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53

〔論文〕

我が国証券取引法に基づくデイスクロージャー制度と行政の介入

大下舅 目次

Iはじめに

Ⅱデイスクロージャー制度に関する法令・通達 等の構造と有価証券報告書の規制

1.有価証券報告書の記載内容と法令の委任 関係

2.財務諸表の作成と法令の委任関係

Ⅲディスクロージャー関連通達の性質と役割 1.デイスクロージャー関連通達の性質 2.デイスクロージヤー関連通達の役割 3.通達のルール創造機能と外部化

Ⅳ「企財審査NEWS」の`性質と役割 1.「企財審査NEWS」の性質

2.「企財審査NEWS」の役割とルール創造 機能

Vデイスクロージャー関連通達と「企財審査 NEWS」の重要`性,必要性及び効力

1.ディスクロージヤー関連通達と「企財審査 NEWS」の重要性

2.ディスクロージャー関連通達と「企財審査 NEWS」の必要性

3.デイスクロージャー関連通達と「企財審査 NEWS」の効力

Ⅵむすび

価方法として低価基準採用している場合,中間決 算時の時価が原価を下回り,時価の下落が事業年 度末までに回復すると認められない時は,評価損 を計上するのが一般に認められた会計処理である。

しかし,中間決算時の評価損の計」。により企業業 績(特に金融機関の業績)の悪化とそれによる株価 の暴落を恐れた大蔵省は,「中間財務諸表作成基 準においては,中間期における株式評価損は,中 間財務諸表に注記することとした上で,当該評価 損の償却を本決算まで計上しないことができるこ

ととなっている旨を周知する。」として,株式評

価損の計上見送りを誘導する見解を公表した。

その後のいわゆるPKO活動(プライス・キーピ ング・オペレーション:株価維持活動)でも「益出

し抑制」等大蔵省の企業に対する指導が見られた。

株llliの維持を目的としたこれら大蔵省の政策は,

企業の経理に少なからず影響を及ぼしている。し かもその中には企業会計の原則から見て問題のあ るものもあり,その政策実現の手段の一つとして

Ⅲいられてきたのが通達といった行政内規や「企 財審査NEWS」と呼ばれる行政の公報媒体で ある(1)。

そこで,本稿は,デイスクロージャー規制の在 り方を再検討する意味から,有価証券報告書の規 制を例にとり,大蔵省の行政指導の手段となって いるデイスクロージャー関連の通達や「企財審査

NEWS」を取り上げ,それらと法令との関係,そ れらの性質,役割,重要性,必要性,効力等を検

討してデイスクロージャー規制におけるそれらの 意義と問題点を明らかにする。

Iはじめに

本稿は、我が国証券取引法のデイスクロージャー 制度における行政介入の問題を考察する。本稿の きっかけは,バブル経済の発生から消滅の期間に 実施された大蔵省の行政指導にある。

例えば,大蔵省は「金融行政の当面の運営方針」

(1992年8月18日)を公表したが,この中で株価低 迷への当面の対応として「中間決算における株式 評価損の計上見送り」を誘導した。有価証券の評

Ⅱディスクロージャー制度に関する法令・

通達等の構造と有価証券報告書の規制

まず,我が国の企業ディスクロージャー制度を

(2)

支える|對係諸法令・通達等の勝造を凡ておこう。業内容等の開示に閏する省令」等の省令,「企業 節'図表に示すとおり,我が極Iのデイスクロージヤー内容等の|)M示に関する取扱通達について」等の通 制度は「証券取引法」,「証券取り|法施行令」,「企達および「企財審査NEWS」等のその他,によ

第1図表.ディスクロージャー制度に関する法令・通達等の重畳的構造 その他「事務連絡|「企財稚査ニュース」ないし「企11イ審査NEWS」等

「企業内存等の開示に閲する]11扱通達について」「企業内容等のl)M水に関する」|『務処理について

「財務諸表等のIHI薪,様式及び作成力法に|RIする規則取扱要領について」

「連結財務諸表のID語,様式及び作成ノノ法にlikIする親liil1jlX扱要領について」

「111間財務諸表の11]語,様式及び作成ブゴ法に関する蝋11||取扱妥額について|

「1M・務諸表等の監査証IリjにMMする省令111扱通達について」

「関連当11『者との取り|の|)ルポに閥する取扱通達について」

「市場性あみ有価証券及び先物・オプション取引等の時価情報の開示について」

「証券取引法におけるセグメント情報の開示について」等 通達

「企業内容等の|)|]示に関する省令」

「1M・務諸表等の用語,様式及び作成ブノ注に関する規則」

「述結!'イ務諸表の用語,様式及び作成方核に|1Mする規則」

「1i1lM1財務諸表の用諦,様式及び作成方法に1%IするfljM則」

「財務諾表等の監査証明に'1Mする省令について’

筒令

政令l「証券取り1法施行令一 法律|「証券取引法

第2図表.法令の委任関係と有価証券報告書の規制 有価証券報告1除

有価証券報告群の作成に際しての留意事項

(企11イ辮在NEWS,:|i務迎絡等)

「-------------------------------------------------------1

一般に公、§妥当と認めらオしる企業会計の'慣習

有Il11i証券報侍諜の記jlili上の財務諸表の'1j語,様式及び作成方法

注意事項(「企業内容等の(「財務諸表等の1M語,様式及び作成方法に関する規則取扱要領について」

開示に関する取扱通達につ第1:財務諸表の)'1語,様式及び作成方法に関する第1章から第6章までの いて」等)規定の通)11及び規側'|雛1条第1項に規定する一般に公正妥当と認められる企

小業会計の韮準については,((|'略)この取扱要領第1革から第5章及び第7章

までの定めるところによるものとし,この取扱要領において定めのないもの については,一般に公正妥当と認められる企業会計の'憤蒋に従うものとする)

ん、

その他

1M勝譜表の111謡様式及び作成方法の規定の委任

(証券取引法第193条:大蔵大'十(が一般に公J1了妥当であると認められる ところに従って人蔵fj令で定めるH]語.様式及び作成方法により,これ を作成しなければならない)

