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地域在住高齢者における社会的活動への参加と体力・身体活動量およびメンタルヘルスとの関連 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)地域在住高齢者における社会的活動への参加と体力・身体活動量 およびメンタルヘルスとの関連 キーワード:介護予防,健常高齢者,ポピュレーションアプローチ,社会参加,ヘルスアウトカム 九州大学大学院 人間環境学府 行動システム専攻 健康行動学コース 生内 由佳 1.背景. 義はそれぞれの研究によって異なるものが設定されてきた.. 我が国の総人口は減少する一方で,高齢者人口は今後さ. 統一された定義が用いられない理由としては,社会的活動. らに増加し続け,2060 年には 9 千万人の総人口のうち約 4. に関する一般化された尺度がないことと,測定の対象とな. 割が65歳以上という超高齢社会となることが推測されてい. る社会的活動が,文化的背景や,同一文化圏内でも地域に. る(1).総人口における高齢者割合の増加は,高齢者関連給付. より活動の種類に大きな差がみられることが考えられる.. 費の増大を招いていることから,近年介護予防の重要性が. 以上の現状を踏まえ,本研究での社会的活動を定義する. 叫ばれている.要支援・要介護認定者数は,2000 年の 256. ため,先行研究から社会的活動の定義に関して要約を行っ. 万人(2)から 2011 年には 531 万人(3)と,2 倍以上に増加して. たところ,これらの定義の共通点として,他者とのつなが. いる.また,それに伴い介護関連給付費も大幅に増加して. りを伴うことを前提としている点が明らかとなった.. いることから,財政負担軽減のため介護予防関連事業の促 進が重要であることは明白である.. また,社会的活動の中には,半ば強制的に参加を決定さ れる地域での役割としての活動も存在する(7).先行研究では,. 我が国では介護予防事業に関する様々な対策を実施して. そのような消極的と考えられる理由に基づいた参加でも,. いるが,中でも社会的活動への参加促進については,介護. 高齢期の生活の質に大きく関与すると考えられる主観的健. をはじめとした諸問題に対するポピュレーションアプロー. 康感を保持・向上させる可能性が示されている(8).. チとして,国内外で関心が高まっている(4,5,6). 先行研究では,特にうつや認知機能といったメンタルヘ ルスに関連する項目と社会的活動との関連がすでにいくつ. そこで,本研究では社会的活動を, 「自主的・強制的に 関わらず,何らかのグループ・組織に所属することで,他 者との交流を持つと考えられる活動」と定義した.. か報告されている.しかし,これらはうつや認知機能と社 会的活動との断片的な関連の報告であり,社会的活動との. 4.方法. 関連についての包括的な研究は行われていない.よって本. (1) 研究デザイン. 研究では,これまでにも報告されている認知機能やうつと いったメンタルヘルスの項目に加え,社会的活動との関連. 本研究は,篠栗町研究におけるベースラインデータをも とに行われた横断研究である.. では新たな知見である身体活動量と体力を客観的実測デー. 篠栗町研究は,福岡県糟屋郡篠栗町の高齢者を対象とし. タに基づいて報告することで,高齢者の介護予防に関わる. た 5 年間の前向き研究であり,ベースライン調査は 2011 年. 諸因子と,社会的活動への参加との関連を網羅的に捉える. 5 月から 8 月に実施された.. ことを目的とした.. (2) 対象者 本研究の対象者は,福岡県糟屋郡篠栗町に居住する 2011. 2.目的 地域在住高齢者における社会的活動への参加と,体力・ 身体活動量およびメンタルへルスの関連を明らかにする.. 年 1 月末時点で 65 歳以上の健常高齢者 4,913 名である.こ のうち,調査参加拒否,アンケートのみ回収の者を除いた 2,170 名が測定会参加者である.解析対象者は,すべてのデ ータが欠損なく得られた 1,292 名(うち男性 40.6%)であ. 3.社会的活動の定義 これまで社会的活動に関する研究では,社会的活動の定. った. (3) 測定項目.

