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顔の表情認知過程の研究

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

顔の表情認知過程の研究

蒲池, みゆき

九州大学人間環境学研究科行動システム専攻

https://doi.org/10.11501/3166828

出版情報:Kyushu University, 1999, 博士(人間環境学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

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顔の表情認知過程の研究

蒲池 みゆき

(4)

目 次

図表吾次…………・・…ー・・・・・…・・・・・………・・・・……・・・・・…ー・・…ー…一..4

要約……・………一..,. ,.一………・……・・・・・・・・・・…・・・・・・…一..……ー・・…・.6 はじめに...7

第一章 文献的考察………ー8 1 -1 臨床的知見 ...9

1 -2 神経生理学的知見 -顔ニューロンの発見一...13

1 -3 認知心理学における顔研究...16

1 -4 表情研究の歴史ー・…・…-一...…・・…・…・・…・…・…・・・・・・…・・…...23

1 - 5 過去の研究の問題点と課題...31

第二章 持続的注視法による表情認知過程の検討……一………33

2 -1 順応顔刺激の持続的注視による表情認知の遅延...34

2 -2 実験的考察1 :顔刺激の選定と表情の心的次元の抽出...36

2 -3 実験的考察11:持続的注視実験(正立顔). . . • . . . • . . . 45

2 -4 実験的考察皿:持続的注視実験(倒立顔) ...…・・・・・一一一一・...57

2 -5 持続的注視実験のまとめ...60

第三章 動的表情認知の待問特性の解明....一…・・・・・……ー…・…64 3 - 1 動的表情認知の時間特性...……...一一一・..65

3 -2 モーフィング(顔画像合成)を用いた刺激作成…・・・…ー…一一・・ー・.67 3 -3 顔の動きに対する表情認知特性...71

3 -4 実験的考察1 :動画に対する表情認知の基本特性.…..一一…一一73 3 - 5 実験的考察11:動画 ・ 静止画の表情空間の差異.…一一…・・・…・..90

第四章 総合的考察…一一・・・・・…一...……....一一...……・・…….102

- 2 -

(5)

4 - 1 表情認知の重要性...103

4 - 2 これまでの表情認知研究と問題点...103

4 - 3 表情ノ《タン認知の特性...105

4 - 4 動的情報と時間特性.…・…・……一...一一...一一・…...107

引用文献…・…・・・……・・・……. .…一・・……・・・・・・・・…・・・…..………….110

付 記..•....•...•...•...••...••...120

謝 辞...121

- 3 -

(6)

図表目次

第一章

図1・1 HASSELMO(1989)の脳部位図 15 図1-2 BRUCE & YOUNG(1986)の情報処理モデル 18 図1-3 SCHLOSBERG(1952)の円環モデル 26 表1・1 表情規定軸抽出の研究例と抽出軸 27

第二章

図2-1 刺激撮影の様子 38

図2-2A 刺激写真の例(幸福) 40

図2・2B 刺激写真の例(悲しみ) 40

図2-2C 刺激写真の例(驚き) 40

図2・2D 刺激写真の例(怒り) 41

図2・2E 刺激写真の例(嫌悪) 41

図2・2F 刺激写真の例(中性) 41

図2・3 主成分分析による表情認知空間 44 図2・4 持続的注視法の実験手続きタイムチャート 48 表2・1 正立顔における表情認知反応時間の遅延表 51 図2-5 持続的注視による表情認知の遅延状況 54 表2・2 倒立顔における表情認知反応時間の遅延表 59

第二章

図3-1 画像合成システム対応点取得例 69 表3-1 動画実験時間条件と画像内容 75

図3-2 動画刺激の構成の図 76

図3・3 各試行内の実験刺激提示順序 77

表3・2 自由記述の正答の内容 81

図3・4 自由記述から得られた正答率 82 表3・3 他の表情との混同とその頻度 83

。d 3-5 各カテゴリーの強度評定 86

- 4 -

(7)

図3・6 各カテゴリーの速度評定 87 図3・7 動画条件Z-SCORE平均値 94 図3・8 静止画条件Z-SCORE平均値 95 表3-4 時間条件分散分析結果 96 表3-5 動画静止画条件分散分析結果 96

図3-9A 動画主成分分析 100

図3・9B 動画主成分分析平均値 100

図3・10A 静止画主成分分析 101

図3・10B 静止画主成分分析平均値 101

- 5 -

(8)

要約

近年, í顔Jの研究は多くの分野で注目を集めており,

世界的に活発な議論が展開されている. 認知心理学は,

人間の顔認知の情報処理過程に関して, 特に人物同定過 程の理論的枠組みの構築に多大に貢献したと考えられる.

しかし, 顔の表情認知過程に関しては, 処理系の特性が いまだ明らかにされておらず, その点が認知心理学にお

ける顔研究の問題点として挙げられる.

