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近畿大学生物理工学研究所:ハイテクリサーチセンター 公開シンポジウム抄録集

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Academic year: 2021

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(1)近 畿 大 学 生物 理 工学 研 究 所 ハ イ テ ク リサ ー チ セ ン タ ー 公 開 シ ンポ ジ ウム 抄 録 集. 平 成12年5月16日(火) 近畿 大 学 生 物 理 工 学 部(和. 歌 山 キ ャ ンパ ス). 平 成12年5月17日(水) 近 畿 大 学 生 物 理 工 学 研 究 所(海. 43. 南 市).

(2) 研 究 所 の展 望 近 畿大学学長. 近畿大学 生物理 工学部 は、平成5年. 野 田起一郎. に近 畿大学 の第十番 目の学部 として設置. され、現在 、生物 工学科、遺伝子工学科 の生物系2学. 科 と電子 システム情報工. 学科、機械 系の機械 制御工学科 と基礎 機械 工学科 の5学. 科体 制 に大学院 の加わ. った構 成 にな って いる。生物理 工学研 究所 は、ち ょう ど生物 理工学部 の教育 、 研究面 の拡充 に呼応 して設置 された 。平成8年 度 に文 部省 の科 学技術振興策 の 一貫 として の 「 私立大学 ハイテ ク リサ ーチセ ンター」構想 の もとに設 置 された が 、本 来、理 工系学部 、医学部 、薬学部 、農学 部、理 工系 付置研 究所 な どと も 共 同研 究 を計画 して お り、高度 の技術 研究 と開発 を 目指 して、生物理 工学部 の 位置す る和歌 山キ ャ ンパス に隣接す る海南市 に設置 され てい る。生物 理工学研 究所 の研 究体制 は主 として生物理 工学部 をバ ックボー ン と して学 内の関連学部 、 関連研 究施設 との共 同研 究 を 目指 して いる。広 く生物 工学 、遺伝子 工学 を含 め たバ イオ テク ノロジー全 般 を駆使 した新型 の遺 伝資源 生物 の生産 を 目的 とし、 画期的 な 生産物 がで きれ ばそれ らを効 率的 に増殖す る技術 開発 に結 び付 けよ う として いる。 そ のた めに は、和歌 山地域 に設 置 され ている近畿大学付 属農場 な らびに水産研 究所 との共 同研究 も企画 され てい る。高度 の基礎研 究 に留 ま らず 、 実用 的な応用研 究 に も視 点 を注 いでゆ きたい と考 えて い る。具体 的には、次 の よ うな プ ロジ ェク トが企画 され 、す でに進行 している。. (1)中 ・大型動物 並び に鳥類で の遺伝子組換 え とク ローニ ング (2)有用植物 での遺伝子組換 えと種苗 の大量培養 システムの開発 (3)海産魚介類 および真珠 タンパ クの分子 生物学的研究 上記の よ うな研 究 プ ロジェク トの効 率的 な推進 を期待 し、関連分野 で指導的 な研究 を推進 して い る研 究者 に講演 を依頼 し、 また、研究所 を広 く一般 に紹介 す ることを目的 と して、今後 も公 開 シンポジウムの開催 を企画 して いる。. 45.

(3) 基調 講演 マ ウス発 生工学 を用 いた ヒ ト発癌研 究 東北大学大学院医学系研究科 財)癌 研 究会癌研究所 理化学研究所ゲノ ム科学総合研究センタ ー 野田. 哲生. 近 年 の 分 子 遺 伝 学 の 進 歩 に よ り、 ヒ ト癌 は が ん遺 伝子 や が ん抑 制 遺 伝 子 の 変異 に よ り生 じる遺 伝 子 病 で あ る こ とが 明 らか と な って い る 。従 っ て 、 ヒ ト発 癌 の 分子 機 構 を理 解 す る に は 、 これ らの 遺 伝 子 の機 能 を明 ら か に し、 そ の 変 異 が 細 胞 に与 え る 変 化 を知 る こ とが 大 切 で あ る。 が ん 抑 制 遺 伝 子 の 多 くは 、 ヒ ト高 発 癌 性 疾 患 の 原 因 遺 伝 子 と して単 離 され て 来 た が 、 こ う した患 者 に発 生 し易 い癌 の 種 類 は原 因遺 伝 子 に よ って 大 き く異 な っ て お り 、一 般 の 非 遺 伝 性 の 癌 に お い て も 、 そ の癌 の 発 生 部 位 に よ って 変 異 が見 られ る遺 伝 子 は異 な っ て い る。 こ れ は 、 が ん 抑 制 遺 伝 子 の 機 能 を 知 る に は 、 発 癌 の母 地 とな る組 織 ・細 胞 に お け る解 析 が重 要 で あ る こ と を意 味 し、 その た め に は個 体 を用 い た 実験 系 が必 須 とな る。 本 講 演 で は 、 ヒ ト家 族 性 大 腸 腺 腫 症(FAP)の. 原 因 遺 伝 子 で あ るAPC遺. 伝 子 を例 に と っ て 、 ヒ ト発 癌 の分 子 機 構 の解 明. を 目的 と した 、 マ ウ ス発 生 工 学 を用 い た遺 伝 子 機 能 の解 析 法 の 詳 細 と、 そ れ に よ り 得 られ た 若干 の 知 見 を紹 介 す る 。 APC遺. 伝 子 の 変異 は 、 一般 の 大 腸 腺 腫 で も80%と. か ら、APC遺. い う高 頻 度 で検 出 され る こ と. 伝 子 はが ん抑 制 遺 伝 子 で あ り、 その 不 活 化 は 大 腸 上 皮 を腺 腫 化 す る と. 考 え られ て い る。 我 々 が 、 ジ ー ン タ ーゲ テ ィ ン グ法 に よ り、APC遺. 伝 子 に変 異 を持. つ マ ウ ス を作 成 した と こ ろ 、 その ヘ テ ロ接 合 体 の 全 て で多 数 の腺 腫 の 発 生 が観 察 さ れ 、 こ れ らの 腺 腫 で は正 常 側 のAPC遺. 伝 子 の 不 活 化 が検 出 さ れ る こ とか ら、APC. 遺 伝 子 は 、 マ ウ ス で も が ん抑 制 遺 伝 子 と して消 化 管 上 皮 に お い て機 能 して い る こ と が明 らか と な っ た。 現 在 、 このAPC変. 異 マ ウス をFAPモ. デ ル マ ウス と して用 い る. こ とに よ り、 各種 の 遺伝 学 的 解 析 が可 能 と な っ て い る。 一 方 、APC変. 異 マ ウス の ホ モ接 合 体 は 、胎 生 期 の初 期 に死 亡 す る こ とが判 明 した。. この こ と は 、APC遺. 伝 子 が 胎 児 の 発 生 に お い て も重 要 な役 割 を果 た して い る こ と を. 示 して い るが 、 この 致 死性 の た め に 、 ホ モ接 合体 マ ウ ス 、即 ちAPC遺. 伝 子 機 能 を完. 全 に欠 失 したマ ウ ス は生 ま れ て来 な い た め 、成 体 の 上皮 細 胞 に お けるAPC遺 機 能 を解 析 す る こ と は 出来 な か った 。そ こ で 、我 々 はCre組 塩 基 配 列 で あ るLoxP配. 伝子 の. 換 え酵 素 と その 認 識DNA. 列 を用 い た コ ンデ ィシ ョナ ル ・ジ ー ン タ ー ゲ テ ィ ン グ法 を. 用 い て 、 マ ウス成 体 内 の 各種 上 皮 細 胞 に お け るAPC遺. 46. 伝 子 の機 能 の 解 析 を行 な って.

(4) い る。 まず 、APC遺. 伝 子 内 の2ヶ. こ とに よ り、潜 在 的APC変 ス の 各種 上 皮 細 胞 でCreを ル ス(AdexCre)を APC遺. 所 の イ ン トロ ン内 に1対. 異 マ ウ ス(APC580S)を 発 現 させ る た め 、Cre遺. のLoxP配. 列 を挿 入 す る. 樹 立 した。 次 い で 、 そ の マ ウ 伝 子 を持 つ 組 み換 え ア デ ノ ウイ. 作 製 し、 こ れ をAPC580Sの. 大腸 上 皮 に感 染 させ る こ とに よ り. 伝 子 を不 活化 した と ころ 、感 染 後4週. 間 で 、全 て の マ ウ ス で腺 腫 の 発 生 が 見. られ 、 コ ンデ ィ シ ョナ ル ・ジー ン ター ゲ テ ィ ン グ法 が機 能 して い る こ とが確 認 され た。 APC遺. 伝 子 は 、上 皮 を含 む全 て の組 織 に お い て発 現 して い る が 、消 化 管 以 外 の 組. 織 に お け る機 能 や発 癌 へ の 関 与 に つ い て は 明 らか と な っ て い ない 。 そ こ で我 々 は 、 AdexCre感. 染 に よ り各種 上 皮 に お い てAPC遺. 伝 子 の 不活 化 を行 な っ た。その 結 果 、. 腫 瘍 の発 生 が見 られ たの は胆 の う を含 む胆 道 系 の 上 皮 の み で あ り、膵 、 皮 膚 、肝 、 肺 を含 む他 の 多 くの上 皮 組織 で は 、APCの た 。 た だ し、AdexCre感. 不 活 化 が発 癌 を 引 き起 こす こ と は な か っ. 染 に よ るAPC不. 活 化 の 効 率 は、約0.2∼2%と. 、 あ ま り高. い もの で は な い た め 、発 癌 が起 き な い場 合 で も 、 これ らの組 織 に お い てAPCが して い な い 、 と結 論 す る こ と は困難 で あ っ た。 そ こで 我 々 はCreを 現 させ る こ とに よ り、 これ らの上 皮 で 、 よ り高 率 にAPC遺. 機能. 組 織 特異 的 に 発. 伝 子 を不 活 化 させ 、 その. 機 能 につ い て解 析 を行 な って い る。本 講 演 で は 、 この結 果 に つ い て も報 告 す る 。. 47.

