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<総説>ザンビアのHIV感染の疫学 利用統計を見る

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山梨医大誌!3(1),1∼7,!998

ザンビアのHrv感染の疫学

照 沼   裕 山梨医科大学微生物学 抄録:現在,Hr▽の新規感染者の9割以上は発展途上国であり,アフリカで約7割発生している。 この総説では,HIVの世界的流行の現状の一つの実例として,アフリカのザンビア国でのmv抗 体の陽性率を,年齢別,性別,学歴,年次別にみてみた。また,HIVの母子感染率,その経路と 感染後の予後,輸1組の癒液の確保などについても検討した。 キーワード ヒト免疫不全ウイルス,後天性免疫不全症候群,疫学,アフリカ,母子感染 HIV, AIDS, epidemiology, Africa, veザ£icakransmisslon はじめに  私は!995年から1997年までの2年聞,アフ リカのザンビア共和国に滞在した。目的は,国 際協力事業団ザンビア感染症対策プロジェクト のウイルスラボラトリーにおいて,ザンビア人 医師と臨床検査技師に,後天性免疫不全症候群 (エイズ)の診断と研究の技術指導をすること であった。ザンビアは南部アフリカの内陸国で, 面積は日本の約2倍,人口は約1,000万人弱で ある。ザンビアは1964年に英国から独立した が,その当時は銅鉱山により日本とほぼ同じ GDPであった。しかし,銅の国際価格の下落 と国有化した銅鉱山の経営行き詰まりにより, 1976年をピークに銅の生産量は毎年減少し, 国の経済も悪化の一途をたどっている。そして,

現在では国民1人あたりのGDPが264ドル

(1994)であり1},数字の上では経済的に世界 で最も貧しい国の一つとなってしまった。この ような経済状況の悪化は,多くのザンビア人に 栄養不良と生活環境の悪化を引き起こし,また, 〒409−382! 山梨県中巨摩郡玉穂町下河東!!!0 受付:1998年2月24日 受理:1998年2月24日 行政側には財政難のための医療の質と量の低下 を招いた。そんな時にエイズの流行が始まり, 国が問題の重大さに気が付いた時には大変な流 行となってしまっていた。現在,私の滞在した 首都ルサカ市では,大人の約4人に1人,子供

の約!2人に!人がヒト免疫不全ウイルス

(HIV)感染者であり,まさにエイズは国を支 える働き手と将来を担う子供の命を奪う国民病 であった。この総説では,世界で最もHW感 染率の高い国の一つであるザンビアでのHIV 感染症の現状について説明する。 1.田Vの世界的流行の現状  まず,世界でのHIVの流行の現状について みてみると,世界保健機関(World Health Organization)および国連HIV/AIDSプログラ ム (The Joint united Nations Programmeα} Hrv/AIDS)では,昨年,新たにmVに感染し た人は世界中で580万人にのぼると推計してい る2}。これは毎日約!6,000人が新たにHIVに 感染しているということである。そして,世界 中で現在Rrvに感染している人は3,060万人置 達すると報告している。また,エイズで死亡し

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2 照 沼 た人は昨年1年間で世界中で230万人,エイズ の流行が始まった!980年前後からの累積で 1,170万人と推計している。  !981年にエイズがアメリカで初めて報告3・4} されてから約17年が経過した。そして,昨年 アメリカではエイズの流行が始まって以来はじ めて,エイズによる死亡者数が前年に比べ減少 に転じた。これは抗HIV薬の3剤併用療法や 日和見感染に対する治療法の進歩に寄るところ が大きい。また,欧米の多くの国では新たに HIVに感染する人の数は減少している。しか し,世界的には新たな感染者の発生数もエイズ による死亡者数も増加している。そして,昨年 新たにHIVに感染した人の数は昨年までに感 染した人全体の約5分の!,また,昨年エイズ で亡くなった人の数も昨年までに亡くなった人 全体の約5分の1に達している。この様な世界 規模での状況の悪化は,発展途上国でHIVの 感染がコントロールされていないことによる。  実際,地域別に昨年の新たな推定感染者数を 見てみると,サハラ砂漠以南のいわゆるサブサ ハラアフリカが400万人(69%),南アジア・ 東南アジアが!30万人(22%)で,90%以上 は発展途上国の人たちで占められている2)。ま

