総
説
農 薬 製 剤 と 粉 体 工 学
岡
田
隆
夫*
Takao Okada 昭 和52年9月16日 受 理 *日 本 農薬 (株) 大 阪工 場 (〒555 大 阪市 西淀 川 区 佃5-1-34) TEL 06-473-0021 1 農 薬 と 粉 粒 体 農 薬 製 剤 1.1 農 薬 とは 農薬 とは 「農 作物 (樹木, お よび 農林 産 物 を 含 む) を 害 す る菌, 線 虫, ダ ニ, 昆 虫, ね ずみ, そ の 他 動植 物, ま た は ウイ ル ス の防 除 に用 い られ る殺 菌 剤, 殺 虫剤, そ の他 の薬 剤, お よび農 作 物 の 生 理機 能 の増 進, また は抑 制 に用 い られ る成 長 促 進 剤, 発 芽 抑 制剤, そ の 他 の 薬 剤 」 (農薬 取 締 法第1条 抜 粋) と定 義 され てい るが, 市 販 され て い る 農薬 は一 般 に は 二 つ の過 程 を 経 て 造 られ て来 る。 す なわ ち, 農薬 と しての 活 性 を も った 化 合 物 (農 薬原 体) を主 と して 化学 的方 法 で 得 る過 程 と, 次 に農 薬 原 体 を 使 用 に適 した 形 に主 と して物 理 的 な 方 法 で加 工 し, 農 薬 製剤 とす る過 程 で あ る。 原 体 は 粉 粒 の形 を取 る こ とは 比 較 的少 な く, ま た, そ の性 能 は 生 物 に対 す る直 接 的 な 活 性 に よ り決 ま るの で, 粉 体 化 学, あ る い は工 学 の 観 点 か ら特 に論 ぜ られ る こ とは な い。 こ れ に対 し, 製剤 は Table 1に 示 す 最 近 の 統計 か ら も分 る よ うに, 生 産 数 量 の87%は 粉粒 体 で あ り, そ の 粉粒 体 と しての 特 性 は, 農薬 の性 能 (有 効 さ, 使 いや す さ) を大 き く左 右 す るの で, 粉 体 工 学 の対 象 と な る大 きな 領域 といえ よ う。 1.2 粉 粒体 農薬 製 剤 とそ の 概 要1∼3) 1.2.1 水和 剤 (水溶 剤) 水 で1,000倍 程 度 に希 釈 して 使 われ る剤 で, 安定 な懸 濁 液 を得 るた め, 農 薬 製 剤 の 中 で は も っ と も粒 子径 の小 さな種 類 に 属 し, 平 均 粒 径 は5μ 以 下 が 好 ま しい。 製 剤 の50∼90%が 原 体 で, ほ か に増 量 剤, 界 面 活 性剤 な ど を 加 え, 混 合 粉 砕 して 造 られ る 。 剤 全 体 が水 に溶 け る よ うな場 合, 製 剤 は 水 溶剤 と呼 ば れ, 粒度 分 布 は あ ま り重 要 で な い。 1.2.2 粉 剤 散 粉機 を用 い て, そ の ま ま植 物 の茎 葉 に 処 理 され る剤 で, した が って原 体 の 含 ま れ る割 合 は一 般 に0.1∼5%の 範 囲 で, 他 は増 量 剤 と少 量 の 添 加剤 が 占め る。 農薬 検 査 所 の 基 準 で300メ ッシ ュ (44μm) よ り小 ざ い粒 度 の剤 とな っ てい るの で, これ を上 限 と して 平均 粒 径5∼20μmの もの が使 わ れ てい るが, 平 均 粒 径 が20μm. 以 上 で あ る こ とを一 つ の条 件 とす る 有DL粉 剤 と呼 ば れ る もの も あ る。 これ は微 粉 の ド リフ ト (漂 流) を 少 な くす る こ とを意 図 した もの で あ る。 製 造 は水 和 剤 と同 じ く, 原 料 を混 合 粉 砕 して 行 な われ る。 1.2.3 微 粒 剤F 前 項 の粉 剤 と同 じ使 い 方 をす る剤 で あ るが, 粉 剤 で避 け る こ との で きな い微 粉 の ドリフ トを 抑 制 す る 目的 の製 剤 でTable 2の 規 格56)に見 る とお り, 粒 度 は か な り大 き くな る。 製 剤 中 に 占め る原体 と増 量 剤 の 比 率 は粉 剤 と 同 じで あ るが, 単 な る粉 砕, 混 合 だ け で は 効 果 がす ぐ れ, 規 格 に も合 うもの は得 られ ず, 混 練, 造粒, 乾 燥, 飾 別 とい った プ ロセス も 必要 に な るの で, 製 造 コス トは 高 くな る。 農薬 の ドリフ トは, 住 宅 地 な どにご無 用 の汚 染 を もた ら す ほ か, 散 布 作 業 従事 者 の健 康 に も害 を及 ぼ す ので, こ の剤 の存 在 意 義 は大 き いが, コス ト高, 農家 の 不 慣 れ か ら今 は使 用 量 が 少 な い。 1.2.4 粒 剤 この剤 は 今 まで述 べ た剤 と異 な り, 直 接 植 物 体 に 与 え ず, 田や 畑 の 水, 土壌 に処 理 し, そ こか ら植 物 の根 を経 由 した り, ガス 体 とな っ て植 物 に 移 行 して作 用 を発 現 さ せ る使 い方 が 主 に な る。 した が って作 物 に は付 着 せ ず, 地面 や 田面 に 均 一 に散 布 しや す い よ うな粒 度 に な って お り, 農 薬 検査 所 の基 準 は48∼10メ ッシ ュ (297∼1680μm) で あ るが, 市 販 製剤 は この 範 囲 の 中 で, 農 薬 の 種 類 に 応 じて適 当な 粒度 に調 節 され て い る 。 