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新農薬の紹介

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Academic year: 2021

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(1)

― 58 ―

植 物 防 疫  第

70

巻 第

10

号 (2016年)

710

は じ め に

マンデストロビン(商品名:スクレア

®

)は,マンデ ル酸骨格を持つストロビルリン系化合物である。本剤 は,2010 年より一般社団法人日本植物防疫協会を通じ て「S―2200」の試験番号で委託試験を開始し,2015 年 9 月に農薬登録を取得した。

従来のストロビルリン系とは抗菌スペクトラムが異な り,菌核病に高い活性を示すことから各種野菜などに登 録を取得している。また, なしの黒星病, ももの灰星病,

ホモプシス腐敗病等に高い防除効果を示し,果樹類に対 しても広く登録を取得している。

以下にマンデストロビンの作用機構と特長を簡単に紹 介する。本剤の理解につながり,現場での使用の一助と なれば幸いである。

【有効成分名と物理化学性】

一般名:マンデストロビン CAS 登録番号: 173662 ― 97 ― 0

化学名( IUPAC ) ( RS )― 2 ― methoxy ― N ― methyl ― 2 ―

[α―(2,5―xylyloxy)―o―tolyl] acetamide 構造式:

H3C

CH3

O OCH3

CONHCH3

分子式: C

19

H

23

NO

3

分子量:313.39

水溶解度:15.8 mg/ l  (20℃)

分配係数(n―オクタノール/水)   Log Pow = 3.51  ( 25 ℃)

蒸気圧: 9.15 × 10

−8

Pa ( 25 ℃)

商品名:スクレアフロアブル

農薬の種類:マンデストロビン水和剤 有効成分の種類および含有量:

 マンデストロビン 40.0 % 委託試験号: S ― 2200

農林水産省登録:第 23701 号 性状:類白色水和性粘稠懸濁液体

【マンデストロビンの作用機構と特長】

本剤の作用機構は,QoI(Quinone outside inhibitor)

であり,病原菌の細胞におけるミトコンドリア内の電子 伝達系に働き,病原菌の呼吸を阻害する。

マンデストロビンは,図―1 に示すように病原菌のラ イフサイクルの多くのステージに作用し,病害の感染か ら発病に至る過程を阻害する。

また,植物体において浸透移行性および浸達性を持っ ている。

これらの特長から,優れた予防効果のみならず,治療 効果も期待できる。

野菜類に対する使用場面では,菌核病に対して優れた 効果を示す。

なしに対しては,重要病害である黒星病に対する効果 が高く,既存のストロビルリン系殺菌剤と比較して薬害 リスクが低いことから,重点防除時期である開花期の防 除に適しており,他系統の薬剤との体系処理によって現 場の病害防除に有効に寄与できると考える。

ももに対しては,灰星病と防除の難しいホモプシス腐 敗病に高い効果が期待できるため,果実肥大期以降の同 時防除ができる剤として期待できる。

お わ り に

スクレアフロアブルは,既存のストロビルリン系と違 う特長を備えており,浸達性および浸透移行性があるこ

殺菌剤マンデストロビンの特長と使い方

住友化学株式会社 今西 欣也

(いまにし きんや)

新農薬の紹介

図−1 菌核病生活環とマンデストロビンの作用点

(2)

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殺菌剤マンデストロビンの特長と使い方

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とから,予防効果と治療効果が期待できる。また,茶を 除くすべての作物で収穫前日まで使用できる登録を持っ ているため,様々な品種が混植されていたり,収穫時期 をずらした栽培体系の場面,栽培期間が短い作物,また は収穫時期が近い場面においても使いやすい登録内容と なっている。そのため,現場の体系防除における基幹剤

として活用できる剤であると考える。

使用者の皆様に本剤の特長を理解いただき,末永く各 地域,様々な作物栽培場面における病害防除に貢献でき るよう普及をはかっていきたい。そのためにも,各地域 の指導機関の皆様には,引き続きご指導とご助言をお願 い申し上げたい。

表−1 スクレアフロアブルの適用表 作物名 適用病害虫名 希釈倍数 使用液量 使用時期 本剤の

使用回数 使用方法 マンデストロビンを含む 農薬の総使用回数 なす

きゅうり トマト ミニトマト

キャベツ レタス 非結球レタス

メロン すいか 豆類

(種実,ただし,

だいず,らっか せいを除く)

豆類

(未成熟)

菌核病

2,000

100

300

l

/10 a

収穫前日 まで

3

回以内 散布

3

回以内

非結球 あぶらな科

葉菜類

炭疽病

だいず 紫斑病

菌核病

りんご 黒星病

輪紋病

2,000

3,000

200

700

l

/10 a

ぶどう

晩腐病 黒とう病 うどんこ病 おうとう 灰星病

もも ネクタリン

灰星病 黒星病 ホモプシス腐敗病

かき 落葉病

なし

黒星病 うどんこ病

輪紋病 小粒核果類 黒星病

輪斑病 新梢枯死症

炭疽病 もち病

2,000

200

400

l

/10 a

摘採

3

日 前まで

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