平 成 1 5 年 度 卒 業 論 文 題 目
公 的 年 金 に お け る 無 年 金 問 題
∼ 若 者 か ら 無 年 金 者 を つ く ら な い 公 的 年 金 制 度 の 考 察 ∼ 文 学 部 社 会 福 祉 学 科 D 組 2 1 番 村 上 真 子― 目 次 ― は じ め に 第 1 章 国 民 年 金 に お け る 無 年 金 第 1 節 国 民 年 金 の 視 点 ・ 年 金 制 度 の 定 義 ・「 社 会 保 障 」 と 「 社 会 保 険 」 ・「 強 制 加 入 」 の 意 味 第 2 節 国 民 年 金 と は 第 3 節 国 民 年 金 に お け る 無 年 金 第 2 章 学 生 無 年 金 問 題 第 1 節 学 生 無 年 金 の 発 生 第 2 節 学 生 無 年 金 障 害 者 の 生 活 実 態 ・ 無 年 金 障 害 者 と 有 年 金 障 害 者 の 生 活 実 態 ・ 学 生 無 年 金 障 害 者 の 生 活 実 態 第 3 節 学 生 無 年 金 者 訴 訟 ・ 無 年 金 障 害 者 の 運 動 ∼ 裁 判 に い た る ま で ∼ ・ 裁 判 の 提 起 ∼ 学 生 無 年 金 者 訴 訟 ∼ 第 4 節 訴 訟 を 通 じ て 第 3 章 若 者 の 年 金 問 題 第 1 節 つ の る 年 金 不 信
・ 強 ま る 若 者 の 年 金 不 信 ・ 不 信 を 引 き 起 こ す 年 金 改 悪 第 2 節 年 金 の 空 洞 化 ・ 空 洞 化 の 実 態 ・ 空 洞 化 を 招 く 現 行 制 度 第 3 節 学 生 納 付 特 例 制 度 ・ 学 生 納 付 特 例 制 度 の 概 要 ・ 学 生 納 付 特 例 制 度 の 欠 陥 第 4 章 今 後 の 展 望 第 1 節 2 0 0 4 年 度 の 年 金 改 正 に 向 け て お わ り に
は じ め に
私 は 今 、 学 生 納 付 特 例 制 度 を 受 け て 国 民 年 金 の 保 険 料 を 一 時 的 に 免 除 さ れ て い る 。 こ の 制 度 が で き た お か げ で 、 も し 事 故 な ど に よ り 障 害 者 に な っ て も 、 障 害 基 礎 年 金 が 支 給 さ れ る 。 し か し 、 学 生 納 付 特 例 制 度 が で き る 前 に は 、 学 生 の と き に 障 害 者 に な り 保 険 料 を 納 め て い な か っ た 等 の 理 由 で 、 障 害 基 礎 年 金 が 支 給 さ れ ず 無 年 金 障 害 者 と な る 人 々 が い た 。 学 生 無 年 金 障 害 者 で あ る 。 学 生 に 限 ら ず サ ラ リ ー マ ン の 妻 や 外 国 人 な ど の 無 年 金 者 は 、 国 民 年 金 発 足 時 か ら の 問 題 で あ っ た 。 し か し 、 無 年 金 問 題 は 今 ま で 度 々 行 わ れ て き た 年 金 改 革 で も 、 具 体 的 に 改 正 さ れ た こ と は 少 な く 、 今 な お 無 年 金 障 害 者 は 増 え 続 け て い る 。 で は 、 な ぜ 今 ま で 具 体 的 な 問 題 解 決 が な さ れ な か っ た の か 、 な ぜ い ま だ に 無 年 金 障 害 者 が 発 生 し 続 け て い る の だ ろ う か 。 ま た 世 論 で は 、 保 険 料 の 引 き 上 げ ・ 給 付 額 の 引 き 下 げ が 話 題 に 上 り 、 年 金 不 信 の 進 行 が 年 金 の 空 洞 化 と い う 形 で 現 れ て い る 。 特 に 若 年 世 代 は 深 刻 化 し て お り 、保 険 料 納 付 率 が 5 割 を 切 っ て い る 。こ の 状 況 が 続 け ば 、 若 年 世 代 か ら の 無 年 金 障 害 者 は 増 え 続 け る 一 方 で 、 問 題 が 改 正 さ れ る こ と は 難 し い 。 で は 、 な ぜ 若 年 世 代 の 年 金 離 れ が 進 行 し て い る の だ ろ う か 。 こ の 二 つ の 疑 問 点 に 着 目 し 、 前 半 で は 無 年 金 障 害 者 の 実 態 と 現 在 行 わ れ て い る 学 生 無 年 金 者 訴 訟 を 挙 げ な が ら 、 無 年 金 問 題 に つ い て 検 討 し て い く 。 そ し て 後 半 で は 、 無 年 金 問 題 に 繋 が っ て い く 年 金 問 題 と し て 、 若 年 世 代 の 視 点 か ら み た 現 行 の 国 民 年 金 制 度 の 問 題 を 挙 げ 、議 論 し て い く 。第 1 章 国 民 年 金 に お け る 無 年 金
第 1 節 国 民 年 金 の 視 点 年 金 制 度 の 定 義 病 気 も 事 故 も 無 く 、 生 涯 を 通 じ て 平 坦 な 人 生 を 送 れ る 人 は 、 残 念 な が ら 稀 で あ る 。 生 活 に か か わ る 様 々 な 事 故 が 起 こ り 、 暮 ら し を 脅 か す 。 病 気 、 失 業 、 労 働 災 害 、 一 家 の 働 き 手 の 死 亡 、 働 く こ と が で き な い 老 年 期 等 々 で あ る 。 こ う し た 人 生 の 事 故 や 一 定 の 状 態 に 備 え て 、 収 入 や 医 療 等 を 保 障 す る の が 、 社 会 保 障 制 度 で あ る 。 ILO( 国 際 労 働 機 関 ) は 、 年 金 制 度 を 次 の よ う に 定 義 し て い る 。 「 年 金 と は 、 一 家 を 支 え る 者 の 老 齢 、 死 亡 、 廃 疾 の 場 合 に 、 社 会 保 障 制 度 か ら 長 期 間 に わ た っ て 定 期 的 に 支 払 わ れ る 現 金 給 付 の 総 称 で あ る 。 老 齢 、 死 亡 、 廃 疾 と い う 三 つ の 状 態 は 、 本 人 の 労 働 生 活 の 終 焉 と い う 共 通 の 特 徴 が あ る 。」 ILO が 此 処 で い う 年 金 と は 、 い う ま で も な く 「 公 的 年 金 」 を さ し て い る 。 こ の よ う に 、「 公 的 年 金 は 社 会 保 障 で あ る 」と す る の が 普 遍 的 で あ る が 、 日 本 の 年 金 制 度 は こ れ と は 違 い 特 徴 的 で あ る 。 一 般 的 に 日 本 の 国 民 年 金 は 「 社 会 保 障 の 性 質 を 持 っ て い る の と 同 時 に 社 会 保 険 の 性 質 も 併 せ 持 つ も の で あ る 」 と さ れ て い る 。 「 社 会 保 障 」 と 「 社 会 保 険 」 で は 、「 社 会 保 障 」 と 「 社 会 保 険 」 と は ど う い っ た も の な の か 。 「 社 会 保 障 」 と い う と ま ず 、 生 活 保 護 を 思 い 浮 か べ る 。 失 業 や 疾 病 とい っ た 何 ら か の 原 因 で 生 活 が で き な く な り 、 そ の 日 の 食 べ 物 も ま ま な ら な い ど う し よ う も な い 状 況 に 陥 っ て し ま っ た 人 た ち を 、「 保 護 」と い う 名 目 で 生 活 を 保 障 す る 。実 際 、辞 典 で 調 べ て み る と 、「 社 会 保 障 」と は「 国 民 の 生 存 権 の 確 保 を 目 的 と す る 国 家 的 保 障 。」iと あ る 。 一 方 「 社 会 保 険 」 と い う と 、 や は り 公 的 年 金 が ま ず 思 い 出 さ れ る 。 他 に は 、 医 療 保 険 や 失 業 保 険 を 思 い 浮 か べ る 。 こ れ ら は 保 険 と い う 以 上 、 毎 月 保 険 料 を 支 払 っ て 、 そ の 保 険 料 を も と に 運 営 し 、 被 保 険 者 に 事 故 等 が 起 こ っ た と き に は 保 険 料 か ら 保 険 金 が 支 払 わ れ る 再 分 配 の 性 質 を 持 っ て い る 。こ ち ら も 辞 典 に は 、「 社 会 保 障 上 、国 民 の 遭 遇 す る 事 故 ・ 災 害 な ど に よ る 損 害 の 補 填 、 お よ び 生 活 の 保 障 を 目 的 と す る 強 制 加 入 。」i iと あ る 。 「 社 会 保 障 」と「 社 会 保 険 」の 性 質 を 併 せ 持 つ 国 民 年 金 は 、「 国 民 の 生 存 権 確 保 を 目 的 の 根 底 と し た う え で 、 国 民 が 遭 遇 す る 事 故 等 に よ り 生 活 に 支 障 を き た し た 場 合 、 現 金 給 付 で 生 活 の 保 障 を 行 う 強 制 加 入 の 保 険 」 と 言 え る 。 「 強 制 加 入 」 の 意 味 現 在 、国 民 年 金 保 険 は 2 0 歳 ∼ 6 0 歳 ま で の 被 保 険 者 に 対 し て 、「 強 制 加 入 」 と な っ て い る 。 し か し 、 実 際 に は 未 適 用 者 や 未 納 者 が 何 百 万 人 と お り 、 事 実 上 は 、 任 意 加 入 に 近 い 。 国 民 年 金 の 捉 え 方 と し て 「 収 入 の 得 ら れ な く な っ た 高 齢 者 世 代 に 現 役 で 働 い て い る 世 代 が 、 そ の 保 険 料 で も っ て 支 え て い く 、 世 代 を 超 え た 社 会 全 体 で の 支 え あ い 」 で あ る と し て い る 。 そ う し た 考 え 方 の も と で 、「 強 制 加 入 」 に し た の で は な い か 。 で は 、 国 民 年 金 に お け る 真 の 「 強 制 加 入 」 と は 何 か 。 そ れ は 、 現 行 の 国 民 年 金
