• 検索結果がありません。

特定の課題に関する調査(理科) 結果のポイント

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "特定の課題に関する調査(理科) 結果のポイント"

Copied!
157
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

特定の課題に関する調査(理科) 結果のポイント

【調査の概要】

「観察・実験に関する調査」を実施

● 予想や推論を立て,それを確かめるための観察や実験方法を考案し,

観察や実験の結果から実際の結論を導き出す力を把握する調査を実施。

● 観察・実験における技能面に焦点をあてた調査も実施。

● 理科学習に対する意識や学習習慣などに関する質問紙調査も実施。

「観察・実験に関する調査」を実施

● 予想や推論を立て,それを確かめるための観察や実験方法を考案し,

観察や実験の結果から実際の結論を導き出す力を把握する調査を実施。

● 観察・実験における技能面に焦点をあてた調査も実施。

● 理科学習に対する意識や学習習慣などに関する質問紙調査も実施。

■ 調査対象学年/小学校第5学年

及び

中学校第2学年

■ 調査実施日/平成18年1月~2月

■ 調査実施学校数及び児童生徒数/小学校111校3,284人,中学校100校3,196人

(このうち,観察・実験を伴う調査を小・中学校 各10校で実施)

■ 調査内容

小学校 ビデオを用いた調査 : 物の溶け方,植物の発芽と成長,流れる水の働き 観察・実験を伴う調査 : 物の溶け方,植物の発芽と成長

中学校 ビデオを用いた調査 : 植物の生活と種類,身の回りの物質,電流とその利用,天気とその変化 観察・実験を伴う調査 : 電流とその利用 ,植物の生活と種類,動物の生活と種類

● 提示した事物や事象を把握することはできるが,見通しをもって,自 ら観察・実験の方法を考案することに課題。

● 観察・実験の結果やデータを読み取ることはできるが,観察・実験の 結果やデータを基にして考察し,結論を導き出すことに課題。

● 観察・実験が好きな児童生徒の割合は80%以上と高い傾向。

結果のポイント 結果のポイント

■ ビデオを用いた観察・実験に関する調査(調査A) ■ 観察・実験を伴う調査(調査B)

質問紙調査(児童生徒及び教師)も実施

<中学校 電気回路を組み立てる生徒の様子>

<小学校 植物の発芽に関する問題例(ビデオ映像)>

1

(2)

ビデオを用いた観察・実験に関する調査

<問題の概要>

インゲンマメの発芽の条件についての話し合いと実験の映像を見て,仮説を確 かめる実験方法を計画し,予想と実際の結果を判断して仮説と実験の結果から 結論を考察する問題

発芽実験の考案実験結果の予想実験結果の読み取り実験結果からの結論

- 小学校5年 植物の発芽と成長

(A2)

問題 例 問題 例

1と3のカードを 選択

正答

86.6%

正答率

調査結果

1と3のカードを 選択し,1を○,

3を○と解答 正答

69.2%

正答率

調査結果

考えを「正しくな かった」とし,理 由を「発芽に肥 料は必要ない」

という趣旨で解

正答

39.0%

正答率

調査結果

10.1%

「発芽に水,空気,適当な温度など,肥料 以外の条件が必要」

15.1%

「発芽に肥料は必要」

11.9%

○実験結果に触れずに,「発芽に肥 料は 必要ない」

31.5%

◎実験結果に触れながら,「発芽に肥料は 必要ない」

理由

38.5%

正しかった

61.3%

◎正しくなかった 考え

主な解答状況

● 実験結果の読み取りはできるが,実験結果を用いて考察することに課題。

● 実験結果の読み取りはできるが,実験結果を用いて考察することに課題。

1と3のカードを 選択し,1を×,

3を○と解答 正答

68.4%

正答率

調査結果 仮説:太郎 「ぼくは,発芽には

肥料が必要だと思います。」 1 2

3 4

【4枚の実験カード】

考え・理由ともに正答

(3)

<問題の概要>

シャープペンシルの芯を並列にした回路に電流を流す映像を見て,回路を流れ る電流の大きさについて考察し,また,電流によるシャープペンシルの芯の発熱,

燃焼の実験を通して,シャープペンシルの芯を使った電球を長く輝かせる条件や 工夫などについて考察する問題

- 中学校2年 電流とその利用

(A3)

- 問題 例 問題 例

電流の値の読み取り配線からの電流の予想切れた原因の推測長く輝かせる工夫

77.5%

7.8%

85.3%

正答率

1.2A

1.21A~1.23A 正答

調査結果

値,理由 ともに正 正答

60.0%

正答率

調査結果

正答 正答 正答

71.0%

電流計1と電流計2の値の和 電流計3

37.3%

「並列であるから」または「電流計1と電流計 2の値の和が電流計3の値であるから」

29.4%

「並列回路であるため電流計1と電流計2の 値の和が電流計3の値であるから」

理由

82.1%

電流計1と同じ値 電流計2

主な解答状況

26.0%

「空気(酸素)にふれる から」

正答

56.2%

30.2%

「(酸素と反応して)燃焼 してしまうから」

正答率

調査結果

12.6%

「酸素が少ない状態にする(ビンを小さくするなど)」

正答

40.3%

27.7%

「酸素がない状態にする(容器内を真空状態にする,容 器内の空気をぬく,不燃性の気体で満たすなど)」

正答率

調査結果

● 電流計の値の読み取りはできるが,科学的な根拠を明確にして表現する ことに課題。

● 新しい場面に既習の知識を関連付けて,実験方法を企画することに課題。

● 電流計の値の読み取りはできるが,科学的な根拠を明確にして表現する ことに課題。

● 新しい場面に既習の知識を関連付けて,実験方法を企画することに課題。

・問(3)正答者の約4割が問(4)で誤答

・ 予

値・理由ともに正答

3

(4)

正答例

【参考】 観察・実験における技能面に焦点をあてた調査

<問題の概要>

回路図をみて,電球と電池からなる回路を実際 に組み立て,回路中に電流計を接続し,電流を 読み取る,実技問題

- 中学校2年 電流とその利用

(B1)

問題 例 問題 例

<電気回路を組み立てる生徒の様子>

回路の 製作 電流の 読 み 取 り

<回路図>

使用するもの:ソケット付き豆電球2個,ホルダー付 き乾電池1個,クリップ付き導線8本

(赤・黒),端子(ターミナル)2個

17.5%

示した回路図と+と-が 逆向きに接続 正答

豆電球を直列に接続 2.9%

誤答

87.8%

70.3%

示した図のように,豆電球 を並列に接続

正答率

調査結果

○ はじめに,次のような回路(前問の正答)を作成

<問題>

回路の豆電球1個(ど ちらか一方)に流れる電 流を測り,その値を書き なさい

使用するもの:

直流電流計 クリップ付き導線

接続,電 流値とも に正答 正答

43.4%

正答率 調査結果

誤答

正答 正答

豆電球と並列に電流計を接続

15.2%

一つの豆電球に流れる電流が測定できるように電流計を接続しており,

5Aの端子に接続など

20.7%

32.4%

一つの豆電球に流れる電流が測定できるように電流計を接続しており,

電流計の適切な端子(500mA)に正しい向きで接続

47.5%

電流を正しく読み取っているもの 電流値

接続

主な解答状況

<問題>回路図のとおりに実際に回路を作りな さい。

※小中学校各10校で実施

(5)

