量子ビーム利用に係る
概況について
平成28年11月7日(月)
科学技術・学術政策局 研究開発基盤課
量子研究推進室
資料 2 科学技術・学術審議会 先端研究基盤部会 量子科学技術委員会 量子ビーム利用推進小委員会(第1回) 平成28年11月7日• 量子ビームは、加速器や研究炉等の施設から供給される、高品位の放射光、中性子、イオン等のビームの
総称。分析・加工をはじめ様々な用途に利用でき、ナノテクノロジーやライフサイエンス等最先端の科学・技
術分野の発展へ貢献し、幅広い産業分野を支えている。
量子ビームテクノロジーについて
研究炉JRR-3 イオン照射研究施設(TIARA) 大型放射光施設(SPring-8) X線自由電子レーザー(SACLA)量子ビーム
テクノロジー
電子線照射施設国の持続的な成長や生活の質の向上への貢献
中性子 放射光 光量子 ガンマ 陽子 電子 イオン 大強度陽子加速器(J-PARC) 高強度レーザー施設 コバルト60ガンマ線源1
(c)QST (c)QST (c)QST (c)QST多様な量子ビーム利用
―「観る」、「創る」、「加工する」、「治す」、「識る」―
物質の原子レベル解析によ
る材料開発や創薬 等
物質・生体内部の
非破壊検査 等
加速器を用いたX線や粒子
線によるがん治療 等
電子ビームによる溶接、
架橋、滅菌 等
ビックバンの再現による宇
宙創生の謎の解明 等
PET-CT融合画像
重粒子線装置によるがん治療
イオンビームによる極細孔
の空いたフィルムの作成
イオンビームによる品種改良
粒子同士の衝突による新粒
子の発見、反応機構解明
タンパク質の構造解析
による高効率創薬
X線画像
生体細胞
高性能な低燃費
タイヤの開発
2
(c)QST◆ 第5期科学技術基本計画 (平成28年1月22日 閣議決定)
科学技術基本計画における位置づけ
第2章 未来の産業創造と社会変革に向けた新たな価値創出の取組
(3)「超スマート社会」における競争力向上と基盤技術の強化
② 基盤技術の戦略的強化
ⅱ)新たな価値創出のコアとなる強みを有する基盤技術
我が国が強みを有する技術を生かしたコンポーネントを各システムの要素に組み込むことで、我が国の優位性を確
保し、国内外の経済・社会の多様なニーズに対応する新たな価値を生み出すシステムとすることが可能となる。こ
のように、個別システムにおいて新たな価値創出のコアとなり現実世界で機能する技術として、国は、特に以下の
基盤技術について強化を図る。 (略)
・
革新的な計測技術、情報・エネルギー伝達技術、加工技術など、様々なコンポーネントの高度化により
システムの差別化につながる「光・量子技術」
第4章 科学技術イノベーションの基盤的な力の強化
(2)知の基盤の強化
② 研究開発活動を支える共通基盤技術、施設・設備、情報基盤の戦略的強化
ⅱ)産学官が利用する研究施設・設備及び知的基盤の整備・共用、ネットワーク化
世界最先端の大型研究施設や、産学官が共用可能な研究施設・設備等は、研究開発の進展に貢献するの
みならず、その施設・設備等を通じて多種多様な人材が交流することにより、科学技術イノベーションの持続的な
創出や加速が期待される。このため、国は
、「特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律」に基づく最
先端の大型研究施設について、産学官の幅広い共用と利用体制構築、計画的な高度化、関連する技術開
発等に対する適切な支援を行う。
3
科学技術イノベーション総合戦略における位置づけ
第1章 未来の産業創造と社会変革に向けた新たな価値創出の取組
(3)「Society 5.0」(超スマート社会)における基盤技術の強化
【C】重きを置くべき取組
2)フィジカル空間(現実空間)関連の基盤技術の強化
・新たな産業や技術基盤の創出の核となる先端レーザー等の量子ビーム利用技術 の高度化
、従来精度や感
度の限界を超えたイメージング・センシング技術、電気 信号を光信号に変えることで高速かつ低消費電力で情報