(2) 1) 社会的活動への参加 本研究における社会的活動への参加の定義に従い,質問 紙により以下の 10 項目で評価した.地域の行事や祭り,自 治会・町内会活動,サークル・自主グループ活動,老人ク. まり健康でない」 , 「健康でない」を「1」としてコード化し た. 5) ソーシャルネットワーク ソーシャルネットワーク(以下, SN)は, 日本語版 Lubben. ラブ,ボランティア活動,宗教活動,商工会・業種活動,. Social Network Scale (LSNS-6) (12)を用いて評価した.. 収入のある仕事,習い事,その他の活動について,それぞ. 6) その他の測定項目. れの活動への参加の有無について回答を求めた.また,10. その他の測定項目として,教育年数,主観的経済状況,. 項目のうち 1 つ以上活動に参加している者を「1」 ,全く参. 同居家族の有無,居住年数,飲酒・喫煙の有無,手段的 ADL. 加していない者を「0」としてコード化し,社会的活動への. (Instrumental Activity of Daily Living,以下,IADL),運. 参加カテゴリーとしての項目を追加した.. 動習慣を,質問紙により評価した.. 2) 体力測定. (4) 統計解析. 体力は,握力,膝伸展力,5 回椅子立ち上がり速度,5m. 男女における各活動への参加頻度の差の検定にはχ2 検. 歩行速度および開眼片足立ち時間の 5 項目を測定した.握. 定を用いた.体力と身体活動量に対する社会的活動への参. 力・脚伸展力については,左右交互に 2 回ずつ試技を行い,. 加の関係を明らかにするため,社会的活動の各項目を説明. 左右の各平均値を算出した.5 回椅子立ち上がり速度では,. 変数とし,握力,膝伸展力,椅子立ち上がり速度,5m 歩行. 座位を開始試技とし,5 往復したのち再び開始試技に戻るま. 速度,1.6Mets 以上の身体活動時間,歩数,および SN 得. での最大努力を計測し,得られたデータから 1 回に要する. 点を目的変数として,強制投入法による重回帰分析を行っ. 速度を算出した.5m 歩行速度は,5m 区間を最大歩行によ. た.モデル 1 では,性別,年齢を調整変数とした.モデル 2. り計測を行い,得られたデータから速度を算出した.開眼. では,モデル 1 に加え,IADL,運動習慣,教育年数,居住. 片足立ち時間は,120 秒を最大値として左右一回ずつ測定. 年数,主観的経済状況,飲酒・喫煙の有無,同居家族の有. を実施,1 回目の測定で最大値に達した場合は,2 回目の測. 無を調整変数とした.また,ディストレス,認知機能,主. 定を中止した.得られたデータは最大値を用いた.. 観的健康観および二項分布であった開眼片足立ち(上位. 3) 身体活動量. 群・下位群)については,これらを目的変数としたロジス. 身体活動量は,3 軸加速度計内臓活動量計(Active Style Pro HJA-350IT,オムロンヘルスケア社) (9)を用いて測定し. ティック回帰分析を行った.独立変数,調整変数は重回帰 分析と同様である.有意水準はα=0.05 とした.. た.装着期間は測定会当日を含めた 7 日間で,得られたデ ータから装着日数が 4 日以上得られたものを解析対象とし た.①一日当たりの装着時間に占める軽強度(以下,1.6. 5.結果 解析対象者における平均年齢は男性 72.9±5.8 歳,女性. Metabolic equivalents (Mets))以上の身体活動時間の割合,. 72.9±5.9 歳であった(表 1).. ②歩数の 2 つを指標として用いた.. 表1.解析対象者の記述統計. 4) メンタルヘルス メンタルヘルスとして,精神的苦痛(以下,ディストレ ス) ,認知機能,主観的健康感の 3 項目を評価した.ディス トレスは短縮版 Kessler psychological distress scale (K6) (10)を,認知機能は,Mini-Mental State Examination. (MMSE) (11)を用いて評価した.カットオフはそれぞれ 4/5 点,23/24 点を採用した.主観的健康感は, 「普段自分のこ とを健康だと思いますか」という質問に対して, 「とても健. 年齢 n=1292 K6得点 ディストレスリスクあり,% 教育歴,年 認知機能得点 認知機能リスクあり,% 飲酒者,% 喫煙者,% 主観的健康感1,% 経済状況2,% 単独世帯,% 運動習慣なし,% ソーシャルネットワーク得点 IADL得点 握力,kg 脚伸展力,㎏ 開眼片足立ち時間,sec 開眼片足立ち低群,% 椅子立ち上がり速度,reps/sec 5m歩行速度,m/sec 歩数,歩 軽強度以上活動時間,%/日. 