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キャンプ体験が児童の思いやりに与える影響 : 「森の体験キャンプ」に着目して

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(1)Title. キャンプ体験が児童の思いやりに与える影響 : 「森の体験キャンプ」に 着目して. Author(s). 向坊, 俊; 城後, 豊. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 55(2): 19-26. Issue Date. 2005-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/368. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育人学紀要(教育科学編)第55巻 第2号 JournalofHokkaidoUniversityofEducation(Education)Vol.55,No.2. 平成17年2月 February,2005. キャンプ体験が児童の思いやりに与える影響 「森の体験キャンプ」に着目して. 向坊 俊・城後 豊* 北海道教育人学人学院教育学研究科 *北海道教育人学札幌校保健体育科教育学研究室. The Influence of Camp Experience upon Consideration of Children. Focusingonthe”MORINOTAIKENCAMP” MUKAIBOSyunandJOGOYutaka* GraduateSchoolofEducation,HokkaidoUniversityofEducation *DepartmentofHealthandPhysicalEducationPedagogy,SapporoCampusHokkaidoUniversityofEducation. 《Abstract≫. Thepurposeofthisstudyistoclarifytheinfluenceofcampexperienceuponconsiderationofchildren, andtoexaminetherelationbetweenthestudyprocessofacampprogramandtheeffectofcampexperi− encebyclarifyingthestudyprocessofacampprogram.Themeasurementofconsiderationwascon− ductedtothe39campers(37analysiscandidates)atthefirstdayandthefinaldayofthecamp.The questionnairereferredtoUchida’ssympathyscaleandDeguchi’sempathyscale.Moreover,The. measurementofthestudyprocesswasconductedaftereachprogram.Thecamperswerecomposedof elementaryschool(grade4,5and6)children.. Mainfindingswereasfollows: 1)Thevalueoftheself−eXpreSSion(p<.01),mutualunderstanding(p<.05),andcooperationand support(p<.01)ofthefactorofconsiderationonthefinaldaywerehigherthanthevalueofthem Onthefirstday.Moreover,thecorrelationwasacceptedamongallfactorsonthefinalday.. 2)Thestudyprocesswasseentothe”MORINOTAIKENCAMP”fromtheresultofthecorrelationbe− tweentheelementsineachprogram.Itwasdevelopedandenhancedastheprogramprogressed. Fromtheseresults,itbecameclearthattheinfluenceofcampexperienceuponconsiderationofchil−. dren,anditcanbesurmisedthattheeffectofcampexperienceisbornbystudyprocessexistingina Camp prOgram.. 《Keywords≫ campexperience,COnSideration. 19.