本論文は, 顔の表情認知過程の解明を目的とし, 情報 処理過程の要となる時間特性に着目したものである. 第 一章では, 臨床的知見, 神経生理学的知見など他分野か らの示唆, ならびにこれまで行われてきた顔の認知過程 に関する認知心理学的研究の概要とその問題点について の文献的考察を行う. また, 第二章, 第三章では二つの 新たな手法を用いて表情認知処理系の特性の実験的考察 を試みた. 第二章では持続的注視法による顔表情処理系 の選択的順応効果の検証, さらに第三章では動画刺激を 用いて速度変化を伴う表情の認知特性の検証を行った.

これらの実験から 顔の表情認知は時間特性の異なる複 数の処理系によって処理がなされ, さらにそれらの時間 特性は表情空間の異なる次元を反映することが明らかに なった.

本研究は, 表情認知過程の科学的解明と, 新たな実験 手法の提案という両側面から, 認知心理学のみならず他 の研究分野への貢献も期待される.

ー6 -

(9)

はじめに

我々が日常自にしている人の顔には, さまざまな情報 が含まれている. その人が誰であるかという人物同定の ための情報だけでなく, その人が何を感じているか, ど のような気分であるのかということについての情報も含 まれる. 顔の表情を, 我々は人と人とのコミュニケーシ

ョンの中で, 重要な情報源として利用している. 私たち は, 顔の表情を何気なく即座に処理しているようである が, 顔の認知の背景には他の視覚ノミタンとは異なる独自 の複雑なメカニズムがあると考えられている.

著者は, 顔表情の認知過程を解明するという立場から,

まず基本表情と呼ばれる顔表情の相互関係を見ること,

すなわち基本的な表情同士が互いに どのような関係(表 情空間)をもつのかを検討した(蒲池 ・行場, 1998). さら に, それらの相互関係をふまえた上で, それぞれの表情 処理に関わる処理系(サブシステム)の特性について,

持続的注視法という手法を用いて調べた. また, 顔表情 認知の解明を試みてきた長年の歴史の中で, 実験の困難 さなどからほとんど扱われなかった顔の動きに対する人 間の認知特性に関して, 動画刺激を用いて実験を行った (蒲池 ・ 吉川 ・ 赤松, 1998; Kamachi et al., 1999). こ

れらの研究に基づき 従来明らかにされていなかった表 情認知過程における処理系の時間特性や, 顔表情の表出

速度の違いが認知にもたらす影響について明らかにする ことを, 本論文の主たる目的とする.

-7・

(10)

第一章 文献的考察

- 8・

(11)

この章では, 人間の物体認知過程において, 特に顔の 認知が注目されるに至った経緯について, 認知心理学の 観点を中心として述べることにする. 顔の認知過程の認 知科学的解明には, いくつかの研究分野, 特に臨床的知 見や神経諸科学の知見が,多大に貢献したと考えられる.

したがって, 認知心理学における顔研究について述べる 前にこれらの研究分野ごとに文献的な考察を加えること にする. 特に, 本研究の目的は顔の表情認知過程の解明 であるため, 表情認知過程が, 顔の人物同定過程と独立 な過程であることを示した研究に注目したい.

1・1臨床的知見

事故や手術などで脳の一部を損傷, 切除した患者は,

健常者が日常行っている認知処理の一部に特異的に障害 を示す場合がある. これらの症例から得られたデータに より, 健常な人聞が行っている処理過程が逆に明確に示 される. この項では 顔認知に関わる重要な研究として,

脳損傷患者から得られたデータに基づく臨床的知見を考 察.する.

1・1 - 1 相貌失認

物体や文字の認識ができない失認症患者のうち, 特に 顔 の 認 識 に 障 害 を受け て い る 場 合 は , 本目貌 失認、

(prosopagnosia)という. これは「顔の知識の喪失」とい

う意味を持つ言葉である. 認知心理学において顔研究が 注目を集めるきっかけのーっとなったのは, 脳損傷患者 における以下のような相貌失認の臨床的症例報告である.

当初は, 顔の認知障害は物体認知障害の一部と考えら れていたが, Bodamer(1947)は, 物体認知能力をかなり

- 9 -

(12)

保持しているが, 顔の認知に限って障害を示す患者を報 告した. 彼はこの症例から, 顔に特有の処理が選択的に 障害を受ける相貌失認が存在することをはじめて示した 研究者である. Bodamer自身は相貌失認について, r私 たちの知覚において最も深遠で, 遺伝的に最も原始的な 視覚カテゴリーである顔の障害であるJと述べている.

