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知的障害教育における自己決定力とその獲得に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)知的障害教育にお1ナる自己決定カとその獲得に関する研究 特別支援教育学専攻.   心身障害コース. M07118K和田恒 にくいカであることが考えられた。. 第1章 問題の所在と目的  知的障害教育において自己決定にかかわる研究が.  自己決定の対象は、学校生活や授業の場面での具. 行われるようになったのは1990年代以降である。. 体的な対象と児童生徒自身の行動に分類された。そ. そして、その重要性は広まりつつある。. れらは主に、重度MR児の具体的な対象や、児童生.  これまでの研究では、主に「支援」によって自己. 徒自身の意思が重要であると感じられる場面での行. 決定を可能にしようとしてきた(手島・吉利,2001)。. 動であった。したがって自己決定カば、教員に意識. しかし、特に学校教育においては児童生徒自身が自. されやすい、児童生徒が自らの意思で具体的な対象. 己決定カを獲得していくことが重要である。その際、. や自身の行動を決定するカであると考えられた。. 自己決定カがどのようなカであり、児童生徒がどの.  自己決定にかかわる働きかけとして6つに分類さ. ように獲得するとされるのか、それらを踏まえた上. れた。自己決定する時1こ必要とされるr選択肢に関. で自己決定カが議論される必要がある。. する情報や手がかりと時間の提供」。自己決定させた.  本研究てば、知的障害教育における自己決定力と. り、自己決定に必要とされるカ等を獲得させたりす. その獲得について検討することを目的とする。. るための「自己決定の機会の提供」。主に重度MR児.  3つの視点として、自己決定の意義、自己決定の. 1こ対する、選ぶことを教える「選択の指導」、児童生. 対象、自己決定にかかわる教員の働きかけを設定し、. 徒の意思をくみ取る「意思の推察」、その他といった. 学校教育全体を通した視点としてインタビュー調査、. 選択肢を設定する「選択肢の拡大」。主に軽度MR児. 授業実践における視点として実践研究の検討を行う。. に対する、選択・決定したことに対する意思を草重 するr選択・決定後の意思の尊重」。. 第2章 インタビュー調査.  特に自己決定カとその獲得に関連したものとして 「自己決定の機会の提供」は自己決定カの獲得にお. 1.方法 対象 大学院生もしくは修了生の知的障書特別支援. いて前提条件であった。また「選択の指導」によっ. 学校教員6名(30−50歳代,男性5名、女性1名). て児童生徒が選べるようになることや、r選択肢の拡. 実施期間 2008年7月∼9月. 大」によって児童生徒の自己決定における選択肢の. 半慌き 半構造化面接を行い、質問項目に関連した. 幅が広がることは、自己決定カの獲得であると考え. エピソードや考えについて語ってもらった。質問項. られた。. 目は、自己決定の意義や自己決定にかかわる働きか. 第3章 自己決定を重視した実践研究の検討. 1ナについてであった。. 1.方法 2.結果と考察.  知的障害教育における自己決定にかかわる実践を.  得られたデータから、自己決定の意義、自己決定. 取り上げ(Table1)、実践の背景、自己決定の対象、. の対象、教員の働きかけについて分類し、分析した。. 教員の働きか1ナについて分類し、分析した。.  自己決定の意義は主に自立との関連において、重. 度MR児のコミュニケーション手段や軽度MR児の. 2.結果と考察. 就労選択時の重要性が語られた。このことから、自.  実践の背景から自己決定の意義は、長期的視点か. 己決定カは自立と関連したカであるが、日常の学校. らは自立との関連において、日常の学校生活場面で. 生活場面においては、特定の場面以外では意識され. は主体性との関連において重視されていた。自己決. 一240山.

