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LSCTファントムを用いた胸部CT検診における撮影条件の定性評価による検討 利用統計を見る

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山梨肺癌研究会会誌 17巻2号 2004

LSCTファントムを用いた胸部CT検診における

撮影条件の定性評価による検討

市立甲府病院 中央放射線室 古屋研 市立甲府病院 放射線科 斉藤彰俊 山梨大学 医学部 放射線医学講座 南部敦史 山梨大学 医学部 放射線医学講座 荒木力

 要旨:LSCTファントム(Lung cancer Screening CT Phantom)LSCTOO1型(京

都科学)を用いて,胸部CT検診画像の撮像条件の検討を行なった。胸部CT検診画像

を定性的に評価し,より精細な画像作成を行うことは要精検率を下げることにつながり, 胸部CT検診における被曝の低減に役立つと考える。 Key words 胸部CT検診, LSCTファントム,被曝の低減         はじめに  肺癌は近年,わが国の悪性新生物死亡率 の1位となり,その診断,治療の重要性は, ますます注目を浴びてきている。それに伴 い,CTにおける肺がん検診が開始されて, その必要性はゆるぎないものとなった。米 国でのELCAP(Early Lung Cancer Action Project)の検討では,初回CT型検診におけ る肺癌発見率は2.7%と従来型検診を大き く上回った。さらにCT型検診においては, 1期の肺癌の発見率が79%と高く,早期癌 発見への有用性が示された1)。しかし,わ が国における胸部CT検診の低線量撮影条 件には,はっきりとした根拠に基づいた評 価がなく,またCT検診の現状での偽陽性 率の高さによる要精検率の増加は,被検者 に不必要な被曝と肉体的,精神的,経済的 負担を与えている。  今回我々は,胸部CT検診における撮影 条件の検討を定性的に行い,被曝の低減と 画質の精度の向上を考え,その両方から評 価できる撮影条件の検討を行った。        対象と方法

 1.使用機器

  CT装置:且ispeed Advantage SG

        (GE Medical Systems)  2.使用ファントム

 LSCTファントム(Lung cancer

Screening CT Phantom)LSCTOOI型

(京都科学)

 LSCTファントムは,身長175cm,体重

75kg,の男性ボランティアのデータを元に して作られた人体と同等の吸収線量を持つ 胸部ファントムである。ファントム中には, コントラストがバックグランドの模擬肺胞 に対し,△CT=100HU(以下すりガラス濃 度結節と呼ぶ。)と△CT=250HU(以下高

一67一

(2)

平成16年10月1日 濃度結節と呼ぶ。)となる2種類の模擬腫瘤 が両肺野の肺尖部,気管支分岐部,肺底部 にそれぞれ直径2∼10mm(2mm step) で,5段階埋め込まれている2)。 すリガラス濃度結節  高濃度結節     ’t’/{サ 3.撮像方法

 管電圧120kVp,mAs値24,32,40,

80,160mA8(1,0.8 sec/rot.),スライス 厚5,7,10mm,ピッチ1,1.5,2,と変 えた時の全条件において全肺野のヘリカル スキャンを行った。 4.評価方法  定性評価法  それぞれの条件下において,2種類の模 擬腫瘤が撮影されている画像をウインド幅 2000ウインドレベルー700でフィルムにプ リントし,2名の胸部画像診断医により, 画像のノイズの評価,ノイズやアーチファ クトを含めた画質全体の評価,結節の検出 個数,検出した最小結節についての診断確 信度を評価した。また,結節の診断確信度 については,結節の大きさで重み付けする ため,検出結節の個数×5+確信度で点数化 し,すべての評価項目に対して,2者の合 計の値をmAs,ピッチ,スライス厚で比較 した(Kruskall・WaUi8検定)。また,有意 差のあったものにっいては,相対するパラ

メータ値の比較検討もおこなった

(Mann・Whitney検定)。 5.息止め時間計測の対象と方法  当院で胸部CTを行った検診対象となる 年齢のうち,胸部疾患の認められない男性

100人,女性100人,計200人の仰臥位に

おける息止め時間を測定した。  また,500人の肺のヘリカルスキャンを 行った被検者を対象に,そのスライス枚数 より肺の平均の大きさを求めた。

6.CTにおける被曝の指標

 CTによる被検者への被曝は,一般的

な評価方法として,ICRPにおける便宜的

なCTDI(computed tomography do8e

index)が用いられ,このCTDIにその中

心線量と周辺線量の重み付けをして評価

した値CTDIw及び、スキャン範囲の総合

的な被曝線量を示すDLP(dose length

product)3)は,一一般的な数値をスキャン 時にModarityに表示している。  このCTDIw, DLPを被検者の被曝の指 標として用いた。

       結果

〈定性的評価> 1.mA8値の違いによる結節の診断検出能  検出個数,診断確信度共に,高濃度結節, すりガラス濃度結節において有意差は認め られなかった。また,見た目の評価におい ては,ノイズ及び画像全体の画質共に, 32mAsと40mAsの間で有意差を認めた。 (点数} ノイズ 12 9 6 3 画像全体の画質 243032CO 4050160200(曲)243032404050160200

