The Journal of AIDS Research Vol. 10 No. 4 2008
O-9-033
当院 にお けるHAART時
代の 日和見感染 症の動向
渡 邉 珠 代1、 安 岡 彰2、 中村 春 香1、 青 木 孝 弘1、 西 島 健1、 田 里 大 輔1、 神 村 麻 穂 子1、 渡 辺 恒 二1、 本 田元 人1、矢 崎 博 久1、 田 沼 順 子1、 塚 田 訓 久1、 本 田 美 和 子1、 潟 永 博 之1、 照 屋 勝治1、 菊 池 嘉1、 岡 慎 一1 (1国立 国 際 医 療 セ ン ター 戸 山病 院 エ イ ズ 治 療 ・研 究 開 発 セ ン タ ー 、2長崎 大 学 医 学 部 歯 学 部 附属 病 院 感 染 制 御 教 育 セ ン ター)【目的 】HAART (Highly Acdve And-Retroviral Therapy; HAARI)に よ り、 日和見 合併 症 の動 向 が変 化 して きてい る。HAART時 代 の 日和 見合 併症 の動 向 を明 らか にす るため に 当院 エ イ ズ治療 ・研 究 開 発 セ ン ター(ACC)に お け る 日和 見疾 患 の推 移 を解 析 した。第21回 総 会 に おい て報 告 した 内容 に加 え、 日和 見 合併 症 発症 時 のCD4数 を追加 して解 析 を行 った。 【方 法 】ACCで の2000年 か ら2007年 まで の デ ー タベ ース のデ ー タ を元 に 、診療 録 を レ ビュー して 得 られ た情 報 を後視 方 的 に 追加 し、 日和 見 合 併症 の 発 生数 お よび疾 患 頻 度 、年 次 別 発 生頻 度 を 検 討 した。 また、 発症 時 のHAARTの 有 無 、CD4数 に関 して も検 討 した。AIDS指 標23疾 患 に加 え、 カ ンジ ダ症 、帯 状疱 疹 、単 純疱 疹 、細 菌感 染 症 、悪 性腫 瘍 、 ア スペル ギ ル スな どHIVに 関 連 す る 疾 患 も追 加 して集 計 した。年 次 別発 生 頻度 は発生 数 を各年 度 の外 来 患者 数 で除 し、外 来100人 当 りの数 と して表 した。 【結 果 】 日和 見合 併 症 の年 次 別 発生 頻 度 は 、外 来100人 当 り72.8人(2000年)か ら36.2人(2007年)ま で 減 少 してい た 。疾 患 別 で は、 帯 状疱 疹 、 口腔 カ ン ジダ は 、減 少傾 向 に あっ た。 ニ ュ ー モ シス チス肺 炎(PCP)は2005年 以降 、漸増 して いた 。悪 性 リンパ腫 、カ ポ ジ肉腫 、 子宮 頸 癌 な どの悪 性 腫 瘍 は 、2.4人(2005年)を ピ ーク と し、2007年 まで は減 少傾 向 で あ った が、2007年 は再 び増 加 し て い た。 また、HAART未 導 入 例 での 悪性 腫 瘍診 断 時 のCD4数 は、81例 中76例(93.8%)が350/μ1以 下 で あ った。 【考 察 】悪 性腫 瘍 の 発 生 は 、HAARTに 導 入例 にお い て は、CD4数350/μl以 下 の症 例 が ほ とん ど で あ り、HIVの 早 期診 断 と、CD4数350/μ1を 目安 に した早 期 治療 開始 が重要 で あ る と考 え られ る。 【結 論 】HIVに み られ る 日和 見感 染 症 の動 向 を調査 し、 そのHAへRT時 代 の特徴 を明 らか に した 。
O-9-034
HIV陽 性者にお ける慢性 腎臓 病の有病率 とそ の背景