イNIH証券報(I認}:の作成・提出義務

(証券取り|法第24条:会社の|」的,商トラ.及び賓本又は出演に関する事項,(中 略)その他公益又は投資家保謹のため必要かつ適当なものとして大蔵樹令で定 める4i項を記載した報告『11:)

その他 「事務連絡」「企財稚査ニュース」ないし「企11イ審査NEWS」等

通達

「企業内存等の|〕H示に関する]11扱通達について」「企業内容等のl)M示にIXlする」}I:務処理について」

「財務諸表等のIHI薪,様式及び作成力法に|RIする規則取扱要領について」

「連結財務諸表の1U語,様式及び作成ノノ法にlikIする蝋liil1jlX扱要領について」

「に1丁間財務諸表の11]語,様式及び作成ブゴ法に|渕する蝋11||取扱妥叙について’

「11オ務諸表等の監遥証IリjにMMする省令111扱通達について|

「関連当11『者との取り|の|)'1示に関するJIK扱通達について,

「市場性あJる有価証券及び先物・オプション取引等の時価情報の開示について」

「証券取引法におけるセグメント情報の開示について」等 筒令

企業内容等の|}|]示に関する省令」

M・務諸表等の用語,様式及び作成ブノ注に関する蝋)!U」

連結1M務諸表の用語,様式及び作成方核に|1Mする規則」

iJlM1財務諸表の用諦,様式及び作成ブ7法に1%IするfljM則」

M務諦表等の監査証明にljMする省令について’

政令 ;|E券取り1法施行令」

法律 証券取引法」

(3)

55

り形成されており,しかもこれら法令・通達等が 重畳的な構造を示している(2)。

デイスクロージヤーに関する法令等の委任関係 を,有価証券報告書の作成を例にとってまとめた ものが第2図表である。以下,有価証券報告書の 記載内容の規制と同報告書「経理の状況」の中核

をなす財務諦表の規制について考察する。

}〕の配当等の推移,株式及び株式売買高の推移,

役員の状況そして「第7・株式事務の概要」,に ついては使用すべき図表の様式が具体的に記載さ れている。また,報告書の表紙の様式も示されて いる。

②省令様式の「記載上の注意」

これに続いて,各項目に関してさらに具体的に どのような怖報をいかなる形で記戦するかが「記 載上の注意」で(イ)~(ム)までの24項目119 ポイントにわたって規定されている。例えば,

「資本金の推移」については「記救上の注意(ハ)」

で,「(1)股近5事業年度(6箇月を1事業年度と する会社にあっては10事業年度)における(この 間に資本金の増減がない場合には,その直近の)

資本金の墹減について記載すること。」と規定さ れ,最近5事業年度の資本金の増減を記放しなけ ればならないことが明示されている。

また,財務諸表を例に挙げると,財務諸表の2 年度表示の形式として「記載上の注意(力)」で,

「貸借対照表,損益計算書その他の財務諸表につ いて.2事業年度のものを並べて掲げる場合には,

最近事業年度の前事業年度分を左側に,最近事業 年度分を右側に配列して記戦すること。」と規定 し,貸借対照表については「記戦上の注意(ヨ)」

で第二号様式記赦上の注意(フ)に準ずることが 指示されている。そこでは「(1)最近2事業年度末 現在における貸借対照表を掲げて比較すること。

ただし,1年をl事業年度とする会社が最近事業 年度の次の事業年度開始の日から起算して9箇月 を経過する|]以後に届出書を提出する場合には,

当該事業年度に係る中間貸借対照表をも掲げるこ と。(2)大科目について,その榊成比を示すこと」

と規定されている。

以上の例に見られるように,証券取引法の委任 を受けて,大蔵省令「様式」では報告書(第三号 様式では有価証券報告書)の記載項目が示され,さ らに「記滅上の注意」で具体的な記載内容や記赦 方法等が規定されている。

以上が有価証券報告書の記ilik内容を規制する法 令の委任関係である。次に,財務諸表の作成を規 制する法令の委任関係について見てみよう。

1.有価証券報告書の記載内容と法令の委任 関係

(1)証券取引法

まず,証券取り|法第24条で有価証券報告書の作 成.提出義務が規定されている。当該報告脊の内 容については,「大蔵省令で定めるところにより,

事業年度ごとに,当該会社の目的,商号及び資本 又は出資に関する事項,当該会社の営業及び経理 の状況その他の事業の内容に関する愈要な事項,

当該会社の役員に関する事項,当該会社の発行す る有価証券に関する事項その他公益又は投資者保 護のため必要かつ適当なものとして大蔵省令で定 める事項を記紋した報告書を(以下省略)」(同条)

と規定され,具体的な記載内容についての大蔵省 令への委任関係が明示されている。

(2)大蔵省令「企業内容等の開示に関する省令」

証券取引法第24条の委任を受けて,大蔵省令

「企業内容等の開示に関する省令」第15条では,

「法第24条第1項又は第2項の規定により有価証 券報告書を提出すべき会社は,次の各号に掲げる 様式により有価証券報告書を3通作成し,大蔵大 臣に提出しなければならない」と規定され,報告 書の具体的な様式が指示されている(3)。

①省令規定の「様式」

ここで,省令規定の第3号様式を例にとってそ の内容を見てみよう。第3号様式は,上場有価証 券の発行会社が有価証券報告書を作成するにあたっ て従わなければならない様式である。当該様式で は,会社の概況,事業の概況,営業の状況,設備 の状況,経理の状況,企業集団等の状況,株式事 務の概要の7項目について記載すべきことが明ら かにきれている($)。

これら項目の内,「1.会社の概況」における 資本金の推移,株式の総数,株式の状況,1当た

(4)

2.財務諸表の作成と法令の委任関係

(1)証券取引法

有価証券報告書における「経理の状況」の中核 をなす財務諸表の作成については,証券取引法第 193条に,「大蔵大臣が一般に公正妥当であると認 められるところに従って大蔵省令で定める用語,

