 、 こ の 原価 計 算 シ ス テ ム は特 定 の 意 思 決 定 の た め の 関 連 原 価 を ふ さ わ しい 仕 方 で 取 り分 け て は い な い。 第 三 に、 適 切 な コ ス ト ・ ドラ イ バ ー が採 用 され て い な い た め に歪 み が 生 ず る こ とが あ る。 た と えば 、 段 取 りが 製 品 と か 製 造 順 序 に 応 じて変 動 す る と きに 、 コ ス ト ・ドラ イバ ー と して 段 取 回数 が用 い られ る な ら この よ うな こ とが 起 こ る[Cooper,1990,p.13]。 した が っ て 、 以 上 か らABCに 基 づ く分 析 は従 来 の 貢 献 差 益 分 析 とか 関 連 原 価 分 析 と は 全 く異 な る技 法 な どで は な く、 キ ャプ ラ ン 自身 が 指 摘 す る よ うに、 そ れ らの 技 法 を豊 か に拡 張 す る もの で あ る とい うこ と に な る[Robinson,1991,p.2]。 そ れ は 、 改 良 さ れ た 貢 献 差 益 分 析 と もそ の 補 完 と も特 徴 づ け る こ とが で き よ う。 キ ャ プ ラ ン の 主 張 に 基 づ い てABCシ ス テ ム の 貢 献 差 益 報 告 書 を描 く と、 表3の よ うに な る。 一112一
売 上 高 ユ ニ ッ ト ・レベ ル 費 用 ユ ニ ッ ト ・レベ ル 貢 献 差 益 バ ッ チ ・レベ ル 費 用 バ ッ チ ・レベ ル 貢 献 差 益 製 品維 持 レベ ル 費 用 製 品 貢 献 利 益 製 品系 列 レベ ル 費 用 工 場 レベ ル 費 用 営 業 利 益 表3ABCシ ス テ ム の 貢 献 差 益 報 告 書 A製 品 B製 品 C製 品 合 計 XXXX XXXX XXXX XXXX XXXX XXXX XXXX XXXX XXXX XXXX XXXX XXXX XXXX XXXX XXXX XXXX XXXX XXXX XXXX XXXX XXXX XXXX XXXX XXXX XXXX XXXX XXXX XXXX XXXX XXXX XXXX 表3に あ る各 レベ ル の 貢 献 差 益 の大 き さ は、 従 来 の 貢 献 差 益 分 析 の そ れ と比 べ て 過 小 に 計 算 さ れ 、 意 思 決 定 に お い て 長 期 的視 点 を加 味 して お り、 一 層保 守 的 な傾 向 を 強 く して い る。ABC提 唱 の 背 景 との 関 連 で捉 え る な ら、 従 来 の 貢 献 差 益 方 式 そ の他 を用 い て は 十分 に 回収 し きれ な か っ た複 雑 性 と多 様 性 の コス トを早 期 に 回収 し、 もっ て 製 品 ミッ クス を健 全 な もの と し、 競 争 優 位 を 獲 得 しよ う と意 図 した に ちが い な い 。 た だ 、 ユ ニ ッ ト ・レベ ル 貢 献 利 益 は従 来 の 限 界 利 益 に近 い とし て も、 バ ッチ ・レベ ル 貢 献 利 益 が い か な る性 質 を もつ もの か 、 どの よ う な有 用 性 を もつ か に は、 若 干 の 疑 問 もな い わけ で は な い 。 5.ABCに 基 づ く分 析 の 展 開 (1)部 品 の 自製 ・購 入 の意 思 決 定 そ れ で は 、 次 に どの よ うに意 思決 定 の 質 を 改善 す る もの か をハ ン セ ン とモ ー ウ ェ ン の用 い た2 つ の例 を通 して見 て み よ う[Hansen&Mowen,1992,p.625-628,pp.632-636]。 【ケ ー ス1】 は 、 部 品 の 自製 ・購 入(外 注)意 思 決 定 問 題 でABCが どの よ う な役 割 を果 た す か を例 示 して い る。 従 来 の 分 析 で は、 自製 案 が$25,000有 利 で あ る こ と を示 して い る。 共 通 固 定 費 は、 そ れ が 無 関連 で あ る、 直接 作 業 時 間 に 応 じて 変 化 しな い とい う理 由 で 分 析 か ら除外 され る。 ABCに 基 づ く分 析 は 、 こ の 共 通 固 定 費 に 注 目す る。 