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相反する粘性と流動性を兼ね備えた水中不分離性注入材の開発

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Academic year: 2021

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相反する粘性と流動性を兼ね備えた水中不分離性注入材の開発

芝浦工業大学 学生会員 〇大橋 優樹 芝浦工業大学 正会員 伊代田 岳史

全国止水躯体補修工事協同組合 天野 智雄 日鉄セメント(株) 正会員 高林 佳孝

1.背景・目的

港湾構造物を代表するケーソンの水中ひび割れは劣化 因子侵入によるコンクリートの劣化や中詰砂の流出によ る上部コンクリート陥没などを引き起こす.これは社会 基盤を苛む問題として報告され,早急な補修が望まれる.

ただし,気中ひび割れの閉塞のために用いられる注入材 を水中で使用した場合,水中での材料分離による品質低 下が懸念される.そのため増粘剤により水中不分離性を 高める必要がある.しかし,増粘剤添加により流動性は 低下し,注入材が有する自己変形抵抗性の増加による充 填不良を引き起こす可能性がある.そのため,水中不分 離性注入材は相反する流動性と粘性が求められているが,

兼ね備えた配合は開発されていない.この相反関係を踏 まえ,本研究では超微粒子スラグセメントと界面活性作 用を付与する特殊増粘剤の併用により相反する粘性と流 動性を兼ね備えた水中不分離性注入材の開発を試みた

.

2.実験概要

2. 1 使用材料と配合選定

本研究で使用した材料を表-1に示す.二種の比表面積 の異なるスラグセメントに増粘剤である

BT

1

10%

ASK

0.1~2%添加し,W/C70%でフレッシュ性状の把

握をした.その結果から,増粘剤添加量の適正範囲を選 定し,模擬ひび割れ注入による閉塞試験から注入材の配 合を決定した.注入材の略号は例えば,HS に

BT

3%

添加した場合

HS-BT3%のように表記する.

2. 2

フレッシュ性状試験

注入材が水中で示す挙動から配合選定を行う為に,実 際に試験可能な気中との関係性を把握したい。そこで,

簡易モールド(φ50×100mm の筒)を使用して気中・水中 スランプフローを計測した.モールドに注入材を充填し,

垂直に引き抜いた際に広がった注入材の最大の直径とそ れに直行する直径を

mm

単位で小数点第

1

位まで計測し た.水中スランプフローは水槽にスランプコーンを設置 後,注入材を充填した.その後,水位

100mm

まで注水し,

モールドを引き抜き,水中スランプフローを計測した.

表-1 使用した材料

図-1 模擬ひび割れ注入試験概要

2. 3

模擬ひび割れ注入試験

図-1に模擬ひび割れ注入試験概要を示す.2枚のアク リル板にテフロンシートを挟み垂直に固定し,側面から 注射器で注入材を手動注入した.評価基準は注入深さ

100mm

以上でひび割れ底部に到達しなかった場合は評価

〇,底部到達長さが

150mm

以内は評価△,模擬ひび割れ から流出した場合評価×と定める.また,水中で加圧さ れた注入材の水中不分離性を評価する為に水槽水の

pH

を測定した.

3. 実験結果及び考察

3. 1

フレッシュ性状試験の結果

図-2に

BT

を用いた添加量に対するスランプフローを 示す.各スラグセメントにおいて,水中フロー値はいず れの配合で気中より低い値を示した.これは注入材の流 動性が水圧の影響によって抑制されたと考えられる.

HS

BT5%

以降で注入材の沈降と水圧が均衡し,注入材が 排出されず計測は行えなかった.また,

BT

は各スラグセ メントで添加率

1~5%で水中フローの緩やかな減少を示

し増粘効果に対する流動抑制効果が小さくなり,少量の

略号 比表面積(cm³/g) 比重 略号 添加方法 添加量

HS 8000 3.01

液体(BT)

W×% 1~10%

SQ 6000 2.92

粉体(ASK)

C×% 0.1~2%

増粘剤 超微粒子スラグセメント

100mm 150mm

キーワード 粘性,流動性,水中不分離性,増粘剤,超微粒子スラグセメント

連絡先 〒135-8548 東京都江東区豊洲 3-7-5 芝浦工業大学 土木工学科

TEL : 03-5859-8356 E-mail:[email protected]

(2)

図-2 BT スランプフロー

変動でも性能を確保できることから,注入材として扱い やすいと考えられる.

