第3学年〇組社会科学習指導案 1 単元 「私たちと政治‐民主政治と政治参加‐地方自治」 2 指導観 社会的存在である人間は、社会に見られる諸問題を課題と捉え、「どのように解決すべきか」、「ど の解決策がふさわしいか」と問い、効率や公正など「社会的な見方や考え方」を基準に歩み寄りな がら協働的に解決策を構想し、よりよい社会の形成を目指してきた。現在、我が国では、少子高齢 化が世界に例を見ないスピードで進行し、生産年齢人口の減少による経済成長の停滞や国民の生活 水準の低下など、マイナス面の影響が強くなっていくと予想されている。その一方で、グローバル 化や情報化が進展する社会の中では、多様な社会的事象が早いスピードで相互に影響し合い、将来 の変化を予測することが困難にもなっている。このような予測困難で加速度的に変化する社会に身 を置く生徒たちには、自立した人間として、膨大な情報から何が重要かを主体的に判断し、自ら問 いを立ててその解決を目指し、他者と協働しながら新たな価値を生み出していくことが求められて いる。「社会的な見方や考え方」は、社会的事象の意味や意義、特色や相互の関連を考察したり、課 題の解決策を構想したりする際の視点や方法として用いられるとともに、判断基準となる概念であ る。本単元で、住民の意識・行動が地方自治、民主主義の原則であることを理解し、人口減少から 始まる地域の問題を自らの課題と捉え、情報を根拠としたり、「効率と公正の見方や考え方」を判断 基準にしたりして、その解決策を主体的・協働的に構想することは、よりよい社会の形成に主体的 に参画しようとする態度の基礎を養う上で意義深いものであると考える。 本学級の生徒は、社会科の学習に意欲的に取り組むことができる。3年生1学期に学習した「私 たちと現代社会」の自己評価では、○%以上の生徒が、「社会の諸問題と自分との関わりを見いだし て学習することができた」と回答している。一方、「よりよい解決策を『効率と公正の見方や考え方』 を用いて考えることができた」と回答している生徒は○%に留まっている。生徒の最終記述を三段 階で評価すると、効率と公正の両方の視点で解決策を構想することができた生徒が○%、効率と公 正のどちらかの視点で解決策を構想した生徒が○%であったことから、「効率と公正の見方や考え方」 をさらに活用する学習を仕組み、その質を高めていかなければならない。また、「自分が社会参加(選 挙の投票など)することで、社会を少しでも変えられるかもしれないと思うか」との問いに対し、 「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答した生徒は○%であった。そのため、本単元にお いて、「効率と公正の見方や考え方」を用いて地域社会に見られる問題の解決策を構想する学習を行 うことは、「効率と公正の見方や考え方」や「主体的によりよい地域社会の実現に関わろうとする態 度」を育成する上で意義深いものであると考える。 本単元の「私たちと政治‐民主政治と政治参加‐地方自治」では、住民の意識・行動が地方自治、 民主主義の原則であることを理解し、政治を関連付けて考えるための知識や概念を身に付け、情報 を根拠としたり、「効率と公正の見方や考え方」を判断基準にしたりして、地域が抱える問題の解決 策を考え、よりよい社会の形成に主体的に参画しようとすることを主なねらいとしている。指導に 当たっては、まず、つかむ段階では、地域が抱える問題を把握し、自分の生活への影響を考えさせ ることで単元を貫く学習課題Ⅰを見いださせる。次に、つくる段階では、地方公共団体の仕事分類、 首長と地方議会の関係や地方財政の課題、政治参加する手段の確認など、地方自治の仕組みについ て考察する活動を仕組み、社会参画の意義を説明することができるようにする。最後に、まとめる 段階では、単元を貫く学習課題Ⅰを焦点化して現実社会に即した具体的な学習課題Ⅱを設定し、情 報を根拠としたり、「効率と公正の見方や考え方」を判断基準にしたりして、よりよい解決策を構想 させる活動を仕組む。単元を通して、政治を受け身ではなくより身近に捉え、主権者としての実感 が高まると期待できる。
