(1)バス施策受容の意識要因と構造
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(2) 意識調査の調査項目. ①環境問題は我々の健康や生活に影響を及ぼし,深刻な 問題である ②クルマ依存の都市交通は環境問題を引き起こし、深刻 な問題である ③マイカー通勤によって生じるクルマ公害などに対し て,緊急な対策が必要である ④個人の通勤時の満足度を改善するよりも、クルマ公害 などを抑制する方が重要である ⑤公共交通利用者が何%まで増えれば,自分も公共交通 を利用するか. 自分も利用したいと思う者の累積割合(%). 表−1. 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0%. ⑥バスレーンが有効に利用されるなら,一般車レーンが. 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%. 既公共交通利用者の割合(%). 渋滞したとしてもクルマ通勤者は我慢すべきである ⑦バス事業への補助金や専用レーン導入は,公平で正し. 図−3. 意識調査⑤・回答結果累積割合. い施策である ⑧私自身は,通勤時に公共交通などを利用して、クルマ. 230部,有効回答数は128部となった.回答者はクル マ利用者6割,その他公共交通利用者などが4割であ. 利用を減少させていきたい ⑨路線バスのサービス向上のため,国や自治体の補助金. った.なお,現在において新潟市中心部に向かう通 勤者の 7割はク ル マ通勤,2割が公共交通利用 である.. に賛成である ⑩バス専用レーン導入や取締まり強化に賛成である. アンケート調 査では,表 −1に示すように, 基本 的要因として ①〜④,直接的要因と し て ⑤〜 ⑧,バ ス施策受容と し て ⑨⑩の 項目を設け た.質問 ⑤につ. 0%. 20% 40%. 60%. 80% 100%. ①環境問題. いては0−100(%)の11段階 で割合を,他の項目 につい ては,全く反 対,どちらでもない, 大いに賛 成,な どを7段階で回答して頂いた.. ②車問題. 調査結果によると,図− 2より,⑨ 補助金へ の賛 否については60%が賛成を ,⑩バスレーン導入 や取締. ③車公害. まり強化については70%が 賛成の意 向を示した .一方, 質問①〜③で は90%以上 が賛成す る が,④で は60%. ④環境重視. に減少し,環境問題や車 問 題 を一 般 的な問題 と受け ⑥バスレーン 支持. 止めているが ,個人的な 問題と な る と車通勤 の利便 性を捨てられないという 状況を反映 し て い る と考え. ⑦バス公正. られる.質問 ⑥〜⑧では ,60〜70% が賛成す る.⑤ ⑧車利用 減少. の,他者の公共交通利用割合が何% になれば 自分も. ⑨補助金. の平均値は50 %で,図− 3に示す累積曲線よ る と ,. 公共交通を利 用するかという気持ち ,み ん な が意識. 初期の段階で45%以上の人 が公共交通利用を行 えば, ⑩バスレーン 導入・ 取締. みんなが他人 の行動結果 を意識して 公共交通利用が 1 2 3 4 5 6 7 1 2 3 4 5 6 7. 反 対. 図−2. どちらでもない. 促進されていく可能性が示されている.. 賛 成. 意識調査①〜④,⑥〜⑩の回答結果. (3)バス施策受容モデルの推定結果 バス施策受容の心理的因果構造を推定するため,.