男性 65-74 75341 183 2.6±3.1 3±3.6 23.17 24.18 12.2±2.8 11.2±2.8 27.3±2.3 26.5±2.8 5.28 12.64 68.33 56.83 17.01 12.57 18.18 22.40 66.57 50.82 5.87 6.56 35.19 37.16 16.5±5.7 16.3±5.9 4.8±0.51 4.8±0.55 36.3±5.7 31.8±5.4 36.9±9.9 29.8±8.4 82.7±44.2 38.1±39.7 24.63 69.23 0.65±0.19 0.55±0.17 1.95±0.43 1.69±0.41 5704.4±2972.3 4367.6±2796.6 41.3±13.1 37.5±11.4. 女性 65-74 75479 289 3.2±3.3 3.6±3.8 29.65 33.1 11.4±2 9.8±1.8 27.2±2.2 26.9±2.5 3.13 8.01 27.77 22.15 2.71 1.38 18.79 17.65 63.62 51.57 12.89 23.53 39.04 37.72 17.1±5.2 16±5.6 4.98±0.14 4.96±0.23 23.4±3 20.1±4.2 24.1±7 19.1±6.4 75.5±465.7 34.7±37.6 31.52 70.03 0.63±0.18 0.53±0.16 1.76±0.38 1.5±0.34 5848.1±2660.2 3750.7±2303.3 51.8±10.7 45.8±11.3. カテゴリ変数は%,連続変数は平均±標準偏差(SD) ※1あまり健康でない・健康でない,※2苦しい・やや苦しい. 康」から「健康でない」までの 4 項目で回答を得た.得ら れた回答から, 「とても健康」 , 「まあまあ健康」を「0」 , 「あ. 社会的活動への参加について,最も参加率の高い活動は.

(3) (表3続き). 男性で自治会活動(49.6%) ,女性で地域の祭り・行事への 参加(39.3%)であり,最も参加率の低い活動は男女ともに 商工会活動(男性 1.9%,女性 0.8%)であった.また,そ. R2 パラメーター推定値 95%信頼区間. 握力. 膝伸展力. 椅子立ち上がり速度. 5m歩行速度. の他の活動まで含めた,何らかの社会的活動に 1 つ以上参 加する者の割合は, 男性 84.7%, 女性84.1%であった(表 2). 表2.社会的活動ごとの男女別参加率(%) 男性(n=524) 84.73 社会的活動への参加※1 地域の祭り・行事 42.18 自治会活動 49.62 サークル活動 26.72 老人クラブ活動 28.63 ボランティア活動 15.46 宗教活動 8.02 商工会活動 1.91 収入のある仕事 24.62 習い事 32.44 その他の活動 3.82. 女性(n=768) 84.11 39.32 32.81 37.5 28.91 17.84 7.29 0.78 12.76 51.3 2.47. 軽強度以上の 身体活動時間 (装着時間比). R2 パラメーター推定値 95%信頼区間 R2 パラメーター推定値 95%信頼区間 R2 パラメーター推定値 95%信頼区間 R2 パラメーター推定値 95%信頼区間 R2 パラメーター推定値 95%信頼区間. 歩数. R2 ソーシャルネットワーク パラメーター推定値 得点 95%信頼区間 *p <.05 *** p<.001. n.s n.s *** *** n.s n.s n.s n.s *** *** n.s. ※1. 10 項目のうち,どれか一つでも参加する活動があるもの. *** p <.001. (1) 社会的活動への参加と体力・身体活動量 重回帰分析の結果から, 「社会的活動への参加」につい て,握力を除くすべての体力・身体活動量の項目との間に 有意な関連が認められた. 「地域の行事や祭り」については, すべての体力・身体活動量の項目に有意な関連が認められ た. 「自治会活動」では,1.6 Mets 以上の活動時間を除く項 目はすべて有意であった. 「サークル活動」については,体. った. 「ボランティア活動」では,膝伸展力を除く体力項目. では, 身体活動量の2項目のみ有意であった. 