処理を行う光エレクトロニクス技術の開発など
光・量子技術等に係る研究基盤の強化
(2020 年までの成果目標)
◆ 科学技術イノベーション総合戦略2016(平成28年5月24日 閣議決定)
第3章 科学技術イノベーションの基盤的な力の強化
(2)知の基盤の強化
【B】重きを置くべき課題
(略)知の創出における大学や公的研究機関の役割の重要性が増していることから、 オープンサイエンス等の新
たな潮流にも適切に対応しつつ、学術研究と基礎研究の推進に向けた改革と強化を進めるとともに、
研究開発活
動を支える施設・設備
、情報基盤等 の強化を図る。
Ⅱ 研究開発活動を支える共通基盤技術、施設・設備、情報基盤の戦略的強化
世界先端の大型研究施設
や大学等の研究機関が保有する先端研究施設・設備等の整備・共用は、我が国の
研究開発基盤の強化のみならず、多種多様な人材の交流による科学 技術イノベーション創出の加速が期待され
る。このため、国は、研究開発活動を支える共通基盤技術や先端的な研究機器の強化を図るとともに、
研究施
設・設備等の全体像を俯瞰した上で、その規模や特性等に応じた戦略的な共用の促進や、研究開発と共用の
好循環
の確立を図る必要がある。
4
我が国の主な量子ビーム施設
(放射光、中性子線、イオンビーム等)
PF / PF-AR
J-PARC
HIMAC
UVSOR
RIBF
広島大学
HiSOR
SAGA-LS
理化学研究所
放射光科学総合研究センター
SPring-8 / SACLA
兵庫県立大学
NewSUBARU
立命館大学
SRセンター
北海道大学
冷中性子源
京都大学
原子炉実験所
SPring-8
SACLA
J-PARC
東北大学
電子光理学研究センター
大阪大学
RCNP
激光XII号レーザー
筑波大学
陽子線医学利用
研究センター
東京工業大学
ペレトロン
九州大学
タンデム加速器
京都大学
化学研究所
PF
J-KAREN
AichiSR
赤:国(共用法)
橙:国立研究開発法人
青:地方自治体
緑:大学、大学共同利用機関
JRR-3
5
TIARA
電子線照射施設
(平成6年6月29日法律第78号)
世界最高レベルの性能を有し広範な分野におけ
る多様な研究等に活用されることによりその価値
が最大限に発揮される大規模な研究施設
特定放射光施設 SPring-8 & SACLA 特定高速電子計算機施設
スーパーコンピュータ「京」 特定中性子線施設 J-PARC中性子線施設
「特定先端大型研究施設」
広範な分野における利活用
利用者
(大学・独法等、民間)
o 利用者選定業務
(外部専門家の意見を踏まえた実施課題の選定)o 利用支援業務
(情報の提供、相談等の利用支援)公平かつ効率的な共用を行うため、施設利用研究に専門的な
知見を有する、設置主体とは別の機関が利用促進業務を実施
※施設の区分ごとに文部科学大臣が登録 ・ SPring-8・SACLA (公財)高輝度光科学研究センター(JASRI) ・ J-PARC (一財)総合科学研究機構(CROSS) ・ スーパーコンピュータ「京」 (一財)高度科学技術研究機構(RIST)登録施設利用促進機関
理化学研究所
• SPring-8・SACLA
• スーパーコンピュータ「京」
日本原子力研究開発機構
• J-PARC
施設設置者
連携
利用に係るニーズ
利用課題
の応募
公正な課題選定
情報提供、研究相談、
技術指導等
施設・設備等の
利用環境整備
実施計画の認可
業務規程の認可、改善命令
実施計画の認可
国(文部科学省):
共用の促進に関する基本的な方針の策定
6
特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律(概要)
SPring-8は、微細な物質構造や状態解析が可能な
世界最高性能の放射光施設
。生命科
学、環境・エネルギーから新材料開発まで広範な分野で先端的・革新的な研究開発に貢献。
