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横浜ベイブリッジの東北地方太平洋沖地震後調査と耐震性能評価

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Academic year: 2022

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(1)

横浜ベイブリッジの東北地方太平洋沖地震後調査と耐震性能評価

首都高速道路㈱    正会員  ○並川  賢治 首都高技術㈱    正会員    布施  光弘 東京大学    正会員    藤野  陽三

1.目的  

東北地方太平洋沖地震により横浜ベイブリッジの地震応答計測システムでは主桁の橋軸直角方向,橋軸方向 および鉛直方向のそれぞれで299cm/s2,51cm/s2,194cm/s2,主塔頂部の橋軸直角方向で600cm/s2以上の最大加 速度が観測された.主桁および主塔の振動は橋軸直角方向の応答が支配的であり,これによる主桁の変位は橋 軸直角方向で最大62cm,橋軸方向は20cm,中央径間中央部鉛直方向は20cm,主塔の変位は頭頂部の橋軸直 角方向で55cm,橋軸方向は25cmであった1).筆者らは地震後に本橋の主桁縦断形状測定,主塔倒れ量測定,

主桁の移動痕跡調査を行い橋体全体の健全度と耐震性能を評価した. 

2.横浜ベイブリッジの構造特性と耐震システム 

  横浜ベイブリッジは1989 年9 月に開通した,中央径間長460m,側径間長200m,橋長860mの3径間連続 斜張橋である.主桁はダブルデッキ鋼トラスからなり,上層部は6車線の首都高速道路湾岸線が通り,下層部 港外側は2車線の一般国道に供されている.

主塔は高さ 172m,幅 29.25m の等断面の H 形である.本橋の耐震システムの特徴は端橋 脚と主桁の間にエンドリンク,主塔と主桁の 間にタワーリンクを配置したことである(写 真−1).橋脚および主塔と主桁に相対変位 を生じさせることにより地震中の橋軸方向 の固有振動数が約 7.7 秒程度に保持された.

地震時に生じる橋軸方向変位を拘束するた めに桁と主塔の連結には振り子形状の長さ 2m の短尺のタワーリンクが用いられている. 

3.東北地方太平洋沖地震後の調査結果 

(1)主桁縦断形状測定 

  地震前後(平成23年1月,3月)の主桁縦断形状 を港内外でそれぞれ測定した結果を図−1(A)に 示す.港内外ともに地震前後の計測値に大きな変 化は見られない.建設時(初期値)の縦断形状との 差を示した図−1(B)では中央径間中央の港外側 計測値が82mm下降しているが,これは下層部郊 外側に一般国道357号が2車線で暫定整備された 影響である.荷重が偏心して載荷される影響は中 央径間中央の高低差で110mmと計算されている.

地震前後の計測値に変化がないことから地震によ る主桁縦断形状への影響はないと考えられる. 

  キーワード  東北地方太平洋沖地震,横浜ベイブリッジ,耐震システム,健全度,耐震性能,リンク    連絡先      〒100-8930  東京都千代田区霞が関 1-4-1(日土地ビル)首都高速道路㈱技術部  TEL03-3539-9452

P1 端橋脚   P2 主塔      P3 主塔    P4 端橋脚 

端橋脚エンドリンク        主塔タワーリンク      横梁上ウインド沓    写真−1  横浜ベイブリッジの耐震システム 

エンドリンク  ウインド沓 

タワーリンク  ウインド沓 

エンドリンク  ウインド沓 

-242

-337 -261

-343

地震前港内TP+70.778 地震前港外TP+70.691 地震後港内TP+70.778 地震後港外TP+70.685

60 65 70 75

-500 -400 -300 -200 -100 0 +100

1(P1) 8(P2) 15(CL) 22(P3) 29(P4)

標高TP(m) 初期との(mm)

測定格点

地震前後測定 初期値との差 港内外の比較

H23.1地震前(港内側) H23.1地震前(港外側) H23.3地震後(港内側) H23.3地震後(港外側)

橋橋脚P1(横湾-69) 主塔P2(横湾-71) 主塔P3(横湾-73) 端橋脚P4(横湾-75)

H23年地震前の 港内外の最大高 低差95mm H23年地震後の

港内外の最大高 低差82mm 主桁縦断形状 港内外の比較

桁縦断形状

本牧側 大黒側

(A):左軸

(B):右軸 (A)