法 に 定 め ら れ て い る 全 て の 被 保 険 者 が 、 保 険 料 を 未 納 ・ 滞 納 を す る こ と な く 支 払 わ れ る 「 納 付 率 1 0 0 % 」 で あ る 状 態 を 指 す の で は な い か 。 簡 単 に 「 国 民 年 金 は 強 制 加 入 で あ る 」 と 言 わ れ て い る が 、 国 民 年 金 に つ い て 考 え る 時 私 た ち は 「 強 制 加 入 」 の 意 味 を し っ か り 理 解 す る 必 要 が あ る 。 第 2 節 国 民 年 金 の 概 要 国 民 年 金 の 特 徴 と し て 、 ひ と つ に 国 が 管 理 す る 公 的 な 保 険 点 が 挙 げ ら れ る 。 し た が っ て 、 国 民 年 金 の 財 源 の う ち 、 三 分 の 一 は 国 庫 負 担 で ま か な わ れ て い る 。 ま た 、 収 入 が 少 な く 保 険 料 が 払 え な い 場 合 に は 、 保 険 料 の 「 免 除 」 制 度 が あ る 点 や 、 2 0 歳 前 初 診 の 場 合 の 無 拠 出 年 金 が あ る 点 で も 特 徴 的 で あ る 。 ① 被 保 険 者 現 行 制 度 で は 2 0 歳 ∼ 6 0 歳 の 全 て の 日 本 人 に 加 入 が 義 務 付 け ら れ て い る 。 被 保 険 者 に は 、 加 入 形 態 お よ び 費 用 負 担 の 違 い に よ り 、 三 つ の 種 別 に 分 け ら れ て い る 。 自 営 業 や 農 業 を 営 む 人 ・ 学 生 、 無 職 の 人 な ど は 第 1 号 被 保 険 者 。 第 2 号 被 保 険 者 は 厚 生 年 金 あ る い は 共 済 年 金 に 加 入 し て い る 被 保 険 者 、 組 合 員 ま た は 加 入 者 で 構 成 さ れ る 。 第 3 号 被 保 険 者 は サ ラ リ ー マ ン の 妻 な ど 、 第 2 号 被 保 険 者 の 被 扶 養 配 偶 者 で あ る 。 ② 保 険 料 第 1 号 被 保 険 者 の 保 険 料 は 、 現 在 、 月 額 1 万 3 3 0 0 円 で あ る 。 低
所 得 ま た は 無 所 得 の た め 保 険 料 が 支 払 え な い 場 合 は 、「 学 生 納 付 特 例 制 度 」 や 「 保 険 料 半 額 ( ま た は 全 額 ) 免 除 制 度 」 で 認 定 を 受 け る と 保 険 料 が 免 除 さ れ る 。 第 2 号 被 保 険 者 の 保 険 料 は 厚 生 年 金 と し て 負 担 す る 。 保 険 料 は 定 率 負 担 で あ る 。 保 険 料 は 税 込 み の 賃 金 月 収 に 対 し て 賦 課 さ れ 、 本 人 お よ び 事 業 主 が 折 半 し て 負 担 す る 。 2 0 0 3 年 度 時 点 に お い て 事 業 主 負 担 込 み で 1 3 .5 8 % で あ る 。 第 3 号 被 保 険 者 に は 、 保 険 料 を 負 担 す る 義 務 は な い 。 し か し 、 第 3 号 被 保 険 者 と し て の 届 出 が 必 要 で あ る 。 ③ 保 険 事 故 ・ 年 金 年 金 給 付 に は 、 老 齢 基 礎 年 金 、 障 害 基 礎 年 金 、 遺 族 基 礎 年 金 の 三 種 類 が あ る 。 老 齢 基 礎 年 金 は 、 6 5 歳 か ら 支 給 が 始 ま る 。 老 齢 基 礎 年 金 を 受 給 す る に は 、 2 0 歳 ∼ 6 0 歳 ま で の 間 に 、 原 則 と し て 2 5 年 間 以 上 保 険 料 を 納 付 し な け れ ば な ら な い 。 老 齢 基 礎 年 金 の 金 額 は 、 そ の 人 が 保 険 料 を 納 め た 期 間 に よ っ て 変 わ る 。 2 0 歳 ∼ 6 0 歳 ま で 4 0 年 間 保 険 料 を 納 め た 場 合 、 2 0 0 3 年 度 時 点 に お け る 年 金 額 は 満 額 の 年 間 7 9 万 7 0 0 0 円 で あ る 。 障 害 基 礎 年 金 は 、 事 故 や 重 い 病 気 に よ っ て 重 い 障 害 を 負 っ た 場 合 に 受 給 で き る 。 た だ し 、 国 民 年 金 法 施 行 令 ・ 別 表 の 障 害 等 級 表 ( 表 1 − 1 ) に 定 め ら れ た 障 害 等 級 に 該 当 す る 障 害 者 に 限 定 さ れ る 。 さ ら に 、 納 付 要 件 と し て 、 ① 「 初 診 日 」 に お い て 年 金 に 加 入 し て い る こ と 、 ② 初 診 日 の 前 々 月 ま で に 被 保 険 者 期 間 の う ち の 3 分 の 2 以 上 の 保 険 料 納
付 済 期 間 ( 免 除 期 間 も 含 む ) が あ る こ と が 必 要 で あ る 。 障 害 基 礎 年 金 は 1 級 と 2 級 に わ か れ そ れ ぞ れ 給 付 額 が 異 な る 。 2 0 0 3 年 度 時 点 で は 、 1 級 が 年 間 9 9 万 6 2 5 0 円 、 2 級 が 年 間 7 9 万 7 0 0 0 円 で あ る 。 初 診 日 が 2 0 歳 前 だ っ た 場 合 は 、 そ の 人 が 2 0 歳 に な っ た 時 点 で 障 害 基 礎 年 金 が 受 給 で き る 。し か し こ の 2 0 歳 前 初 診 の 障 害 基 礎 年 金 は 、 一 定 程 度 以 上 の 所 得 が あ る 障 害 者 に は 支 給 さ れ な い 。 遺 族 基 礎 年 金 は 、 被 保 険 者 ま た は 老 齢 基 礎 年 金 の 資 格 期 間 を 満 た し た 者 が 死 亡 し た と き ( た だ し 、 保 険 料 納 付 済 期 間 〈 保 険 料 免 除 期 間 を 含 む 〉 が 加 入 機 関 の 3 分 の 2 以 上 あ る こ と ) に 支 給 さ れ る 。 遺 族 基 礎 年 金 を 受 給 す る の は 、 死 亡 し た 者 に よ っ て 生 計 を 維 持 さ れ て い た 子 供 の あ る 妻 、 ま た は 、 子 供 で あ る 。 遺 族 基 礎 年 金 の 金 額 は 、 子 供 の 人 数 に よ っ て 変 わ る 。
第 3 節 国 民 年 金 に お け る 無 年 金 問 題 国 民 年 金 に お い て 無 年 金 と な る 人 々 の 出 典 と し て 1 7 項 目 が 挙 げ ら れ る 。( 表 1 − 2 )し か し 、こ こ で は 主 な も の と し て 4 項 目 を 挙 げ 、検 討 し て い く こ と と す る 。 ① 保 険 料 を 滞 納 し て い る 期 間 に 障 害 に な っ た 人 障 害 年 金 を 受 け る に は 支 給 要 件 が あ る 。 そ の 要 件 の ひ と つ と し て 、 「 保 険 料 納 付 済 期 間(保 険 料 免 除 期 間 を 含 む 。) が 加 入 期 間 の 3 分 の 2 以 上 あ る 者 の 障 害 。」と あ る 。し た が っ て 、保 険 料 納 付 済 期 間(保 険 料 免 除 期 間 を 含 む 。) が 加 入 期 間 の 3 分 の 2 未 満 の 者 は 、支 給 要 件 を 満 た し て お ら ず 障 害 者 と な っ て し ま っ た 場 合 、 無 年 金 と な っ て し ま う 。 た だ し 、1 9 9 4 年 度 の 改 正 に よ り 現 在 は 経 過 措 置 と し て 、初 診 日 よ り 前 1 年 の 間 に 未 納 が な い 時 に は 請 求 資 格 は あ る 。 未 納 に つ い て は 、 納 付 期 限 か ら 2 年 以 内 で あ れ ば 納 め る こ と が で き る 。 た だ し 、 納 付 期 限 か ら 2 年 を 過 ぎ る と 、 時 効 に よ り 納 め る こ と が で き な く な る 。 ② 任 意 加 入 時 代 に 任 意 加 入 し て お ら ず 障 害 に な っ た 学 生 お よ び サ ラ リ ー マ ン の 妻 学 生 は 1 9 8 9 年 の 年 金 法 改 正 以 前( 法 施 行 は 1 9 9 1 年 4 月 )、サ ラ リ ー マ ン の 妻 は 1 9 8 5 年 の 年 金 法 改 正 以 前 ( 法 施 行 は 1 9 8 6 年 4 月 ) は 任 意 加 入 と な っ て い た 。 そ の た め 、 加 入 し て い な か っ た 者 は 当 然 障 害 者 に な っ て も 無 年 金 と な っ て し ま っ て い た 。