(5) i招 請 講 演il. ES細. 胞 と生 殖 系列 細 胞 の発 生 分化 と再 生 医学. 中辻 憲 夫(京 都大学 再生医科学研究所 発生分化研究分野) 1は. じめに. 哺乳 類の初期胚 に存在 し、生殖細胞 お よび体細 胞系列 両方の幹細胞 で ある多 能性 幹細胞 は、胚発生 に従 って様 々な体細胞 系列へ の分化 と同時 に始 原 生殖細 胞 を生み 出 して生殖細胞 の基 を作 る。 多能性 幹細 胞 と生殖細 胞 は多 くの共通性 を もち、特定 の培養条件下 では始原 生殖細胞 か ら多能性 幹細 胞(EG細 胞)へ の変換 も起 きる。初期胚細胞 の多能性 を保持 した胚性 幹細胞 株(ES細 胞株) が樹 立 され 、 これ まで はマ ウス におけ る遺伝子 改変系統 の作出 な どの基礎研究 に用 い られて きたが 、最近発 表 された ヒ トES細 胞株樹 立 によ って、全 ての細 胞種 に分化す る能 力 をもつ多 能性 幹細 胞 の移植 再生医療 への応用 の可能性 が注 目されて いる。 2マ. ウ スES細. 胞 と ヒ トES細. 胞. 我 々 の研 究 室 で は 、 これ まで に様 々 な 系 統 マ ウス に 由来 す る 胚盤 胞 を用 い てES細 胞 株 の樹 立 を行 な って き た。 最 近 で は脳 機 能 面 で 野 生 型 に近 い性 質 を 保 持 す る と考 え られ る ア ジ ア産 野 生鼠 由来 近 交 系統 か ら もES細. 胞 株 樹 立 を行. な って 、 数個 の胚 盤 胞 の み を使 っ て も確 実 に細 胞 株 を得 る こ と が 可能 に な っ て い る。 ま たES細 胞 と似 た性 質 を持 つ 細 胞 株 が 始 原 生 殖 細 胞 か ら樹 立 可 能 で 、 EG細. 胞 と呼 ば れ て い る。ES細. 胞 の 培 養 条 件 を変 え た り細 胞 塊 を 作 らせ た り. す る と、 様 々な 細 胞 種 に分 化 させ る こ とが 可 能 で あ る。 例 え ば 、造 血 系 や 神 経 系細 胞 、 心 筋 細 胞 を 分化 させ る こ とが 可 能 で あ る。 ES細 胞 株 を ヒ ト胚 か ら作 る こ とが 出 来 れ ば細 胞 移 植 な ど に利 用 で き る で あ ろ う。Thomsonら. は、 まず サ ル の 胚 盤 胞 か らES細. 胞 株 樹 立 を行 い1995年. に. 発 表 した 。 そ して さ らに、 同様 の 方 法 で ヒ ト胚 盤 胞 か らのES細 胞 株 を樹 立 し た の ち 、 そ の 多 分 化 能 を証 明 す るた め に 免疫 不 全 系統 マ ウ ス に移 植 して テ ラ ト ー マ を作 らせ る こ とに成 功 した 。 一 方Gearhartら は 、 中 絶胎 児 か ら単 離 した 始 原 生殖 細 胞 か らEG細 胞 株 を樹 立 した 。 この よ うな ヒ ト多 能 性 幹 細 胞 を 培 養 下 で 分 化 さ せ て 、 白 血病 治 療 にお け る造 血 幹細 胞 移 植 や 、パ ー キ ン ソ ン病 治 療 に お け る ドー パ ミ ン産 生 神 経 細 胞 の 脳 内移 植 な どへ の 応 用 に 向 け た 研 究 が 進 め ら れ て い る。 と ころ で細 胞 移 植 を行 う場 合 に問 題 に な るの が 、移 植 免 疫 に よ る拒 絶 反 応 を ど う克 服 す るか と い う点 で あ る 。 現 在 行 わ れ て い る移 植 で は組 織 適 合 抗 原 型 (MHC型)が 出 来 る だ け一 致 す る ドナ ー を 見 つ け て 細 胞 や臓 器 の 提 供 を 受 け る方 法 が 取 られ て い る。ヒ トES細 胞 株 を将 来 の移 植 に用 い る場 合 、様 々 なMHC 型 の初 期 胚 な どか ら多 数 のES細 胞 株 を樹 立 して 用 意 す る こ と も考 え られ る が 、 マ ウ スES細 胞 株 で広 く行 わ れ て い る相 同遺 伝 子 組 換 え を利 用 した 遺 伝 子 ター ゲ テ ィ ング法 を駆 使 して 解 決 で き る か も しれ な い。 多 種 類 のMHC遺. 伝子 への. 遺伝 子 置 換 を行 っ た ヒ トES細. 伝 子 を破. 胞 株 を作 る 、 あ る い は 内在 のMHC遺. 48.

(6) 壊 した 後 で 、様 々 な タ イ プ のMHC遺. 伝 子 を通 常 の遺 伝 子 導 入 法 を行 い て 導 入. す る こ とに よ っ て細 胞 表 面 に抗 原 を発 現 させ 、 比 較 的簡 単 に 多 種 類 のMHC型 を もつES細 胞 株 を用 意 す る こ とが可 能 で あ ろ う。 も う ひ とっ の 方 向 と して は、 移 植 を必 要 とす る患 者 の体 細 胞 核 を、 除 核 卵子 に移 植 す る こ と に よ っ て 受 精 卵 を 作 り、初 期 胚 まで 発 生 させ た の ち にES細. 胞. 株 を樹 立 す る 方 法 で あ る 。 も し子 宮 へ の移 植 に よ っ て 動 物 個 体 を 作 らせ れ ば 個 体 の ク ロー ニ ン グ に な る が 、 この 場 合 は初 期 胚 の段 階 まで 発 生 させ る だ け で 未 分 化 幹 細 胞 を取 り出 してES細 胞 株 樹 立 に用 い る こ と にな る。 しか しなが ら、 ES細 胞 株 樹 立 に使 用 す るた め に ヒ ト初 期 胚 を新 た に 作 る こ と にな る の で 、 例 え ば不 妊 治 療 の ため に 作 られ た が 結 果 的 に使 用 され な か った 凍 結 ヒ ト胚 を使 用 す る場 合 に比 較 して 、倫 理 的 ハ ー ドル は格 段 に高 い と考 え られ る。. 3始. 原生殖細胞の体外培養 と発 生分化研究. 我 々の研究 室で はマウス胎仔 か ら取 り出 した始 原 生殖細 胞 の体 外培養 系を開 発 して、 生殖細 胞の増殖 分化過程 の研 究 を行 な って いる。生殖細 胞の性分化 制 御 には雌雄 生殖巣の体細胞 と生殖細胞 の相互 作用が 中心 的役割 を果たす。12 日齢 以降 の生殖 巣か らの生殖細 胞 は一旦解離 したの ち に再 凝集塊 培養す るな ど の操作 を行 って も、各 々の性 に従 った分化 を行 うが 、11日 齢以 前 に生殖巣 か ら分離 され た雌雄 生殖細胞 は、胎仔精 巣 のセ ル トリ前駆細 胞 との適切な相互 関 係 が形成 され な い限 りは減 数分裂 に入 って卵母細 胞へ と分 化す る。 しか しなが ら、 この重 要な相 互作用 に関わ る分子機構 につ いては全 く未知であ る。 我 々は最近 、マ ウス の始 原生殖細胞 か ら雌雄 生殖細胞へ の分化 を培養下 で解 析す る実験系 を開発 した。 様々な時期 の胎仔 生殖 細胞 を取 りだ し体 外培養 を行 ったのち、相 同染色体 間 に形成 され る シナ プ トネマ複合体 蛋 白質 を特 異的 に認 識す る抗体染色 によ って減 数分裂像 を検 出す る ことによって、卵母細胞 へ の分 化が起 き る条件 につ いて解 析 した。そ の結果 、酵 素処理な どによって単細胞 に 解離 して調製 した胎仔生殖細胞 をフィーダー細胞 上で平面 培養 した場 合で も、 減数分裂 に特 異的なScp3やDmc1蛋 白を発現す る減 数分裂 前期へ の移行 を抗 体染色 や発現遺伝子 の検 出によ って確認 す る ことがで きた 。 こう して様 々な時 期 の始原 生殖細胞 の培養 を行 った結果 、以 下の2点 が 明 らか にな った。(a)生 殖巣へ移 動到着以 前の始原 生殖細 胞 を培 養 して も減 数分裂特 異的蛋 白質 は発現 し、減 数分裂へ の移 行が起 きた。 この ことは始原 生殖 細胞 か ら卵母細胞 への分 化 には生殖巣環境 は必須で はな く、始原 生殖細胞 には 自律 的に減 数分裂 へ移 行 す るプ ログラムが備わ って いる ことを示 して いる。(b)こ れ まで にES細 胞の 分化抑制や始原生殖細胞 の増殖 因子 としての働 きが知 られて いたLIFは 、 レセ プターgp130を 介 して始原生殖細胞 の増殖 を促進す るが、減 数分裂への移行 は 強 く抑 制す る ことが 明か にな った。他 方 、細 胞 内cAMP濃 度 を上昇 させ て同 じく始原 生殖細胞 の増殖 を高める フォル ス コ リンは始 原生殖細胞 の増殖 と減 数 分裂へ の移行 の両方 を促 進 した。今後 は、培養下 で減 数分裂へ の移行 を抑 制す るLIF/gp130シ グナルが実際の生殖巣内で どのよ うな役割 を果 た して いるか、 生殖巣 内で体 細胞 と生殖 細胞 との相互作用 を 引き起 こす シグナ ル機構 について 研 究 を進めた い。. 49.

(7) 招 請 講 演2 体 細胞 クロー ン家畜 の生産技術 と問題点. 今井. 裕. 京都大学大学院農学研究科 脊 椎 動 物 にお い て は 、個 体 を構 築 す る能 力(全. 能 性)は. 細 胞 の分 化 に と もな. って 順 次 消 失 す る と考 え られ て い る。 細 胞 分 化 の非 可 逆 性 は 、 分 化 途 上 に あ る 細 胞(受. 精 直 後 の 分 裂 期 の 細 胞)を. 性 を 再獲 得(リ. プ ロ グ ラ ミ ン グ)さ. 核 移 植 に よ っ て 未 受 精 卵 に も どせ ば 、全 能 せ る こ とが で き る。 一 方 、 さ らに 分 化 が 進. ん だ細 胞 の 核 移 植 で は 、胎 児 期 ま で で 発 生 は停 止 して しま う こ とが 知 られ て い る。 しか し、1997年. の成 体 の 乳腺 細 胞 か ら作 出 され た ク ロー ン ヒツ ジ"ド. リー"、. そ の後 日本 で 作 出 され た 卵 管 上 皮 細 胞 や 耳 の繊 維 芽 細 胞 か らの ク ロー ン牛 は、 分 化 程 度 の 高 い体 細 胞 で も未 受 精 卵 に 核 移 植 さ れれ ば、 可 逆 的 に リプ ロ グ ラム され 全 能 性 を再 獲 得 す る こ と を示 して い る。 体 細 胞 の リプ ログ ラ ミ ング が 可 能 とな った 大 きな 理 由 は、 未 受精 卵 が 分 裂 期 の途 中 で細 胞 周 期 を 停 止 して い る特 殊 な 細 胞 で あ る こ と と密 接 に 関 係 す る 。 つ ま り、分 裂 期 に導 入 され た 多 く の細 胞 核 は 未 受 精 卵 のMPF(MaturationPromortingFactor)に. よ る 染 色体 凝 集 活 性 に. よ り、 物 理 的 な ダ メ ー ジ を 受 け る と想 像 され る 。従 って 、 両者 の 細 胞 周 期 が 少 な くと も同 調 関 係 を 保 つ こ とが 、 リプ ロ グ ラ ミ ン グ に必 要 な第 一 条 件 で あ る。 しか し、 そ れ は必 要 条 件 で あ って も十 分 条 件 で あ る とは 思 わ れ な い。 体 細 胞 核 移 植後 の胚 の ほ とん どは 胎 児 期 に 死 滅 し、 ウ シ、 ヒツ ジ、 マ ウ ス にお け る体 細 胞 ク ロー ン動 物 の 作 出効 率 は0.3%と. 極 め て 低 率 で あ る のが 現 状 で あ る。 この. こ とは 、 体 細 胞 ク ロー ン動 物 は例 外 的 に 生 ま れ て くる に す ぎず 、 技 術 の確 立 か らは ほ ど遠 い 状 況 に あ る こ とを まず 認 識 す る必 要 が あ る。 未 受 精 卵 内 で の体 細 胞 の リプ ロ グ ラ ミ ング機 構 につ い て は 、 これ まで 全 く明 らか に され て いな い 。 そ の過 程 は お そ ら くい くつ か の ス テ ップ が あ る の か も し れ な い。 まず 第 一 に 、核 移 植 直 後 の体 細 胞 核 の 挙 動 で あ る。 前 述 した よ う に、 核 移 植 す る タ イ ミ ン グ を誤 る と、 染 色 体 は凝 集 し、 分 裂 を停 止 す る。 第 二 に 、 ドナ ー 細 胞 に は 極 め て 数 は少 な い な が ら個 体 形 成 に寄 与 し う る特 殊 な 細 胞 が含 ま れ て い る 可 能 性 が あ る。 第 三 に 、 核 移 植 で は ドナ ー 細 胞 の ミ トコ ン ドリア は 未 受精 卵 内 で 消 化 さ れ 、 ク ロー ン動 物 で は未 受 精 卵 の ミ トコ ン ド リア と、 そ れ とは別 の個 体 に 由来 す る細 胞 核 が 共 存 す る こ と にな る 。 こ の細 胞 核 と ミ トコ ン. 50.