つ ま り、 共 通 固定 費 の 中 に は生 産 量 、 直 接 作 業 時 間 以 外 の要 因 に よ っ て 原価 が ドラ イ ブ され る もの が あ る。 そ れ で 、 あ る製 品 を ドロ ップ す る と、 これ らの ア ク テ ィ ビ テ ィ の レベ ル を減 ら し、 結 果 と して 追 加 的 な 原価 節 約 を果 た す こ とが で き る。 変 動 間 接 費 に含 まれ る ア クテ ィ ビテ ィ は、 電 力 料 と福 利厚 生 費 で あ り、 共 通 固定 費 の 中 に は検 査 費 、 技 術 費 、 マ テ ハ ン 費 、 段 取 費 、 設 備 減 価 償 却 費 が 含 まれ て い る。ABCの フ レー ム ワー ク で は 、 電 力 料 と福 利 厚 生 費 は ユ ニ ッ ト ・レベ ル 、 検 査 費 、 マ テハ ン 費 、段 取 費 はバ ッチ ・レベ ル 、 技 術 費 は 製 品維 持 レベ ル 、 設 備 減 価 償 却 費 は 設 備 レベ ル で あ る。 多 くの 場 合 、 製 品 関 連 費 が 自 製 ・外 注 意 思 決 定 で用 い る の に 正 しい コス トと され て い る[Scott&Morrow,1991,p.51] こ と を思 え ば、 設備 レベ ル の 原価 の み が こ の 意 思 決 定 に は 無 関 連 で あ る と識 別 で き る。
設 備 レベ ル の 原価 を除 くそ れ ぞ れ の コス ト ・プ ー ル ・レー トを当 該 部 品 に 関 わ る コス ト ・ ドラ イバ ー 数 に 乗 じて 計 算 し た分 析 結 果 で は、 今 度 は 購 入 案 が$135,000有 利 に な る。 【ケ ー ス1】 自 製 ・購 入 に 関 す る 意 思 決 定 問 題(Hansen&Mowen,1992,pp.625-628) ス ウ ィ ー ニ ィ 製 造 会 社 は 、 い くつ か の タ イ プ の プ リ ン タ ー を 製 造 し て い る 。 現 在 、 そ れ ら の プ リ ン タ ー の 部 品 を す べ て 自社 で 作 っ て い る。 当 社 は 、 ユ ニ ッ ト基 準 の 原 価 計 算 シ ス テ ム に よ っ て 製 品 原 価 を計 算 し て い る 。 あ る 外 部 供 給 業 者 が678番 の 部 品 を 単 位 当 た り$4.75で 販 売 し た い と 申 し 出 て き た 。 当 社 は 部 品 を 正 常 的 に は 年 当 た り100,000単 位 製 造 し て い る 。 各 部 品 は0.25直 接 作 業 時 間 を 必 要 と す る 。100,000単 位 の 製 造 に 関 す る 原 価 は 次 の 通 りで あ る 。 直接 材 料 費$50,000 直接 労 務 費200,000 変 動 間 接 費 α80,000 固定 間 接 費 直 接 固 定 費 監 督 費50,000 特 殊L設備 の 賃 借 料70,000 共 通 固 定b300,000 合 計$750,000 単 位 原 価($750,000/100,000)$7.50 α直 接 作 業 時 間 当 た り$3 .20の 変 動 間 接 費 率 を 用 い て 割 り 当 て ら れ た 。 殖 接 作 業 時 間 当 た り$12の 固 定 間 接 費 率 を 用 い て 割 り当 て ら れ た 。 ①従 来の分析 原価項 目 自製案 購入案 直接 材料 費 直接 労務 費 変動 間接 費 監督 費 設備 賃借 料 購 入 原価 関連 原価合 計 $50,000 200,000 :111! 50,000 70,000 $ 475,000 $450,000 $475,000 ②ABCに 基 づ く分 析 追 加 デ ー タ i.コ ス ト ・プ ー ル と レ ー ト プ ー ル ユ ニ ッ ト ・レベ ル: 電 力 料 ・福 利 厚 生 費 コス ト・ドライバ ー コス ト・ドラ イバ ー 単 位 当 た りレ ー ト 機 械 時 間 $3 一114一