③ 国 籍 要 件 の た め 国 民 年 金 に 加 入 で き な か っ た 在 日 外 国 人 現 行 制 度 で は 、 日 本 国 内 に 住 ん で い る 20 歳 以 上 60 歳 未 満 の 人 は 、 日 本 国 籍 が あ る な し に か か わ ら ず 全 て 国 民 年 金 に 加 入 す る こ と に な っ て い る 。 し か し 、 1 9 8 1 年 の 年 金 法 改 正 以 前 ( 法 施 行 は 1 9 8 2 年 1 月 ) は 、 年 金 法 に 国 籍 条 項 が あ っ た た め 、 日 本 国 籍 を 持 っ て い な い 在 日 外 国 人 は 国 民 年 金 に 加 入 す る こ と 自 体 許 さ れ な か っ た 。 そ の た め 当 然 障 害 者 に な っ て も 無 年 金 と な っ て し ま っ て い た 。 ④ 障 害 認 定 基 準 が 厳 し す ぎ る な ど の た め に 受 け ら れ な い 人 障 害 年 金 を 受 け る た め の 支 給 要 件 と し て 、「 障 害 等 級 が 1 級 ま た は 2 級 の 障 害 者 」 と あ る 。 そ の た め 、 保 険 料 を 未 納 ・ 滞 納 な く 支 払 っ て い て も 、 障 害 の 程 度 が 3 級 以 下 で は 、 障 害 年 金 は 支 給 さ れ な い 。 無 年 金 と は 全 く 年 金 を 支 給 さ れ な い 者 の こ と を 指 す 。 こ の 文 中 で も 、 そ う 定 義 し 、 指 す こ と に す る 。 し か し 、 例 え ば 月 額 2 万 以 下 し か 支 給 を 受 け て い な い よ う な 低 額 年 金 受 給 者 も 、 保 険 料 を 支 払 っ て い た に も か か わ ら ず 、 保 障 さ れ て い る か と い う 観 点 か ら す る と 十 分 と は 言 え ず 、 社 会 保 障 か ら 排 除 さ れ て い る 人 々 と い え る 。 こ う い っ た 制 度 か ら 洩 れ て し ま っ た 点 で は 、 無 年 金 者 と 変 わ ら な い 。 無 年 金 障 害 者 に つ い て 考 え る 時 、 ま ず は 、 全 く 年 金 が 支 給 さ れ な い 者 が 出 な い よ う に 制 度 設 計 す べ き で あ る が 、 こ う い っ た 低 額 年 金 受 給 者 の 存 在 も 忘 れ て は な ら な い 。
1 国 民 年 金 に 任 意 加 入 し て い な か っ た サ ラ リ ー マ ン の 妻 2 国 民 年 金 に 任 意 加 入 し て い な か っ た 大 学 生 各 種 専 門 学 校 生 な ど の 学 生 3 旧 法 対 象 者 で 、 厚 生 年 金 の 加 入 後 六 カ 月 以 内 、 ま た は 共 済 年 金 加 入 後 一 年 以 内 に 初 診 日 が あ っ た 者 ( 平 成 6 年 法 改 で 救 済 ) 4 脱 退 手 当 金 の 対 象 と な っ た 被 保 険 者 期 間 中 に 初 診 日 が あ っ た 者 5 障 害 が 軽 く な り 支 給 停 止 後 三 年 で 失 権 し た が 、 そ の 後 に 障 害 が 重 く な っ た 者 ( 平 成 6 年 法 改 で 救 済 ) 6 国 籍 要 件 の た め 、 国 民 年 金 に 加 入 で き な が っ た 在 日 外 国 人 7 国 民 年 金 の 繰 り 上 げ 請 求 で 老 齢 基 礎 年 金 を 受 給 し た た め に 、 事 後 重 症 の 障 害 基 礎 年 金 を 受 け ら れ な く な っ た 者 8 制 度 の こ と を 知 ら ず に 、 事 後 重 症 の 請 求 を 六 五 歳 ま で に し な か っ た 者 9 六 五 歳 過 ぎ に 障 害 状 態 に な っ た 高 齢 障 害 者 10 保 険 料 を 一 定 期 間 滞 納 し て い た 者 ( 3 号 被 保 険 者 の 届 け 出 を 怠 っ た 者 を 含 む ) 11 障 害 認 定 基 準 が 厳 し す ぎ る な ど の た め に 障 害 年 金 を う け ら れ な い 者 12 「 固 定 的 」 で 「 永 続 的 」 と い う 障 害 観 で 、 障 害 年 金 の 対 象 か ら は ず さ れ て い る 者 ( た と え ば 神 経 症 ) 13 行 政 側 の 宣 伝 不 足 な ど の た め に 、 年 金 の 権 利 が あ る こ と を 知 ら ず に 障 害 年 金 の 請 求 を お こ な っ て い な い 者 や 、 時 効 で 障 害 年 金 の 請 求 が で き な く な っ た 者
14 カ ル テ の 保 存 期 間 が 経 過 し 診 断 書 が と れ な い た め に 、 障 害 年 金 を う け ら れ な い 者 15 二 〇 歳 前 の 初 診 で 障 害 基 礎 年 金 の 受 給 資 格 が あ る が 、 本 人 の 所 得 制 限 で 障 害 基 礎 年 金 が 支 給 停 止 と な っ て い る 者 16 遺 族 年 金 や 老 齢 年 金 の 給 付 を 受 け て お り 、 障 害 年 金 が 併 給 調 整 で 支 給 停 止 と な っ て い る 者 17 任 意 未 加 入 で 、 長 期 間 の 国 外 滞 在 中 に 障 害 者 と な っ た 者 表 1 ― 2 無 年 金 者 の 原 因 1 7 項 目 「 無 年 金 障 害 者 の 報 告 集 」( 1 9 9 3 年 )
第 2 章 学 生 無 年 金 問 題
第 1 節 学 生 無 年 金 障 害 者 の 発 生 国 民 年 金 制 度 が 発 足 し た 当 初 か ら 1 9 8 9 ( 平 成 元 ) 年 に 国 民 年 金 法 が 改 正 さ れ る ま で 、 2 0 歳 を こ え た 「 学 生 」 及 び 「 専 門 学 校 生 」 は 、 国 民 年 金 に 加 入 し な く て も よ い と さ れ て い た 。 つ ま り 、 強 制 加 入 の 制 度 で あ り な が ら 強 制 加 入 で は な か っ た 。 そ の た め ほ と ん ど の 学 生 が 国 民 年 金 に 加 入 し て い な か っ た 。そ れ で も 加 入 し た い と 考 え る 学 生 に つ い て は「 任 意 加 入 」 と い う 制 度 が あ っ た 。 し か し 「 任 意 加 入 」 制 度 に つ い て ほ と ん ど 宣 伝 や 広 報 さ れ る こ と が 無 か っ た の で 、 実 際 に 「 任 意 加 入 」 し て い る 学 生 は わ ず か 約 2 % 程 で あ っ た 。な か に は 、「 任 意 加 入 」の 手 続 き を し に 役 所 に 行 っ た と こ ろ 、 窓 口 で 「 学 生 は 入 ら な く て よ い 。 就 職 し て か ら で 十 分 で あ る 。」と い う 風 に 言 わ れ た た め に 、加 入 す る こ と な く 帰 っ た ケ ー ス も あ る 。 ま た 、 強 制 加 入 し て い る 者 に つ い て は 保 険 料 を 免 除 す る 制 度 が あ っ た が 、「 任 意 加 入 」に つ い て は 保 険 料 の 免 除 制 度 が 無 か っ た 。そ の た め 、保 険 料 を 支 払 う だ け の 経 済 力 が 無 い 学 生 は 、「 任 意 加 入 」を し た く て も で き な い 状 況 で あ っ た 。 こ の よ う に 国 民 年 金 に 加 入 し て い な い 学 生 時 代 に 事 故 や 病 気 と な る 原 因 が 起 こ り 障 害 者 に な っ て し ま っ た 場 合 、 加 入 要 件 を 満 た し て い な い た め に 障 害 年 金 を 受 給 す る こ と は で き な い 。 こ う し て 、 学 生 無 年 金 障 害 者 は 生 れ て き た の で あ る 。 第 2 節 学 生 無 年 金 障 害 者 の 生 活 実 態 障 害 年 金 を 受 給 で き な い 学 生 無 年 金 障 害 者 は ど の よ う に 生 活 を し て いる の だ ろ う か 。 学 生 無 年 金 障 害 者 の 生 活 実 態 を 示 す 前 に 、 無 年 金 障 害 者 に 関 す る 生 活 実 態 に つ い て 興 味 深 い 資 料 が あ っ た の で 、 そ ち ら を 紹 介 し た い 。 無 年 金 障 害 者 と 有 年 金 障 害 者 の 生 活 実 態 厚 生 労 働 省 は 、 身 体 障 害 者 ・ 精 神 障 害 者 の 生 活 実 態 を 障 害 年 金 の 受 給 状 況 も 含 め 調 査 し た 、「 障 害 者 の 生 活 状 況 に 関 す る 調 査 結 果 の 概 要 」を 2 0 0 3 年 8 月 に 発 表 し た 。
表 2 − 1 身 体 障 害 者 の 経 済 に 関 す る こ と(「 障 害 者 の 生 活 状 況 に 関 す る 調 査 結 果
の 概 要 」2003 年 )
表 2 −1 は 経 済 に 関 し て の ア ン ケ ー ト 結 果 で あ る 。 こ の 表 を 見 れ ば わ か る よ う に 年 金 を 有 す る 者 と 無 年 金 の 者 で は 、 本 人 の 年 収 に 大 き な 違 い