(8) ドリアの相 互作用 の不適合が胚 発生や個体 形成 に影 響 を及 ぼす可能性 がある。 ウ シで は核移 植後7日 間体外 で培養後 、受胚雌 に移植す る。移 植後妊娠 の過 程 をモニ ター す る と、 ほとん どの胚 は妊娠60日. までに流産す る。 この時期 は. 器官形 成が ほ ぼ終 了す る時期で あ り、多 くの胚が器官 形成 過程 で異常が起 こる ために死滅す ると考 え られ る。受精卵 ク ロー ンの場合 、妊娠90日 そ のまま出産す る例が多 いのに対 し、体細胞 ク ロー ンでは200日. を越 えれ ば を越 えて も流. 産す る例 が あ る。 この ことか ら、体細胞 クロー ンの場 合は器官形 成の幅広 い範 囲で異常が起 こるもの と推定 され る。 出産 直後 の死 亡 も多 い。 一般 的 な傾 向 と して、 生時体重 は重 く、胎盤 形成異 常(胎 膜 水腫)、 呼 吸不 全(肺 組織 の未成 熟)、 血管 系組 織 の増 大 を主 と した異常 が認 め られ るが 、 まれ には胸腺 の 欠損 な ど臓 器形成不 全 もある。 このよ うに胎児発 生時の器官形 成 あるいは臓器 の成 熟 に関わ る遺伝子 の発現 異常が 関与 して いる ことが想像 され る。マ ウスES細 胞 を用 いたキ メ ラにお いて も一 部重複 した異 常が認 め られ 、 この原 因がイ ンプ リンテ ィング遺伝 子 の発現 異常 であ る ことが知 られて いる。 した が って、体細 胞 クロー ンに見 られ る異常 の原 因の一部 は、イ ンプ リンテ ィング遺伝 子 の二 次 イ ンプ リンテ ィング機 構が うま く作動 して いない可能性 があ る。 わが国 にお ける体 細胞 クロー ン技術 は応用 的には畜産領 域 を中心 と して優 良 種雄牛 の複 製 を中心 と して進め られ て いる。体細 胞 ク ロー ンの元 にな った ウ シ との成長 の比較で は、両者 はかな り似 通 った成長 を示 して い る。 ク ロー ン牛 の 繁殖性や能 力検定 につ いて のデー タ も蓄積 され つつ ある。 一方 、諸外 国 のよ う な、遺伝子組 換 え技 術へ のク ロー ン技 術の応用 の方向性 は未 だ見 られ な いが 、 ES細. 胞や体 細胞 レベルで の標 的組換 え技術が確 立 され、体細胞 ク ロー ン技術. が今以 上に成 熟すれ ば、近 い将来農学 分野や 医学分 野へ のク ロー ン動物 の応用 範 囲は確 実 に広 が る と考 え られ る。. 51.

(9) 招 請 講 演3. 遣 伝 子 操 作 によ る疾 患 モ デ ル 動 物 の作 製. 東京大学 医科学研究所 ヒ ト疾患モ デル研究セ ンター 岩倉洋 一・ 郎 近 年 の発 生 工 学 技術 の進 歩 は、哺 乳 動物 の特 定の 遺 伝 子 を自 由 に改変 す る こと によ り、 本 格 的 な 分子 遺 伝 学 的 機 能 解 析 を可 能 に した。 この こと は 、 ヒ トゲ ノ ム計 画 に よ っ て す べ て の遺 伝 子 の 配 列 が 明 らか に され よ う と して い る現 在 、 今 後 、 個 々 の遺 伝 子 の機 能 解 析 を行 う に当 た って 、 きわ め て 重 要 で あ る。 そ れ だ けで な く、 特 定 の遺 伝 子 を欠 損 させ た り、 あ る いは 過 剰 発 現 させ た 動 物 は 、そ れ らの 遺 伝 子 の 異 常 に基 づ く疾 患 を解 析す る た め の モ デ ル と して も重 要 で あ る。 従 来 の表 現 型 のみ を指 標 と した 病 態 モ デ ル に 比 べ 、 病 因遺 伝 子 が は っ き り とわ か って い る と ころが 優 れ た 特 徴 で あ る。 ま た、 人 の疾 患 の 多 くはそ の病 因遺 伝 子 が 不 明 で あ るが 、 遺 伝 子 操 作 に よ って 得 られ た 変 異 動 物 の表 現 型 と 比 較 す る こ と によ り、 そ の病 因遺 伝 子 を推 定 す る ことが 可 能 で あ る。 また 、 これ らの 動 物 は遺 伝 背 景 を 自 由 に変 え る ことが で き るた め 、 発 症 に複 数 に遺 伝 子 が 関 与 す る 、 生 活 習 慣 病 や 自己 免 疫 疾 患 な どの 多 因子 性 疾 患 の発 症 機 構 の解 明 にお いて は、 この技 術 が き わ め て 強 力 な武 器 にな る こ とが 期 待 され る。 本 報 告 で は 代 表 的 な 自己 免 疫 疾 患 で あ る 、 関 節 リウ マ チ を 例 に取 り上 げ 、 疾 患 モ デ ル の作 製 か ら発 症 機 構 の解 析 に至 る まで の発 生 工 学 的 ア プ ロー チ の 一 例 を紹 介 した い。 HTLV-1は. 成 人T細. 胞 白血病 の 原 因 ウイ ル ス で 、 日沼 らに よ り世 界 で 最 初 に発 見 さ れ. た こ とで 有 名 で あ る が 、 我 が 国 には100万. 人 もの感 染 者 が い る ことが 知 られ て い る 。. 我 々は この ウイ ル ス遺 伝 子 を 導 入 した トラ ンス ジ ェニ ッ ク マ ウス を作 製 し、 この ウ イ ル ス が 関 節 リウ マ チ様 の慢 性 関 節 炎 を引 き起 こす こ と を初 め て 報 告 した(lwakuraetal., Science,1991)。. そ の後 の疫 学 的 調 査 か ら、 実 際 この ウ イ ル ス が 関 節 リウマ チ に 関与 す. る こ とが 報 告 さ れ て い る 。 発 症 機 構 を解 析 した と ころ 、発 症 には 自己 免疫 が 関 与 して お り、 関 節 滑 膜 で 生産 され るIL-1やIL-6が. 病 態 形成 に重 要 な役 割 を果 た して い る こ とが わ. か った 。 驚 い た こ と には 、IL-1の 拮抗 阻 害 分子 で あ る 、IL-1レ セ プ タ ー ア ン タ ゴニ ス ト (IL-1ra)を 欠 損 させ た ところ 、 この マ ウス は 自己 免疫 性 の慢 性 関 節 炎 にな る ことが わ か っ た(Horaietal.,J.Exp.Med.,2000)。. 従 っ て 、IL-1は 炎 症 を誘 起 す るだ けで な く、 免. 疫 系 の 重 要 な 調 節 因子 で あ り、IL-1とIL-1raの. 微 妙 なバ ラ ンス が 免疫 系 の ホ メオ ス タ シ. ス の 維 持 に重 要 で あ る こ とが わ か った 。 と ころ でIL-1欠 損 マ ウ ス は 、 関 節 炎 を発 症 し な くな る だ けで は な く、 ス トレ ス負 荷 時 の 発熱 や 、副 腎 か ら の ス テ ロイ ドホ ル モ ン の分 泌 も強 く押 さえ られ て い た(Horaietal.,J,Exp,Med.,1998)。. これ らの結 果 は、IL-1が. 脳 の 中 枢 にお い て も重 要 な働 き を して い る こ とを示 して い る。 この よ うに 、IL-1は 免 疫 系 と神 経 ・内 分 泌 系 を結 び つ け る メ デ ィエー タ ー と して も機 能 して お り、 局 所 の 炎 症 反 応 だ け で はな く、全 身症 状 に も関 与 して い る こ とが 示 唆 さ れ た。 個 体 の ホ メ オ ス タ シ ス の維 持 に お け るサ イ トカ イ ンの役 割 に つ い て 、議 論 した い。. 52.

(10) 発生 工学手法 による疾患モデル の作 製 と解析. 生 体 の ホ メ オ ス タ シス とサ イ トカ イ ンの役 割.