バ ッチ ・レベ ル: マ テハ ン費 検査 費 段 取費 製 品維持 レベ ル: 技 術 費 ii.当 該 部 品 の コ ス ト 機械 時 間 移動 回数 検査 時 間 段取 時 間 技術 オー ダー 数 iii.分 析 表 原 価項 目 設備 賃借 料 直接 材料 費 直接 労務 費 電 力費 ・福 利厚 生 費 マテハ ン費 検査 費 技術 費 段 取 費 購 入 原価 関連 原価合 計 移 動 回 数 検 査 時 間 段 取 時 間 技 術 オ ー ダ ー 数 ・ ド ラ イ バ ー 数 自 製 案 70,000 $50,000 200,000 90,000 40,DOO 75,000 25,000 60,000 -$610,000 30,000 2,000 5,000 6,000 10 20 15 10 2,500 購入案 $ 475,000 $475,000 以 上 の 分 析 か ら、 購 入 案 を採 択 す べ き と即 断 して は な ら な い 。 そ れ は 完 全 な分 析 で は な い 。 ABCに 基づ く分 析 は 、 部 品 や 製 品 をつ く る の に い くら コス トが か か るか に つ い て の よ り正 確 な 図 式 を提 供 す る もの の 、 い くつ か の 問題 点 を も提 起 す る。 例 え ば 、 なぜ 外 部 の供 給 業 者 は 自社 が つ くる よ り も$135,000も 安 く供 給 す る こ とが で き るの か 、 部 品 を外 注 す る こ とは 内部 的 な ア クテ ィ ビ テ ィ をつ く り出 す が 、 それ は どれ ほ ど高 くつ くの か 、 自製 か ら外 注 へ の変 更 は 明 らか な 戦 略 的 シ フ トで あ り、 以 前 に は 存 在 しなか っ た依 存 関係 をつ く り出 す が 、 それ は 良案 とい え る の か 、 供 給 業 者 は正 しい 品質 と量 の 部 品 を予 定 通 り納 入 す る こ とが で き るだ ろ うか 、 等 々 の 問題 が考 慮 され るべ きで あ ろ う。 したが っ て 、 部 品 を 自製 す るか 外 注 す るか を決 定 す る場 合 、従 来 の 分 析 が そ う で あ っ た よ うに 、 外 注 案 につ い て そ の購 入 価 額 だ け を関 連 原 価 と して 取 り上 げ る こ とは不 適 切 で あ る。 なぜ な ら、 外 注 す る こ とに よっ て 部 品 の 品質 を検 査 す る ア ク テ ィ ビ テ ィ、 購 入 注 文 す るア ク テ ィ ビ テ ィ な ど に も影 響 を 与 え るか らで あ る。 そ れ らの す べ て を視 界 に 含 め た分 析 の 必 要 性 をABCは 喚 起 させ る の で あ る。 こ の 【ケ ー ス1】 の 例 は 、ABCの 戦 略 的分 析 に お け る威 力 を示 す もの で あ る。 部 品 を 自製 し て い た企 業 が 外 注 へ 変 更 す る こ とに よ っ て、 消 費 さ れ るア ク テ ィ ビ テ ィ が変 化 し、 原 価 を引 き下 げ た り、 排 除 した りす る こ とが 可 能 で あ る。
(2)セ グ メ ン ト別 の 収 益 性 分 析 【ケ ー ス2】 は 、ABCに よ る分 類 を用 い た セ グ メ ン ト別 の 収 益 性 分 析 が 変 動 原 価 計 算 の そ れ よ り も情 報 内容 に お い て 大 幅 な改 善 を も た らす こ と を例 示 して い る。 変 動 原 価 計 算 に 基 づ く従 来 の分 析 で は 、 懐 中 時 計 と腕 時 計 は と もに プ ラ ス の 製 品 差 益 を示 して い る。 こ れ で は 会社 全 体 の 収 益 性 が 僅 か に損 益 分 岐 点 を超 え て い るに す ぎな い と して も、 い ず れ か の 製 品 を ドロ ップ す る とい った 提 案 は あが っ て こな い だ ろ う。 しか し、ABCア プ ロー チ を 用 い て共 通 固 定 費 の 内 容 が分 析 さ れ た。 そ れ に よ る と、 機 械 減 価 償 却 費 は生 産 高 比 例 法 を用 いて ユ ニ ッ ト ・レベ ル の コス トに コン バ ー トさ れ る。 段 取 費 とマ テ ハ ン費 の バ ッ チ ・レベ ル の コ ス トは 、 バ ッ チ ・レベ ル の コス ト ・ ドラ イ バ ー(段 取 回数 と移 動 回 数)を 用 い て 製 品 に割 り当 て られ る。 給 料 と販 売 管理 費 の 製 品維 持 レベ ル の コス トは、 従 業 員 数 と販 売 注 文 数 を用 い て 製 品 に割 り当 て られ る。 