が 生 じ る こ と が わ か る 。 年 金 を 有 す る 者 は 、 約 5 0 % の 人 の 年 収 が 5 0 万 円 ∼ 2 0 0 万 円 で あ る 。 一 方 無 年 金 の 者 は 、 約 4 0 % の 人 が 年 収 5 0 万 円 未 満 で あ り 、経 済 的 に 不 利 で あ る こ と は 一 目 瞭 然 で あ る 。そ の た め 、 経 済 維 持 を す る た め 家 族 の サ ポ ー ト ま た は 生 活 保 護 を 受 給 し て い る 無 年 金 の 者 は 、 年 金 を 有 す る 者 よ り 割 合 が 高 く な っ て い る 。 ま た 家 族 が い な く な っ た と き の 経 済 基 盤 を ど う す る か に つ い て は 、 年 金 を 有 す る 者 は 自 分 の 貯 蓄 や 年 金 と 答 え た 者 が 7 0 % を 超 え て い る の に 対 し 、 無 年 金 の 者 は 3 0 % 止 ま り で し か な い 。そ し て 、生 活 保 護 を 考 え て い る 人 が 約 3 0 % も お り 、 年 金 を 有 す る 者 約 1 0 % の 3 倍 に の ぼ っ て い る 。 こ れ ら の 調 査 結 果 よ り 、 年 金 を 有 す る 者 は 無 年 金 の 者 よ り も 比 較 的 経 済 的 に 恵 ま れ て お り 、 も し 一 人 で 生 活 し な け れ ば な ら な い 状 況 に 陥 っ た と し て も 何 ら か の 形 で 自 立 生 活 で き る と 考 え て い る 者 が 多 い の が わ か る 。 一 方 無 年 金 の 者 は 、 普 段 か ら 家 族 の サ ポ ー ト や 生 活 保 護 な ど の 経 済 支 援 を 受 け な け れ ば な ら な い 生 活 を 余 儀 な く さ れ て い る 人 が 目 立 ち 、 一 人 で 生 活 し な け れ ば な ら な い 状 況 に 陥 っ た 場 合 に は 、 生 活 保 護 の 受 給 に 頼 る し か な い と 考 え て い る 者 が 多 い 。 学 生 無 年 金 障 害 者 も 同 じ よ う な 生 活 状 況 を 強 い ら れ て い る 者 が 多 く 、 常 に 経 済 的 不 安 や 精 神 的 不 安 を 抱 え な が ら 生 活 を し て い る 。 こ れ ら の 無 年 金 障 害 者 本 人 だ け で な く 、 家 族 も 同 じ よ う に 様 々 な 不 安 を 抱 え て い る の で あ る 。 次 に 、 実 際 に 学 生 無 年 金 障 害 者 と そ の 家 族 の 生 活 実 態 に 迫 る と 共 に 、 ど の よ う な こ と を 考 え な が ら 生 活 し て い る の か 検 討 し た い と 思 う 。
学 生 無 年 金 障 害 者 の 生 活 実 態 ① K さ ん の ケ ー ス ( 本 人 ) 「 私 は 、2 0 歳 を 過 ぎ た 大 学 在 学 中 の 1 9 7 6 年 9 月 、体 育 の 授 業 で ト ラ ン ポ リ ン の 着 地 失 敗 に よ り 頸 髄 を 損 傷 。 そ れ 以 来 2 5 年 、 車 椅 子 を 常 時 必 要 と す る 1 級 の 全 身 性 完 全 麻 痺 身 体 障 害 者 と な り 、 衣 服 の 着 脱 ・ 食 事 ・ 車 椅 子 へ の 移 動 ・ 排 泄 処 理 ・ 夜 中 の 体 位 交 換 ・ 入 浴 な ど 、 日 常 生 活 の ほ と ん ど す べ て に 介 助 が 必 要 で す 。 そ の う え 、 自 律 神 経 失 調 症 に よ る 症 状 が あ り 、 ま た 床 ず れ 予 防 や 排 泄 管 理 も 怠 れ な い 状 態 に あ り ま す 。 現 在 、 7 0 歳 を 過 ぎ た 父 母 と 同 居 し て 、 そ の 介 助 を 受 け て い ま す が 、 年 を と っ て 身 体 も 弱 っ て き て い る 両 親 に 苦 労 を か け て い る こ と を 心 苦 し く 思 っ て い ま す 。・ ・ ・ 一 般 に 、 障 害 者 の 収 入 ( 所 得 ) は 、 年 金 、 手 当 て 、 就 労 に よ る 所 得 、 そ の 他 で す が 、 多 く の 障 害 者 は 年 金 等 に よ り 生 計 を 立 て て い ま す 。 一 方 で 私 は 、 年 に 数 回 の 臨 時 的 な ア ル バ イ ト 収 入 は あ り ま し た が 、 微 々 た る 金 額 で 、 継 続 的 な 収 入 の 道 は あ り ま せ ん 。 今 は 非 常 勤 で 週 2 回 勤 め て い ま す 。 体 力 面 お よ び 介 護 面 か ら 見 て 精 一 杯 の 勤 務 で あ り ま す が 、 就 労 で き る だ け 幸 い で あ る と 思 っ て い ま す 。こ ん な 時 に 障 害 基 礎 年 金 が あ れ ば 、 経 済 的 ・ 精 神 的 に 楽 に な り 、 よ り い っ そ う 就 労 へ の 意 欲 が 湧 い て 働 け る と 思 い ま す 。」i i i ② M さ ん の ケ ー ス ( 家 族 ) 「 娘 の 発 症 に 気 づ い た の は 、 立 命 館 大 学 2 年 の 3 学 期 、 2 1 歳 に な っ た ば か り の 「 成 人 の 日 」 の こ と で す 。 そ れ ま で 大 学 の 「 立 芸 」 サ ー ク ル の 演 劇 活 動 に 夢 中 で 、 勉 強 が 全 然 で き て い ま せ ん で し た 。 そ の た め 、 進
級 の た め の レ ポ ー ト 提 出 期 限 に 間 に 合 わ な い と 、 1 週 間 近 く ほ と ん ど 徹 夜 で 勉 強 し て い る 最 中 、 様 子 が お か し く な り ま し た 。 初 診 日 は 、 1 9 8 4 年 1 月 1 7 日 。 2 ヶ 月 ば か り 入 院 し 、 退 院 後 は す ぐ 復 学 、 1 9 8 7 年 卒 業 、 大 学 の 紹 介 で 就 職 し 、 後 、 結 婚 も し ま し た 。 2 年 ほ ど で 離 婚 し 、 そ の 後 は 両 親 と 3 人 で 暮 ら し て い ま す 。 そ の 間 、 ア ル バ イ ト で 数 社 に 就 職 し ま し た が 、 1 9 9 5 年 に 入 院 し た 後 は 、 ず っ と 自 宅 療 養 を し て い ま す 。自 宅 の 引 越 し 後 、1 9 9 7 年 転 院 し た 病 院 で 、初 め て「 精 神 分 裂 病 」 ( 現 在 は 「 統 合 失 調 症 」) と 病 名 を 知 ら さ れ ま し た 。・ ・ ・ 現 在 娘 は 3 9 歳 、 父 は 7 4 歳 、 母 は 7 0 歳 に な り ま す 。 生 活 費 や 医 療 費 は も ち ろ ん 、 父 親 の 共 済 年 金 収 入 の 中 か ら 娘 の 国 民 年 金 保 険 料 も ず っ と 払 い 続 け て い ま す 。 今 年 か ら は さ ら に 介 護 保 険 料 ま で 負 担 し な け れ ば な ら な く な り ま し た 。 健 康 保 険 料 も 医 療 費 負 担 も か さ ん で き ま す 。 父 親 に も し 万 一 の こ と が あ れ ば 。 生 活 の 破 綻 は 目 に 見 え て い ま す 。 親 亡 き 後 の 世 話 は 誰 が す る の か 、 生 き て い く た め の 生 活 の 保 障 は ど う な る の か 、 繰 り 返 さ れ る 精 神 症 状 に ど う 対 処 す る の か 、 家 族 は い つ も 悩 ん で い ま す 。」i v 第 3 節 学 生 無 年 金 者 訴 訟 無 年 金 障 害 者 の 運 動 ∼ 裁 判 に い た る ま で ∼ こ れ ま で 、 わ が 国 の 国 民 年 金 制 度 は 、 幾 度 に わ た り 制 度 の 改 正 を 行 っ て き た 。 例 え ば 、 被 保 険 者 に つ い て 、 外 国 人 、 主 婦 、 学 生 と 適 用 の 対 象 を 広 げ て 、形 の 上 で は 無 年 金 を 生 み 出 さ な い よ う な 構 成 に は な っ て き た 。ま た 、 当 初 対 象 で は な か っ た 心 臓 や 肝 臓 等 の 内 部 障 害 や 、 精 神 障 害 や 知 的 障 害
が 対 象 に 加 え ら れ る な ど 、 障 害 年 金 受 給 の 対 象 と な る 障 害 の 範 囲 も 広 げ て き た 。 し か し 、 制 度 改 正 さ れ た 内 容 の 対 象 と な る の は 改 正 後 に 障 害 者 に な っ た 人 た ち だ け で あ っ た 。 し た が っ て 、 制 度 改 善 の 契 機 に な っ た 当 の 無 年 金 障 害 者 に は 制 度 改 正 の 効 果 は 及 ば な か っ た の で あ る 。 そ こ で 、 無 年 金 障 害 者 に 救 済 措 置 を 、 と い う 願 い か ら 全 国 で 無 年 金 障 害 者 救 済 に 関 す る 様 々 な 会 が つ く ら れ 、運 動 を 進 め ら れ る こ と に な っ た 。 1 9 7 4 年 、 全 国 の 多 数 の 障 害 者 団 体 が 集 ま っ て 「 障 害 年 金 改 正 を す す め る 会 」 が 結 成 さ れ 、 障 害 年 金 に つ い て 当 時 存 在 し た 様 々 な 問 題 点 の 解 決 や 支 給 条 件 の 改 善 を 求 め て 運 動 を 行 っ た 。 国 民 年 金 の 任 意 加 入 対 象 者 で 未 加 入 の 障 害 者 に も 障 害 年 金 を 支 給 す る よ う 要 求 を 立 て て 国 と 交 渉 を し た の で あ る 。 翌 1 9 7 5 年 に も 障 害 年 金 の 支 給 を 要 請 し た が 、 旧 厚 生 省 の 担 当 者 は 、「 年 金 は 制 度 に 加 入 し て い て 保 険 料 を 納 め て い る 人 に 支 給 さ れ る も の で あ り 、 加 入 し て い な い 人 に 年 金 を 支 給 し て い た ら 、 誰 も 保 険 料 を 納 め な く な る 。年 金 制 度 が つ ぶ れ て し ま う 。」と い う 対 応 で あ っ た 。 1 9 8 9 年 に は 、 兵 庫 県 尼 崎 市 で 原 静 子 さ ん ら 3 人 の 障 害 者 が 集 ま っ て 「 無 年 金 障 害 者 の 会 」 を 結 成 し 、 尼 崎 市 議 会 な ど に 対 し て 、 国 が 無 年 金 障 害 者 を 救 済 す る よ う に と の 意 見 を 出 し て ほ し い と の 運 動 に 取 り 組 ん だ 。1 9 9 2 年 、尼 崎 市 議 会 は 、「 障 害 者 年 金 未 受 給 者 に 対 し て 、早 急 に 救 済 措 置 を 講 じ ら れ る よ う 強 く 要 望 す る 。」と の 決 議 を 行 い 、国 に 無 年 金 障 害 者 の 解 消 を 図 る よ う 求 め た 。 年 金 制 度 改 革 に つ い て は 、 1 9 8 9 年 、 学 生 の 強 制 加 入 が あ り 、 1 9 9 4 年 に は 、 一 部 の 無 年 金 障 害 者 に 対 し て 救 済 は あ っ た も の の 、 そ れ 以