「有給の仕事」 では,握力と膝伸展力,および身体活動量の 2 項目との間 で有意な関連が認められた. 「習い事」については,握力以 外の体力項目と歩数において,有意な関連が認められた(表 3).. 有給の仕事 モデル1 モデル2 0.67 0.69 0.93 0.92 0.25 - 1.61 0.24 - 1.60 * * 0.45 0.46 1.07 1.16 -0.08 - 2.22 0.01 - 2.31 n.s * 0.11 0.14 -0.01 -0.01 -0.03 - 0.02 -0.03 - 0.02 n.s n.s 0.20 0.23 0.01 0.01 -0.05 - 0.06 -0.05 - 0.07 n.s n.s 0.23 0.26 6.32 6.27 4.64 - 8.01 4.60 - 7.93 *** *** 0.15 0.22 728.94 850.91 337.27 - 1120.61 471.91 - 1229.91 *** *** 0.01 0.06 0.93 0.93 0.11 - 1.75 0.13 - 1.74 * *. との間に有意な関連がみられたのは, 「社会的活動への参 加」 , 「地域の行事や祭り」 , 「自治会活動」 , 「サークル活動」 , 「有給の仕事」 , 「習い事」の 6 項目であった(表 4). 表4.開眼片足立ちとメンタルヘルスの項目を目的変数としたロジスティック回帰分析 社会的活動への参加 行事・地域の祭り 自治会活動 モデル1 モデル2 モデル1 モデル2 モデル1 モデル2 推定値 -0.77 -0.66 -0.65 -0.61 -0.59 -0.51 主観的健康感 標準誤差 0.93 0.18 0.92 0.16 0.16 0.16 (基準:不良) オッズ比 0.46 0.52 0.52 0.52 0.56 0.60 95%信頼区間 0.33 - 0.65 0.36 - 0.74 0.38 - 0.71 0.39 - 0.74 0.41 - 0.76 0.44 - 0.83 *** *** *** *** *** * 推定値 -0.55 -0.39 -0.55 -0.49 -0.49 -0.34 認知機能 標準誤差 0.20 0.21 0.18 0.19 0.18 0.19 (基準:リスクあり) オッズ比 0.58 0.68 0.57 0.61 0.61 0.71 95%信頼区間 0.39 - 0.86 0.45 - 1.03 0.40 - 0.82 0.42 - 0.89 0.43 - 0.88 0.49 - 1.03 * n.s * * * n.s 推定値 -0.33 -0.29 -0.23 -0.22 -0.27 -0.23 ディストレス 標準誤差 0.16 0.17 0.13 0.13 0.13 0.14 (基準:リスクあり) オッズ比 0.72 0.75 0.80 0.81 0.77 0.80 95%信頼区間 0.59 - 0.998 0.53 - 1.05 0.62 - 1.03 0.62 - 1.05 0.59 - 0.996 0.60 - 1.04 * n.s n.s n.s * n.s 推定値 -0.78 -0.64 -0.61 -0.54 -0.37 -0.29 開眼片足立ち 標準誤差 0.17 0.18 0.13 0.13 0.13 0.13 (基準:低群) オッズ比 0.46 0.53 0.55 0.58 0.69 0.75 95%信頼区間 0.33 - 0.64 0.37 - 0.75 0.42 - 0.70 0.45 - 0.75 0.54 - 0.90 0.58 - 0.98 *** *** *** *** * * *p <.05 *** p<.001. サークル活動 モデル1 モデル2 -0.36 -0.24 0.16 0.17 0.70 0.78 0.51 - 0.95 0.57 - 1.08 * n.s -0.70 -0.65 0.20 0.21 0.49 0.52 0.33 - 0.73 0.35 - 0.78 *** * -0.41 -0.37 0.14 0.14 0.67 0.69 0.51 - 0.87 0.52 - 0.91 * * -0.46 -0.40 0.14 0.14 0.63 0.67 0.48 - 0.82 0.51 - 0.89 *** *. 