様式及び作成方法により,これを作成しなければ ならない。」と規定され,財務諸表の具体的な作 成方法の大蔵省令への委任が明示されている。大 蔵省設置法第4条第82項は,大蔵省の所餓事務と

して企業会計の基準の設置に関することを規定し ている。

(2)大蔵省令「財務諸表等の用語,様式及び作 成方法に関する規則」

証券取引法第193条の委任を受けて,大蔵省令

「財務諸表等の用語,様式及び作成方法に関する 規則」(以下,「財務諸表規則」と呼ぶ)が131条にわ たって財務諸表の用語,様式及び作成方法を定め ている。同規則第1条には,「証券取引法…(中 略)…の規定により提出される財務計算に関する 書類のうち,貸借対照表,損益計算書,利益処分 計算書又は損失金処理計算書及び附属明細表の用 語,様式及び作成方法は,第1章から第6章まで の定めるところによるものとし,この規則におい て定めのない事項については,一般に公正妥当と 認められる企業会計の基準に従うものとする。」

と規定され,証券取引法の規定により提出される 財務諸表の作成については,本省令の規定と「一 般に公正妥当と認められる企業会計の基準」によ ることが表明されている。

例えば,第2章の「貸借対照表」では資産・負 債・資本の分類,範囲,区分表示が詳細に示され,

貸借対照表に記載すべき内容が表示面から具体的 に規定されている。しかし,評価基準の規定はな く,これについては前出「一般に公正妥当と認め られる企業会計の基準」によることになる。

財務諸表の作成を規制する法令の委任関係は以 上までである。大蔵省は大蔵省設世法に基づいて 企業会計の繋準の設置事務を所掌しているが,省 令「財務諸表規則」が規定するのは主として形式 面からであって.測定に関する基準は規定してい ない。

以上が有価証券報告書の作成を規(剛する法令の

委任関係である。記載内容については,証券取引 法の委任を受けた大蔵省令「企業内容等の開示に

関する省令」及び同「様式・記載上の注意」が形

式面から具体的な取扱いを規定している。これに 対して,財務諸表作成の規制については,証券取 引法の委任を受けた大蔵省令「財務諸表規則」が 形式面から具体的な取扱いを規定し,測定面は

「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準」

に委ねた形となっている。

実際」二,大蔵省令の規定だけで有価証券報告書 を作成することはできない。すなわち,法令の規 定はすべてを網羅的に規定しないし,また,その

ようなことは実施不可能である。

それでは,何がこれを補っているのか。財務諸 表のil'I定基準については前出「一般に公正妥当と 認められる企業会計の基準」が,財務諸表を始め とする有価証券報告書の記載項目の形式面につい ては行政内規の通達や外部向けの行政側の意見.

希望等が.さらにより具体的な取扱いを示してこ れら大蔵省令の規定を補完しているのが実状で ある。

例えば,大蔵省証券局長通達「企業内容等の開 示にMIする取扱通達について」や「企財審査NE WS」が形式面からより具体的な取扱いを示して

大蔵省令「企業内容等の開示に関する省令」を補

完している。

また.財務諸表の作成については,例えば.大 蔵省証券局長通達「財務諸表等の用語,様式及び 作成方法に関する規則取扱要領について」(以下

「財務諸表規則取扱要領」と呼ぶ)や「企財審査NE WS」が形式面からより具体的な取扱を示して大 蔵省令「財務諸表規則」を補完している。

このように,実際上,主として形式面からでは

あるが,行政内規の通達や「企財審査NEWS」

と呼ばれる行政側の意見・希望が有価証券報告書 作成のルールを形成している。以下では,これら 通達と「企財審査NEWS」を取り上げ,それら の性質や役割を検討してデイスクロージャー規制 における意義と問題点を検討したい。

(5)

57

の具体的な指針が示されている。

②表示形式の指針としての役割

例えば,同通達第5-32によれば,「開示省令 第2号様式「記載上の注意(サ)」により作成す る資金収支表の記載にあたっては,次のことに留 意する。1.資金に含まれる有価証券について低 価法を適用した場合の評価損の金額,資金に含ま れる外貨預金等の決算時における換算によって生 じた換算差額等がある場合には,原則として事業 活動に伴う収支及び資金調達活動に伴う収支尻の 合計額から控除(又は加算)する形式で表示する ものとする。」と規定され,資金に含まれる有価 証券の低価法評価損および外貨預金等の換算差額 は,事業活動の収支及び資金調達活動の収支合計 から控除または加算する形で表示すべきことが指 示されている。

③他の既存の指針への準拠を指示するものと しての役割

例えば,同通達第5-33によれば,「資金収支 表の様式は,おおむね昭和61年10月31日企業会計 審議会第一部会小委員会中間報告「証券取引法に 基づくディスクロージャー制度における財務情報 の充実について」における別紙様式によるものと する。」と規定され,資金収支表の様式について,

同委員会中間報告書記載の様式に準拠すべきこと が指示されている。

(2)大蔵省証券局通達「財務諸表規則取扱要領」

大蔵省令「財務諸表規則」は,主として形式面 を中心に貸借対照表や損益計算書等の財務諸表の 具体的な記載内容・方法等を規定しているが,大 蔵省証券局通達「財務諸表規則取扱要領」(平成4 年7月20日蔵証1004号)はさらに運用上生ずる問題 の解釈やより具体的な取扱いを規定している。

また,同省令では財務諸表の記載項目を文章で 説明しているが・同通達はこれを総合する形で具 体的な計算書のフォーム(雛形)を掲示している。

なお,同通達の第1によれば,「財務諸表の用語.

