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遺伝子ワクチンに係る規制の現状と課題に関する研 究

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Academic year: 2022

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(1)遺伝子ワクチンに係る規制の現状と課題に関する研 究 著者名 発行年 URL. 中山 慶一 2015‑07‑17 http://hdl.handle.net/10470/00032362.

(2) 東京女子医科大学大学院医学研究科および 早稲田大学大学院 先進理工学研究科. 博 士 論 文 概 要. 論. 文. 題. 目. 遺伝子ワクチンに係る規制の現状と 課題に関する研究 Study on the Current Status and Challenges of Regulations on Gene-based Vaccines 申. 請. 者. 中山. 慶一. Yoshikazu. NAKAYAMA. 共同先端生命医科学専攻. 分子細胞医療研究. 20 14 年 12 月.

(3) ワクチンは,特定の抗原を標的として生体の免疫を賦活化して病原体からの感 染 を 予 防 す る た め の 医 薬 品 で あ り ,1 8 世 紀 に エ ド ワ ー ド ・ ジ ェ ン ナ ー が 開 発 し た 天然痘ワクチンに始まり,種々の感染症から人々の命を守ってきた医学史上最も 偉 大 な 業 績 と い わ れ る . 天 然 痘 , ポ リ オ , 狂 犬 病 等 な ど 世 界 保 健 機 構 ( WHO) に よ り 指 定 さ れ て い る ワ ク チ ン で 予 防 可 能 な 疾 患 ( V P D : Va c c i n e - P r e v e n t a b l e Diseases) の 数 は 25 以 上 に 及 ぶ . し か し な が ら , HIV 感 染 症 , マ ラ リ ア , デ ン グ熱,エボラウイルス疾患等未だワクチンの開発に成功していない疾患も数多く 存 在 す る .2 0 1 4 年 の デ ン グ 熱 の 国 内 に お け る 感 染 報 告 や ,ア フ リ カ 大 陸 に お け る エボラウイルス疾患の拡大に代表されるように,経済活動の活発化・グローバル 化が進んだ現代において感染症を国境で阻止することは困難であり,その対策の 一つとなり得る次世代のワクチンを開発・普及することはどの国や地域において も必要不可欠な公衆衛生上の課題といえる. 感 染 症 予 防 ワ ク チ ン の 非 臨 床 試 験 や 臨 床 試 験 は , 通 常 の 医 薬 品 と 同 様 に ICHガ イ ド ラ イ ン 等 の 様 々 な 規 則 に 則 り 実 施 さ れ る が ,2 0 1 0 年 に 感 染 症 予 防 ワ ク チ ン の 開発に関するガイドラインが発出され,ワクチンに固有の留意点等が示された. しかしながら,当該ガイドラインは,これまでに実用化されているワクチン(弱 毒 化 生 ワ ク チ ン ,不 活 化 ワ ク チ ン ,サ ブ ユ ニ ッ ト ワ ク チ ン ,ト キ ソ イ ド ワ ク チ ン , 多 糖 体 - タ ン パ ク 結 合 型 ワ ク チ ン 等 )に 関 す る 一 般 的 な 留 意 点 に つ い て の 概 説 と な っており,ワクチンの種類ごとに特有な留意点までは言及されていない.更に, 近年の遺伝子工学・免疫学の発展とともに欧米で研究開発が活発化している,遺 伝 子 ワ ク チ ン ( プ ラ ス ミ ド DNAワ ク チ ン や ウ イ ル ス ベ ク タ ー ワ ク チ ン 等 の Gene-based vaccines) に つ い て は , 適 応 の 範 囲 外 と し て い る . 本 研 究 は , 上 述 の 遺 伝 子 ワ ク チ ン ( 特 に プ ラ ス ミ ド DNAワ ク チ ン 及 び ウ イ ス ル ベクターワクチン)に注目し,国内・海外における臨床開発の現状を把握すると ともに,日欧米における規制,特に非臨床試験及び臨床試験に関する留意点をプ ラ ス ミ ド D N A ワ ク チ ン 及 び ウ イ ス ル ベ ク タ ー ワ ク チ ン ご と に 分 析 し ,今 後 の 開 発 研究促進に係る課題を明らかにすることを目的とする. 本 研 究 は 以 下 に 示 す 5章 か ら 構 成 さ れ る . 第 1章 で は , 本 研 究 の 背 景 と し て ワ ク チ ン の 役 割 , こ れ ま で に 実 用 化 さ れ て い るワクチンの種類及びその概要,並びに未だワクチンが実用化されていない疾患 の概要とその背景について概説し,遺伝子ワクチンをはじめとする次世代のワク チ ン を 開 発 す る 意 義 に つ い て 述 べ た . 次 に , 遺 伝 子 ワ ク チ ン ( プ ラ ス ミ ド DNAワ クチン及びウイルスベクターワクチン)の作成における遺伝子工学的手法,感染 症 の 予 防 に 係 る 免 疫 学 的 な 機 序 に つ い て 概 説 し た . ま た , プ ラ ス ミ ド DNAや ウ イ ルスベクターが感染症の“予防”以外の目的,すなわち“治療”を目的とするア プローチについても概説した. 第 2章 で は , 国 内 で 既 承 認 の ワ ク チ ン に 関 す る 調 査 及 び プ ラ ス ミ ド DNAワ ク チ No.1.

