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黒澤 肺高血圧症を合併した小児全身性硬化症の一女児例 379 な経過をたどることも少なくない. 中でも肺高血圧症は, 一旦発症するとその予後は極めて不良であり, 欧米では約 10% 1), 本邦では 1% に合併しているといわれている. 小児では全身性硬化症自体が非常にまれで, 本邦で肺高血圧症を合

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横浜市立大学付属病院小児科 症例報告

肺高血圧症を合併した小児全身性硬化症の一女児例

黒澤るみ子,梅 林 宏 明,今 川 智 之,片 倉 茂 樹,森 雅 亮,相 原 雄 幸,横 田 俊 平

A case of systemic scleroderma complicating pulmonary hypertension

Rumiko KUROSAWA, Hiroaki UMEBAYASHI, Tomoyuki IMAGAWA, Shigeki KATAKURA, Masaaki MORI, Yuhkoh AIHARAand Shumpei YOKOTA

Department of Pediatrics, Yokohama City University School of Medicine. (Received August 11, 2006)

summary

The patient was a 7year-old girl. At the age of 6, deposits of pigment had appeared on the skin of her face and limbs, the skin had become sclerosed, and she had developed dyspnea on exertion. Her previous physician had hospital-ized her. She was diagnosed as systemic scleroderma that accompanied pulmonary hypertension by her symptoms and laboratory ˆndings. She was referred to our hospital at 7 years of age, and she was hospitalized. At that time, the entire skin showed deposition of brown pigment, the skin of the limbs was sclerotic. And the face was mask-like, ‰exion of the joints of the ˆngers and knees was limited, and the ˆngertips were ulcerated. Raynaud's phenomenon was present. She was positive for antinuclear antibodies, and negative for other autoantibodies. Echocardiography revealed pulmonary hypertension. After admission, steroid pulse therapy and cyclophosphamide (CY) pulse therapy were initiated, and for aftercare, 15 mg/day of prednisolone (PSL) and mizolibin (MZB) were administered orally. After several months, the sclerosis of the skin improved and the restriction of limb ‰exion was almost eliminated. The pulmonary hypertension advanced temporarily (maximum: 70 mmHg), but after oral administration of a PGI2 preparation and low-‰ow sup-plemental oxygen therapy and the initiation of anticoagulant therapy, the systolic pressure of the pulmonary artery im-proved to 34 mmHg. The CY pulse therapy was terminated after two years, and internal use of PSL and MZB was con-tinued. The patient's condition is now stable.

This case was treated from an early stage with steroid pulse therapy and CY pulse therapy, accompanied with oral administration of a PGI2 preparation for the pulmonary hypertension. The dermal symptoms improved, and it was possible to maintain a state of remission.

Key words―Systemic sclerosis; pulmonary hypertension; child Intraveous cyclophosphamide pulse therapy; Prostaglandins 抄 録 症例は 7 歳女児.6 歳時に顔面・四肢の色素沈着,皮膚硬化,労作時呼吸困難があり前医に入院.症状・検査所 見から,肺高血圧症を合併した全身性硬化症と診断され,7 歳時に当科紹介入院.入院時,全身が褐色に色素沈着 し,四肢の皮膚硬化,仮面様顔貌あり,手指・膝関節に屈曲制限,指尖部に潰瘍を認めた.Raynaud 現象が陽性 であった.抗核抗体は陽性であったが,その他の自己抗体は陰性であった.心エコー検査で肺高血圧症を認めた. 入院後,メチルプレドニゾロン(mPSL)パルス療法および経静脈的シクロホスファミド(IVCY)パルス療法を 開始し,後療法にプレドニゾロン(PSL)15 mg/日とミゾリビン(MZB)の内服を行った.約 4 ヶ月で皮膚硬化 は改善し,四肢の屈曲制限もほぼ消失した.肺高血圧症は一時的に進行したが(増悪時肺動脈圧 70 mmHg),経口 PGI2製剤の内服,低流量酸素投与,抗凝固療法を開始し,肺動脈圧は 34 mmHg と改善した.IVCY パルス療法は 2 年間行い,以後 PSL と MZB の内服を継続しているが,病状は安定している.本症例は早期から mPSL 療法・ IVCY パルス療法を行い,肺高血圧症に対し経口 PGI2製剤の内服を併用し,皮膚症状,肺高血圧症とも改善し, 寛解を維持することが可能であった. は じ め に 全身性硬化症は,皮膚硬化と広範な臓器障害を特 徴とする慢性の結合組織病である.Raynaud 現象 が高頻度にみられ,四肢末端より皮膚硬化が進行 し,同時に肺線維症,心筋障害,消化管障害,腎機 能障害などへ急速に進展することがあり,予後不良