1・1・2 相貌失認の分類

他の多くの神経学的 ・ 神経心理学的症状群の分類と同 様に, 本日;貌失認、も単一の障害ではなく, 少なくとも三つ のサブタイプに大別できる. 顔ノミタンの視覚的分析の障 害, 複数の顔の知覚(弁別)障害, 個々の顔の認知障害で ある. 最初の二タイプの障害では, 患者が視覚刺激, す なわち顔から適切な情報を引き出す能力が損なわれる.

三つ自のタイプでは, 顔を既知の, 特定の個人の顔とし て 認 知 す る能力 が傷害され る (McCarthy an d

羽Tarrington, 1990).

顔パタンの視覚的分析の障害には, 患者の既知ないし は未知の顔の両方が ゆがんだり, ねじれたりする経験 として現れる症例がある. Bodamerの患者の一人は, 顔 が “白い楕円形の皿に似た平面のようで, 妙に平らで白 くて暗い目がついて" 見えると報告している.

1田1・3 表情特異的な失認

Bodamerの報告後,本目貌失認に関する症例が次々と挙 げられた. その中で, 表情認知過程を人物同定過程と独 立であるという今日の認知心理学の見解に影響を与えた のは, Zeh(1950)やBornstein(1963)の報告であろう. 彼 らは, 相貌失認がかなり回復してきたのに, 表情の読み 取りだけが困難である患者がいることを示し, つまり表

- 10-

(13)

情認知に特有の処理系が存在する可能性を示唆した.

ここでの二種類の症例, すなわち人物同定に選択的に 障害がある症例と, 表情認知に選択的に障害がある症例 とでは, 脳の損傷部位に違いがあるのだろうか. 実際の 臨床例では今のところ, 相貌失認の発症には右半球の損 傷が関与しているとする研究(Hécaen & Angelergues,

1962; De Renzi, 1986他)があげられるが, 損傷の正確な 部位は不明な場合が多く, 二つの機能を脳の特定の部位 に関係づけるまでには至っていない. これに対して, 後 に述べるサルを対象とした神経生理学的研究では, 二つ の機能の独立性と脳の特定部位との対応関係、が明確に示 されている.

この他の相貌失認の重要な症例として, 既知の人物の 顔認知だけが選択的に障害を受けている例(Warrington

& James, 1967; Rondot & Tzavaras, 1969)などがあげ

られる. これらの研究は, 後に紹介するように, 認知心 理学が顔認知過程の理論的枠組みを行う際に, 多大に貢 献したと考えられる.

1 - 1・4 扇桃核損傷患者の症例

Adolphs et al.(1994) は , 左右両側頭の大 脳扇 桃核 (amygdala)を損傷した患者は, 特に “恐れ" の顔表情認 知や, 他の表情カテゴリー聞の細かな表情識別が健常者 に比べて困難であることを示した. 彼らは, 多次元尺度 構成法(MDS)によって導き出された顔表情の類似性空 間による健常者と損傷患者の比較を試みている. 彼らの 結果によると, 健常者の場合はすべての表情刺激がカテ ゴリ問の関係性を保ちつつ線で結ばれた円を描くように 分布している. これは 同一カテゴリー内の二表情や異 なるカテゴリ一間の中間表情の細かな識別が行われてい ることを示している. これに対し, 扇桃核損傷患者から

- 11 -

(14)

得られた類似性空間では, 各刺激がカテゴリーごとに偏 在した形となっている. しかしこの結果は, 損傷患者で も大まかなカテゴリーの分別は可能であることを示すと 考えられる. 肩桃核は, 脳内で主に情動を処理する情動 系の部位として知られている. しかし, 基本的な顔表情 の識別は, 扇桃核を損傷していてもある程度可能である ことから, 情動系が関与しなくても, 視覚系の処理のみ で顔表情を識別する段階が存在していることを示す証拠 となるであろう. したがって, amygdala をはじめとす る情動系の表情認知における役割は, 大まかな視覚処理 を行った上により詳細な表情の分類を加えるものと考え られる. さらに, I恐れ」の顔表情に関しては, 視覚処理 よりもむしろ情動系の処理に依存していることが分かる.

ー12 -

(15)

1・2 神経生理学的知見 ー顔ニューロンの 発見ー

近年, サノレの大脳下側頭連合野から, 顔刺激に特異的 に 応 答 す る ニ ュ ー ロ ン が あ る こ と が 報 告さ れ た (Desimone, Albright, Gross & Bruce, 1984; Rolls,

Baylis & Leonard, 1985). これらのニューロンは顔であ ればサルのものであっても人のものであっても応答する が, 顔画像から目を取り除いたり, 顔の表現を抽象化し たりすると応答が弱くなる. この発見以降, 顔に特異的 な処理系が存在することが細胞レベルで確認できたと認 識され, また, 脳内での顔処理が, 他の物体処理と異な る経路をたどるという考え方を確立させた.