一 般 には32メ ッシ ュ (500μm) か ら, 16メ ッシ ュ (1000μm) の 範 囲 に 入 る も のが 多 い 。 製 剤 中 の 原 体 は1∼20%で, ほ か に結 合 剤, 増 量剤 な どが 含 まれ る。 製造 法 は大 き く二 つ に分 け られ る。 一つ はす べ ての 原料 を粉 砕, 混 練 し, 押 出 し造 粒 す る も の で, 他 は石 灰岩 や軽 石 な どを 粉 砕, 飾 別 して得 た粒 基剤 に 原 体 を被 覆, あ るい は含 浸 して 製 品 とす る。 1.3 粉 粒体 製 剤 の 原料 688 (22) 粉 体 工 学 研 究 会 誌Table 1 製 剤 形 態 別 生 産 数 量 ・金 額 (農 林 省 統 計) 単 位:t、 kl、 100万 円 Table 2 微 粒 剤Fの 規 格 (全 農56)) Table 3 粉 粒 体 農 薬 製 剤 に 用 い ら れ る 増 量 剤 の 分 類 (Watkinsら4)) 1.3.1 増 量 剤 前 節 で 述べ て来 た が, 水和 剤 を 除 い て製 剤 中 の80か ら 90数%は 増 量剤 が 占め るの で, 製剤 の特 性 は 増 量剤 に大 き く支 配 され る。 増 量 剤 は 業 界 で は キ ャ リヤ ー (Carrier) と総 称 され るが, 使 わ れ 方 に よ り担 体 とか, 希 釈 剤 と呼 ぶ こ とが ふ さわ しい場 合 もあ る。 Table 3にWatkinsら4)に よ る増 有量剤 の分 類 を示 す
が, 日本 で は 植 物粉 は ほ とん ど使 わ れ る こ とは な く, 炭 酸 カ ル シ ウ ム, タ ル ク, 粘 土 鉱 物類, 軽石 な どが よ く使 わ れ て い る。 表 の ほ か では 合 成 含 水 ケ イ酸 が よ く使 わ れ る。 これ ら増 量 剤 は 用 い られ る製 剤 に よ り, 所 定 の 粒 度 や そ の他 の粉 体 特 性 を備 え る こ とが 要 求 され るが, 化 学 的 に は配 合 す る農薬 原体 と, 化 学 反 応 を起 こ して分 解 させ る こ との ない もの を選 ばね ば な らな い 。 この農 薬 の 分 解 と増 量 剤 粒 子 表 面 の 特 性 につ いて は 多 くの研 究 が あ り, 表 面酸 性5∼8), 水 分 吸 着 能9,10), ア ンモ ニ ア吸 着 能9), 塩 基 置 換 容 量9∼11), 全 塩 基 性9,10) quarts含 量11), 分 別溶 解 法 に よ る非 晶質 減 量, 鉄 含 有 量12)など と相 関 が あ るの で, これ らを指 標 と して良 質 の もの を選 ぶ 必 要 が あ る。 1.3.2 添 加剤 い ろい ろ の 目的 で製 剤 に は 添 加剤 が加 え られ るが, 粉 体 特 性 の 調節 に用 い られ る もの と して, 粒 子 間 の 凝集 力 や 摩 擦 を 減 ず る 目的 でPAP (ジ お よび モ ノ イ ソ プ ロ ピ ル りん 酸 混合 物), 脂 肪 酸, ス テ ア リン酸 カル シ ウ ム, 含 水 ケ イ酸 な ど, 粒 子 を 凝 集 させ るた め の高 粘 度 炭 化水 素, 水 に 対 す る濡 れ を よ くす る各 種界 面 活 性 剤, 水 中 で 粒 子 を安 定 に 懸濁 させ る 目的, お よび造 粒 時 の結 合剤 と して ポ リビ ニル ア ル コ ール ・リグ ニ ンスル ホ ン酸 塩 粒 粉剤 を水 中 で 崩壊 させ る界 面 活 性剤, 無 機 電 有解質 な どが知 られ, 実 際 に 使 わ れ て い る。 Zacher 効 果: 化学 的 に不 活 性 な 粉 体 を昆 虫 に 散 布 す る と殺 虫 作用 が現 わ れ る現 象 で, そ の機 構 と して 粒子 に よ って 表 皮 が傷 つ け られ, 水 分 が体 外 に拡 散 す る こ と が考 え られ て い る。 Table 4 ツ マ グ ロ ヨ コバ イ に 対 す るMTMC 2.0%粉 剤 の 主 剤 粉 砕 法 別 効 果 (鎌 田 ら17)) 注: Pは パ ルペ ラ イ ザ ー 、 Jは ジ ェ ッ トマ イザ ニ 、 下 つ き数 字 は 粉砕 回 数 を示 す 。 2. 製 剤 の 品 質 と 粉 体 特 性 有 害 生 物 の 防 除 効果, 使 用 の しやす さ, 農 薬 に よ る危 害 の起 こ りに く さな ど農 薬 製 剤 に とっ て 望 ま れ る品質 は, その 多 くが粉 体 特 性 と深 くか か わ り合 っ て い る の で, これ らを概 観 して み た い 。 2.1 粒 度 と防 除 効 果 散 布 され た 農薬 が 有 害 生 物 に作 用 す る まで に は 農薬 の 種 類 や処 理 方法 で異 な るが, 水 や 昆 虫 体 液 へ の溶 解, ガ ス 化, 植 物 や昆 虫 表 皮 へ の 付 着 ・浸 透 な どの過 程 の一 つ 以 上 を経 な けれ ば な らな い 。 これ ら は薬 量 が 同 一 で あ る な ら, よ り表 面 積 が 大, 粒 子 数 が大 で あ るほ ど有 効 に達 成 され る こ とは 明 らか で あ るの で, 粒 子 径 が 小 さい ほ ど 防 除 効 果 の す ぐれ る こ とは 容易 に想 像 され る。 