ABCに 基 づ く分 析 結 果 を見 る と、 製 品 収 益 性 に 関 し て変 動 原 価 計 算 に 基 づ く分 析 と は非 常 に 異 な っ た視 点 を提 供 す る。 つ ま り、 懐 中時 計 は 非収 益 的 で あ り、会 社 資 源 の 重大 な消 耗 を引 き起 こ して い る。 懐 中 時 計 が ドロ ップ され る と、 利 益 は$20,000か ら$67,500へ と高 め られ る。 しか し、 だ か ら とい っ て懐 中 時 計 を直 ち に ドロ ップ す べ き こ と を意 味 して い な い。 懐 中 時 計 の 収 益 性 を高 め る方 策 を模 索 す る こ とが で き るか らで あ る。 多 くの コ ス トを抜 本 的 に 引 き下 げ る一 方 策 と して、JITシ ス テ ム の 採 用 が 挙 げ られ よ う。JIT シ ス テ ム の 採 用 は 、 原 価 の 跡 づ け 可 能 性 を 高 め る もの で あ る。 【ケ ー ス2】 の③ の セ グ メ ン ト別 収 益 性 分 析 表 は、JITシ ス テ ム の 導 入 後 の 計 画収 益 性 を示 して い る。 そ こ で は 、 バ ッチ ・レベ ル の ア クテ ィ ビ テ ィ が 排 除 され 、 修 理 保 全 費 は セ ル ・ワー カー に よ って 吸 収 され る(直 接 労務 費)。 残 りの 非 ユ ニ ッ ト基 準 の コ ス トは 、 製 品 維 持 コス トで あ る。 変 動 費 の 数 と金 額 は 、 直 接 労務 費 、 修 理 保 全 費 、 マ テハ ン費 が 固定 費 に な る につ れ て 減 少 して きた 。 直 接 固定 費 が 数 と金 額 に お い て 増 大 して き た。 【ケ ー ス2】 セ グ メ ン ト別 の 収 益 性 分 析(Hansen&Mowen,1992,pp.633-635) ① 従 来 の 分 析(変 動 原 価 計 算) 懐 中 時 計 腕 時 計 合 計 売 上 高$500,000$800,000$1,300,000 変 動 費: 直接材 料 費 直接労 務 費 保 全 費 電力料 販 売 手数料 貢献 差益 直接 固定 費: 広 告 費 製 品差 益 共通 固定 費: 機 械減 価償 却 費 (150,000) (105,000) (45,000) (17,500) (15,000) (200,000) (105,000) (45,000) (17,500) (20,000) (350,000) (210,000) (90,000) (35,000) (35,000) $167,500 (40,000) $412,500 (30,000) ' ,:1111 (70,000> $127,500 $382,500 $510,000 (50,000) 一116一
設備減 価償 却 費 段取 費 給料 一般 管理 費 マ テハ ン費 販売 管理 費 税 引前 利益 ②ABCに 基 づ く分 析 懐中時計 (so,000> (100,000) (60,000) (90,000) (70,000) (40,000) $20,000 腕 時 計 合 計 売 上高 変 動 費: 直接材 料 費 直接労 務 費 機械 費a 電力料 販売 手数料 貢献 差益 跡づ け可能 費: 非 ユニ ッ ト基準変 動 費: 段取 費 マ テハ ン費 給料 販売管 理 費 直 接 固定 費: 広告 費 製 品差益 設備 レベ ル ・コス ト: 設備減 価償 却 費 一般 管理 費 税 引前 利益 $500,000 (150,-000) (105,000) (70,000) (17,500) (15,000) '.:11111 (200,000) (105,000) (70,000) (17,500) (20,000) $1,300,000 (350,000) (210,000 (140,000) (35,000) (35,000) $142,500 (60,000) (45,000) (20,000) (25,000) (40,000) $387,500 (40,000) (25,000) (40,0.00) (15,.000) (30,000) $530,000 (loo,000> (70,000> (60,000) (40,000) (70,000> $(47,500) $237,500 $190,000 (so,000> (90,000) $20,000 a修 理 保 全 費 と減 価 償 却 費 を含 ん で い る。 