た,過去20年間でのHIVの感染者の3分の2

およびエイズによる死亡者の8割以上は,サブ サハラアフリカで占められている。従って, HIVの流行について考えるには,サブサハラ アフリカでの流行の拡がり方とその現状につい て検討することが重要であろう。そこで,その 具体例として,ザンビアにおけるH:IV感染症 の現状をみていぎだい。 巫.ザンビアでの団V感染の蔓延  ザンビア保健:省は1994年に全国24カ所で妊 婦約!!,000人を対象にHIV抗体陽性率の調査 を行った3。それによると,妊婦のHIV抗体陽 性率は都市部では25−32%,農村部では8− 16%であった。1996年には首都ルサカ市で唾 液を使って成人男女を対象としたpopulation basedの調査が行われたが6},都市周辺部では 3!.4%,都市部で26.2%,農村部で!5.5%の 陽性率を示し,妊婦での抗体陽性率の結果とほ ぼ同様であった。!995年にはザンビア保健省 は国内のmV感染者数を70万人と発表してい る。現在,ザンビアは世界で最もHIV抗体陽 性率の高い国のひとつである。 皿.印V陽性率の年齢・性別・学歴・職業によ   る違い  ザンビア保健省のおこなった1994年の妊婦 での調査5)で,妊婦の年齢別でのHIV抗体陽 性率をみてみると,都市部も農村部も25−29 歳の年齢層で最も高い陽性率を示した(図!)。 一方,populatlon basedの調査6)では男性の Hrv抗体陽性率は35−39歳の年齢層にそのピ ークがあり,女性では20歳代にそのピークが あった。また,妊婦の学歴(通学年数)と HIV抗体陽性率については,通学年数の長い グループほど陽性率が高くなっている(図2)。 妊婦の夫の職業別の陽性率では,都市部,農村 部ともにトラックドライバーが陽性率35.9%, 32.4%と最も高く,アフリカでは長距離トラッ クのドライバーによりHIVが拡がったとの説 を支持する結果である。 40 30 ︵訳︶  0      0  2      1 騰劃蜜鴛娯≧エ 0 1S一等9  20−24  25−29  30−34  35−39  40−44  Total 圏都市部  鷺農村部 図1 都市部と農村部での妊婦の年齢別HIV抗体陽 性率 Source:文献!) 妊婦の年齢別でのHIV抗体陽性率をみてみる と,都市部も農村部も25−29歳の年齢層で最 も高い陽性率を示した。

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ザンビアのHIV感染の疫学 3 40 30    20  10 鰍配流章娯≧エ 0 0−4   S−6 7 8−9    哩0−11    12+ 30 0        0        ︵訳︶辮攣醗&娯≧= 図2 都市部での妊婦の通学年数とHIV抗体陽性率     O   Source:文献1)   通学年数の長いグル㎞プほどHIV抗体陽性率  図3   が高くなっている。  ザンビアでは大人のHIV感染はほとんどが 異性間性交渉によるものである。従って,以上 の様な年齢別・学歴・職業・都市部と農村部で の陽性率の差は,各グループ間でのリスクの伴 った異【生間性交渉の数の違いによるものと考え られている。 麗.ザンビアでの田V抗体陽性率の変遷と政   府の対応  ザンビアでは!984年に最初のエイズ症例が 報告7>されたが具体的な対策は取られなかっ た。1986年になってザンビア政府はHIV感染 症対策の必要性を認め,1987年から対策が検 討された。しかし,実際の政策としては何も実 行されないまま,!990年代始めまでにHIV感 染症は広く蔓延して行き,!990年からは高い 感染率のまま横這い状態となってしまった(図 3)。  しかし,!990年代に入り,学校やラジオな どいろいろな機会を通じてHIV感染予防のた めの啓蒙活動が徐々に拡がっている。その結果, !993年から1996年までのルサカ市Chelstone

