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複合現実環境における仮想物体操作時のユーザ体験

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Academic year: 2021

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複合現実環境における仮想物体操作時のユーザ体験

― ジェスチャ型インタフェースを対象として ―

A study on user experience of object manipulation using gesture interface in mixed reality environment

1W130616-2 和田 滉平 指導教員 河合 隆史 教授 WADA Kohei Prof. KAWAI Takashi

概要: 複合現実環境において仮想物体を扱う際には、自然で直観的な操作方法としてジェスチャ入力が注目されている。

しかしながらジェスチャ入力を用いた操作時には、現実物体と仮想物体の間で遮蔽関係に矛盾が生じることが大きな問題 となる。本研究では仮想物体を操作する際の表現手法に着目し、違和感の軽減などの観点から、その表現手法がユーザ体 験へ与える影響についての知見を得ることを目的として実験的検討を行った。検討の結果、自らの手で操作している感覚 が少なくなる場合、操作にかかる時間が長くなる傾向があることがわかった。また、手の位置を示す視標を付加すること で主観的な好ましさが上昇する傾向があることがわかった。さらに、手の動きをより詳細に表す視標を付加した場合、主 観的な好ましさが大きく上昇することが示唆された。

キーワード:複合現実感、仮想物体操作、ジェスチャ入力、インタフェース Keyword: Mixed Reality, Virtual Object Manipulation, Gesture Input, Interface

1. はじめに

複合現実感とは、現実世界と仮想世界との併合に関する 技術である[1]。複合現実環境においては仮想物体を扱う場 面が多く現れるが、その際により自然で直観的な操作がで きるとしてジェスチャ入力が注目されている。一方で現実 世界と仮想世界を違和感なく融合させるためには解決す べき課題が多く存在する[2]。中でも仮想物体が常に現実物 体より手前に表示されてしまうことによる遮蔽関係の矛 盾問題は、ジェスチャ入力によって仮想物体を操作する際 に特に大きな問題となり得る。そこで本研究では仮想物体 を操作する際の表現手法に着目し、違和感の軽減や操作性 の向上といった観点から、その表現手法がユーザ体験に与 える影響に関する知見の取得に取り組んだ。

2. 方法

2.1 実験環境及び実験条件

実験参加者は 20 代の男女 20 名であった。

実験ではキヤノン ITS 社製のビデオシースルー型 HMD

「MREAL MD-10」を用いて複合現実環境を提示した。

図1.HMD によって提示される映像

ジェスチャの認識には Leap Motion 社製の赤外線カメラ 型ジェスチャ認識デバイス「Leap Motion」を使用した。

実験参加者には HMD によって図1のような映像を提示 し、CG で作成されたティーポットを操作させた。

実験条件として、視覚的な処理を施さない・マスキング 処理を施す・手の位置に追従する球モデルを付加する・手 の影情報を付加する・手の動きを追従するボーンモデルを 付加する・手と仮想物体が 3 次元的に交差しないために離 れた場所から操作する・離れた場所から操作する際にボー ンモデルを付加する、という 7 条件を設定した(表1)。

2.2 手続き

本実験では客観評価として、1 試行にかかる操作時間の 計測を行った。また主観評価として、位置把握、操作性の 良さ、操作性の好ましさに関する 7 件法のアンケートと、

口頭でのインタビューを各条件について行った。

表 1.実験条件一覧

条件番号 視標 操作距離

1 無

直接 2 マスキング

3 球モデル

4 影情報

5 ボーンモデル

6 無

7 ボーンモデル 間接

(2)

1 試行の内容としては、ジェスチャ入力によって参照用 の CG ポットと同じ角度になるように操作対象の CG ポッ トを動かす、という操作を設定した。実験では練習試行の 後、1 条件につき「3 試行→評価記入→口頭でのインタビ ュー」という流れとし、これを全条件分繰り返した。

3. 結果

各条件における平均操作時間と操作性の好ましさに関 するアンケートの平均得点を図2、図3に示す。操作時間 は間接操作条件と影条件において長くなることが確認さ れた。一方で好ましさに関する質問では、マスキング条件 とボーン条件において得点が高くなることが確認された。

また球条件の得点は中程度となった。

4. 考察

視標無条件はアンケートで低い評価となった。これは距 離関係が把握しづらい点が主な原因であると考えられる。

一方、マスキング条件はアンケートで高い評価を得た。

これはマスキング処理により手とポットとの距離関係が わかりやすくなっただけでなく、正確な手の描画によって 自らの手で掴んでいる感覚が増加したためと考えられる。

このような表現手法は遮蔽問題に対する理想的な解決策 の一つと考えられるが、現状では正確な描画の実装には高 いコストが必要になるという問題がある。

次に球条件はアンケートで中程度の評価となった。球体 のような単純な視標であってもポットの場所が把握しや すくなるために好ましさが上昇した一方で、位置だけを示 す球モデルでは自らの手で掴んでいる感覚を得られなか ったため中程度の評価になったと考えられる。

これに対しボーン条件はアンケートで高い評価となっ た。ボーンモデルにより距離感が把握しやすくなるだけで なく、指の動き等も追従することで自らの手で掴んでいる 感覚が強くなったことが原因であると考えられる。

影条件は操作時間が長く、アンケートでも低い評価とな った。これは一度ポットの上方に手を持っていき、影を表 示させた後に手を下げることでポットの位置を把握する 被験者の存在によると考えられる。また、手がポットに隠 れているにも関わらず影のみ見えているという状況など から、影と他の物体との関係性が分かりにくかったことも 原因であると考えられる。

また、間接操作条件では操作時間が長くなった。これは 離れた場所からの操作によって自分の手で操作している 感覚が少なくなることが原因であると考えられる。

5. まとめ

本研究では仮想物体操作時の表現手法とその影響につ いて検討し、球体のような簡単な視標の付加であっても、

位置関係が把握しやすくなることで主観的な好ましさを 上昇させ得ることがわかった。さらにボーンモデルのよう に手の動きがより詳細にわかる視標を付加することで、距 離感が把握しやすくなることに加えて、操作している・掴 んでいる感覚が増大する場合、好ましさが大きく上昇する ことが示唆された。

今後の課題として、例えば仮想ディスプレイへの文字入 力など、より具体的な場面を想定した表現手法の応用につ いて検討を行う必要がある。

6. 参考文献

[1] Paul Milgram, Fumio Kishino, “A Taxonomy of Mixed Reality Visual Displays”, IEICE TRANS. INF.&SYST., VOL.E77-D, NO.12, pp.1321-1329, 1994.

[2] 田村秀行,“複合現実感研究プロジェクト”,電子情報通 信 学 会 総 合 大 会 講 演 論 文 集 , 情 報 シ ス テ ム (2), pp.455-456, 1997.

図2.各条件における平均操作時間 図3.「操作性が好ましく感じる」における平均得点

参照

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