老人クラブ活動 モデル1 モデル2 -0.35 -0.29 0.18 0.18 0.71 0.75 0.5 - 0.999 0.53 - 1.07 * n.s -0.07 -0.08 0.19 0.20 0.94 0.92 0.65 - 1.36 0.63 - 1.36 n.s n.s -0.05 -0.03 0.15 0.15 0.95 0.97 0.71 - 1.28 0.72 - 1.32 n.s n.s -0.23 -0.21 0.15 0.16 0.79 0.81 0.59 - 1.07 0.60 - 1.11 n.s n.s. モデル1:社会的活動の各項目・性・年齢 モデル2:モデル1+IADL,運動習慣,教育年数,居住年数,主観的経済状況,飲酒・喫煙の有無,同居家族の有無. (表4続き). 主観的健康感 (基準:不良). 推定値 標準誤差 オッズ比 95%信頼区間. 認知機能 (基準:リスクあり). 推定値 標準誤差 オッズ比 95%信頼区間. ディストレス (基準:リスクあり). 推定値 標準誤差 オッズ比 95%信頼区間. 開眼片足立ち (基準:低群). 推定値 標準誤差 オッズ比 95%信頼区間. *p <.05 *** p<.001. ボランティア活動 モデル1 モデル2 -0.48 -0.40 0.22 0.22 0.62 0.67 0.41 - 0.95 0.43 - 1.04 * n.s -0.13 0.00 0.24 0.25 0.88 1.00 0.55 - 1.40 0.62 - 1.62 n.s n.s -0.16 -0.14 0.17 0.18 0.86 0.87 0.61 - 1.20 0.61 - 1.23 n.s n.s -0.34 -0.27 0.17 0.18 0.71 0.76 0.51 - 1.00 0.54 - 1.08 n.s n.s. 宗教活動 モデル1 モデル2 0.28 0.20 0.25 0.26 1.33 1.22 0.81 - 2.17 0.74 - 2.02 n.s n.s 0.00 0.04 0.30 0.32 1.00 1.04 0.55 - 1.83 0.56 - 1.93 n.s n.s 0.30 0.27 0.22 0.23 1.35 1.30 0.87 - 2.09 0.83 - 2.04 n.s n.s 0.04 0.08 0.24 0.24 1.04 1.08 0.65 - 1.65 0.67 - 1.75 n.s n.s. 商工会活動 モデル1 モデル2 0.01 0.01 0.65 0.66 1.01 1.01 0.29 - 3.60 0.28 - 3.70 n.s n.s -0.83 -0.82 1.04 1.06 0.44 0.44 0.06 - 3.36 0.06 - 3.50 n.s n.s -0.89 -0.75 0.76 0.77 0.41 0.47 0.09 - 1.82 0.11 - 2.14 n.s n.s -0.31 -0.33 0.58 0.58 0.74 0.72 0.24 - 2.28 0.23 - 2.26 n.s n.s. 有給の仕事 モデル1 モデル2 -0.65 -0.67 0.23 0.23 0.52 0.51 0.34 - 0.82 0.32 - 0.81 * * -0.20 -0.24 0.25 0.26 0.82 0.79 0.50 - 1.33 0.48 - 1.30 n.s n.s 0.11 0.13 0.17 0.18 1.11 1.14 0.79 - 1.56 0.81 - 1.61 n.s n.s -0.50 -0.51 0.18 0.18 0.61 0.60 0.43 - 0.87 0.42 - 0.86 * *. 習い事 モデル1 モデル2 -0.30 -0.13 0.15 0.16 0.74 0.88 0.56 - 1.00 0.65 - 1.20 * n.s -0.66 -0.62 0.18 0.18 0.52 0.54 0.37 - 0.74 0.38 - 0.77 *** *** -0.20 -0.17 0.13 0.14 0.82 0.84 0.64 - 1.05 0.65 - 1.10 n.s n.s -0.60 -0.51 0.13 0.14 0.55 0.60 0.42 - 0.71 0.46 - 0.79 *** ***. モデル1:社会的活動の各項目・性・年齢 モデル2:モデル1+IADL,運動習慣,教育年数,居住年数,主観的経済状況,飲酒・喫煙の有無,同居家族の有無. (2) 社会的活動への参加とメンタルヘルス ロジスティック回帰分析の結果から, 「社会的活動への 参加」と「自治会活動」では,主観的健康感について有意 な関連が認められた. 「地域の行事や祭り」については,主. 表3.