平成9年運用開始から19年以上が経過し、利用者は着実に増加。毎年約16,000人の産学
官の研究者が利用。
【論文発表】 ネイチャー・サイエンス誌をはじめ、SPring-8を利用した研究論文は累計約12,000報。
(例えば、サイエンス誌の2011年の世界の10大成果のうち2件がSPring-8固有の成果。※はやぶさ試料解析、光化学系Ⅱ複合体。)
【産業利用】
稼働・整備中の57本のビームラインのうち4本は産業界が自ら設置(専用ビームライン)。
共用ビームラインにおける全実施課題に占める産業利用の割合は約2割。
【国際情勢】 同等性能の大型放射光施設を有するのは日米欧のみであり(他に米国APS、欧州ESRF)、
SPring-8は安定なビーム性能を発揮中。一方、各国でも導入が進み、台湾等は最先端施設
を導入。
大型放射光施設(SPring-8)の整備・共用
◆ SPring-8の最大限の共用運転の実施
8,219百万円(7,878百万円)
• 施設の運転・維持管理等
◆ 特定放射光施設(SPring-8・SACLA)の利用促進
※1,379百万円(1,381百万円)
• 利用者選定・利用支援業務の着実な実施
※ SPring-8及びSALCAの利用促進業務を一体的・効率的に実施 ◆放射光の発生原理 光速近くまで加速した電子に磁場をかけ て軌道を曲げたときに接線方向に発生 ◆SPring-8の利用研究課題数 兵庫県 播磨科学公園都市 500m SPring-8 電子 放射光Super Photon ring-8 GeV
• SPring-8の高輝度X線を利用することで、自 動車排ガス浄化用触媒の原子レベルでの構造 解析に初めて成功。これにより、触媒活性を最 適化する酸素貯蔵・放出機構を解明。 • 開発された高性能三元触媒は、白金(貴金 属)の消費を抑えつつ高い浄化性能を発揮。 2005年8月以降に製造されたトヨタ製ガソリ ン車のほとんどに搭載され、環境浄化に貢献。 【使用ビームライン】 BL01B1、BL14B2、BL16B2 【利用期間】1999年度~2005年度 【中心研究機関】 トヨタ自動車(株)、(株)豊田中央研究所 【研究協力機関】 京都大学 他
環境にやさしい高性能三元触媒
※の実現
従来のタイヤ 低燃費タイヤ • SPring-8独自の時分割二次元極小角X線 散乱法により、ゴム中のナノ粒子の三次元配 置を数百ナノメートルオーダーで精密に計測す ることが可能に。 • 本技術により、タイヤの摩擦抵抗を39%低減 し、従来品より6%燃費を向上させる低燃費タ イヤの開発に成功。現在は他の主要タイヤメー カーもSPring-8を利用。 【使用ビームライン】 BL03XU、BL40B2、BL20XU 【利用期間】2003年度~ 【中心研究者】 岸本浩通(住友ゴム工業(株))【研究協力者】雨宮慶幸・篠原佑也(東京大学)他摩擦抵抗を改善した高性能・高品質な低燃費タイヤの開発
住友ゴムの主 力商品「エナ セーブ PREMIUM」他 で実用化 ※ 排ガスに含まれる3つの有害成分(一酸化炭素、炭 化水素、窒素酸化物)を同時に浄化 平成28年度予算額 : 9,599百万円 (平成27年度予算額 : 9,259百万円)7
SPring-8
APS
ESRF
施設名
ESRF
European Synchrotron Radiation Facility
SPring-8
Super Photon ring-8GeV
APS
Advanced Photon Source
所在地
フランス南東部
グルノーブル
兵庫県
播磨科学公園都市
米国イリノイ州
アルゴンヌ(シカゴ郊外)
運転開始年
1994年
1997年
1996年
電子エネルギー
6GeV
8GeV
7GeV
蓄積電流値
200mA
100mA
100mA
エミッタンス
4nm・rad
2.4nm・rad
2.5nm・rad
蓄積リング周長
844m
1,436m
1,104m
最大設置のビームライン数56本
62本