● 問題を解決するための観察,

実験の方法を考えることに課 題

● 観察,実験の結果やデータ を基に考察を深めたり,結論を 導くことに課題

● 観察,実験に関する用語の 理解や技能の習得に課題

● 問題を解決するための観察,

実験の方法を考えることに課 題

● 観察,実験の結果やデータ を基に考察を深めたり,結論を 導くことに課題

● 観察,実験に関する用語の 理解や技能の習得に課題

● 自然の事物・現象について 観察の視点や実験における条 件について考える機会の確保

● 観察,実験の結果を予想や 仮説と照らし合わせ,考察,結 論を考えさせる指導

● 児童一人一人が観察,実験 の手続きや操作の意味を理解 し,用語や技能の習得を図る 指導の工夫

● 自然の事物・現象について 観察の視点や実験における条 件について考える機会の確保

● 観察,実験の結果を予想や 仮説と照らし合わせ,考察,結 論を考えさせる指導

● 児童一人一人が観察,実験 の手続きや操作の意味を理解 し,用語や技能の習得を図る 指導の工夫

● 問題を解決するための実験 方法を考えることに課題

● 観察,実験の結果や提示さ れたデータに基づいて考察す ることに課題

● 実験器具の正しい使い方や 測定器具の目盛りの読み取り に課題

● 質量の保存など,概念の理 解を深めることに課題

● 問題を解決するための実験 方法を考えることに課題

● 観察,実験の結果や提示さ れたデータに基づいて考察す ることに課題

● 実験器具の正しい使い方や 測定器具の目盛りの読み取り に課題

● 質量の保存など,概念の理 解を深めることに課題

● 生徒自身が実験の方法を考 え,結果を予想するための機 会の確保

● 観察,実験のねらいと結果を 対比させた考察と,考察の見 直しをさせる指導の工夫

● 生徒一人一人が実験操作を 経験できるようにする工夫や 相互評価の導入

● 既習事項との関連を踏まえ た計画的な指導やモデル等を 利用した指導の工夫

● 生徒自身が実験の方法を考 え,結果を予想するための機 会の確保

● 観察,実験のねらいと結果を 対比させた考察と,考察の見 直しをさせる指導の工夫

● 生徒一人一人が実験操作を 経験できるようにする工夫や 相互評価の導入

● 既習事項との関連を踏まえ た計画的な指導やモデル等を 利用した指導の工夫

小学校 小学校 中学校 中学校

調査結果における主な課題 指導の改善の具体策

今回の調査結果と指導改善の具体策

5

(6)

これまでの特定の課題に関する調査

(参考)

19年1月,2月実施

19年11月実施 18年1~2月実施 17年11~12月実施

17年1月,2月実施

実施教科・内容

国語

小4~中3 複数学年に共通問題を出題

漢字の読み書き(読み50字,書き50字)

長文記述 (小400~800字,中600~800字記述)

-主な結果-

漢字の読み書きともに,学年進行に伴い定着

自分の考えが明確な段落を構成することに課題

国語

小4~中3 複数学年に共通問題を出題

漢字の読み書き(読み50字,書き50字)

長文記述 (小400~800字,中600~800字記述)

-主な結果-

漢字の読み書きともに,学年進行に伴い定着

自分の考えが明確な段落を構成することに課題

英語

中3

話すこと(コンピュータを用いた調査)

-主な結果-

基本的な単語の発音及び発話,日常生活に関わる定型表現を用いた応答は良好

自分の考えや気持ちを聞き手に伝わるように話す力に課題

英語

中3

話すこと(コンピュータを用いた調査)

-主な結果-

基本的な単語の発音及び発話,日常生活に関わる定型表現を用いた応答は良好

自分の考えや気持ちを聞き手に伝わるように話す力に課題

算数・数学

小4~中3 複数学年に共通問題を出題

■ 「数学的に考える力」に関する調査

■ 「計算に関する力」に関する調査

-主な結果-

複数学年の共通問題は,学年進行に伴い定着

論理的に考えることに課題

四則計算における乗除先行の理解が不十分

算数・数学

小4~中3 複数学年に共通問題を出題

数学的に考える力」に関する調査

計算に関する力」に関する調査

-主な結果-

複数学年の共通問題は,学年進行に伴い定着

論理的に考えることに課題

四則計算における乗除先行の理解が不十分

理科

小5,中2

観察・実験に関する調査(ビデオを用いた調査,実技調査)

-主な結果-

提示した事物や事象を把握することはできるが,課題を解決する ために,自ら観察・実験を考案することに課題

観察・実験の結果やデータを読み取ることはできるが,観察・実験 の結果やデータを基にして考察し,結論を導き出すことに課題

理科

小5,中2

観察・実験に関する調査(ビデオを用いた調査,実技調査)

-主な結果-

提示した事物や事象を把握することはできるが,課題を解決する ために,自ら観察・実験を考案することに課題

観察・実験の結果やデータを読み取ることはできるが,観察・実験 の結果やデータを基にして考察し,結論を導き出すことに課題

社会

小6,中3

小学校2種類,中学校3種類(地理・歴史・公民的分野)

社会科における基礎・基本となる知識・概念の実現状況

問題解決的な学習の実現状況(資料集などを活用した調査)

社会

小6,中3

小学校2種類,中学校3種類(地理・歴史・公民的分野)

社会科における基礎・基本となる知識・概念の実現状況

問題解決的な学習の実現状況(資料集などを活用した調査)

技術・家庭

中3

技術分野:材料加工,情報技術の2種類 家庭分野:食生活,衣生活,幼児理解の3種類

技術・家庭における基礎・基本となる知識・概念,生活活用能力の実現状況

(ペーパーテスト)

技術・家庭における基礎・基本となる技能の実現状況(実技調査)

技術・家庭

中3

技術分野:材料加工,情報技術の2種類 家庭分野:食生活,衣生活,幼児理解の3種類

技術・家庭における基礎・基本となる知識・概念,生活活用能力の実現状況

(ペーパーテスト)

技術・家庭における基礎・基本となる技能の実現状況(実技調査)

児童生徒の総合的な学力の実現状況を把握するため,教育課程実施状況調査の枠組みでは把握

が難しい課題について調査を実施。

(7)

Ⅰ 調査の概要

1 調査の趣旨

特定の課題に関する調査は,平成15年10月7日の中央教育審議会答申「初等中等教育におけ る当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について」において提言され,児童生徒の学力の 総合的な状況を把握するために,従来から実施してきた「教育課程実施状況調査」の枠組では 把握が難しい内容について調査研究を行い,今後の教育課程や学校における指導の改善に資す るものである。