事 実 多 くの研 究 が イ オ ウ12,13), オ キ シ塩 化 銅14), ア ソ メ ー ト15), NAC・MPMC・DDT・SD-844716)・MTMC ・MII)C・CPMC・ カ ー バ ノ レー ト17)・Mobam・OMS- 1028・OMS-1197・Iodofenphos18),PH60-38・PH60-4019), EDDP20), Chlorothalonil21,22), 本 来, 生物 活 性 は ない が “Zacher効 果11)*で 虫 を殺 す カ ーボ ラ ンダ ム 23・24), ベ ン トナ イ ト25)などに つ い て, これ らの粒 子 が 直 接 植 物 や 昆 虫 に付 着 す る剤 型 (粉剤, 微 粒 剤, F. 水 和 剤) で, そ の想 像 の正 しい こ とを証 明 して い る。 そ の 一 例 をTable 4に 示 して お く。 しか し, 次 の よ うな 側 面 も考 え る必 要 が あ る。 効 果 を 長 く持 続 させ るた め に は小 粒 径 は 好 ま し くな い17)。 本 来 保護 す べ き 植 物 に対 す る副 作 用 “薬 害 ”26), 製 剤 中 の 原体 の分 解27)の大 き さは,粒 の 細 か さに比 例 す る とい う例 も農薬 の種 類 に よ って は起 こ って い る。 章 を 改 め て論 ず るが, 粉 剤 の ド リフ ト ・均 一 な 散 布 の 点 か ら は小 粒 子 の 含量 は少 ない 方 が よい。 した が って製 剤 の粒 度 は, 農薬 の種 類 ご とに これ ら の す べ て と, 生産 の経 済 性 も研 究, 考 慮 して決 め る必要 が あ る。 前 節 で述 べ た 粉 剤 や 水和 剤 の粒 度 は, これ ら研 究 の最 大 公 約数 を示 してい る と考 え て良 い。 これ に対 し, ドリフ トに よる農 薬 公 害 の 回避 を第 一 義 に 考 え た微 粒 剤 Fは, 粒 径 を まず, 62∼210μmと 規 定 した の で, 効果 を 考 え る と最 適 では な く, これ を解 決 す るた め に製 剤 と し 690 (24) 粉 体工 学 研 究会 誌
て の粒 径 は大 きい が, 散 布 され た 後 は 原 体 だ け は小 粒 径 と して 挙 動す る よ うな 工夫28)で必 要 な性 能 を維 持 しなけ れ ば な らな い 。 一 方 , 植物体に直接散布 され ることな く, 土壌や水を 介 して農 薬 成 分 が植 物 体 に移 行 す る粒 剤 の場 合 は, 一般 に粒 度 の効 果 は 茎 葉散 布 剤 (粉剤 な ど) にご比 べ 少 ない 。 特 に水 田水 中 に 処 理 され る粒 剤 の 場 合, 水 中 で崩 壊 す る よ うに してお け ば, 粒 剤 そ の もの の 粒 径 は難 し く考 え る 必 要 は な い。 水 の 少 な い畑 地 に処 理 され る場 合 は比 較 的 効果 は粒 度 に依 存 す る。 エ ン ドリン29,30), Aldicarb31), Dazomet32), リニ ュ ロ ン, SAP・ プ ロメ ト リン,ベ ンチ オ カ ー ブ33)などの 粒 剤 に つ い て の報 告 が あ り, いず れ も 小 粒 径 の もの ほ ど有 効 で あ る と してい るが, 散 布 の しや す さか ら48メ ッシ ュ (297μm) 以 下 は好 ま し くな い。 最 後 に, ア メ リカで は 農 業形 態 や 散 布 装 置 が 異 な る の で 製 剤 に 要 求 され る特 性 も当然 違 っ て くるが, 製剤 の粒 度 に つ い て, Polon34)は 次 の よ うに い っ てい るの で 紹介 してお く。 “ 剤 は30∼50μm, 平 均40μm, 水 和 剤 は1 ∼3μm, が 望 ま しい。 粒 剤 とは80∼4メ ッ シ ュ (177∼ 4760μm) の剤 で あ る。 Fig. 1 粉剤 の分 散 性 測定 装 置 2.2 粉 剤 の 吐 粉 性 ・分 散 性 粉 剤 (お よび そ の変 型 と して の 微粒 剤F) は, 粉 を そ の ま ま散 布 装 置 で均 一 に植 物 (主 と して 水 稲) 表 面 に分 布 させ る こ とが まず 必要 で あ るが, 散 布 装置 か ら必 要 な 量 が ス ム ース に 排 出 され る性 質 を 吐 粉 性, そ して排 出 さ れ た 粉粉剤 の粒 子 が よ く分散 して均 一 に 植 物 表面 を覆 う性 質 を 分 散性 と呼 び, 粉 剤 の基 本 的 な特 性 で あ る。 これ らの 特 性 は, 他 の 粉 体 工業 分 野 で の ホ ッパ ーか ら の排 出 や 輸 送 に お け る流 動 な どを支 配 す る特 性 と同 じで あ り, 基 本 的 に は粒 子 同志 の 凝 集 性 と摩擦 力 にこよ り載決 ま る 。 凝 集 の少 な い 粉 体 は吐 粉 性 も良 く,均 一 に 分 散 す る。 したが っ て, 粒 径 が62∼210μmと い う微 粒 剤Fで は 吐 粉性 や分 散 性 を め ぐる 問題 は起 こ らな い が, 平 均10 μm前 後 の も のが 多 い粉 剤 で は 粉 の凝 集 力が 強 く, これ らの 特 性 を 良好 に保 つ た め に種 々 の研 究 が な さ れ てい る。 