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放射線生物研究 46(4),2011 P344 ~ 358
<総 説>
DNA損傷応答とLINE-1レトロトランスポジション 誘導機構に関する研究の動向
国立国際医療研究センター研究所 難治性疾患研究部 飯島健太*、田村政人、奥平准之、石坂幸人
はじめに
ヒトゲノムDNAは約30億塩基対より形成されるが、実際に遺伝子をコードするのはわずか 1~2%程度であり、残りの98%はNon-coding領域である。Non-coding領域は転移因子由来の配列
(~45%)とnon-coding RNAから構成され、これらのジャンクとされてきたゲノム領域は、近年の 研究で他の遺伝子機能の調節やクロマチン構造の修飾など極めて重要な役割を担っていることが 分かってきている。転移因子由来の配列はNon-LTR(Long terminal repeat)レトロトランスポ ゾン(33.7%)、LTRレトロトランスポゾン(8.3%)、DNAトランスポゾン(2.8%)から構成され、
そのなかでもNon-LTRレトロトランスポゾンに属するLINE-1(Long Interspersed Nucleotide Element-1)に由来する配列は全ゲノムの17%を占めている(1,2)。LINE-1はヒトゲノム中に約 50万コピー存在しているが、そのうち100コピー程度は現在でも、動き得る能力を保持しており、
200出生あたり1回の動きがあると考えられている(3)。また近年の研究でLINE-1のレトロトラ ンスポジションは環境からの影響により誘発されるとともに、放射線などのDNA損傷によって もその動きが強く誘導されることが報告されている(4-7)。本総説では、LINE-1のレトロトラン スポジションの誘導機構とその解析系について概説するとともに、LINE-1レトロトランスポジ ションとDNA損傷応答との機能的相互作用について紹介してゆきたい。
1.LINE-1について
LINE-1はヒト全ゲノムDNAの~17%を占め、現在でも100コピー程度は自身で動き回りえる能 力、すなわちレトロトランスポジション(RTP:Retrotransposition)能を保持している(1,2)。
LINE-1遺伝子はプロモーターとして機能する5’UTR、polyAテール付加活性を持つ3’UTR、
そして2つの機能的なタンパク質のコード領域から構成されている(図1)(8)。LINE-1がコード
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