68本
世界の第3世代大型放射光施設
第3世代の放射光施設とは
放射光利用専用の加速器にアンジュレータを
主体とした挿入光源を多数設置できるように
設計された施設のことで、大型のものは世界に
SPring-8、APS、ESRF
の3つがある。
8
日本の主な放射光施設
PF(1983)
PF-AR(1987)
大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構 茨城県つくば市UVSOR(1984)
大学共同利用機関法人自然科学研究機構 分子科学研究所 愛知県岡崎市Rits SR(1999)
立命館大学SRセンター 滋賀県草津市New SUBARU(2000)
兵庫県立大学高度産業科学技術研究所 兵庫県赤穂郡HiSOR(2002)
国立大学法人広島大学 放射光科学研究センター 広島県東広島市SAGA-LS(2006)
公益財団法人佐賀県地域産業支援センター 九州シンクロトロン光研究センター 佐賀県鳥栖市 SR center ( ):供用開始年AichiSR(2013)
公益財団法人科学技術交流財団 愛知県瀬戸市 0.7GeV 13本(最大16本) 0.575GeV 13本(最大14本) PF : 2.5GeV 23本(最大) PF-AR : 6.5GeV 8本(最大9本) 1.4GeV 8本(最大15本) 0.75GeV 15本(最大16本) 1.2GeV 8本(最大24本) SP-8 : 8GeV 57本(最大62本) SACLA : 8GeV 3本(最大5本)SPring-8(1997)
SACLA(2012)
国立研究開発法人理化学研究所 公益財団法人高輝度光科学研究センター 兵庫県佐用郡日本の放射光施設
9
1.5GeV 9本(最大13本)各放射光施設の得意とするエネルギー領域
輝度(
Photons
/s
/mr
2
/mm
2
/0
.1
%
bw
)
(光子エネルギー) 10eV 100eV 1keV 10keV 100keV
10
2110
2010
1910
1810
1710
16PF
HiSOR
UVSOR-III
10
15軟X線
硬X線
真空紫外線
SPring-8
SAGA-LS
NewSUBARU
AichiSR
【補足事項】
•
輝度はアンジュレーター放射光輝度
•
立命館SRはアンジュレーターが採用できないため記載なし
• 楕円の色は、建設の時期により、1980年代
、
1990年代
前半
、
1990年代後半以降
10
SACLAは、原子レベルの超微細構造や化学反応の超高速動態・変化の瞬時計
測・分析が可能な
世界最高性能のX線自由電子レーザー施設
。放射光(波長の
短い光)とレーザー(質の高い光)の両方の特長を併せ持つ高度な光源施設。
国家基幹技術として平成18年度に整備開始、平成24年3月に供用開始。
○ X線自由電子レーザー(XFEL)は人類が初めて手にした革新的光源。日米欧が先行し、稼働 は世界に2つのみ(米国LCLSが平成22年に供用開始、欧州XFELは29年に供用開始予 定)。 SACLAは最もコンパクトな施設で最も短い波長が得られる点で優位性を発揮。 ○ 供用開始以来、採択課題数は231課題。ネイチャー誌をはじめとするトップ論文誌に累計21報の 論文掲載。平成28年度現在、3本目のビームラインが運用されており、更なる高インパクト成果 の創出に期待。◆SACLAの最大限の共用運転の実施 5,350百万円(5,239百万円)
• 施設の運転・維持管理等
◆特定放射光施設(SPring-8・SACLA)の利用促進
※1,379百万円(1,381百万円)
• 利用者選定・利用支援業務の着実な実施
◆X線自由電子レーザー施設重点戦略課題の推進
(H24~28)708百万円(839百万円)
• 先導的利用研究の推進