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図 1 手指は皮膚硬化のため屈曲制限を認め,褐色調に色素 沈着・脱失していた. 図 2 手指の先細りと指尖部潰瘍を認めた. な経過をたどることも少なくない.中でも肺高血圧 症は,一旦発症するとその予後は極めて不良であ り,欧米では約 10%1),本邦では 1%に合併してい るといわれている.小児では全身性硬化症自体が非 常にまれで,本邦で肺高血圧症を合併した小児期発 症全身性硬化症の報告例はない.今回,肺高血圧症 を合併した小児期発症の全身性硬化症に対し,メチ ルプレドニゾロン(mPSL)パルス療法・経静脈的 シクロホスファミド(IVCY)パルス療法とプロス タグランジン(PG)I2誘導体製剤の内服を行い, 皮膚症状が著明に改善し,肺高血圧症の進行を抑止 できた症例を経験したので報告する. 症 例 症 例:7 歳女児. 主 訴:顔面・四肢の色素沈着,手指の皮膚硬 化,労作時呼吸困難. 既往歴:特記事項なし. 家族歴:特記事項なし. 現病歴:2001 年 4 月ごろより顔面や四肢に皮膚 の色素沈着を認め,その後手指のこわばり及び上下 肢を中心とした皮膚硬化が出現した.同年 7 月にな り階段昇降や運動時に軽い呼吸困難も見られるよう に な っ た た め , 前 医 に 入 院 と な っ た . 抗 核 抗 体 2560 倍,抗 Scl70 抗体 9.8 U/ml,心エコー所見な どから,全身性硬化症,肺高血圧症と診断され,11 月 22 日当科転院となった. 入院時現症:身長 127 cm,体重 23.5 kg と発育良 好であった.体温 37.1°C,血圧 94/46 mmHg,呼 吸数 20 回/分,脈拍 80 回/分,SpO2 は 96%であっ た.顔面は褐色調に硬化し,仮面様顔貌で,舌小帯 短縮を認めた.皮膚は全体に褐色調に色素沈着・脱 失し,四肢の皮膚は硬化して光沢があり,両側の手 指,膝関節は皮膚硬化のため屈曲制限を認めた(図 1).手には冷感があり,手指の先細りや指尖部潰瘍 を 認 め た ( 図 2 ). 全 身 皮 膚 ス コ ア ( total skin score : TSS)は 39/104 点であった. 初診時検査所見(表 1):白血球数 7,800/ml(好 中球 50%,リンパ球 39.8%),ヘモグロビン 13.1 g /dl,血小板数 23.6 万/ml で末梢血所見には異常所 見はみられなかった.赤沈値 2 mm/1 h, CRP 0.1 mg/dl と炎症所見も認めなかった.生化学検査所見 では,AST 24 IU/l, ALT 11 IU/l, LDH 236 IU/l と 肝機能障害はなく,CK 160 IU/l,アルドラーゼ 6.1 IU/l と筋原酵素の上昇もみられなかった.IgG 1,160 mg/dl, IgA 120 mg/dl, IgM 134 mg/dl と免疫 グロブリン値に異常はなく,sIL2R 1,500 U/ml と 軽度上昇していた.凝固機能検査では,PT 1.15, APTT 34.5 秒,フィブリノーゲン 162 mg/dl と正 常であったが,FDPE は 211 ng/ml と上昇してい た.自己抗体の検索では,抗核抗体 5120 倍(核小 体型),RF<0.5I U/ml,抗 dsDNA 抗体<5.0 U/ ml,抗 ssDNA 抗体<5.0 U/ml,抗 RNP 抗体< 7.0 U/ml で,抗 Scl70 抗体は陰性,抗セントロメ ア抗体は陰性であった.また PANCA, CANCA とも陰性であった.TGFb1 は,44.7 ng/ml と上昇 していた.胸部 X 線所見では肺野に異常所見はな く,心拡大もみられなかった.胸部 CT でも異常所 見はなかった.心電図では,右軸偏位(+116°)を 認め,心エコー検査では,推定肺動脈圧 40 mmHg 前後を認めた.肺血流シンチグラフィーでは,両側 肺におけるモザイク状の RI の集積低下を認め,血 流低下が疑われた.食道造影検査では,食道蠕動運