(3) 向坊 俊・城後. Ⅰ.研究目的. 曲 ヽ!l. らにキャンプ参加者は,自然環境の中で,自然, 自分,他者について考え,自然の大切さを感じる. 現代の子どもたちの生活は,都市化の進展,科 学技術の発達,高度な情報化など,社会の変化に より大きく変わった.平成12年に全国の′ト学校5. とともに,他者とかかわりの大切さを実感するこ とができる.. そこで本研究では,キャンプ体験が児童の思い. 年生と中学校2年生を対象に行われた「子どもの. やりに与える影響について調査分析し,キャンプ. 生活実態等に関する保護者と子どもの調査」3)に. プログラムの学習過程を明らかにしたキャンプ体. よると,テレビ,コンピュータ,インターネット. 験の効果について検討する.. などの出現により,6割以上の子どもが1日に2 時間以上テレビを見ていて,5割以上の子どもが 1日に1時間以上テレビゲームを行っている.ま た社会の変化は10),子どもたちの遊び場所や時 間を減少させ,子どもたちが自然と触れ合うこと. Ⅰ.研究方法 1.調査対象. 調査は,財団法人北海道森林整備公社が主催事. や異年齢で遊ぶことを難しいものにしている.こ. 業として行い,NPO法人当別エコロジカルコミュ. のような生活の変化により,子どもたちのまわり. ニティーが運営指導にあたった「平成15年度道民. には擬似体験が増加し,実際に自分の体を動かし. の森・森の体験キャンプ」の事業(2003年8月3. 体験することや他者とコミュニケーションをとる. 日∼5日:2泊3日)を対象とした.森の体験キャ. ことが少なくなってきている.. ンプは小学校低学年の部と小学校高学年の部があ. この実体験や他者とのかかわりの不足により,. り,そのうちの′ト学校高学年の部参加者39名に調. 次のようなことが起こっている.一つは6),自己. 査を実施した.分析対象者は,森の体験キャンプ. 表現能力の不足である.つまり,自分のことがう. のプログラムに全て参加し,データの欠損がな. まく表現できず他者との交流が苦手で,他者のこ. かったもの37名(有効回答率:94.9%)とした.. とを考えることができず簡単に人を傷つけてしま. うということである.二つは7),相互理解の不足. 2.調査環境. により,他者の痛みや気持ちがわからず,弱い者. 道民の森は,昭和60年の国際森林年の記念事業. や自分たちと考えが違う者に対しいじめを行うこ. として計画され道民が森林との触れ合いを通じて. とである.三つは4),因っている人がいても,自. 自然と共に生きる心を培うことを目的に施設整備. 分は何もしないで見て見ぬふりをするということ. がなされたものである.約1万1千ヘクタール,. が増えてきているということである.つまり現. 東京都のおよそ20分の1にあたる広大なエリア. 代の子どもたちは,実体験や他者とのかかわりの. は,レクリエーション,スポーツ,教育活動,林. 不足により,他者を気遣い思いやる気持ち,すな. 業体験など,活動の目的の違いにより5つの地区. わち「思いやり」が稀薄になってきている.. に分かれている.そして,本研究で対象とした森. そこで,実体験や他者とのかかわりを十分に行 うことができる体験学習が,現代において重要視. の体験キャンプは,学習キャンプ場や林業体験の 森などがある「月形地区」で行われた.. されている.その中でもキャンプは「自然の中で. 行われる自然体験,生活体験」8)を育む活動であ る.これらのキャンプの中では5),日常で体験す ることができない自然の中での多様な活動が行わ. 3.森の体験キャンプの概要 (1)キャンプの趣旨. 子どもたちが多くの友達と過ごす楽しさと協調. れ,また異年齢の参加者との触れ合いなど,非R. 性を養うと同時に,森の中での体験を適して,森. 常的な他者とのかかわりをもつことができる.さ. と人間の関わりについて理解することで,日頃の. 20.

(4) キャンプ体験が児童の一思いやりにり・える影響. ライフスタイルを見直すきっかけとすることであ. に参加者が着いて,開村式が終わりお互いの自己. る.. 紹介をする前(キャンプ前)に行い,事後は最終 (2)キャンププログラムの概要. 森の体験キャンプは,森の特性をいかした5つ. 日のプログラムがすべて終わった直後(キャンプ. 後)に行った.また,森の体験キャンプの学習過. の主要なプログラムを柱に構成されている.その. 程に関する調査は,各5つのプログラムが終わっ. 5つの主要なプログラムの内容は以下の通りであ. た帝後に実施した.いずれも質問紙法を用いて,. る.. 各班一斉に行うようにした.各班のカウンセラー. ① 「森のセンス・オブ・ワンダー」:普段の生. に質問の意味がわかりにくい場合には,子どもた. 活の中では忘れてしまっている感覚を目覚め. ちに説明を加えるように指示を与えた.. させ,新鮮な感覚で森や自然を体験する.