様式および作成方法に関する規則第1章から第6 章までの規定の適用および規則第1条第1項に規 定する一般に公正妥当と認められる企業会計の基 準については,第2を除き,この取扱要領第1章 から第5章および第7章までの定めるところによ るものとして,この取扱要領において定めのない

Ⅲディスクロージャー関連通達の性質と 役割

1.デイスクロージャー関連通達の性質 通達は,行政組織(この場合大蔵省)の全国的 統一を図り行政の公平を期するために国家行政組 織法で認められた行政内規である。

従って,前出のデイスクロージヤー関連通達は,

証券取引法,同施行令および大蔵省令のデイスク ロージヤー規定を具体的に適用するにあたって必 要とされる解釈や具体的な取扱いを定めた証券局 内規である。

法形式上,大蔵省証券局内規である通達は当該 行政組織内では効力を有するが,対外的には強制 力を持たない。

2.ディスクロージャー関連通達の役割

(1)大蔵省証券局長通達「企業内容等の開示に 関する取扱通達について」

まず,通達「企業内容等の開示に関する取扱通 達について」(蔵証1002)を例にとってその役割

を検討してみよう。

大蔵省令様式「記載上の注意」は各種報告書の 具体的な記載内容・方法等を規定しているが,さ らに運用上生ずる問題の解釈指針やより具体的な 取扱いを同通達が規定している.

同通達の内容を検討してみると,3つの役割が 見られる。すなわち,法令規定の用語の解釈の提 示,法令規定の表示形式のより具体的な提示ない し法令に規定のない表示形式の提示,他の既存の 指針への準拠の指示,がこれである。以下,例を 挙げて説明する。

①法令規定の用語の解釈指針としての役割 例えば,同通達第5-20では,「有価証券届出 書の「記載上の注意」における次の事項の記載の 基準については,当該会社の業種,業態,規模等 から,それぞれ重要性の判断を加味する必、要があ るが,おおむね次の基準に従い記載するものとす る。1.従業員の状況中,「臨時従業員が相当数 ある場合」及び「人員に著しい増減があった場合」

とは,従業員総数の10%程度以上の場合とする。」

と規定され,「相当数」あるいは「著しい増減」

の解釈として,「従業員総数の10%程度以上」と

(6)

ものについては,一般に公正妥当と認められる企 業会計の憤習に従うものとする。」と規定され,

lil通達が一般に公T1Z妥当と認められる企業会計の 基準の一部をなす旨が通達|÷1身によって表I)Iされ ている。

同通達の内容を検討してみると,iiiill1証券局憧 通達「企業内容等の開示に関する取扱通達につい て」と同様,3つの役割が見られる。以下,例を 挙げて説明する。

①法令規定の月]譜の解釈指針としての役割 例えば,同通達策29によれば,「規則鯖15条第 1号の現金には,小11現金,手許にある当座小切 手,送金小切手,送金為替手形,預金手形,郵便 為替証譜及び振替預金払川証書等を含む.ものとす る。ただし,未渡小切手は,預金として処理する

ものとする。」と規定され,省令規定の用語「現

金」の解釈を示している。

②表示形式の指針としての役割

例えば,何通達第28によれば,「汎I1I第14条の 規定による資産の科[1の記載は,次に掲げるllllm序 によるものとする。

1.流動資産 2.固定資産

(1)有形固定資産

(2)無形Iilf1定資産

(3)投資その他の資産 3.繰越資産」

と規定され,貸併対照表の資産科1=|の記iliklllH序が 示されている。

③他の既存の指針への準拠を指示するものと しての役割

例えば,同通達第157によれば,「規則第71条の 規定による事業の種類は,おおむねlW1和26年政令

第127号に基づく「1-1本標準産業分類」における

中分類によるものとする。」と規定され,織令規 定の覗業の種類については,l-l本標準産業分類の LI1分類に準拠すべきことが指示されている。

役割が兄らオしる。この':|則で重要なのは前二者の役 割である.すなわち,省令規定に具体的な解釈や 表示様式・ノノ法が指示されていない場合,これを 補うために通達が解釈や表示形式等具体的な取扱

いを示すのである。この役割から,通達がルール

を創I)Ⅱ北ているといえる。

(2)通達の外部化と外部基準の通達化

また証券局長通達「財務諸表規則取扱要領」

では,同通達が省令「財務諸表規則」に規定され る「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準」

の一部を織成することが表I川されている。すなわ ち,証券局内規たる前''1通達が外部の企業の財務

諸表`作成li11当者にとって』M1:重すべき会計基準の一

部である旨をそれI堂|、身が明示的に宣言している。

この行政による内規の外部化という特徴は,各

通達の冒頭に「(省略)以上命より通知する。な

お,経済111体連合会会長,関西経済連合会会長,

11本商工会議所会頭,|言1本公認会計士協会会長,

各証券取引所理鞭長,|言1本証券業協会会長には,

別途通知済であることを申し添える。」と述べら れていることからも指摘される。

すなわち,現実における通達の機能を考慮して,

内規たる通達を外部的なルールとして行政自身が

取り扱っているものと見られる。

なお,これとは逆に鹸近では,行政外部の機関 が公表した基準をそのまま通達化する動きも見ら れる。例えば,「証券取り|法におけるセグメント

情報の|ル|示について」(昭和63年91120日蔵証1662 号)のケースがこれである。当該迦達は14ケ)]

ljiiに企業会計審議会第一部会により公表された

「セグメント情報の開示基準」(昭和63年5月261-1)

をほぼそのままの形で通達化したものと見られる、

1V「企財審査NEWS」の性質と役割

1.「企業審査NEWS」の性質

これは,有I111i証券報告書等継続開示書類の開示 水準の維持・Inj上を1I的として,大蔵省証券局企

業財務課により「JIcPAジャーナル」誌上に掲

載されるものである。1992年末時点で,旧「企財 審査ニュース」(「JICPAニュース」1980年~1988年

掲赦)が合計で40号,「企財審査NEWS」(1989年

41-1~)が約24号公表されてきた。

3.通達のルール創造機能と外部化

(1)通達のルール創造機能

このように,デイスクロージャー関連通達の役 制には,法令規定の用語の解釈指針,表示形式の 指針,‘他の既存の指針への準拠の喚起,の3つの

(7)