減 価 償 却 費 は機 械 時 間 を用 い て ユ ニ ッ ト基 準 の ア ブ ロ ー チ に 変 更 さ れ た 。 ③ABCに 基 づ く分 析(JIT導 入 後) 懐 中時 計 売 上 高$500,000 変 動 費: 直 接 材 料 費(150,000) 電 力 料(17,500) 販 売 手 数 料(15,000) 貢 献 差 益$317,500 腕 時 計 合 計 $800,000$1,300,000 (200,000)(350,0.00) (17,500)(35,000) (20,000)(35,000) $562,500$880,000
跡づ け可 能 費: 非 ユニ ッ ト基準 変動 費: 給料 販 売管 理 費 直接 固定 費: 広 告 費 直接労 務 費 機 械減 価償 却 費 製 品差益 設備 レベ ル ・コス ト: 設備減 価償 却 費 一 般 管理 費 税 引前 利益 (30,000) (25,000) (40,000) (140,000) (20,000) (30,000) (15,000) (30,000) (140,000) (30,000) (60,000) (40,000) (70,000) (280,000) (50,000) $62,500 $317,500 $380,000 (so,000> (90,000) $210,000 従 来 の分 析 で は 、 コ ス ト ・ビヘ イ ビ ア を記 述 す るた め の ユ ニ ッ ト基 準 の コス ト ・ ドラ イバ ー の 利 用 は、 あ らゆ る共 通 固定 費 は 意 思 決 定 に 無 関 連 で あ る とい う印 象 を与 え る。ABCは ま さに こ う した従 来 の 常 識 を常 識 とは 見 な い と こ ろ に存 在 意 義 を見 い 出 す こ とが で き る。 分 析 者 に共 通 固 定 費 を コ ス ト ・ ドラ イバ ー とい う観 点 か ら、 綿 密 に 調 査 す る こ と を促 す の で あ る。 ま た 、 ハ ン セ ン とモ ー ウ ェ ン の例 か ら分 か る よ うに 、ABCに 基づ く コ ス ト ・オ ブ ジ ェ ク ト別 の収 益 性 分 析 や 関 連 原 価 分 析 に依 存 して 意 思 決 定 を行 うべ きこ と を指 示 す る もの で な い こ とに も 注 意 さ れ るべ きで あ る。 つ ま り、 収 益 性 分 析 に よ って 不 採 算 の 製 品 等 が あ っ て も それ を直 ち に ド ロ ップ した り(少 量 製 品 は往 々 に して 不 採 算 で あ る)、 関 連 原 価 分 析 で 直 ち に 原 価 の低 い方 の案 を採 択 す る の で は な い。 も し、 非 収 益 的 製 品 を ドロ ップ す る こ と を検 討 して い るの で あ れ ば、 無 駄 を排 除 し た り、 製 品 な い しは顧 客 サ ー ビ ス を 向上 させ た りす る努 力 が 払 わ れ る こ とな し に ドロ ップす る こ との な い よ うに 注 意 す べ きで あ る[Hall,etal.,1991,pp.98]。 ア クテ ィ ビテ ィ に対 す る各 製 品 の 需要 を変 化 させ る こ とに よ って コ ス ト ・ ドラ イバ ー を操 作 可 能 で あ る と前 述 し たが 、 ア クテ ィ ビ テ ィの 変 更 に よ る間 接 費 の 引 き下 げ を 目的 とす る代 替 的 な 製 造 改 善 計 画(manufacturingimprovementprograms)に よ っ て 、 不 採 算 製 品 等 を採 算 性 の と れ る もの へ と転 換 させ る こ とが 可 能 で あ り、 長 期 的 な視 点 か らそ の よ うな 方 策 を探 求 す る こ とが で き る。 そ の 意 味 で は 、ABCは 製 品 ミ ッ ク ス、 価 格 設 定 、 顧 客 サ ポ ー ト、 そ の 他 の 戦 略 的 事 項 が長 期 的 収 益 性 に 及 ぼす 影 響 を検 討 す る機 会 を も提 供 す る[Hal1,etal.,1991,pp.96-97]。 