(2) 実践者(年). Tabe1取り上げた実践 対象 MR程度. 船橋(1993). 中学部、. s剳. 童中軽度. 木村・鈴尾・関・ 小学校 。村(1996.1997. @護学 1〕. 中軽度2〕. P998.1999). 宮地・黒田(1999). 高等部. 一塩・池本(2001) 中学部. 松田・二階堂・ 汾X(2007). 中学部. につながることからも、自己決定力の獲得において 対象授業. 重要であるといえる。. 作業学習.  また、3つの場面による授業の流れば実践によっ. 総合学習、国語、. て期剛こ違いは見られたが、ぽぽ同様であることか. @数、音楽、生活. ら、児童生徒が自己決定カを獲得する基本的な過程. 重中軽度2 生活実践学習 業学習 中軽度 重度. であると考えられた。. 作業学習、総合的.  これらのことから、ある活動1こ対する自己決定力 とは、「活動を選択・決定し、選択一決定した活動を. ネ学習の時間 1)文脈からMRと判断した。2)文脈から判断した。 1)文脈からMRと判断した。2)文脈かb判断した。. 行い、選択・決定したことやした活動について評価. 定カもこれと同様のカであると考えられる。. する、という一連の流れをもって活動するカ」であ.  自己決定の対象は、主に授業活動にかかわる具体. ると捉えられた。. 的な対象と児童生徒自身の行動が見られた。具体的.  その他、「選択肢の拡大」によって自己決定におけ. な対象の選択・決定には活動がともなうことから、. る選択肢が広がることや、様々な場面や状況といっ. 自己決定カはより広義に、児童生徒が自分自身の行. たr選択・決定の場面の設定」によって、自己決定. 動を決定するカであると捉えられた。. する環境が広がることも、重要であると考えられた。.  自己決定にかかわる働きかけとして、いずれの実. 践にも3つの場面による流れと、3つの場面ごとに. 第4章 総合考察. 見られた。.  自己決定力は主体性と関連があることや行動を選.  選択・決定の場面では、様々な状況や場面を設定. 択・決定するカであり、教員の意識によることから. するr選択・決定の場面の設定」、児童生徒の選択肢. 次のように捉えられた。. の幅を広げるr選択肢の拡大」、選択・決定する際の.  知的障害教育における自己決定カとは、主体的に. r選択肢に関する情報や手がかりの提供」、児童生徒. 行動するカにおける、具体的な活動を選択・決定し. の選択・決定の意味づけを考えたりする「意思の推. たり児童生徒が自分の意思で判断して行動したりす. 察」、選択・決定することに対する「意思の草童」。. るカである。そして、そうした活動や行動は、特に. 活動の場面てば児童生徒に「考えさせ、判断させる」、. 自己決定として教員に意識されやすいものである。. 活動の「目的や見通しを持たせる」、教員や友だちと.  また、ある活動に対して検討された自己決定力の. のrかかわりの場面の設定」。評価の場面では活動を. 獲得は、具体的には次の5つであった。 ①より少ない手がかりや情報で自己決定できるよう. 「評価させる」。.  選択・決定の場面での働きかけは、主1=初等教育.  1こなること。. 段階や重度知的障害児を対象とした実践において重. ②「どのような」活動を行うかという自己決定から、. 視され、より少ない手がかりや情報によって自己決.  「どのような」活動を「どのように」行うかとい. 定できるよう1二なることが重視されていた。.  うより複雑な自己決定ができるよう1二なること。.  活動の場面における働きかけは、主に中等教育段. ③それまで自己決定できなかった児童生徒が自己決. 階にある軽度知的障害児を対象とした実践において.  定できるようになること。. 重視されていた。選択・決定の場面を‘‘何を’’行う. ④自己決定における選択肢の幅がより広がること。. かを決定する場面とすれば、活動の場面は‘’どのよ. ⑤より幅広い環境において自己決定できるようにな. うに’’行うかを決定する場面である。したがって、.  ること。. 中等教育段階での実践は、“何を’I‘‘どのように”行. うかを決定する、より複雑な自己決定として考えら. 主任指導教員 河相善雄. れた。. 指導教員 河相善雄.  選択・決定したことや活動したことを「評価させ ること」はいずれの実践にも見られ、次の自己決定. 一241一.

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