散 布 装 置 か ら の実 際 の 吐 粉 量 を よ り単 純 な 粉 体 特性 か ら予 測 す る こ とが 行 なわ れ て い るが, 竹 田 ら35,36), 小 竹 森 ら37)は, 安 息 角 (積粉 角) が 小 さい もの が 吐 粉 性 が良 く, 凝 集 力 が 吐粉 性 に影 響 を 及 ぼ して い る こ とを 示 し, 中村 ら38)は粉粉剤 の筋 通過 時 間 が か な り吐粉 性 を予 測 す る 指 標 とな るが, よ り確 実 に知 るに は, 後述 す る 「分 散指 数 」39)と見 掛 比 重 を 組 み合 わ せ る方 が よい と 述 べ て い る。 石 井 ら40)は, Floridin Co. のFlowability Testerの 示 す 流 動性 と吐 粉 容 量 の 関 係 を調 べ た が, 一 定 の関 係 を 見 い 出 せ な か った 。 よ り実 際 的 な 吐粉 容 量 を 標 準 化 され た 条 件 で 測定 す る 一 法 と して, 農薬 工 業 会 は 粉剤 漂準 試 験 機 と, そ の取 扱 い 基 準 を 農 業技 術 研 究 所 に委 嘱 して定 め て い る41)。 分 散 性 に つ い て は, 鈴 木 ら42,43)が各種 増 量 剤 の ガ ラス
面 や 植 物 葉面 へ の付 着 状 態 の観 察 と凝 集 力 の測 定 か ら, 凝 集 力 の 強 い粉 体 は 分 散 状態 が悪 い とい う関 係 を見 い出 して い るほ か, 分 散 性 は粉 体 の真 比 重, 見掛 比 重 に比 例 し, 水分 に逆 比 例 す る44), 粒 度 に比 例 し, 安 息 角 か らは 予 測 で き な い39)などの報 告 をみ る こ とが で き るが, 粉 剤 を 分 散 させ る散 布 装 置 の構 造 に よ り加 え られ る衝 撃 力 が 異 な り, 分 散 状 態 は変 わ っ て くるの で, 実 際 の分 散 状 態 の予 測 は簡 単 で は な い 。 現 在, 業 界 で 採 用 され て い るの は, 上 田39)の考 案 に な る方 法 で, Fig. 1の よ うな 装 置 の グ ラス フ ィル タ ー中 に 試料10gを 入 れ, 35l/minで15秒 間空 気 を 通 した と き飛 散 す る試 料 の百 分 率 を 「分 散 性 」 あ る いは 「分 散指 数 」 とす る もの で あ る。 凝 集 力 の 小 さい試 料 は ほ とん ど 100%飛 散 して しま うが, 農 薬 粉剤 と して 適 当 な分 散 指 数 は30∼50と 考 え られ る。 分 散 の 良す ぎ る粉 剤 は, 微 粉 の ドリフ トが 多 くな った り, 散 布 装置 か らの 吐 出量 が多 くな りす ぎて散 布 作 業 が 困 難 に な る。 2.3 糧剤 の付 着 と固 着 散 布 装 置 か ら植 物 体 に 向 った粉 剤 が, よ り多 くそ して 均 一 に 対 象 に付 着 す る こ と, そ して その 付 着 が 強 くて脱 離 し難 い こ と, す なわ ち付 着性 と固着 性 の 良 い こ とが 次 に望 まれ る。 付 着 量 は粉 剤 粒 子 の 付 着 面 に対 す る衝 突 率 と, 粉-付 着 面 間 の 付着 力 との 積 で 決 ま るはず であ る。 付着 面 は最 初 は 植 物 の表 面 その もの で あ るが, 一 度 表 面 が粒 子 で覆 わ れ れ ば, 粒 子 同志 の 付 着, す なわ ち凝 集 力 に支 配 され る こ とに な る。 鈴 木 ら42,43,45)は粉 剤 の 付 着 に影 響 す る諸 因 子 と付 着 の 機 構 に つ き実 験 し, あ る仮 定 の も とで, 付 着 量 は衝 突 率 に 関す るAlbrechtの 式 で 説 明 で き るの で, 衝 突率 は付 着 の大 き な因 子 で あ る と述 べ てい る。 Albrechtの 式 α=1/1+1.06(KR/V) K=9μ/2 ρa2 α: 衝 突 率, a: 粒 子 の 半 径, μ: 空 気 の 粘 度 ρ: 粒 子 の 密 度, V: 無 限 遠 流 速 R: 衝 突 面 を 円 柱 と し た 時 の 半 径 Fig. 2 地 上 散 布 に お け る粉 粒 製 剤 の 粒径 と飛 散 距 離 (九 州 病 害 虫 防除 推 進 協 議 会50)) この式 は, 小 さ く軽 い粒 子 ほ ど空 気 の 流 れ に乗 っ て付 着 面 を迂 回 して飛 び 去 って 行 くこ とを 意 味 して い るか ら 分 散 が悪 く, 見 掛 け上, 粒 子 が 大 き くな って い る粉 剤 ほ ど衝 突率 が 高 く付 着 も多 い こ とに な る。 分 散 の悪 い 粉 剤 は また, 凝 集 力 も強 いの で 一 度 付着 した 粉 の 上 に さら にご 付 着 しや す い と考 え られ るが, この よ うな 付 着 は不 均 一 で, 単 に 付 着量 が増 して もそ れ に比 例 して農 薬 の 効果 が 上 るか は 疑 問 で あ る。 固着 性 は, 雨 に よる流 亡 と風 に よる衝 撃 に対 す る抵 抗 で決 ま るの で, 粒 子 の 付 着 力 の ほ か に粒 子 の 疎 水性 も関 係 して くる 。 