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暮らしの中で活躍するAIとロボット:6.警備サービスにおけるロボットについて -さまざまな場所で活躍する警備・案内機能を持つロボット-

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Academic year: 2021

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(1)特集. Special Feature. [暮らしの中で活躍する AI とロボット]. ⑥警備サービスにおけるロボットについて. 基 応 専 般. ─さまざまな場所で活躍する警備・案内機能を 持つロボット─ 山岸英明. ALSOK. 警備ロボット. ALSOKのロボット開発の歩み. 警備分野におけるロボット活用.  当社は 1982 年から「労働集約性の高い常駐警備.  当社は警備会社として警備サービスを提供してお. の効率化」,「少子高齢化社会に伴う労働力不足への. り,警備サービスには,身辺警備いわゆるボディー. 対応」,「警備員の負担軽減」をテーマにロボットの. ガード,現金や有価証券等を輸送する警備輸送など. 研究開発を開始した.開発当初のロボット(A ∼. もあるが,オフィスビルや商業施設などの施設を監. B2)は,ロボット単体での運用を目指し,自律走. 視する施設警備のニーズが最も多い.. 行と異常時の自動対処を目的に,施設地図を記憶し,.  施設警備には,施設に警備用センサ等を設置し通. あらかじめ定めた経路に沿って自動走行する機能,. 信回線を介して監視センターで集中監視し,緊急時. 不審者への音声警告,自動消火の機能が搭載されて. に警備員が駆けつけ対処する機械警備と,施設に警. いた 1).C1 型以降,警備員がいる施設で運用する. 備員が常駐し,施設の内部や外周に異常がないかを. ロボットを目指し,警備員の巡回業務の支援のため. 見回る巡回監視や,来訪者の案内受付や出入管理な. に必要となる,ロボット位置の計測精度向上を目指. どの受付業務を行う常駐警備がある.. し研究開発を行い,自動充電(充電装置との自動ドッ.  施設警備は,機械警備の導入も多いが,事故の予. キング)機能,エレベータ連動によるフロア間移動. 防性や即応性が低い点などから,多くの施設で警備. 機能,遠隔監視機能(映像や警報等,ロボットの位. 員が必要とされている.. 置情報の表示,遠隔操作)等を搭載した.C3 型で.  巡回監視は,警備員が,施設の内部や外周を巡回. は,運用効率の向上を目的に,夜間の巡回業務だけ. し,火災,不審者,設備不良による事故の早期発見,. ではなく,液晶タッチパネルと音声による案内機能. 事故が起きた際の被害の拡大防止の対処を行うが,. 等の昼間の受付業務の機能を付加し,実用化に向け. 警備員は五感を活用し,かつ長時間緊張しながら業. た実証実験を重ね,2002 年に警備員の業務を支援. 務を行うため,肉体的にも精神的にも負担がかかる.. する「ガードロボ C4」を商品化した 2).2006 年発. また,運用コストの削減,警備員の受傷事故回避な. 表の「Reborg-Q(リボーグキュー)」は,警備員と. どの効果も期待できることから,ロボット導入が望. 協働する警備システムであるが,単に警備という範. まれており,警備業界では,現在数社が巡回監視を. 囲にとどまらず,ロボットを介して,警備員と訪問. 行う警備ロボットの研究開発を行っている.. 者との通話機能,先進性や話題性によるロボット導 入先の付加価値向上(集客,キャラクタ化)を新た なコンセプトとして付加した.また,2009 年発表 の「An9-PR(アンナインピーアール)」は,エン. 706. 情報処理 Vol.59 No.8 Aug. 2018 特集 暮らしの中で活躍する AI とロボット.