(継続10課題の最終年度) ※ SPring-8及びSACLAの利用促進業務を一体的・効率的に実施 • 電子線やX線などを用いた従来の顕微鏡・放射光では、 観察に必要な一定のビーム照射や結晶化により細胞は 死んでしまっていたが、SACLAのフェムト(10-15)秒 オーダーの発光時間を使うことで、自然な状態の生きて いる細胞内部のナノ構造を捉えることに成功。 • 生きた細胞をナノメートルの分解能で定量的に観察でき る手法を世界で初めて確立。未だ解明されていない原 核微生物のゲノム複製やそれに続く細胞分裂などの重 要な細胞内現象の解明に期待。 生きた細胞内部の ナノ構造を高コント ラストで可視化 [Nature Communications(2014.1.7)掲載] 【使用ビームライン】 BL3 【利用期間】2011年度~2014年度 【中心研究者】 西野吉則(北海道大)生きた細胞をナノレベルで観察することに成功
(ナノ:10-9=10億分の1) • 植物は、光化学系Ⅱ複合体というタンパク質で水分解 を行い、生命が必要とする酸素を作り出すことは長く知 られていたが、原子構造や機構は未知のままだった。20 年来の研究とSACLAで開発した解析法により、 1.95Å分解能で全構造(分子量70万)とその触媒 中心構造を正確に解明することに世界で初めて成功。 • 自然界の光合成が原子レベルでいかに行われているか の解明につながる重要成果であり、今後の動的メカニズ ムの解明や人工光合成開発への糸口と期待。 [Nature (2015.1.1) 掲載] 【使用ビームライン】 BL3 【利用開始年】2011年度 【中心研究者】 沈建仁(岡山大学)他光合成を行う正確な3次元原子構造を解明
~人工光合成開発への糸口~ ◆X線自由電子レーザー(放射光+レーザー)の特長SPring-8 Angstrom Compact Free Electron Laser
X線自由電子レーザー施設(SACLA)の整備・共用
兵庫県 播磨科学公園都市 700 m SACLA ○鋭く、明るい →試料を特別な調整(結 晶化など)せずとも、分子・ 物質をありのまま解析可能 (また、結晶化には数ヶ月か ら数年を要する難しいものも ある) ○短パルス →化学反応や細胞内反応 等の極めて速い動きを解析 可能(SPring-8の1000分 の1のフェムト秒パルス) 光化学系Ⅱ複合体の 触媒中心の原子構造 (Mn4CaO5クラスター; “歪んだ椅子”) 平成28年度予算額 : 7,437百万円 (平成27年度予算額 : 7,458百万円)11
世界のX線自由電子レーザー施設
SwissFEL
E-XFEL
PAL-XFEL
SACLA
LCLS
Swiss Free Electron Laser European X-ray Free Electron Laser
Pohang Accelerator Laboratory X-ray Free Electron Laser
SPring-8 Angstrom Compact
free electron Laser Linac Coherent Light Source
所在地
スイス
ドイツ
韓国
兵庫県
米国
フィリゲン
ハンブルク
浦項市
播磨科学公園都市
カリフォルニア州
運転開始年 2017年(共用開始予定) 2017年(共用開始予定) 2017年(共用開始予定)
2012年3月
2009年
電子エネルギー
5.8GeV
17.5GeV
10GeV
8GeV
14GeV
発振波長
0.1nm
0.05nm
0.06nm
0.063nm
0.1 nm
全長
約0.7km
約3.4km
約1.1km
約0.7km
約2.2km
大強度陽子加速器施設(J-PARC)の整備・共用
Japan Proton Accelerator Research Complex