一方図-3に

ASK

を用いた添加量に対するスランプフ ローを示す.添加率

0.25~1%で配合及び気中・水中によ

らず同じ傾向を示したが,

ASK1%

を超える配合ではスラ ンプコーン側面に残留する注入材が多く確認された為,

適正添加率の上限は

ASK1%

であると考えられる.

以上のことから,

BT1

BT5%

ASK0.25

ASK1%

を選 定範囲とした.

3.2

注入試験結果と

pH

表-3 に模擬ひび割れ注入試験の結果を示す.HS-

BT3%

はいずれのひび割れ幅でも注入材がひび割れ内底 部に到達せず時間経過に依存しない滞留を確認できた.

BT5%はひび割れ幅1mm

での注入が困難であり,これは 増粘効果が強く注入材の変形抵抗性が高いことによるも のだと考えられる.SQ-BT はいずれの配合,ひび割れ幅 で注入材の時間経過による流出或いは不十分な滞留が確 認された. これは増粘剤同添加率範囲では

SQ

HS

よ りも高い変形抵抗性を示唆し,増粘剤添加時の流動性が 高いことを示している.

ASK

では顕著な結果が示され,

ASK1%はいずれの配合,ひび割れ幅で残留が確認され,

HS

SQ

に限らず配合の優位性が示された.

図-4に水中スランプフロー値と注入材圧入による水 槽水の

pH

の関係を示す.増粘剤の添加によって水中ス ランプフロー値が減少すると

pH

も減少している.これ は増粘剤添加率による増粘効果で水中不分離性が確保さ れたことを示している.

SQ-BT3%

HS-ASK0.25%

は比 較的近い水中フロー値を示しているが,異なる

pH

が計 測された.この配合の増粘剤添加率をそれぞれ増加させ た

SQ-BT5%とHS-ASK1%では,比較的近い水中フロー値

を示す一方,

pH

の大小関係が変わり同じ流動性を示して も材料によって水中不分離性が異なる.

図-3 ASK スランプフロー

図-4 水中スランプフローと水槽水

pH

つまり,異なる比表面積のスラグセメントでも増粘剤 により水中不分離性の増加傾向は異なると示された.

4. まとめ

(1)HS-BT

は増粘効果による水中不分離性が比較的一定

の増加傾向を示し,材料の適合性が示唆された.

(2)SQ-BT

BT5%以降の範囲でより精度の高い配合決

定ができると考えられる.

(3)現場で水中不分離性注入材を使用する場合,HS-BT3

~5%,HS-ASK1%,SQ-ASK1%の配合を推奨する.

参考文献

1)荻村敬隆,毛塚貴洋,臼井匠,伊代田岳史:無機系ひび

割れ注入材の基本物性とひび割れ注入効果の検,第

39

回 土木学会関東支部技術研究発表会,

V-60

2020

1mm 2mm 3mm 1mm 2mm 3mm

1%

△ △ △

× × ×

3%

〇 〇 〇

× × ×

5% ×

△ 〇 △ △ △

0.25% × × × × × ×

1%

〇 〇 〇 〇 〇 〇

配合

HS SQ

セメント ひび割れ幅

BT

ASK 0

100 200 300 400 500 600

0.00% 2.00% 4.00% 6.00% 8.00% 10.00%

スラ ン プフ ロー

(mm)

添加率

(%)

HS-BT気中 SQ-BT気中 HS-BT水中 SQ-BT水中

0 100 200 300 400 500 600

0.00% 0.50% 1.00% 1.50% 2.00%

スランプ フロー

(mm)

添加率

(%)

HS-ASK気中 SQ-ASK気中 HS-ASK水中 SQ-ASK水中

表-3 模擬ひび割れ注入試験結果

8 9 10 11 12

0 200 400 600

pH

水中スランプフロー

(mm)

-HS- △BT1 □BT3 ◇BT5 〇ASK0.25 ☆ASK1 -SQ- ▲BT1 ■BT3 ◆BT5 ●ASK0.25 ★ASK1

参照

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