(2) タテインメント性や案内機能に特化した自律走行す. 登録されたブラックリストから要注意人物を検索す. るサイネージロボットである.2015 年発表の最新. る.不審者を発見した場合は,警備員に通報すると. 型「Reborg-X(リボーグエックス)」は,Reborg. ともに,行動を録画記録する.. -Q と An9-PR のノウハウを継承し,顔認証等によ.  案内機能として,液晶画面により訪問者からの問. り不審者の早期発見や,特定人物への挨拶など,ロ. 合せ対応,現在地から目的地までのルート表示や音. ボットと人間とのさらなるコミュニケーションの可. 声案内,ロボットが訪問者を目的地へナビゲーショ. 能性も追求した.図 -1 は,当社ロボットの遷移と. ンを行うことも可能である.. 機能概要である.. ロボットと人間の共存. 警備ロボットの機能  警備ロボットは, 「ロボットができること」,「人. 自律走行技術. 間よりも得意なこと」を担当し,警備員と連携し,.  工場や倉庫などで利用されている荷物搬送を目的. 警備水準を効率的に高めている.. とするロボットの多くは,ロボットの走行経路の床.  警備機能として,警備員に代わって,施設内を定. にラインを描くなど,ロボットが走行しやすいよう. 期的に巡回,あるいは警備員が遠隔操作により,特. に環境を整備し運用されている.しかし,警備ロボッ. 定エリアにロボットを配置し,集中監視することに. トは,オフィスビルや商業施設などで,待機場所の. より,さまざまなデータを収集でき,警備員は,離. 充電装置から離れ,人間が行き交う施設内を巡回し. れた場所から異常を確認することが可能である.ま. た後,充電装置に戻って,充電装置とドッキングし. た,施設のエントランスなどで警備員の代わりに訪. なければならないため,施設地図上における自身の. 問者の受付を行いながら,顔認証を用いて,事前に. 正確な位置を常に把握する必要がある.. ロボット事業開始. 1982. 1985. 1990. 1991. 1993. C1型(4号機) A型 B1型 B2型 (1号機) (2号機) (3号機) (走行試験機). 1995 C2型(5号機) (実証試験機). 2000 C3型(6号機) (実証試験機). (民間警備会社として) ・液晶タッチパネル,音声による ・位置補正等による自律走行機能の向上 日本初の自律巡回警備ロボット 案内機能 ・自動充電機能(自動ドッキング/バッテリ残量低下時の自動帰還) ・自律走行機能 ・音声認識機能 ・エレベータ連動によるフロア間移動機能 ・不審者への音声警告・写真撮影機能 ・遠隔監視(カメラ映像/警報種別/ロボットの位置)機能 ・自動消火機能. 2002. 2005. 2006. 2009. 2015. An9-PR[アンナイン-ピーアール] Reborg-X[リボーグエックス] ガードロボC4 ガードロボD1 Reborg-Q [リボーグキュー] 案内特化型 警備案内統合型 (警備/案内) (広告/宣伝). ・初の商品化 夜:巡回業務 昼:受付業務. ・警備員との協働する新たな ・自律走行する ・顔認証等による不審者や特定人物の早期発見 常駐警備システム サイネージロボット・施設内の設備連携(災発生時の避難アナウンス等) ・施設の付加価値向上の提供 ・ロボットを介しての通話機能. ■図 -1 当社ロボットの機能と概要遷移. 6. 警備サービスにおけるロボットについて. 情報処理 Vol.59 No.8 Aug. 2018. 707.