四 本 美 保 子 、天 野 景裕 、 清 田 育 男 、大 瀧 学 、 藤 田 進 、鈴 木 隆 史 、 西 田 恭 治 、香 川 和 彦 、 山 元 泰 之 、福 武 勝 幸 (東京 医 科 大 学 病 院) 【背 景 】IDSAのHIV感 染 症 患 者 に お け る慢 性 腎臓 病(CKD)の 管 理 に対 す るガ イ ドラ イ ンで は HIV感 染 症 患 者 の約30%は 腎機 能 異 常 で あ る と報 告 され て お り、HIV感 染 者 に お け るCKD罹 患 率 が高 い こ とが 指 摘 され て い る。 「日本 人 のGFR推 定 式 」 が 正 式 に発 表 され 、 こ れ を用 い た評 価 が 可 能 とな った 。[目 的]当 院 に お け るHIV陽 性 者 に お け るcmの 有病 率 を検 討 す る。 [対象]当 院 外 来 通 院 中の ラ ンダ ム に選 ん だ 患 者340例 の うち 評 価 可 能 な301例(男 性290例 、 女 性11例)。 平 均 年 齢 は38.3歳(範 囲18∼73歳)。 【方 法 】腎 機 能 は 日本 腎 臓 学 会GFR推 定 式 プ ロ ジ ェ ク トに よ る 日本 人 のGFR推 定 式 を用 い て 評 価 し、CKDの 分類 は同学会CKD診 療 ガイ ドのstage分 類 を適 用 した 。解 析 方 法 は カ イ二 乗 検 定 を用 い た 。[結 果]全CKD有 病 率 は9.9% で 、 内訳 はstage5が0%、stage4が6.9%、stage3が17.2%、stage2が55.2%、stage1が20.7%で あ りstage3以 上 は24.1%で あ っ た 。 過 去1年 間 につ い てHAARI治 療 群 と未 投 薬 ま た は 中 断群 でCKD有 病 率 を比 較 した と こ ろp>0.05で あ り 、有 意差 は な か っ た 。 ま た 、HAARI治 療 中 の患 者 を過 去1年 以 内 にTDF投 与 歴 の あ る患 者 群(TDF群)と な い 患 者 群(非TDF群)でCKD有 病 率 を比 較 し た と こ ろP>0.05で あ り、有 意差 は な か っ た 。[考 察]cm有 病 率 は報 告 と比 較 して低 い 傾 向 が認 め られ 、 構 成 年 齢 が 若 い こ と もひ とつ の要 因 と考 え られ た 。 よ り早 期 に HAARTを 開 始 す れ ばCKDの 進 行 を抑 え られ る か な ど ま だ 明 らか で な い 点 も 多 く、 今 後 の 検 討 が待 た れ る。 当 日は検 討 症 例 数 を増 や し、 また 、CKD症 例 の 背 景 につ い て も検 討 を加 え て発 表 す る。415 (193)
O-9-035
Parvovirus B19に よ る輸 血 依 存 性 貧 血 を き た し,抗HIV療 法 に て 軽 快 し たAIDSの 一 例 渡 邊 大1、 小 川 吉 彦1、 坂 東 裕 基1、 矢 嶋 敬 史 郎1、 谷 口智 宏1、 富 成 伸 次 郎1、 大 谷 成 人1、 上 平 朝 子1、 白阪 琢 磨2 (1国 立 病 院 機 構 大 阪 医 療 セ ン タ ー 、2国立 病 院 機 構 大 阪 医 療 セ ン タ ー HIV/AIDS先 端 医療 開 発 セ ン タ ー) 【症 例 】 タ イ に在 住 して い る50歳 代 の 日本 人 男 性 。200X年2月 に タ イで ニ ュ ー モ シ ス チ ス肺 炎 ・肺 結 核 でAIDSを 発 症 。 抗HIV療 法 の導 入 目 的 に て 同年5月 に来 日 し 当院 初 診 。CD4数 は34/μl、HIV-RNA量 は250000cp/mlでHb11.59/dlと 軽 度 の 貧 血 の み で あ っ た 。 仕 事 の都 合 で タ イ に一 時 帰 国後 、200X年11月 に 労 作 時 呼 吸 困難 が 出 現 。Hb5.39/dlと 貧 血 は高 度 で あ り、 血 中抗parvovirus B19(PVB19)-IgM抗 体 陽 性 、PVB19-DNA陽 性 と判 明 し、骨 髄 像 に て 赤 芽 球 癆 の 所 見 を認 め 、PVB19の 初 感 染 に よ る貧 血 と診 断 し た 。2週 間 毎 の 輸 血 で 経 過 み る も血 中 抗PVB19-IgM抗 体 価 は低 下 し、IgG抗 体 の上 昇 は な くPVB19は 持 続 感 染 とな り、 輸 血 依 存 性 の 貧 血 は持 続 した 。 