実 5.調査内容. 際の活動としては,指導者から渡された紙の 色と同じ色を森の中にあるものからみつける. (1)思いやりの測定. 「色探し」という活動を行った. ② 「森のうつりかわり」:スライドを使用し,. 参加者の思いやりを測定する質問紙は,内田ら. の「思いやり尺度」9),平井や出口らが共感性研. 夜の森の中で世界の森や日本の森の姿を見せ. 究に用いている「共感性尺度」1)を参考にして作. て,道民の森という場所において子どもたち. 成した.思いやりを「自己表現」,「相互理解」,「他. に「森」について考えさせ,自然の雄大さや. 者尊重」,「協力・支援」の4つの因子で構成し,. 神秘を感じさせるプログラムである.. さらに各4因子に3項目を与え計12項目によっ. ⑨ 「昆虫が住む森を作ってみよう」:人間がか. て,参加者の思いやりを測定することとした.な. かわることで森が良い状態に変わるというこ. お,各因子得点が高く,また因子問の結びつきが. との理解をねらいとし,木を切ったり,草を. 強いほど,より思いやりがあると本研究では捉え. 刈ったりして昆虫のねぐらを造るプログラム. た.. である.なぜ,木を切る必要があるのか,草. 「自己表現」は他者に自分の考えや気持ちを素. を刈る必要があるのか考えながら森に関わっ. 直に表現することで,他者と情報や感情を共有し. ていく.. ようとすることである.そのため,自分の考えを. ④ 「夜の森を感じる」:「昆虫が住む森を作っ. 一方的に押し付ける主張ではなく,相手のことを. てみよう」で活動した場所まで,晴間の中を. 考え,相手のために自分の考えや気持ちを表現す. ′トさな明かりや月明かりをたよりに移動する. ることである.. プログラムである.夜の森を歩く「ナイトハ. 「相互理解」は自分のことを他者に理解しても. イク」と呼ばれる手法で,視覚以外の感覚を. らおうとするだけではなく,相手の考えや気持ち. 刺激する.. を知り相手のことを理解しようとすることであ. ⑤ 「森のクラフトマン」:森の一部を持ち帰る. る.相手の言葉,行動,表情に関心を持ち理解で. ことをねらいとして,植物のつるや葉っぱな. きるようになることで,相手の気持ちに合わせた. どの自然のものを用いて作品を作るプログラ. 言葉かけ,. ムである.実際の活動としては,植物のつる をメインにドリームキャッチャーを作った.. 行動,表情をすることができる.. 「他者尊重」は相手の考えや気持ちを自分の中 に受け入れ,相手を敬うことである.自分の考え. や気持ちと異なる時にも,相手の考えや気持ちを 4.調査方法. 受け入れることである.自分と異なる部分を否定. 思いやりに関わる測定は,質問紙法により森の. するのではなく,自分と異なる部分を敬い理解し. 体験キャンプ前後で実施した.事前はキャンプ場. 受け入れることで,相手を思いやることができる.. 21.

(5) 向坊 俊・城後. 「協力・支援」は相手や自分のためになること. 曲 ヽ!l. Studentのt検定を用いた.プログラム問の差の. を力を合わせて行うことであり,因っているまた. 検定には一元配置分散分析を用いた.また,統計. は助けを必要としている相手にはたらきかけるこ. 解析ソフト「Stat View5.0」を用いて因子問,. とである.義務付けられたものではないので,負. 要素間の相関関係の検定を行った.危険率はいず. の感情(いやだ,面倒だ等)ではなく,正の感情. れの場合も5%未満とした.. (楽しい,うれしい等)が伴う.また相手のため に叱咤,激励することも含んでいる.. 思いやりの各4因子には,3項目を与え,質問. Ⅱ.結果及び考察. 項目は計12項目となっている.「まったくそう思. 1.思いやりの測定. 思いやりの因子の平均と標準偏差は表−1に示. わない」,「そう思わない」,「どちらでもない」,「そ う思う」,「とてもそう思う」の5段階評定尺度法. すとおりである.. で回答してもらった.「まったくそう思わない」. (1)キャンプ前後の自己表現の比較. に1点を与え,以下,「とてもそう思う」に5点 を与えるまで,1点きざみに得点化した. (2)学習過程の検討. 学習過程に関わる質問紙は,城後ら2)により抽. 「自己表現」においてキャンプ前後に1%水準. で有意差が認められた(図−1).これは,キャ ンプにおいて,集団を形成し活動する中で,個々. の考えや気持ちが重視され,日常の生活よりも. 出された学習の要素を参考に作成した.学習の各. 個々の考えや気持ちを出しやすかったためであ. 要素は,「知覚による興味・関心」,「感覚的な実. る.また,「自己表現」の項目の一つである「自. 体験」,「森の機能・役割」,「感性的な共生」があ. 分から進んで活動ができる」において1%水準で. り,プログラムが進むにつれ,学習が発展してい. 