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トポロジー最適化と金属 3D プリンタを用いた ポーラス材料の設計・製造

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Academic year: 2021

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トポロジー最適化と金属 3D プリンタを用いた ポーラス材料の設計・製造

1.はじめに

 近年,工業製品におけるポーラス(多 孔質)金属材料の活用が盛んに行われ ている.たとえば,人工骨に局所的な 衝撃吸収能や剛性を与えたり,熱交換 器コア部分の表面積の増大等が挙げら れる.このようなポーラス材料の生成 は,溶融した金属中に水素化チタン等 の発泡剤を混合し,発生したガスを含 んだ状態で凝固させる溶湯発泡法など により行われる.そのため,ポーラス 材料の性能はそのミクロ構造に大きく 依存するにもかかわらず,人工的に構 造特性を制御して設計・製造すること は困難であり,設計・製造方法の確立 が課題となっている.

 他方,高い自由度で優れた設計案を 導出可能なトポロジー最適化という技 術がある.このトポロジー最適化を用 いてポーラス材料のミクロ構造を設計 する試みは以前よりなされており,高 剛性,高熱伝導率,あるいは自然界に 存在しない負のポアソン比を持つ材料 等の最適ミクロ構造が導出されてい る.しかし,先に述べたように,設計 案に忠実な製造が困難なため,いまだ 実用化には至っていない.

 近年,複雑形状にも対応可能な極め て自由度の高い製造手法として,三次 元積層造型機(3D プリンタ)が注目 を集めている.とくに,近年の技術進 歩により,チタンや鋼,アルミといっ た金属材料においても 0.05 mm 程度 の精度で造形が可能になった.そこで 著者らの研究グループは,トポロジー 最適化でポーラス材料のミクロ構造を 設計し,それを金属 3Dプリンタで忠 実に造形して,最適な性能を持つポー ラス金属材料を実現するという取り組 みを行っている.

2.トポロジー最適化と均質化 法を用いた材料設計

 トポロジー最適化では対象構造の最 適化問題を,ある空間における材料配 置問題と考える.そのため,穴の数も 含めた抜本的な最適化が可能である.

ただし,実際の数値計算では仮想的な

材料密度を考え,密度の濃い部分は材 料あり,薄い部分は材料なしと近似的 に扱う.

 また,あるユニットセル形状がある とき,それを周期的に配置して構成し たポーラス材料のマクロ物性値は均質 化法で計算することができる.

 以上二つを組み合わせ,設計対象の 空間に対して均質化法による計算を行 い,マクロ物性値を求めつつ,その物 性値の最大化または最小化,あるいは 指定した値を目指してトポロジー最適 化を行うことで,設計者の意図した性 能を有するポーラス材料のユニットセ ル形状が得られる.そして,そのユニッ トセルを適当な大きさで周期配置すれ ば,ポーラス材料モデルが完成する.

3.金属三次元積層造形装置(3D プリンタ)での造形

 金属積層造形装置とは,レーザや電 子ビームにより,金属粉末を層ごとに 選択的に溶融・凝固させ,積層させて 三次元形状を造形する.そのため,造 形の形状自由度が極めて高い.ただし,

造形の自由度が高いとはいえ,装置や 材料にもよるが,造形物の最小厚さや 許容角度等に制約があり,それに違反 するモデルは造形できない.また,内 部の粉末を造形後に除去するため,

ポーラス材料は空孔が互いに接続した オープンセル構造である必要がある.

 3D プリンタ用の汎用三次元データ は STL(Standard Triangulated Language)と呼ばれる形式であり,

トポロジー最適化で得られた密度分布 に対してアイソサーフェスを作成し,

その形状を STL ファイルとして出力 する.

4.造形例

 簡単な最適化と造形例を紹介する.

図 1(a)に示すのは,ユニットセル に等方性を持たせつつ,気孔率 70%

で体積弾性率を最大化した例である.

なお,この研究は東北大学金属材料研 究所の小泉雄一郎准教授との共同研究 である.図 2(a)に示すのは同様に ユニットセルに等方性を仮定し,気孔

率 70%で熱伝導率を最大化した例で ある.なお,この研究は名古屋大学大 学院工学研究科の小橋眞教授との共同 研究である.いずれも,最適解は当初 クローズドセル構造で得られたため,

強制的に粉抜き穴を空けて最適化を実 施した.

 なお,ある気孔率における,ポーラ ス材料の理論的な物性値の限界値は Hashin-Strinkman の材料物性値境界 式より求めることができる.今回の最 適化では,シミュレーション上で,そ の限界値に対して体積弾性率では約 83%,熱伝導率では約 97%を達成した.

 これらの最適解を材料に純チタンを 用い,EOS 社の EOSINT M280 で造 形したのが図 1(b),図 2(b)である.

今後はこれらの構造に対して実験検証 を行っていく予定である.

〔謝辞〕

 本文中に記載させていただいた共同 研究者の皆様および造形に関しまして ご助言をいただきました,大阪府立産 業技術総合研究所の中本貴之主任研究 員,木村貴広研究員に御礼申し上げます.

(原稿受付 2014 年 8 月 29 日)

〔竹澤晃弘 広島大学〕

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図1 等方性実現と体積弾性率の最大化 を目的とした最適化例

(a) 最適解 (b) 造形品

図 2 等方性実現と熱伝導率の最大化を 目的とした最適化例

(a) 最適解 (b) 造形品

日本機械学会誌 2014.10 Vol.117No.1151 666

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