6.結 び に 代 え て 自社 の 置 か れ て い る競 争 状 況 が 激 し くな れ ば な る ほ ど、 新 し い原 価 計 算 シ ス テ ム 、 と りわ け ABCシ ス テ ム に対 す る需 要 は 高 ま る[Cf.Cooper,1990,pp.10-11]。 なぜ な ら、 不 正 確 な 製 品 原価 情 報 に よ っ て誤 っ た 意 思 決 定 を して し ま う こ との ミス が 取 り返 しの つ か な い もの とな る危 険 性 が 増 大 す るか らで あ る。 も ち ろ ん 、ABCを 導 入 した か ら と い っ て 、 必 然 的 に競 争 優 位 を獲 得 で き る わ け で は な い。 しか しな が ら、 従 来 の シ ス テ ム を もつ 場 合 よ りも、 戦 略 的 フ ォー カ ス と 事 業 改 善 に 関 す る経 営 意 思 決 定 を ガ イ ドす るた め の よ り良質 の 情 報 を提 供 し う る潜 在 能 力 を多 分 一118一
に 秘 め て い る と思 われ る。 本 論 は、ABCア プ ロー チ が 従 来 の 管 理 会 計 意 思 決 定 モ デ ル や 関 連 原 価 分 析 に どの よ うな 影 響 を与 え るの か を 中心 に検 討 して き た。 要 約 す る とつ ぎの2点 が 指 摘 で き よ う。 第 一 に 、従 来 意 思 決 定 に お い て は 無 関 連 と され て き た共 通 固定 費 に光 を 当 て て お り、 さ ら な る分 析 の 必要 性 を喚 起 し て い る こ と、 そ れ に よ っ て 以 前 とは 異 な っ た新 た な 洞 察 が 提 供 さ れ る。 第 二 に 、ABCに よ る 原 価 分 析 お よび 収 益 性 分 析 の 結 果 、 直 ちに 採 択 の 基 準 と して 利 用 す る の で は な く、 こ れ を長 期 的 ・戦 略 的 な 視 点 か ら、 収 益 の 改 善 、 原価 引 き下 げ努 力 を イ ニ シエ イ トす る とい っ た役 割 が 期 待 され る で あ ろ う。 戦 略 的 意 思 決 定 に は戦 略 的 原 価 分 析 の役 割 の重 大 性 が 論 文 な どで 指 摘 され て い る が 、 そ れ に は 長期 的 な視 点 と と もに、 意 思 決 定 に 存在 す る戦 略 的 要 素 を識 別 す る と い う役 割 を認 識 すべ きで あ る[Hansen&Mowen,1992,p.622]。 原 価 的 に は正 当化 さ れ る と して も、 そ の 戦 略 が 顧 客 や 競 争 会 社 、 下 請 業 者 等 に 与 え る(と くに 悪 い)影 響 が視 野 に 入 れ られ な けれ ば な らな い 。 そ う だ か ら とい って 、 戦 略 的 原価 分 析 が こ れ らの 影 響 要 因 を計 量 的 な 測 定 方 法 あ る い は 非 計 量 的 な方 法 な どの何 らか の方 法 で積 極 的 に取 り込 むべ き で あ る こ とを必 ず し も意 味 す る もの で は な い だ ろ う(7)。 こ の よ う な わ け で、 戦 略 的 意 思 決 定 に お い て 、ABCに よ る原 価 情 報 だ け で は不 十分 で あ る こ とは 言 う まで もな い が、 原価 情 報 が業 務 改 善 、 さ らに は 戦 略 的 意 思 決 定 に現 実 に どの よ うに利 用 し得 る か 、 ど の よ うに積 極 的 に貢 献 で き るか が 、 つ い に は 原 価 計 算 の 復 権 を 回復 で き るか ど うか の 試 金 石 に な る こ とは 間違 い な い と言 え るだ ろ う。 【注 】 (1)こ れ ま で のABCの 議 論 で は 、 ア ク テ ィ ビ テ ィ ・コ ス ト を コ ス ト ・オ ブ ジ ェ ク トに 集 計 す る さ い に 用 い る 基 準 を コス ト・ド ラ イ バ ー と 呼 ん で こ れ を 用 い て い る が 、CAM-1の 用 語 法 で は 、ア ク テ ィ ビ テ ィ ・ド ラ イ バ ー と コ ス ト ・ド ラ イ バ ー と を 区 別 し て 用 い て い る 。 