降 す で に 無 年 金 障 害 者 に な っ て し ま っ た 者 に 対 す る 所 得 保 障 に つ い て は 、 一 向 に 検 討 す る 動 き を 示 さ な か っ た 。 そ こ で 、 全 国 1 7 都 道 府 県 で 3 8 名 の 当 事 者 が 、 裁 判 で 決 着 を 図 る こ と も 辞 さ な い と し て 、 障 害 基 礎 年 金 の 請 求 を 行 っ た 。 し か し 、 請 求 は す ぐ に 棄 却 さ れ た の で 、 都 道 府 県 審 査 官 に 対 し て 異 議 申 立 ( 審 査 請 求 ) し た が 棄 却 さ れ 、 そ し て 再 度 の 異 議 申 立 ( 再 審 査 請 求 ) を 行 っ た 。 そ れ で も 、 社 会 保 険 審 査 会 は 2 0 0 1 年 4 月 2 7 日 、 全 員 の 再 審 査 請 求 を 棄 却 し た 。 そ の 決 定 は 、「( 現 行 の ) 法 制 が 社 会 保 障 の 充 実 、 あ る い は 国 家 の 後 見 的 機 能 の 徹 底 と い う 観 点 か ら い っ て 、 な お 問 題 を 残 す も の で あ っ た と し て も 」 立 法 の 問 題 で あ る と し て い る 。 す な わ ち 、 法 律 を 変 え な い こ と に は 支 給 で き な い と い う こ と で あ る 。 裁 判 の 提 起 ∼ 学 生 無 年 金 者 訴 訟 ∼ 残 さ れ た 手 段 は 裁 判 だ け と な り 、 再 審 査 請 求 を 行 っ た 当 事 者 の う ち 、 合 計 2 9 名 が 2 0 0 1 年 7 月 5 日 以 降 、 全 国 各 地 の 裁 判 所 に て 裁 判 を 起 こ し た 。 裁 判 で は 、 ① 同 じ 2 0 歳 以 上 の 国 民 で 、学 生 で な い 者 は 収 入 が 低 く 保 険 料 の 免 除 が 認 め ら れ る と 、保 険 料 を 負 担 し な く て も 障 害 基 礎 年 金 の 支 給 を 受 け ら れ た の に 、学 生 は 適 用 が 除 外 さ れ て い て 不 平 等 な こ と( 学 生 に も 任 意 加 入 の 手 段 が あ っ た が 、任 意 加 入 し て も 保 険 料 の 免 除 の 措 置 が 無 い こ と 、ま た 、制 度 は ほ と ん ど 知 ら さ れ て お ら ず 、加 入 率 が 1 % 強 に 過 ぎ な か っ た こ と ) ② 1 9 9 1 年 以 降 に 2 0 歳 に な っ た 学 生 に は 、保 険 料 の 負 担 な し に 障 害
基 礎 年 金 が 支 給 さ れ る の と 比 較 し て も 不 合 理 な 差 別 で あ っ て 、法 の 下 の 平 等 を 保 障 し た 憲 法 第 十 四 条 一 項 に 違 反 す る こ と ③ 国 が 学 生 へ の 国 民 年 金 制 度 の 適 用 を 除 外 し 、適 用 し た 後 も す で に 障 害 者 と な っ た 者 へ の 年 金 支 給 を 拒 み 続 け る の は 、国 が 社 会 保 障 の 向 上 お よ び 増 進 に 勤 め る べ き こ と を う た っ た 憲 法 第 二 十 五 条 に 違 反 す る こ と な ど 憲 法 第 十 四 条 、 第 二 十 五 条 違 反 を 根 拠 に 、 学 生 へ の 国 民 年 金 法 の 適 用 を 排 除 し た 規 定 が 無 効 で あ っ て 、 障 害 基 礎 年 金 の 支 給 義 務 が あ る こ と を 訴 え て い る 。 第 4 節 訴 訟 を 通 じ て 訴 訟 の 大 き な 論 点 は 、 ① 原 告 が 学 生 無 年 金 と な っ た 当 時 の 任 意 加 入 に つ い て 、 政 府 に 不 備 が あ っ た こ と 、 ② 国 民 年 金 を 「 社 会 保 険 」 と 捉 え る か 「 社 会 保 障 」 と 捉 え る か の 二 点 で あ る 。 ① に つ い て 、 2 0 歳 以 上 の 学 生 の 当 時 の 加 入 率 が 1 、 2 % だ っ た 事 実 を み る と 、 認 知 度 の 低 さ は 歴 然 で あ る 。 ま た 、 当 時 任 意 加 入 し た 者 に は 保 険 料 の 免 除 制 度 が な く 、 収 入 の 乏 し い 学 生 に は 加 入 し に く い 制 度 で あ っ た こ と 、 た と え 加 入 し て い た と し て も 未 納 の 状 況 を 作 り や す く 、 納 付 期 間 に よ っ て 障 害 者 無 年 金 を 簡 単 に 作 り だ す 状 況 に あ っ た 。 こ れ ら の こ と を み る と 、 制 度 に 不 備 が あ っ た と い え る し 、 当 時 の 厚 生 省 が 早 急 に 解 決 し よ う と し な か っ た こ と は 、 政 府 に 非 が あ る 。 だ か ら 、 国 は 何 ら か の 責 任 を 負 う べ き で あ る 。 し か し 、 ② の 論 点 か ら い う と 、 国 民 年 金 は 社 会 保 険 の 特 徴 が 強 く 、 社 会 保 障 の 性 質 は 弱 い 。 な ぜ な ら 、 国 民 年 金 を 運 営 し て い く 上 で 財 源 に 国
庫 負 担 が あ る と は い え 、 国 民 の 保 険 料 で 賄 わ れ て い く も の で あ る し 、 基 本 的 に 保 険 料 を 納 め て い な い 者 は 、 年 金 を 受 け 取 れ な い か ら で あ る 。 仮 に 補 償 金 が 支 払 わ れ る と し た ら 、 そ の お 金 は 国 民 年 金 の 保 険 料 か ら 支 払 わ れ る こ と に な る 。 保 険 料 を 真 面 目 に 納 め て い る 人 か ら 、 理 由 が あ る と は い え 保 険 料 を 納 め て い な い 人 に 年 金 が 支 払 わ れ る こ と に な り 、 保 険 料 を 納 め て い る 側 の 人 に は 納 得 の い か な い こ と で あ る 。 ま た 学 生 無 年 金 を 補 償 す る と な れ ば 、 他 の 無 年 金 者 も 補 償 せ ね ば な ら ず 、 補 償 金 だ け で も 莫 大 な 金 額 に な る だ ろ う 。 そ の ツ ケ は 今 の 労 働 者 世 代 、 ま た 次 の 世 代 が 背 負 う こ と に な る 。 そ う い う 理 論 は 国 民 に は 通 じ な い 。 ゆ え に 、 こ の 訴 訟 は 原 告 側 に と っ て 厳 し い も の に な る だ ろ う 。 し か し 、 こ の 訴 訟 を 起 こ し た 意 味 は あ る と 考 え て い る 。 マ ス コ ミ に 取 り 上 げ ら れ 、 多 く の 人 が 無 年 金 者 に つ い て 知 る こ と に な っ た と 思 う し 、 年 金 に つ い て 興 味 を 持 っ た 人 も い る だ ろ う 。 そ し て 、 改 め て 無 年 金 を 作 る 制 度 に 疑 問 を 持 ち 、 こ の ま ま で は い け な い と 運 動 を 起 こ す 人 も い る か も し れ な い 。 筆 者 自 身 、 こ の 訴 訟 を 知 る ま で は 無 年 金 に つ い て さ ほ ど 興 味 を 持 て な か っ た 。 で も こ う し て 知 る こ と で 、 い つ 自 分 の 身 に 起 こ る か わ か ら な い 身 近 な 問 題 と し て 考 え る よ う に な っ た し 、 国 任 せ に せ ず 自 分 た ち で 声 を あ げ な け れ ば 変 わ ら な い こ と も 知 っ た 。 こ の 訴 訟 を 通 じ て 、 無 年 金 障 害 者 運 動 の 新 た な き っ か け と し て さ ら に 広 ま る こ と 、 そ し て 、 無 年 金 障 害 者 を 作 ら な い 制 度 を 作 っ て い こ う と す る 運 動 に 発 展 す る こ と を 期 待 し て い る 。
第 3 章
若 者 の 年 金 問 題
