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とびら「分析化学誌の価値:産官学交流の場」

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Academic year: 2021

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275 275 ぶんせき  

分析化学誌の価値:産官学交流の場

東 海 林

学術論文は研究者の力量を評価するための一指標であることは周知の通りであ り,研究の成果をインパクトファクター(IF)の高い海外の著名学術論文誌に投 稿することは必然のことであると思います。ここ数年における学術論文誌の IF の 変動は大きく,伝統ある学術論文誌の IF が低下したり,短期間で倍増したりした 学術論文誌もあり,成果を投稿する学術論文誌の選択も難しいと思います。一方 で,世界中の研究者が閲覧することが難しい邦文誌では,高い IF が見込めないた めに論文投稿数が年々減少し,ついには廃刊に追いやられてしまうケースも見受け られます。 研究は学術的に価値があるものであると共に,科学技術の発展に貢献できるもの であるべきですので,より効果のある学術論文誌に投稿すべきであると思います。 ここで,“効果”とは,開発・提案された分析技術を多くの研究者や技術者に活用 していただくことです。つまり,論文投稿は,開発した技術や成果の発信手段にほ かなりません。この視点に立つと,学術論文誌の価値を IF で評価する IF 偏重主 義的な流れに疑問を感じえません。 分析化学誌に掲載される学術論文は日本語で書かれており,無料でダウンロード できることから,産官学問わず,幅広い職種の方々に愛読いただいております。大 学や研究機関で開発された分析技術を,国内の産業界の技術者に向けて積極的に発 信しようと考えるならば,伝統ある英文の学術論文誌も選択肢かと思いますが,む しろ分析化学誌などの邦文誌のほうが効果的であると思います。毎年のように,産 学連携で得られた成果が分析化学誌に掲載されています。分析化学誌の価値は, IF ではなく,産官学連携による共同研究の推進の場であると捉えております。分 析化学誌に投稿した論文が産官学連携のきっかけとなり,科学技術や産業の発展, 国際競争力の向上に寄与できたとの評価を受ける日が来ることを夢見ている次第で す。 分析化学誌編集委員会では,産学官連携の推進の対応として,「現場分析を指向 する簡便・迅速分析技術の進展(第 68 巻)」や「産業を支える分析化学(第 69 巻)」 などの特集号を企画し,大学や研究所だけでなく,産業界からもご投稿いただいて おります。また,産業界からご投稿された論文を対象として,昨年度,「分析化学 産業技術論文賞」を設けさせていただきました。独創的であり,実用的な分析技術 や測定機器,並びに科学技術や産業の発展に貢献すると認められる論文を選定し, 表彰させていただきました。産学官連携の推進は分析化学誌の使命であり,さらな る企画に取り組んでいきたいと考えています。尚,昨年度から,産学官問わず,科 学論文作成に不慣れな方を対象として,「論文作成支援制度」を設けさせていただ きましたので是非とも活用していただきたいと思います。 本年度から分析化学誌の編集理事に就任させていただくことになりましたが,丹 羽 修 新編集委員長と共に,審査員となる多くの先生方の協力をいただきながら掲 載論文数と質を向上して“価値ある論文誌”となるよう,編集委員一同が多くの努 力を払ってまいりますので,ご支援とご協力の程よろしくお願い申し上げます。 〔Atsushi SHOJI,東京薬科大学薬学部,「分析化学」編集理事〕

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