111「企財辮査ニュース」は,ロ本公認会計-1二協

会が企業財務課から定期的に情報,盗料等の提供

を受けて,記事として編集・掲載していたもので ある。この他,|Ⅱ「会計ジャーナル」には「企財

ニュース」も掲載されていた。「企財ニュース」

は,企業財務課の担当官で個人の私jiLとして公表 された。

1989年以降の「企財辮査NEWS」では,新行

政聯イt体ililのスタートに伴い,企業財務iill(による 公報i1IMilの一環として企業財務課の:iノiijiで公表さ れている。従って,現在の「企財辨在NEWS」

は,行政の公報活動の一環として外部に|('1けて公 表される行政側の意見・希望等であり,前川の法

令,行政内規たる通達とは性質を異にする。

「企1M辮森NEWS」には,有価証券報告・11|:の 作成・提出に際してのチェック・リスト,jlr要珈 攻についての解説・問答集,具体的な取扱指針に ついての公式見解,行政審査の方針等に関する公 報,の4つのタイプがある`5'。

「M〔券先物取引の会計処理6-10」では,「Ii1f券先

物取引に係る会計処理及び表示が適切に行われて いるかどうか(60.10.8付日本公認会計二t協会「Ii1i 券先物取引の会計処理」参照)」と述べられ,既存

のルールの喚起・参照を促している。

(2)実践上の問題点の指摘・既存のルール喚起・

参照を促すもの

これは,「~の規定には~とあるが,爽際には

~となっており,~することが必要あるいは~す

ることに留意して下さい(~参照)。」の表Dlにみ

られる役割である。

例えば,「企則.審査NEWS」第3-3号の菰'1

「破産債権,更生債権その他これに準ずる伎椛」

では,「通常の取引に基づいて発生した「受取手 形」「売掛金」および商品・原材料等の聯入のた めの「前渡金」等の債権は流動姿産に属すること

となっていますが,これらの,債権のうち,破産俄

椎,更化債権その他これらに準ずる価権で一年以 内に'111リスされないことが明らかなものは、li1r1定盗 施たる「投盗その他の資産」に属することとされ

ています(財規第15条,|可第32条,Mイ現取扱妥緬輔18 の2)。しかしながら,一年以内にlllIjIXさオLない ことがⅢIらかな破産債権,更生債権その他これに

Wiずるイl1iWiiの表示について,(1)そのまま通ilirの`iMr 錐仙ⅧlMI1i権である「受取手形」や「売掛金」に含 めて表示していたり,「その他の流動盗朧」にiil・

」:しているもの,('''1'1片)等がかなl)几受けられ ます。これらの債権は,投資その他の資産区分に

その安産を示す名称を付した科目をもって適切に 表示する必要があることに十分留意して下さい。」

と述べられ,実践上の問題点を指摘し,既存のルー

ルの喚起・参照を促している。

(3)実践上の問題点の指摘・既存のルール喚起・

参照を促しこれを補完するもの

これば,「~の規定に~とあ})ますが,実際に は~が見受けられ,~することに留意して下さい。

さらに,~では~することが適当と思われる。~

では~することが望ましい(~参照)。」の表現に )Aらオしる役割である。

例えば,平成元年度版チェック・リストの〕〕!〔1」

「識I111i投盗計iIIIi等4-4」では,「今後の所要盗金 については,増資資金,転換社債資金,11己盗余,

I|ヤ入金等の源泉別盗金調達方法を記載することと 2.「企財審査NEWS」の役割とルール創造

機能

これら「企1M審森NEWS」で表1リ|された行政 IIUの意1,11.希望等を分析すると,それらは,デイ スクロージャー関連法令・通達の運ルリの過秘で/上 じた'31題ノlX等について,明確な解釈や共体I19な取 扱いを定めたものが含まれていることがlmらかと

なる。この窓味で,「企財審査NEWS」はデイス

クロージャー関連法令・通達をさらに補完するも のである。

行政Ii1lIの意兄・希望等は概ね3つの役割をイj-す るものと見られる。すなわち,既存のルールの喚 起・参照を促すもの,実践上の問題点を指摘し既

存のルール喚起・参照を促すもの,実践上の'''1題

点の指摘・既存のルール喚起。参照を促しこれを 補完するもの,がこれである。以下,例を挙げて 脱}リ]する。

(1)既存のルールの1喚起・参照を促すもの

これは,「~の記城あるいは~の処理が適切に

行われているかどうか(~参照)。」あるいは「~

については,~することに留意すること(~参照)。

」の表現に)i』られる役割である。

例えば.』|奥成4年度版チェック・リストの頂11

(8)

なるが,既調達の増資資金,転換社憤資金等によ り最近行われたファイナンスの盗金使途が変更と なった場合には,関係ある項目の箇所でその旨及 び変更の内容を記載する必要がある。」と述べら れ,省令「記載上の注意(ヲ)」を補完している。

さらに,「企業審査NEWS」第1-3号の項目

「1.継続性の変更について」では,「(省略)「変

更の理由」の記載は,当該変更が正当な理由に基 づくものであるのかどうかの重要な判断材料とし て,また,当該変更が財務諸表等に与えている影 響を受けた重要な項目及びその差異の金額を明ら かにするものであり,財務諸表等の期間比較性を 確保する上で,極めて重要な情報となるものです。」

と述べられ,財務諸表規則第8の3の解釈指針を 提供している。

また,「企財審査NEWS」第3-1号「繰延資 産の会計処理方法等に係る財務諸表等規則上の取 扱い」では,「財務諸表規則では,繰延安産の処 理方法を「重要な会計方針」として記戦するとと

もに,これを変更した場合には「会計方針の変更」

に関する記救を行うこととされていますが(同規 則8条の2,第8条の3ハ平成2年6月の有価証 券報告響受理時にこれらの諸点について実態調査 したところ,現行実務上その取扱が多岐にわたっ ていることが判明しました。このため,日本公認 会計士協会とも協議のうえ,繰越資産の処理方法 に関する「重要な会計方針」への記城の在り方及 び継続性の変更の取扱い等について,その考え方 を整理しましたので,参考として頂ければと考え ております。」と述べられ,新たな取扱いの指針 を提示している。