小 田 ら44,46)は, 市 販 の 粉剤 と増 量 剤 に つ い て, 固 着 度 や そ の 他 の特 性 を 測 定 し, 付 着 度 と固 着 度 に は相 関 が あ り, 増 量剤 の種 類 で は タ ル クやパ イ ロ フ ィ ライ トで大 き く, ケ イ そ う土 で 劣 る こ とを報 告 して お り, 鈴 木 ら47)は 物 理 性 の異 な る数 種BHC粉 剤 を 用 い て, 圃場 で実 際 に 殺 虫 試験 を行 ない, 水 中 懸濁 性 の安 定 した ベ ン トナ イ ト を増 量剤 と した もの は 雨 に流 され や す くて殺 虫 効果 が 劣 った と述 べ て い る。 2.4 粉 剤 の ドリフ ト (漂流) 最 近 いわ ゆ る “農薬 公 害 ” に対 す る社 会 の関 心 が 高 ま り, さま ざ ま な側 面 か ら農 薬 の悪 影 響 が 議論 され て い る が, そ の一 つ に 粉剤 を散 布 した 時 に微 粉 が大 気 中 を ド リ フ ト (漂流) して, 散 布 作 業 従 事 者 に 吸 入 され た り, 農 地 を離 れ た 一般 住 民 の健 康 と生 活 環 境 を 害す る とい う問 題 が あ る。 ド リフ トは 当 然 の こ となが ら空 気 中 の粒 子 の 落 下 速 度 に 関 係す るの で, 粒 子径 の小 さい ほ どそ の度 合 は 高 く, そ の 実 態 に つ い て は粒 子 径 と, 飛 散 距 離48∼50), 上 昇 気 AA50∼150メ ッシュ B: 100∼200メ ッシ ュ C: 100∼250メ ッシュ D: 150∼300メ ッシュ E: 300メ ッシュ以 下 692 (26) 粉 体工 学 研 究 会 誌
流 に 対 す る落 下 率51), 空 中 浮遊 粉 じん 量52,53)との 関係 な どが 多 くの研 究 者 に よ り報 告 され て い る。 Fig. 2は, 九 州 病 害 虫 防 除推 進 協 議 会 が 各種 粒 径 の 製 剤 を 地上 で散 布 した 時 の 水平 方 向 へ の飛 散 距離 を調 べ た もの で あ るが, 300メ ッシ ュ (44μm) 以 下 の粉 剤 の ドリフ トが 非 常 に遠 距 離 に及 ぶ こ とを示 してい る。 この傾 向は 航 空機 に よる 散 布 の 場合 さら に大 き くな る。 した が って, ドリフ トの 軽減 は粒 子 径 を 大 き くず る こ とが 肝 心 で あ る が, 粒 子 径 が 小 さ くて も凝 集 力 が 強 く, 分 散 性 の悪 い粉 剤 は ドリフ トが 少 な くな る48),53)。 現 在, ドリフ ト抑 制 製剤 と して 実 用 され て い る微 粒 剤Fは, 粒 子 径 を62∼210μmと 大 き くす る こと で この 目的 を達 し て お り, DL粉 剤 は 平均 粒 子径 を一 般 の 粉 剤 (10μm) よ り大 き くす る (20μm) と同時 に, 微 粉 を 凝集 させ る 添 加 剤54)を 加 え二 次 粒 子 を 大 き く して ドリフ トを 減 少 させ て い るが, ド リフ ト抑 制 効果 は前 者 が す ぐ れ て い る。 ドリフ トの 実験 室 的 な評 価 方 法 と して は, 一 定 容積 の 箱 の中 に一定 量 の粉 剤 を散 粉 し, 箱 の 中 の空 気 を エ ア ー サ ンプ ラ ーで 捕 集 し, 水 で トラ ップ し て 分 光 光 度計 で 610nmの 吸収 を 測 る方 法 が 全 農 のDL粉 剤 の 規 格 で採 用 され て い るが, 秋 久 ら53)は箱 の 中 に デ ジ タル 粉 じん計 を置 くこ とで, よ り迅 速 に 測 定 で き る ど報告 して い る。 微 粒 剤Fの 場合 に は散 布 時 に 粒 同志, また は 粒 と散布 器 具 との 摩 擦 で微 粉 が 発 生 し ド リフ トの一 因 にな るが, そ の度 合 を測 る方 法 が坂 本 ら55)によ り提 案 され, は く離 率 と して規 格 化56)され て い る。 2.5 粉 剤 の そ の他 の粉 体 特 性 見 掛 比 重 (仮比 重) 農 薬 の品 質 に 直 接影 響 を持 つ も の で な いが, 大 きな 変動 は散 布 作 業 や工 場 に おけ る包 装 を 困難 にす る。 ま た一 定 の粉 体 に つ い て は,見 掛 比 重 は 粒 子径 や 凝 集 力 ・摩擦 係 数 な ど粉 体 特 性 を総 合 的 に 表 現 して い るの で, 吐粉 性 や 分 散 性, 粒 度 な どを管 理 す る指 標 とな る。 た とえ ば, 見 掛 比 重 と分 散 度 ・付 着 度 ・固 着 度 が比 例 す る44), 見 掛 比 重0.50∼0.65が 吐粉 性 の良 好 な 一 つ の条 件 で あ る38), などの知見があ る。 全 農 で は一 般 粉 剤 の規 格 を0.45∼0.60と してお り, そ の測 定 法 は試 料 を80メ ッシ ュの 飾 を 通 して一 定 容 の 容 器 に充 て ん し て重 量 を 測 る農 林 省 公 定 法57)であ る。 