有意な正の変化が認められ,キャンプの中での非. く.. 日常的な活動により,個々の興味や自発性が活性 「知覚による興味・関心」とは森のさまざまな. 事象に対し興味や関心をもつことであり,その後. 表−1 思いやりの各因子の平均,標準偏差. の学習の動機づけとなる.また,道民の森での学. 因子. 習の基盤となるものである.「感覚的な実体験」. キャンプ後 キャンプ前. 自己表現. とは五感に関する器官やその他の感覚器官を用い 相互理解. た体験のことである.「森の機能・役割」とは森 のしくみや地球の生態系を支える森のはたらきを. 他者尊重. 理解することである.「感性的な共生」とは人間 と自然の共生について考えることである.. 協力・支援. これら4要素にそれぞれ1項目を与えた.思い. M. lO.81. 12.16. SD. 2.60. 2.17. M. ll.14. 12.05. SD. 2.70. 2.23. M. ll.49. 12.00. SD. 2.36. 2.39. 12.38. 13.27. l.81. 1.81. M SD. やりの質問紙と同様に5段階評定尺度法で回答し てもらった. 5 2 g. 6.分析方法. 6 3 0. 「自己表現」,「相互理解」,「他者尊重」,「協力・. 支援」の得点は3項目を合算したものを用い,各 4因子の平均と標準偏差を算出した.また,各因 子の3項目,学習の要素の各項目についても同様 のことを行った.事前値と事後値の差の検定には. 22. キャンプ前. キャンプ後. 図−1 自己表現のキャンプ前後の比較.

(6) キャンプ体験が児童の一思いやりにり・える影響. を考えようとすることがキャンプにより現れてき ■.P. ている.. 2. (3)キャンプ前後の他者尊重の比較. 「他者尊重」においては,キャンプ前後に有意 9. 差は認められなかった(図−3).これは,キャ 6. ンプを体験することによって相手の考えや気持ち 3. キャンプ前. キャンプ後. 0. 図−2 相互理解のキャンプ前後の比較. を理解しようとする傾向が出てきても,自分がや りたい,自分の考えるようにやりたいという気持 ちが強く,自分の考えより相手の考えを大切にし. ■.つ. たり,受け入れたりすることに対してまでは変化 がみられなかったことを示している.しかし,長. 2. い時間を共有することで,他者をより理解し自分. 9. とは異なる他者の考えや気持ちを受け入れること. 6. ができるのであり,有意な変化が見られなかった. 3. キャンプ前. キャンプ後. 0. 図−3 他者尊重のキャンプ前後の比較. のは,2泊3日という期間が影響している. (4)キャンプ前後の協力・支援の比較 「協力・支援」においてキャンプ前後に1%水. 準で有意差が認められた(図−4).プログラム. **. 5 2. の中でグループの仲間と共に力を合わせて物事を. 9 6. 解決することや,その間題の解決による感動や喜. 3 0. びが協力することは大切であるという気持ちを起 こしたと考えられる.またキャンプ前での平均が 高いことから,キャンプの巾での協力によって, キャンプ前. キャンプ後. 図−4 協力・支援のキャンプ前後の比較. 協力の大切さを改めて実感し,その気持ちが強 まったとうかがえる.さらに,「協力・支援」の 項目の一つである「友達のために,怒ったり,注. 化されていた.参加者はキャンプ前より,自発的. 意したりすることは大切だ」において5%水準で. に行動することができるようになり,また,自分. 有意な正の変化が認められ,友だちのために怒っ. の内にもつ考えや気持ちを外に出すことができる. たり,注意したりすることが大切であり,キャン. ようになっている.. プにおいてただ楽しいというだけで過ごすのでは. (2)キャンプ前後の相互理解の比較 「相互理解」においてキャンプ前後に5%水準. で有意差が認められた(図−2).キャンプ中の. なく,「他者のためになること」を行うことで,. よりキャンプが良くなるように試みていたことが 見受けられる.. 様々な自然体験の中で他者と触れ合うことが他者. (5)キャンプ前後の因子問の相関の比較. への興味を引き起こし,他者の考えや気持ちを理. キャンプ前では,「自己表現」と「他者尊重」. 解しようという気持ちを起こしている.「相互理. において正の弱い相関(r=0.399,p<.05),「相. 解」の項目の一つである「友達の気持ちを考える. 互理解」と「他者尊重」において正の中程度の相. ことができる」において有意傾向ではあるが正の. 関(r=0.622,p<.001),「相互理解」と「協力・. 変化がみられ,友だちの考えや気持ち,つまり他. 支援」において正の中程度の相関(r=0.681,p. 者の内面に対し興味を持ち,他者の考えや気持ち. <.001),「他者尊重」と「協力・支援」において. 23.