1 - 2・1 表情特異的ニューロン

表情認知のメカニズムを解明する上で特筆すべき点は,

ある特定の表情に応答するニューロンも見つかったとい うことである. Perrett et al.(1984)は, 顔に選択的に応 答する側頭葉のニューロンのうち, 顔の表情の違いに関 わらず特定の個体に対して応答する細胞と, それとは逆 に, 個体の違いに関わらず特定の表情に対して応答する 細胞が存在することを明らかにした. またNakamura et al.(1992)も, I人の笑顔J に特異的に応答するニューロ ンや, Iサルの威嚇の表情Jに特異的に応答するものなど があることを報告した.

1 - 2 - 2 倶�J頭葉でのニューロン分布

さらに, Hasselmo et al.(1989)は, この二種類の細胞,

つまり個体に特異的に応答する細胞と表情に特異的に応

- 13 -

(16)

答する細胞は, 側頭葉での分布においても異なることを 示した(図1・1). 彼らによると, 顔の個体性に対して選択 的に応答する細胞は下側頭回(i nferior temporal gyrus) に, また特定の表情に対して感受性のある細胞は, 上側 頭溝(superior temporal sulcus)にそれぞれ多く分布し ているという. これらの発見は, 個体識別と表情識別の 機能的軍離(fun ctional dissocia tion)が細胞レベルで確 認されたことを示している.

1・2・3 単一ニューロンの時間特性

ごく近年になって, Sugaseら(1999)は, サノレの側頭葉 皮質の個々のニューロンで符号化されている顔の大まか な情報と詳細情報の時間的な特性についてまとめている.

彼らの実験では, サルの側頭葉で単一ニューロンの活動 を記録しながら, 幾何図形やいろいろな表情のサルの顔 と人の顔を見せた. ニューロンの応答が刺激の分類をど の程度行っているかの判定には, 情報理論を応用してい る. その結果, 単一ニューロンの活動には, 発火開始ま での潜時の異なる二つの種類の顔情報が含まれているこ とが分かった. 彼らの呼ぶところの大まかな情報(サル の顔か人の顔か幾何図形か)は, 応答の早い部分に含ま れ, 詳細な情報(個体や表情の同定)には, 大まかな情報 に平均51ミリ秒遅れて始まるという.

現段階で単一ニューロンの活動を調べた範囲では, 顔 認知過程の中での概略, つまり大まかな情報と細かな情 報という概念でしか説明がなされていない.しかし今後,

複数のニューロン群からの出力を組み合わせた情報量な どから, 表情処理過程に特化した時間特性も明確になる

可能性も期待できる.

- 14 -

(17)

2.0-4.5P 5.0-6.5P

図1・1 Hasselmo(1989)の脳部位図 より転載

Hasselmo(1989)

上部の大きな溝 は 上 側 頭 溝(the superior temporal sulcus)の部位. 0の部分が表情に特異的に応答するニュ

ーロンを示し, eが個体特異的に応答するニューロンを 示す. O(表情)は上側頭溝に多く分布し, ・(個体)はその 下の下側頭回(the inferior temporal cortex)に多く分布

していることがわかる.

- 15 -

7.0-8.0P

(18)

1・3認知心理学における顔研究

これまで述べてきたように, 臨床的知見による相貌失 認や, 神経生理学による顔ニューロンの発見を契機とし て, 顔認知研究に注目が集まり, さまざまな研究が展開 されてきた. これらの研究は, 学際的に非常に有意義な

成果をあげてきたといえるが ある意味では断片的な知 識の収集に過ぎなかったため, 人間の顔認知過程に関す る理論的な枠組みを構築することが必要となった. 認知 心理学は, この理論的枠組みの構築を試み, 顔研究に貢 献してきたと考えられる. この節では 顔認知全般に重 要な関わ りをもっ研究領域として, 顔の情報処理モデル に関する研究と倒立顔研究に関する文献的な考察を行う.

1・3・1 顔の情報処理モデル

顔認知過程のうちの人物同定過程については, 1970年 代後半から特にイギリスの研究者を中心として, 顔認知 の情報処理モデルが提唱されるなど, 活発に議論が展開 されてきている. そのもっとも代表的な例が, Bruce &

Young(1986)の顔の情報処理モデルである(図1・2). この モデルの基本的な特徴としては, それぞれ独自の機能を 持つモジュールから構成されていることと, 人物同定の 過程が系列的な処理の過程として示されていることがあ げられる. さらに, このモデ、ルには人物同定過程と共に 表情分析や発話情報の分析も明記されているが, これま での神経生理学的, 臨床的知見をもとに, これらの処理 過程は, 人物同定過程とは独立した過程としてあらわさ れている. その後 Bruceらの情報処理モデルはいくら か の修正が なさ れ(代 表 的 なも の と し て Burton et

al., 1990) , 人物同定過程についてはかなり細かな理論的

- 16 -

(19)

枠組みができたといえるであろう. しかし, 表情認知に 関してそれらのモデルが記述している部分は, 人物同定 の過程と独立の一つのモジュールで表しであるに過ぎな い. したがって, 何ら具体的な表情処理系は提示されて おらず, この点が表情認知を理論的にまとめる上で大き な問題点としてあげられる.