(11) 1招 請 講 演41 マ ウス胚お よび精子 のバ ンキ ング. 熊本大学 動物 資源 開発研 究セ ンター ・資源 開発分 野 中潟直己. 近 年 、遺 伝 子 改 変(遺. 伝 子 導 入 お よ び 遺伝 子 破 壊)マ. ウス が爆 発 的 な 勢 いで 作 製 され. て お り、特 に遺 伝子 破 壊 マ ウ ス に お い て は 、毎 年 、加 速 的 な ス ピー ドで 増 え続 けて い る。 正 確 な 数 は把 握 で き な い が 、既 に2000種. を越 え る遺 伝 子 破 壊 マ ウス が 、 世 界 中 で作 ら. れ て い る と考 え られ て い る 。 さ らに従 来 のES細 ンニ トロ ソ ウ レア(ENU)を. 胞 を介 す る作 製 方 法 に加 えて 、エ チ レ. 用 い て変 異 を誘 発 す るENUmutagenesisプ. ロジ ェ ク トが 、. 世 界 各 国 で 開始 され て お り 、 そ の 数 は 何 千 、 何 万 種 類 にな る こ とが 予 想 され て い る。 この様 な 状 況 を鑑 み 、今 後 、 これ らマ ウス を有 効 利 用 す る た め に は 、個 体 で の保 存 は 不 可能 で あ り、 胚 や 配 偶 子 の 凍 結 保 存 以 外 に は考 え られ な い こ とか ら、 最 近 、 世 界 の い た る所 でマ ウ ス の 胚 ・精 子 バ ン クが 設 立 され て い る 。 まず 、1つ Harborに 1700系. あ るJackson研 統 、 約100万. 究 所 で あ る。Jackson研. は 、 米 国 メー ン州Bar. 究所 は 世 界 の マ ウ ス の総 本 山 と して. 個 以 上 の 胚 を凍 結保 存 して い る 。 また 、 現 在 、 胚 バ ン ク専 用 の. 新 しい施 設 を建 築 中 で あ り、 さ らに大 規 模 な 胚 バ ン クが 完 成 す る 予 定 で あ る。 第2番. 目. は 、 イ ギ リス の ロ ン ドン郊 外Harwellに. 設. あ るMedicalResearchCounci1(MRC)に. 置 され て い る胚 バ ン ク で あ る。800系. 統 、約23万. 個 の胚 を凍 結 保 存 して い るが 、 こ こ. で は 上 述 したENUmutagenesisプ. ロジ ェク トで 、 毎 年150系. 統 の 誘 発 変 異 マ ウス が. 作 製 され て お り、 そ れ らマ ウス の胚 や 精 子 の保 存 も順 次 行 うた め 、 今 後 、凍 結 胚 や 精 子 は急 激 に 増 え る も の と思 わ れ る。 第3番 ー ロ ッパ の5力. 国(ポ. 目は 、 主 に遺 伝 子 改 変 マ ウ ス の保 存 を 目的 に ヨ. ル トガ ル 、 イ タ リア 、 フ ラン ス 、 イ ギ リス 、 ス ウ ェー デ ン)に. 置 され たEuropeanMouseMutantArchive(EMMA)で Monterotondoに. 設. あ る。 そ の本 部 は イ タ リア の. あ り、 こ こ を 中心 と して 本 格 的 な 胚 ・精 子 バ ン ク事 業 を展 開 す る 予. 定 にな って い る 。ま た 、 ドイ ツ の ミュ ンヘ ン にあ るGSFに. お いて もENUmutagenesis. プ ロ ジ ェ ク トに よ り作 製 され た遺 伝 子 改 変 マ ウス の胚 や 精 子 を精 力 的 に凍 結 保 存 して い る。 一 方 、 国 内 に お い て も各 省 庁 でそ れ ぞ れ の 動 きが あ り、文 部省 で は セ ン ター 構 想 と し て 、 熊 本 大 学 ・動物 資 源 開 発 研 究 セ ンタ ー と東 大 医 科 学研 究 所 ・ヒ ト疾患 モ デ ル セ ンタ ー に 、 科 学 技 術 庁 で は つ く ば の理 研 に 、厚 生 省 で は(財)ヒ. ュー マ ンサ イ エ ンス 振 興 財. 団 が 中心 とな って 大 阪 に 、 それ ぞ れ 胚 バ ン ク の設 置 が 計 画 され て い る。. 54.

(12) 私 た ち の 熊 本 大 学 ・動 物資 源 開発 研 究 セ ンタ ー で は 、 既 に数 万 個 の遺 伝 子 改 変 マ ウ ス の 胚 を凍 結 保 存 してお り、 さ らに新 しい建 物 が今 年4月. に完 成 した こ とか ら、 外 部 か ら. の委 託 を受 け、 遺 伝 子 改変 マ ウ ス の作 製 か ら胚 ・精 子 の 凍 結 お よ び供 給 を本 格 的 に行 っ て行 く予 定 で あ る。 す な わ ち、 まず 、 寄 託 者 が寄 託 した いマ ウス を 当セ ンタ ー へ 輸 送 す る 。 続 い て 、 そ れ らマ ウ ス か ら胚 を作 製 、凍 結 保 存 す る(遺. 伝子改変 マウスの場合は 、. 精 子 も凍 結 保 存 す る)。 ま た 、 これ ら保 存 され た マ ウ ス に 関 す る デ ー タ ベ ー ス を逐 次 作 成 し、 ホ ー ム ペ ー ジ に掲 載 す る。 マ ウ ス を希 望 す る者(依. 頼 者)は. 、 自分 の 希 望 す るマ. ウ ス をセ ン ター の ホ ー ム ペ ー ジか ら検 索 し、 オー ダー す る。 セ ン ター で はそ の オ ー ダー され た系 統 の 胚 を融 解(精. 子 の 場 合 は 、融 解 後 、新 鮮 卵 子 との 間 で 体 外 受 精 、 胚 を作 出. 後)、 仮 親 へ移 植 して 仔 マ ウ ス を作 成 し、依 頼 者 へ 配 送 す る(図1)。 ター のマ ウス 胚 ・精 子 バ ン ク シス テ ム に つ い て概 説 した い 。. 55. 本 稿 で は 、 当セ ン.

(13) 図1. マ ウ ス 胚/精 子 バ ン ク シ ス テ ム. 。つ. ︾轟. 寄託者. 國. 熊本 大学動物 資源 開発研究 セ ンター. 輸送. イ ンターネ ッ ト マ ウス の情 報 を掲 載 マ ウス を依 頼. ホ ー ム ペ ー ジ 閲覧 ・系 統 名 ・特 徴. l olー ー. いひ. 凍 結 胚 ・精 子 で の輸 送. ー J. 圃 ウ. 。つ. 圃. 個体作製\. 「電). o 個体での輸送. JacksonLab.(U.S.A.) MRC(U.K.) EMMA(ltaly) GSF(Germany). 題)吻). ノ. J.

(14) 招 請 講 演5 遺 伝 子 破 壊 を利 用 した ラ ン藻 の 低 温 検 知 機 構 の 解 析 鈴 木 石 根 、 三 上 浩 司 、村 田紀 夫(基. 生 研). 生 物 は た えず 外 界 の 温 度 変 化 を検 知 して そ の 変 化 に適 応 して生 きて い る。 こ れ まで に様 々 な生 物 か ら低 温 あ る い は高 温 条 件 下 で発 現 誘 導 され る遺 伝 子 が 多 数 報 告 され て い る が 、 そ れ らの遺 伝 子 の発 現 に 関 わ る 温 度 検 知 の機 構 に つ い て は これ まで 明 らか に され て い な い。 バ ク テ リ アや 植 物 、 下 等 な動 物 な どの 変 温 性 の 生 物 で は 、低 温 に さ ら され る と、膜 脂 質 を構 成 す る脂 肪 酸 に不 飽 和 結 合 を導 入 す る脂 肪 酸 不 飽 和 化 酵 素 の 遺 伝 子 が 発 現 誘 導 さ れ る 。 低 温 下 で の膜 脂 質 の 不 飽 和 化 の促 進 は生 体 膜 の 正 常 な流 動 性 を維 持 す る た め の もの と考 え られ 、 変 温 性 生 物 の低 温 で の 生 育 に必 須 な適 応 現 象 で あ る 。 我 々 は植 物 細 胞 の モ デ ル と して ラ ン藻 Synechocystissp.PCC6803の. 低 温 検 知 の 機 構 お よび不 飽 和 化 酵 素 の 発 現 誘. 導 機 構 の解 明 をめ ざ して い る。Synechocystisに 素(DesA,DesB,DesC,DesD)が. は4種. の脂肪酸不飽和 化酵. あ り、 構 成 的 に発 現 して い るDesCを. 除. き低 温 下 で発 現 が 誘 導 され る[1]。 ま た 、 培 養 液 にパ ラ ジ ウム触 媒 存 在 下 で 水 素 ガ ス を通 じ、 細 胞 膜 の不 飽 和 脂 肪 酸 を直 接 飽 和 化 して 、生 育 温 度 を保 っ た ま ま膜 の 流 動 性 を低 下 させ て も、 低 温 誘 導 性 の不 飽 和 化 酵 素 遺 伝 子 の 発 現 誘 導 が お こる[2]。 この こ とは 、細 胞 膜 の流 動 性 の 低 下 を検 知 し脂 肪 酸 不 飽 和 化 酵 素 の発 現 を誘 導 す る機 構 が 存 在 す る こ と を示 唆 す る もの で あ る[2]。 我 々 は まず 、低 温 に もっ と も鋭敏 に反 応 す るdesB遺 にル シ フ ェ ラー ゼ遺 伝子 を融 合 した株(pdesB:'1ux)を. 伝 子 の プ ロモ ー ター 作 製 し、desB遺. 伝子. の プ ロ モ ー ター 活 性 をル シ フ ェ ラ ー ゼ 活 性 を レポ ー ター と して測 定 で き る系 を作 製 した[3]。 この株 で は22℃ 倍 以 上 増 加 した(図)。. の低 温 処 理 に よ りル シ フ ェ ラー ゼ 活 性 が10. 細 菌 や 真 核 微 生 物 で は 、 ヒス チ ジ ンキ ナ ー ゼ(Hik). が 浸 透 圧 や 無 機栄 養 の セ ンサ ー と して 知 られ て い る 。Synechocystisの ム配 列 か ら推 定 され た43種. のHik様. ゲノ. タ ンパ ク質[4]の なか に低 温 を検 知 す る. もの が 含 ま れ る 可 能 性 が 考 え られ た の で 、 相 同 組 み 替 え法 に よ り薬 剤 耐 性 遺 伝 子 を コー ド領 域 内 に挿 入 して 、 そ れ ぞ れ のHikを た。 得 られ たHikの. 変 異株 の うちHik33、. 57. 欠損 す る変 異 株 を作 製 し. お よびHik19と. 名 づ け たHikの.

(15) 22℃. 34。. 34℃. 16 pdesB'・tttx"1. 8. 1 4. 蜘8,,1u、,'rAHikigl P(ゴesB:."配 工/△Hik33. 0. とHik33、Hik19 ロ モ ー ター の低. 温 誘 導性 寒 天 培 地 上 で2日 間 、34℃ で コ ロ ニ ー を 形 成 さ せ 、22℃ へ 移 し た 。 以 後 経 時 的 に 基 質 と し て デ カ ナ ー ル 蒸 気 を与 え 、 コ ロ ニ ー か ら1分 間 あ た り に 放 出 さ れ る 発 光 量 をARGUS-50(浜 松 ホ トニ ク ス)で 計 測 し、 そ の 変 化 を 相 対. I 12. 宮 嘱彗 ㊤ξ 駆口・﹄)8 5 り・。。信崔 5. 図.pdesB;:lux株 の 変 異 株 で のdesBプ. 値 で 示 した。 246. 0. 8. Time(h). 欠損 株 で は低 温 下 で の ル シ フ ェ ラ ー ゼ 活性 の 低 温 誘 導 が 消 失 した(図)[5]。 こ の結 果 は これ らのHikが. 低 温 シ グナ ル の 検 知 お よ び伝 達 に 関 わ る こ と を示. 唆 す る もの で あ る。 また 、 低 温 処 理 後 の野 生 株 とHik33の 全RNAを. 欠損 株 の細 胞 か ら. 抽 出 して ノ ーザ ン解 析 を行 い 、低 温 誘 導 性 の 不 飽 和 化 酵 素 遺伝 子. (desA,desD,desB)のmRNAの で は ω3お. 発 現 を調 べ た 。 そ の結 果 、Hik33の. 欠損 株. よ び △6不 飽 和 化 酵 素 を コ ー ドす るdesBとdesDのmRNAの. 発 現 が低 下 して い た[5]。 Hik33はN末. 端 付 近 に2カ. 所 の膜 貫 通 領 域 を持 ち 、C末. イ ンを持 つ 膜 結 合 型 のHikで. 、Hik19は. 受 け取 る レ シー バv-..一 ドメ イ ン を2つ ッ ド型 のHikで. 端 に キ ナ ーゼ ドメ. 分 子 内 に他 のHikか. ら リ ン酸 基 を. 、 キ ナ ー ゼ ドメ イ ン を1つ. あ った 。 これ らの こ とか らHik33は. 持 つハ イブ リ. 細胞 膜 に局 在 し、培 養. 温 度 の 低 下 に伴 う膜 の 流 動 性 の減 少 を察 知 し、 脂 肪 酸 不 飽 和 化 酵 素 の発 現 を 遣 伝 子 の転 写 レベ ル で 制 御 す る セ ンサ ー と して機 能 す る 可 能 性 が 強 く示 唆 さ れ 、Hik19は. そ の シ グナ ル の伝 達 に関 わ る と推 定 され た。. ・ σ 0 r P. ・ N. 軋 ヒ a r. ー 5 9 9 工 ー. 8 需 l. 血. .. &. 工. 8。 0 3. 、. ﹂. . ' m h e t h a σ V 0 r 、ユ O. ' ・ A. ・. ー 3. 99 1 (. 4 9 0 9 一 O g O g. ・ ヱ O ゴ b 0 r σ. 血 ・. ヱ. 酌 ・. N. ' a t a r U M. &. K ・. 9. 8H " { U ⋮. . H. ' y a R. M. .ユ σ 5. ' ・ A. A 5 σ. ' S. ・ D. ・ d a σ A. 恥. ' a d a W. ・ ヱ 亡. ' s 0 L. ' ・ L. 轍. &. ' h 9. ・ N. W. ・ D. ' a し a r. コ 3 ﹁﹂L. 血.   リ ユ ー一 2 rlし r暫し. ・. ー 7 9 9 -. 5 7 一 7 6 l 1. '. 2 5. 一 7 O 4. ㎝ k ・■ H. ' 3. & e Pハ. ' ・ Y. ・. 崩 D. S. a ﹂ ﹂ a b a T. &. ・ A. & ●. '. K. i. ' i k a S e n a K. ' ・. 。. -. 00 0 2 ー. 4 3 3 l 一 7 2 3 1. '. g -. ・ N. ' ●. T. a t a r. ー 6 9 9 l ( ・ J. 工. 血. ・ D. " i k U Z. O B M E. 釦. ' S O L. 4. ' 0 k e n a K. 4 1. 丁. ' O n U Z.   コ 5 [. 血.   り 4 ﹁星﹂. 58.