以上のように,「企財審査NEWS」で表明され る行政側の意見・希望等は概ね3つの役割を有す ると見られる。その中でも特に第3番目の役割が 重要である。つまり,デイスクロージャー関連法 令・通達の運用の過程で生じた問題点等について,

明確な解釈や具体的な取扱いを新たに示す機能を 果たしているからである。この点で,通達のルー ル創造機能と同様の役割を持つと見られる。

Vディスクロージャー関連通達と「企財 審査NEWS」の重要性,必要性及び効力

それでは,ディスクロージャー関連通達と「企 財審査NEWS」が実践上どの程度の重要・性を有 し,それらがなぜ必、要とされ,どのような形で一 定の強制力が付与されるのかを検討してみよう。

1.ディスクロージャー関連通達と「企財審査 NEWS」の重要性

まず,デイスクロージャー関連通達と「企財審 査NEWS」が実践上どの程度の重要性を有して いるかを検討したい。この手掛りとなるのが「企 財審査NEWS」のチェック・リストである。

有価証券報告書に関する平成4年度版チェック・

リストの中で企業財務課が挙げたチェック・ポイ ント112項目について,参照すべきルールは次の とおりであった。

①「企財審査ニュース」ないし「企財審査 NEWS」;48項目

②省令様式「記載上の注意」;35項目

③日本公認会計士協会公表の指針(「監査第一 委貝会報告」「審理室情報」「リサーチセンター審 理篭1W報」「監査委員会報告」「会計制度委員会研 究報告」等);30項目

④「財務諸表規則取扱要領(通達);16項目

⑤「財務諸表規則」(省令);14項目

⑥「大蔵省事務連絡」;12項目

⑦「企業内容の開示に関する取扱通達」;12

項目

③「連結財務諸表規則」(省令);7項目

⑨その他の証券局長通達;6項目

⑩「連結財務諸表規則取扱要領」(通達);4

項目

である。チェック・ポイントは,有価証券報告書 の作成に際して,特に形式面で問題点の多い項目 や注意の要する点を証券局が一覧表の形にまとめ たものである。もちろん枝葉末節的な性質をもつ ものもあるが,尊重すべきであると行政側が考え ているものである。

その11コで,「企財審査NEWS」が48項目,「財 務諸表規則取扱要領」が16項目,「企業内容の開 示に関する取扱通達」が12項目,その他の証券局

(9)

61

長通達が6項目,「連結財務諸表規則取扱要領」

が4項目で,デイスクロージャー関連通達と「企 財審査NEWS」を合計すれば86項目について参 照すべき指針として挙げられている。

これに対して,省令は省令様式「記載上の注意」

が35項目,「財務諸表規則」が14項目,「連結財務 諸表規則」(省令)が7項目で,合計56項目につ いて参照すべき指針として挙げられている。

これからは,有価証券報告書の作成に際しての デイスクロージャー関連通達と「企財審査NEWS」

の実践指針としての重要性が指摘される。

行政審査は,発行時審査と継続審査により構成 されている(7)。ここでは,継続審査に限定してそ の概要を紹介する18)。

継続審査では,まず,継続開示書類の受理時に ヒアリングにより受理時審査が実施される。有価 証券報告書及び半期報告書の受理時は発行会社に 一括して接触できるため,内部的に定めた審査項 目のチェックを中心に,会社(必要に応じて公認会 計士)より,一件当たり平均15分程度のヒアリン

グが行われる。

さらに,事後的に審査が実施される。この事後 的審査が行政審査の中核的役割を担っている。ロー テーション基準により選定した会社について,す でに提出されている継続・発行両開示書類の財務 諸表を中心とした深度ある審査が実施される。こ れにより問題点が発見された場合には法律に基づ

く是正措置を講ずることも考慮される。

この事後的審査を中心とする行政審査を実施す るたために,大蔵省は証券局と地方の財務局に担 当セクションを設けているが,審査にあたって大 蔵省内部の解釈や取扱いを統一する必要が生ずる。

このために,デイスクロージャー関連通達が必要 となる。

また,報告書受理の前に,事前に問題の多い点 について行政側の意見や希望を外部に公表してお けば,行政審査を円滑に実施することができる。

この目的のために,「企財審査NEWS」等による 広報活動が必要になる。

2.ディスクロージャー関連通達と「企財審査 NEWS」の必要性

次に,デイスクロージャー関連通達や「企業審 査NEWS」がなぜ必要となるのかを考えてみよ う。これには有価証券報告書等の行政審査制度が 大きく関わっている。

証券取引法に基づく証券局の行政審査の目的は,

投資家保護の見地から,有価証券報告書等の開示 書類の虚偽記載や不適当な会計処理を是正(これ らの未然防止を含む)するとともに,当該開示書類 の全般的な開示水準の維持,向上をはかることに ある(6)。

開示制度が十分に機能するために,証券取引法 上,行政審査に関して,イ.有価証券届出書,有 価証券報告書等の記載不備,虚偽記載等に対する 大蔵大臣の訂正命令(証券取引法第9条,第10条,

第24の2条等),ロ.効力停止命令(証券取引法第 10条)の規定が設けられている。

これら規定に,ハ.有価証券届出書等の記載の 真実性・明瞭性を担保するための会社及び役員に 対する刑事責任(証券取引法第197条~第208条),

二.有価証券届出書等の虚偽記載によって投資家 が被った不測の損害について,会社,役員,会計 士及び引受会社に対する民事責任(証券取引法第1 8条~第22条ハホ.財務諸表の監査証明にかかる 会計士の虚偽証明に対する懲戒処分(公認会計士 法第30条,第34の21条)の刑事・民事責任(証券取 引法及び公認会計士法上の刑事・民事責任及び懲戒処 分)の規定を置く仕組みとなっている。行政審査 は,以上の規定を実効あらしめ,制度を円滑に運 営していく役割が与えられている。

