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田尻, 祐大

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

機械受容器TRPV4は口腔扁平上皮癌細胞の増殖を促進 する : Ca2+/CaMKII/AKTシグナル伝達を介して

田尻, 祐大

http://hdl.handle.net/2324/4475041

出版情報:九州大学, 2020, 博士(歯学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

(様式3)

氏 名 :

田尻 祐大

論 文 名:

機 械 受 容 器 TRPV4 は 口 腔 扁 平 上 皮 癌 細 胞 の 増 殖 を 促 進 す る

~ Ca2+/CaMKII/AKTシグナル伝達を介して~

区 分 :

論 文 内 容 の 要 旨

口腔癌の多くは、上皮由来の口腔扁平上皮癌(oral squamous cell carcinoma: OSCC)であり、OSCC は基底膜を破壊して間質へと浸潤し、細胞外マトリックス(extracellular matrix: ECM)と接する。

また、最近の研究では、ECM の硬さが増加すると、腫瘍細胞の増殖能や遊走能が増加することが 示されており、腫瘍形成において極めて重要な影響を与えると考えられる。

transient receptor potential vanilloid 4(TRPV4)はCa2+透過性の高い非選択的陽イオンチャネルで、

物理刺激や化学刺激を感知する受容器であり、乳癌や胃癌などで、腫瘍形成を制御することについ て報告されている。一方、OSCCにおけるTRPV4の発現と機能は不明である。本研究では、OSCC

におけるTRPV4の発現と機能を検討し、その分子基盤を明らかにすることを目的とした。

まず、TRPV4 は正常口腔扁平上皮細胞株と比較して、複数のOSCC細胞株で高く発現しており、

TRPV4アゴニストで刺激するとTRPV4の発現量に相関してCa2+が細胞内に流入した。また、TRPV4 を発現しているOSCC細胞株においてsiRNAを用いてTRPV4をノックダウン(knock down: KD)

すると、細胞内 Ca2+が減少したことから、内因性 TRPV4の発現が Ca2+チャネルとして機能してい ると考えられた。さらに、TRPV4 を KD すると、OSCC 細胞株の細胞増殖能と細胞遊走能が低下 した。加えて、細胞内外の Ca2+をキレートすると、細胞増殖能が低下した。その程度は siRNA を 用いて TRPV4 を KD した場合や、siRNA を用いた TRPV4 の KD とキレート剤を併用した場合と 同程度であったこと、また、TRPV4をKDした OSCC細胞株にTRPV4を過剰発現すると、これら の抑制効果が解除されたことから、内因性 TRPV4 の発現が細胞増殖を制御するのに十分であると 考 え ら れ た 。 そ こ で 、TRPV4 の 下 流 シ グ ナ ル に つ い て 検 討 し た と こ ろ 、TRPV4 の KD は 、 Ca2+/Calmodulin依存性プロテインキナーゼII(calmodulin kinase II: CaMKII)とAKTのリン酸化を 抑制した。また、shRNAを用いて TRPV4を恒常的にKD したところ、低接着培養と 2D 培養では 増殖能に有意差は認められなかったが、3D培養における腫瘍細胞塊の大きさと増殖能は減少した。

これらのことから、TRPV4 は ECM の硬さを含めた細胞外環境を感知して増殖を制御していると 考えられた。

さらに、ヌードマウスを用いたゼノグラフトモデルにて、shRNAを用いてTRPV4を恒常的にKD すると、腫瘍細胞増殖とAKTのリン酸化が抑制されたことから、TRPV4の発現はin vivoにおける 腫瘍細胞増殖に必要であった。加えて、OSCC患者36例から得られた病理組織標本を免疫組織化学 染色にて検討したところ、TRPV4が非腫瘍部では発現が少なかったのに対し、腫瘍部では細胞膜と 細胞質により多く発現しており、TRPV4 の発現を示す細胞には AKT のリン酸化が高頻度に認め られた。

(3)

本研究の結果から、TRPV4を介した Ca2+細胞内流入がCaMKIIの活性化を介してAKT シグナル 伝達を活性化することで、OSCC の細胞増殖が促進されることが示唆された。このことは、細胞外 環境をOSCCの腫瘍細胞が認識し、細胞増殖を制御する機構の一端を見出したと考えられた。

TRPV4/CaMKII/AKTシグナル伝達の様式図

本研究では、TRPV4 が細胞外基質の硬さなどの細胞外環境に応答し、Ca2+が細胞内流⼊すると、

CaMKIIを介したAKTシグナル伝達が活性化し、OSCC細胞増殖が促進されることが⽰唆される。

TRPV4 CaMKII

正常細胞 癌細胞

細胞外基質の硬さ

??

増殖

P

AKT

P

Ca

2+

細胞外基質

Ca

2+

CaM

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