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表 1 初診時検査所見 【末梢血】 WBC 7,800/ml Neu 50.0% Lym 39.8% Hb 13.1 g/dl Plt 23.6×104/ml ESR 2 mm/1 h 【凝固】 PT(INR) 1.15 APTT 34.5 秒 Fib 162 mg/dl FDPE 211 ng/ml vWF 145% TAT 3.2 ng/ml 【尿】 蛋白(-) 潜血(-) 【生化学】 TP 7.0 g/dl Alb 4.3 g/dl GOT 24 IU/l GPT 11 IU/l LDH 236 IU/l CK 160 IU/l Ald 6.1 IU/l BUN 8 mg/dl Cre 0.33 mg/dl CRP 0.1 mg/dl IgG 1,160 mg/dl IgA 120 mg/dl IgM 134 mg/dl C3 85 mg/dl C4 16 mg/dl CH50 20.6 U/ml KL6 141 U/ml sIL2R 1,500 U/ml TGFb 44.7 ng/ml 【免疫学的所見】 抗核抗体 5120 倍(Nucleolar) 抗 dsDNA 抗体 <5 U/ml 抗 ssDNA 抗体 <5 U/ml 抗 SSA 抗体 <7 U/ml 抗 SSB 抗体 <7 U/ml 抗 RNP 抗体 <7 U/ml 抗 Sm 抗体 <7 U/ml 抗 Scl70 抗体 陰性 抗 Jo1 抗体 陰性 抗セントロメア抗体 陰性 CANCA <10 EU/ml PANCA <10 EU/ml 表 2 経過 動は良好で,腹部 MRI 検査では,両側腎動脈に狭 窄はみられなかった.負荷サーモグラフィーでは右 第 2 指の皮膚温回復遅延がみられ,Raynaud 現象 が陽性であった.皮膚病理組織所見では,表皮に液 状変性があり,真皮血管周囲に軽度のリンパ球浸 潤,膠原線維の増生がみられた. 臨床経過(表 2):全身性硬化症のアメリカリウ マチ協会の分類予備基準案を満たし,全身性硬化症