そ れ に よ る と 、ABC に は 原 価 割 当 て の 視 点(costassignmentview;資 源 → ア ク テ ィ ビ テ ィ → コ ス ト ・オ ブ ジ ェ ク トの 流 れ)と プ ロ セ ス の 視 点(processview;コ ス ト ・ ド ラ イ バ ー → ア ク テ ィ ビ テ ィ → 業 績 尺 度 の 流 れ)と い う2つ の 視 点 が あ り 、 前 者 の 視 点 に ア ク テ ィ ビ テ ィ ・ ドラ イ バ ー を 後 者 の 視 点 に コ ス ト ・ ド ラ イ バ ー と い う 言 葉 を用 い て い る 。 そ の 場 合 、 ア ク テ ィ ビ テ ィ ・ ドラ イ バ ー は 「原 価 を ア ク テ ィ ビ テ ィ か ら 原 価 対 象 に 割 り当 て る た め に 用 い られ る フ ァ ク タ ー で 、 原 価 対 象 に よ る ア ク テ ィ ビ テ ィ の 利 用 の 頻 度 と集 中 度 の 尺 度 」、 コ ス ト ・ ド ラ イ バ ー は 「あ る ア ク テ ィ ビ テ ィ に つ い て 必 要 と さ れ る作 業 負 荷 お よ び 努 力 と 必 要 と さ れ る 資 源 を決 定 す る フ ァ ク タ ー 、 ま た は あ る ア ク テ ィ ビ テ ィ の コ ス ト を 変 化 させ る 原 因 と な る フ ァ ク タ ー 」 と 定 義 さ れ る[Raffish&Turney ,1991,p.57,58-59;Turney,1992,p.4・7]。 本 論 で は 、 従 来 の 用 語 法 に よ っ て い る 。 (2)ク ー パ ー は 、 製 造 間 接 費 を 生 産 量 に 比 例 し て 割 り 当 て る従 来 の 原 価 計 算 を ユ ニ ッ ト基 準 原 価 計 算(unit-basedcostsystems)と 呼 ん で い る 。[Cooper,1990,p.5] (3)キ ャ プ ラ ン は 、 ク ー パ ー の 取 り上 げ た4つ の レ ベ ル に 加 え て 、 製 品 系 列 レベ ル と工 場 レベ ル を 、 ス コ ッ ト と モ ロ ー は 会 社 維 持 の レ ベ ル を も 認 識 し て い る[Robinson,1990,p.8,12; Scott&Morrow,1991,p.49]o (4)こ の 公 式 は 、Hansen&Mowen[1992,pp.628-632]を 参 考 に し た 。 (5)ク ー パ ー は 設 備 レ ベ ル の 原 価 は 理 論 的 に はABCシ ス テ ム で は 製 品 に 割 り 当 て ら れ る べ き
で は な い[Cooper,1990,p.10]と す る もの の 、 恣 意 的 に 製 品 に配 賦 で き る もの と考 え て い る。 も し設備 が2種 類 以 上 の 製 品 を製 造 し て い るな ら、 こ の 原価 は付 加 価 値 基 準 で配 賦 され る と言 う [Cooper,1990,p.6;Cooper&Kaplan,1991,p.132]0 (6)わ が 国 は 、80年 代 の 多 品種 生 産 に対 応 し得 る 自動 化 に 成 功 して きた が 、 現 在 に 至 っ て、 自 動 化 ・省 力 化 が 必 ず し も最 善 の 方 策 で は な い こ と に も気 付 か れ て き た。 例 え ば 、 「特 定 の条 件 の も と で は 自動 生 産 は 非 常 に効 率 が い い。 だ が 、 工 程 の ち ょ っ と した 手 直 し で もシ ス テ ム 全 体 を い じ ら な くて は な らず 、 膨 大 な 時 間 と労 力 が か か っ て し ま う」 と言 う鈴 鹿 富 士 ゼ ロ ッ クス 社 の浜 口 健 生 産 技 術 部 長 の 弁 は 、 自動 化 導 入 につ い て 慎 重 で あ るべ き こ と を物 語 る も の で あ る(日 本 経 済 新 聞,1992.12.24付)。 (7)シ ャ ン ク と ゴ ビ ン ダ ラ ジ ャ ン は、 原料 供 給 業 者 や 競 争 相 手 に 与 え る戦 略 的影 響 分 析 を原 価 分 析 の 中 に積 極 的 に 取 り入 れ よ う と して い る[Shank&Govindarajanl.1989]。.