(16) 1一 般 講 演11. 植 物 の 抵 抗 性 遺 伝 子 の 探 索 と利 用 渡邉 和 男 SurveyandUtilizationofRantF絶sistarlceGenes Watanabe,K,N, 植 物 抵 抗 性 遺 伝 子 は 、 一 般 的 に二 つ の 主 要 タ イ プ に分 け られ る 。 病 原 体 毒 素 に 対 し て 抵 抗 性 を 与 え る 抵 抗 性 遺 伝 子 と、 一 般 的 に 過 敏 感 反 応 に 関 係 す る病 原 体 特 異 的 遺 伝 子 対遺 伝 子 タイ プの抵 抗 性遺 伝 子 で あ る 。 今 ま で に単 離 され た 病 原 体 特 異 的 遺 伝 子 対 遺 伝 子 タ イ プ の 抵 抗性 遺 伝 子 の 構 造 解 析 に よ り 、 そ の 構 造 を 構 成 す る 要 素(LZ:leucinezipperregionや NBS:nucleotidebindingsite}と. 、 異 な る 抵 抗 性 遺 伝 子 の 同 じ要 素 と の 比 較 が な さ れ 、. 抵 抗 性 遺 伝子 を も つ 植 物 種 や 感 染 病 原 体 の 種 類 に 関 わ らず 、 共通 ア ミ ノ酸 配 列 が 保 存 さ れ て い る と い う こ と が 判 っ て き て い る(Hammond-KosackandJones1997)。. 抵. 抗 性 遺 伝 子 は 、 そ の 構 造 に よ り四 つ の ク ラ ス に分 類 され る。 それ は 、 ロイ シ ン リ ッチ リ ピー ト(LRR)モ. チ ー フ また は セ リ ンー ス レオ ニ ン カ イ ネ ー ス 領 域 に よ り分 類 さ れ て. い る 。 一 つ 目 の ク ラ ス は 、LRR領. 域 と ヌ ク レ オ チ ド結 合 領 域(NBS)を. 含 む 細胞 質. 受 容 体 様 タ ン パ ク を コ ー ド し て い る 。 二 つ 目 の ク ラ ス は 、 セ リ ン ・ス レオ ニ ン カ イ ネ ー ス を コ ー ド し て い る 。 三 つ 目 の ク ラ ス は 、 細 胞 外LRR領 ー ドして い る. 。 四 つ 目 の ク ラ ス は 、 細 胞 外LRR領. 域 を持つ推 定膜受 容体 を コ. 域 と 細 胞 内 セ リ ン ース レ オ ニ ン カ イ. ネ ー ス 領 域 を 持 つ 推 定 膜 受 容 体 を コ ー ド して い る 。 そ の 保 存 モ チ ー フ に 基 づ い て 新 た に抵 抗 性 遺 伝 子 が 同 定 され て い る こ と や 、 新 た に 単 離 され た抵 抗 性 遺 伝 子 の 構 成 要 素 と の 相 関 性 が 高 い こ と か ら 、 植 物 は 、 限 ら れ た 病 原 体 認 識/信. 号 伝 達 系 だ け使 っ て い. る の で は な い か と 考 え られ て い る(Hammond-KosackandJonesl997)。 ま た 、 病 原 体 特 異 的 遺 伝 子 対 遺 伝 子 タ イ プ につ い て の 研 究 は 、 三 つ の興 味 深 い論 題 が あ る 。 一 つ 目は 、 病 原 体 エ リシ タ ー と植 物 受 容 体 によ る病 原 体 認 識 に 基 づ く非 自己 認 識 の 分 子 機 構 に つ い てで あ る。 二 つ 目は 、 病 原 体 認 識 の 結 果 起 こ る 防 御 反 応 機 構 も 含 め た 植 物 に お け る 信 号 伝 達 経 路 につ い て で あ る。 三 つ 目 は 、 新 しい病 原 体 種 や 系統 を認 識 す る 新 しい抵 抗 性 遺 伝 子 が 出 来 る 時 、 ゲ ノ ム組 織 とそ の 進 化 、 特 に組 み 換 え と 突 然 変 異 の 法 則 が 働 い て い る の か も しれ な い 、 と い う 論 題 に つ い て で あ る 。 抵 抗 性 遺 伝 子 は 多 重 遺 伝 子 族 の 構 成 要 素 で あ り、 複 雑 な 遺 伝 子 座 を 形 作 っ て い る 大 き な 配 列 で あ る 。 遺 伝 子 族 を 構 成 す る 遺 伝 子 同 士 は 、 密 接 に 連 鎖 し て い る 事 も あ り得 る し 、 ま た は 全 く 連 鎖 して い な い 事 も あ り得 る 。 多 く の 場 合 、 こ れ ら の 群 に お け る そ れ ぞ れ 遺 伝 子 座 は 、同 じ病 原 体 種 の 内 の 異 な る 系 統 に 対 す る 抵 抗 性 を コ ー ド して い る 。. 59.

(17) こ の よ う な 群 は 、 頻 繁 に 組 み 換 え を 起 こ し、 そ れ は 新 し い 特 異 性 の 進 化 を 導 く 誘 導 物 質 を 与 え る と 考 え ら れ て い る 。 密 接 に 連 鎖 して い る 遺 伝 子 、 連 鎖 し て い な い が 互 い に 関 連 して い る遺 伝 子 の 両 方 と も が 、 分 岐 後 の 遺 伝 子 重 複 に よ り新 しい抵 抗 性 特 異 性 が で き る 最 も 有 力 な 原 因 で あ る と 考 え られ て い る(Bent1996)。 バ レイ シ ョ在 来 遺 伝 資 源 に 由 来 す るP》Y(ポ 子 砂adgに. テ トウ イ ル スY)高. つ い て 、上 記 に 基 づ き 、 タバ コと シ ロ イ ヌ ナズ ナ の 抵 抗 性 遺 伝 子 で 保 存 さ. れ て い た 配 列 モ チ ー フ か ら バ レイ シ ョゲ ノ ム に お け るPCRプ 計 さ れ た 。 そ のPCR増. 幅産物 が、. さ れ た い く つ か のRFLPマ を 組 み 合 わ せ て 、PCRに 遺 伝 子 様 断 片(RKIiLs)が ADG2は. 、1う!adgを. さ れ た 。ADG2は. 月ンadgを. 持 つ植物 体の選 抜 に有効 であ ると確認. よ りバ レ イ シ ョ遺 伝 系 統2x(V-2}7か 、ADGI、ADG2、ADG3で. ら増 幅 さ れ た 抵 抗 性 あ る 。 そ の 内 のADG1と. 持 つ 植 物 体 と 共 分 離 し、 砂 ヨdgと. 密 接 に連 鎖 し て い る 事 が 示. 伝 子 と シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ のRPP5抵. 一 部 分 で あ る 推 定kjnase・2とkinase-3a領. ん で お り 、 ア ミ ノ 酸 及 びDNAレ. 抗 性 遺 伝 子 に共 域 モ チ ー フを 含. ベ ル と も に 非 常 に保 存 性 が 高 い こ とが 分 か っ た 。. 我 々 は 、上 記 情 報 に 基 づ き 、砂adgと. 共 分 離 す るSCAR(SequenceClonedAmplMed. ー カ ー の 作 成 に成 功 し た(Kasaieta/,2000)。SCARマ. 抗 性 系 統 の み でPCR増. ラ イ マ ー が い くつ か 設. ー カ ー と、 共 分離 す る こ とが 示 され た 。 三 つ の プ ラ イ マ ー. 、 タ バ コ のN遺. 通 し て 存 在 す るNBSの. Region)マ. 度抵抗性遺伝. 幅 産 物 が 得 られ た 。. 当SCARマ. ー カ ー に よ り、抵 ーカ ー は世 界 中の バ レ イ シ. ョ 品 種 で 抵 抗 性 系 統 と 感 受 性 系 統 を 完 全 に識 別 す る こ と が で き 、 幅 広 くP》Y抵. 抗 性育. 種 に 利 用 で き る の で 、 学 術 振 興 会 よ り特 許 出 願 を 行 っ た 。 該 マ ー カ ー は 、PVA(ポ トウ イ ル スA)高. 度 抵 抗 性 遺 伝 子 月aadgに. テ. つ い て も初 期 選 抜 に適 用 で き る こ と が わ か. っ た 。 そ して 、 植 物 病 害 虫 抵 抗 性 遺 伝 子 の 共 通 に 関 与 す る 一 般 ル ー ル を 見 い だ す 可 能 性 が で て き た 。 ま た 上 記 情 報 は 、 ナ ス 科 植 物 一 般 に適 用 で き 、 比 較 進 化 や 比 較 ゲ ノ ム 解 析 に 応 用 で き る 可 能 性 が 見 い だ され た 。. 引 用 文 献 BentAF(1996}ThePlantCell8:1757-1771 Hammond-KosackKE,JonesJDG(1997)Annu.RevPlantPhysioiPlantMolBiol48;575607 KasaiK,MorikawaY,SorriVA、Va(konenJM,GebhardtC,WatanabeKN(2000}Genome 43(1}11●8. 60.