具体的な内容については,中央教育審議会のもとに設置された教科別専門部会から次のよう に提案されている。

〔理 科〕

○ 予想や推論を立て,それを確かめるための観察や実験方法を考案し,観察や実験の結 果から実際の結論を導き出す力を把握する調査

○ 観察,実験における技能面に焦点をあてた調査

○ 教師の指導の実態についての調査(児童生徒の主体的な活動を促進するための工夫や 日常生活との関連を高める工夫をどのように行っているか,問題解決的な学習をどのよ うに行っているか,等)

以上を踏まえて,国立教育政策研究所(以下「研究所」という。)が委嘱した「特定の課題 に関する調査(理科)」の企画委員会及び問題作成委員会において,教科別専門部会からの提 案や過去の教育課程実施状況調査の結果等を併せて検討した結果,児童生徒の観察,実験に関 する学習の実現状況に焦点をあてて調査を行うこととした。

2 調査の内容

観察,実験に関する学習の調査では,特に次の3点の把握をねらいとし,またこれらを通し て,観察,実験に関する児童生徒の問題解決の能力を把握することも目指した。

(1) 問題を見いだし,その問題を解決するための観察・実験の方法を考案する能力

児童生徒が,自然の事物・事象に関心をもち,自分で問題を見いだし,問題に対して予想 や仮説,構想をもち,それらを基に,問題を解決するための観察や実験の方法を考案する能 力であり,主に,観察,実験を実施するまでの学習活動にかかわる能力である。

(2) 観察・実験の結果やデータに基づいて考察する能力

児童生徒が,観察,実験の結果やデータと自分の予想や仮説,構想とを比較したり,自然 の事物・事象の性質や法則性を発見したり,観察,実験を振り返り,それらを見直し,再び 次の問題解決の方法を考案する能力であり,主に,観察,実験後のデータを基にした学習活 動にかかわる能力である。

(8)

(3) 観察・実験に関する技能・表現の能力

児童生徒が,観察,実験を行うための基礎的な知識と技能を身に付けるとともに,科学的 な見方や考え方をもって自分の考えを導き出し,表現する能力であり,主に,観察,実験の 実施にかかわる能力である。

理科のこれらの能力や技能を把握するためには,本来,観察,実験などを児童生徒に直接実 施させる実技形式の調査が望ましいが,観察,実験には,長時間を要すること,各学校で揃え ている測定機器がまちまちであること,同品質の教材を多数確保する必要があることなどを考 慮すると,実施には困難が予想される。

一方,通常のペーパーテストのように,文章を用いて観察,実験の場面を再現するのにも困 難が伴う。観察や実験の状況を詳細に示そうとすればするほど,文章量は増え,児童生徒にと っては読むだけでも大きな負担となってしまうことが予想される。反対に文章を簡潔にすれば,

観察や実験の十分な描写がなされていないために誤解が生じるなど,本来の児童生徒の観察,

実験に関する能力をみることに支障が生じることも予想される。

そこで,両者の困難点を回避するために,クラスの友人とともに自らが観察,実験している ような状況を見せることにより,設問に対する興味を高めるとともに,実際に行っている観察 や実験の様子を的確に伝えることができるよう,ビデオ映像を使っての出題を行うこととした。

ただし,「(3)観察・実験に関する技能・表現の能力」における観察,実験に関する技能面の 調査では,調査内容を補完する目的で,対象児童生徒の人数を限定して,児童生徒が実際に,

実験器具の操作や電流回路の組み立て,測定やデータ処理などの実技を行い,観察,実験の基 本的な技能や,結果やデータの処理に関する能力を把握することを目指した。

さらに,上記の映像による調査(調査A)や実技調査(調査B)に加えて,児童生徒及び教 師に対する質問紙調査を実施し,実際の観察,実験における児童生徒の理科の学習に対する意 識,教師の指導方法や指導形態などの指導の実際について把握することとした。

3 調査対象学年,調査実施期間

対象学年 実施期間

小学校 第5学年 平成18年1月16日(月)~2月9日(木)

中学校* 第2学年 平成18年1月13日(金)~2月13日(月)

(*中等教育学校前期課程を含む。以下同じ。)

4 調査対象の抽出

ビデオを用いた観察・実験に関するペーパーテスト調査(調査A)の対象については,小学 校第5学年及び中学校第2学年の児童生徒につき,それぞれ3,000人の調査結果を得ることと して,全国の国公私立の小・中学校から無作為に抽出した調査対象学校における小学校第5学 年及び中学校第2学年の全学級の中から,研究所が示す方法によりそれぞれ1学級を抽出し,

その学級の児童生徒全員を調査対象とした。

観察・実験を伴う調査(調査B)については,調査Aの対象校の中から研究所が指定した学 校のみで実施した。

(9)

5 調査実施学校数及び児童生徒数

調査の種類 学校数 児童生徒数

ビデオを用いた観察・実験に関する 小学校 111 3,284 ペーパーテスト調査(調査A) 中学校 100 3,196 観察・実験の技能,結果やデータの 小学校 10 323 処理に関する調査(調査B) 中学校 10 343 6 実施方法

調査対象学校において,次の方法で調査を実施した。

(1) ビデオを用いた観察・実験に関するペーパーテスト調査(調査A)

調査問題はビデオ映像により学級単位で提示し,児童生徒はビデオ映像を視聴しながら,

映像の指示に従って,配布された1冊の調査問題冊子に解答を記述する形式で調査を行った。

調査時間は小学校第5学年で45分,中学校第2学年で50分とした。

<小学校 植物の発芽に関する問題例(ビデオ映像)>

(2) 観察・実験の技能,結果やデータの処理に関する調査(調査B)

この調査は,調査Aの対象校の中から,研究所が指定した一部の学校のみで実施した。調 査の実施に当たって,研究所が問題作成委員の中から調査実施委員を任命し,児童生徒は調 査実施委員の指示に従って実験や作業を行った。小学校第5学年,中学校第2学年ともに20 分ずつ2種類の調査を合計40分実施した。

<中学校 電気回路を組み立てる生徒の様子>

(10)

(3) 児童生徒質問紙調査

調査対象学級の児童生徒に対し,理科の学習に対する意識について調査した。調査時間は,

小学校第5学年,中学校第2学年ともに約20分とした。

(4) 教師質問紙調査

調査対象学級で理科の指導を行っている教員を対象として,指導方法や指導形態など,指 導の実際について調査した。

【問題の構成,調査時間】

調査の種類 出題内容 時間

小 ビデオを用いた観察・実験に関する 1 物の溶け方

学 ペーパーテスト調査(調査A) 2 植物の発芽と成長 45分

校 3 流れる水の働き

第 観察・実験の技能,結果やデータの 11 物の溶け方

5 処理に関する調査(調査B) 21 植物の発芽と成長 40分 学

中 ビデオを用いた観察・実験に関する 1 植物の生活と種類

学 ペーパーテスト調査(調査A) 2 身の回りの物質 50分

校 3 電流とその利用

第 4 天気とその変化

2 観察・実験の技能,結果やデータの 11 電流とその利用

学 処理に関する調査(調査B) 21,2 植物の生活と種類 40分

年 23 動物の生活と種類

児童生徒に対する調査については,調査A,調査B(調査Bの実施校のみ),児童生徒 質問紙の順で調査を実施した。

7 評価

ビデオを用いた観察・実験に関するペーパーテスト調査(調査A)の採点について,まず,

児童生徒の解答を,問題ごとに研究所が設定した解答類型の番号に置き換える作業を各学校の 理科担当の教員が行い,集計を研究所が行った。

観察・実験を伴う調査の採点について,研究所が派遣した調査実施委員が児童生徒による実 験の様子の直接観察による評価を行い,また,結果の記述を基にした評価並びにそれらの評価 を解答類型の番号に置き換える作業と集計を研究所が行った。