一 【参 考 文 献 】 OlCooper,Robin,CostClassificationinUnit-BasedandActivity-Basedanuacturing CostSystems,"JournalofCostManagement,Fall1990,pp.4-14. 02andRobertS.Kaplan,"ProfitPrioritiesfromActivity-BasedCosting,"Harvard BusinessReview,May-June1991,pp.130-135. ③Hall,RobertW.,H.ThomasJohnson,andPeter・B.B.Turney,MeasuringUp: ChartingPathwaystoManufacturingExcellence,RichardD.Irwin,Inc.,1991. ●Hansen,DonR.andMaryanneM.Mowen,ManagementAccounting,2nded., South-WesternPublishingCo.,1992. ⑤Hirsch,MauriceL,Jr.andMichaelC.Nibbelin,"lncremental,Separable,Sunk, andCommonCostsinActivity-BasedCosting",JournalofCostManagement,Spring 1992,pp.39-47. OLewis,RonaldJ.,"Activity-BasedCostingforMarketing",ManagementAccounting, Nov.1991,pp.33-38. ⑦Raffish,NormandPeterB.B.Turney(editors),"GlossaryofActivity-Based Management",JournalofCostManagement,Fa111991,pp.53-63. ⑧Robinson,MichaelA.(editor),"ContributionMarginAnalysis:NoLongerRele-vant/StrategicCostManagement:TheNewParadigm,"(APanelPresentedatthe1989 AnnualMeetingoftheAmericanAccountingAssociation)JournalofManagement AccountingResearch,Fall1991,pp.1-32. 09Scott,PeterandMikeMorrow,"Activity-BasedCostingandMake-or-BuyDecisions "J ournalofCostManagement,Winter1991,pp.48-51. ioShank, .JohnK.andVijayGovindarajan,StrategicCostAnalysis:TheEvolutionfrom ManagerialAccouting,RichardD.Irwin,Inc.,1989. ⑪ 志 村 正 稿 「活 動 基 準 原 価 計 算 に 対 す る 若 干 の コ メ ン トー 製 品 意 思 決 定 に 関 連 し て 一 」,『 情 報 研 究 』(文 教 大 学 情 報 学 部),第11号,1990年12月,15-27頁 。 ⑫ 一 一 判 稿 「貢 献 差 益 法 と 活 動 基 準 原 価 分 析 」,『 情 報 研 究 』(文 教 大 学 情 報 学 部),第12号,1991 年12月,61-73頁 。 一120一
⑬ 稿 「活 動 基 準 原 価 計 算 に 対 す る 一 提 言 」,『 企 業 会 計 』,第44巻 第5号,1992年5月 号, 91-96頁 。 14Tatikonda,LakshmiU.,"ProductionManagersNeedaCourseinCostAccounting," ManagementAccounting,June1987,pp.26-29. ⑮Turney,PeterB.B.,"Activity-BasedCosting,"inKeller,DonaldE.,JamesBulloch andRobertL.Shultis,ManagementAccountants'Handbook,4thed.,JohnWiley& Sons,Inc.,1992,Chapter4.