(3) 特集. Special Feature.  ロボットの位置計測の基本的で簡単な方法は,タ. 本質的安全設計. イヤの円周と回転数から距離を割り出す方法である.  ロボットと人間が共存する環境では,人間がロ. が,タイヤのすべり,タイヤの大きさの誤差などに. ボットに触れる機会が多くなる.そのため,人間に. よって,実際の走行距離や向きなどにズレが生じる. 怪我をさせない構造やデザイン等の安全対策が必要. ため,位置の誤差補正が必要となる.. となる.ロボットの構造は,バッテリ等の重量物を.  位置補正の方法には,超音波センサや走査型光距. 下部に配置し,重心を低くすることにより,ロボッ. 離センサによる壁等の距離計測,ジャイロセンサに. トの転倒リスクを低減している.ロボットが危害を. よる角度計測,正確な位置に設置した標識(ランド. 加えるリスクの低減は,外装形状において,突起物. マーク)をロボットが読み取って位置を補正する方. や鋭利な端面をなくし,センサ取り付け部やネジ部. 法がある.ランドマークには,光回帰反射ミラー,. のくぼみは,指を入れた状態で回転等の動作をして. 蛍光灯や天井マーカの画像認識,床面埋設無線標識. も挟まらない形状としている.また,充電装置は,. 3). などがあるが ,当社のロボットは,走査型光距離. 図 -2 のように,ロボットが充電装置から離れる際. センサとジャイロセンサ,さらに天井マーカの画像. は,充電接点をカバーで覆い,ロボットからの指令. 認識を組み合わせ,位置や向きを補正することによ. で,押されても充電接点が露出しないようにカバー. り,高精度の位置補正が可能となった.. をロックするとともに,充電接点への電流出力を停 止し,感電等を防止する設計を行っている.. 安全基準. 案全防護策の適用.  2007 年に経済産業省が制定した「次世代ロボッ.  ロボットは,周囲に存在する人間や障害物までの. ト安全性確保ガイドライン」において,人間と共存. 距離も走査型光距離センサにより計測しながら走行. するロボットを対象として,ロボットシステムの設. する.走行時は,ロボット周囲の人間や障害物まで. 計,製造から販売,運用されるまでの各段階にお. の距離に応じ,図 -3 のような走行速度モードを設. 4). ける安全性の確保に関する留意点が示されている .. 定している.周囲に走行に支障がない距離に障害物. 安全に関する国際規格の策定に向け議論されている. 等がない場合は,通常運行速度で走行するが,周囲. 段階であるが,当社のロボットは,このガイドライ. 充電部カバー. ンに則り,ISO 12100:2010 に則って,警備ロボッ. 充電接点. トの運用環境,リスク分析と見積り等のリスクアセ ドによるリスク低減を図っている(表 -1) .. 押しても 充電接点が 露出しない. 押すと 充電接点が 露出する. ロック状態. ■図 -2 充電装置の安全対策. ■表 -1 当社の安全設計に関するコンセプト ISO 12100:2010. 旧規格(注) ISO 14121-1:2007. ・ロボットの使用環境等の定義 ・危険源の同定 ・リスクの見積り,評価. 機械類の安全性,設計の ための原則を定めた規格. ISO 12100-1/-2:2003. ・本質的安全設計 ・安全防護策の適用 ・使用上の情報表示. (注)2010 年にこれらの規格が 1 つに統合され,ISO12100:2010 として発行された. 708. 2,000. 当社の安全設計に関するコンセプト. リスクアセスメントの一 般原則を定めた規格. 情報処理 Vol.59 No.8 Aug. 2018 特集 暮らしの中で活躍する AI とロボット. リリース状態. 減速 徐行 (低速) 停止 ■図 -3 走行モード. 1,200. スメントを行い,次に述べるスリーステップメソッ.

(4) の一定距離に人間や障害物を検知した際は,距離に. ボットが代替できる業務を増やすことにより,ロ. 応じて,減速,徐行(低速)して走行する.さらに,. ボットの導入による人員不足の解消と品質の確保が. 一定の距離より近くに人間や障害物を検知した場合. 期待できる.また,多言語など案内機能の拡充等,. は,ロボットを停止させ,音声などでロボットから. 人間とのコミュニケーション機能のさらなる強化を. 離れるように促し,人間や障害物が除かれると運行. 図ることで,訪日外国人に対する「おもてなし」も. を再開する.なお,万一,人間や障害物に接触した. 期待できる.. 場合は, 接触式のバンパセンサにより,緊急停止する..  そのために必要な要素技術の研究開発を進め,公. 使用上の情報表示. 共空間や屋外でも活用できるロボットへと進化して.  リスクが残留する部位には,警告シール等により. いくことが望まれる.. 注意を促す対策を行っている.. 参考文献 1) 梶原貞次郎:警備用知能移動ロボット,日本ロボット学会誌 , Vol.4, No.6, p.648 (1986). 2) 下笹洋一:警備ロボットの現状,映像情報メディア学会誌, Vol.57, No.1, pp.79-82 (2003). 3) 下笹洋一,若林 潔,有木孝夫,大町利夫,末富大剛,杉浦正則, 小谷健太郎:警備ロボット“ガードロボ”による警備サービス, 日本ロボット学会誌,No.24, No.3, pp.32-35 (2006). 4) 経済産業省:次世代ロボット安全性確保ガイドライン (Sep. 2006). (2018 年 4 月 24 日受付). 警備ロボットの将来  当初の警備ロボットは,全国のオフィルビルや商 業施設などに導入されており,巡回や定点監視の業 務など, ロボットが得意なこと,できることはロボッ トが代替し,警備員は人的対応の必要な業務へ手厚 く配置することにより,警備体制の効率化とコスト 削減が可能となった.. 山岸英明 [email protected].  しかし,警備業界は人員不足が深刻化しており, 警備員の確保と教育が目下の課題であり,さらにロ. ALSOK 開発企画部所属(過去にロボットなどの研究開発を経験 し,現在は若手技術者の育成に従事) .. 6. 警備サービスにおけるロボットについて. 情報処理 Vol.59 No.8 Aug. 2018. 709.

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