(3) ①環境問題. 0.56 (6.28) 環境意識. ④ 環境重視 ②クルマ問題. 0.47(4.22) 1.00. 0.83 ( 6.98). クルマ社会改善 ③ クルマ公害 0.95 (9.58) ⑧クルマ利用減少. 1.00. GFI. 0.932. AGFI. 0.870. RMSEA. 0.069. n=128 0.90 (5.91). 転換意識 ⑤みんなが意識 ⑥バスレーン支持. -10.28 (-4.63) 1.00. 0.28 (2.95). 0.47 (4.02). 1.00 バス施策受容. バス優先是認 ⑦バス公正 0.98(6.28) 図−4. ⑨補 助 金. 0.51 (3.95) バス施策受容 モデル. 共分散構造分析に よ り モデルの 構築を行っ た.分析. ⑩バスレーン 導 入 ・取締. 1.29 (6.11) (. )内 は t値. 3.交通手段選択モデル. にあたっては,質問項目①〜⑩ について因子分析を 行い,抽出された 因子をもとに 潜在変数を 設定し,. (1)分析の概要. 因果関係を想定し た.最も適 合 度が高か っ たモデル. 通勤者のバス施策の受容意識が手段選択に及ぼす. の因果構造とパス 係数を図−4 に示す.モ デ ル の適. 影響を分析する.分析方法として,SPデータを用い. 合度を示す GFI は 0.932,パラメータ数の 影響を修. て二項選択ロジットモデルを構築し,潜在変数を用. 正した AGFI は 0.870 となった.推定結果によると,. いたモデル,潜在変数を用いないモデルの比較を行. 基本的要因,お よ び直接的要因 はそれぞれ 2つの潜. う.. 在変数に分かれた .基本的要因 には,環境意識とク. 分析に用いたデ ー タは,2章で 述べた意識調査と. ルマ社会改善意識 が存在する. また,直接的要因に. 同じデータである .SP調査は,表 −2に示すように,. おいても転換意識 ,バス優先是認意識の2 つの潜在. 通勤時における総所要時間や費用を変化させた計6. 意識が存在し,それぞれがバス 施策の受容 に影響を. つのパターンで示 し,車1人乗 りとP&BRのどちらを. 与えている.. 選ぶかを一対比較により回答して頂いた.モデルに. 以上より,環 境 意 識,クルマ社会改善意識 という. 用いる潜在変数は,バス施策受容モデルの推定結果. 基本的要因は,ク ル マ 利用の転換意識,バ ス優先是 認という直 接 的 要 因に影響を与 え,環 境 問 題を深刻. 表−2. に思う気持ちが転 換の意思やバ ス施策に対 する理解. P&BR. 車1人乗り. を生んでいる.そ し て ,転 換 意 識の高ま り は,他人 の行動結果を気にするみんなが 意識に負の 影響を与. 総所要時間と総費用の設定. 質問. え,自発的な公共交通利用を促 進する可 能 性がある. 総所要. 1月あた. 総所要. 1 月あた. 時. り 費 用. 時. り 費 用. (円). (分). 間. (分). 間. (円). ことが分かった. また,バス施 策の受容は 転換意識. 1. 45. 4000. 55. 2000. とバス優先是認か ら影響を受けており,バ ス施策の. 2. 45. 4000. 55. 3000. 二次的ジレンマ解 消にあたってはこの2つ を高める. 3. 45. 8000. 65. 2000. 心理的方策が有効 であると考えられる.このような. 4. 45. 8000. 65. 4000. 因果構造が明らかとなり,基本的要因が直接的要因. 5. 55. 4000. 65. 2000. に影響を与え,直接的要因がバ ス施策の受 容に影響. 6. 55. 8000. 55. 4000. を与えるという仮説が支持された..
