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大規模並列計算を用いた複数の車体構造の 同時設計最適化

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Academic year: 2021

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大規模並列計算を用いた複数の車体構造の 同時設計最適化

1. はじめに

 マツダ(株)では,応答曲面法を用 いて複数の性能(衝突性能,静粛性や 乗り心地など)を満足しながら最軽量 な構造仕様を導出する最適化システム を構築し,車体重量の低減に成功して いる(1).しかしながら,応答曲面法を 用いる場合,衝突性能等の CAE 計算 コストを大幅に削減することは可能で あるが,強い非線形性を持った性能に おいては,近似誤差が充分に小さい応 答曲面を推定することは難しい.よっ て,応答曲面上を進化計算等の最適化 アルゴリズムを用いて探査する場合,

その探査解が最適解かどうか,試行錯 誤の検証が必要である.

 そこで,CAE の実計算結果に基づ く最適化が望ましいが,膨大な計算コ ストがかかり,現状,産業界では難し い.そこに,2012 年度より 10 ペタフ ロップスの計算能力を有するスパコン

「京」(2)が実稼働した.2020 年代前半に は,各産業界のスパコン能力もペタフ ロップス級となる可能性もあり,この 計算能力を有効に活用した設計最適化 に対する期待は大きい.

2. 大規模並列計算を用いた 多目的設計最適化システム

 ものづくりにおける最適化問題は,

目的関数間のトレードオフが潜在的に あることが多い.そこで,そのトレー ドオフ(多目的最適化問題における非 劣解または,パレート最適解)を効率 的に求める必要がある.そのために宇 宙航空研究開発機構が開発した進化計 算ソフトウェア Cheetah(3)を用いて,

スパコン「京」上に構築した基盤最適 化システムの概要を図 1に示す.は じめに初期設計群を作成し,目的関数 と制約条件(衝突性能等)を評価する.

この評価は計算負荷が高いため,スパ コン「京」上で行う.これらの目的関 数値および制約条件値をもとに新しい 設計候補群を Cheetah のアルゴリズ ムにより作成し,同様に目的関数値や 制約条件値を評価する.このプロセス を繰り返すことにより非劣解群を得

る.非劣解が得られた後は,可視化ツー ル,およびデータマイニングを行い,

さらなる改善のための設計知見の獲得 を目指す.

3. 複数車種の車体構造同時設計 最適化の事例紹介

(4)

 代表的な 3 種類の自動車の車体構造 の 74 部品(3 車種で 222 部品)の板 厚を設計変数(図 2)にとり,制約条 件として,代表的な 4 種類の衝突性能,

目的関数として,重量最小化と 3 車種 間の板厚共通化を考慮した大規模多目 的最適化問題として計算を実施する.

進化計算の 1 世代当たりの個体群を 48 にとり,18 世代までの進化結果を 図 3に示す.縦軸が 3 車種の合計重 量で 1 目盛が 5kg を表し,横軸が共 通板厚部品点数で1目盛が5個を表す.

図中の黒色の四角は当社で設計された 初期設計,×印は最適化の過程で得ら れた解のうち制約条件を満足しない設 計解,〇点はすべての制約条件を満足 する実行可能解,黒色のひし形はすべ ての制約条件を満足するパレート最適 解である.

 初期設計よりも優れた解を探査する ことができており,また,二つの目的 関数間のトレードオフ面もわかり,単 位共通化部品当たりでの軽量化代やど の部品を共通化するのがよいかの意思 決定への活用が期待され,基盤最適化 システムの有用性が示された.

4. おわりに

 本事例では,1 世代当たり 1.2 ペタ フロップス(73728 コア)で平均 20 時間の並列計算になり,これはスパコ ン「京」の全システムの 10% 以上を 利用したことになる.このクラスの計 算能力のスパコンが産業界で一般的に なれば,応答曲面を用いての試行錯誤 的に最適解を求めることが不要にな り,さらなる設計開発期間の短縮が期 待される.

 最後に,本研究は日本自動車工業会 および富士通(株)のご協力のもと実 施した.この場を借りて謝意を示す.

また,本研究の成果は,文部科学省 HPCI 戦略プログラム分野 4「次世代 ものづくり」のもとで得られたもので ある(課題番号:hp140231).

(原稿受付 2016 年 1 月 15 日)

〔小平剛央 マツダ(株)〕

●文 献

( 1 )小平剛央・ほか,逐次実験計画法による車 体構造の複合領域最適化手法,自動車技術 会論文集,44-2(2013),535-541.

( 2 )宇野篤也・黒川原佳・庄司文由,京コン ピ ュ ー タ の 先 進 技 術, 計 算 工 学,17-4

(2012),2854-2858.

( 3 )Jaimes, A. L., Oyama, A. and Fujii, K., A Ranking Method Based on Two Preference Criteria: Chebyshev Function and e-indi- cator, Proc. of 2015 IEEE Cong. on Evolu- tionary Computation , (2015-5),2827- 2834.

( 4 )大山 聖・ほか,スーパーコンピュータ「京」

を用いた複数車種の車両構造同時設計最適 化, 第 28 回 計 算 力 学 講 演 会 講 演 論 文 CDR,(2015-10), 208.

図1 基盤最適化システムの概要

設計問題の定義 初期設計群の生成 目的関数の計算

収束 未収束 各制約条件の計算

(スパコン「京」上で実施)

最適設計データベースの データマイニング 設計知見の獲得 Cheetah による新しい

設計候補群の生成

図2 設計変数

車種 SUV-car

Large -Car

small- Car

車体構造部品の板厚

(設計変数)

図3 設計空間内のパレート最適解

infeasible designs feasible designs Initial design Pareto-optimal designs

Number of Common Parts[N]

5kg 5

Total weight(kg)

─ 48 ─

日本機械学会誌 2016. 4 Vol. 119 No.1169 222

下_p048_12_小平氏.indd 48 2016/03/31 21:11:49

参照

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