3.ディスクロージヤー関連通達と「企財審査 NEWS」の効力

最後に,デイスクロージャー関連通達と「企財 審査NEWS」がどのような形で一定の強制力を 付与されるかを検討したい。

既述のとおり,通達は行政内規であり,行政組 織の外部に対しては本来強制力をもたない。「企 財審査NEWS」は,企業財務課が公報活動の一 環として外部に向けて公表する行政側の意見・希 望であり,これも本来強制力をもたない。

しかし実際上,実践の指針として一定の強制力 を有するものと見られる。「企財審査NEWS」第 4-1号「有価証券報告書などの作成・提出に際 しての留意事項(平成4年版)について」では,

(10)

「(省略)なお,有価証券報告瞥において,当該チェッ ク・リストと相違する処理等がなされている場合 には,その近要性等を勘案して訂j[等是正方をお 願いすることもありますので十分翻意して下さい。」

と述べられている。すなわち,チェック・リスト に指示する処理等をしなければ,行政審盃で訂正

してもらうことがあることを表Ⅲ]して,チェック・

リストに指示する処理等を暗に強制しているので ある。

このチェック・リストには有Il11i証券報梼瞥:の各 項目について,注意点と参照すべき指針を指示し ており,その指針のIIJには,デイスクロージヤー

関連通達や「企1M・審査NEWS」が多く挙げられ

ているのは前出のとおりである。デイスクロージャー 関連通達や「企財審森NEWS」の役割が法令の 規定や他の外部の機関が公表した基準への参照・

準拠を単に促すものだけでなく,前川のとおり一 定の解釈や取扱いを新たに示すものも存在する以 上,上述のチェック・リストに示すルール・処理 等を指示することを通じて一定の強制力のある実 践指針を創り}}}すことになる。

れらの妥当性を外部的にチェックする制度的な仕 組みが必要である。本来であれば,訴訟を通じて 司法的なチェックが働くのであるが、会計領域の 訴訟がほとんど兄られない我が国にあっては当該 チェック機能は十分機能していない。そこで,通 達や「企1M審査NEWS」で新たに示される解釈 や取扱いの決定に至るまでの審議のプロセスに外 部のlIlj['1ツ家等を参加させ,辮議内容を外部に公開 することが求められる。この点は行政立法たる省 令の設定についてもいえることである(9)。

第2に,通達「財務諸表規則取扱要領」が「一

般に公正妥!'jと認められる企業会計の基準」の一 部をなすことを自ら表明しているが,設定プロセ スも公開されない行政内規が「一般に公正妥当」

なる基準であるというのもおかしい。この部分に M題はないのか。

第3に,デイスクロージャー通達や企財審査 NEWSの創り出すルールは,主として形式面か ら細かい部分に関わっているものが多いが,その ような枝葉末節的な部分まで行政が決めていくこ とに問題がないのか。このことが企業の自主的な 情報lIM示の:上壌醸成の妨げになっていないか。企 業は行政の指示通りに行動していればいいのであ るから,考え方によっては楽でありコストも安上 がりである。しかし,利用者がどのような情報を いかなる形で受け取ることを望んでいるか等,望 ましい備報開示はどうあるべきかについて常に企 業自ら考える磯会を奪ってはいないか。ディスク ロージャー規制の在り方を再検討する必要がある ものと」辿られる。

Ⅵむすぴ

以上,我が国の証券取引法に基づくデイスクロー ジャー規制を検討し,形式lmiで行政内規たる通達

や「企財辮枩NEWS」が重要な役割を果たし,

それが行政辮在制度と密接な関係を右することを

明らかにした。すなわち,法令以外にも通達や企

財雰査NEWSにルール創造機能が見られ,それ らが一定の強制力を持っているのである。その必 要性と効力発生の源泉が行政審査制度なのである。

筆者はデイスクロージャー通達や「企財審査

NEWS」の必要性を否定するものではない。行政 審査制度が存;(,【する限り,行政組織内の解釈や取 扱いを統一しておくために通達が必要である。ま た,行政瀞査制度の円滑な運営のためには,?'術 に行政側の意見や希望,留意点を知らせておくこ とも必要である。

それでは何が問題なのか。3点ほど問題ノlXを挙 げることができる。第1に,法令ではない行政内 規や行政1111の意見.希望が,外部的に一定の強llilI 力あるルールとなっている現状を考慰すれば,こ

〔注記:

(1)例えば,「企財雰在NEWS第1-4号一半期 報fL7iIドの作成・提出に際しての留意事項について」

iJlCPAジャーナルjNo4l8(1992年11月)の中 の「5.有価証券を低価基準で評価することとし ている場合の中間決算における取扱いについて」

の項卜1の下で,「事業年度の末l]までに時価が回復 すると認められるかどうかの判|折は,盗意的なも のとならないよう慎重に行う必要があると考えら れますが,鹸近の株式市場における低調な取引の

[|】での株、価の大l幅な変動といった事情.また.こ

(11)

63

のような状況に対応した最近の経済対雄,さらに は数次にわたる公定歩合の引き下げ等の緒施策が 識じらオした珈情等を踏まえつつ。企業のI皇|主的判 断によ}汎保有する個々の株式の状況と株価の見 通しを十分に検討した上で対処していただくこと が必要であると考えられます。なお,上記の措置 を適用した場合には.中間財務諸表規則取扱要領 第7及び第8の規定により,評価損を計上してい ない旨のほか,(以下省略)」と表明された。

(2)「証券取引法」は,周知のとおり図会で審識・

制定される法律である。「証券取引法施行令」は内 閣が発する命令(政令)であって,iii[券取引法の 規定を執行するために制定あるいは同法律の委任 に基づいて制定される。内閣が政令の般定権を有 していることは,態法で直接定められている(憲 法第73条第6号)。

「企業内容等の開示に関する省令」,「財務諸表 等の用語,様式及び作成方法に関する規則」等は 大蔵大臣が発する命令(省令)であって,証券取 引法もしくは同法施行令を執行するためまたはそ れらの特別の委任に基づいて定められる。国家行 政組織法第12条第1項には,「各大臣は,主任の行 政事務について,法律若しくは政令を執行するた め,又は法律若しくは政令の特別の委任に鑑づい て.それぞれの機関の命令を発することができる」