地区での妊婦のHIV抗体陽性率をみてみる

と61,全年齢で見ると高値安定状態であるが, !5歳から!9歳の年齢層では抗体陽性率が年々 低下してきている(図4)。また,1996年の population basedの調査でHIV抗体陽性率を見 てみると,都市部の15歳から19歳の年齢層で 30 20@   10 訳︶鰍躍薩葦奎王 0 198S  葉987  1990  1992  箋993  1994 ルサカでの妊婦のHIV抗体陽性率の年次変化 (!985−1994) Source:Intematlolla[Programme CentαなPoP− ulatlon Divlsion. U.S.Bureau of幽e Ce韮1sus. HIV/AIDS Survel睡ance Da宅a Base..lu且y l995. 1990年までにmV抗体陽性率は上昇し,その 後高い陽性率のまま,横ばい状態である。 15−19 20−24 年齢 Tota{ 國 1993   [コ 1994   ■ 1996 図4 Chelsto韮、e地域での妊婦のHrv抗体陽性率   SOu韮℃e:文献2)   全年齢を通してみるとHIV抗体陽性率は高い    ままだが,15∼!9歳の年齢層では陽性率が年   を追って減少してきている。 は学校に通っている女子では4.9%,学校に通 っていない女子では17.9%と両者の間には抗 体陽性率に3倍以上の差が認めらる。しかし, 同年齢層の男子では4。9%,3。7%と通学の有 無による違いは認められない。これは,学校で の教育などを通じてHIV感染予防のための知 識が若い世代に広がってきていることを示して いると同時に,都市部での学校に行くことので

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4 照 沼 きない朱成年の女性の立場を示していると考え られる,, V、田Vの母子感染率とその感染経路  ここまで,主として異性間性交渉により拡が った成人でのHW感染症の現状をみてきたが,

次にHIVに感染している母親から子供への

HIVの感染率についてみてみたい。  欧米での母子感染率は薬を使用しない場合に は15%から25%で,発展途上国でのそれは 25%から45%とされている。そして,途上国 での母子感染の3分の1から2分の1は母乳に よる感染であるとされている8㌔ザンビアでは, HIV抗体陽性の母親から生まれた子供をフォ ローアップしてその39%が2歳までにHIVに 感染すると報告91されている。しかし,母親 からの移行抗体が完全に消失して子供での感染 の有無を抗体測定で判断することが出来るよう になるのは生後!8カ月からであり,それ以前 に死亡した子供について,HIVに感染してい たのかどうかは抗体検査のみからでは明確にな らない、、ザンビアは乳幼児死亡率が2割弱であ るので,18カ月以前に死亡した子供でのHIV 感染率が不明であるので,39%という母子感 染率は吟味が必要である。  HIVの母子感染の経路については,胎盤を 通しての子宮内感染,分娩時の産道感染,生後 の母乳による感染の3つが考えられている。欧 米では分娩時の産道感染がメインルートである が,アフリカでは母乳を介しての感染も重要で あると考えられている。現在,私はルサカの大 学教育病院小児科やウイルスラボラトリーと共 同で,ザンビアでのHIVの母子感染率とその 感染経路について検討している。その共同研究 では,約80組の抗体陽性母子と対照群として 約80組の抗体陰性母子を出産時より定期的に 追跡調査している。生後!8ヵ月以前の子供の 感染の有無は,全血からDNAを抽出しnested