(4) より算出し た も の で,転 換 意 識,バス優先是認,バ. の2つを潜在変数として用いた場合であり,パラメ. ス施策の3つを用 い,各潜在変数が交通手段選択に. ータのt値は共に 有意であり,そ し て 推定値 の符号は. 与える影響を分析する.. 共に負となった.これより,通勤者にとって,転換 意識やバス優先是認の意識は,マイカー通勤の効用. (2)車1人乗り・P&BR選択モデルの推定. を減少させる要因となっていることが確認できた.. 表−3に,車1人乗 り・P&BR選 択モデルにおける 潜在変数を用いないモデル,および潜在変数を用い. 4.おわりに. たモデルの推 定 結 果を示す.なお,車1 人乗り・P&B Rの共通変数と し て総所要時間 ,総 費 用を用い ,表− 3は車1人乗りの推定に用いた変数を記している.. バス施策受容に至る意識要因とその構造について 検討を行い,バス施策の受容意識を高める要因とし. 潜在変数を用い な いモデルにおいて,各パラメー. てクルマ利用の転換意識,バス優先是認意識の2つ. タの符号は妥当であったが ,尤度比は 0.187と ,モデ. が影響を与えていることがわかった.また,潜在変. ルの適合度は低いものとなった.次に,バス施策受. 数を用いた交通手段選択モデルを構築し,転換意識. 容のみを潜在変数をとして用いたモデルの場合,尤. やバス優先是認意識は,車1人乗りの効用に負の影. 度比は0.214となり,適合度が向上すると共に,t値. 響を及ぼしているが分かった.. は-5.23 で有意となり ,マイカー 通勤の効用 を減少さ. 以上より,バス施 策の実施に向 けて受 容 意 識を高. せる要因であることが確認できた.さらに,転換意. めるような心理的方策を行うことは,二次的ジレン. 識,バス優先是認,およびバス施策受容の3つを潜. マを解消すると共に,マイカー通勤者の車選択を減. 在変数として手段選択モデルの構築を行った場合,. 少させる可能性があることが検証できた.. バス施策受容意識のt値は0.317と,全く有意となら. 今後の課題として ,構造的施策 であるバス 施策の. ず,これはバス施策受容が,転換意識,バス優先是. 実施により,P&BR の通勤時間や 通勤費用が 減少した. 認の2つより既に説明されていることを裏付けてい. 場合の通勤者の手段選択に及ぼす影響,および心理. る.表−3の推定結果は,転換意識,バス優先是認. 的方策による意識の変化が及ぼすバス施策の受容に 与える影響について検討していきたい.. 表−3. 手段選択モデル推定結果. 説 明変 数 総 所要 時間. ()内はt値. 潜 在変 数あり 潜在 変 数なし -4 .73 - 3.7 5 (-5 .27 ) (- 4.7 7) SP 総 費用 -0 .34 8 - 0.2 91 (-5 .70 ) (- 5.3 5) 性別 -0 .79 0 - 1.1 2 (-3 .64 ) (- 5.8 7) 車種 1 .27 0 .96 7 (5 .05 ) (4.2 5) 立 ち寄り回 数 0.253 0 .22 2 (4 .65 ) (4.5 7) 通 勤所 要時 間 -3 .08 - 2.4 9 RP (-8 .52 ) (- 7.9 2) 帰 宅時 刻 0.208 0 .12 0 (6 .62 ) (5.4 9) 始 業までの余 裕時 間 -0 .87 5 - 0.7 84 (-3 .34 ) (- 3.2 8) 通 勤手 当 -0 .66 5 - 1.0 6 (-2 .87 ) (- 5.0 0) 転 換意 識 -0 .58 6 − (-8 .66 ) バ ス優 先是 認 -0 .29 9 − (-4 .09 ) サ ンプル数 128 12 8 初 期尤 度 -53 2.3 4 -5 32.34 最 終尤 度 -36 6.3 4 -4 32.99 尤 度比 0.312 0 .18 7. 参考文献 1)山岸俊男:社会的ジレンマ,PHP新書,2000. 2)藤井聡 ,トミー・ヤーリング,シシリア・ヤコブソン: ロードプライシングの社会的受容と環境意識:社会的ジ レンマにおける心理的方略の可能性,土木計画学研究・ 論文集,18(4),773‑778,2001. 3)森川高行,佐々木邦明:主観的要因を考慮した非集計 離散型選択モデル,土木学会論文集,No.470,pp.115‑124, 1993. 4)呉戈,山本俊行,北村隆一:保有意識の因果構造を考 慮した非保有者の自動車保有選好モデル,土木計画学研 究・論文集,No. 16, pp.553‑560, 1999..
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