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と診断した.また予後不良の病変である肺高血圧症 を合併していた.症状は進行性であり,早期治療の 必要性があると判断し,病勢の抑制を目的とし抗炎 症 療 法 ・ 免 疫 抑 制 療 法 と し て mPSL パ ル ス 療 法 (ソルメドロール:30 mg/kg/回)と IVCY パルス 療法(エンドキサン:500 mg/m2/回をはじめ 6 ヶ 月は月一回,その後は 23 ヶ月毎に一回)を実施 し,維持療法としてプレドニゾロン(PSL)15 mg/ 日の内服を開始した.またアザチオプリンの内服も 同時に開始したが,肝機能障害のためミゾリビン (MZB)に変更した.また指尖潰瘍に対しては, PGE1製剤を 12 週ごとに投与した.その結果,約 4 ヵ月後には皮膚硬化は徐々に改善がみられるよう になり,指尖潰瘍は消失し,TSS も減少傾向にあ った.しかし 2002 年 3 月(治療開始 4 ヵ月後)肺 動脈圧は 45 mmHg に上昇し,労作時呼吸困難や意 識消失発作が続いていたため,PGI2 製剤であるベ ラプロストナトリウム(プロサイリンの 30 mg/日 の内服と夜間酸素投与を開始した.その後も肺動脈 圧は徐々に上昇し,2002 年 11 月には推定肺動脈圧 は一時 70 mmHg まで上昇していた.ベラプロスト ナトリウムを 80 mg/日まで増量したところ,推定 肺動脈圧は低下傾向を示し,労作時呼吸困難などの 症状も改善がみられた.IVCY パルス療法は 2 年間 実施したところ,皮膚硬化はほぼ消失し,TSS も 6 /104 点と著明に改善した.また肺高血圧症に関し ては,推定肺動脈圧は 34 mmHg まで改善がみられ た.現在,IVCY 療法終了後約 2 年が経過し,PSL と MZB の内服と PGI2 の内服を継続しているが, 日常生活は軽度の運動制限のみで QOL は著しく改 善した.また皮膚所見の悪化もみられていない.ま た経過中,出血性膀胱炎,感染症,血球減少などの IVCY の副作用はみられなかった. 考 察 早期より肺高血圧症を合併した小児全身性硬化症 の一例を経験した.この症例は,体幹・四肢の皮膚 硬化と,四肢末梢の指尖潰瘍,肺高血圧症を伴って いたが,mPSL パルス療法・IVCY パルス療法によ る抗炎症・免疫抑制療法を早期に導入し,さらに肺 高血圧症に対し PGI2製剤の投与を行い,皮膚症 状,肺高血圧症とも改善がみられた一例である. 小児の全身性硬化症は発生頻度が低く,1994 年 日本リウマチ研究会による調査では,全国で 16 症 例が登録されたのみであった2).この報告は 1985 年~ 1994 年 の 間に 診 断さ れ た症 例 に対 す るア ン ケート調査であったが,このなかに肺高血圧症の合 併している症例はみられなかった. 全身性硬化症は皮膚硬化を主徴とし,皮膚以外に も肺,食道,腎,心などの内臓諸臓器にも線維化を きたす系統的疾患である.小血管の広範な血管障害 と線維化が自己免疫現象に伴う免疫系の異常活性化 により引き起こされる.やがて小動脈,細動脈およ び毛細血管の内腔が狭窄し微小血栓が形成されて組 織虚血が起こる一方,血管内皮細胞,線維芽細胞が 増殖しコラーゲンなどの細胞外基質が過剰産生さ れ,皮膚,内臓の線維化がおこる.皮膚では,真皮 内の細胞浸潤,間質の浮腫が生じ(浮腫期),その 後膠原線維が増生,皮膚硬化が生じる(硬化期)3) 肺血管では内膜の線維化および血管平滑筋の過形成 が生じ,肺高血圧症が生じる.末梢血管では血管病 変のため血管攣縮や血流障害から,Raynaud 現象 や指尖潰瘍などが出現する.病因として,免疫異 常,コラーゲン代謝異常,血管障害,細胞成長因 子・サイトカイン異常4,5)などが考えられている. また,さまざまな臓器の線維化病変に筋線維芽細胞 が出現していることが判明しており,硬化症におい ても皮膚の線維化の進展に筋線維芽細胞が関与して いる可能性も考えられているが,未だ不明である6) 治療は,免疫異常,血管障害に対して免疫抑制療 法や血管拡張薬,さらに各臓器障害に対し対症療法 を行うべきであると考えられる.また皮膚硬化や臓 器障害などの進行を抑制するためにも,早期診断, 早期治療が必要である.これまで,Dペニシラミ ン,ステロイド薬が主として用いられてきたが, Dペニシラミンはその効果が疑問視されている7) ステロイド薬も皮膚の浮腫性硬化に有効であるが, 単剤では病勢の抑制が困難であった.免疫抑制療法 の併用が有効な症例があり,中でも全身性硬化症に 対する IVCY パルス療法は良好な結果が得られた とする報告が多く8,9),間質性肺炎10,11)や消化器症 状,皮膚硬化などに有効であるとの報告もみられ る.血管障害や線維化病変が免疫の異常活性化によ るものと推測され,免疫抑制療法として IVCY 療 法を選択したが,今回の症例では,比較的早期から IVCY パルス療法を開始することができ,その結果 皮膚症状の著明な改善がえられた.全身性硬化症 は,稀少疾患であることや,生命に関わる疾患であ るこ とな ど から ,そ の治 療法 は大 規 模な control study が施行しにくいのが現状であり,EBM が十