PCR法にてHWのprovlrusを検出する方法で

おこなっている。この方法にて,生後1カ月後 の乳児からHWを検出したところ母子感染率 は23%であった。さらに,出産時と生後!年 でのHIV provirUsの検出を現在行っていると ころである。  また,我々は大学教育病院小児科に入院して きた生後18カ月以上の小児148人を無作為に 抽出し,その授乳期間とHIV抗体陽性率につ いても調べてみた。すると,授乳期聞が0か月 から!2か月の小児では陽性率が20%であるの に対し,13か月から!8か月,!9か月以上授乳 を続けた小児ではそれぞれ30%,37%であっ た。また,南アフリカからは母乳で育てた場合 は母子感染率が46%であるのに比較して,母 乳は使わずに人工乳で育てた場合は18%であ るという報告も出されている1ω。従って,欧 米と発展途上国での感染率の違いは母乳による 感染の有無が大きな要因を占めているのではな いかと考えられる。  発展途上国では母乳はその栄養や経済性の高 さから母親のHIV感染の有無に関わらずこれ まで推賞されてきた。また,ザンビアでは通常 20カ月前後授乳するP。従って,授乳期のある 時期,例えば移行抗体が消失する頃から母乳に よる感染のリスクが急に高まるようであれば, 今後その対策を考えなければならないだろう。 W.小児HIV感染者の予後  ザンビアの5歳以下の乳幼児死亡率をみてみ ると,!,000人当たり!975年から!980年忌約 !50人で安定していたが,1981年より上昇し始 め,!982年から1986年には174人,1987年か ら!991年には187人,!992年忌ら1996年には 197人と上昇し続けているP。この乳幼児死亡 率が上昇し始めた!980年代前半はザンビアて Hrvが拡がりはじめた時期に…致している。  我々は大学教育病院小児科に入院してきた生 後!8か月以上5歳以下の子供を無作為に抽出 し抗体検査した結果,25%の陽性率を示した。 妊婦のHIV感染率および母子感染率から推定 される子供の陽性率から考えると,病院に入院

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ザンビアのHIV感染の疫学 5 箋00 80 ︵訳︶ 0    0    0 6    4    2 釦郵e湘躍鰹ま編 0 )c2P<0.05 x2P<0.05 x2P<0,05 、

Measies Ab Polio−1 Ab Polio−2 Ab PoliQ−3 Ab

図5 囲抗田V−1抗体陽性者  □抗田V一備抗体陰性者      (n=・20)       (農=73) 予防接種を受けた1歳以上の小児の入院患者の麻疹とポリオに対する抗 体保有率 HW抗体陽性者では,抗体陰性者に比べて,麻疹とポリオに対する抗体 保有率が有意に低かった。 してきた子供ではHIV抗体の陽性率は3,4倍 高い。さらに,生後!8か月以上の小児でワク チン接種後の麻疹とポリオに対する抗体保有率 を検討すると,HIVI感染児では非感染児に比 べて統計学的に有意に接種ワクチンに対する抗 体保有率が低かった(図5)。また,小児結核 患者でのH卑!の抗体保有率は1989年が24% だったのが,!g90年が37%,!99!年が56% と急増している。ザンビアでのHIVに感染し た小児の予後についてははっきりしたことはわ かっていないが,この様にHIV感染児では非 感染児よりも病気にかかりやすいことは明らか である。 田.輸血の血液の確保  次に,HIV陽性率の非常に高いザンビアで の輸血血液の確保について述べる。ザンビアで は,供血者から採血された血液は輸血に使われ る前にHW抗体の有無が調べられ,抗体陽性 の血液は廃棄される。しかし,それでもなお, wlndow期間でウイルス血症が起こっている抗 体陰性の血液を輸血に使ってしまう可能性を否 定することはできない。そのような理由から, 安全な輸血血液の確保の基本の一つとして, HIV陽性率の高いリスクグループに属する人 たちの血液を使わないという対策が考えられ た。しかしながら,!990年から1993年の男子 供血者のHIV抗体陽性率を年齢別に見てみる 30 0        0         ︵訳︶寸寸蛭&鵯﹀一エ 図6 O 16−19  20−29  30−39   40+   Ali 男子供血者での年齢別HIV抗体陽性率 Sou裏℃e:In{ernatio且、al PR)glamme Cente紅Pop− ula竃ion Dlvision。 U.S.Bureau of the Census. HfV/AII)S Surveilla監〕ce Data Base.July 1995. 20歳以上の供血者はその高いHIV抗体陽性率 からリスクグループとなってしまうが,16∼ !9歳のグループでは2.6%と低い陽性率を示 している。