(7) 曲. 向坊 俊・城後. 表−2 キャンプ前の因子間の相関. ヽ!l. 関が,他の3つの因子問におけるものより,非常. 自己表現 朝市理解 他者尊皇 協力・支援 自己表現. に弱く,児童の「思いやり」に関わる国子間の結 びつきに偏りがあることを示していた.自分の考. 利]丁工理解. .111. 他者尊重. .399*. .622糊*. .303. .681糊*. 協力・支援. えや気持ちを外に出し,他者に伝えようとするこ .617柑. と,また自発的に活動することが,「相互理解」,「他. ∵p<.05 醐;p<.001. 者尊重」といった他者の考えや気持ちを理解しよ うとしたり,受け入れたりすることと関係してい. 表−3 キャンプ後の因子間の相関. なかった.しかし,キャンプ後において,すべて 自己表現 朝市理解 他者尊皇 協力・支援. 自己表現. 関係を深めている.また「自己表現」と他の因子. 利]丁工理解. .467糊. 他者尊重. .592醐. .699糊*. .373*. .491糊. 協力・支援. において正の相関がみられ,4つの因子が相互に. 問との相関が全て強くなっていることから,自分 .461**. の内面を他者に出すことが,他者を理解し,受け. ∵p<.05 糊;p<.01 抑∵p<.001. 入れることと関連するようになっている.した 表−4 学習の要素の、ド均,標準偏差. 要素. 知覚による. がって,キャンプを体験することは,「自己表現」,. 昆虫が センス・ 森の 森の 住む森を 夜の森を オブ・ うつり クラフト 作って 感じる マン ワンダー かわり みよう M 4.30. 4.20. 4.13. 4.30. 4.50. 興味・関心 SD O.94. 0.87. 0.88. 0.78. 0.67. 感覚的な実体 M 4.07 験. 森の機能・役 M 割. 3.87. SD O.81 3.33. SD O.91. 感件的な共年 M. 3.50 0.89. 4.43. SD O.72. 3.83. 3.87. 0.81 1.00. 1.14. 4.33. 0.79. 3.67. 4.50. 0.72. つきを強めることに効果があると推察できる.. 2.学習過程の検討. 表−4は学習の要素の各プログラムにおける平. 4.00. 0.85 3.70. 0.82. 3.80. 0.86. 1.08. 4.43. 0.76. 「相互理解」,「他者尊重」,「協力・支援」の結び. 4.50. 0.67. 均,標準偏差を示したものである.また,表−5 は各プログラムの要素間の相関を示したものであ る.. (1)プログラム問の学習の要素の比較. 各学習の要素のプログラム問における平均に有 正の中程度の相関(r=0.617,p<.001)が認め. 意差は認められなかった.「知覚による興味・関. られた(表−2).. 心」は全てのプログラムにおいて,平均4.0以上. キャンプ後には,キャンプ前ではみられなかっ. の高い値を示していた(表−4).参加者にとって,. た「自己表現」と「相互理解」において正の中程. 森が非日常的な場所であり,興味・関心が高まっ. 度の相関(r=0.467,p<.01),「自己表現」と「協. ていると考えられる.また,「感覚的な実体験」. 力・支援」において正の弱い相関(r=0.373,p. は各プログラムにおいて,平均4.0付近にあった.. <.05)が認められた(表−3).また,「自己表現」. どのプログラムにおいても五感を用いて,実体験. と「他者尊重」において正の中程度の相関(r=. を行っていることがわかる.「森の機能・役割」. 0.592,p<.001)が認められた.「相互理解」と. は有意な変化ではないが,各プログラムを終える. 「他者尊重」においては,相関に多少の変化はあ. につれて増加する傾向がみられた.自然の中で過. るが,キャンプ前と変わらず正の中程度の相関(r. ごすことで,森に興味を持ち,森について知ろう. =0.699,p<.001)が認められた.「相互理解」. とする態度が養われている.「感性的な共生」は. と「協力・支援」(r=0.491,p<.01),「他者尊. 各プログラムにおいて平均4.5前後にあり,常に. 重」と「協力・支援」(r=0.461,p<.01)にお. 高い値であった.最初のプログラムからすでに高. いては,キャンプ前より正の相関が弱くなった.. い値を示していたので,キャンプ以前から,森の. キャンプ前では,「自己表現」と他の因子の相. 24. 大切さを理解していたことが見受けられる.そし.