(11)

Ⅱ 調査結果

小学校

1 ビデオを用いた観察・実験に関するペーパーテスト調査(調査A)

(1) 物の溶け方(調査A1)

ア 出題のねらい

食塩が水に溶ける現象を観察して,気付いたことを挙げることや,溶け残った食塩を溶 かす実験方法について,条件に着目して実験の計画を考えたり結果を考察したりすること,

物が水に溶けても,水と物を合わせた重さは変わらないことを考察したりすることができ るかどうかを把握する。

イ 問題の構成

問題番号 小問ごとのねらい 能力 学習指導要領

① ② ③ との関連 A1 (1) 食塩が水に溶ける現象を観察し,溶け方 ○ *5年B(1)ア 物の溶け方 に関する気付きを列挙することができる。

(2) 溶け残った食塩を溶かすための条件につ ○ *5年B(1)イ いて,考察することができる。

(3) 溶け残った食塩を溶かすための実験方法 ○ *5年B(1)イ を考案することができる。

(4) 食塩が水に溶けるときに,水に溶ける前 ※ *5年B(1)ウ と水に溶けた後で全体の重さがどうなる

かを考え,表現することができる。

※A1(4)は中学校A2(1)と共通の問題となるように出題した。

*5年B 物質とエネルギー

(1) 物を水に溶かし,水の温度や量による溶け方の違いを調べ,物の溶け方の規則性についての考え をもつようにする。

物が水に溶ける量には限度があること。

物が水に溶ける量は水の量や温度,溶ける物によって違うこと。また,この性質を利用して,

溶けている物を取り出すことができること。

物が水に溶けても,水と物とを合わせた重さは変わらないこと。

特定の課題に関する調査(理科)で把握しようとする能力

① 問題を見いだし,その問題を解決するための観察・実験の方法を考案する能力

② 観察・実験の結果やデータに基づいて考察する能力

③ 観察・実験に関する技能・表現の能力 ウ 小問ごとの分析結果

≪A1(1)≫

(ア) 問題の概要

水の入った透明な容器の中に,さじで1杯から25杯まで食塩を入れていく実験を行う 映像を見て,食塩の溶け方について気付いたことを書かせる問題である。解答時間は3 分で,解答欄に箇条書きでできるだけ多く書かせることとしている。

(12)

【ビデオ映像の展開】

ビデオ映像 ナレーション(抜粋)

・水の入った透明な容器の中に食塩を入れていきま す。映像を見て次の問いに答えましょう。

・太郎さんと花子さんは,水の入った透明な容器に食 塩を入れていきます。そのときの容器の中の様子を 観察しましょう。

・1杯目です。

・15杯目です。

・25杯目です。

・映像をみていて,食塩の溶け方について気が付いた ことを問(1)の四角の中に書きましょう。箇条書き にして,できるだけたくさん書きましょう。

・もう一度映像を流します。解答できる人は答えを書 き始めましょう。

(イ) 調査問題

1 太郎さんと花子さんは,水の入ったとうめいな容器の中に,食塩を入れていき ます。映像をみて答えましょう。

(1) 映像をみて,食塩の溶け方について気がついたことを,下の の中に できるだけたくさん書きましょう。

(13)

(ウ) 調査結果

本問の通過率は,95.7%であった。その詳細は,下表のとおりである。

【正答及び反応率】

問題 類型 反応率

番号 (◎:正答) (%)

A1 ・次表の「ア」から「オ」のいずれかに該当する場合 ◎1 95.7 (1) ・次表の「ア」から「オ」に該当する記述がなく,「カ」 2 1.7

に該当する記述がある場合

・上記以外の解答のみの記述の場合 9 2.0

・無解答 0 0.6

【解答類型ごとの反応率】

問題 解答類型 反応率

番号 (%)

A1 ア ・「食塩が溶け,途中で見えなくなる」という趣旨で解答して 54.2 (1) いるもの

(例)食塩が途中で消えた,

食塩が溶けて,途中で見えなくなった等

イ ・「白く濁っていく」という趣旨で解答しているもの 28.5

(例)食塩の量が増えるにつれて上の方が白く濁っている,

向こうが見えなくなっていく等

ウ ・「食塩が溶けにくくなる(溶けなくなる)」という趣旨で解答 85.9 しているもの

(例)食塩が下にたまっている,下に白い粒が見える等

エ ・「水かさが増えている」という趣旨で解答しているもの 1.4

(例)液面が上がっている,水かさが増えている等

オ ・食塩の粒が沈みながら,食塩水がゆらいで見えることについ 6.7 て解答しているもの

(例)ゆらゆらとして見える等

カ ・食塩の粒が沈んでいく様子について解答しているもの 26.2

(例)ぐるぐる回って落ちていく,広がりながら動いている,

粒がきらきら光って見えた等

キ ・上記以外の解答 (例)空気の粒が見えた等 29.6

【解答類型についての正答数ごとの解答者数】

正答数 0 1 2 3 4 5以上 無解答 全体 人数(人) 123 1,023 1,615 468 36 0 19 3,284 割合(%) 3.7 31.2 49.2 14.3 1.1 0.0 0.6 100.0

(エ) 分析・考察

○ 多くの児童が映像から溶解に関する現象を読み取ることができる

本問では,溶ける様子を1つ以上記述できたものを正答としているが,2つ挙げた 児童が最も多く49.2%,次が1つ挙げた児童で31.2%,3つ以上挙げた児童は15.3%

であり,通過率は95.7%であった。

(14)

児童はできるだけ多くの気付いたことを書いているが,解答類型ごとの反応率をみ ると,「食塩が溶けにくくなる(溶けなくなる)」という趣旨で解答しているもの(解 答類型ウ)が85.9%,「食塩が溶け,途中で見えなくなる」という趣旨で解答してい るもの(解答類型ア)が54.2%,「白く濁っていく」という趣旨で解答しているもの

(解答類型イ)が28.5%と多くみられた。

実際の児童の記述をみると,「食塩が溶けにくくなる(溶けなくなる)」という趣 旨で解答しているもの(解答類型ウ)では,溶ける様子を「1杯目は・・・,15杯目 は・・・。」と時系列で比較しながら気付きを記述している解答が多くみられた。食 塩をさじで25杯溶かし,溶け残りが出る過程をビデオ映像で順に示したことにより,

溶解の限度を意識しやすくなったものと考えられる。また,食塩が溶けにくくなる過 程を「溶けるスピードがおそくなる」「溶ける速さがおそくなる」という言葉で表現 しており,時間の流れの中で事象の変化を連続的にとらえていることがうかがえる。