- 17・

(20)

表情分析

選択的 視覚情報

認知システム

個人情報ノード へのアクセス

名前の生成

図1-2 Bruce & Young(1986)の情報処理モデル

-18-

(21)

1直3 - 2 倒立顔研究からの知見

サッチャー錯視(Thompson, 1980)に代表されるよう に, 顔を逆さまに提示するとその顔つきや表情の読み取 りが著しく困難になることが知られており, この顔の倒 立提示効果についても多くの認知的研究がなされている (レビューとして遠藤, 1995). 倒立の顔は正立した顔と 比較するための刺激として用いられることが多いが, こ こでは倒立顔の処理に関する議論の概略を述べることと する.

傍j立提示の効果が顔の認識に特に強い影響を及ぼすこ とを最初に示したのはYin(1969)である. 彼は, 複雑性 や熟知性, 観察の一方向性などの点で顔と同じ特性を持 つ視覚刺激, たとえば家や飛行機などと再認課題におけ る倒立効果の影響を比較している. そして, 正立状態で 提示されたときは, 顔の記憶成績が他の刺激に比べて良 かったが, 倒立提示されたときは逆に顔の記憶成績が最 も悪くなり, 倒立提示による成績の低下が顔に最も強く 現れることを示した. Yin はこの結果について, 顔の認 識過程に与える倒立効果には二つの要因があると考察し ている. 一つはすべての単一方向性を持つ視覚刺激に共 通の要因, 二つ目は顔に特殊な要因である.

この特殊性の問題 には二つのそれぞれ分離して考察す べき問題が含まれている. 一つは, 顔の認識を担う特殊 な認識機構が脳内に 存 在す るのか ど う かと いう問題 (specificity)で,二つ目は顔の認識過程が他のパタンと違 ってユニークであるのかという問題(uniqueness)で、ある (Hay & Young, 1982; Young, 1998). 前者のspe cifici ty は, 先に述べた顔ニューロンの存在などから, かなり支 持されている考え方である. したがって顔認識は, 顔以 外のパタン認識機構とはまったく異なる処理系を独自に

- 19 -

(22)

持つという前提にもとづいている. 後者の unlqueness は, 他の物体と同じ機構が使われるものの, 顔に対して は処理系の働きがユニークになるというものである. さ らに, 顔認識のユニークさに関しては, その有力な証拠 として顔に著しい倒立効果があげられてきた.

1・3 - 3 顔以外の倒立効果

他方, Diamond and Carey(1986)は, 著しい倒立効果 は顔に限らないことを示している. 彼らは, 顔写真とイ ヌのシルエットの再認記憶への倒立効果を, イヌの専門 家(ブリーダー)とそうでない人を被験者として検討した.

その結果, イヌの非専門家では顔のほうがイヌより強い 倒立効果が得られたが, 専門家ではどちらも同程度の倒 立効果となった. DiamondとCarey は, ある種のパタ ン群が共有する全体構造(configuration)を一次的関係特 性(first-order relational properties), それらの個々のパ タ ン聞の微妙な変化 を二次 的 関 係 特性(second-order

properties)とよび, 顔認識の著しい倒立効果は, 後者の 二次的関係特性の符号化が倒立提示によって著しく損な われることによると主張した. そして ブリーダーがイ ヌの再認記憶において示した倒立効果のように, 一次的 関係特性を共有するカテゴリー内の構成員を, 二次的関 係特性によって弁別する経験を十分に行った場合には,

顔と同様の倒立効果が見られると主張している. したが って, 顔に対する強い倒立効果は顔に特殊なものではな く, 同質(homogeneous)のパタンを識別するような熟練 したパタン認識に見られる現象であると考えられ, Yin の主張やユニークさの考えは否定されている. 特に, 顔 は単に顔であると認識するだけではなく, 個々の顔につ いて知っているかどうか判断することを要求する刺激で あることが, 用いた比較刺激と異なると主張している.

- 20 -

(23)

上記の議論から, 通常の視覚ノミタンと比べて顔に強い倒 立効果があることは確かであろうが, それが顔に限定さ れる効果かどうかについては疑問が残る.