吸 湿 ・ケ ー キ ン ゲ 増 量 剤 や 原 体 の種 類 に よ って貯 蔵 中 に 吸湿 した り, 粒 子が 凝集 して ケ ーキ ン グを起 こ し, 吐粉 性 や 分 散 性 を損 い使 用 を困 難 に す る の で, あ らか じ め 包装 材 料 や 添 加 剤 で対 策 す る必 要 が あ る。 増 量 剤 で は 消 石灰 が 吸湿 す る58,59)こと, 原 体 で はPCNBが 吸 湿 に よ り凝 集 しや す く, そ の程 度 は 試 料 を タ ブ レ ッ ト化 し, そ の摩 損 度 を 測 る こ とで推 定 で き る60)とい う 報 告 が あ る。 静 電 気 粉 剤 の散 布 に, 最 近 は塩 ビの パ イ プを 通 して 散 くパ イ プ ダス タ ーが 用 い られ る こ とが多 いが, 粒 子 が パ イ プ内 を 高 速 で通 る摩 擦 に よ り静電 気が 発 生 し, 散布 作 業 者 が 電 撃 を受 け る こ とが 多 い 。 そ の電 荷 は清 原 ら61) 増 田 ら62,63)によ って測 定 され て い るが, 60kVを 越 え る も の も少 な くな い 。 防 止 法 と して は ホ ワイ ト ・カ ーボ ン の添 加 が 良 い61)との報 告 が あ り, 両性 界 面 活 性 剤 か らな る帯 電 防 止 剤 を パ イ プ に塗 布 す るの は顕 著 な効 果 は な い よ うで あ る62,63)。 一 方, 静 電 気 を意 図 的 に粒 子 に 与 え て, 静 電 力 に よ る 植 物 体 へ の 付 着 を 高 め る散 布 装 置 が考 案 され, 付 着 量 を 増 す こ とに 成 功 して い る64,65)が, 日本 で は実 用 化 は され て い な い。 2.6 水 和 剤 の 粉体 特性 水 で希 釈 して 懸 濁液 と して使 うの で, まず 水 に対 す る 濡 れや す さ水 和 性 の良 い こ とが 要 求 され る。 多 くの 農 薬 原体 は疎 水 性 が 強 く水 和 性 は悪 い の で, 界 面 活 性 剤 を 添 加 して濡 れ を 良 くす る。 次 に 水 和 剤 は水 中 で粒 子 が 完 全 に分 散 して, 長 時 間沈 降 しない で い る性 質 懸 垂 性 が 良 く な けれ ば な らな い 。 水 中 で の沈 降 はStokesの 式 に 支 配 され るの で, 粒 子径 が小 さ いほ ど懸 垂 性 は良 くな るは ず で あ るが, 実 際 に は粒 子 の凝 集 が 起 こる の で, 粒 子 を小 さ くす る と同 時 に, 分 散 剤 を用 い て 懸 垂性 を良 くす る。 水 和 性 の測 定 は 一定 量 の試 料 を 水 に投 じて, 完 全 に濡 れ る ま で の時 間 で表 わす のが 普 通 で あ るが, 1gが 数 秒 か ら1分 以 内 で濡 れ るも のが 良 好 で あ る。 懸 垂 性 は 数 種 の測 定 法 が あ るが,い ず れ も懸 濁液 調 製直 後 の完 全 に均 一 な状 態 での 濃 度 を100と して, 10分 ない し30分後に液 の上 部 の濃 度 が い く らに な った か で 表 わす 。 10分 後 に80 以 上 が好 ま しい 。 い ず れ も公 定 検 査 法57)があ る。 粉 の流 動 性 は, 工 場 に お け る取 扱 い の 場面 で あ る てい ど必 要 で あ るが, 農 薬 と して の性 能 か らは 特 に重 要 で な い 。 粒 子 径 が 小 さい こ と, 高 凝 集 性 の 原 体 含 有率 の高 い と ころ か らケ ー キ ンゲ を起 こす 傾 向が 強 い の で, その 対 策 を考 慮 してお く必 要 が あ る。 2.7 粒 剤 の 粉 体 特 性 粒 剤 が 一 定 の 大 き さを持 っ てい る意 義 は, 粉 剤 の よ う に 風 で流 され る こ とが な い ので, ド リフ トに よる危 害 が な く, 意 図 した 量 を 意 図 した 場 所 に 正 し く処 理 で き る点 に あ るの で, 製 品 輸 送 の途 中や 散 布 時 に 粒 が壊 れ て粉 に な らな い こ とが 肝 要 で あ る。 粉 にな りや す さの程 度 は硬 度 と呼 ば れ, 試 料 を 一 定条 件 で ボ ール ミル 粉砕 に かけ て 生 ず る粉 の量 で 評 価 され て い る。
一 方, 粒 の硬 さ とは 逆 に, 水 中 で は早 く崩 壊 し, かつ 拡 展 す る こ とが要 求 され る こ とが あ る。 これ は 有 効成 分 を効 率 的 に 水 中 に放 出す るた め に 必要 な性 質 で, 原体 の 水 溶 有解度 な どの 物性 に よ りその 必 要度 は変 る ので, 崩 壊 や 拡 農 の 度 合 ・速 さな ど と防 除 効果 の 関係 を研 究 して 決 め られ るが, 防 除効 果 とは別 に, 水 田 に散 布 した 時 の 散 布 跡 の確 認 が 容 易 で あ る ことか ら, 崩壊 性 の良 い もの が 消 費者 に は好 まれ て い る。 粒 剤 の粒 度 に つ い て は, 防 除 効 果 の 面 か ら2.1節 で述 べ た が, 機 械 で 散 布 す る場 合 粒 の大 き さに よ り飛 散 距 離 が変 る ので, 散 布 法 に よ り適 性 な 粒 度 が存 在 す る。 