斜面住宅地における居住収縮街区の変容過程に関する研究 [ PDF
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(2) 宅地の立地特性と居住収縮との関連を明らかにす. は約 6 割 が 車 両 ア ク セ ス 不 可 の 画 地 に 立 地 し て お. るため、宅地の立地条件を用いて分析を行った。. り、居住世帯の転出により空家化しても、流動化. 宅地の立地条件は前面道路への車両アクセスの可. の妨げとなることが予想される。. 否と接道の良否(4 m以上の道路または二項道路. 続いて、立地条件別の空宅地用途を表 7 に示す。. に接するか否か)から 4 区分を設定した。また、入. 接道良であっても車両アクセスが可能であれば駐. 居世帯属性を高齢( 高齢者のみが居住する住宅) 、. 車場への用途転換が多く見られる。さらに接道不. 混合( 同居世帯及び一部に高齢者が居住する住宅) 、. 良で車両進入可能な空宅地の用途はすべて駐車場. 非高齢( 高齢者のいない住宅) に分類し、接道条件. に用途転換されている。一方、菜園として周辺住. 別の入居世帯属性を表 3 、4 に示す。戸建住宅と店. 民によって利用されるケースも見られるが、駐車. 舗併用住宅についてみると、接道良の立地にある. 場以外では未利用のまま放置されているものの方. 住宅は 2 2 5 棟と多いが、空家率は接道不良の場合. が多い。ここで、空家と空宅地の分布を関連づけ. とほとんど変わらない。非高齢は接道良の条件下. て分析すると、車両アクセス不可かつ接道不良の. に多く、高齢は車両アクセス不可の条件下に多い. 立地条件では、画地合計 1 7 8 画地のうち空家 1 3 画. 傾向にあり、車両アクセス不可かつ接道不良の画. 地(7 . 3 %)、空宅地 3 8 画地(2 1 . 3 %)であるのに. 地では高齢の割合が約 3 7 %を占める。また、長屋. 対して、車両アクセス可かつ接道良では画地合計. 住宅と共同住宅でも、車両アクセス不可の条件下. 1 9 0 画地のうち空家 1 0 画地(5 . 3 %)、空宅地 4 9 画. に高齢の 7 5 %が立地している。いずれの住宅形式. 地(2 5 . 8 %)であり、好条件の画地でも相当の空. においても車両アクセス不可の立地条件で高齢者. 家と空宅地が発生していることがわかる。. の割合が高く、将来さらに空家化が進行する恐れ. 4 1978 年以降の変容過程. がある。. 次に、調査対象エリアにおける 1 9 7 8 年以降の変. 次 に 、 土地 ・ 建物 ・ 入 居 世 帯 の 権 利 関 係 に つ い. 容過程を明らかにするため、住宅地図を基に分析. て世帯属性別( 表 5 ) 、接道条件別( 表 6 ) に分析を行. を行った。当地区では、1 9 7 8 年時点で住宅 4 7 2 画. う。当エリアでは、持地持家率が約 5 6 % と高く、高. 地、空宅地 5 3 画地が確認されたが、2 0 0 4 年現在で. 齢では 6 割を占める。また、高齢及び混合では、い. は住宅 4 1 6 画地、空宅地 9 8 画地と総画地数の減少. ずれも持家率が約 7 割に達しており、居住者の不. が見られる。これは、隣接する複数の住宅が滅失. 在住化により、空家化する可能性は極めて高い。. したことにより発生した空画地が統合され、現在、. 一方、空家については空家化以前の入居世帯につ. 表 5 世帯属性別所有形態. いて権利関係を見ると、入居世帯のある住宅より. 高齢. も借家の占める割合が高い。接道条件別に見ると、. 混合. いずれの所有形態でも半数近くが車両アクセス不. 非高齢. 可の画地に立地している。特に、持地型の住宅で. 計 空家. 表 3 戸建型住宅の接道条件別入居世帯属性 立地条件 車両 アクセス. 入居世帯有り. 接道 良. 可 不良 良 不可 不良 計. 高齢. 混合. 37 30.8% 4 25.0% 37 35.2% 42 37.2% 120 33.9%. 17 14.2% 6 37.5% 14 13.3% 16 14.2% 53 15.0%. 非高齢 57 47.5% 4 25.0% 41 39.0% 46 40.7% 148 41.8%. 空家 9 7.5% 2 12.5% 13 12.4% 9 8.0% 33 9.3%. 計. 車両 アクセス. 良 可 不良 良 不可 不良 計. 立地条件 車両 接道 アクセス. 高齢 2 9.5% 0 0.0% 2 14.3% 4 14.8% 8 12.9%. 混合 6 28.6% 0 0.0% 4 28.6% 6 22.2% 16 25.8%. 