3 単元の目標 ○ 地域の問題を自分に関する課題であると捉え、よりよいまちづくりの取組を提案し、社会参画 しようとすることができる。 【関心・意欲・態度】 ○ 追究した事実の多様な側面とその要因の関連から、情報を根拠としたり、「効率と公正の見方や 考え方」を判断基準にしたりして、地域が抱える人口減少をめぐる諸問題のよりよい解決策とな る取組を考えることができる 【思考・判断・表現】 ○ 地方自治についての情報を適切に選択し、読み取ったり、関連を図表などにまとめたりするこ とができる。 【技能】 ○ 住民の意識・行動が地方自治、民主主義の原則であることを理解し、政治を関連付けて考える ための知識や概念を身に付けている。 【知識・理解】 4 単元計画(7時間) 段階 時 学習活動・内容 手立て(指導上の留意点) つ か む 1 1 学習課題Ⅰを設定する。 ○ 地域の問題を「人口減少」に焦点化する統計を読み取らせる。 ○ 地域の観光マップ、総合計画などから地域の特性を考え させる。 つ く る 3 2 地方自治の仕組みについて調べる。 ・首長 ・地方議会 ・選挙権と被選挙権 ・条例 ・地方財政(財政収入と財政支出) ・直接請求権 ・住民投票 ・住民運動 ・住民参画 ○ 市議会選挙の投票率の低さの問題点を問う。 ○ 課題解決に向けて重要となる地方財政を、支出削減と収 入増加に焦点化して考察させる。 ○ 地域の課題解決につながる仕組みとその根拠を問う。 ま と め る 3 3 地域に見られる課題の解決策を考える。 (1) 学習課題Ⅱに出合う。 (2) 資料を関連付けて読み取り、取組の構 想に必要なキーワードを3つ見いだす。 《観光促進》《転入促進》《子育て充実》 ○ 居住市の人口増減の資料を提示し、これまで学んだ取組 に加え、新たな取組を構想していく必要性があると感じ ○ 3つの取組に関する資料を準備し、関連付けて取組の構 想を考えさせる。 (3) 取組を構想する。 (4) 合意形成を視野に入れて各自で構想し た取組の価値を効率と公正の見方や考え 方を用いて吟味する。 (5) 話合いを通して、学習課題Ⅱに対する 自分の考えを再構成する。 ○ 当選した市議会議員の政権公約を紹介する。 5 本時(7/7) 平成○年○月○日(○曜日) 第○校時 3年○組教室において ○ 主眼 情報を根拠としたり、「効率と公正の見方や考え方」を判断基準にしたりして、人口減少から始ま る諸問題の解決策である「継続的なまちづくりの取組」を協働的に構想し、自分の考えを再構成す ることができる。 【思考・判断・表現】 ○ 本時の仮説 人口減少から始まる諸問題の解決策「地域の特性(よさ)」を生かした継続的なまちづくりの取組」 を具体的に構想する学習において、次の学習過程を設定すれば、生徒は、根拠となる資料を分析し た自分の考えを基に、他者との交流を通して自分の考えを強化、あるいは付加、修正することで自 分の考えを再構成し、解決策を合理的に判断することができるだろう。 ねらい 情報を根拠としたり、「効率と公正の見 方や考え方」を判断基準にしたりして、人 口減少から始まる諸問題の解決策である 「『地域の特性(よさ)』を生かした継続的 なまちづくりの取組」を協働的に構想し、 自分の考えを再構成することができる。 ねらい 地方自治のしくみを理解し、社会参画の 意義を説明することができるようにする。 学習問題Ⅱ 人口減少から始まる地域の 諸問題を解決するために、「地域の特性」 を生かした、「地域ならではのまちづくり の取組」を具体的に構想しよう。 ねらい 地域の問題に対して課題意識をもつ ことができるようにする。 学習課題Ⅰ 人口減少から始まる地域の 諸問題に対応し、将来にわたっ て活力ある地域(市)を維持す るにはどうしたらよいだろう。