一68一

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2.ピッチの違いによる結節の診断検出能  高濃度結節において,有意差は認められ なかったが,すりガラス濃度結節における 診断確信度は,1.5と2.0の間で有意差を認 めた。 山梨肺癌研究会会誌 17巻2号 2004 人の被検者を対象に,そのスライス枚数よ り肺の平均の大きさを求めると,29.5cmと なり,その時のそれぞれの撮影条件におけ る撮影枚数と息止め時間,CTDIw(mGy), DLP(mGy・cm)の値は以下のようであった。 (点数) 診断確信度

50

40

30

20

10

      コ 1.0 1.5 2.0  (pitch) 3.スライス厚の違いによる結節の診断検 出能  高濃度結節においては,検出個数に7mm と10mmの間で有意差を認めた。また,す りガラス濃度結節において,検出個数及び

診断確信度共に,5mmと7mmの間で有意

差を認めた。 (個数) 検出個数  (点mo診断確信度 10 8 6 4 2   ■ 50 40 30 20 10   … 5  7  10 (mm)  5  7  10 4.息止め時間の検討  最小時間19sec,最大時間88 sec,平均 35.39secで,198ecと328ecの間に51%の 人が分布している。また,95%の人が23sec の息止めが可能な結果となった。 また,肺のヘリカルスキャンを行った500

撮影枚数 息止め時間 CTDIw DLP

120kVp 50mAs 10mmthickness pitch2.0 30       12.4     1.85   57.51 120kVp 40mA85mmthickness pitch 1.5 60       32.3     2.00    60.45 120kVp 32mAs 7mmthickness pitch1.5 42       22.7     1.60   47.56 120kVp 40mA87mmthickness pitch 1.5 42      22.7     2.00   59.45         考察  LSCTファントムを用いて撮像条件を変 え,模擬腫瘤を評価した。実際は,高濃度 結節及びすりガラス濃度結節は左右共に5 つずつ存在するのであるが,一番小さい2

mmの腫瘤は認識が困難であり,事実上4

つの腫瘤の評価となった。  mAs値を変えて撮影した画像の評価では, 高濃度結節及びすりガラス濃度結節共に検 出個数,診断確信度において有意差は認め られず,見た目の評価においてノイズ,画

像全体の画質共に,32mAsと40mAsの間

で有意差を認めた。またピッチにおいては, 高濃度結節での有意差は認められなかった が,すりガラス濃度結節の診断確信度にお いて,1.5と2.0の間で有意差を認めたため, 1.5以下が妥当であると考えた。またスライ

ス厚において高濃度結節の検出能は,

10mmと7mmの間で有意差を認め,すり

一69一

(4)

平成16年10月1日

ガラス濃度結節においては7mmと5mmの

間で有意差を認めたが,息止め時間を考慮

し7mmが妥当であると評価した。これら

の結果においては,SD値及びパーシャルボ リューム効果が画像に影響を及ぼしている と考えられる。このことは,定量的に評価 し検討する必要があると思われる。  息止め時間の検討の結果によると,1回 の呼吸により撮影可能な時間は23秒以下 であり,平均的な肺の大きさとする29.5cm を撮影可能なピッチ,スライス厚を考える

と,CT検診で推奨されている120kVp/

50mAs/10mm thickness!pitch2.04)にお いては,スライス時間が平均で12.4secと 短く,実用的ではあるが,スライス厚,ピ ッチの両方において画質の評価が低い。こ のため,スライス厚,ピッチを低くし,1 回の呼吸で撮影が可能な7mm thickness/ pitch1.5が妥当であると考える。これによ り,撮像枚数も増加し,より小さい腫瘤へ の診断能も上がる。また,被曝の面から考 えると現在の検診においては,総被曝線量 57.51mGy・cmであるため,40mAsの59,45

mGy・cmは1.94mGy・cmと多少増加す

るが,ほぼ同等と評価できる。また,32mAs

の47.56mGy・cmのほうが被曝は低く評

価的ではあるが,見た目の評価において,

32mAsと40mAsの間で有意差を認めるた

め,検出及び診断確信度への影響はないが, 定量的評価との比較検討が必要と考え, 120kVp/40mAs!7mm thickness/pitch l.5 が適切であると評価した。 量でかつ息止めを考慮し,画質を向上する ことが可能な条件として, 120kVp/ 40mAs/7mmthickness/pitch 1.5 が適切であると考えた。この条件により, CT検診において問題とされる偽陽性率が 下がり,要精検率の向上が期待できる。今 後は,このデータに定量的な評価を加え, 撮影条件の信遇性を図り臨床への適応を検 討する予定である。 1) 2) 3) 4)      参考文献 山本鼎:検診の実際.臨床画像4, Vol.19, No.4:.378(26),2003. 津田 雪裕:Lung Cancer Screening CT(LSCT)用ファントムの開発 社団法人 目本放射線技師会:X線 CT.医療被曝ガイドライン.医療科 学社:52・56,2002. 柿沼 龍太郎ほか:肺癌検診での結節 の診断基準.臨床放射線3,Vol.49, No.3:369,2004.         結語  現在CT検診で推奨されている撮像条件 の定性的な検討を行った。その結果,低線

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参照

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