非高齢 12 57.1% 0 0.0% 8 57.1% 13 48.1% 33 53.2%. 持地型 借家. 借地型 借家. 持地 借家. 不明. 29. 6. 4. 3. 10. 128. 59.4%. 22.7%. 4.7%. 3.1%. 2.3%. 7.8%. 100.0%. 41. 12. 7. 2. 1. 6. 69. 59.4%. 17.4%. 10.1%. 2.9%. 1.4%. 8.7%. 100.0%. 97. 22. 27. 6. 0. 29. 181. 53.6%. 12.2%. 14.9%. 3.3%. 0.0%. 16.0%. 100.0%. 214. 63. 40. 12. 4. 45. 378. 56.6%. 16.7%. 10.6%. 3.2%. 1.1%. 11.9%. 100.0%. 18. 6. 5. 4. 0. 5. 38. 47.4%. 15.8%. 13.2%. 10.5%. 0.0%. 13.2%. 100.0%. 良 不良 良 不可 不良 計. 借地 持家. 持地型 借家. 借地型 借家. 持地 借家. 不明. 28. 11. 6. 0. 14. 130. 54.6%. 21.5%. 8.5%. 4.6%. 0.0%. 10.8%. 100.0%. 14. 1. 0. 0. 0. 0. 15. 93.3%. 6.7%. 0.0%. 0.0%. 0.0%. 0.0%. 100.0%. 64. 13. 11. 2. 2. 14. 106. 60.4%. 12.3%. 10.4%. 1.9%. 1.9%. 13.2%. 100.0%. 65. 21. 18. 4. 2. 17. 127. 51.2%. 16.5%. 14.2%. 3.1%. 1.6%. 13.4%. 100.0%. 214. 63. 40. 12. 4. 45. 378. 56.6%. 16.7%. 10.6%. 3.2%. 1.1%. 11.9%. 100.0%. 1 4.8% 0 0.0% 0 0.0% 4 14.8% 5 8.1%. 立地条件. 計. 車両 アクセス. 21 100.0% 0 0.0% 14 100.0% 27 100.0% 62 100.0%. 接道 良. 可. 不良 良. 不可. 不良 計. 29-2. 計. 71. 表 7 接道条件別空宅地の用途転換 空家. 計. 76. 持地 持家. 可. 入居世帯有り. 接道. 借地 持家. 表 6 接道条件別所有形態. 120 100.0% 16 100.0% 105 100.0% 113 100.0% 354 100.0%. 表 4 長屋型住宅の接道条件別入居世帯属性 立地条件. 持地 持家. 世帯属性. 駐車場. 菜園. 未利用地. 計. 34. 6. 9. 49. 89.5%. 23.1%. 26.5%. 50.0%. 4. 0. 0. 4. 10.5%. 0.0%. 0.0%. 4.1%. 0. 3. 4. 7. 0.0%. 11.5%. 11.8%. 7.1%. 0. 17. 21. 38. 0.0%. 65.4%. 61.8%. 38.8%. 38. 26. 34. 98. 100.0%. 100.0%. 100.0%. 100.0%.
(3) 1 画地の住宅画地または空宅地として利用されてい. 表 8 世帯属性別建築時期 世帯属性. るためである。. ∼1982. 高齢. 現在の住宅画地について経年変化を見ると、8 2. 混合. 画地で建築行為が見られ、新規転入者による新築. 非高齢. が 4 6 画地、従前からの居住者による建替が 3 6 画地. 計. 41.2%. 23.5%. 23.5%. 5.9%. 5.9%. 0.0%. 100.0%. 3. 0. 4. 0. 5. 0. 12. 17. 0.0%. 33.3%. 0.0%. 41.7%. 0.0%. 100.0%. 15. 7. 6. 7. 10. 6. 51. 29.4%. 13.7%. 11.8%. 13.7%. 19.6%. 11.8%. 100.0%. 25. 11. 14. 8. 16. 6. 80. 31.3%. 13.8%. 17.5%. 10.0%. 20.0%. 7.5%. 100.0%. 表 9 住宅更新分類 新築型 持地持家の新築 借地持家の新築 借地持家を新築後、土地購入 借家(共同住宅)の新築. 1 2 3 4. 築 2 6 年以上が経過した住宅が残存しており、空家 齢者のいない世帯では、近年まで一定の建築行為. ∼1989 ∼1994 ∼2000 ∼2004 4 1 1 0. 4. 25.0%. 計. である。残る 3 3 4 画地では 1 9 7 8 年以前に建設され、 の大半はこれに含まれる。