体力・身体活動量,およびソーシャルネットワーク得点を目的変数とした重回帰分析(強制投入法) 社会的活動への参加 行事・地域の祭り モデル1 モデル2 モデル1 モデル2 R2 0.67 0.69 0.68 0.69 パラメーター推定値 1.02 0.58 1.05 0.81 握力 95%信頼区間 0.34 - 1.71 -0.12 - 1.29 0.54 - 1.56 0.30 - 1.33 * n.s *** * R2 0.45 0.46 0.45 0.46 パラメーター推定値 1.86 1.44 1.34 1.11 膝伸展力 95%信頼区間 0.71 - 3.02 0.25 - 2.63 0.48 - 2.21 0.23 - 1.98 * * * * R2 0.13 0.15 0.12 0.14 パラメーター推定値 0.07 0.05 0.04 0.03 椅子立ち上がり速度 95%信頼区間 0.04 - 0.1 0.03 - 0.08 0.02 - 0.06 0.01 - 0.05 *** *** * * R2 0.22 0.24 0.22 0.23 パラメーター推定値 0.16 0.13 0.10 0.08 5m歩行速度 95%信頼区間 0.1 - 0.21 0.07 - 0.18 0.06 - 0.14 0.04 - 0.12 p値 *** *** * *** R2 0.22 0.26 0.20 0.24 軽強度以上の パラメーター推定値 5.83 5.72 2.12 1.73 身体活動時間 95%信頼区間 4.13 - 7.53 3.99 - 7.45 0.83 - 3.41 0.44 - 3.01 (装着時間比) *** *** * * R2 0.15 0.21 0.15 0.21 パラメーター推定値 882.74 526.41 721.42 537.67 歩数 95%信頼区間 489.79 - 1275.69 132.15 - 920.68 428.16 - 1014.68 249.57 - 825.76 *** * *** *** R2 0.09 0.11 0.07 0.10 ソーシャルネットワーク パラメーター推定値 4.33 3.76 2.68 2.34 得点 95%信頼区間 3.55 - 5.12 2.95 - 4.57 2.09 - 3.28 1.74 - 2.94 *** *** *** *** *p <.05 *** p<.001. 商工会活動 モデル1 モデル2 0.67 0.68 1.44 1.15 0.82 - 3.71 -1.09 - 3.39 n.s n.s 0.45 0.46 0.67 0.58 -3.13 - 4.47 -3.22 - 4.37 n.s n.s 0.11 0.14 0.04 0.05 -0.05 - 0.13 -0.04 - 0.13 n.s n.s 0.20 0.23 0.11 0.11 -0.08 - 0.29 -0.07 - 0.30 n.s n.s 0.20 0.24 7.59 7.50 1.92 - 13.26 1.91 - 13.09 * * 0.14 0.21 1775.48 1988.74 478.87 - 3072.1 735.01 - 3242.47 * * 0.01 0.06 1.83 1.95 -0.87 - 4.54 -0.71 - 4.61 n.s n.s. モデル1:社会的活動の各項目・性・年齢 モデル2:モデル1+IADL,運動習慣,教育年数,居住年数,主観的経済状況,飲酒・喫煙の有無,同居家族の有無. と,歩数のみ有意な関連が認められた. 「宗教活動」ではど の項目とも有意な関連は認められなかった. 「商工会活動」. 宗教活動 モデル1 モデル2 0.67 0.68 0.18 0.12 -0.76 - 1.12 -0.82 - 1.05 n.s n.s 0.45 0.46 -0.73 -0.80 -2.32 - 0.85 -2.38 - 0.78 n.s n.s 0.11 0.14 -0.01 -0.01 -0.05 - 0.03 -0.05 - 0.02 n.s n.s 0.21 0.23 -0.07 -0.08 -0.15 - 0.01 -0.15 - 0.00 n.s n.s 0.20 0.23 1.04 1.04 -1.33 - 3.41 -1.30 - 3.37 n.s n.s 0.14 0.21 150.61 194.25 -391.83 - 693.05 -330.18 - 718.68 n.s n.s 0.02 0.07 2.07 2.00 0.95 - 3.19 0.89 - 3.10 *** ***. ロジスティック回帰分析の結果から,開眼片足立ち時間. 