(18) 一 般 講 演2. マ ウス着床前初期胚 の発 生制御 の分子 機構 松本和 也 ・佐伯和弘 ・細井 美彦 ・入谷. 明. 近畿大 学生物理工学 部 ・生物 理工学研 究所. 1)は. じめ に. わ れ わ れ ヒ トを含 め 哺 乳 動 物 の か らだ は 、 数 多 くの 種 類 の 分 化 した 細 胞 か ら 構 成 され て い るが 、 これ ら全 て の細 胞 は 、 わ ず か0.1ミ. リ程 度 の1個. の受 精 卵. に 由来 して い る 。精 子 と 卵子 が 受 精 して 卵 管 を下 降 し子 宮 で着 床 す る まで の初 期 胚 の 発 生過 程 は 、 一 個 の 大 き な細 胞 が 次 々 と分 裂 を繰 り返 しな が ら、 全 体 の 大 き さ は変 わ らず に 個 々 の細 胞 の サ イ ズ が 小 さ くな り、 桑 実 期 胚 そ して 胚 盤 胞 期 胚 を経 る 過 程 で あ る 。 そ れ で は 、 ど の よ うな メ カ ニ ズ ム で 着 床 前 の 初 期 胚 の 発 生 は 制 御 され て い る の だ ろ うか?こ. れ まで 細 胞 生 物 学 的研 究 に よ り、 桑 実 期 胚 の コ ンパ ク シ ョン形. 成 や 胚 盤 胞 期 胚 の胞 胚 腔 形 成 な ど の形 態 的 変 化 の 時 期 を制 御 す る 因子 は 、 細 胞 分 裂 回 数 、 核 と細 胞 質 の 比 、胚 の構成 細 胞 数 な ど と は 無 関 係 で あ る こ とが 示 さ れ て い る。 同 時 に、 シ ョ ウ ジ ョ ウバ エ や 線 虫 な ど哺 乳 類 以 外 の 動 物 種 で 明 らか に され て い る分 化 決 定 因 子(Dorsa1タ. ンパ ク 質 、Bicoidタ. る母 性 細 胞 質 因子 の 部 域 差(極. 存 在 が 、 哺 乳 類 の受 精 卵 で は 認 め られ て. 性)の. ンパ ク質 な ど)で. あ. いな い 。 一 方 、 突 然 変 異 マ ウ ス に関 す る研 究 か ら、 初 期 胚 の 特 定 の 形 態 的変 化 の時 期 に そ の発 生 が 停 止 す る現 象 が 知 られ て い る 。 これ らの こ とか ら、 哺 乳 動 物 の初 期 胚 で は 、 そ の発 生 を時 間 軸 に沿 って 遺 伝 子 が 発 現 して い く分 子 機 構 の 存 在 が浮 か び 上 が って き て い る 。 2)マ. ウス 初 期 胚 の 発 生 制 御 に 関わ る遺 伝 子 群 の 探 索. 着床 前 の 初 期 胚 に は 、 胚 性 遺 伝 子 の活 性 化(zygoticgeneactivation;ZGA)と 呼 ば れ るそ の 後 の 発 生 に重 要 な 役 割 を果 た して い る遺 伝子 発 現 の再 構 成 の時 期 が 存在 す る 。 この胚 性 遺 伝 子 の 活 性 化 とは 、 初 期 胚 の 発 生 制 御 が 母 親 ゲ ノム 由 来 の タ ンパ ク質 ・mRNAな. どの 因子 か ら母 親 と父 親 の双 方 の ゲ ノム を持 っ た胚. 性 因子 の支 配 へ と移 行 す る 時 期 を 示 して い る 。 わ れ われ は 、 トラ ン ス ジ ェニ ッ ク マ ウ ス を使 った 実 験 に よ っ て 、 マ ウ ス 初 期 胚 にお け る胚 性 遺 伝 子 の活 性 化 時 期 を1細. 胞 期 のG2で. あ る こと を 明 らか に した(下. 図 参 照)。 さ ら に、 受 精 後 時. 間 的 に 階 層 性 を もつ カ ス ケ ー ドの よ う に転 写 因子 ・翻 訳 調 節 因子 関 連 の遺 伝 子. 61.

(19) 群 が連 続 的 に発 現 して い く プ ログ ラム の 下 で 、 初 期 胚 の発 生 が 進 行 して い く制 御 機 構 を 想 定 し、 蛍 光 デ ィ フ ァ レ ン シ ャ ル ・デ ィ ス プ レイ 法 を利 用 した 胚 性 遺 伝 子 の活 性 化 に 関 わ る遺 伝 子 群 の探 索 を行 っ た 。 これ まで 、 こ の時 期 に発 現 す る 数 十 の遺 伝 子 を単 離 して 、 初 期 胚 にお け る遺 伝 子 発 現 の 挙 動 を調 べ て お り、 今 後 そ の機 能 解 析 を踏 ま え る こ とに よ り、 初 期 胚 の 発 生 制 御 の 全 体 像 が 明 らか に な る と考 え て い る 。今 回 は 、 この研 究 を通 して 胚 性 遺 伝 子 と して 単 離 され た 新 規 遺 伝 子zag1(zygoteactivationgene1)に 3)体. つ いて 、 紹 介 す る 。. 細 胞 核 移 植 にお け る 「 核 の再 プ ロ グ ラム 化 」 機構 の解 明 に 向 け て. 最 近 、体 細 胞 ク ロー ン個 体 の作 製 が ヒツ ジ 、ヤ ギ 、 ウ シ 、 ブ タ 、 そ して マ ウ ス な どで 明 らか にな っ た 。 そ の 一 連 の実 験 よ り、 卵 母 細 胞 の 細 胞 質 内 に は未 知 の 「分化 した 細 胞 核 の遺 伝 情 報 を再 プ ログ ラム化 し、未 分 化 状 態 に させ る因 子 」 が 存 在 す る 可 能 性 が 示 唆 さ れ て い る 。 この 「核 の再 プ ロ グ ラム 化 」 は 、 核 移 植 技術 には 必 須 な 条 件 で あ る が 、 そ の 機 構 につ い は ま だ解 明 され て い な い。 事 実 、 ① 卵 母 細 胞 へ 移 植 され た 細 胞 核 の膨 化 ・膨 潤 化 、 ② 移 植 され た 核 の遺 伝 子 発 現 の停 止 、 ③ ク ロマ チ ン構 造 の リモ デ リ ン グ(例 母 細 胞 の ピス トン に置 換)、 ④DNAメ. え ば 、体 細 胞 核 の ピス トンが 卵. チ ル 化 と ピス トン の ア セ チ ル 化 な どの修. 飾 、⑤ 母 性か ら胚 性 へ移 行 後 に胚 性 特 異 的 な 遺 伝 子 発 現 の 再 開 な どの現 象 に 関 す る情 報 ・知 見 が 少 な い のが 現 状 で あ る 。 今 後 、 わ れ わ れ の 研 究 を通 じて 、 そ れ らの 現 象 に 関 す る 知 見 が 得 られ 、 「核 の リ プ ロ グ ラ ム 化 」 機 構 の解 明 が 進 む も の と期 待 して い る。. Firstzygoticgeneactivation(ZGA) duringearlymouseembryodevelopment. Spヅ M』. P・ ・ti・ ・emi・ ・ti・n ⊥. 」L_L」 1-ce且. 一. 】3t三1ge. ◎ ◎ ◎ 叡 罫 禽(iガ ㎎ SG2ぐ. OocyteG1. 一. __》. ZygotlcGeneActlvatlon. Geneticregulation MaternalmRNA. lEmb,y。ni、mRNA. ▼What?. What?. 62.

(20) 一 般 講 演3. 硬組織形成の遺伝的制御機構 宮 本 裕 史 、 宮 下 知 幸 、松 代 愛 三(近. 畿 大 学 生 物 理 工 学 部). 多 細 胞 の 動 物 は便 宜 的 に 二 つ に 分 け る こ とが で き る。 脊椎 動 物 と無 脊 椎 動 物 。 この二 つ の動 物 群 は、 脊 椎 の 有 無 に よ り明確 に 区 別 で き る。 決 定 的 な 違 い で あ る 。 脊 椎 に代 表 され る骨 は リ ン酸 カ ル シ ウム か らな る 組織 で あ り、 筋 肉 と神 経 に連 動 して運 動性 を 飛 躍 的 に 高め る こと に貢 献 して い る。 そ の動 き は しなや か で 敏 捷 性 に富 む 。 骨 は体 の 内 部 に あ り、 そ の外 側 に 各種 組 織 を 付 加 す る こと に よ り、 脊椎 動 物 の 大 型 化 も達 成 され た 。 これ に対 し、 無 脊椎 動 物 は しば しば 外 部 に骨 格 を有 して い る。 内 骨 格 に対 す る外 骨 格 で あ る。 外 部 にあ るた め 発 育 に 制 限 が 生 じ、 極 端 な 大 型 化 へ の道 は は ば まれ た 。 無 脊 椎 動 物 の 外 骨 格 は 脊椎 動 物 の 内 骨 格 と著 し く異 な っ て お り、 よ り多 様 性 に富 んで い る 。 例 え ば 、 節 足 動 物 の 成 体 を 覆 う殻 と軟 体 動 物 の殻 。 この 二 つ は 無 脊 椎 動 物 の 典 型 的 な 外 骨 格 で あ る が 、 節 足 動 物 の そ れ が キ チ ン質 とカ ル シ ウ ム塩 で あ る の に対 し、 軟 体 動 物 の ほ うは炭 酸 カ ル シ ウム か ら構 成 され て い る。 そ の 差 は 形 態 的 に も化 学 的 に も顕 著 で あ る。 外 骨 格 と内 骨 格 は硬 組 織 とい う言 葉 で 一 つ の グル ー プ と して 括 る こ とが で き る。 ど ち らも強 固 で 環 境 や 食 物 か ら摂 取 した塩 類 か ら構 築 され る無 機 塩 鉱 物 で あ る 。 しか し、 形 態 、 機能 、化 学 組 成 にお いて 大 きな 違 いが あ り、 外 骨格 は 種 によ りこ と ご と く異 な って い る。 こ う した 硬 組 織 の 多 様 性 は 生 命 に関 す る重 要 な疑 問 を投 げか けず に は い な い。 は た して 、 これ ら多 様 な 硬 組 織 は 起 源 を同 じ く して い る の か 。 も し起 源 が 同 じで あ るな らば 、 どの よ う に して 異 な った 硬 組 織 を有 す る生 物 が 生 じて き た の か 。 また 、 多 様 な 硬 組 織 の形 成 過 程 に 何 か 共 通 の メ カニ ズ ムが 存 在 して い るの か 。 違 い を 生ぜ しめ る の に必 要 な 因 子 とそ の メ カ ニ ズ ム は どの よ うな もの か 。 現 在 見 られ る多 様 な 無 脊椎 動物 は カ ン ブ リ ア期 の 爆 発 的 な適 応 放 散 に 起 源 を求 め る ことが で き る とい う。 興 味 深 い こ とに カ ンブ リア 期 の 初 期 、 海 水 中 の リ ン酸 塩 が 減 少 す るが 、 そ れ と時 期 を 同 じ くす るよ う に して炭 酸 カ ル シ ウム の 殻 を持 つ 軟 体 動 物 の化 石 が 多 数 発 見 され て い る。 この こ とは 、 現 在 の軟 体 動 物 の硬 組 織 の 起 源 が 先 カ ン ブ リア期 後 期 か らカ ン ブ リア期 初 期 の少 数 の 生 物 種 にあ り、無 脊 椎 動 物 全般 に 共 通 す る硬 組 織 形 成 の普 遍 的分 子 機 構… の 存 在 を示 唆 す る。 軟 体 動 物 の 代 表 的 な 硬 組 織 で あ る 貝 殻 の 形 態 を 細 か く見 て み る と興 味 深 い事 実 につ きあ た る。 貝 の 種 類 、 部 位 に よ り炭 酸 カル シウ ム の 結 晶 構 造 が 異 な って い る の で あ る 。 例 え ば ア コヤ ガ イ で は 、 貝 殻 の 外 側 は稜 中 層 と呼 ば れ 方解 石 結 晶 で あ るの に対 し、軟 体 部 に 接 す る側 は 真 珠 層 と 呼 ば れ ア ラ レ石 結 晶で あ る。 方 解 石 とア ラ レ石 は どち ら も炭 酸 カ ル シ ウ ム の 結 晶 で あ るが 、 通 常 で は方 解 石 が 安 定 で 、 自然 に は こち らが 形 成 され る傾 向 に あ る。 ア コヤ ガ イ で 見 られ る よ うに 、 二 つ の炭 酸 カ ル シ ウム 結 晶 が 非 常 に 近 接 した 領 域 に 存 在 す る よ う に形 成 され る背 景 に は 、 生物 の精 緻 で 効 率 の よ い過 程 が 介 在 して い る と思 わ れ る 。 この こ と に関 して 最 近 、 二 つ の グル ー プ に よ って 重 要 な 進 展 が 得 られ た(1,2)。. この 二 つ の グル ー. プ は 、 貝 殻 中 に含 まれ る微 量 成分 で あ る タ ンパ ク質 が 結 晶 構 造 を決 め る 上 で 重 要 な 役割 を 担 っ て い る こ と を示 した。 す なわ ち 、貝 殻 の方 解 石 結 晶 か ら得 られ た タ ンパ ク質 と、 ア ラ レ石 結 晶 か ら得 られ た タ ンパ ク質 を基 盤 に して 、そ れ ぞれ 炭 酸 カ ル シ ウム の結 晶 を誘 導 した と ころ 、 方 解 石 結 晶 由来 の タ ンパ ク質 を基 盤 に した場 合 には 方 解 石 が 誘 導 され 、 ア ラ レ石結 晶 由 来 の タ ン パ ク質 を 基 盤 に し た場 合 に は ア ラ レ石 が誘 導 され た の で あ る 。 この 事 実 は 、硬 組 織 の 形 成 が他 の 生 命 現 象 と同 様 に タ ンパ ク質 に よ り、す な わ ち 遺 伝 子 によ り制 御 され た過 程 で あ る こと を 如 実 に示 す 。. 63.