(4) ンやウイルスベクターワクチンの臨床開発状況に関する調査について述べた.臨 床 開 発 状 況 の 調 査 に は , 米 国 国 立 医 学 図 書 館 ( National Library of Medicine : N L M ) が 開 設 す る 臨 床 試 験 登 録 サ イ ト C l i n i c a l Tr i a l s . g o v を 用 い て k e y w o r d 検 索 を 実 施 し ,新 規 感 染 の 予 防 を 目 的 と す る プ ラ ス ミ ド D N A ワ ク チ ン 及 び ウ イ ル ス ベ クターワクチンの臨床試験数,対象疾患領域,使用されているベクター等の分析 を 行 っ た . そ の 結 果 , こ れ ま で に 234試 験 の 臨 床 試 験 が 実 施 さ れ て い る が , 日 本 国 内 で 実 施 さ れ た 試 験 は ゼ ロ で あ り , 対 象 と な る 疾 患 領 域 は , HIV感 染 症 が 141 試 験 ( 6 0 . 3 % ) と 最 も 多 く , 以 下 , イ ン フ ル エ ン ザ 感 染 症 ( 2 9 試 験 , 1 2 . 4 % ), マ ラ リ ア ( 2 0 試 験 , 8 . 5 % ), 結 核 ( 2 0 試 験 , 8 . 5 % ) 等 で あ っ た . 全 2 3 4 試 験 の う ち , プ ラ ス ミ ド D N A( 1 0 1 試 験 ), ワ ク シ ニ ア ウ イ ル ス ( 7 6 試 験 ) 及 び ア デ ノ ウ イ ル ス ( 75試 験 ) を ワ ク チ ン 抗 原 の 遺 伝 子 ベ ク タ ー と し て 使 用 し て い る 試 験 が 201試 験 ( 8 5 . 9 % ) を 占 め ,こ れ ら を 組 み 合 わ せ た p r i m e - b o o s t r e g i m e n も 多 く の 臨 床 試 験 で 検 討 さ れ て い た . HIV, マ ラ リ ア 及 び 結 核 等 に つ い て は , 日 本 国 内 の 罹 患 率 , 有病率が諸外国に比し低いことが臨床試験の実施数が少ない理由のひとつである ことが推察されるが,インフルエンザは日本が世界的にも大きな市場であること から,遺伝子ワクチンの開発に係る規制等の課題が臨床試験実施数に関与してい る可能性が考えられた. 第 3章 で は , 遺 伝 子 ワ ク チ ン で 使 用 さ れ る プ ラ ス ミ ド DNAや ウ イ ル ス ベ ク タ ー が ,“ 治 療 ”を 目 的 と す る い わ ゆ る 遺 伝 子 治 療 に お い て も 用 い ら れ る こ と か ら ,日 欧米における遺伝子治療の定義とその範囲について調査し,感染症予防ワクチン との区分,関係性について調査した.欧米においては,治療用ベクター開発に係 る留意点と感染症予防ワクチンの開発に係る留意点は重複する部分が多いため参 考となり得るとしながらも,規制上では予防(感染症予防ワクチン)と治療(遺 伝子治療)を明確に区分していることが明らかとなった.国内においては遺伝子 治療に関する規制として,臨床研究に係る指針である「遺伝子治療臨床研究に関 する指針」及び治験に係る指針である「遺伝子治療用医薬品の品質及び安全性の 確 保 に 関 す る 指 針 」が 存 在 す る が , “ 予 防 ”を 目 的 と す る ワ ク チ ン を 含 む か 否 か に ついての明確な記述はなかった.しかしながら,遺伝子治療用医薬品の治験実施 に先立ち,品質及び安全性を確保するために当該試験の実施者に義務付けられて い た 確 認 申 請 ( 2013年 に 廃 止 ) に 関 す る 公 開 情 報 か ら , 予 防 ワ ク チ ン に つ い て も 他の遺伝子治療と同じ確認申請の枠組みの中で審査されており,国内においては 遺伝子治療に予防ワクチンも含むと解釈されていたことが明らかとなった. 第 4章 で は , 感 染 症 予 防 を 目 的 と す る 遺 伝 子 ワ ク チ ン に 特 化 し た ガ イ ド ラ イ ン の整備状況及び当該ガイドラインの比較,分析を行った.上述の通り,国内の感 染 症 予 防 ワ ク チ ン に 係 る ガ イ ド ラ イ ン で は ,プ ラ ス ミ ド D N A や ウ イ ル ス ベ ク タ ー 等 の 遺 伝 子 ワ ク チ ン を 適 応 の 範 囲 外 と し て い る 一 方 で , 米 国 に お い て は , FDAか ら プ ラ ス ミ ド DNAワ ク チ ン に 特 化 し た ガ イ ダ ン ス が 2007年 に ,欧 州 で は , EMEA. No.2.