「食塩が溶け,途中で見えなくなる」という趣旨で解答しているもの(解答類型ア)

では,「すぐに」,「早く」,「だんだんと」という言葉を使いながら溶ける様子を説明 している記述が多くみられ,食塩を水に溶かす実験では,時間的なイメージをもちな がら現象を見ていると考えられる。また,「下に行きながら」,「真ん中くらいで」と いう位置に関する記述もみられ,空間的なイメージをもちながら観察していることも 考えられる。さらに,食塩が水に溶けて見えなくなった状態については,「見えなく なる」という視覚的な表現が多く,「透きとおって」,「透明」という現象を表現する ような言葉を使った記述は少なかった。

食塩の粒が沈みながら,食塩水がゆらいで見えることについて解答しているもの(解 答類型オ)は,シュリーレン現象を表現する「油のようにゆらいだ」,「もやもやが 見えた」などに関する記述を想定した類型であるが,反応率は6.7%と低かった。

「水かさが増えている」という趣旨で解答しているもの(解答類型エ)は,食塩が 溶ける量に伴って変化する水のかさに関する記述を想定したものであるが,反応率は 1.4%と低かった。

≪A1(2),(3)≫

(ア) 問題の概要

本問は,棒ビンに溶け残った食塩を溶かすため,太郎さんがお湯を加えて溶かしたこ とに対して,花子さんが「太郎さんは何を調べたかったのか」と疑問をもつ様子の映像 を見て,はじめに,太郎さんが調べたかった条件について記述させる問題(2)を設定し,

続いて,太郎さんが考えたことを調べるために,どのような実験をすればよいか考え,

<変えない条件>と<実験方法>を図や文で書かせる問題(3)の2つから構成される。

解答時間は(2)と(3)で4分である。

(15)

【ビデオ映像の展開】

ビデオ映像 ナレーション(抜粋)

・映像を見て問(2)と問(3)を解きましょう。

・太郎)「溶け残った食塩を全部溶かしたいなあ。」

・花子)「どうすればいいんだろう。」

・太郎)「そうだ。温度を上げるといいんじゃない。」

・そこで太郎さんは自分の考えが正しいかどうか調 べるために実験をしました。では,実験の様子を 見てみましょう。

・太郎)「じゃあ,お湯を入れてみるね。」

・この実験について,太郎さんと花子さんが話し合 いをしました。

・太郎)「やったぁ!やっぱりぼくの言うとおりだ。

温度を上げると溶けるんだね。」

・花子)「えっ,太郎さんは何を調べたかったのか な。」

・花子さんが「えっ,太郎さんは何を調べたかった のかな。」と言いました。太郎さんが調べたかっ た条件は何でしょうか。

(イ) 調査問題

(2) 映像の中で,太郎さんが調べたかった条件は何でしょうか。その条件を下の の中に書きましょう。

(3) 太郎さんが考えたことを調べるためには,どのような実験をすればよいでしょ うか。あなたの考えた実験について,変えない条件を〔 〕に書き,実 験に使う器具を含めて,実験方法を図や文で下の の中に書きましょう。

◆変えない条件:〔 〕を変えない。

◆実験方法

(16)

(ウ) 調査結果

本問(2)の通過率は47.4%であり,本問(3)の通過率は19.4%であった。それぞれの詳 細は,下表のとおりである。

【正答及び反応率】

問題 類型 反応率

番号 (◎:正答,○:準正答) (%)

A1 ・「温度を上げる」という趣旨で解答しているもの ◎1 47.4 (2) (例)温度,水の温度,温度を変える,温度を上げる

・「水の量を変える」という趣旨で解答しているもの 2 3.8

(例)お湯の量,水の量,お湯(水)の量を変える,

お湯(水)の量を増やす

・「水の量と温度を変える」という趣旨で解答しているも 3 5.1 の (例)温度を上げて水を増やす,お湯を入れる等

・「食塩が溶けること」について解答しているもの 4 34.7

(例)溶けやすさ,溶け方,溶ける量

・上記以外の解答 9 7.7

・無解答 0 1.3

A1 ・「変えない条件」で解答類型1と解答し,「実験方法」 ◎1 6.0 (3) で解答類型1と解答しているもの

・「変えない条件」で解答類型1と解答し,「実験方法」 ○2 13.4 で解答類型2と解答しているもの

・上記以外の解答 9 76.3

・無解答 0 4.3

【解答類型ごとの反応率】

問題 解答類型 反応率

番号 (%)

A1 変 ・「水の量」という趣旨で解答しているもの 1 30.9 (3) え ・「温度」という趣旨で解答しているもの 2 11.7 な ・「水の量と温度」という趣旨で解答しているもの 3 1.9 い ・「溶かし方」という趣旨で解答しているもの 4 3.0

条 ・上記以外の解答 9 42.3

件 ・無解答 0 10.2

・「棒ビンを湯に入れて温める」という趣旨で解答し 1 10.3 実 ているもの

験 ・「ビーカー等に移し替え,アルコールランプ,ガス 2 24.1 方 バーナー,お湯などを使って加熱する」という趣旨

法 で解答しているもの

・「水の量を増やす」という趣旨で解答しているもの 3 5.1

・「お湯を入れる,水の量と温度を変える」という趣 4 30.5 旨で解答しているもの

・「棒ビンをもっとよく振る」という趣旨で解答して 5 3.5 いるもの

・上記以外の解答 9 17.1

・無解答 0 9.5

(17)

(エ) 分析・考察

○ 調べたかった条件に着目できた児童は約5割である

(2)<調べたかった条件>は,食塩を溶かす実験において,溶け残りを溶かすため の実験の条件を問うものであり,太郎さんが調べたかった条件である「温度を上げる」

ということを記述できるかどうかをみる問題である。「温度を上げる」という趣旨で 解答しているもの(解答類型1)が正答であり,通過率は47.4%であった。

解答類型ごとの反応率をみると,「水の量を変える」という趣旨で解答しているも の(解答類型2)は3.8%,「水の量と温度を変える」という趣旨で解答しているもの

(解答類型3)は5.1%で,条件に着目することはできても,正しい条件を挙げるこ とはできていない児童もみられた。

また,「食塩が溶けること」について解答しているもの(解答類型4)は34.7%で あり,その主な内容は,「溶け残った食塩を溶かすにはどうしたらいいのだろう」と いうような太郎さんの疑問自体を記述するものであった。これは実験の目的を理解で きず,「条件」の意味を考えることができなかったものと考えられる。

○ 変えない条件に着目でき,実験方法まで考察できた児童は約2割である

(3)は,溶け残った食塩を溶かすために,変えない条件に着目して実験の方法を図 や文で説明することができるかどうかをみる問題である。はじめに,食塩の溶け方を 調べるために<変えない条件>を記述させ,続いて,食塩の溶け方を調べるための<