○ 準備 ・話合いの手順 ・観点のカード ・交流ツール ・付箋紙(4色×9セット) ・マーカー(9本) ・ホワイトボード ・モニター ・パソコン ○ 学習の過程(7/7 時) 段階 学習活動・内容 学習 形態 手立て(指導上の留意点) 評価規準・評価方法 配時 導 入 1 学習問題に対する前時までの学習 を振り返り、本時のめあてをつかむ。 ○ 一 斉 ○ 前時の《キーワード》を確認する。 《観光促進》《転入促進》《子育て充実》 ○ ○ 交流における判断基準として、 「効率と公正の見方や考え方」を 踏まえた4つの視点を引き出す ため、「よりよい取組といえる判 断基準は何か」と問う。 ⑦ 展 開 2 交流 4人グループで交流する。 (1) 4人グループを構成する。 (2) ①~⑤の話合いの手順を確認し、 議論する。 ① 自分の考えの概略を付箋紙に書 く→交流ツールに貼る。 ② 自分の考えの根拠となった資料 を交流ツールに書く。 ③ 根拠となった資料を相手に示し ながら、キーワードを中心に自分 の考えと根拠を説明する。 小 集 団 ○ 各自の構想の基となった 《キーワード》ごとに、事前 に同質グループを構成する。 ○ 交流ツール・マーカー・ホワイ トボード・付箋紙・資料を配布し、 話合いの手順を示す。 ○ ①~⑤の活動を連続して行わせる。 ○ 個の意見を可視化するため、個 別に付箋紙の色を割り当てる。 ○ グループの考えをつくる 視点を焦点化するため、机間 巡視で教師が付箋紙を貼る。 話合いの手順 ㉓ ④ それぞれの取組の妥当性を【四つの 視点】ごとに「○△×」で評価する。 ⑤ グループの考えをつくり、ホワ イトボードに書く。 ○ かんたんに○△×を判断させな いよう、住民の貴重な税金を使っ た取組であることを強調する。 展 開 3 全体交流し、自分の考えを再構成 する。 (1) グループで構想した取組のホワイトボ ードを黒板に掲示する(9グループ)。 (2) 取組と根拠を発表する(3グループ)。 (3) 自分の考えを再構想する。 全 体 個 ○ 発表は、異質の考えの3グ ループとする。 ○ 質の高い考えを引き出すた めに、「三つの考えの順序を意 識して組み合わせることはで きないだろうか」と問う。 ○ 十分な時間を確保する。 ◆ 交流後、「効率と公正 の見方や考え方」を働 かせて、情報分析を根 拠に取組を再構成する ことができている。 (思:学習プリント) ⑬ めあて 各自で考えた取組を基に4人グル ープで話し合い、【四つの視点】を踏 まえた「よりよい取組」にしよう。 学習問題 人口減少から始まる地域の諸問題を解決するために、「地域の特性(よさ)」を 生かした、地域ならではの「まちづくりの取組」を具体的に構想しよう。 【よりよい取組にするための判断基準】 ①【効率】地域の特性(良さ)を生かした取組か ②【効率】財政支出への負担は大きくないか(無駄はないか) ③【公正】地域住民全体の生活向上につな 【よりよい取組にするための四つの視点】 【効率】地域の特性(良さ)を生かした取組か 【効率】財政支出への負担は大きくないか(無駄はないか) 【公正】地域住民全体の生活向上につながるのか 【公正】一過性ではなく、将来も継続することが可能か 【グループの考えを構想する手順】 ① 互いの考えの良さを組み合わせる。 ② 時系列的に互いの考えをつなぐ。 ③ 中心となる考えを定め、新たな要素 を付け加えていく。
〈交流ツールの事例〉 終 末 4 本時のまとめを行う。 (1) 市長や市議会議員の考えを知る。 (2) これから地方自治とどのように関 わっていくかを書く。 一 斉 ○ 当選した市議会議員の政 権公約を紹介する。 ○ この学習を通して、今後 地方自治とどう関わってい くかを問う。 ◆ 地域の問題を自分に 関する課題であると捉 え、よりよいまちづく りの具体を提案し、社 会参画しようとするこ とができる。 (関:学習プリント) ⑤ まとめ これから○○市がどのような政策に取り組んでいるか、主体的に点検していこう(社会参画)。 行政と市民、民間企業やPKOなどが協力して取組を構想し、「効率や公正などの視点」よりよいものにしていく 必要がある。