• 2008年に鉄というありふれた元素で高温超伝導の可 能性を示す超伝導物質が報告されて以降、世界的に 高い関心と集中的な研究が進められているところ。 • J-PARCにおける中性子線実験により、 鉄系超伝導 物質の詳細な磁気的性質および構造を調べることで、 超伝導転移温度がより高いピークを示す新たな超伝 導状態(第二の超伝導磁気秩序相)を発見。 • 鉄系超伝導の本質に迫り、将来的な高温(室温) 超伝導物質の開発の可能性を拓くものと期待。 [Nature Physics (2014.3.16オンライン版) 掲載] 【使用ビームライン】 BL08、BL21 【利用期間】2013年度 【中心機関】 KEK、J-PARCセンター、東京 工業大学 世界的に注目される鉄系超伝導物質で新しいタイプの超伝導状態を発見 鉄系超伝導体 REFeAs(O1-xFx) の構造 O RE Fe As ◆中性子ビームの特長 ○壊さず透過する(電子殻とほぼ相互作用しないため、物質 を破壊せず内部構造が観察可能) ○原子核の動きや軽元素を見る(原子核と相互作用し、 特に水素(1H)やリチウム(3Li)などの軽元素の観察に強み) ○磁気構造を見る(スピンを持つため、微小磁石として振る舞 い、物質の磁気構造が観察可能) 光化学系Ⅱ複合体が水を分解する光合成メカニズムの解明 • 自然界の光合成を理解する上で、光化学系Ⅱ複合体がいかに水を取り 込み分解するかは当面最大の鍵。これまで岡山大他により、SPring-8 及びSACLAにおいて、その3次元原子構造の解明が進められ、国際競 争をリード。 • J-PARCの大強度中性子線により、今後、光化学系Ⅱ複合体において 水素原子の位置や動きの解明を狙い、光合成メカニズムの解明が期待。 光化学系Ⅱ複合体 触媒中心のマンガンクラスターは、2個の水分子 を分解、4個の水素原子核を放出する。クラス ター周辺の水素原子の位置を決定することで、メ カニズムを詳細に理解することができる。 《今後期待される顕著な成果》
○ 我が国の中性子利用研究体制を支える大型中性子線施設(パ
ルス中性子源:J-PARC、定常中性子源:原子炉JRR-3)の
両翼の一つ。
ハドロン実験施設 リニアック 3GeVシンクロトロン 50 GeVシンクロトロン 茨城県 東海村 ニュートリノ 実験施設 物質・生命科学 実験施設(MLF) [KEK] [KEK] [KEK] [JAEA] [JAEA] [JAEA] 標的原子核 中性子 陽 子 陽子ビーム 中性子 K中間 子 パイ中間 子 ミュオン ニュートリノ 陽子を光速近くまで加速 し、原子核と衝突させるこ とで、二次粒子ビームを生 成 触媒中心 平成28年度予算額 :10,441百万円 (平成27年度予算額 :10,370百万円) 【平成27年度補正予算額 : 69百万円】 【利用者数】 平成26年度のMLF利用者数は約13,000人 【論文発表】 供用開始(H24.1)以来の研究論文数は累計約450報 【産業利用】 中性子線施設の利用件数の約2~3割が民間企業ユーザー J-PARCは、日本原子力研究開発機構(JAEA)及び高エネルギー加速器研究機構(KEK)
が共同運営し、物質・生命科学実験施設(MLF)の中性子線施設は
世界最大のパルス
中性子線強度を誇る共用施設
。
平成24年1月に共用開始。パルスビームは0.1MWから段階的に強度を上げ、1MWの安定
運転による最大限の共用を目指す。
◆ J-PARCの最大限の共用運転の実施 10,441百万円(10,370百万円)
• 施設の運転・維持管理等
◆ J-PARCの利用促進
739百万円(739百万円)
• 利用者選定・利用支援業務の着実な実施
13
J-PARC施設の概観
500m
物質・生命科学実験施設
(1MWパルス中性子源)
ハドロン実験施設
ニュートリノ実験施設
400MeV
リニアック
3GeV シンクロトロン
50GeV シンクロトロン
14
J-PARC
SNS
ISIS
世界のパルス中性子線施設
ESS
European Spallation SourceISIS
第1ターゲットス テーションISIS
第2ターゲットス テーションJ-PARC
Japan Accelerator Proton Research Complex