(8) キャンプ体験が児童の一思いやりにり・える影響. 表−5 各プログラムにおける要素間の相関. プログラム. 知覚に 感覚 森の 感性的 よる 的な 機能・ な 興叫こ・ 実体験 役割 共牛 関心. 要 素. 「森のうつりかわり」においては,「知覚によ る興味・関心」と「感覚的な実体験」(r=0.418,. p<.05)に正の相関が認められ,森に興味・関. 窪ノ)森のセンス・知覚による興叫こ・関心. 心を持った児童が感覚による実際の自然体験を. オブ・ワンダー 感覚的な実体験 .104. 行っている.. 森の機能・役割 .114 −.031 感性的な共牛. 「昆虫が住む森を作ってみよう」においては,「感. .411*.495糊.010. ②森のうつり 知覚による興叫こ・関心. 覚的な実体験」と「森の機能・役割」(r=0.619,. かわり. p<.001),「森の機能・役割」と「感性的な共生」. 感覚的な実体験 .418* 森の機能・役割 −.048 .218 感性的な共生. .037 .290 −.187. 蔓)昆虫が住む 知覚による興叫こ・関心. 体験を行っている児童は,実際の自然体験によっ. 森を作ってみ 感覚的な実体験 .558** よう. 森の機能・役割 .337 .619醐 感性的な共牛. (r=0.470,p<.05)にも正の相関が認められた.. .352 .469*.470*. て森のしくみやはたらきを理解し,森を大切だと 感じている.. ⑥夜の森を感 知覚による興叫こ・関心 じる. 「夜の森を感じる」においては,それらの相関. 感覚的な実体験 .512** 森の機能・役割 .374*.564糊. は安定したものになっている.. 「森のクラフトマン」においては,全ての要素. 感性的な共牛 .499….332 .491織織 ⑤森のクラフ 知覚による興叫こ・関心 トマン. 感覚的な実体験 .661柑. 間に有意な相関がみられ,より完全な安定を示し. 森の機能・役割 .444*.538糊. ている.これらのことから,森の体験キャンプの. 感性的な共牛 .471糊.374*.651糊*. プログラムに学習過程がみられ,プログラムが進. ∵p<.05 糊;p<.01 抑∵pく.001. むにつれて,発展,深化していくことが推察でき る.. て,その森を大切に考えることは実際に森に来て,. このことから,森の体験キャンプのプログラム. 森の中で過ごしても維持されていたことがわか. では,初期の段階で森に対し興味・関心を持つ「知. る.しかし,各学習の要素のプログラム問におけ. 覚による興味・関心」が起こり,中期の段階で実. る平均に有意差は認められず,各プログラムにお. 際の体験を通して森にかかわる「感覚的な実体験」. ける学習の要素の平均,標準偏差からは,プログ. を行う.そして,その体験が森のしくみやはたら. ラムの学習過程は明らかにならなかった.. きを知的理解していく「森の機能・役割」につな. (2)各プログラムにおける学習の要素の相関 の比較. 各プログラムにおける要素間の相関から,各プ ログラムに顕著な特色がみられた(表−5). 「森のセンス・オブ・ワンダー」においては,「知. 覚による興味・関心」と「感性的な共生」(r=. がる.その結果,最終段階において森(自然)が 人間にとって大切だと感じる「感性的な共生」と いうように児童の学習は発展していた.. つまり,この学習過程が森の体験キャンプのプ ログラムを成立させ,キャンプの効果をもたらし たことが推察できる.. 0.411,p<.05),「感覚的な実体験」と「感性的 な共生」(r=0.495,p<.01)に正の相関が認め られた.しかし,次の「森のうつりかわり」には 見られず,その関係は単発的なものであった.つ. Ⅳ.結 本研究では,キャンプの実体験をすることが児. まり,興味・関心をもつことや森の自然に触れる. 童の思いやりに多大な影響を与えるという構想の. ことで一時的に森を大切だと感じているのだが,. もとに調査分析を行った.. それが各参加者の中であまり確かなものになって. その結果,以下のような知見が得られた.. いないことがわかる.. 25.