翌200X+1年1月 に 抗HIV療 法(ART)を 導 入 し、 徐 々 にCD4 数 は 上 昇 。ART導 入 半 年 後 の7月 に はCD4数 は105/μlと な り、 血 中抗PVB19-IgM抗 体 価 も 12.16倍 と急 上 昇 。貧 血 も改 善 し定 期 的 な輸 血 も 中断 した 。 しか し、 その2ヶ 月 後 に貧 血 が 急 激 に 進 行 し、 中 断 し て い た輸 血 を再 開 。 発 熱 や 白 血 球 数 減 少 、異 型 リ ンパ 球 の 出 現 、 CRPやLDHの 上 昇 を伴 う も 、数 日の経 過 に て 回 復 した 。 またCD4数 は143/μlま で 増 加 し、 血 中抗PVB19-IgG抗 体 価 の 上 昇 を認 め て い た 。200X+1年10月 に は 輸 血 す る こ と な くHbは 14g/dlま で 回復 し、PVB19に よ る貧 血 症 は軽 快 した 。 【考 察 】HIV感 染 症 に お い てPVB19が 持 続 感 染 を きた し、 輸 血 依 存 性 の 慢 性 貧 血 を呈 す る こ と が知 られ て い る が 、 近 年 抗HIV療 法 の 導 入 に よ っ てPVB19に よ る輸 血 依 存 性 貧 血 が 軽 快 す る こ とが 報 告 され る よ うに な っ た。 本 症 例 はPVB19の 初 感 染 か ら抗HIV療 法 導 入 に よ る 貧 血 の 改 善 まで の 経 過 を 追 えた 興 味 あ る一 例 で あ るた め 、 臨 床 像 と抗 体 価 の推 移 に つ い て の 考 察 を加 えて報 告 す る。O-9-036
ニ ュ ー モ シ ス チ ス 肺 炎 治 療 中 にST合 剤 減 感 作 療 法 を施 行 し たAIDSの1 例 徳 川 多津 子 、 澤 田 暁 宏 、 日笠 聡 、 小 川 啓 恭 (兵庫 医科 大 学 病 院 血 液 内科) 【症 例 】41才 男 性2006年12月 初 旬 よ り発 熱 、 咳 漱 あ り近 医 受 診 。 肺 炎 に て12月16日 同 医 入 院 と な り、胸 部CTで ニ ュ ー モ シ ス チ ス肺 炎(PCP)疑 わ れHIV感 染 症 抗 体 検 査 検 査 施 行 に て 陽 性 判 明 し、12月21日 当院 転 院 。 入 院 時CD428/μl、HIV-RNA1.0×105copies/ml、 β-Dグ ル カ ン541.5pg/mlで あ っ た 。 ま た喀 痰 検 査 でPCP-DNA(PCR)陽 性 で あ り、PCPと 確 定 診 断 。12月19日 か ら前 医 よ り開 始 され て い たST合 剤9g/日 、PSL 40mg/日 を継 続 して い た が 、12月22日 発 熱 、 呼 吸 状 態 悪 化 あ り、ST合 剤 ア レル ギ ー を疑 いST合 剤 中 止 の う え ペ ン タ ミジ ン240mg/日 へ 変 更 した 。 そ して 同 日 よ りST合 剤 減 感 作 療 法 を0.01gよ り開 始 し た 。 そ の 後 呼 吸 状 態 悪 化 す る こ と な く徐 々 にST合 剤 増 量 し、 同 療 法 開 始15日 目 に は再 度 PCP治 療 をペ ン タ ミ ジ ン か らST合 剤 へ 変 更 可 能 と な っ た 。PCP治 療 終 了 後ST合 剤19/日 の 予 防 量 へ 減 量 し、2007年2月9日 退 院 と な っ た 。 【考察 】PCP治 療 に おい て 、ST合 剤 は第1選 択 薬 で は あ るが 、HIV感 染症 例 に おい て ア レル ギ ー 発 生 頻 度 の高 さが 問 題 と な る 。 そ の た めST合 剤 減 感 作 療 法 は 、PCP治 療 お よび 予 防 に お い て 有 効 で あ り、 本症 例 を含 め 当 院 での 同療 法 施 行 例 につ い て報 告 す る。416 (194)
The Journal of AIDS Research Vol. 10 No. 4 2008