実験方法>について記述を行わせた。<変えない条件>,<実験方法>のどちらにも 適切に解答した本問の通過率は19.4%であった。

<変えない条件>

<変えない条件>は,太郎さんが考えた「温度変化による溶け方の違い」を調べる ために,変えない条件である「水の量」を記述できるかどうかをみるものである。

解答類型ごとの反応率をみると,適切な解答である「水の量」という趣旨で解答し ているもの(解答類型1)は30.9%であった。また,「温度」という趣旨で解答して いるもの(解答類型2)は11.7%,「水の量と温度」という趣旨で解答しているもの

(解答類型3)は1.9%,「溶かし方」という趣旨で解答しているもの(解答類型4)

は3.0%であった。「上記以外の解答」は42.3%と多いものであったが,その主な内容 は,「食塩の量」に関する記述であった。

なお,(2)<調べたかった条件>と本問<変えない条件>のどちらにも適切な条件 を解答した児童は19.2%であったことから,<変える条件>と<変えない条件>を整 理して考えることに課題があると考えられる。

A1(2)<調べたかった条件>と(3)<変えない条件>のクロス集計 ( )内は反応数 (3)<変えない条件>

◎解答類型1 解答類型1 計

「水の量」 以外

(2)<調 べた ◎解答類型1「温度」 19.2% (631) 28.1% (924) 47.4%(1,555) かった条件> 解答類型1以外 11.7% (384) 41.0%(1,345) 52.6%(1,729) 計 30.9%(1,015) 69.1%(2,269) 100.0%(3,284)

(18)

<実験方法>

<実験方法>は,太郎さんが考えた「温度変化による溶け方の違い」を調べるため に,条件としての「水の量」を制御した実験方法について,実験に使う器具を含めて 図や文で表すことができるかどうかをみるものである。

解答類型ごとの反応率をみると,適切な解答である「棒ビンを湯に入れて温める」

という趣旨で解答しているもの(解答類型1)は10.3%,同じく適切な解答である「ビ ーカー等に移し替え,アルコールランプ,お湯などを使って加熱する」という趣旨で 解答しているもの(解答類型2)は24.1%であった。また,「水の量を増やす」とい う趣旨で解答しているもの(解答類型3)は5.1%,「お湯を入れる,水の量と温度を 変える」という趣旨で解答しているもの(解答類型4)は30.5%,「棒ビンをもっと よく振る」という趣旨で解答しているもの(解答類型5)は3.5%であった。「水を温 める」すなわち「水の温度を変える」という適切な実験方法を書いたもの(解答類型 1,2)は34.3%であったが,「水の温度」と「水の量」の両方を変えるような実験 方法を書いたものも30.5%みられたため,条件を制御して実験方法を考えることに課 題があると考えられる。

≪A1(4)≫

(ア) 問題の概要

(4)は,棒ビンに入った水100gに,食塩20gを溶かす実験の映像を見て,食塩が溶ける 前と溶けた後の水溶液の重さを選択肢から選ばせ,その理由を書かせる問題である。解 答時間は2分である。

【ビデオ映像の展開】

ビデオ映像 ナレーション(抜粋)

・花子さんは,「水溶液の重さは,食塩が溶ける前と,

比べてどうなるのかな。」という疑問をもちました。

そこで,100gの水に,食塩20gを溶かして調べる ことにしました。

・花子さんが行った実験の結果はどうなりますか。

(19)

・①から④までの中からあなたの考えに近いものを 選んで四角の中に書きましょう。

①100gになる。

②100gより重く,120gより軽い。

③120gになる。

④120gより重い。

また,選んだ理由も書きましょう。ただし,容器 の重さは考えないことにします。

(イ) 調査問題

(4) 花子さんは,食塩がとける前ととけた後の水よう液の重さについて調べました。

食塩がとけた後の水よう液の重さは,どうなりますか。次の①から④までの中か ら,あなたの考えに近いものを1つ選んで, の中に番号を,下の の 中に選んだ理由を,書きましょう。

① 100gになる

② 100gより重く,120gより軽い

③ 120gになる

④ 120gより重い

〔番 号〕

〔理 由〕

(ウ) 調査結果

本問の通過率は,57.4%であった。その詳細は,下表のとおりである。

【正答及び反応率】

問題 類型 反応率

番号 (◎:正答,○:準正答) (%)

A1 ・〔番号〕で解答類型3と解答し,〔理由〕で解答類型3と ◎1 24.0 (4) 解答しているもの

・〔番号〕で解答類型3と解答し,〔理由〕で解答類型4と ○2 33.5 解答しているもの

・上記以外の解答 9 42.5

・無解答 0 0.1

(20)

【解答類型ごとの反応率】

問題 解答類型 反応率

番号 (%)

A1 ・①と解答しているもの 1 13.2

(4) 番 ・②と解答しているもの 2 21.2

・③と解答しているもの 3 63.2

号 ・④と解答しているもの 4 2.1

・上記以外の解答 9 0.1

・無解答 0 0.2

・「食塩は,水に入れると重さがなくなるから」という 1 7.1 理 趣旨で解答しているもの

・「食塩は,水に溶けた分だけ重さがなくなるから」と 2 10.3 由 いう趣旨で解答しているもの

・「食塩は,水に溶けても溶けなくても(全体の)重さ 3 26.9 は変わらないから」という趣旨で解答しているもの

(例)・食塩が溶ける前と溶けた後では重さが変わらな いから

・「混ぜ合わせただけだから」という趣旨で解答してい 4 35.7 るもの (例)・水100gと食塩20gを合わせると,

120gになるから

・「食塩は,水に溶けると水を含んで重くなるから」と 5 2.9 いう趣旨で解答しているもの

(例)・食塩は水に溶けると重くなるから

・上記以外の解答 9 15.6

・無解答 0 1.5

(エ) 分析・考察

○ 質量の保存の考え方が十分に定着していない

本問は,食塩が水に溶けて見えなくなっても,重さは水と食塩を合わせた重さと変 わらないことを理解しているかどうかをみる問題である。具体的には,水100gに食塩 20gを完全に溶かしたときの水溶液の重さの〔番号〕を選択し,その〔理由〕を記述 させるものである。どちらも正答したものが本問の通過率であり,57.4%であった。

〔番号〕の解答類型ごとの反応率をみると,「①(100gになる)と解答しているも の」(解答類型1)は13.2%,「②(100gより重く,120gより軽い)と解答している もの」(解答類型2)は21.2%,「③(120gになる)と解答しているもの(解答類型 3)は63.2%,「④(120gより重い)と解答しているもの」(解答類型4)は2.1%で あった。

3割以上の児童が「100gになる」又は「100gより重く,120gより軽い」を選択して いる。その選択理由をみると,「食塩は溶けるとなくなることと同じだから」,「食塩 は,溶けて液体になると軽くなるから」などの記述が主であった。このことから,質 量の保存の考え方が十分に定着していないことが考えられる。

〔番号〕で解答類型3と解答し,〔理由〕で解答類型3と解答した正答において,

〔理由〕の具体的な記述は,「食塩は溶けて見えなくなっても,水の中にあるので重 さは変わらない」,「食塩は溶けても,なくなったわけではないから全体の重さは変 わらない」というようなものであった。

