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食品関連未利用資源の機能性付加による素材化に関する研究

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Academic year: 2021

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食品関連未利用資源の機能性付加による素材化に関する研究 

豆類煮汁及び種皮の有効利用 

古田正範

*1

  黒田理恵子

*1

  塚谷忠之

*1

  樋口智子

*1

  廣藤祐史

*1 

 

Research on Materializing by Functional Addition of Food Related Unused Resources

Effective Use of The Stock of Beans, and The Husk of Beans 

Masanori Furuta, Rieko Kuroda, Tadayuki Tsukatani, Tomoko Higuchi, Yushi Hirofuji  

食品加工副産物(食品未利用資源)の有効利用を目的に,豆類煮汁,種皮をとりあげ,成分分析,抗酸化性試験(in vitro) を行った。また機能性付加のため乳酸発酵を検討した。その結果,大豆煮汁には栄養分が約3%含まれていたが,小豆,

手亡豆の煮汁には0.2%と極微量しか含まれていなかった。種皮の主成分は炭水化物(76〜82%,全乾重量),蛋白質(15

〜18%)であった。抗酸化性試験では,小豆種皮(10g/80ml懸濁液)及び煮汁,大豆煮汁に,高いものでDPPHラジカル消去 能79〜81%,BHA10ppm溶液相当の抗酸化性が認められた。種皮は酵素処理により,糖が液中に遊離され,乳酸菌を添加し 発酵試験を行ったところ,無処理液に比較し(有機酸生成量比較)発酵が盛んになった。 

 

1  はじめに 

食品リサイクル法の施行により,食品製造業は食品廃 棄物の発生抑制,減量化,又は食品循環資源の再利用へ の取組みが規定された。これに伴い食品製造業では自社 で発生する食品加工副産物を,未利用資源ととらえ,有 効利用しようとするニーズが顕著である。本研究は,食 品加工副産物のなかで,菓子製造業の製餡工程で排出さ れる小豆,手亡豆(インゲン豆)煮汁と種皮及び味噌製造 業の蒸煮工程で排出される大豆煮汁

1)

等の有効利用のニ ーズを取り上げ,これら副産物の機能性検索,微生物に よる有用物質の生産等付加価値化を行い,食品素材とし て有効利用を図ることを目的とした。初年度は,これら 素材の成分分析,抗酸化性の機能性検索,乳酸発酵等に ついて検討を行ったので報告する。 

 

2  研究,実験方法 

2-1  豆類煮汁と種皮の成分分析 

食品加工副産物である豆類の煮汁及び種皮の食品成分 を分析した。小豆煮汁,同種皮,手亡豆煮汁,同種皮は 県内にある菓子製造業(S社)から,大豆煮汁は味噌製造業 (N社)から提供を受けた。たんぱく質:窒素定量換算法,

脂質:エーテル抽出法,灰分:直接灰化法, 

水分:凍結乾燥法,炭水化物:差しき法算出,食物繊維:

プロスキー変法。 

以下,試験にはこの煮汁及び種皮を用いた。 

 

2-2  種皮の酵素処理 

  種皮について,繊維質を分解するためセルラーゼ,ヘミ セルラーゼ系の酵素を用い処理を検討した。凍結乾燥し た種皮をミルで粉砕し10gをとり水80mlを加え,オートク レーブにより殺菌後,次の食品用酵素剤を0.1%(w/w)量 添加し,40℃,1時間酵素処理後,糖の遊離をHPLCにより 分析した。同様に酵素のみを水に溶かし空試験を行った。    

セルラーゼ:Y社製,ヘミセルラーゼ:A社製。 

遊離糖の分析条件は次のとおり。使用機器:Waters社製 HPLC,カラム:YMC-Pack  PA-03,移動相:アセトニトリ ル/水(70/30),流量:0.8ml/min,温度:30℃,検出器:

RI 

2-3  豆類煮汁及び種皮の抗酸化性試験 

煮汁及び種皮試料について抗酸化性試験(in vitro)を 行った。煮汁は原液を0.45μmフィルターでろ過したもの を試料とした。種皮は2-2試験で使用した酵素処理前,オ ートクレーブ殺菌後の懸濁液を0.45μmフィルターでろ 過した液を試料とした。 