力の項目のみと有意な関連が認められた. 「老人クラブ」で は,5m 歩行速度と身体活動量の 2 項目との関連が有意であ. ボランティア活動 モデル1 モデル2 0.67 0.69 0.92 0.71 0.24 - 1.59 0.04 - 1.38 * * 0.45 0.46 1.15 0.93 0.02 - 2.28 -0.21 - 2.07 * n.s 0.12 0.15 0.05 0.04 0.03 - 0.08 0.02 - 0.07 *** * 0.22 0.24 0.14 0.12 0.09 - 0.2 0.07 - 0.18 *** *** 0.20 0.23 1.82 1.55 0.12 - 3.51 -0.13 - 3.23 * n.s 0.14 0.21 581.45 364.05 194.91 - 968 -12.81 - 740.91 * n.s 0.04 0.08 2.42 2.09 1.62 - 3.21 1.30 - 2.88 *** ***. 観的健康感と認知機能との間に有意な関連が認められた. 自治会活動 モデル1 モデル2 0.68 0.69 0.88 0.59 0.35 - 1.4 0.07 - 1.12 * * 0.45 0.46 1.05 0.78 0.17 - 1.93 -0.12 - 1.67 * n.s 0.12 0.14 0.04 0.03 0.02 - 0.06 0.01 - 0.05 *** * 0.21 0.23 0.06 0.04 0.02 - 0.10 -0.00 - 0.08 * n.s 0.20 0.23 0.96 0.61 -0.36- 2.28 -0.71 - 1.93 n.s n.s 0.14 0.21 472.94 261.96 172.31 - 773.57 -34.10 - 558.02 * n.s 0.06 0.09 2.61 2.28 2 - 3.22 1.66 - 2.89 *** ***. モデル1:社会的活動の各項目・性・年齢 モデル2:モデル1+IADL,運動習慣,教育年数,居住年数,主観的経済状況,飲酒・喫煙の有無,同居家族の有無. サークル活動 モデル1 モデル2 0.68 0.69 0.86 0.59 0.33 - 1.39 0.05 - 1.13 * * 0.45 0.46 1.25 0.92 0.35 - 2.14 0.01 - 1.83 * * 0.13 0.15 0.05 0.04 0.03 - 0.07 0.02 - 0.06 *** *** 0.22 0.24 0.11 0.09 0.07 - 0.15 0.05 - 0.13 *** *** 0.20 0.23 -0.13 -0.57 -1.47 - 1.22 -1.92 - 0.78 n.s n.s 0.14 0.21 93.11 -243.23 -214.02 - 400.24 -546.18 - 59.73 n.s n.s 0.07 0.10 3.00 2.63 2.38 - 3.62 2.01 - 3.26 *** ***. 老人クラブ活動 モデル1 モデル2 0.67 0.68 0.29 0.06 -0.32 - 0.9 -0.55 - 0.67 n.s n.s 0.45 0.46 0.56 0.29 -0.47 - 1.58 -0.74 - 1.33 n.s n.s 0.11 0.14 0.02 0.01 -0.01 - 0.04 -0.01 - 0.03 n.s n.s 0.21 0.23 0.06 0.04 0.01 - 0.11 -0.01 - 0.09 * n.s 0.21 0.24 3.64 3.04 2.12 - 5.16 1.53 - 4.55 *** *** 0.15 0.21 688.93 488.78 339.91 - 1037.96 147.91 - 829.65 *** * 0.04 0.08 2.31 2.02 1.59 - 3.03 1.31 - 2.73 *** ***. 「サークル活動」では,メンタルヘルスの 3 項目全てで有 意な関連が認められた. 「有給の仕事」との間に有意な関連 が認められたのは,主観的健康感のみであった. 「習い事」 は,認知機能のみで有意な関連が認められた(表 4). (3) 社会的活動への参加とソーシャルネットワーク 重回帰分析の結果から,SN では「商工会活動」を除く すべての活動との間に有意な関連が認められた(表 3)..