鈴 木 ら66)は航 空 散 布 の場 合, 遠 心 力 に よ る粒 の 分布 状況 か ら 推 算 して, 篩 上 が20%と な る径: a20が1.0∼1.2mmが 適 当 と して い る。 また, 農 業機 械 化 研 究 所 と植 物 調 節 剤 研 究 協 会 は, 地 上 に お け る多 ロホ ース 噴 頭 散布 の場 合 に 粒 剤 を粒 度 に よ り三 つ に分 類 し (Table 5), そ れ に よっ て 散 布機 の操 作 条 件 を 変 え る よ う標 準 化 して い る67)。 Fig. 3 粉 剤 の 製 造 工 程 (岡 田1)) Talble 5除 草 粒 剤 の 類 別 (農業 機 械 化 研 究所68)日本 植 物 調 節 剤 研究 協 会) 3. 粉 粒 体 農 薬 製 剤 の 製 造 プ ロ セ ス 3.1 粉 剤 基 本 操 作 は, 原体 の 粉 砕 と増 量 剤 との希 釈 混 合 だ け で あ り, 小 規模 にごは粉 砕 機 と混合 機 が一 台 づ つ あ れ ば事 足 りるが, 工 業 的 にごはFig. 3の よ うな プ ロセス が 一般 的 で, 工 程 は 二 つ に分 け られ, 前 半 で 中 間粉 末 が 造 られ, 後 半 で希 釈 混合 が行 なわ れ る。 中 間 粉 末 工 程 中間 粉 末 は, 原体 を少 量 の 増 量剤 で 中 間濃 度 (20∼50%) に希 釈 した もの で あ るが, これ を 造 る の は, ① 原体 が 固体 で あ る時 に, 原 体 だ け で 粉 砕 す る と溶 融 ・付 着 な ど を起 こ し粉 砕 が 困難 に な るの で, 助 剤 と して増 量 剤 を 加 え る。 ② 原 体 が液 体 の場 合 に は, これ を吸 油 性 担 体 に 吸収 させ, 粉 体 と して取 扱 え る よ うにこす る こ と。 ③ 一度 に高 倍 率 の 希 釈 混 合 を 行 な うと混 合 効率 が 悪 い, とい うこ とに よ る。 固 体 原体 の粉 砕 に は 原 体 の 694 (28) 粉 体 工 学 研 究 会 誌
硬 さや 凝 集 性 な どに起 因す る粉 砕 難易 と, 防 除効 果 の 面 か ら要 求 され る 目的粒 度 にこよ り, も っ とも適 した 粉 砕 機 を 選 定 しなけ れ ば な らな い 。 農 薬 用 粉 砕機 に つ い て は, 神 保68,69)の解 説 が あ るほ か, 鎌 田 ら16,17)も。 粉 砕機 の種 類 と得 られ る粒 度 につ い て の 実験 結 果 を報 告 し て い る が, 「自 由式 粉 砕機 」 「ミク ロ ン ミル」 「ア トマ イ ザ ー」 な ど, 衝 撃 式 粉 砕 機 で大 部 分 の もの が粉 砕 で き る。 特 に 高 凝粉集性 の場 合 や 目的粒 度 が5μ 以 下 と小 さ い場 合 に は 「Jet-O-Mizer」 や 「ジ ェ ッ トミル 」 とい った空 気粉 砕 機 が 必要 に な る。 希 釈 混 合 工程 中間 粉 末 に増 有量剤 を加 え, 混 合 と解 砕 を行 な う。 混合 機 は特 に限 定 され な いが, リボ ン混合 機 やた て型 ス ク リュー混 合 機 が 使 わ れ て い る。 解 砕 は 主 目 的 が凝 集 性 原 料 を ほ ぐす こ とに あ り, 高 性能 の粉 砕 機 は 要 しな い。 3.2 水 和 剤 水和 剤 の プ ロセス は 基 本 的 に は前 節 の粉 剤 と同 じ く粉 砕 と混 合 の 繰 り返 しか らな るが, 異 な るの は 原体 の含 有 率 が 高 くな って粉 砕 しに く くな る上 に, 水 中 懸 濁 性 を 良 好 に す るた め 目的粒 度 が5μ 以下 と小 さ くな るの で, 高 性 能 の粉 砕 機 を要 す る点 で あ る。 この ためFig. 4の よ うに, 空 気式 粉 砕 機 を 組 み込 んだ プ ロセ ス が 万 能 で あ る。 この種 の粉 砕 機 は 低融 点 や高 凝 集 性 の もの で も付 着 を 起 こす こ とな く微 粉 砕 を 行 な うこ とが で き る。 も ち 論, 衝 撃 式 粉 砕 機 で粉 砕 で き る原体 も あ る。 Fig. 4 水 和 剤 の 製 造 工 程 (岡 田1)) 3.3 粒 剤 現 在, 農 薬 粒 剤 は二 つ の方 法 で 造 られ て い る。 300メ ッシ ュ以下 に微 粉 砕 され た原 料 を 水 と結 合剤 で練 って 押 出 し造粒 す る押 出 し式 と, あ ら か じめ な ん らか の方 法 で 得 た 農 薬 を含 ま な い粒 (粒 基剤) に液 状 の 原 体 を担 持 さ せ るス プ レー式 で あ る。 3.3.1 押 出 し式 造 粒 法 本法 の代 表 的 な プ ロセ ス例 をFig. 5に 示 す 。 固 体 の 原 体 は あ らか じめ 適 当 な粒 度 に粉 砕 して, 液 体 の原 体 で あ れ ば そ の ま ま増 量 剤 ・結 合 剤 ・水 な ど と混合 ・捏 和 を 行 な う。 図で は リボ ン ミキ サ ーで 粉体 のみ 混 合 し, 水 を 加 え て の 捏 和 (ね り) を連 続 ニ ー ダ ーで 行 な っ てい るが, 「ナ ウ タ ミキ サ ー」 の よ うな た て 型 ス ク リュー混 合 機 で 混 合 ・捏 和 を 同 時 に 行 な うプ ロ セス もあ る。