(5) か ら ウ イ ル ス ベ ク タ ー ワ ク チ ン に 関 す る ガ イ ド ラ イ ン が 2010年 に 発 出 さ れ て い る.しかしながら,これらのガイドラインは,遺伝子ワクチンの開発の際に検討 すべき事項を網羅するものではないため,一般的なワクチンや遺伝子治療に関す る ガ イ ド ラ イ ン と 併 せ て 参 照 す る よ う 推 奨 さ れ て い た . 第 3章 で 述 べ た よ う に , 規制上,遺伝子治療には予防ワクチンを含まないとされているにも関わらず,こ れらに関するガイドライン等の相互参照が必要となる欧米の現状が明らかとなっ た.各ガイドラインに関して特筆すべき事項として以下が挙げられる.米国のプ ラ ス ミ ド DNAワ ク チ ン の 前 身 と な る ガ イ ダ ン ス( 1996年 発 出 )で は ,① プ ラ ス ミ ド D N A に よ る 自 己 免 疫 疾 患 の 誘 発 の 可 能 性 ,② 染 色 体 へ の 組 み 込 み リ ス ク に 関 す る評価を必要としていたが,これまでに蓄積された非臨床及び臨床試験データ等 から鑑みてそのリスクは非常に低いと判断し,現行のガイドラインではこれらの 評 価 を 免 除 し 得 る ( 評 価 が 必 要 と な る 条 件 を 具 体 的 に 明 記 ) と す る FDAの 見 解 を 述べた点であった.また,欧州のウイルスベクターワクチンに関するガイダンス で は , ③ ベ ク タ ー 及 び ワ ク チ ン 抗 原 に 対 す る 獲 得 免 疫 ( pre-existing immunity ) が ワ ク チ ン の 有 効 性 に 与 え る 影 響 ,④ 自 然 界 に 存 在 す る w i l d - t y p e の ウ イ ル ス に よ りベクターとして用いる遺伝子組み換えウイルスが増殖性及び病原性の獲得する リスク,宿主ゲノムへの組み込みに関するリスクについての評価の必要性等につ いて述べられていた.これらの留意点の一部は,国内の遺伝子治療用医薬品に関 する指針においても必要な非臨床評価として規定しているが,国内のワクチン開 発ガイドラインや遺伝子治療用医薬品に関する指針においても言及されていない 点もあり,今後,国内における遺伝子ワクチンに関するガイドラインを策定する 際に考慮すべき事項と考えられた. 第 5章 は 総 括 と し て , 本 研 究 で 得 ら れ た 成 果 ( 課 題 の 特 定 及 び 提 言 ) に つ い て ま と め た .プ ラ ス ミ ド D N A や ウ イ ル ス ベ ク タ ー 等 を 用 い る 次 世 代 ワ ク チ ン の 臨 床 開発は,欧米に比し大きく遅れをとっていること,また臨床開発の遅れと同様に 遺伝子ワクチンに係るガイドラインの整備状況についても遅れている現状が明ら かとなった.国内では,遺伝子治療の指針の枠組みの中で遺伝子ワクチンに関す る 評 価 を 行 っ て い た の に 対 し ,欧 米 で は プ ラ ス ミ ド D N A や ウ イ ル ス ベ ク タ ー に 特 化したガイドラインを策定,更には科学的知見の蓄積とともに安全性評価の要求 事項を緩和し開発の促進を後押ししており,今後更なるワクチンギャップが起こ り 得 る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た .プ ラ ス ミ ド D N A や ウ イ ル ス ベ ク タ ー ワ ク チ ン を 開 発 する日本企業が海外で臨床開発を先行している現状を解消するためにも,レギュ レーションの整備が喫緊の課題であることが明らかとなった. 本研究は,感染症予防を目的とする遺伝子ワクチンに係る日欧米の規制につい て,比較分析を行った新規性の高い研究であり,今後の国内における遺伝子ワク チンの開発研究促進に大きく貢献することが期待される.. No.3.