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6 照 沼 と,20歳以上のグループはすべて陽性率が 10%以上であり,成人のすべてがリスクグル ープに入ってしまっていると言えよう(図6)。

例外的に,16歳から19歳のグループでは

2.6%と低い抗体陽性を示している。従って, 現在は主としてsecondary schoo1(日本の高校 にあたる)の!0歳代後半の男子生徒のvolun一 毛eerから輸血血液の確保をする努力がなされて いる。

 ザンビアではHIV感染者はHIVIの感染が

ほとんどで,H洋2の感染については非常に少 ないとされているが,実際のHIV2の抗体陽性 率については詳しく調べられていない。また, 最近,ザンビアでHIV」I Group Oが見つかっ ており,現在,輸血血液のスクリーニングには Hrい!, Hlv」2, H:r∼q Group oのすべてを一度 に検出するキットが使われている。しかし,今 後新たに出現するかもしれない,現在のキット で検出できないHW変異株に対して,どの様 に対処していくかという課題が残されている。 V皿.ザンビアでのHIVの治療  HIVの治療について,世界的には3剤併用療 法の出現により最近2年間でのHIV治療法の       \進歩には目を見張るものがある。先進国ではそ の治療法を取り入れ,臨床症状・CD4陽性リ ンパ忌数・血漿中のウイルスRNA量に基づい た治療指針が作成されている。しかしながら, その治療により臨床的な予後がどれだけ改善さ れるかについては現在のところ不明である。ま た,3剤の抗HW薬や治療のための検査代は非 常に高額で,大量の薬の8時間ごとの服薬,副 作用,薬物耐性ウイルス出現などにより,服薬 を中断しなければならない人が日本を含む先進 国でもたくさんいる。一方,ザンビアではほと んどの感染者は1剤の抗HIV薬を買うことさ えも不可能である。さらに,欧米で使われてい る検査データーに裏付けられた治療基準を,体 質も環境も違うザンビアでそのまま適応するこ とが可能なのかさえも不明である。そこで, 我々は,ザンビアにて無症候性HW感染者, 症候性HIV感染者を最新の検査法で検査し, その臨床症状・検査結果を感染者の予後と対応 させる研究を現在おこなっている。HIVの感 染が世界中の経済的に恵まれない人たちの間で ますます拡がっていることを考えると,それぞ れの国の実状にあった診断基準の作製と多くの 人が購入可能な治療薬をみつけるための研究が ますます大切である。将来,ザンビアでも, HIV感染者がその人でも受けることの可能な 治療法によりエイズを発症することなく長く普 通に生活することが出来るようになればと考え ている。 おわりに  この総説では,ザンビアを例として発展途上 国でのHIV感染の現状について述べた。そこ で述べたように,先進国では感染の拡大と発症 がコントロールされつつある一方,発展途上国 ではまだ充分なコントロールがなされていな い。  先進国の幾つかでは新規感染者が減少に転じ ている一方,日本では昨年1年間に届け出のあ った新規感染者数は397人,エイズ患者数は 250人であり,いずれも前年を上回ったll}。そ の結果,昨年末までに日本の累積感染者数は 2,490人(血友病患者は含まない),エイズ患者 は1,056人となっている。昨年の新規感染者は, 異性間性交渉・同性間性交渉による感染の増加 を認め,日本人男性の国内での感染が多数を占 めている。数こそ少ないが,日本ではHIV感 染はまだコントロールされていないということ である。また,年齢別の異性間性交渉による感 染は,男性では45歳から49歳に,女性では20 歳から24歳にそのピークがある。異性聞性交 渉により中年男性と若い女性に新規感染者が増 加していくというパターンは,ザンビアでの感 染者の拡大パターンと同じである。性感染症と してのHIV感染を根絶することは不可能なの ではないだろうか。世界中の新規感染者の数を