第 1 節 つ の る 年 金 不 信 強 ま る 若 者 の 年 金 不 信 日 本 の 若 者 は 政 府 の 年 金 行 政 に 対 し て 強 い 不 信 感 を 隠 そ う と は し な く な っ た 。 自 分 が 年 を と る 頃 に は 、 国 民 年 金 制 度 は 崩 壊 し て い る だ ろ う 。 そ う な っ た ら 国 民 年 金 を 受 給 し よ う に も 、 そ れ が で き な い 。 国 民 年 金 を 受 給 す る こ と が 仮 に で き る と し て も 、 今 の 国 民 年 金 と 比 べ る と 格 段 に 低 い 給 付 額 に な っ て い る の で は な い か 。 そ れ に も か か わ ら ず 政 府 は 国 民 年 金 の 保 険 料 を 引 き 上 げ る こ と ば か り 考 え て い る 。 政 府 の 言 う と お り に お 金 を 払 い 込 ん で も 、 払 い こ み 分 さ え 自 分 に 返 っ て こ な い 。 そ の よ う な お 金 で あ れ ば 、 い っ そ の こ と 政 府 に は 支 払 わ ず 、 自 分 で 貯 蓄 し た 方 が マ シ で は な い か 。 国 民 年 金 と い え ば 、 給 付 カ ッ ト と 保 険 料 負 担 引 き 上 げ の 話 題 ば か り だ 。 そ れ が 「 年 金 改 正 」 の 名 の も と に 繰 り 返 さ れ て い る 。 そ の 終 始 宣 言 は こ れ ま で 聞 い た こ と が な い 。 私 た ち 若 者 に と っ て は 、 い っ こ う に 楽 し く な い 話 で あ る 。 も う い い か げ ん に し て も ら い た い 。 と 思 う の が 、 世 間 一 般 の 若 者 の 気 持 ち で あ る 。 こ う し た 年 金 不 信 は 未 納 と い う 形 で 、 年 金 の 空 洞 化 を 引 き 起 こ し て い る 。 ま た 、 年 金 の 空 洞 化 は 、 無 年 金 者 を 作 り 出 す 大 き な 要 因 に も な っ て い る 。 不 信 を 引 き 起 こ す 年 金 改 悪 国 民 年 金 が 発 足 さ れ て か ら 現 在 ま で 、 度 々 「 年 金 改 正 」 が 行 わ れ て き た 。 学 生 や 主 婦 の 強 制 適 用 や 学 生 納 付 特 例 制 度 、 保 険 料 の 免 除 制 度 な どは 問 題 も あ る が 、改 正 の 文 字 通 り よ い 方 向 へ 改 め ら れ た と 言 え る だ ろ う 。 し か し 、 給 付 年 齢 の 引 き 上 げ 、 給 付 額 の 引 き 下 げ と い う の は 、 年 金 制 度 が 正 常 に 機 能 し て い な い あ ら わ れ で あ っ て 、 年 金 そ の も の に 不 安 を 感 じ る し 、 そ れ を 運 営 し て い る 政 府 に 対 し て も 不 満 を 感 じ て し ま う 。 き ち ん と 国 民 が 納 得 す る 理 由 と や り 方 で あ れ ば 理 解 も 得 ら れ る だ ろ う が 、 問 題 の 多 過 ぎ る 今 の 年 金 制 度 で は 無 理 で あ る 。 こ う い っ た 改 正 が 一 度 だ け な ら 国 民 も 我 慢 の し よ う が あ る か も し れ な い が 、 改 正 の た び に 何 度 も 行 わ れ て は 「 政 府 は い っ た い 何 を し て い る の だ 」 と 怒 り を あ ら わ に せ ざ る を え な い 。 こ う し て 不 安 ・ 不 満 は 積 も り に 積 も り 、 ま た さ ら に 、 政 府 を 批 判 す る だ け の マ ス コ ミ の 相 乗 効 果 も あ っ て 、 改 正 す れ ば す る ほ ど 年 金 不 信 が 進 行 す る の で あ る 。 第 2 節 年 金 の 空 洞 化 空 洞 化 の 実 態 2 0 0 3 年 、新 聞 の 一 面 に 国 民 保 険 料 未 納 4 割 の 記 事 が 大 き く 載 っ た 。 社 会 保 険 庁 の 調 べ に よ る と 、 平 成 1 4 年 度 の 国 民 年 金 保 険 の 納 付 状 況 は 6 2,8 % で 約 四 割 が 未 納 で あ る こ と が わ か る 。( 表 3 − 1 ) ま た 、 前 年 度 の 納 付 率 は 7 0,9 % で 、 前 年 度 に 比 べ て 8 ,1 ポ イ ン ト の 低 下 と な っ た 。 表 3 − 1 平 成 1 4 年 度 の 納 付 状 況 ( 平 成 1 4 年 度 の 国 民 年 金 の 加 入 ・ 納 付 状 況 )
ま た 年 齢 別 に 納 付 率 ( 表 3 − 2 ) を 見 て み る と 、 ① 平 成 1 4 年 度 の 納 付 率 を 平 成 1 3 年 度 の 納 付 率 ( 従 来 の 納 付 率 ) と 比 較 す る と 、 全 年 齢 階 級 で 納 付 率 が 落 ち 込 ん で お り 、 特 に 、 中 高 齢 層 ( 3 5 ∼ 3 9 歳 、 4 0 ∼ 4 4 歳 、4 5 ∼ 4 9 歳 )で の 落 ち 込 み 幅 が 大 き い こ と 、② 年 齢 階 級 別( 2 0 歳 ∼ 5 9 歳 ) に 納 付 率 を 見 る と 、 年 齢 階 級 が 低 い 者 は 低 く 、 年 齢 階 級 が 高 く な る に し た が っ て 高 く な っ て い る こ と が わ か る 。 表 3 − 2 平 成 1 4 年 度 の 年 齢 階 級 別 納 付 率 ( 平 成 1 4 年 度 の 国 民 年 金 の 加 入 ・ 納 付 状 況 )
平 成 1 4 年 国 民 年 金 被 保 険 者 実 態 調 査 の 結 果 を み る と 、 も う 少 し 細 か く 見 る こ と が で き る 。 年 齢 別 の 保 険 料 納 付 状 況 の 推 移 ( 表 3 − 3 ) を み る と 、 ① 平 成 1 4 年 調 査 に お い て 、 未 納 者 割 合 を 見 る と 、 2 5 ∼ 2 9 歳 で 最 も 高 く 、 こ れ 以 上 の 年 齢 階 級 で は 、 年 齢 が 上 昇 す る に 従 っ て 低 下 し て い る こ と 、 ② 年 齢 別 の 未 納 者 数 を 平 成 1 1 年 調 査 と 平 成 1 4 年 調 査 で 比 較 す る と 、 2 0 ∼ 2 4 歳 で は 、 平 成 1 2 年 度 よ り 導 入 さ れ た 学 生 納 付 特 例 制 度 に よ り 未 納 者 数 や 未 納 者 割 合 が 減 少 し て い る が 、 そ れ 以 外 の 年 齢 で は 未 納 者 数 や 未 納 者 割 合 は 増 加 し て い る こ と が 読 み 取 れ る 。 表 3 − 3 年 齢 別 の 保 険 料 納 付 状 況 の 推 移 ( 平 成 1 4 年 国 民 年 金 被 保 険 者 実 態 調 査 )
保 険 料 未 納 者 の 未 納 理 由( 表 3 − 4 )に つ い て は 、「 保 険 料 が 高 く 経 済 的 に 支 払 う の が 困 難 」と し た 者 が 6 割 程 度 、「 国 民 年 金 を あ て に し て い な い 、 ま た は 、 あ て に で き な い 」 と し た 者 の 割 合 が 1 割 強 と な っ て お り 、 平 成 1 1 年 調 査 と 比 較 す る と 、 両 者 と も 若 干 で あ る が 上 昇 し て い る 。 表 3 − 4 年 齢 別 の 保 険 料 未 納 理 由 ( 主 要 回 答 ) の 推 移 ( 平 成 1 4 年 国 民 年 金 被 保 険 者 実 態 調 査 ) 空 洞 化 を 招 く 現 行 制 度 空 洞 化 の 実 態 で も 挙 げ た と お り 、 未 納 4 割 と 約 半 数 の 人 が 国 民 保 険 料 を 払 え な い 状 況 に あ る 。 ま た 、 若 年 齢 層 、 特 に 2 0 歳 代 の 未 納 の 割 合 は 深 刻 で あ る こ と が わ か っ た 。 な ぜ 、 こ れ ほ ど ま で に 空 洞 化 が 進 む の だ ろ う か 。 そ れ は 、 保 険 料 の 払
い づ ら い 国 民 年 金 制 度 に 原 因 が あ る と 考 え ら れ る 。 そ の 一 つ と し て 保 険 料 未 納 者 の 未 納 理 由 ( 表 3 − 4 ) で も わ か る よ う に 、 保 険 料 の 高 さ が 挙 げ ら れ る 。 フ リ ー タ ー の 増 加 や ワ ー ク シ ェ ア リ ン グ な ど で 、 個 人 が 得 ら れ る 所 得 は 年 々 減 少 傾 向 に あ る 。 そ の 中 で 昔 と 変 わ ら ず 月 額 1 万 3 3 0 0 円 の 保 険 料 は 、 給 与 所 得 の 減 少 と 反 比 例 し 、 ま す ま す 大 き な 負 担 と な る 。 給 与 所 得 が 減 少 し 、 保 険 料 の 負 担 が 苦 し く な っ た 人 々 は 、 保 険 料 免 除 制 度 を 受 け る 。 こ の 保 険 料 免 除 制 度 が 二 つ 目 の 要 因 と し て 挙 げ ら れ る 。 2 0 0 2 年 の 時 点 で 保 険 料 免 除 制 度 を 受 け て い る 人 は 、 約 2 0 0 万 人 い る 。 こ の 年 は 初 め て 保 険 料 半 額 免 除 制 度 が 導 入 さ れ 、 約 3 0 万 人 が 申 請 を し て 保 険 料 納 付 者 と な り 、 未 納 者 と し て の 人 数 は 減 っ た 。 し か し 、 今 の 社 会 情 勢 を 見 る と 不 景 気 は 続 い て お り 、 保 険 料 免 除 制 度 を 受 け る 人 は 増 加 す る で あ ろ う 。 保 険 料 未 納 者 の 未 納 理 由 で 注 目 す べ き 点 が あ る 。そ れ は 、「 国 民 年 金 を あ て に し て い な い 、 ま た は 、 あ て に で き な い 」 と 答 え た 人 の 割 合 が 、 平 成 1 1 年 度 よ り 高 く な っ て い る 点 で あ る 。 確 実 に 年 金 不 信 が 影 響 し て い る 現 れ で あ る 。 第 3 節 学 生 納 付 特 例 制 度 学 生 納 付 特 例 制 度 の 概 要 学 生 納 付 特 例 制 度 は 、 学 生 で あ る 第 1 号 被 保 険 者 に つ い て 、 申 請 し て 承 認 を 受 け る こ と に よ り 、 申 請 の 前 月 分 か ら そ の 年 度 末 ま で の 保 険 料 の 納 付 を 猶 予 し 、 社 会 人 に な っ て か ら 保 険 料 を 後 払 い で き る よ う に す る も の で あ る 。 な お 、 申 請 は 毎 年 必 要 と な る 。