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分確立されていない.しかし症状が進行した硬化性 線維化病変を元の状態にもどす治療はなく,病初期 から進行を抑制する治療法を選択する必要があると 思われた. IVCY パルス療法は,全身性硬化症のほか,全身 性エリテマトーデス(SLE)に対しても有効な治療 として,症例が蓄積されつつあり,小児 SLE 症例 に対する IVCY パルス療法の効果と短期的な安全 性についての報告も散見されている12).性腺機能障 害や悪性腫瘍発生などに関しては,低容量であれば その頻度が少ないとの報告もあるが13),今後さらに 検討を行い,長期的な安全性・有効性を検討してい く必要があると思われる. 全身性硬化症における肺高血圧症は致死的な転機 を た ど る こ と も あ り , 重 症 な 合 併 症 の 一 つ で あ る14).ステロイド薬やアザチオプリン,シクロホス ファミドなどの免疫抑制薬による治療のほか,肺高 血圧症に対して低流量酸素の投与や抗凝固療法, PGI2 療 法 ( 持 続 静 注 療 法 : エ ポ プ ロ ス テ ノ ー ル15),経口薬:ベラプロストナトリウム)16~18),エ ンドセリン受容体拮抗薬19)などが試みられている. 今回の症例では,ステロイド薬と IVCY パルス療 法を併用して行ったが,肺動脈圧の上昇が進行した ため,さらに抗凝固療法,低流量酸素投与,ベラプ ロストナトリウムの投与を行った.全身性硬化症に おける肺高血圧症は,持続的な血管攣縮,肺血管内 腔の狭窄,微小血栓などが関与していると考えら れ,病理学的には肺血管の内皮細胞と線維芽細胞の 増殖性,閉塞性変化が認められる.ベラプロストナ トリウムは血管拡張作用,平滑筋細胞増殖抑制作 用,抗血小板作用があり,肺高血圧症の病理学的変 化に直接作用するものと考えられる.リウマチ性疾 患に伴う肺高血圧症の病理学的変化は,原発性肺高 血圧症でみられる変化と類似しているが,一般に原 発性肺高血圧症と比較して,リウマチ性疾患に伴う 肺 高 血 圧 症 は 軽 症 例 が 多 い こ と が 指 摘 さ れ て い る20,21).その理由としてリウマチ性疾患という原疾 患がすでに存在するため肺高血圧症が早期に発見で きることなどが考えられており,また軽症例では肺 血管の反応性が温存されており,ベラプロストナト リウムによる改善が大きいことなどが報告されてい る.今回の症例では,ベラプロストナトリウムの投 与により肺高血圧症は徐々に改善がみられた.比較 的早期に発見されたこと,早期から mPSL パルス 療法・IVCY パルス療法などの抗炎症・免疫抑制療 法で病勢の進行が抑制されたことなどにより,肺血 管の反応性が温存され,ベラプロストナトリウムが 奏効したと思われた. なお本症例は抗核小体抗体が陽性であったが,抗 RNA ポリメラーゼ抗体であった可能性が考えられ る.今回は測定していないが,抗 RNA ポリメラー ゼ抗体陽性例は,びまん型で心・腎病変を伴う予後 の悪い硬化症との相関が報告されており,今後も注 意深い経過観察が必要と思われた. 全身性硬化症は進行が速く,特に肺高血圧症を合 併する例では予後が悪い.進行して不可逆的な変化 となってからでは治療反応性が不良のこともある. 早期からの積極的な治療により予後を改善しうるこ とから,早期診断・早期治療が必要である.また全 身臓器に病変が及ぶため,全身臓器の評価を行い, 免疫抑制療法に加え臓器障害に応じた治療を併用し ていく必要があると思われた. 文 献

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図 1 手指は皮膚硬化のため屈曲制限を認め,褐色調に色素 沈着・脱失していた. 図 2 手指の先細りと指尖部潰瘍を認めた.な経過をたどることも少なくない.中でも肺高血圧症は,一旦発症するとその予後は極めて不良であり,欧米では約10%1),本邦では1%に合併しているといわれている.小児では全身性硬化症自体が非常にまれで,本邦で肺高血圧症を合併した小児期発症全身性硬化症の報告例はない.今回,肺高血圧症を合併した小児期発症の全身性硬化症に対し,メチルプレドニゾロン(mPSL)パルス療法・経静脈的シクロホスファミド
表 1 初診時検査所見 【末梢血】 WBC 7,800/ml Neu 50.0% Lym 39.8% Hb 13.1 g/dl Plt 23.6×10 4 /ml ESR 2 mm/1 h 【凝固】 PT(INR) 1.15 APTT 34.5 秒 Fib 162 mg/dl FDP E 211 ng/ml vWF 145% TAT 3.2 ng/ml 【尿】 蛋白(-) 潜血(-) 【生化学】TP 7.0 g/dlAlb4.3 g/dlGOT24 IU/lGPT11 IU/lLDH236 IU/lCK1

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