世帯属性別に見ると、高. ∼1985 7. 5 6 7. 建替型 持地持家の建替 借地持家の建替 借地転入後土地を購入し、建替. 表 10 立地条件別住宅更新分類 接道条件 車両 接道 アクセス. が認められるのに対し、高齢者のみの世帯では約. 良. 1 0 年前から停滞しており、世帯の高齢化とともに、. 可 不良. 住宅の老朽化が進行していると考えられる( 表 8 ) 。. 良 不可. また、1 9 7 8 年以降に建設された空家は 2 戸であり、. 不良. いずれも築後 2 0 年以上が経過しており、過去 2 0 年. 計. 以内に建設された住宅は空家化していない。また、. 新築型 1. 2. 15 46.9% 2 33.3% 13 50.0% 8 50.0% 38 47.5%. 建替型 3. 2 6.3% 0 0.0% 2 7.7% 1 6.3% 5 6.3%. 4. 0 0.0% 1 16.7% 0 0.0% 1 6.3% 2 2.5%. 5. 1 3.1% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 1 1.3%. 6. 10 31.3% 2 33.3% 9 34.6% 5 31.3% 26 32.5%. 3 9.4% 1 16.7% 2 7.7% 1 6.3% 7 8.8%. 50. 立地条件別に見ると、1 9 7 8 年以降の建築行為は、建. 計. 7. 1 3.1% 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0% 1 1.3%. 32 100.0% 6 100.0% 26 100.0% 16 100.0% 80 100.0%. 30. 45 25 40. 築基準法の改正もあり、接道条件による影響は見. 35 20. られるが、車両アクセスの可否による差異は見ら. 30. 25. れない。ここで、立地条件別の住宅更新分類( 表 9 ). 15. 20. を表 1 0 に示す。当エリアにおける建築行為は戸建. 10 15. 住宅に集中しており、いずれの立地条件において. 10 5 5. も持地持家の新築または建替が大半を占め、借家. 駐. 車. 菜. 園. 未. 利. 長. 屋. 共. 同. 住. 併. 用. 住. 戸. 建. 0. 0 1978. の更新は共同住宅 1 棟の新築のみであった。. 1982. 1985. 1989. 1994. 2000. 2004. 図 1 現空宅地における画地数増減. 続いて、住宅画地( 戸建住宅、店舗併用住宅) に. 表 11 立地条件別空宅地発生時期 立地条件. おける世帯推移を現在の居住者の転入時期から分. 車両 アクセス. 析する。接道条件別に見た現居住者の転入時期を. 可 可. 表 1 2 に示す。1 9 7 8 年以前から居住している世帯は. 不可. 車両アクセス可能な画地に多く、この条件下では. 可 不可 不可. 継続的な居住傾向が見られる。一方、車両アクセス 計. の困難な画地では、借家の立地傾向から近年まで 世帯移転が見られるが、長期的には、人口・世帯数. 建替. ∼1978. ∼1982. ∼1985. ∼1989. ∼1994. ∼2000. ∼2004. 計. 20. 6. 3. 1. 5. 9. 5. 49. 20.4%. 6.1%. 3.1%. 1.0%. 5.1%. 9.2%. 5.1%. 50.0%. 0. 1. 1. 0. 1. 0. 1. 4. 0.0%. 1.0%. 1.0%. 0.0%. 1.0%. 0.0%. 1.0%. 4.1%. 2. 0. 0. 0. 0. 1. 4. 7. 2.0%. 0.0%. 0.0%. 0.0%. 0.0%. 1.0%. 4.1%. 7.1%. 10. 2. 1. 0. 3. 11. 11. 38. 10.2%. 2.0%. 1.0%. 0.0%. 3.1%. 11.2%. 11.2%. 38.8%. 32. 9. 5. 1. 9. 21. 21. 98. 32.7%. 9.2%. 5.1%. 1.0%. 9.2%. 21.4%. 21.4%. 100.0%. 表 12 立地条件別現居住者の転入時期 立地条件 車両 接道 アクセス. のさらなる減少により、空画地化がさらに進行す. 良. ることが懸念される。. 可 不良. 次に、現在の空宅地について見ると、1 9 7 8 年以. 良 不可 不良. 