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Relationship among the vantage point in memories, metacognitive belief for cognitive attentional syndrome and posttraumatic stress reaction in

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Academic year: 2022

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人間科学研究 Vol. 27, Supplement(2014)

修士論文要旨

本研究の問題と目的:外傷後ストレス障害(PTSD)は、鮮 明な侵入記憶が症状の一つの特徴である。過去の出来事を 想起する時には、一般的にField perspective(F視点)と Observer perspective(O視点)の二種類の視点が用い られることが示唆されている(Nigro & Neisser, 1983)。

F視点は、自分の目から記憶の出来事を見るように想起す る視点であるのに対して、O視点は自分自身を含む出来事 全体を、外側から眺めるように想起する視点である。これ まで想起視点を客観的に測定する尺度がないことによって、

想起視点の機能(他の変数に与える影響)に関する十分な 知見が蓄積されていない。そこで本研究では、研究1にお いて、想起視点がもつ機能に着目した想起視点機能尺度を 作成することを目的とする。

 ところで、近年PTSDの治療において、メタ認知療法

(MCT)が効果を示している。MCTでは、思考に対する信 念(メタ認知的信念)の内容に焦点を当てており、メタ認 知的信念によって、不適切な認知方略や対処行動を含む認 知注意症候群(CAS)が活性化するとされている。しかし、

PTSDに特異的なCASに対するメタ認知的信念を測定する 尺度は見当たらない。そこで、研究2において、トラウマ におけるCASに対するメタ認知的信念尺度を作成するこ とを目的とする。さらに、研究3において、メタ認知的信 念やCASがどのように外傷後ストレス反応(PTSR)に影 響を与えているかについてのプロセスモデルを構築し、そ こに関わる想起視点の役割を総合的に検討することを目的 とする。

方法:「今もきっかけがあれば思い出す出来事で、これま でに最も強い苦痛を感じた出来事」(トラウマ)の経験から 1ヵ月以上が経過している学部生を対象とした(研究1:

257名、研究2:253名、研究3:217名)。尺度は、(1)想 起視点機能尺度の原版、(2)Detached Mindfulness Mode Questionnaire(今井ら, 2012;ディタッチメントを表す5 項目を使用)、(3)改訂版出来事インパクト尺度(金, 2001;

IES-R)、(4)トラウマにおけるCASに対するメタ認知的信 念 尺 度 の 原 版、(5)Metacognitive Questionnaire-30

(MCQ-30; 山田・辻, 2007)、(6)ネガティブな反すう尺度

(伊藤・上里, 2001)、(7)Penn State Worry Questionnaire 日本語版(本岡ら, 2009)を使用した。

結果:想起視点機能尺度は、4因子17項目から構成された

(第1因子:「Field視点(F視点)」、第2因子:「O-Time distinction視点(OT視点)」、第3因子:「O-Avoidance 視点(OA視点)」、第4因子:「Observer視点(O視点)」)。

また、F視点、OA視点、OT視点に関して、概ね信頼性と 妥当性が確認された。トラウマにおけるCASに対するメタ 認知的信念尺度は、4因子21項目から構成された(第1因 子:「反芻と思考抑制に対するネガティブなメタ認知的信念

(NRT)」、第2因子:「脅威モニタリングに対するポジティ ブなメタ認知的信念(PTM)」、第3因子:「思考抑制に対 するポジティブなメタ認知的信念(PTS)」、第4因子:

「ギャップフィリングに対するポジティブなメタ認知的信 念(PGF)」)。また、PTSの併存的妥当性に課題が残った ものの、概ね信頼性と妥当性が確認された。次に、共分散 構造分析を行い、新たなトラウマのプロセスモデルを構築 した結果、PTS、PTM、反すうはNRTに弱~中程度の正の 影響を与え、NRTはPTSRに中程度の正の影響を与えるこ とが示された。さらに、各想起視点の高低群間における変 数間の影響関係の相違を検討するために、多母集団同時分 析を行った。その結果、OA視点とOT視点において、ネガ ティブな反すうからNRTへのパス係数にのみ、5%の有意 確率で差が認められた。

考察:本研究の結果から、トラウマの想起には4種類の想起 視点が用いられることが示唆された。また、初めて脅威モ ニタリングや思考抑制といったトラウマ経験者が特徴的に もちうるCASに対するメタ認知的信念を測定する尺度を 作成することができた。そして、新たなPTSDのメタ認知 モデルを構築することによって、CASに対するメタ認知的 信念や、CASを構成する心配や反芻がPTSRに影響を与え るメカニズムを明らかにした。さらに、想起視点がモデル 内の変数間の関係性を変化させる機能をもつ可能性が示唆 された。具体的には、OA視点を減弱させ、OT視点を増強 することが、PTSRの軽減に有効である可能性が示唆され た。今後は、想起視点の操作について実験研究を行った上 で、想起視点を用いた介入が可能かどうかを検討し、トラ ウマの治療の一助になるかどうかを明らかにするために、

臨床群を対象にした実証的な効果研究が行われることが期 待される。

トラウマ経験者における想起視点と認知注意症候群に対する メタ認知的信念及び外傷後ストレス反応との関連

Relationship among the vantage point in memories, metacognitive belief for cognitive attentional syndrome and posttraumatic stress reaction in

individuals with past experience of trauma

山口 摩弥(Maya Yamaguchi)  指導:熊野 宏昭

参照

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