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ザンビアのHIV感染の疫学 7 減らすにはまだまだ長い道のりが必要なのかも しれない。 謝 辞   国際協力事業団ザンビア感染症対策プロジェ クトのチーフアドバイザー沼崎義夫博士をはじ め,日本大使館,国際協力事業団の方々,保健 省副大臣Prof。 N. Luo,ザンビア大学医学部の Dr. R Matondo, Prof G. Bhat, Dr. C. Luoおよび 大学教育病院のウイルスラボラトリーの皆様 に,ご指導・ご協力頂きましたことを厚く御礼 申し上げます。 文 献 1)Central Statistical Office, Mlnlstry of}{ealth,    Zambi我:Demogr盆phic a韮}d hea[{h survey l996.    Maαo hlternatlonal Inc., MaIyland,韮997. 2)WHO:The curre1耗global situation of the    削V/AIDS pandemlc・Weekly恥ldemioIogical    Reco韮d 72:359−360,1997. 3)Gottliel)MS, SchギofF R, Schanke韮・HM, Wdsman   JD, Fall PT, wolf RA 8‘で6乙:Plleumocys£is carlnil    P臓eumoniaεmd mucos段l candldlasis in Previous−    ly healthy homosexual men:evide盈}ce of 3 new    acquired cellular lmmu韮}odeficlency. N Engl J ︶ 4 ︶ ︸り ︶ 6 ︶ 7 ︶ 8 ︶ 9 10) ll) Med,305:王425−1431,1981. Siegal FP, Lopez C, HammeギGS, Brown A£, Komfe且d SI, Gold J瀦‘ごム:Severe ac(達uire(l lmmUn・deβclency h達ma置e h・m・sexualS mani一 艶sted by chギonic perianal ulce韮a宅ive he韮pes slm− plex lesions. N Engl J Med,305:1439−1444, 1981. Fy且kesnes K, Musonda RM, Kasumba K, Ndhlovtl Z,Mluanda混Kaetano正.κα乙:The HrV epidem− lc in Zambia:soclo−de獄09韮aphic勲revale且職ce pat− terns and lndicatl・ns・f£rends am・ng cillldbea・・ mg wome11.AIDS,11:339−345,1997. Nadonal AIDS/STD/TB/Lepギosy Programme, Ml韮11stry of Heal亡h, Zambla:New epldemlologi− c我1,demogギaphic and behaviou貰・al resea箋℃h 8nd− ings韮・elatedωthe Hr▽/AIDS epide膿ic in Zam− bia。 Paひer presenξed a£宅he dissemh}ation seml一 讃㌃ar of NASTL Programme, Lusaka,1997. Bay】ey AC:Aggresslve Kaposl’s sarcoma ln Z犠m− bla,圭983. Lallce£:1318−1320,1984. Krelss J:Breas£艶eding a臓d vertical tra監1smlssion oF HIV−1. Acta Paediat韮・lca。 Su粋plemellt.421: 1圭3−117,1997. Hira SK, Kamanga J, Bhat(ミ1, Mwale C,艶mbo G,Luo Nβ‘認.:Pαinatahra韮、smission of H卑l in Zambia. Br MedJ,299:1250一韮252,1989. Gray G£, Mclntyre JA, Lyons SF:The e旋ct of breas毛起eding o韮}vertlcal transmisslon of HIV−1 1n Soweto, South Afrlca. The XI I1肇ternational Confbrence on AIDS. Vallcouver,2:237,1996。 厚生省エイズ動向委員会:平成9年エイズ発生 動向年報一総括一

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