降に建物が除却され発生した空宅地が 9 8 画地のう 計. ち約 7 割を占め、4 割以上の空宅地が過去 1 0 年以. ∼1978 68 56.7% 10 62.5% 55 52.4% 57 50.4% 190 53.7%. ∼1982 8 6.7% 3 18.8% 14 13.3% 6 5.3% 31 8.8%. ∼1985 13 10.8% 0 0.0% 10 9.5% 8 7.1% 31 8.8%. ∼1989 6 5.0% 1 6.3% 6 5.7% 8 7.1% 21 5.9%. ∼1994. ∼2000. 10 8.3% 1 6.3% 5 4.8% 16 14.2% 32 9.0%. 8 6.7% 1 6.3% 9 8.6% 8 7.1% 26 7.3%. ∼2004 7 5.8% 0 0.0% 6 5.7% 10 8.8% 23 6.5%. 計 120 100.0% 16 100.0% 105 100.0% 113 100.0% 354 100.0%. 内に発生している。特に駐車場は 2 6 年間で 2 7 画地. 5 居住収縮指標による空家発生予測. 増加し、空宅地における駐車可能台数は 6 0 台から. ここまでに得られた知見から、空家化の指標を. 2 6 7 台にまで増加しており、駐車スペースの需要は. 定め、当エリアにおける将来の空家化予測を行う。. 年々増加していることがわかる( 図 1 ) 。また、立地. 空家化の指標として、世帯の高齢化、住宅の老朽. 条件別に空宅地の発生時期を見ると、空宅地の半. 化、立地条件、所有形態を用い、将来、空家化す. 数が立地条件の良い画地で発生しており、約 4 割が. る可能性の高い住宅を図 2 の方式で抽出する 。ま. 立地条件の悪い画地で発生している。総じて前者. ず、世帯属性が高齢である住宅は、近い将来に空. で駐車場、後者で未利用地が多く発生しており、い. 家化する可能性の高いものとして抽出する。次に. ずれの場合も近年の空宅地化が顕著である( 表 1 1 ) 。. 築年数の影響を考慮し、築 2 6 年以上の住宅を抽出. 29-3.
(4) し、さらに車両アクセス不可能な住宅に対象を限. 6 総括. 定した。続いて、接道の良否と住宅の権利関係か. 以上より、居住収縮の進行する住宅地における. ら空家化の危険度を分類し、図 3 に既存空家とと. 住環境の実態と、居住収縮による変容について、次. もにプロットした結果を示す。接道不良かつ借家. のような知見が得られた。. であるものを最も空家化の可能性が高いランク A. ①道 路 基 盤 の 脆 弱 な 斜 面 住 宅 地 で は 、 空 家 化 ・ 空. に位置づけ、接道不良かつ持家及び接道良かつ借. 宅地化は、その宅地の接道条件との関連が深い。ま. 家であるものをランク B 、接道良かつ持家であるも. た、高齢者世帯の住宅が接道条件の悪い宅地に立. のをランク C と設定した。ランク A に位置するもの. 地していることで、空家がそのような条件で生じ. が 9 棟、B が 3 9 棟、C が 2 6 棟であり、築 2 6 年以上. やすく、ストックとしての機能低下を招いている。. が経過していても、空家化可能性の低い、高齢者. ②斜 面 住 宅 地 で は 、 未 利 用 地 が 周 辺 環 境 を 阻 害 し. のみ世帯の住宅は 3 7 棟であった。空家化の危険度. ているだけでなく、立地条件の良い宅地でも建替. の高い住宅は、街区内部に集中しており、今後は. えより駐車場化が進行し、立地条件の良い宅地が. 街区内部から空家化が進行すると予測される。. 流動化しにくい要因となっている。 ③空家化は、 街区内部の相対的に道路基. 築26年 以上 :111. 接 道 条 件. 高齢 :127 全住宅 :416 築 年 数 入 居 世 帯 属 性. 接道不良 :40. 車両 アクセス 不可:74. 築26年 未満 :16. 車 両 進 入. 借家:9. ランクA :6. 持家:31 接道良 :34. ランクB :39 権 利 関 係. 借家:8 持家:26. 車両 アクセス 可:37. ランクC :26 その他の 高齢 :53. 混合及び 非高齢: 251. 混合及び 非高齢 :251. 現空家 :38. 現空家 :38. 図 2 居住収縮指標による空家発生危険度. 盤の脆弱なエリアから進行することが予 想される。居住収縮の進行する住宅地で は、住環境保全の仕組みづくりが求めら れる。 今後は、世帯構成や建物属性、所有者の 意向など詳細な調査を行い、現在までの 変容プロセスをより明確にし、将来予測 を行う必要がある。 謝辞 本調査にあたっては、枝光南地区まちづくり 協議会の皆様ならびに住民の皆様に多大なご 協力を得ました。記して深謝いたします。. 図 3 居住収縮指標による空家発生予測図. 29-4.
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