対 象 者 は 、 本 人 の 所 得 が 一 定 額 以 下 の 学 生 で あ る 第 1 号 被 保 険 者 ( 親 の 所 得 は 問 わ な い )と な っ て い る 。( 予 備 校 な ど 一 部 対 象 外 の 教 育 施 設 が あ る 。) 学 生 納 付 特 例 期 間 の 取 り 扱 い ( 申 請 が 承 認 さ れ た 場 合 ) に つ い て は 、 (1) 保 険 料 を 納 付 す る 必 要 は な い が 、 卒 業 し て 社 会 人 に な っ て か ら 納 め ら れ る よ う 、学 生 納 付 特 例 期 間 の 各 月 か ら 1 0 年 間 は 保 険 料 を 追 納( さ か の ぼ っ て 納 付 す る ) こ と が で き る 。 追 納 す る 保 険 料 の 額 は 、 特 例 期 間 か ら 2 年 を 過 ぎ る と 当 時 の 保 険 料 の 額 に 政 令 で 定 め る 一 定 の 率 を か け た 金 額 に な る 。 (2) 学 生 納 付 特 例 期 間 は 、 年 金 の 受 給 資 格 期 間 に は 算 入 さ れ る が 、 保 険 料 が 追 納 さ れ な い 場 合 は 老 齢 基 礎 年 金 の 額 の 計 算 に は 反 映 さ れ な い 。 (3) 学 生 納 付 特 例 期 間 中 の 病 気 や ケ ガ が 原 因 で 障 害 者 に な っ た 場 合 、 障 害 の 程 度 に 応 じ て 障 害 基 礎 年 金 が 支 給 さ れ る 。 た だ し 、 学 生 納 付 特 例 期 間 以 外 に 保 険 料 の 未 納 期 間 が あ る と 支 給 さ れ な い こ と も あ る 。 学 生 納 付 特 例 制 度 の 欠 陥 学 生 納 付 特 例 制 度 が で き 、 基 本 的 に は す べ て の 学 生 が 、 万 一 障 害 者 に な っ て も 障 害 年 金 を 受 給 す る こ と が で き る よ う に な り 、 学 生 無 年 金 が 発 生 す る こ と の な い 仕 組 み が で き た 。 し か し 、 所 得 の 問 題 な ど 学 生 納 付 特 例 制 度 か ら 、 洩 れ る 人 た ち が い る の で あ る 。 こ こ で は 学 生 納 付 特 例 制 度 の こ の よ う な 問 題 点 を い く つ か 挙 げ る 。 ① 対 象 の 限 定
学 生 納 付 特 例 制 度 を 受 け る に は 、 本 人 の 所 得 が 一 定 額 以 下 の 学 生 で あ る 第 1 号 被 保 険 者 と 言 う 条 件 が あ る 。 詳 し く は 、「 大 学 ( 大 学 院 )、 短 大 、 高 等 学 校 、 高 等 専 門 学 校 、 専 修 学 校 及 び 各 種 学 校 そ の 他 の 教 育 施 設※ 1の 一 部 に 在 学 す る 20 歳 以 上 の 学 生 等※ 2で あ っ て 、 学 生 本 人 の 前 年 の 所 得 が 68 万 円 以 下※ 3で あ る 方 」 で あ る 。 ※ 1 各 種 学 校 そ の 他 の 教 育 施 設 に つ い て は 、 個 別 に 定 め て あ る 。 ※ 2 平 成 1 4 年 4 月 か ら は 、夜 間 ・ 定 時 制 課 程 や 通 信 制 課 程 の 方 も 対 象 と な る 。 ※ 3 学 生 に 扶 養 親 族 等 が あ れ ば そ の 有 無 及 び 数 に 応 じ て 加 算 さ れ ま す 。 扶 養 親 族 等 が い な い 学 生 の 場 合 は 約 13 3 万 円 ま で の 収 入 で あ れ ば こ の 制 度 の 対 象 と な る 。 こ こ で 疑 問 に 思 う の が 、 な ぜ わ ざ わ ざ 所 得 制 限 を つ く る の か 、 ま た な ぜ 予 備 校 な ど 一 部 対 象 外 の 教 育 施 設 が あ っ て す べ て の 教 育 施 設 が 対 象 で は な い の か と い う 点 で あ る 。 所 得 に 余 裕 の あ る 学 生 は わ ざ わ ざ こ の 制 度 を 受 け よ う と し な く と も 、 年 金 の 保 険 料 を 納 め る 気 が あ る 人 は 納 め る だ ろ う 。 ② 制 度 の 認 知 度 の 低 さ と 面 倒 な 申 請 あ る 時 学 校 の 先 生 が ゼ ミ で こ の 学 生 納 付 特 例 制 度 に つ い て 申 請 を し て い る か と 聞 い た と こ ろ 、 ほ と ん ど の 学 生 が 申 請 を し て い な い と の こ と だ っ た 。 中 に は こ の 制 度 を 知 ら な い 学 生 も い た よ う だ 。 初 め て 国 民 年 金 手 帳 が 送 ら れ て き た 時 、 大 層 派 手 な 封 筒 に 入 れ て 送 ら れ て き た 。 中 身 を 開 け る と 年 金 手 帳 と イ ラ ス ト の た く さ ん 描 か れ た パ ン フ レ ッ ト と な ぜ か ア イ ロ ン の 掛 け 方 や カ ク テ ル の 作 り 方 な ど が 載
っ た 冊 子 が 入 っ て お り 、 封 筒 は 分 厚 く な っ て い た の を 憶 え て い る 。 何 と か 年 金 に つ い て 興 味 を 持 っ て も ら お う と し て い る の だ ろ う が 、 果 た し て ど の く ら い の 人 が 読 ん だ の だ ろ う か 。 ダ イ レ ク ト メ ー ル の よ う な 感 覚 で 受 け 取 っ た な ら ば 、 読 ん で い な い 可 能 性 は 非 常 に 高 い 。 ま た 、 ど の 程 度 の 人 が 学 生 納 付 特 例 制 度 に つ い て 知 り 、 申 請 を し に 行 っ た の だ ろ う か 。 毎 年 区 役 所 な り に 行 っ て 申 請 を し な け れ ば な ら な い の は 、 は っ き り 言 っ て 非 常 に 面 倒 く さ い 。 そ れ に 、 国 民 年 金 の 窓 口 は い つ で も 混 ん で い て 長 い 時 間 待 た さ れ る 。 具 体 的 な 資 料 が な く 推 測 す る し か な い が 、 こ う い う 状 況 で は 、 申 請 ま で こ ぎ つ け る の は 非 常 に 少 な い と 想 像 で き る 。 そ う し て 申 請 を せ ず に 障 害 者 に な っ て し ま っ た ら 、 ま た 学 生 無 年 金 障 害 者 を 作 り 出 し て し ま う 。 ③ 保 険 料 後 払 い の 落 と し 穴 こ の 制 度 で は 、 学 校 を 卒 業 し 働 く よ う に な っ て か ら 学 生 納 付 特 例 期 間 の 保 険 料 を 追 納 と い う 形 で 支 払 わ な け れ ば な ら な い 。 な ぜ な ら こ の 制 度 が 、 国 民 年 金 の 保 険 料 を 納 め る こ と が 猶 予 さ れ る 制 度 だ か ら で あ る 。 し た が っ て 、 払 わ な け れ ば 老 齢 基 礎 年 金 の 受 給 資 格 要 件 に は 算 入 さ れ る が 、 年 金 額 に は 反 映 さ れ な い 。 ま た 、 保 険 料 を 追 納 す る に あ た っ て 期 限 が 1 0 年 間 と 決 め ら れ て お り 、 さ ら に 特 例 期 間 か ら 2 年 を 過 ぎ る と 当 時 の 保 険 料 の 額 に 政 令 で 定 め る 一 定 の 率 を か け た 金 額 に な り 、 ペ ナ ル テ ィ が 課 せ ら れ る 。 つ ま り 月 額 1 万 3 3 0 0 円 で 保 険 料 を 納 め よ う と す る な ら 、 特 例 期 間 か ら 2 年 間 し か 猶 予 が な い 。 社 会 人 に な り 給 与 を 得 る よ う に な っ て も 、 少 な
い 給 与 か ら 追 納 し て い く の は 、か な り な 負 担 に な る 。こ の 2 年 を 過 ぎ 、 一 般 の 人 よ り 高 い 保 険 料 に な っ て も 支 払 う 気 の あ る 人 は ま れ で 、 ほ と ん ど の 人 は カ ラ 期 間 に 入 る し そ の ま ま で も い い だ ろ う と い う 気 に な る 。