と規定されている。

「企業内容等の開示に関する取扱通達について」

等の通達は,上記の法令を具体的な事案に適用す るにあたって必要とされる判|新.すなわち解釈や 具体的な取扱いを定めたものである。国家行政組 織法第14条第2項はⅢ官庁の全国的統一をl測り,

行政の公平を期するために,通達を定めている。

「企財審査NEWS」等の「その他」は,憲法,

国家行政組織法のいずれにも規定されていない。

例えば,「企財審査NEWS」は証券局が公報活動 の一環として外部に向けて公表するものであるが,

後述するように通達と同様実践の指針として機能 している。

ところで1立法技術上の問題として,どの程度

「政令」,「省令」への委任ができるかが問題となる。

一般に,「法律」には重要事項だけが規定され,技 術的な事項や細かい手続的事項は施行令や省令で 規定されるのが通例である。しかも,原則として,

省令では手続的事項とか様式等を規定するに止め,

その多くは政令で規定される。さらに.行政組織 が法令の執行に際して,より具体的な取扱いや解 釈について組織内部の統一を|到る必要が生ずる場 合には,行政内規たる「通達」がこれを明示する。

(3)当該省令規定の第1号~第16号様式には「有 価証券通知瞥」,「有価証券届出排」,「有価証券報 告轡」あるいは「半期報告書」等の各報告書の様 式が規定されているが,例えば,上場有価証券の 発行会社の場合には第3号様式Ⅲ上場有価証券に 準ずる有価証券等の発行会社の場合に第4号様式,

また.上場有価証券を発行している外国会社の場 合には第8号様式によることが指示されている。

(4)これら7項目には次の項目に関する情報が記 載される。すなわち,

1.会社の概況(会社の沿革,賛本金の推移,株 式の総数,株式の状況,1株当たり配当等の推移,

株価及び株式売買高の推移,役風の状況,従業 員の状況)

2.J11業の概況(会社の目的及び]}↓業の内容.経 営上の重要な契約,研究開発活動)

3.営業の状況(概況,生産能力,生産実績,受 注状況と生産計画,販売実績)

4.設備の状況(設備,設術の新設,重要な拡充 若しくは改修又はこれらの計画)

5.経理の状況(財務諸表,主な資産・負債及び 収支の内容.有価証券等の時価情報,資産収支 の状況,その他)

6.企業集団等の状況(企業集団等の概況,企業 集団の状況,関連当事者との取引)

7.株式事務の概要 である。

(5)チェック・リストとしての「企財審査NEWS」

は,有価証券報告書等作成実務の参考に供するた め,過去における有価証券報告轡等の審査を通じ て多く指摘されたものを中心に「有価証券報告書 などの作成・提出に際しての留意事項」としてと

りまとめたものである。この留意事項にはすべて,

注意点と参照すべきルールが指示されている。

重要事項についての解説・問答集としての「企 財審査NEWS」は,チェック・リストの中から古 くて新しい問題で特に重要な事項及び最近審査の 過程で問題となった事項等をピックアップして解

(12)

説を加えたものである。また,「企!けlif代NHiWS」

第1-4いけ「Iiiili時報('テ樽の提1[}にllUするグミ総'111醤 について(その1)」のように11M瀞形式で解説を行っ ているものもある。

具体的な取扱方針についての公式兇解としての

「企財辮在NEWS」は,未だ取扱いが定まってい ない聯項について行政側の考え方を鵬JlI1し,参考 として提示したものである。

行政排Hilrのノノ針等に関する公報手職としての

「企11イ辮洗NEWS」は,企業1吋勝,i1ILの行政瀞jlfの 方針をi|{介するものである。

以上の形態をとる「企財審査NIDWS」は,証券 取引法の行政瀞査をより円澱かつ効率的に実施す るため,1川係者の理解,協力を求めお[I的で公表 される。

(6)大蔵f7iiili券凡)企業財務課「企!'イ1iドジfNEWS-

新:i縦IイNIljllの概要について」雛1-8・けiJI(〃A ジャーナル』N(〕.`{12(1989年11)])77]J1参照。

(7)発行時瀞盗は,届出書提llllii群謙一陰質問状→

会社・公認会計士.引受証券会社のヒヤリング〆 調i9:作成-い』!「前修正,訂正届出11f提11|の要求.リド 後的辮議への切替え。の手IWiで実施される。

まず,「|秘相談又は記載脂猟等を念め,会社,

公認会Til・上及び;|受証券会社と11111111亀,IillのIWlね1 週|1M前には接触が行われる。次に,瀞ifii過凝で問 題点が発兇された場合には基本的には]」$前修11三が 実施される。しかし、届出までに111]に合わない場 合には訂正届出鶴:の提出が求められあ。これに従 わないと,訂正命令等の措置が検討される。事案 によっては事後的瀞査の対象に切り粋えられ,瀞 盃・検討が老IMiiされる(111川111;ldl(,illi券1,j企業Ⅱイ 務諜iiii榊森盗料係長)稲「新しいディスクロージャー 審査」iJlCPAジャーナル』No.`110(1989年91j)

61-62瓦参照)。

(8)111川li蛎樹、前掲穂、61-62了〔参11【!。

(9)これはいわゆる「手続的正義(procodural jusLice)」ないし「通jE手続(duo1)rocess)」の

’1}]題である。設定主体のいかんを'111わず,ルール の設定.:{if縦プロセスにおいて「手続111[K擬」な いし「適正手続」の考え方が求められるのは''1じ である。1993年11115日に国会で111決,liIH12日 に公布された我が国の「行政手続法」は,行政指 導の一般ルールを定める等従来のIMI題解決の重要

な‐歩となったが,行政による立法や計画・審議 段llMrにl1i1比が参加するL(ムテi具''1<j参加手続は実現しな かつた。

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