1 - 3 - 4 比較刺激としての倒立顔

倒立提示によって熟練したノミタン認識のどのような特 性が影響を受けるのかという点に関しては パタンの全 体的情報の符号化が困難になるという考えが広く受け入 れられている. つまり, 個々のパーツの識別など, 局所 的(ローカル)な視覚情報処理は可能であるが, それらパ ーツ同士をさらに上位のパタンに空間的に組み合わせる ことが困難であると言いかえることができる. 顔でいえ ば, 王立顔の場合, 全体的処理が可能であるが, 倒立顔 の場合それが不可能になるというものである. 熟練した パタンに対しては, 人間は局所的な情報とともに, それ らの組み合わせを行った全体的なパタンの情報を保持し たままで処理を行うと考えられる. 例えば, 顔や文字に ついては, 日常的に観察する際, 特に王立, 倒立の区別 が明確なパタンと言えるため, 顕著な倒立提示効果が現 れるのであろう.

逆に, 倒立顔でも空間周波数や色などの情報はほぼ保 持したままであるため,全体的情報の符号化以前の過程,

つまりローカルな情報処理についてはある程度王立顔と 同じ処理が行われると仮定できる. したがって, 倒立顔 を正立顔の比較刺激として用いる点に関しては, 倒立提 示により影響を受ける点と, 影響を受けない点を明確に しながら考察を行えば, 知覚 ・ 認知実験に用いる利点は

非常に大きいと考えられる.

著者は, 正立顔に対する順応効果に顔の布置情報が重 要かどうかを調べるために, 比較刺激として倒立顔を用 いた実験を行った(蒲池・行場,1997; Kamachi, Gyoba,

- 21 -

(24)

and Akamatsu, 1998). もし正立顔での選択的順応効果 が倒立顔でも同様にみられるならば, その順応は全体的 符号化以前の段階で生起すると判断され 倒立顔でみら れなければ, 全体的符号化が行われた後に生起すると考 えられる. 結果としては, 後者のように倒立顔では正立 顔とは異なる選択的順応効果が得られた. 詳細は第二章 で述べることとする.

- 22 -

(25)

1・4

表情研究の歴史

この節では, 認知心理学における顔研究の中で, 表情 に関する研究の歴史を概観する.

1 - 4 - 1 顔表情研究の前提

認知心理学において表情を研究課題として扱うために は, 一つの注意すべき前提がある. それは, 表情あるい は感情を自分の顔へ「表出」する過程と, 他者の顔から

「認知」する過程を混同するべきではないという点であ る.

人聞がコミュニケーションの手段として顔の表情を有 効に利用し, 相手の顔を認知しながらそれにうまく応対 するため, 自分の表情を表出していることは直感的に予 測できる. しかし科学的研究テーマとしては, 相手の顔 を理解するという過程と, 自分の感情を表に出すという 過程は分けて考慮すべきである. 例えば, 表情を顔に表 出している倶iJ (表出者)が非常に喜んでいる際の顔は,

その顔を観察している他者から見て必ず「喜んでいる」

と知覚されるとは限らなし、からである.

本論文は, 人聞が他者の顔を観察する際の知覚 ・ 認知 特性について, 認知的な観点から明らかにしようとした ものである. したがって, 前述の例でいえば, あくまで も人聞が他者の顔を「喜んでいる」と認知する際の過程 に焦点を当てた考察を試みる.

1 - 4 - 2 D a rw i nの三原理

顔の表情に関して興味をもち, 研究を行ったはじめて の人物は, 進化論で有名なC.Darwinであったといわれ

- 23・

(26)

ている. Darwinは, 1870年代に進化論の立場から表情 の研究を行い, 人間の表情について以下のような三つの 原理を挙げた(Ekman, 1973;金沢,1993).

(1) 有用な連合的習慣の原理

(The principle of serviceable associated habits) 人間の表情はもともとは有用であった行動ノミタン が遺伝し, 習慣化して身体表情が成立したという 原理.

(2)相反の原理

(The principle of antithesis)

ある情動と反対の情動は, 表情の上でも反対の身 体行動をひきおこすという原理.

(3) 神経系の構造による作用の原理

(the principle of actions d ue to the constitution of nervous systems)

いくつかの自律神経系によって表出がなされる表 情は, 意思や習慣とは独立に神経系の興奮の仕方 によって生じるという原理.

金沢(1993) は上の三つの原理がそれぞれ(1)意図的な 行動に起源を持つ表出, (2)表出自体に起源を持つ(表出 から派生してきた)表出, (3)反意図的(無意識的)な行 動に起源をもっ表出 に対応すると考えている. Darwin の研究は, 主に表情が顔にあらわれる際の表出の原理を

述べたものであるといえよう.