Fig. 5 押 出 し 式 粒 剤 の 製 造 工 程 (岡 田1)) a. ス ク リ ュー 押 出 機 b. バ ス ケ ッ ト ・グ ラ ニ ュ レー タ ー Fig. 6 農 薬 造粒 に用 い られ る 押 出 し造 粒 機 (図 は文 献70に よ る) 捏 和 され た 原料 は押 出 し造 粒 機 に 送 られ るが, この 型 式 も数 種 あ り, Fig. 6に 示 す よ うな ものが 多 く用 い ら れ て い る。 押 出 し能 率 は原 料 粉 体 の種 類 と 粒 度, 加水 量, ね りの程 度, 造 粒 機 の 型 式 な どの組 み 合 わ せ で複 雑 に変 化 す るが, 定 量 化 した 研 究例 は見 られ ず, 技 術 者 の 経 験 的 な 知 見 や勘 に頼 る と ころ が大 き い。 押 出 し機 を出 た 粒 は 乾 燥 され, 目的 粒度 に解 砕 ・篩 別 され て 製 品 とな る。 3.3.2 ス プ レー式 造粒 基剤 とな る粒 は, ク レー, 石 灰 石, 軽石 な ど の原 石 を 粗 砕, 篩 別 す るか, 微 粉 砕 され た ク レー, ベ ン トナ イ ト タ ル ク な どを 押 出 し造粒 す るか して得 られ る。 この よ う に して得 た 粒 基 剤 を 「ナ ウ タ ミキ サ ー」V型 混 合 機, コ ンク リー トミキ サ ー型 混 合 機 な どに入 れ, 液 状 の 原体 を ス プ レー, あ るい は滴 下 して 混 合す る と, 基 剤 の 性質 に よっ て原 体 は粒 の 中 に浸 み 込 む か表 面 を薄 く被 覆 す る。 前 者 は そ の ま ま, 後 者 は 液 のべ とつ き をな くす た め, 吸 油 性 微 粉 末 を 少量 まぶ して 製 品 とす る。 この 方 法 は原 体 が 乾 燥 工 程 を通 らな い の で, 熱 に よる 分 解 や, 農 薬 を含 ん だ 乾 燥排 ガ スの 発 生 を 伴 わ な い メ リ 696 (30) 粉 体工 学 研 究 会 誌
ッ トが あ る。 原 体 が 固体 の場 合 に は溶 媒 で溶 解 した り, 熱 で溶 融 して この 方 法 が とれ るが, 日本 で は実 用 され て い な い。 3.4 微 粒 剤F この剤 は歴 史 が 浅 く, 生 産 量 も少 な い の で, い まだ 各 種 の 方 法 が試 行 され て い る段 階 と考 え られ るが, 現 在 市 販 され て い る も のは 次 の よ うな方 法 と推 定 され る。 一 つ は 原体 が 液 状 で あ る場 合 で, 粒剤のスプ レー式造 粒 と同 一じ方 法 で, 規 格 に 合 った粒 基 剤 が 手 に 入 れ ば簡 単 に 製 造 で き るが, 粒 基 剤 中 に 原体 が完 全 に 吸 収 され て し ま うと有 効 に 防 除効 果 を 示 さな い欠 点 が あ る。 他 の一 つ は原 体 が 固 体 で あ る と きで, この場 合 には 粒 剤 の よ うに 押 出 し式 に よる こ とは,本 剤 の粒 度 (62∼210μm) で は 不 可 能 で, 目的粒 度 よ りや や 小 さめ の粒 基 剤 を 用 意 し, これ に水, 結 合剤, 微 粉 砕 した 原体 を加 え て 混 合す る。 原 体 が 粒 基 剤 の周 囲 に結 合 され る と同時 に, 粒 基剤 同志 も一 種 の 転 動 造粒 で, 数 個 単 位 の 結合 を して 目的粒 度 に 至 る。 粒 度 の 調 整 が必 ず し も容易 で な く微 粉 部 分 の飾 別 が難 しい点 や, 散布 時 に基 剤 表 面 の 原体 が はが れ て, ド リフ トしや す い な どの欠 点 が あ る。 微 粒 剤Fは, 微 粉 に起 因す る農 薬 の ド リフ ト公 害 を な くす こ とを第 一 義 に, 粒 度 を 中心 と した 規 格が 定 め られ て きた い き さつ が あ るの で, これ と防 除 効果, 生 産 の 経 済 性 を調 和 させ る技 術 が未 完成 で, 製 品 の普 及 が遅 れ て お り, そ れ が また, 技 術 開発 に ブ レーキ を か け て い る と い うの が 現 状 で あ ろ う。 技 術 開 発 の促 進 と 同時 に, 規格 の再 検 討 も メ ーカ ー側 か らは 望 ま れ る。
文
献
1) “最 新 粉 粒 体 プ ロ セ ス 技 術 集 成 ” p. 349産 業 技 術 セ ン タ ー (1974) 2) 長 沢 正 雄 ほ か: “農 薬 の 化 学 ” p. 155大 日 本 図 書 (1971) 3) 鈴 木 照 麿: “農 薬 製 剤 学 ” p. 5南 江 堂 (1965)4) Watkins, T. C., L. B Norton:
"Handbook
of In
secticide Dust Diluents and Carriers" p. 4 Dorland
Books New Jersey (1955)
5) Fowkes, F. M., H. A. Benesi, L. B. Ryland, W. M.
Sawyer, K. D. Detling, E. S. Loefer,
F. B. Folc
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