(21)

〔番号〕で解答類型3と解答し,〔理由〕で解答類型4と解答した準正答の具体的 な記述は,「100g+20g=120gだから」,「水100gと食塩20gを合わせると120gにな るから」というようなものであった。食塩が溶けた後の水溶液の重さについて適切な 番号を選択できても,単に問題を式に置き換えたり,言葉に置き換えることにとどま っている場合は,「溶けて見えなくなっても,食塩自体がなくなったわけではないの で,重さの総和は変わらない」というような具体的なイメージをもって理由付けをす るまで至っていないといえる。

本問と同様の問題を,平成15年度小・中学校教育課程実施状況調査において出題し ている(5年B6(1)(2))。今回の調査の結果はその通過率に近いものであった。

【類似問題 平成15年度小・中学校教育課程実施状況調査 第5学年B6(1),(2)】

太郎さんは,さとうが水にとけるときの重さの変化 を調べました。

右の図のように,水の入ったプリンカップと,紙の 上にのせた10gのさとうをいっしょにはかると,70g でした。

(1) 太郎さんが,下の図のように水の中にさとうを全部入れると,さとうは,す ぐにはとけきれないで,プリンカップの底に少したまりました。このときの重 さはどうなると考えられますか。次の①から④までの中から,あなたの考えに 近いものを1つ選んで,その番号を の中に書きましょう。

ちょうど60gになる

60gから70gの間になる

ちょうど70gになる

70gから80gの間になる

(17

(2) (1)で答えた理由として,次の①から④までの中から,あなたの考えに近いも のを太郎1つ選んで,その番号を の中に書きましょう。

さとうは,水にとけた分だけ重さがなくなるから

さとうは,水に入れると重さがなくなるから

さとうは,水にとけると水をふくんで重くなるから

さとうは,水にとけてもとけなくても全体の重さは

変わらないから (18

【解答類型ごとの反応率】

問題 解答類型 反応率

番号 (◎:正答) (%)

B6 ・①と解答しているもの 1 6.3

(1) ・②と解答しているもの 2 19.4

・③と解答しているもの ◎3 61.1

・④と解答しているもの 4 11.9

・上記以外の解答 9 0.1

・無解答 0 0.2

B6 ・①と解答しているもの 1 11.7

(2) ・②と解答しているもの 2 5.3

・③と解答しているもの 3 21.0

・④と解答しているもの ◎4 60.7

・上記以外の解答 9 0.0

・無解答 0 1.4

(22)

エ 分析結果からみた主な課題と指導上の改善

○ 観察する場と時間を十分に確保し,観察する視点をもてるようにすること

(1)の結果から,多くの児童が時間的な変化や空間的な変化を読み取ることができる ことが分かった。このように,「観察」が学習の重要な要素となる単元においては,時 間を確保し,じっくり観察できる場を設定することが大切である。一方,「かさの変化」

を映像から読み取っている児童が少ないことから,児童が物の溶ける現象を観察する際 の視点について,教師の提示や助言の仕方を工夫する必要がある。例えば,かさの変化 に気付かせるなどの観察する視点を意識させるよう,最初の水面に基準線を入れたり,

液が筒から溢れたりする現象に注意を向けさせたりするなどの提示の工夫が考えられ る。

また,食塩が水に溶けるという現象の理解を充実させるため,その変化の過程を観察 し,児童一人一人に,観察事実を図や文で表現させるようにすることが重要である。

○ 条件を制御する手続きを丁寧に扱うこと

(2)の結果から,実験の目的を理解できず,「条件」の意味を考えることに課題がみら れた。また,(3)の結果から,条件に着目して実験の計画を立てることに課題がみられ た。条件を制御する力を育成するためには,条件を制御する手続きを丁寧に行う必要が ある。考えられる条件を挙げる,変えない条件,変える条件を図や表を用いて整理する などの指導の工夫が考えられる。

児童自らが実験を企画・計画する学習を取り入れ,児童が実験の目的を明確につかむ ような指導の改善が必要である。

○ 現象のモデル化やイメージ化を取り入れることにより,実感を伴って理解させること (4)の結果から,水溶液の正しい重さを選ぶことは6割程度の児童ができたが,質量 の保存について具体的にイメージを伴って説明したものや生活経験から理由を説明した ものは少ないことが分かった。

実験の結果をすぐに「100g+20g=120g」というような式に表したり,「食塩は水に溶 かしても重さは変わらない」というような文で結果をまとめるだけではなく,結果につ いて児童なりの解釈や表現を大切にして,時間をかけて児童が自らの考えをつくってい くような指導を心がける必要がある。

例えば,食塩が溶けて見えなくなっても,味や水量の変化などから水の中に存在する と考えられることを,図や文で表現する活動などを通して,児童が自分の言葉で説明で きるような指導の改善を図ることが大切である。

(23)

(2) 植物の発芽と成長(調査A2)

ア 出題のねらい

植物の発芽に必要な条件について,予想や仮説を確かめる実験方法を計画し,予想や仮 説と実験の結果について考察することができるかどうかを把握する。

イ 問題の構成

問題番号 小問ごとのねらい 能力 学習指導要領

① ② ③ との関連 A2 (1)ア インゲンマメの発芽に必要な条件について ○ *5年A(1)イ 植物の発芽 の予想を確かめるために,条件制御に着目

と成長 した実験方法を計画することができる。

(1)イ 実験の結果を予想することができる。 ○ *5年A(1)イ (1)ウ 実験結果を読み取り,表に記録することが ○ *5年A(1)イ

できる。

(2) 仮説と実験結果について,考察することが ○ *5年A(1)イ できる。

*5年A 生物とその環境

(1) 植物を育て,植物の発芽,成長及び結実の様子を調べ,植物の発芽,成長及び結実とその条件に ついての考えをもつようにする。

植物の発芽には,水,空気及び温度が関係していること。

特定の課題に関する調査(理科)で把握しようとする能力

① 問題を見いだし,その問題を解決するための観察・実験の方法を考案する能力

② 観察・実験の結果やデータに基づいて考察する能力

③ 観察・実験に関する技能・表現の能力 ウ 小問ごとの分析結果

≪A2(1)≫

(ア) 問題の概要

インゲンマメの発芽の条件についての話し合いと確かめの実験についての映像を見 て,一人の児童の考え(「発芽には肥料が必要」)を確かめるために,適切な実験計画 を示した実験カードの組合せを選び出し,その児童の予想や仮説と実際の結果を判断す る問題である。解答時間は合計2分30秒で,解答欄に選んだ実験カードのシールを貼付 させ,予想並びに結果を判断させることとしている。

【ビデオ映像の展開】

ビデオ映像 ナレーション(抜粋)

・先生)「種子が芽を出すために必要な条件は何でしょ う。」

・太郎)「ぼくは,発芽には肥料が必要だと思います。

わけはアサガオを育てたときに肥料を与えたからで す。」

(24)

・話し合いの結果,太郎さんの学級では,発芽には肥料 が必要かどうか実験して確かめることにしました。そ して,発芽に肥料が必要かどうかを調べる方法を,カ ードにまとめることにしました。