1・4 - 3 表情の連続線と空間表現

Darwin 以後の数多く の 表 情 研 究者の中で , Wood worth(1938)の研究は表情を一つの連続線上に順 序づけたことで高く評価されている(Izard, 1991). それ によると, 表情は「愛一驚き-恐れ-怒り-嫌悪-軽蔑J

- 24 -

(27)

の順にならんで おり, 相互に近いもの同士は混同される ことがあるが, 離れているものとの 混同はまずないとい うことが明らかになった. Schlosberg(1952)はこの分析 を さらにす すめ , Woodworthの連続体が「愛」と「軽蔑」

のと ころでつ ながる円形のものであるということ , この 円が互いに直行 する二つの次元「快-不快(pleasantness

- unpleasantness) j I注意-拒否(acceptance - rejection)j によって定義できることを主張 した(図1・3).

さらに賦活レベルと して 「眠りー緊張(sleep - tension)j という, いわば顔面表情の強度にもあたる ような意味次 元を加え , 三次元の円錐形の構造モデルを作り出した.

このWoodworthの表情の連続線と Schlosbergの円環 モデルは, I驚き 」や「怒り」など情動基本カテゴリー別 に分類される表情の関係性を 明確にした点で , 非常に重 要である. さらに, 各基本表情の相互の関係を示す 「表 情空間 」の初期のモデルと なり, その後の表情認知研究 に多大な影響を与えた. こ こでいう表情空間とは, 人聞 が表情を認知 する際の心的な表現である.心理学的には,

人間の表情認知に関して , 各表情カテゴリを「快」や「不 快」 などの意味的表現の対極性で説明するために利用さ れる表現法である.

1 -4・4 表情空間の確認

その後 さ まざまな研究者が, 表情刺激の類似性判断や,

SD法評定を元に実験を 行い, 多次元尺度構成法 や因子 分析を施して , Schlosbergの打ち出した表情次元の確認

や, 新た な次元の発見を試みてきた(Smith& Ellsworth,

1985) . 代表的な研究とそれぞれの次元軸の例を表 1-1 に示す. その結果, どの研究者が行った分析においても

Schlosbergの 「快-不快」次元は必ず抽出された.

- 25 -

(28)

67. 52

s 56

600

9

70

8 69 n

11

153l

J Y

19

20 61

23 24

2400

図1・3 Schlosberg(1952)の円環モデル

- 26 -

..,/'

/

71

29 27

(29)

表情規定軸抽出の研究伊!と抽出軸

Smith & EI Isworth (1985)より一部転載

表1-1

Dimensions

Depth of experlence Control

唱--Aa

n y 七vn・1 e c 此aA Level of

activation Pleasantness

Studies

(X) b

X

(X) b

x x x

x

X X

V八V八V八V八

V八V八V八V八V八V八V八V八V八V八

V八V八V八V八V八V八V八V八V八V八V八

Schlosberg (1952) Schlosberg(1954) Osgood(1955)

Engen, Levy, & Schlosberg (1958) Triandis & Lambert (1958)

Abelson & Sermat (1962) Shepard (1962)a

Fridja & Philipszoon (1963) Osgood (1966)C

Frijdja (1969)d

Berglund, Berglund, & Engen(1982)

'M斗'

(1963) data.

(a)Reanalysis of Abelson & Sermat (1962) data.

(b)Not interpreted as such by original authors.

(c)Reanalysis of Osgood (1955) data (d)Reanalysis of Fridja & Phi I ipszoon

(30)

このことから, r快-不快」という次元は表情認知の基 本となるものであると考えられる. r快一不快」以外の重 要な次元として「覚醒水準(level of activity)Jと「注意 的活動性(attentional activity)Jの二つが多くの研究で 抽出されている. 他にも「統制(control)Jや「経験(depth of experience) Jをあげた研究者たちもいるが, それらは かなり少数である(Smith & Ellsworth, 1985).

1・4 - 5 Ekmanの表情文化共通性

顔の表情の表出と認知の両方につながる重要な研究と して, Ekman & Friesen(1978)は, 顔の広範囲の表情筋 を綿密に検討し, 表情を形成する個々の表情筋を視覚可 能な機能的単位(Action Unit : AU)で記述した. これは FACS (Facial Action Cording Syste m)と呼ばれるかた ちでまとめられ, 近年では目に見える表情筋の活動パタ ンについては FACSを利用して記述することが国際的 に通じるほどである. 現に, コンビュータ ・ グラフィッ

クスで顔画像を生成する際などに, 表情を作成する手段 として非常に広範囲に用いられている. Ekman らの研 究は, アメリカや日本, さらにパプアニューギニアなど での研究を通じて, FACSで表された基本表情カテゴリ ーは, 世界的に共通して認知され得る表情であると規定 している.

