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DevelopmentofThermostablePhotoresponsiveMaterials (Ⅱ) 高耐久性有機光応答分子材料の開発(Ⅱ)

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Academic year: 2021

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(1)

高耐久性有機光応答分子材料の開発(Ⅱ)

*1 *1 *2 *3

泊有佐 ,竹内正俊 ,阪本尚孝 ,入江正浩

Development of Thermostable Photoresponsive Materials ( Ⅱ)

*1 *1 *1 *2

Arisa TOMARI , Masatoshi TAKEUCHI , Naotaka SAKAMOTO and Masahiro IRIE

我々は固体薄膜状態での光記録媒体の光応答効率の向上を目指し,単一成分でかつ溶媒を必要とせずに固体状態 で光応答できる有機材料の設計・構築を行ってきた。本研究では,分子構造におけるアモルファス状態の安定性と 融点の相関から,ジアリールエテンの三量体という分子設計及び合成を行い,高ガラス転移温度を実現することが できた。この誘導体は,極めて安定なアモルファス状態を形成するばかりでなく著しく高い光異性化率およびモル 吸光係数を有していることから,新規の光記録材料として期待される。

1 はじめに

高度情報化社会において記録媒体の高密度化,大容 量化,高速化が求められており,従来の記録方式に代 わる光による記録方式が期待されている。現在,光記 録材料として有機光応答分子であるジアリールエテン は,熱安定性や繰り返し耐久性の優れていることから

材料としての将来性が有望とされている 前報 では1) 固体薄膜状態での光記録媒体の光応答効率を向上させ るためにアモルファス薄膜を形成できる非対称ジアリ ールエテン誘導体の分子設計・合成を報告した。しか し,得られた非対称型ジアリールエテンは,室温で安 定なアモルファス状態である一方,ガラス転移温度が 室温以下であるという欠点があった。そこで,アモル ファス化に適した分子構造と高ガラス転移温度の関係 について再検討し,アモルファス状態が安定でありか つ,室温以上のガラス転移温度をもつことを目的とし て分子設計・合成を試み、得られたジアリールエテン 三量体について解析を行った。

2 分子設計

前報で合成した対称・非対称ジアリールエテン誘導 体についてアモルファス薄膜の安定性とガラス転移温 度の関係から,以下のようなことが明らかになった。

(1)分子サイズの大きなものほど安定なアモルファ ス薄膜を形成する。

(2)対称な分子では置換基の導入による分子サイズ

*1 化学繊維研究所 *2 企画管理部

*3 九州大学

の増大からアモルファス化しやすくなるという傾向が 認められたが,時間と共に結晶化がおこり安定なアモ ルファス薄膜は得られなかった。

(3)非対称な分子では最も分子サイズの小さい分子 でも容易にアモルファス化できた。

(4)非対称な分子は対称な分子と比べると分子間力 が減少し融点(Tm)が著しく低下する傾向がある。

以上のことから,高融点である条件は,分子構造にお いて平面性があり,分子間力を維持しているもの,ア モルファス状態が安定である条件は,分子サイズが大 きく,分子の再配列を妨げる効果のあるものという分 子設計指針に達した。指針に基づいて,トリフェニル アミンを中心とした平面構造を核とし(高融点化 , 複数の分子構造をとり得る(アモルファス化)ために ジアリールエテンを三量体化にすることを検討するこ にした。

3 実験方法

3−1 三量体ジアリールエテン誘導体の合成

以下のような反応スキームに従ってトリス-(4-{4-[3, 3,4,4,5,5-ヘキサフルオロ-2-(2-メチル-ベンゾ[b]チオフェン-3-イル)-シ クロペンテン-1-エンイル]-3,5-ジメチルチオフェン-2-イル -フェニル)アミン 以 下,三量体ジアリールエテン)の合成を行った (Scheme 1)。目的物は,カラムクロマトグラフィーお よびHPLCによって精製し, H-NMR,TOF-MASSによって

1

同定を行った。

(2)