(B)

図−1  主桁縦断形状測定の結果  土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

‑95‑

Ⅰ‑048

(2)

(2)主塔倒れ量測定

主塔中心の倒れ量を現在の条件における解析値,地震前後(平成23年1月,3月)の計測値について主塔 中心座標に対して記したものが図−2である.地震後にP2主塔は橋軸方向にP3側へ13mm,直角方向は港内

側へ10mm,直線距離で16mm移動している.P3主塔は橋

軸方向にP4側へ10mm,直角方向は港外側へ16mm,直線 距離で19mm移動している.地震後にP2,P3それぞれの主 塔倒れ量が中心座標側に向かったこと,測定した結果が絶 対量として解析値を超えていないことから地震による主塔 形状への影響はないと考えられる.

計測値には測量誤差および温度補正誤差(測定値を温度 補正するときに生じる実際の値との差)が含まれている.

(3)主桁移動痕跡調査

リンク支承は球面軸受けを用い回転変位を拘束しないユ ニバーサル構造となっている.橋軸直角方向の荷重に抵抗 するためにウインド沓を端橋脚,主塔の下部水平梁上に設置 している.ウインド沓は水平力の分担のほか鉛直方向、橋軸 方向の移動および回転が可能であることが要求され滑動面 はステンレスクラッド銅とテフロン板(PTFE板)を用いた 密閉ゴムタイプとしている.橋脚と主桁および主塔と主桁の 連結部の目視調査から P2およびP3 主塔のタワーリンク,

P1およびP4端橋脚のウインド沓に地震による滑動の痕跡が 見られた.P2およびP3主塔のタワーリンク支承下部に設け られている上面円盤近傍では表−1に示すように取り付け ボルト数本が破損し円盤の塗装の剥離が明瞭に観察された.

これら塗装の剥離やボルトの破損は,タワーリンク位置で主 塔と主桁橋軸直角方向の衝突があったことや主桁の回転と 橋軸直角方向,鉛直方向の変位が組み合わされて生じたもの と考えられる.ウインド沓の表面には写真−2のように主桁 が大きく橋軸方向に相対変位したことを示す円形の痕跡が 残されていた.P4 端橋脚の港外側ウインド沓ではテフロン 板が脱落しており橋軸直角方向や回転方向の力が大きなも のであったことが推察される.端橋脚のエンドリンク,主塔 のウインド沓は滑動痕跡が確認されなかった.  

4.横浜ベイブリッジの耐震性評価 

(1)主桁縦断形状測定および主塔倒れ量測定:地震前後の計測値に変化は見られず東北地方太平洋沖地震に よる橋体全体系への影響はなく健全な状態が保たれていると考えられる。 

(2)主桁移動痕跡調査:タワーリンクとウインド沓の滑動痕跡は主桁と主塔および主桁と橋脚に相対変位が あったことを示している.この相対変位を生じさせるためには主桁と主塔および橋脚を連結するリンク支承は 滑動して完全ヒンジ形の連結状態となっている必要がある.横浜ベイブリッジのこのような挙動は東北地方太 平洋沖地震により設計で前提とした耐震システムの機能が発揮されたことを示すものであると考えられる. 

参考文献1)Dionysius SIRINGORINGO ,Yozo FUJINO ,Tomonori NAGAYAMA ;Response of Yokohama-Bay Cable-Stayed Bridge in the 2011 Great East Japan Earthquake;平成21年度全国大会  第64回年次学術講演会

-60 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60

-300 -200 -100 0 100 200 300

橋軸方向(mm)

mm

本 牧

P2,P3主塔

橋脚CL(中心座標) P3Ⅰ期完成時

(H7.2)

主塔倒れ量

解析結果(I期完成時)

解析結果(暫定整備時) P2地震前

(H22.1)

P2地震後

(H22.3)

P2Ⅰ期完成時

(H7.2)

P3地震前(H23.1)

解析結果(I期完成時) 解析結果(暫定整備時) P3地震後(H23.3)

16m m

19 mm

図−2  主塔倒れ量測定の結果 

すべり板脱落  P4 港外側 

ウインド沓の滑動痕跡 

写真−2  ウインド沓の滑動痕跡調査の結果 

痕跡写真 滑動痕跡(スケッチ)

港内

PP

調査場所

表−1  リンクの滑動痕跡調査の結果  土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

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参照

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