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多重比較法を用いた組織研究力の類似性比較に関する一考察 -共著分析による組織研究力の定量的評価-

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多重比較法を用いた組織研究力の類似性比較に関する一考察

-共著分析による組織研究力の定量的評価-

日本大学 水上祐治

中央大学 中野純司

1.

はじめに

共著分析の組織研究力の評価指標として MM-index [1] がある。この指標は、組織研究力を個 人の研究力の積み重ねとして捉え、個人と組織の研究力の関係を示して、研究者と組織の評価の 両方で用いることが可能である。一方、MM-index では、それら研究力を多角的に評価する必要 があり定量的な評価には対応できていない問題がある。本稿では、MM-index の評価結果をもと にして、組織の研究力の類似性を定量的に示すことを目的として、多重比較法を適用して、共著 分析の組織研究力の定量的評価を試行するものである。分析例では、2016 年のビッグデータ関連 の査読論文を分析対象として国別比較を行った。なお、データソースとして、Clarivate Analytics 社の書誌データベースWeb of Science [2] を用いた。

2.

共著分析と異分野融合度の測定

本稿では、共著分析を用いる。共著分析は、個人の業績審査に適応可能であり、例えば、協力 関係にある機関の研究員との共同研究がどの程度行われているかを把握することが可能である [3]。Mizukami et al. (2017) [4][5] は、研究者の専門分野を客観的に定義することを目指し、共 著分析をもとにした専門分野の導出手法 MM-Index を定義した。表 1 に本稿で用いた研究分野 の分類を示す。なお、この分類は、WoS に掲載の Essential Science Indicators Subject Areas [2] を元にしている。 (a) 分野表示 (b) 簡易版の分野表示 図 1 研究者の専門分野とその応用分野の一 例 表 1 本稿の研究分野の分類 番 号 内訳 番号 内訳 1 農学 13 微生物学 2 生物学 & 生化学 14 分子生物学 & 遺伝 学 3 化学 15 総合 4 臨床医学 16 神経科学 & 行動 5 CS 17 薬理学 & 毒物学 6 経済学 & ビジネス 18 物理学 7 工学 19 植物 & 畜産学 8 環境/生態学 20 心理学/精神医学 9 地球科学 21 社会科学・ 一般 10 免疫学 22 宇宙科学 11 物質科学 23 人文科学 12 数学 CS: コンピュータ ーサイエ ンス 図 1 (a) に研究者の専門分野とその応用分野の一例を示す。研究者 A の発表論文は、数学分野

A

専門分野 応用分野 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 19 20 21 22 23 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 19 20 21 22 23

(2)

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⑫が 2 稿、臨床医学分野④が 1 稿、経済学 & ビジネス分野⑥が 1 稿、総合分野⑮が 1 稿であっ た場合、研究者A の専門分野は、数学分野であり、その集中度は、40%であるとするものである。 集中度が高い場合、その研究者は、専門分野の研究に集中していると考えられる。一方、集中度 が低い場合、その研究者は、専門分野の研究成果を他の分野に応用していると考えられる。 組織の専門分野とその応用分野は、図 1 (a) で示した各研究者の情報を元に、組織に所属する 研究者の情報を重ねて、組織の研究力と異分野融合を示すことができる。しかし、図 1 (a) で示 した各研究者の情報は、中央に示した各研究者を介さないと各研究分野のつながりを示すことが できず、そのつながりが明確でない。そこで、当該手法では、まず、各研究者の情報を分野間の 情報のみに組み替えた簡易版の研究者の分野表示手法を用いる。図 1 (b) に簡易版の研究者の分 野表示手法の一例を示す。

3.

本稿が提示する手法

Mizukami et al. (2017) [6] の MM-index では、定量的な評価には対応できていない問題があ る。本稿では、MM-index の評価結果をもとにして、組織の研究力の類似性を定量的に示すこと を目的として、ボンフェローニの多重比較法を適用して、共著分析の組織研究力の定量的評価を 試行する。式 1 にRNDBab (Ratio of significant differences between Organizations a and b) を示す。

RNSD%,'= 𝑑𝑑%,'

(𝑛𝑛,2− 𝑛𝑛+ 𝑛𝑛)=

2𝑑𝑑%,'

𝑛𝑛,+ 𝑛𝑛 (1)

RNSD%,': Ratio of significant differences between a

and b

a: Organization

b: Organization

𝑑𝑑%,': Significant differences between a and b

𝑛𝑛: Number of research fields (In our case, it is 23.) 𝑑𝑑%,' = 1 1 21 , 𝑖𝑖𝑖𝑖 𝑎𝑎 > 𝑏𝑏 𝑎𝑎𝑛𝑛𝑑𝑑 𝑖𝑖:≤ 𝑖𝑖< 𝑎𝑎𝑛𝑛𝑑𝑑 𝑝𝑝(a, b, 𝑖𝑖:, 𝑖𝑖<) ≤ 𝑠𝑠' 0 , 𝑖𝑖𝑖𝑖 𝑜𝑜𝑜𝑜ℎ𝑒𝑒𝑒𝑒𝑠𝑠 G HIJK G HLJK (2) 𝑖𝑖:: Research field 𝑖𝑖<: Research field

𝑝𝑝(a, b, 𝑖𝑖:, 𝑖𝑖<): Test result between 𝑖𝑖: and 𝑖𝑖< (Research

fields) of between a and b (Organizations)

𝑠𝑠': Bonferroni’s Significance level

𝑠𝑠'= 𝑠𝑠

(𝑛𝑛,2− 𝑛𝑛+ 𝑛𝑛)=

2𝑠𝑠

𝑛𝑛,+ 𝑛𝑛 (3)

𝑠𝑠: Significance level (In our case, it is 0.05)

𝑝𝑝(𝑎𝑎, 𝑏𝑏, 𝑖𝑖:, 𝑖𝑖<) = prop. test(𝑐𝑐(𝑎𝑎, 𝑖𝑖𝑙𝑙(𝑎𝑎, 𝑖𝑖:, 𝑖𝑖<)

:)𝑐𝑐(𝑎𝑎, 𝑖𝑖<) ,

𝑙𝑙(𝑏𝑏, 𝑖𝑖:, 𝑖𝑖<)

𝑐𝑐(𝑏𝑏, 𝑖𝑖:)𝑐𝑐(𝑏𝑏, 𝑖𝑖<)) (4)

l: Number of links (Organization, Research field,

Research field)

c: Number of articles/researchers (Organization,

Research field)

4.