(9) 向坊 俊・城後. 1.キャンプ体験が児童の思いやりに与える影響 1)森の体験キャンプは,思いやりを構成する. 曲 ヽ!l. どもの体験活動等に関する国際比較調査」報告書, pp.67,2001.. 5)文部科学省:青少年の野外教育の充実について,青. 「自己表現」,「相互理解」,「協力・支援」を育む ことに効果があったと示唆された.しかし,「他. 者尊重」においては,キャンプの効果に対する有 意な結果はみられなかった.2泊3日という短期 間の問題や対象者の発達段階に関する課題が残さ れた.. 2)森の体験キャンプは,思いやりを構成する 「自己表現」,「相互理解」,「他者尊重」,「協力・. 支援」の結びつきを強め,相互に作用することに 効果があったと示唆された.. 少年の野外教育の振興に関する調査研究協力者会議・ 報告,生涯学習局青少年教育課,pp.15,1996. 6)内閣府政策統括官(総合企画調整担当):青少年の. 社会適応能力と非行に関する研究調査報告書, pp.78112,2001. 7)文部科学省:いじめの問題に関する総合的な取組に ついて∼今こそ,子どもたちのために我々一人一人が 行動するとき∼,児童生徒の問題行動等に関する調査 研究協力者会議・報告,1996. 8)日本野外教育研究会編:改訂キャンプテキスト,杏. 林書院,p.2,2003. 9)内田内紀子ら:思いやり尺度の作成と妥当性の検討,. TheJapaneseJournalofPsychology,72,No.4, 2.学習過程の検討. 森の体験キャンプでの学習過程については,プ. pp.275282,2001.. 10)児童研究会:児童心理,pp.3743,2000(2).. ログラムが進むにつれて,「知覚による興味・関 心−→感覚的な実体験−→森の機能・役割−→感性的な. (向坊 俊 北海道教育大学大学院 教育学研究科). 共生」というように学習が深まっていることが推 察された.つまり,「森に対し,興味・関心を持ち,. 実体験を通して森に関わる,そして森のしくみや はたらきを知り,その結果,森(自然)が人間に とって大切だと感じる」という学習過程において 効果が生まれることが示唆された.. これらの結果より,児童の思いやりに影響を与 えるキャンププログラムは,「知覚による興味・ 関心→感覚的な実体験→森の機能・役割→感性的 な共生」という段階的な指導の方法を講じること が効果的である.. 引用・参考文献 1)山口保行,斎藤耕二:共感性尺度の因子分析的研究,. 東京学芸大学紀要1部門,41,pp.183196,1990. 2)城後豊,山本幹彦:「道民の森・森の子くらぶ」の 体験型プログラムに関する実践的な一考察,北海道道. 民の森・森の子くらぶ報告書,pp.4554,2002. 3)子どもの体験活動研究会:文部科学省委嘱調査「子. どもの生活実態等に関する保護者と子どもの調査」報 告書,pp.810,2001. 4)子どもの体験活動研究会:文部科学省委嘱調査「子. 26. (城後 豊 札幌校教授).

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参照

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