第55回日本泌尿器科学会群馬地方会演題抄録
日 時:平成 22年 6月 19 日 (土) 15時 00∼ 場 所:群馬大学医学部内 刀城会館 会 長:小林 幹男(伊勢崎市民病院) 事務局:柴田 康博(群馬大院・医・泌尿器科学)セッション >
座長:古谷 洋介(群馬大院・医・泌尿器科学)臨床症例
1.両側サンゴ状結石に合併した右腎腫瘍の一例 藤塚 雄司,柏木 文蔵,斉藤 佳隆 内田 達也,竹澤 豊,小林 幹男 (伊勢崎市民病院 泌尿器科) 坂本亮一郎 (館林厚生病院 泌尿器科) 大谷 和歌(太田福島 合病院 泌尿器科) 症例は 63歳男性. 平成 20年両側サンゴ状結石を指摘 され, 平成 21年より前医にて尿管ステント留置下に ESWL で加療. 同年 6月左腎結石に対し 9 度目の ESWL 施行後,左腎被膜下血腫を認め,この時の CT にて右腎腫 瘍が疑われた. 10月 CT 再検したところ, 被膜下血腫は 改善したが, 右腎下極に 4.5cmの腫瘍 (T1aN0M0) を指 摘されて加療目的に当科紹介. 対側腎機能は廃絶されて いたため, 右腎部 切除+腎切石術を施行. 腎部切時に 腎盂をあけ, 整形用骨鉗子で砕石し破片を回収した. 病 理は clear cell carcinoma,G1>2,pT1aの診断.結石成 はリン酸 Ca38%, シュウ酸 Ca31%, 炭酸 Ca31%であっ た. 後日, 左 TUL 施行し, 残石認めるも水腎症や腎機能 悪化は認めず経過観察中である. サンゴ状結石と腎細胞 癌との合併は稀であり, 本症例のように腎機能低下が危 惧される場合には部 切除+切石術は有用であると思わ れた. 2.精巣カルチノイド腫瘍の1例 新井 誠二, 見 勝,清水 信明 (群馬県立がんセンター 泌尿器科) 飯島 美砂 (同 病理部) 症例は 79 歳男性. 1週間程前からの無痛性左陰囊腫大 を自覚し, 近医を受診した. 近医で左精巣腫瘍を疑われ, 当院紹介受診となった. 受診時所見では, 左陰囊内に鶏 卵大に腫大し, 石様 , 表面平滑な腫瘤を触知した. 腫瘍 マーカーは hCG-β<0.1 ng/ml,LDH 200 IU/L,AFP 2.1 ng/mlと基準値内であった (hCG は未検であった).左精 巣癌と診断し, 左高位精巣摘除術を施行した. 病理組織 診断では, carcinoid tumorの診断であった. 臨床的にカ ルチノイド症候群は認めなかった. 胸腹部造影 CT では, 他臓器に明らかな病変は認めず, 精巣原発カルチノイド 腫瘍と診断した. 精巣カルチノイド腫瘍は稀な疾患であ る. 原発性では精巣摘出により良好な予後が得られるが, 小腸など多臓器からの転移の可能性もあり, 注意が必要 である. 3.前立腺小細胞癌の1例 大山 裕亮,富澤 秀人,大竹 伸明 関原 哲夫 (日高病院 泌尿器科) 症例は 56歳男性. 近医にて PSA 26.027 ng/ml, 低 化 腺癌 GS4+5=9, T4N0M1b, stageD2に対し MAB療法 を施行.PSA は 0.892 ng/mlまで改善していたが,治療開 始から 8カ月後に左水腎症が出現し, 膀胱鏡にて膀胱浸 潤を認めたため当科紹介となった. 当科にて施行した TUR の組織には腺癌の成 は認められず, 前立腺小細 胞 癌 の 診 断 で あった. そ の 後 放 射 線 療 法, EP療 法 (etoposide+cisplatin), IP療法 (irinotecan+cisplatin) を 施行したが, 最初の生検から 2年 4ヵ月後に死亡. 剖検で は前立腺には明らかな腫瘍は見られなかったが, 両側肺, 肝, 両腎, 膀胱, 胸壁, 腹膜, 骨, 頸部から縦隔のリンパ節 に転移を認めた. いずれの転移巣も, 病理組織および免 疫染色の所見から, 前立腺への 化を一部に示す神経内 泌腫瘍と えられた. 4.腎細胞癌術後3年目に膵転移をきたした一例 冨田 介,塩野 昭彦,小林大志朗 町田 昌巳,牧野 武雄,柴山勝太郎 ( 立富岡 合病院 泌尿器科) 本間 学 (同 病理診断科) 症例は 51歳男性. 3年前に腎細胞癌 (T1aN0M0) に対 387 Kitakanto Med J 2010;60:387∼389し左根治的腎摘出術を施行. 2010年 5月, 経過観察中の 腹部 CT で膵頭部に hypervascularな腫瘤が認められた. 腎細胞癌膵転移を疑い, 外科にて腫瘍切除術が施行され た. 病理組織は clear cell carcinomaであった. 腎細胞癌 膵転移は転移症例中 2%程度と比較的稀であり, 切除例 の報告はまだ少ない. 若干の文献的 察を加えこれを報 告する. 5.インターフェロン α投与中に増悪傾向を認めたが 休止後に自然消退を認めた左腎細胞癌の1例 宮澤 慶行,上井 崇智,登丸 行雄 (桐生厚生 合病院 泌尿器科) 症例は 74歳女性, 近医での CT で左腎細胞癌, 肺転移 を 疑 わ れ, 紹 介 受 診 と なった. 診 断 は 左 腎 細 胞 癌 cT1bN0M1 stageⅣ (肺転移),左腎摘除術を施行した.そ の後 IFNα療法 (スミフェロン 300万単位週 5回) を 9ヶ月間投与した.効果判定の CT で PD の判定,患者,家 族との相談で対症療法を行っていくこととなった. その 後経過観察中に転移巣の著明な縮小, 消失を認め, 現在 も無治療で経過をみている. 上記症例について, 若干の 文献的 察を含め報告する.