Scheme 1

3−2 三量体ジアリールエテン誘導体の薄膜化

合成した誘導体とジアリールエテンの基本分子とさ れている1,2-ビス(2-メチルベンゾ[b]チオフェン-3-イル)パーフルオロシ クロペンテン(図1−以下、対称型3,)について,それぞ れヘキサン溶液を調製し、空気中15℃で石英基版に展 開する方法(キャスティング)と及び誘導体を融点+10

℃で融解し,氷冷にて急冷する方法(クエンチング)を 用いて製膜した。

3 図-1 対称型

3−3 評 価 3−3−1 光学特性

調製試料への光照射は,超高圧水銀灯500W光源を 用い,色ガラスフィルターにより任意の波長を選択し

S

M e

N

S S S

M e

M e M e

F

2

F

2

F

2

S S

M e F

2

F

2

F

2

M e

S

M e M e M e

F

2

F

2

F

2

S

M e

M e S

M e

M e B r

B r

S

M e

M e B r

B ( O H )

2

N

S S

B r M e

S

B r M e M e

B r M e

M e

1 M e

1

S S M e

S M e

I S F

2

M e

F

2

F

2

F

2

n - B u L i ,   B ( O B u )

3

E t h e r

E t h e r

n - B u L i ,   M e I B r

2

A c O H

( B r C

6

H

4

)

3

N ,   P d ( P P h

3

)

4

T H F ,   N a

2

C O

3

n - B u L i ,   M e I E t h e r

I

2

, HIO

5

A c O H ,   H

2

S O

4

,   H

2

O

n - B u L i T H F

T H F n - B u L i

F

2

F

2

F

2

F F 2

Me

S S

M e M e

F 2

F 2

F 2

て行った。光異性化については,紫外光(313nm)また は可視光(532nm)を30分照射後,紫外可視分光光度計

(UV-2400PC:島津)を用いて吸収スペクトルの測定を 行い評価した。開環体から閉環体への変換率は,三量

体については 光照射後 HPLCにて1閉環体 2閉環体 3閉環体をそれぞれ分取後,変換率をHPLCにより求め た。それ以外は光照射後,閉環体を吸収スペクトルに より求めた。モル吸光係数εについては,閉環体,開 環体,光定常状態について吸収スペクトル及び,HPLC より求めた。

アモルファス化の確認

3−3−2

キャスティングとクエンチングにより作成した薄膜に ついて偏光顕微鏡観察,熱分析(示差走査熱量測定:D SC)を行い,アモルファス状態の評価を行った。

4 結果と考察

4−1 三量体ジアリールエテンの光異性化

得られた三量体ジアリールエテンと基本分子である 1,2-ビス(2-メチルベンゾ[b]チオフェン-3-イル)パーフルオロシクロペンテン (以下,対称型 )について溶液状態の光照射後の吸収ス3 ペクトルを図-2に示した。

図-2 三量体と対称型 の光照射後の吸収スペクトル3

同じ濃度では、三量体ジアリールエテンは、対称型と 比較して光応答で13倍の効率が認められた。これは、

対称型が1分子につき光応答部位が1つに対し,三量 体ジアリールエテンは1分子につき3つの光応答部位を 有するためであるといえる。さらに光応答効率が、単 純に3倍になるのではなく13倍と飛躍的に向上してい ることから,トリフェニルアミンを核とする三量体ジ

0 . 0 1 . 0 2 . 0 3 . 0

3 0 0 4 0 0 5 0 0 6 0 0 7 0 0 8 0 0

W ave le n gt h (n m )

Ab s o rb a n c e

三量体

対称型3

(3)

アリールエテンはそれ自身のモル吸光係数が対称型よ り高いと考えられる。表1に三量体ジアリールエテン ( ),対称型( , ),非対称型( )の開環体から閉環体2 3 4 5 への変換率(%)と光定常状態のモル吸光係数(εtotal 開環体のモル吸光係数(εopen)閉環体のモル吸光係数

(εclose,を示した。

光定常状態のモル吸光係数が、対称型 (ε3 total=800)