(21) 彼 らの報 告 に よ り、貝 殻 形 成 が 遺 伝 的 に制 御 され た過 程 で あ る こ とが 明 らか とな った が 、 そ の デー タ は更 な る疑 問 を投 げ か け る 。 彼 らは 基 盤 用 の タ ンパ ク質 と して 、 そ れ ぞ れ の 結 晶 か ら 抽 出 した 粗 画分 を使 って お り、 タ ンパ ク質 の 素 性 に 関 して具 体 的 な こ とを述 べ て い な いの で あ る 。 とは い うも の の、 この二 つ の グル ー プ は この 分 野 を リー ドしてお り、貝 殻 の炭 酸 カ ル シ ウ ム 結 晶 の 形 成 を制 御 す る タ ンパ ク質 の正 体 を 明 らか にす る努 力 を進 め て きて い た。 しか し、 そ の 時 点 で は 具 体 的 な1次 構 造 を 出す まで に は 至 っ て いな か った 。 そ こで 我 々 は 、 ア コヤ ガ イ 貝 殻 を材 料 と して 、 炭 酸 カ ル シ ウム 結 晶 の形 成 を制 御 す る タ ンパ ク 質 を 同 定 しそ のcDNAを. 単 離 す る こ と を第 一 目標 と して研 究 に着 手 した 。. そ の結 果 、 ア コヤ ガ イ 真 珠 層 よ り分 子 量 約6万 タ ンパ ク 質 を ナ ク レイ ン と名 づ けた(3)。. の タ ンパ ク質 を分 離 す る こ と に成 功 し、 この. ナ ク レイ ンタ ンパ ク質 は カ ル シ ウム 結 合 タ ンパ ク 質. を特 異 的 に 染色 す るStains-allで 染 色 され る こ とか ら、 カ ル シ ウム結 合 能 を 有 す る タ ンパ ク質 で あ る と推 察 され る 。 日本 の伝 統 的 な 産業 で あ る 真 珠 養 殖 業 の 基 本 的 な 工程 で は 、 ア コヤ ガ イ の 外 套 膜 の 一 部 を切 り取 り、 そ れ を球 状 の核 と と も に成体 貝 に 戻 し、核 の周 りへ の 外套 膜 細 胞 の 増 殖 お よ び 真 珠 層 の 分 泌 を促 す 。 この と き 、切 り取 る外 套 膜 の 領 域 に よ り生産 さ れ る真 珠 の質 が 大 き く影 響 を受 け る 。 つ ま り、 外 套 膜 か ら分 泌 され る 有機 成 分 が 真 珠 層 を含 め た貝 殻 形 成全 般 を 制御 して い る こ とが 窺 え るの で あ る。 当然 、 ナ ク レイ ン も外套 膜 細 胞 で 作 られ 分 泌 され る タ ンパ ク質 で あ る と推 察 さ れ る。 そ こで 、 外 套 膜poly(A)+RNAを cDNAラ. 用 いてcDNAラ. イ ブ ラ リー を 、 ナ ク レイ ン タ ンパ ク質 のN末. イ ブ ラ リー を 作 製 した 。 この. 端 領 域 の ア ミ ノ酸 配 列 に基 づ い て 作 製 さ. れ た オ リゴ ヌ ク レオ チ ドを プ ロー ブ と して ス ク リー ニ ン グ を行 い、 ナ ク レイ ン タ ンパ ク質 を コ ー ドす るcDNAを 単 離 す る ことが で きた 。 塩 基 配列 か ら推察 さ れ るナ ク レイ ン の ア ミ ノ酸 配 列 は 、 アス パ ラギ ン と グ リシ ン の繰 り返 し 配 列 を挟 む よ うに して カ ー ボ ニ ッ クア ン ヒ ドラー ゼ との 相 同 領域 を有 して い た 。 こ の ことか ら ナ ク レイ ンタ ン パ ク 質 は 、 カ ー ボ ニ ッ ク ア ン ヒ ドラーゼ と して の 触 媒 作 用 に よ り、 炭 酸 カル シ ウ ム結 晶 の構 築 に必 要 な 炭酸 イ オ ンを 供 給 し、 同 時 に結 晶 層 中 に お い て 構 造 タ ンパ ク質 と して 結 晶 の形 成 過 程 を制 御 して い る と推 察 され る 。 貝 殻 は非 常 に精 緻 な 炭 酸 カル シウ ム の 結 晶 構 造 か らな っ て い る。 そ こか ら生 まれ る 真 珠 は今 な お 神 秘 的 な 輝 き を放 っ て い る が 、 我 々 は 、 現 在 そ の分 子 基 盤 の一 端 に触 れ て いる と感 じ る。 硬 組 織 形 成 の メ カニ ズ ム解 明 に は 無機 結 晶 学 と生 命 科 学 をつ な ぐ新 しい学 問 領域 の 進 展 が 要 求 され 、 そ の 成 果 は無 脊 椎 動 物 の形 態 と進 化 の 謎 をひ も と く重 要 な鍵 を包 含 して い る 。. 1.Falini,G.,Albeck,S、,Weiner,S.&Addadi,L(1996)Science271,67-69. 2.Belcher,AM.,Wu,XH.,Christensen,R.J.,Hansma,P.K.,Stucky,G、D.&Morse,D,E.(1996) Nature381,56-58。 3.Miyamoto,H.,Miyashita,T.,Okushima,M,Nakano,S.,Morita,T.andMatsushiro,A.(1996)Proc. ハ「aごL14α∼dSci.USA93,9657-9660. 64.

(22) ヒ 般 講 演N 「抗 がん剤耐性 に関与す る膜輸送 体P一糖 タ ンパ ク質 とMRP1の. 基質認識機構 とその生理機能」. 近畿 大学生物 理工学部遺伝子工 学科 ・同生物理工学研 究所 田口善智. がん細 胞は 、治療 途 中に、投 与 した抗がん剤 に対 して耐性 にな るの と同時 に、治療 には用 い ていな い抗が ん剤 、 しか も作用機構 や構造 が異 なる複数の 薬剤 に対 して も耐性 になる ことが あ る。 この よ うな現象 は、 がんの 多剤 耐性 化 と呼 ばれ 、がん の化学療法 の大 きな障 害 とな って い る。P一糖 タ ンパ ク質 、 及 びMRP1(multidrugresistance-associatedprotein1)は. 、がんの多 剤. 耐性 にお いて 中心的な役 割を担 って いる。 これ ら2つの タンパ ク質 は、 どち らも膜 タンパ ク質 で あ り、細胞 に とっては有 害な物 質で ある抗がん 剤 を細胞 内か ら外へ排 出するポ ン プと して機 能 する ことによ り、細胞 を耐性 化す る。 P一糖 タンパ ク質及 びMRP1の. 大き な特徴 はその基質特 異性 の広 さにあ り、 いずれ も、多種 の. 抗がん剤だ けで な く、様 々な有 害物 質や生理活 性物 質な どの広範 な化 合 物を基質 と して認識 し 輸送す る。 しか し、 これ らの膜 輸送 体がなぜ広 範な化 合物 を基質 と して輸送 で きるのか はほ と ん ど明 らか にされ て いな い。 も しそ れ を 明 らか にで き れ ば 、そ れ らの 輸 送 機能 を特異的 に 阻害 し、がん の多剤耐性 を克服す る手がか りを得る ことがで きる と期待 され る。 一方 、MRP1及 びP一糖 タ ンパ ク質 は、がん細胞 のみ な らず、広範 囲の正常組織 にも発現 して いる。最近 の ノ ックアウ ト動物 等 を用 いた研 究か ら、 これ らの膜輸送 体 の生体 にお ける本来 の 機能 は、体 内 に存在す る有 害物 質か ら体 内の よ り大切 な部 分 を守る とい う、非常 に重要な もの であ るこ とが示唆 され た。例え ば、精 巣のセル トリ細胞 に発 現するMRP1は. 、父親の体 内 に存在. する有害物質 が、精子の 作 られ る よ り重要な 部分(精 細管 の内腔)へ 移 行するの を阻止 して い ることが マ ウスを使 って示 され た。 これ らの膜 輸送体 が担 う生理機 能 を発現組 織 ごとに詳細 に 解明で きれ ば 、 どの組織 が どの ような種類の有 害物 質か ら守 られて いるのか、 また逆 に、どの よ うな物質 に侵 され やす いのか を知る ことがで きる と考 え られる。 そ こで 、P一糖 タ ンパ ク質の抗 がん剤 を認識 する ドメイ ンの解 析、及びMRP1の. 乳腺 におけ る. 発現 と機能 の解 析 を通 じ、 これ らの 膜輸送体 の基質 認識機 構 、及びそ の生理機能 を明 らかに し よ うと試み た。. 【1】P一糖 タ ンパ ク質 の第1膜 貫通領域(TM1)が. P一糖 タ ン パ ク 質 やMRP1と. 基質の認識及 び輸送 に関与する可能性の検討. 同 じABC(△TP蜀nding⊆assette)ス. ーパ ー フ ァ ミ リー に 属 し、. P一糖 タ ン パ ク 質 と よ く 似 た ドメ イ ン 構 造 を 持 つ と 予 想 さ れ て い る タ ン パ ク 質 の 一 つ に 、CFTR (cysticfibrosistransmembraneconductance〔egulator)が. あ る 。CFTRは. 塩 素 イ オ ンチ ャ ネ ル. と して 機 能 し、 そ の 分 子 内 の ア ミ ノ酸 置 換 は 白 人 で 最 も 多 い遺 伝 病 で あ る嚢 胞 性 線 維 症 を 引 き 起 こ す 。CFTRで. は 、12の 膜 貫 通 領 域(TM)の. う ち1番 目 と6番 目の 膜 貫 通 領 域(TM1,TM6). に 、 イ オ ン 特 異 性 や 透 過 性 を 変 化 さ せ る ア ミ ノ 酸 変 異 が 同 定 さ れ て い る 。P一 糖 タ ンパ ク 質 に お い て も 、12の 膜 貫 通 領 域 の う ちTM6に れ て い る が 、TM1に. 基質 特 異性 を変 化 させ る ア ミ ノ酸 変 異 が い くつ か 同 定 さ. は 、 そ の よ う な ア ミ ノ 酸 置 換 は 見 出 さ れ て い な い 。 そ こ で 、P一 糖 タ ンパ ク. 65.