しかし近年では, 表情の基本的なカテゴリーは異文化 問で共通しているものの, あいまいな二表情を異なるカ テゴリーであると識別する境界や, 表情識別の正答率は 必ずしも一致しないと考えられている. また, 次節に述 べるように, 表情を認知する際には直前にどの表情を観 察したかという文脈の効果があると考えられている.

- 28 -

(31)

1 - 4・6 表情の文脈効果

Thayer(1980)やRussell & Fehr(1987)は, 人間の表情 判断は絶対的なものではなく, 継時的, あるいは同時的 に提示される他の表情から影響を受ける相対的なもので あることを主張して, Ekman らの人類普遍性の考え方 に異論を唱えている. 例えば, 幸福と並べて提示された 中性の顔に対して表情判断をすると, より悲しみの表情 に近いと判断されやすく, 同じ中性の表情でも悲しみと 並べて提示された場合には, 幸福の表情として評定され やすいことが報告されている(Russell & Fehr, 1987). 表 情認知がどの程度, 文脈情報に依存するかに関しては,

問題とされる表情の種類や暖味性, 文脈の設定の仕方や 判断方法などをめぐって議論が続いている(Ekman &

Q'Sullivan, 1988; Russell, 1991; Carroll & Russell,

1996) .

1 - 4・7 カテゴリカルアプロ ーチと次元的ア ブローチ

他方, Etcoff & Magee(1992)は, ある顔表情から別の 表情へと段階的に変化する線画の刺激をさまざまな表情 の組み合わせで作成し, 表情識別の特性に関する一連の 実験を行っている. 実験の結果から, 二つの表情の中間 画像を識別する際, ある表情カテゴリーから別の表情カ テゴリーへと判断が移る確率は, なだらかに変化するの

ではなく, 中間のある基準を境に急激に変化することが 示された. また その基準付近の異なる二つの顔画像の 識別率は高いが, 境界から離れた(カテゴリー内の)二 表情の識別率は低いことを示した. これらのことから,

彼らは人間の表情認知はカテゴリー的な判断に基づいて いると示唆している. 先のThayerやRussell らの研究

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(32)

が, 文脈効果を「快-不快」などの軸をもとにして説明 することから次元的アプローチと呼ば れるのに対し,

Etcoffらの考え方はカテゴリカルアプローチと呼ばれて いる.

- 30・

(33)

1・5

過去の研究の問題点と課題

前節で述べたように, 従来の認知心理学における顔表 情研究は, 表情刺激に対して被験者が行う印象評定や類 似性判断などから, 顔の表情を規定する成分軸を抽出し たり, それをもとに表情認知における文脈効果を調べる というものが主であった. しかし, 顔の表情に関しては,

顔を視覚パタンとして処理した場合に, 視覚初期段階で それぞれの顔表情がどのように処理されているのかとい う問題については, いまだ実験的検討や理論的な考察が 不充分なままであった.

特に, 顔の表情の情報処理モデノレを構築する際には,

情報処理の流れを示す必要がある.心理物理学的にみて,

空間特性と時間特性という人間にとっての基礎となる特 性の解明は, 全てのパターン認知研究にとって必要不可 欠であろう. 特に, 人聞がコミュニケーションを行う上 で, どのような表情をすばやく処理しているのか, また,

時間をかけて処理しているのかという時間特性とその空 間的な特性とのつながりに関して, より詳細な解明が必 須である. この解明によってはじめて, 人間が顔から読 み取っている情報の重要性や, 認知システムの生態学的

妥当性などを検討することが可能であろう.

この章を通じて述べてきた実験的研究, すなわち神経 生理学的実験や認知実験は, ほとんどすべてが静止した 顔画像をもとに知見を述べたものである. その理由とし ては実験装置の限界, 刺激の統制等が困難であったこと が考えられる. しかし, 人間が普段観察している顔の表 情は常に動きを伴っている. 静止した顔パタンでも人間 は表情の識別がある程度可能であることは疑いようがな い. しかしコミュニケーションに顔の表情が果たす役割 をより深く検討する上では, 動く顔表情認知の実験は不

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(34)

可欠であろう.

以上のような必要性から, 第二章で 述べるような蒲 池 ・ 行場(1998)の持続的注視法を用いて顔表情の選択的 順応効果を調べた一連の実験では, 静止画パタンを利用 して表情の視覚処理過程の解明を試みた. また, 第三章 で述べる蒲池 ・ 吉川 ・ 赤松(1998)およびKamachi et al.

(1999)の動画を用いた表情認知実験では, これまでの研 究でほとんど扱われてこなかった顔の動きの効果 につい て調べ, 表情認知過程における動的な時間特性について 検討した. これらの研究は, Bruce & Young(1986)のモ デルなどで明らかにされなかった表情の情報処理過程に ついて, 時間的な流れを明確に示す研究であると考えら れる.

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参照

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