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大学生競泳競技者における目標志向性及び状態不安の変動及び実力発揮度の関係

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Academic year: 2021

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(1)

259

順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科

Graduate School of Health and Sports Science, Juntendo University 259 順天堂スポーツ健康科学研究 第 1 巻第 2 号(通巻14号),259~260 (2009)

〈報

告〉

大学生競泳競技者における目標志向性及び状態不安の変動

及び実力発揮度の関係

高橋

祐太

・中島

宣行

Fluctuation of Goal Orientation and State Anxiety and Relationship

Performance of University Swimming Athletes

Yuta TAKAHASHIand Nobuyuki NAKAJIMA

.

スポーツに限らずあらゆる課題達成場面や競争場 面における行動に対して,「目標」は大きな役割を 果たしている.特に競争が強いられる競技スポーツ では,目標を意識する場面が多くある.こうした課 題達成場面における目標に着目した理論に達成目標 理論がある.達成目標理論では個人がある目標へ到 達するために,個人が設定する目標や意味づけ,何 を目的として行動するのかという達成目標の違いが 認知,行動に影響を与え,目標設定後の行動を変化 させるものと考えられている1).また,個人がどの ような達成目標を持つかという傾向を意味する目標 志向性が特に注目され,目標理論では課題志向性と 自我志向性があることがわかっている.課題の熟達 や個人の進歩を目標とする課題志向性と他者との相 対的に優位に立つことを目標とする自我志向性が競 技前や競技中に意識され,選手の感情や行動,そし てパフォーマンスに影響を与えることが考えられ る.特に,結果が求められる競技スポーツでは,ラ イバルに勝てるかどうか,自分の実力を発揮できる かどうかなどの不安感情との結び付きが強く,目標 志向性と不安がそれぞれ関係し合っていることが明 らかになっている.しかし,これまで目標志向性と 不安の研究は特性と考えられていたために一過性の ものが多く,変化や変動を追った報告がされていな かった.そこで,本研究では目標志向性と状態不安 の変動がパフォーマンスとどのような関係があるの かを明らかにするために,研究 1 と研究 2 に分け, 研究 1 では尺度の作成,そして研究 2 ではそれらの 検討を通じて現場での目標設定を中心としたコーチ ングへの視点を見出すことを最終的な狙いとした.

.

【研究 1】 調査時期2008年 4 月 調査対象体育系大学 1 校333名(男子225名 女 子108名) 調査方法質問紙調査法 【研究 2】 調査時期2008年 6 月~9 月 県大会,関東学生選手権,日本学生選手権にて実 施 調査対象A 大学水泳部員20名(男子10名 女子 10名) 調査方法質問紙調査法 各競技会において 3 日前,前日,当 日,レース後に測定  調 査 内 容  目 標 志 向 性 尺 度 , 状 態 不 安 尺 度

(2)

260 図 1 日本学生選手権における実力非発揮群の目標志 向性及び状態不安の変動 260 順天堂スポーツ健康科学研究 第 1 巻第 2 号(通巻14号) (2009) (STAI),目標タイムからの割合で 実力発揮度を評価

.

研究 1 で目標志向性の尺度の作成を行うために, 探索的因子分析を行った.その結果,先行研究通り の課題志向性(a=.83)と自我志向性(=.85)の 2 因子が抽出され,研究 2 で使用することとした. 研究 2 では,目標志向性尺度及び状態不安尺度を 用い,各競技会における目標志向性と状態不安の変 動,目標タイムを達成できた群を実力発揮群,目標 タイムを達成できなかった群を実力非発揮群としそ れぞれの変動を検討するために t 検定を行った. その結果,県大会における変動は 3 日前から前日 にかけて自我志向性が 5水準で有意に低下してい た.関東学生選手権においては,目標志向性と状態 不安いずれも変動はみられなかった.日本学生選手 権において,自我志向性得点の 3 日前から前日にか けて 5水準で有意に低下し,前日から当日にかけ て 5水準で有意に高くなっていた.また,状態不 安が前日から当日にかけて 5水準で有意に低くな っていた. 目標タイムを達成できた群を実力発揮群,目標タ イムを達成できなかった群を実力非発揮群として各 競技会におけるそれぞれの目標志向性と状態不安得 点の変動を示した.以下の結果は有意な差が認めら れたものである. その結果,県大会において実力発揮群における状 態不安得点が 3 日前から前日にかけて 1水準で有 意に低下し,前日から当日にかけて 5水準で有意 に高くなっていた.関東学生選手権においては,実 力発揮群の課題志向性の 3 日前から前日にかけて 5 水準で有意に低下し,自我志向性の前日から当日 にかけて 5水準で有意に低下し当日からレース後 に 5水準で有意に高くなっていた.日本学生選手 権において,実力非発揮群における自我志向性の 3 日前から前日にかけて 5水準で有意に低下し,前 日から当日にかけて 5水準で有意に高くなってい た. 右の図は日本学生選手権の実力非発揮群における 目標志向性と状態不安得点の変動を示したものであ る.

.

実力発揮群,実力非発揮群共に目標志向性と状態 不安の変動は確認された.特に,日本学生選手権に おける自我志向性得点の変動が大きく,当日には高 くなっていることが確認された.競技スポーツで は,結果や勝つことに焦点がいきやすいためにその ような変動がみられたものだと思われる.しかし, それに伴って状態不安が高くなるという結果にはな らなかった.その理由として,目標という暗黙に意 識されるもの以外に原因があったものだと思われる.

.

1) 目標志向性は特性でありながら,個人の中で 変動するものである.状態不安は,目標志向性と伴 って変動するとは限らない. 2) 実力発揮群は課題志向性はほとんど変動がな い.自我志向性は当日に低くなる傾向がある. 3) 実力非発揮群は,自我志向性が当日に高くな る. (当論文は,平成20年度順天堂大学大学院スポー ツ健康科学研究科の修士論文を基に作成されたもの である)

参考・引用文献

1) Dweck, C. S.: Motivational process aŠecting learning. American Psychologist, 41, 10401048, (1986)    平成21年 3 月31日 受付 平成21年 3 月31日 受理   

参照

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