【発芽に肥料が必要かどうかを確かめるために,太郎さんの学級で考えた実験カード】

【4つのカードの条件をもとにした実験の1週間後の結果】

(25)

(イ) 調査問題

2 太郎さんは,発芽には「肥料」が必要であると考えました。

(1) 次のア,イ,ウの問いに答えましょう。

ア 太郎さんは,自分の考えを確かめるために,4枚の実験カードの中からど れを選べばよいでしょうか。「肥料」が必要かどうかを確かめられる実験カ ードを2つ選んで,下の記録カードのA,Bのらんにはりましょう。

イ 太郎さんは,選んだ実験の結果をどうなると予想しているでしょうか。「太 郎の予想」のらんに,「発芽する」と予想する場合は○を,「発芽しない」と 予想する場合は×を書きましょう。

ウ 映像をみながら,結果のらんに,選んだ実験カードが発芽した場合は○を,

発芽しなかった場合は×を書きましょう。

〔記録カード〕

ア 実験カード イ 太郎の予想 ウ 結 果

(26)

(ウ) 調査結果

本問の(1)アの通過率は86.6%,(1)イの通過率は68.4%,(1)ウの通過率は69.2%で あった。その詳細は,下表のとおりである。

【正答及び解答類型ごとの反応率】

問題 解答類型 反応率

番号 (◎:正答) (%)

A2 ア ・1と2のカードを選択しているもの 1 1.4 (1) ・1と3のカードを選択しているもの ◎2 86.6

・1と4のカードを選択しているもの 3 2.6

・2と3のカードを選択しているもの 4 3.9

・2と4のカードを選択しているもの 5 0.8

・3と4のカードを選択しているもの 6 3.9

・シールを1枚だけ貼ってあるもの 7 0.5

・上記以外の解答 9 0.2

・無解答 0 0.2

イ ・1と3のカードを選択し,カード1を×,カー ◎1 68.4 ド3を○と解答しているもの

・1と3のカードを選択し,カード1を×,カー 2 1.6 ド3を×と解答しているもの

・1と3のカードを選択し,カード1を○,カー 3 10.7 ド3を○と解答しているもの

・上記以外の解答 9 18.1

・無解答 0 1.1

ウ ・1と2のカードを選択し,カード1を○,カー 1 1.1 ド2を×と解答しているもの

・1と3のカードを選択し,カード1を○,カー ◎2 69.2 ド3を○と解答しているもの

・1と4のカードを選択し,カード1を○,カー 3 1.9 ド4を○と解答しているもの

・2と3のカードを選択し,カード2を×,カー 4 2.8 ド3を○と解答しているもの

・2と4のカードを選択し,カード2を×,カー 5 0.4 ド4を○と解答しているもの

・3と4のカードを選択し,カード3を○,カー 6 2.4 ド4を○と解答しているもの

・上記以外の解答 9 19.7

・無解答 0 2.4

(エ) 分析・考察

○ 発芽の条件を調べるために,条件に着目した実験の計画,それに基づいた実験結果 の予想,実験結果の読み取りはできる

(1)アは,変える条件を肥料の有無とし,変えない条件を水の量など肥料以外の条 件とした実験計画を示した実験カードを選択する問題である。発芽には肥料が必要か どうかを確かめるためには,カード1(日光,水)とカード3(日光,水,肥料)の 組合せが正答である。本問の通過率は86.6%であったが,他の組合せはそれぞれ5%

未満で,無解答も0.2%と低く,多くの児童は,調べる条件だけを変え,他の条件を 変えないで,実験を計画することができたと考えられる。

(27)

イは,太郎さんが選んだ実験で「発芽する」かどうかを予想する問題である。本問 では,前問アでカード1とカード3を正しく選択し,「発芽には肥料が必要である」

という太郎さんの考えに基づき,カード1(日光,水)は「発芽しない」,カード3

(日光,水,肥料)は「発芽する」と予想できたものが正答であるが,通過率は68.4

%であった。「発芽には肥料が必要である」という太郎さんの考えに立って実験結果 を予想することができずに,肥料の有無にかかわらず発芽すると考え,カード1とカ ード3ともに「発芽する」と予想した児童は10.7%であった。

ウは,ビデオ映像から,それぞれの実験結果を読み取る問題である。本問では,前 問イと同様に,アでカード1とカード3を正しく選択し,カード1(日光,水)及び カード3(日光,水,肥料)ともに「発芽する」とビデオ映像から読み取っているも のが正答であり,通過率は69.2%であった。

発芽の条件と調べるための条件に着目した実験カードの選定は約9割,それに基づ いた実験結果の予想と映像からの実験結果の読み取りは,それぞれ約7割の児童がで きるといえる。

≪A2(2)≫

(ア) 問題の概要

(2)では,ビデオ映像の中で一人の児童が示した考えについて,その考えが正しかっ たかどうかを判断させ,その判断理由を記述させる問題である。解答時間は合計3分で,

判断の結果と判断理由を解答欄に書かせることとしている。

【ビデオ映像の展開】

ビデオ映像 ナレーション(抜粋)

・太郎さんは発芽には,肥料が必要であると考えまし た。太郎さんの考えは正しかったでしょうか。正し くなかったでしょうか。

・どちらかを選び,丸で囲みましょう。また,その理 由について実験結果を用いながら,「なぜなら」の 下の四角の中に書きましょう。

(イ) 調査問題

(2) 太郎さんの考えは「正しかった」でしょうか,「正しくなかった」でしょうか。

どちらかを選び,○で囲みましょう。また,その理由について実験結果を用いな がら,「なぜなら」の下の の中に書きましょう。

太郎さんの考えは,

正しかった 正しくなかった

なぜなら,

参照

関連したドキュメント

総回答会社 規模別分類 業種別分類 その他 製造業 一部上場 非製造業 合計 平均 回答数 百分率 回答数 百分率 回答数 百分率 回答数 百分率 社数■ 百分率... 回答数 百分率

ては、「0人」から「5人以上」の6段階とした。い ずれの項目についても、

全回答 131 100.0% 2 週間未満 28 21.4% 2 週間以上 1 ヶ月未満 26 19.8% 1 ヶ月以上 3 ヶ月未満 50 38.2%. 3

場面に応じた計算の仕方の工夫 52.8 67.0 72.2 計算法則や計算のきまりの理解 74.1 58.5 78.7 筆算の手順の理解 71.3 75.5 55.6. 暗算練習 10.2 7.5

12 (2)事業実績評価 収益 不十分の理由(主要国・地域別) 2 図表2-8 収益 不十分理由の推移 中国 インド ASEAN 5 北米

(3)地域の規模等の状況 [英語] 正答数分布グラフ(横軸:正答数,縦軸:生徒の割合) (4)都道府県・指定都市の状況

区分を構成する項目に対する回答を

9 問2 はい いいえ 問1 回答数 割合 回答数 割合 はい 22 91.7% 2 8.3% いいえ 54 71.1% 22 28.9% 総計 76 76.00%