と比較して三量体(εtotal=25200)が約3倍以上であ る。また開環体から閉環体への変換率が対称型 が453

%であることと比較して三量体は96%であった。

また、他の対称型分子 や非対称型分子 と比較しても4 5 三量体の感度、及び開環体から閉環体への変換率は優 れているといえる。

表1.開環体から閉環体への変換率とモル吸光係数

(total) ( O p e n ) (Close)

構造式及び 変換率 ε ε ε

3 3 3

名称 *10 *10 *10

2) 2)

対称型3

45 0.8 1 4 . 0 9.1 (519 )

nm

(258 )

nm

(517 )

nm

3) 3)

対称型4

74 3.1 5.3 8.0 (504 )

nm

(303 )

nm

(505 )

nm

5 非対称型

72 5.7 2 3 . 7 11.0 (542 )

nm

(264 )

nm

(542 )

nm

13.6

(1)

三量体2 96 2 5 . 2 3 6 . 3 25.4

(2)

nm nm (3)

(556 ) (351 ) 36.6 (559 )

nm (Close)は、1閉環体(1)、2閉環体(2)、3閉環体(3)

ε:dm /(mol・cm),

3

三量体の

ε

4−2 三量体ジアリールエテン誘導体の薄膜化

対称型 を用いてキャスティングによる製膜を行っ3 た場合,溶媒の乾燥と同時に粉状化(結晶化)が観察 された。また,クエンチングによる製膜でも一時的に 無色透明なアモルファス膜が得られるものの,調製か ら2日後には結晶化が確認されたため,対称型ではい ずれの方法でも安定したアモルファス膜を得ることは

S

S

M e M e

F

2

F

2

F

2 S

S

M e M e

F2

F2

F2

M e M e

SS

M e M e F

2

F

2

F

2

t - B u

できなかった。一方,三量体ジアリールエテンについ てはキャスティングおよびクエンチングによる製膜を 行った結果,どちらも無色透明な固体膜を得ることが できた。

三量体ジアリールエテンの固体膜について偏光顕微 鏡観察を行った。その結果、偏光顕微鏡観察では,対 称型で結晶による島が認められるのに対し,三量体ジ アリールエテンでは均一な暗視野像が得られており,

このことからも三量体による固体薄膜がアモルファス 状態にあることが確認できた。

4−3 三量体ジアリールエテンの熱物性

また,三量体ジアリールエテンのクエンチングで作 製した固体膜について,DSC測定を行った。その結果 を図−3に示す。

図-3 キャスティング薄膜の熱分析

三量体ジアリールエテンでは,120℃にガラス転移 点が認められ,過冷却液体となった後,292℃に融解 に基づく吸熱ピークが観測された。これは,これまで の非対称型ジアリールエテンでは,得られなかった高 いガラス転移温度、および融点を得ることができた。

5 まとめ

室温以上で安定な高ガラス転移温度をもつ光応答性 を有する有機分子単一成分の薄膜調製を目的として,

ジアリールエテン誘導体のアモルファス化について検 討を行い,以下のような知見を得た。

・トリフェニルアミンを中心とした三量体ジアリール エテンは,ガラス転移温度が120℃、融点が292℃と熱 安定性の優れたアモルファス材料であることが分かっ た。

(4)

・三量体ジアリールエテンは,光応答効率が対称型に 比べて13倍であった。

・三量体ジアリールエテンは,光定常状態におけるモ ル吸光係数が対称型分子と比較して3倍以上あり,か つ 開 環 体か ら 閉環 体へ の変 換 率が 96% で あるこ と か ら,高感度かつ高変換率を有している。

この三量体ジアリールエテンについては,国内特許

(特開2002-275458)に出願している。

6 参考文献

1)泊,他3名:福岡県工業技術センター研究報告,10号, p.1(1999)

2)M.Hanazawa,et al.:J.Chem.Soc.Commn.,p.206(199 2)

3)S.Kobatake,et al.:J.Am.Chem.Soc.,vol.121,p.238 0(1999)

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