○β−カロテンを用いた抗酸化性試験 

  試料100μlを栓付き試験管にとり,リノール酸,β- カロテンエマルジョン溶液4.9mlを加え,470nmの吸光度 について,添加直後と10分毎の吸光度の減少を順次測定。

80%メタノール溶液100μlについて同様に操作したもの をコントロールとした。BHA標準溶液10ppm,30ppm,50ppm について同様に操作し比較した。詳細は(独)食品総合研 究所のホームページに公開されている機能性測定試験方 法により行った。 

*1  生物食品研究所 

(2)

○DPPHラジカル捕捉能試験 

  試料0.5mlを栓付き試験管にとり,0.5mMDPPH溶液を 2.5ml加え混合後,室温,暗所に置き20分間反応後の吸光 度を測定。試料溶液の色の影響を考慮し,0.5mMDPPH溶 液の代わりにエタノールを加えたものを試料ブランクと した。コントロールは試料の代わりに蒸留水0.5mlをとり 同様に操作。次式によりラジカル消去能

2)

を求めた。 

ラジカル消去能(%)=〔(コントロール0分O.D.)−{(試 料30分O.D.−試料ブランクO.D.)} 〕×100 /コントロール 30分O.D. 

2-4  種皮酵素処理液の乳酸発酵 

  凍結乾燥,粉砕した種皮5gを100mlの水に縣濁させ 121℃,30分間オートクレーブで殺菌した。これに滅菌フ ィルターを用い,ヘミセルラーゼ(E社製)を0.1%量(w/v) 添加し40℃,2h処理後(一段処理),次にペプチダーゼ(A 社製)を0.1%(w/v)量添加し,40℃,2h酵素処理(二段処 理)を行った。この二段酵素処理した小豆種皮,手亡豆種 皮処理液,各々10mlを滅菌した試験管3本に分注し,3種 類の乳酸菌(

Streptococcus thermophilus

(NBRC13957)

, lactobacillus fermentum

 (NBRC3071)

,Lactobacillus  plantarum 

(NBRC3071)),の各スターター(大豆煮汁で前 培養し調製)200μLを添加,37℃,2日間発酵試験を行っ た。処理液を希釈し,0.45μフィルターでろ過し有機酸 をHPLCにより測定した。酵素無処理の小豆種皮,手亡豆 種皮懸濁液についても同様にスターターを添加し発酵に ついて比較した。 

 

3  結果と考察 

3-1  豆類煮汁及び種皮の成分 

成分分析結果を表1に示す。大豆煮汁には炭水化物,蛋 白質が微量(約3%)含まれるが,小豆煮汁,手亡豆煮汁は 炭水化物,蛋白質は極微量(約0.23%以下)しか含まれて なかった。種皮には炭水化物と蛋白質合わせて94〜97%

(全乾重量)含まれている。食物繊維は,小豆種皮IDF(不 溶性)71.0%,SDF(水溶性)0%,手亡豆種皮IDF75.0%, 

 

表1  豆類煮汁と種皮の成分 

SDF0.4%で炭水化物の殆どが不溶性繊維であった。 

 

3-2  種皮の酵素処理 

種皮の水懸濁液及び同酵素処理液中の遊離糖の分析結 果を表2に示す。セルラーゼやヘミセルラーゼ系の酵素分 解により種皮懸濁液中に1%(w/v)前後,糖が遊離された。  

 

表2  酵素分解による遊離糖の増加 

%(w/v) 

小豆種皮  手亡豆種皮 

 

無処理 セルラーゼ

(Y社) 処理

ヘミセルラーゼ  (A社) 

処理 

無処理  セルラーゼ

(Y社) 処理

ヘミセルラーゼ (A社)

処理

キシロース  0.09  0.01    0.04  0.02 

フラクトース 0.02  0.02    0.02  0.02 

グルコース 0.24  0.45    0.29  0.70 

シュークロス 0.04 0.02  0.03  0.02  0.02  0.03 

マルトース  0.63  0.24    0.83  0.49 

総  量 0.04  1.00 0.75  0.02  1.20  1.26

 