(6) No.1. 早稲田大学 氏 名. 中山. 慶一. 博士(生命医科学). 学位申請. 研究業績書. 印 (2015 年 7 月. 種 類 別. 題名,. 発表・発行掲載誌名,. 発表・発行年月,. 現在). 連名者(申請者含む). 論文○. Comparison of current regulatory status for Gene-based vaccines in the US, Europe and Japan, Vaccines, 2015, 3, 186-202 Yoshikazu Nakayama, Atsushi Aruga. 講演. ナノ DDS 製剤開発に係る課題と考察 日本生体医工学会専門別研究会 第 6 回医療機器に関するレギュラトリーサイエンス研究 会,東京女子医科大学・早稲田大学連携先端生命医科学研究教育施設,2013 年 10 月 中山慶一,有賀淳. その他 (講演). 刺激応答性 PEG-ポリアミンブロック共重合体と荷電性リポソームからなる静電結合型 PEG 化リポソームの調製 第 55 回高分子学会年次会,名古屋国際会議場,2006 年 5 月 中山慶一,大石基,辰市洋祐,長崎幸夫. その他 (講演). プリジスタ錠 300mg(ダルナビル)の日本人健康成人男子を対象とした薬物動態試験 第 23 回日本エイズ学会学術集会・総会,名古屋国際会議場,2009 年 11 月 大谷尚也,百々秀彦,中山慶一,小林巧,塚本友子. その他 (論文). 低用量リトナビル併用時にダルナビル錠を単回投与したときの日本人健康成人男子を対 象とした薬物動態および安全性の検討,新薬と臨牀,60(6):1153-1161,2011 大谷尚也,中山慶一,塚本友子,小林巧. その他 (講演). RSV 関連下気道感染症で入院した小児に関する前向き観察研究の中間報告 第 46 回日本小児感染症学会総会・学術集会,京王プラザホテル(東京),2014 年 10 月 手塚宜行,中山慶一(第 11 著者),他 11 名.

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