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複数状態を有するカオス回路の結合系にみられる同期モード

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Academic year: 2021

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(1)

複数状態を有するカオス回路の結合系にみられる同期モード

Several Synchronization Modes in Coupled Multi-State Chaotic Circuits 和田 昌浩1

Masahiro Wada 西尾 芳文2

Yoshifumi Nishio 甲南大学理工学部情報システム工学科1

Dept. of Information Science and Systems Engineering, Konan University 徳島大学工学部電気電子工学科2

Dept. of Electrical and Electronic Engineering, Tokushima University

1 まえがき

複数の状態を持つシステムは,大規模結合系では様々 な自然界の現象を説明する上で重要である.また,複雑 系においては同一パラメータでも多くの状態が共存する ことが知られている.そこで,従来のカオス回路を改良 し,カオス振動と周期振動を同一パラメータで共存する ようなカオス回路を提案する.本研究では,このような 複数状態が共存する複数のカオス回路をインダクタによ り環状に結合した系にみられる幾つかの同期モードにつ いて調査した.

2 回路モデル

図1は,今回提案するカオス回路と,それをインダク タL0を用いて環状に結合した系である.回路方程式か ら微分方程式を導出するにあたり,L0L1k でできる ループにKCLを用いると回路方程式が縮退し,それぞ れの回路について3次元の微分方程式で記述できる.従 来のカオス回路は,3次元の微分方程式および1つの非 線形素子にて構成されていたが[1],ここでは,負性抵 抗にあたる NR を区分線形抵抗に置き換えることによ り,多状態カオス回路を設計する.提案する回路は,適 当な変数変換を施すと,次の回路方程式で与えられる.





˙

xk = zk

˙

yk = β¡

zkf(yk)¢

˙

zk = α(xk−12xk+xk+1)

−(xk+yk)h(zk)

(1)

f(yk) = 1 2

©|δyk+ 1| − |δyk1|ª

(2)

ここで,カオス回路の数をNとすれば,k= 1, . . . , N, x0 =xN である.従来,(1)において h(z)−γz で あったが,負性抵抗を構成する回路を次のような区分線 形抵抗で再構成する.

h(z) =m0γz+γ 2

©(m0−m1)¡

|z−Bp2|−|z+Bp2|¢

+(m1−m2)¡

|z−Bp1|−|z+Bp1|¢ª (3)

また,この回路は同一パラメータで,カオス振動と周期 振動の2つの状態を呈するので,これを多状態カオス回

路(以下,MSCC)と呼ぶ.実際の回路を用いた実験で

も2つの状態が共存する現象が確認できる[2].区分線 形抵抗の設計を変更すれば,さらに多くの状態を共存さ せることが可能である.

3 シミュレーション

このMSCCを複数個結合した回路に見られる幾つか の同期モードを数値計算によって示す.数値計算は,4 次のルンゲ・クッタ法を用いて行った.

(1) N = 2のとき

適切なパラメータを選ぶと,次の4つの同期モード が観測された.(a)周期振動の同期,(b)周期振動の 逆相同期,(c)カオス振動の逆相モード,(d)カオス 振動と周期振動を繰り返すダブルモード,の4種類

C C1

L0 L0

L0

L0 L0

C Ck

C C2

C CN

L0

v1

vk

v2

vN

図1 回路モデルと環状結合系

図2 N=3の場合のシミュレーション結果の一例.

であった.また,γが大きくなると,カオス状態が 消滅し周期振動のみとなる現象も確認された[2].

(2) N = 3のとき

パラメータをα= 0.50,β = 10.0,γ= 0.68,δ= 100 とし,区分線形抵抗の構成として,[Bp1,Bp2,m0, m1,m2] = [0.35, 0.55, -1.0, 0.65, -0.2]を選んだ.こ の場合,次の現象が確認できた.(a)周期振動の3相 同期,(b)周期振動の逆相同期,(c)カオス振動と周 期振動を繰り返すダブルモード,(d)2種類の周期振 動が混在するもの,などが確認された.すべての同 期モードは,初期値の違いのみであるため,初期値 依存性を調べることは重要である.シミュレーショ ン結果の一例を図2に示す.これはカオス振動と周 期振動とが繰り返し起こるダブルモードカオス状態 であると考えられる.

(3) N 4のとき

結合数Nが偶数と奇数では,周期振動の同期モード は若干異なることに注意する.周期振動の場合は,従 来の発振器の結合系と同様の現象が得られるものと 考えられる.また,Nが大きいときは,発振器の結 合系などにみられる位相波の伝播現象が確認された.

これ以外の興味深い現象が確認されることも考えら れる.

4 まとめ

本研究では,多状態を有するカオス回路をインダクタ で結合した系にみられる様々な同期モードについて調査 を行った.同一パラメータであっても,幾つかの同期モー ドが共存することを明らかにした.

参考文献[1] Y.Nishio, A.Ushida,IEICE Trans., vol. E78-A, no. 5, pp. 608–617, 1995.

[2] M.Wada, Y.Nishio, inProc. of NCSP’04, pp. 535–538, 2003.

49

A-2-16

2004 年電子情報通信学会基礎・境界ソサイエティ大会

参照

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