3-3  豆類煮汁及び種皮の抗酸化性 

煮汁及び種皮試料の抗酸化性試験結果(in vitro)を表 3に示す。小豆皮及び煮汁,大豆煮汁に,高いものでDPPH ラジカル消去能80%,BHA10ppm相当の抗酸化性が認めら れた。 

 

表3  豆類煮汁,種皮の抗酸化性 

試験項目  

試 料 

β-カロテンを用いた抗酸化性  DDPHラジカル 消去能(%) 大豆煮汁  コントロール(水)<<煮汁≧BHA10ppm  22.6  小豆煮汁  コントロール(水)<<煮汁≦BHA10ppm  79.2  手亡豆煮汁  コントロール(水)<煮汁<< BHA10ppm  7.5  小豆種皮  コントロール(水)<<種皮≦ BHA10ppm  81.5  手亡豆種皮  コントロール(水)<種皮<< BHA10ppm  15.2 

注)抗酸化性は比較して  <:大きい,>:小さい, 

    <<:かなり大きい,>>:かなり小さい, 

    ≦:同等以上,≧:同等以下   

3-4  種皮酵素処理液の乳酸発酵 

  小豆種皮,手亡豆種皮微粉砕物5%水縣濁液及びこれを 酵 素 処 理 し た 液 に 乳 酸 菌 3 種 類 , (

Streptococcus 

 

thermophilus,lactobacillus fermentum,Lactobacillus 

plantarum

)を用いて発酵試験を行い,有機酸量を測定し

た結果を図1に示す。水縣濁液に比べ酵素処理液では

L.fermentum,L.plumtarum

 で,有機酸の生成量で比較し 9倍程乳酸発酵が盛んになった。 

項  目  大豆煮汁  小豆煮汁  手亡豆煮汁  小豆種皮  手亡豆種皮 水  分  96.5  99.91  99.69  *全乾重量

で表示↓ 

*全乾重量 で表示↓

炭水化物  2.2  0.04  0.16  81.9  76.4  蛋白質  0.9  0.02  0.07  15.1  17.6  脂  質  ND 

(0.01以下)  ND  (0.01以下) 

ND 

(0.01以下)  0.5  1.1 

灰  分  0.4  0.03  0.08  2.5  4.9 

 

(3)

図1 手亡豆皮懸濁液の乳酸発酵(2日後)

50.00.0 100.0 150.0 200.0 250.0 300.0 350.0 400.0 450.0 500.0

手亡豆皮酵素 処理液S.ther 〃無処理液 S.ther 手亡豆皮酵素 処理液L.fer 〃無処理液 L.fer 手亡豆皮酵素 処理液L.plum 〃無処理液 L.plum

有機酸濃度(mg/100ml)

酢酸 乳酸 クエン酸

  4  まとめ 

製餡工程から排出される小豆や手亡豆の煮汁と種皮及 び味噌製造工程から排出される大豆煮汁の成分分析,酵 素処理,乳酸発酵について検討した。 

大豆煮汁には栄養分が3%含まれていたが,小豆煮汁,

手亡豆煮汁には0.23%以下しか含まれていなかった。小 豆種皮,手亡種皮の主成分は炭水化物(82,76%)と蛋白 質(15,18%)であった。次にこれら副産物の機能性検索 のうち,抗酸化性試験(in vitro)を行ったところ,小豆 種皮及び煮汁,大豆煮汁に,高いものでDPPHラジカル消 去能79〜81%,BHA10ppm溶液相当の抗酸化性が認められ た。次に種皮縣濁液(5〜11%)のヘミセルラーゼやペプチ ダーゼ系の酵素処理を検討した。その結果,糖が液中に 遊離され,この酵素処理液及び無処理液に乳酸菌を添加 し発酵試験を行ったところ,無処理液ではわずかしか発 酵が認められないが処理液では発酵が盛になることが分 かった。 

 

5  参考文献 

1)古田正範ほか:福岡県工業技術センター研究報告, 

No.14(2004),p.39-42(2004) 

2)宮川雄太他4名:流木木酢液ベンゼン抽出物の燻臭  成 分とその抗酸化性,日本食品工業学会誌,Vol.50, 

No.11,p.531-532 

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