第 4 章
今 後 の 展 望
第 1 節 2 0 0 4 年 度 の 年 金 改 正 に 向 け て 2 0 0 4 年 度 の 年 金 改 正 に 向 け て 政 府 は 最 終 調 整 に 入 っ て い る 。 今 回 の 年 金 改 正 の 論 点 は 、 給 付 と 負 担 の 見 直 し で あ る 。 具 体 的 に は 、 基 礎 年 金 の 国 庫 負 担 割 合 の 2 分 の 1 へ の 引 上 げ ・ 保 険 料 引 上 げ の 凍 結 解 除 で あ る 。 ま た 、 女 性 の 年 金 に つ い て も 改 正 さ れ る 。 政 府 は こ れ ら 改 正 の 基 本 的 な 考 え 方 と し て 、 現 役 世 代 の 負 担 へ の 配 慮 と 公 的 年 金 に ふ さ わ し い 水 準 の 確 保 の た め と し て い る が 、 一 般 の 目 か ら は 負 担 が 増 え る と し か 思 え な い 。 基 礎 年 金 の 国 庫 負 担 割 合 の 2 分 の 1 へ の 引 上 げ は 、 国 民 年 金 の 財 源 を 確 実 に 確 保 す る た め に も 大 切 だ ろ う 。 し か し 、 国 庫 は 言 い 換 え れ ば 税 金 で あ る 。国 庫 負 担 を 上 げ れ ば そ の 分 国 庫 で あ る 税 金 を 確 保 せ ね ば な ら ず 、 そ の ツ ケ は 国 民 に 返 っ て く る 。こ の 先 、税 金 が 上 が る こ と は 確 実 で あ る 。 保 険 料 引 上 げ の 凍 結 解 除 で は 、 保 険 料 を こ の 先 国 民 年 金 は 1 万 7 0 0 0 円 台 ( 厚 生 年 金 は 保 険 料 水 準 を 2 0 % に 固 定 ) ま で 引 き 上 げ る こ と が 決 定 し て い る 。 終 わ り の 見 え な い 不 景 気 の 今 、 給 与 が 下 が る 一 方 な の に 保 険 料 が 上 が っ て し ま っ て は 、 生 活 は さ ら に 苦 し く な る 。 政 府 は 、 所 得 水 準 に 応 じ た 多 段 階 の 免 除 制 度 を 導 入 す る と 言 っ て い る が 、 果 た し て 保 険 料 の 納 付 意 欲 を 低 下 さ せ な い 効 果 は あ る だ ろ う か 。 年 金 の 財 源 が 危 な い か ら と い っ て 、 保 険 料 を 上 げ る と い っ た 安 直 な 案 に 一 生 懸 命 取 り 組 む よ り も 、 年 金 に 対 す る 信 用 を 回 復 す る こ と に 懸 命 に 取 り 組 む べ き だ 。 若 年 世 代 の 年 金 不 信 は 、 こ の 章 第 2 節 で 述 べ た よ う に と て も 深 刻 で ある 。 若 年 世 代 は こ れ か ら 年 金 を 背 負 っ て た つ 世 代 で あ る の に 、 こ の ま ま で は 「 年 金 不 信 → 保 険 料 納 付 率 の 低 下 → 年 金 不 信 」 の 悪 循 環 で あ る 。 そ う す れ ば 、 無 年 金 問 題 も 深 刻 に な る 。 こ う し た 年 金 不 信 を 断 ち 切 る た め に は 、 世 代 間 で 公 平 な 年 金 制 度 に 改 善 し て い く こ と が 一 番 の 課 題 で あ る 。 公 平 な 負 担 に 公 平 な 給 付 、 そ れ を 実 現 さ せ る た め に 現 在 の 高 齢 者 の 給 付 に つ い て も 見 直 す 必 要 が あ る 。 増 え 続 け る 負 担 を 分 か ち 合 い 、 国 民 皆 年 金 、 国 民 皆 保 険 を 維 持 す る に は 、 世 代 間 で も 世 代 内 で も 公 平 な 仕 組 み を 作 る こ と が 重 要 だ 。 同 時 に 、 保 育 や 教 育 も 含 め 、 ラ イ フ サ イ ク ル に 応 じ た 給 付 の あ り 方 を 見 直 し て 、 社 会 保 障 = 老 後 保 障 で は な い こ と を 明 確 に す る こ と が 、 現 役 世 代 の 理 解 を 得 る た め に 欠 か せ な い 。 そ の 一 方 で 、 現 役 世 代 も 、 国 民 年 金 を 将 来 の 損 得 勘 定 だ け で 考 え る 見 方 を 改 め て い か な け れ ば な ら な い 。 国 民 年 金 は 、 世 代 間 で 給 付 や 負 担 を 分 配 す る も の で あ る 。 つ ま り 、 世 代 間 の 助 け 合 い に よ っ て 成 り 立 つ も の と 捉 え 、 多 少 の 世 代 間 の 違 い は 仕 方 な い も の と し て み る べ き で あ る 。 し か し 、 お か し い と こ ろ は お か し い と 声 を 上 げ て い か な け れ ば な ら な い 。 制 度 を 支 え て い る の は 政 府 で は な く 国 民 で あ る 。 国 民 に よ っ て 、 制 度 は 良 く も 悪 く も な る 。 制 度 を 改 悪 し て き た の は 、 政 府 に 任 せ っ き り に し て き た 私 た ち 国 民 に も 責 任 が あ る 。 だ か ら 、 今 、 年 金 を 担 っ て い る 現 役 世 代 、 そ し て こ れ か ら の 年 金 を 担 っ て い く 若 年 世 代 を 中 心 に 、 年 金 改 善 の 声 を 上 げ て い か な け れ ば な ら な い の だ 。
お わ り に
若 者 の 多 く が 国 民 年 金 の 保 険 料 を 支 払 っ て も 、 そ れ に 見 合 う だ け の 金 額 が 給 付 と し て 返 っ て こ な い と 思 っ て い る 。 私 自 身 も 国 民 年 金 は 公 的 保 険 だ か ら 納 付 し な け れ ば な ら な い も の と 考 え て い る が 、 年 金 の 損 得 を 考 え て し ま う こ と が あ る 。 そ う い え ば 国 民 年 金 は 破 綻 寸 前 と 言 わ れ て か ら 久 し い 。 現 在 で も 未 納 4 割 の 深 刻 な 空 洞 化 を 起 こ し て い る に も か か わ ら ず 、 国 民 年 金 は 成 り 立 っ て い る 。 し か し 、 2 0 0 4 年 度 の 年 金 改 正 を 見 て も わ か る よ う に 、 保 険 料 は 高 く な り 、 給 付 額 は 下 が る 一 方 で 、 年 金 問 題 の 根 本 的 な 解 決 に は 至 っ て お ら ず 、 こ の 先 が 不 安 で あ る 。 こ れ か ら の 国 民 年 金 を ど う し て い く か 決 め る の は 国 民 自 身 で あ り 、 現 役 世 代 を 含 め た 若 い 世 代 に か か っ て い る 。 今 回 こ の 論 文 を ま と め て い く う ち に 、 国 民 の 手 で 年 金 を 変 え る こ と は 決 し て 不 可 能 で は な い こ と を 知 っ た 。 そ し て 、 そ れ を 実 現 さ せ る た め に は 国 民 が 声 を 上 げ 訴 え る こ と が 必 要 な こ と も 知 っ た 。 だ か ら 、 私 た ち 若 い 世 代 が 来 る 自 分 た ち の 未 来 の た め に 、 国 民 年 金 を 正 し く 知 り 、 年 金 制 度 を 変 え て い こ う と す る 力 を ひ と り ひ と り が 持 つ こ と が 最 も 重 要 な の で あ る 。 そ う し た 小 さ な 力 は や が て 、 大 き な 運 動 と な り 、 果 て は 社 会 全 体 を 動 か す 力 に な る と 信 じ て い る 。 最 後 に 、 こ の 論 文 を 書 く に あ た り ご 助 力 く だ さ っ た 松 崎 先 生 と 年 金 研 究 会 の 高 橋 さ ん に 心 よ り お 礼 申 し 上 げ る 。参 考 文 献 ・『 年 金 入 門 』 島 田 と み 子 著 / 岩 波 書 店 ・『 新 版 社 会 福 祉 士 養 成 講 座 』 福 祉 士 養 成 講 座 編 集 委 員 会 編 集 / 中 央 法 規 ・『 図 解 わ か る 年 金 2003-2004 年 版 』 中 尾 幸 村 著 / 新 星 出 版 社 ・『 年 金 が な い!?知 っ て ほ し い「 無 年 金 障 害 者 」の こ と 』 学 生 無 年 金 障 害 者 訴 訟 全 国 連 絡 会 編 / か も が わ 出 版 ・『 力 あ わ せ て 年 金 制 度 の 改 善 を − 解 決 し た い 障 害 者 の 無 年 金 − 』 無 年 金 障 害 者 の 会 ・『 年 金 の 教 室 負 担 を 分 配 す る 時 代 へ 』 高 山 憲 之 著 / P H P 研 究 所 ・『 年 金 制 度 の 選 択 』 村 上 清 著 / 東 洋 経 済 新 報 社 i 『 大 辞 林 』 第 二 版 / 三 省 堂 i i 『 大 辞 林 』 第 二 版 / 三 省 堂 i i i 『 年 金 が な い !?知 っ て ほ し い 「 無 年 金 障 害 者 」 の こ と 』 学 生 無 年 金 障 害 者 訴 訟 全 国 連 絡 会 編 / か も が わ 出 版 i v 『 年 金 が な い !?知 っ て ほ し い 「 無 年 金 障 害 者 」 の こ と 』 学 生 無 年 金 障 害 者 訴 訟 全 国 連 絡 会 編 / か も が わ 出 版