(4) 6.考察 本研究の目的は,地域在住高齢者における社会的活動へ の参加と,体力・身体活動量およびメンタルへルスの関連 を明らかにすることであった.. 影響のプロセスは,非常に複雑に絡みあっている可能性が 考えられる. 本研究では,社会的活動への参加を有無のみで評価して おり,活動の頻度や,詳細な内容がアウトカムに与える影. 何らかの社会的活動に 1 つでも参加する者は,非参加者. 響について把握し切れていない.また,今後の介護予防事. と比べて体力・身体活動量およびメンタルヘルスの多くの. 業として社会的活動への参加を促進する場合,本当に予防. 項目が良い状態であることが明らかとなった.. 効果があるかどうかについて,実施方策,評価まで含めて. また,地域の行事や祭り,自治会活動,サークル活動,. 検討する必要がある.これらの検討については,アクショ. 習い事の参加者では,体力と主観的健康感がより良い状態. ンリサーチによる手法が注目されている(15)が,新しい研究. であることが明らかとなった.一方で,商工会活動と有給. 手法であり,研究としての更なる発展が望まれる.. の仕事を行う者では,身体活動量が高い状態であることが 分かった.. 以上を踏まえ,本研究における今後の展望としては,今 回の研究を基に社会的活動への参加とヘルスアウトカムと. 先行研究では,社会的活動への参加がヘルスアウトカム. の関連を前向きに検討するとともに,社会的活動を量的に. の維持・向上に貢献することが明らかとなっており,本研. 評価するだけでなく,質的に評価することも考慮し研究を. 究はそれを支持するものである.また,本研究では教育歴. 行う必要がある.. や経済状況といった,本研究のヘルスアウトカムに潜在的 に影響を及ぼすと考えられる因子と, IADL や運動習慣とい. 8. 引用文献. った,体力・身体活動量に直接的に影響を与える因子を調. (1) 内閣府 (2012).高齢社会白書. 整している.このことから,本研究で得られた結果は,社. (2) 厚生労働省(2000).介護保険事業状況報告(年報). 会的活動とヘルスアウトカムとの関連をより強固に示した. (3) 厚生労働省(2011).介護保険事業状況報告(年報). といえよう.. (4) 内閣府(2011).高齢社会白書. また,多くの社会的活動の項目と SN との間で社会的活. (5) 内閣府(2002).第 2 回高齢化に関する世界会議. 動の参加者は非参加者と比較してよい状態であることが分. (6) 厚生労働省(2012). 介護予防マニュアル(改訂版). かった.先行研究では,よりよい SN と,うつや認知機能. (7) 片桐恵子 (2012).退職シニアと社会参加 東京大学出. が関連する可能性が示されている (13, 14).このことから,社. 版. 会的活動への参加が,SN の維持,向上を介して,他のヘル. (8) 中村好一他(2002).日本公衛誌,49(5),409-416.. スアウトカムの維持向上に影響を与えている可能性も考え. (9) Ohkawara, K., et al. (2011) British J Nutr, 105 (11),. られた.. 1681-1691. (10) KESSLER, R., et al. (2002). Psycholo Med, 32,. 7.まとめと今後の展望 本研究では,高齢期の生活の質にかかわるヘルスアウト カムについて,社会的活動との関連を網羅的に検討した. 活動の種類によりどのヘルスアウトカムに影響を与えるか は異なるが,何らかの活動に 1 つでも参加することで,健 康に関する機能や状態と関連することが明らかとなった. 高齢者の社会的活動への参加に関する研究に今後期待 される展望としては,疾病や健康状態に対して,どのよう な経路をたどって社会的活動への参加が影響を及ぼしてい るかというメカニズムの解明である.本研究の結果からは 因果の特定は不可能であるが,社会的活動が健康に与える. 959-976. (11) Folstein, M., et al. (1975). J Psychiatric Res,12 (3), 189. (12) Lubben, J., et al. (2006). The Gerontologist, 46 (4), 503-513. (13) Iwasaki, M., et al. (2002). Int J Epidemiol , 31, 1208-1218. (14) Han, B. (2002). J Ame Geriatri Soc, 50 (9), 1549-1556. (15) 芳賀 博(2012).日老医誌,49,33-35..

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参照

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