(23) 質 のTM1がCFTRと. 同 様 に 基 質 の 認 識 及 び 輸 送 に 関 与 し て い な い か 検 討 した 。. ま ず 、P一糖 タ ン パ ク 質 のTM1の. 中 程 に あ る61番 目のHis(His6i)に. を 他 の す べ て の ア ミ ノ 酸 に 置 換 し た 変 異 体 のcDNAを. 着 目 した 。 こ の ア ミ ノ 酸. 作 成 、 ヒ ト由 来 の 培 養 細 胞 に 導 入 し、 そ れ. ぞ れ の 細 胞 がP一 糖 タ ン パ ク 質 の 基 質 と な る 抗 が ん 剤 に 対 し て 示 す 耐 性 度 を 調 べ た 。 そ の 結 果 、 His61を、Hisよ り も 側 鎖 の 大 き い ア ミ ノ 酸 で 置 換 す る と 、P一糖 タ ン パ ク 質 の 基 質 特 異 性 が 大 き く 変 化 した 。 ま た 、61番 目 の ア ミ ノ 酸 の 側 鎖 の 大 き さ と 、 各 抗 が ん 剤 に 対 す る 耐 性 度 の 間 に 相 関 が あ る こ と が 分 か っ た 。 以 上 の 結 果 か ら 、P一 糖 タ ン パ ク 質 の61番 ク 質 の 基 質 特 異 性 の 決 定 に 関 与 し 、61番. 目の ア ミ ノ 酸 は 、 この タ ン パ. 目の ア ミ ノ酸 の 側 鎖 の 大 き さが 基 質 特 異 性 を 決 定 す る. 要 因 の 一 つ で あ る こ とが 示 唆 され た 。 次 に 、His61の 前 後 の8個 の ア ミ ノ 酸 を そ れ ぞ れ 側 鎖 の 大 き いArgに 置 換 し た 変 異 体 を 作 成 し 、 そ の 基 質 特 異 性 を 調 べ た 。 そ の 結 果 、His6iよ り も ほ ぼ1ヘ リ ッ ク ス だ けC末 側 に 位 置 す るGly64及 びLeu65のArg置 換 体 は 、His6iのArg置 換 体 と よ く 似 た 基 質 特 異 性 を 示 した 。 以 上 の 結 果 か ら 、P 一糖 タ ン パ ク 質 に お い て も 、TM1の ヘ リ ッ ク ス の 一 つ の 側 面 、 あ る い は 一 つ の 部 分 が 、 基 質 の 認 識 ま た は 輸 送 に 関 与 す る 部 位 の 形 成 に 関 与 して い る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た 。. 【2】 有害物質の母 体か ら乳 汁への移 行 阻止 に、MRP1が. 機 能する可能性 の検 討. ダ イオ キシ ン類等 の人 工の有害 物質が母 体か ら乳 汁 中へ相当 量が移行す る ことが 指摘 され 、 重大 な関心事 とな って い る。 しか し、抵抗 力の 弱 い幼 少の動物 を育て るため に分 泌 され る乳 汁 に、有 害物 質 が容易 に混 入す る とす れ ば、それ は種の生 存 に とって大 きなマ イナ スとなる。 ほ 乳類の乳腺 は 、 自然 に存 在す る有害 物質 に対 して 、それ らが母体 か ら乳 汁へ移行 す るのを防 ぐ 機構 を元来有 して いた と して も不 自然ではな い。 しか し、母体 か ら乳 汁への有害 物質 の移 行 を 支配す る機構 は遺伝子 レベルで は全 く解 明 されて いな い。 そ こで、MRP1が. 、精巣の場合 と同様. に、乳腺 にお いて、子孫 を残 すの に重要な乳汁 に有害物質 が移行 しな いよ うに機 能 しているの で はな いか と考え、そ の検証 をマウスで行 った。 まず、RT-PCRに MRP1が. よる解析 と、抗MRP1モ. ノ クロー ナル抗 体 を用 いた免 疫組織 染色 によ り、. 、授乳 中の マウスの乳腺 に発 現 して いる こと、また乳腺組織 中で は、乳 汁合成 を行 う乳. 腺上皮細胞 に発 現 して い る ことを明 らか に した 。 さ らに、母 マ ウスが妊 娠 してか ら出産 し、子 マウスが離乳 するまでの過程 で、乳 腺 におけるMRP1の テ ィ ング によ って調 べた。その結果 、MRP1タ. 発現 量が変 化するか を、ウエス タンブロ ッ. ンパ ク質の乳腺での発現 量は、出産後、徐 々に上. 昇 し、泌乳 量 最大 とな る出産14日 後 付近 で最大 となる ことが分 か った。 しか し、非妊娠 マ ウス や 、妊娠 中や離乳後 の母マ ウスの乳腺 で はその タンパ ク質 はほ とん ど発現 していなか った。 次 に、乳腺 に発現す るMRP1タ で ある重金属 ア ンチ モ ン(Sb)の. ンパ ク質が 、実 際に機 能 して いるか を検討 した。MRP1の 母体血 中か ら乳 汁中への移 行度を、MRP1の. 基質. 発現 量が少な い. 出産2日 後の 母 マ ウス と、そ の発現量の 多い出産2週 間後 の母マ ウスで比較 した。 その結 果、 出 出産2日 後の マ ウスのM!P比(M/P比=(乳. 汁中に含まれるSb量)/(血 しょう中に含 まれるSb量)). は、出産2週 後 の 母 マウス のM/P比 の 約2倍 にな る ことがわか った。 この 結果 は、MRP1が. 、ア. ンチモン等の 重金属が母 体 か ら乳汁 へ移行す る のを阻止す るの に機能 する可能性 を示唆 して い る と考 えて いる。.

(24) 匡 スターセ ッシ ョン] ウ サ ギ ・イ ン タ ー α ト リ プ シ ン イ ン ヒ ビ タ ー の 重 鎖(1,2,3)の ク ロ ー ニ ン グ と塩 基 配 列 の 決 定. 鈴 木 淳 夫1、 加 藤 博 己1、 入 谷. 明L2. [近畿大学 生物理 工学研 究所 、2近 畿大 学生物理工学部. イ ン タ'一一α ト リ プ シ ン イ ン ヒ ビ タ ー(ITI)は イ ン ヒ ビ タ ー の 一 つ で 、1本 1本. の 軽 鎖(ビ. 、血 漿 中 に 存 在 す る プ ロ テ ア ー ゼ. ク ニ ン)と2本. の 重 鎖(HC1とHC2)が. 、. の コ ン ドロ イ チ ン硫 酸 鎖 を 介 して 複 合 体 を 形 成 し て い る 。 別 の 複 合 体 と し. て プ レ α ト リ プ シ ン ヒ ビ タ ー(Pα1)が 1本 の 重 鎖(HC3)と1本. あ り 、 こ れ は1本. の 軽 鎖(ビ. の コ ン ド ロ イ チ ン 硫 酸 鎖 で 構 成 さ れ て い る 。プ ロ テ ア ー. ゼ イ ン ヒ ビ タ ー と し て 働 く の は 、 ビ ク ニ ン で あ る 。ITIフ ひ と つ 重 鎖(HC4)が. ク ニ ン)と. ァ ミ リー と して も う. あ り 、 こ れ は 複 合 体 を 形 成 せ ず に 単 独 で 存 在 し て い る 。ITI. の 生 理 作 用 と し て 、 卵 の 成 熟 、 胎 児 の 着 床 、 ガ ン の 浸 潤 ・転 移 、 関 節 炎 な ど に 関 与 して い る と い わ れ て い る が 、 い ま だ に 重 鎖 の 役 割 が 明 確 で は な い 。 そ こ で 重 鎖 の 生 理 機 構 を 明 ら か に す る 目 的 で 、 今 回 、 ウ サ ギ 肝 臓 全RNAか PCR(ReverseTranscriptasePCR)法 法 、3'-RACE法. を 用 い て3つ. ら 、RT-. 、5'-RACE(RapidAmplificationofcDNAEnd) の 重 鎖(HCI,HC2,HC3)の. ク ロー ニ ン グ を お こな い 、. そ れ ぞ れ の塩 基 配 列 を決 定 した。 HC1,HC2,HC3は. 、2,899,3,122,2,823塩. 基 対 か ら な り 、906,947,904残. 基 の ア ミ ノ 酸 を コ ー ド し て い た 。 こ の ウ サ ギHC1の わ ち ヒ ト 、 マ ウ ス 、 ハ ム ス タ ー のHCIと. 比 較 し た と こ ろ 、82、79、79%の. 性 を も っ て い た 。 同 じ よ う な 結 果 は 、HC2,HC3で な わ ちHC1とHC2、HC正. とHC3、HC2とHC3で. ア ミ ノ酸 配 列 を 、 種 間 す な 同一. も 得 られ た 。 し か し 、 鎖 間 す. は 、40、52,40%と. 低 い 同一 性 を. 示 し た 。 同 様 の こ と が 、 ヒ ト、 マ ウ ス 、 ハ ム ス タ ー で も 得 ら れ た 。 こ の こ と は 、 重 鎖 そ れ ぞ れ が 独 自 に進 化 し、そ れ ぞ れ 独 自の 機 能 を持 って い る こ と を示 唆 し て い る 。 一 方 、 種 間 、 鎖 間 で 共 通 の 機 能 と し て 認 め られ る グ リ コサ ミ ノ グ リカ ン に 対 す る 結 合 活 性 部 位 が 、 ウ サ ギITI重. 鎖 に も 存 在 して い た 。 今 後 、 こ の 共. 通 機 能 を含 め 、 そ れ ぞ れ の重 鎖 が 、特 に卵 の 成 熟 、胎 児 の着 床 、妊 娠 の維 持 に ど のよ う に 関 わ って い るか を 明 らか に した い と考 え て い る。.

参照

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