適用例

4.1. 分析データ 分析例では、2016 年のビッグデータ関連の英語で書かれた査読論文を分析対象とした。 図 2 に2016 年のビッグデータ関連の査読論文の数 (上位 10 ヶ国)と MM-Index の分析結果を示 す。アジアからは、中国、オーストラリア、韓国、そして、日本が入っている。EU からは、UK、 ドイツ、イタリア、スペインが入っている。北米からは、アメリカ、カナダが入っている。そし て、上位 2 のアメリカと中国が、全体の 59.71%を占めており、ビッグデータ関連分野では、ア メリカと中国での研究が活発であることが示されている。なお、2016 年当時の状況に関して、

(3)

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UK は、EU の加盟国として示す。

論文数:894 論文数:625 論文数:242 論文数:140 論文数:137

① USA ② China ③ UK ④ Australia ⑤ Germany

論文数:127 論文数:118 論文数:95 論文数:95 論文数:71

⑥ Canada ⑦ South Korea ⑧ Italy ⑨ Spain ⑩ Japan

図 2 2016 年のビッグデータ関連の査読論文に関する MM-Index の分析結果 (上位 10 ヶ国) 4.2. 分析結果 図 3 に本稿が提示するRNDB での分析結果を図 3 に示す。ビッグデータの関連分野の国際比 較を行ったところ、日本、オーストラリア、カナダ、韓国、イタリア、ドイツの研究共著者関係 は類似していることが示された。 図 3 2016 年のビッグデータ関連の査読論文における国別近似度(上位 10 ヶ国) 日本との類似性が高い国は、高い方からドイツとオーストラリアが 3.26%、次にカナダが 3.99%、 韓国が 4.35%、イタリアが 4.71%であった。その他、2国間貿易で類似性の高い国は、UK とオ ーストラリアが1.45%、イタリアと韓国が 3.99%であった。

10

6

5

7

8

4

3

Japan Italy Canada Australia UK Germany South Korea 3.99% 3.99% 1.45% 3.26% 4.71% 4.35% 3.26% 5.43%

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5.

まとめ

MM-Index の分析結果の特徴は、専門分野間の接続における最大値に基づいて各接続線の太さ を決定することにある。 一方、各専門分野の研究者数は異なるため、つながりの強さを評価する 際には、各専門分野の研究者数と専門分野間のリンク数の両方を考慮した比較が必要となる。 本稿では、この問題の解決を目的として、多重比較法を適用した式を提示した。この式では、 各専門分野の研究者数から最大接続数を計算し、実際の接続数を比率に変換することで、この問 題を回避することができた。 今後の研究の方向性は2つある。まず、分析事例を増やし、それら手法の効果を検討すること である。次に、それら手法の適用範囲を広めることである。

謝辞

本研究は JSPS 科研費 JP17K04710、統計数理研究所共同研究プログラム(2019-ISMCRP-1026)の助成を受けけたものです。

参考文献

[1] Yuji Mizukami, Keisuke Honda and Junji Nakano, Study on Research Trends on the Internet of Things Using Network Analysis, International Journal of the Japan Association for Management Systems, Vol.10, No.1, pp.37-45 ,2018

[2] Clarivate Analytics, Essential Science Indicators Subject Areas

<http://incites.isiknowledge.com/common/help/h_field_category_esi.html> (最終 アク セス: 2019 年 4 月 10 日) [3] 根岸正光, 山崎茂明, 「研究評価―研究者・研究機関・大学におけるガイドライン」, 丸善、 2001 [4] 藤垣裕子, 平川秀幸, 富澤宏之, 調麻佐志, 林隆之, 牧野淳一郎,「研究評価・科学論のための 科学計量学入門」、丸善、2004

[5] Yuji Mizukami, Keisuke Honda, Shigenori Suzuki, Junji Nakano, Akira Otabe, Co-author Information and Authors’ Affiliation Information in Scientific Literature Using Centralities -The Researchers who Act as Mediators between Organizations-, International Journal of the Japan Association for Management Systems, Vol.8, No.1, pp.1-8, 2016

[6] Yuji Mizukami, Yosuke Mizutani, Keisuke Honda, Shigenori Suzuki, Junji Nakano, An International Research Comparative Study of the Degree of Cooperation between disciplines within mathematics and mathematical sciences: proposal and application of new indices for identifying the specialized field of researchers, Springer, Behaviormetrika, Vol.1, 19 pages, On-line, 2017

図   2 2016 年のビッグデータ関連の査読論文に関する MM-Index の分析結果   ( 上位 10 ヶ国 )  4.2. 分析結果  図   3 に本稿が提示する RNDB での分析結果を図 3 に示す。ビッグデータの関連分野の国際比 較を行ったところ、日本、オーストラリア、カナダ、韓国、イタリア、ドイツの研究共著者関係 は類似していることが示された。 図   3   2016 年のビッグデータ関連の査読論文における国別近似度 ( 上位 10 ヶ国 )  日本との類似性が高い国は、高い方からドイ

参照

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