神奈川大学大学院経営学研究科 F研究年報』 第12号 2008年3月 59
■ 研究論文
日本 における消費税の課題 と提言
一 欧州の付加価値税 との比較 を通 して ‑
ProblemofaconsulnptiontaxandproposalinJapan
神奈ハト大学大学院 経営学研究科 国際経営専攻 博士前期課程
松 浦 弘
昌 MATSUURA,Hiromasa■キーワー ド
消費税、益税、逆進性税負担、付加価値税、 インボイス方式、帳簿方式
1 は じめに
日本 は今 日、少子高齢化社会の中にあ り、今後 も増大 してい く社会保障費に備 え、安定的な財源 である消費税の税率引 き上 げについて盛んに議論 が進 め られてい る。 内閣府 は2007年10月17日に 開かれた経済財政諮問会議で、現在の医療 と介護 給付 の水準 を維持す るためには2025年度 に約14 兆 円か ら31兆 円分の増税 が必要 で あ り、消 費税 で賄 うな ら11%か ら18% まで税率 を引 き上 げ る 必要がある、 との試算 を公表 したl。
日本の消 費税 は現在5%で あ り、 この税率 は世 界的にみて も低 い税率 となっている。主要国の付 加価値税率 をみ る限 り、2桁台の税率 を課 してい るのが主流 といえる。 この まま具体的な内容の検 討 にはい り、いよいよ 日本 も
「 2
桁税率」 国の仲 間入 りか と思 われ た矢先 に、急逓 この税率 引 き 上 げの流 れ にス トソプがかか った。2007年11月 14日に 自民党 は、2008年度 中の消 費税率 引 き上 げ実施 を見送 る方針 を固めたのである。 これ まで、福田首相 も社会保障給付の維持 とセ ッ トで消費税 引 き上げを前向 きに検討す る考 えを鮮明に してい た。 しか し、アメ リカの低所得者向け (サブプラ イム)住宅 ロー ン問題や原油高 などの影響で景気 の先行 きが不透明なことか ら、 この時期 に引 き上 げ方針 を明示す ることは、国民の理解が得 られ な いと判断 したため、来年度へ見送 りとなった2。
消 費税 を1%引 き上 げると、国に2.5兆円 とい う 巨額の増収 をもた らす。 これ まで消費税 を引 き上 げる理由 として増大す る社会保障費 を賄 うため と い うことが第1にいわれてい る。 しか し、実際の ところ理由はそれだけではな く、国 と地方 の借金 が800兆 円 を超 えるなかで、財政再建のために も、
安定 した財源である消費税の引 き上 げが必要 だ と の見解 もある。 そ うなって くると消 費者である国 民の感情 は、政府は無駄 な歳 出削減 を最大限行っ たのか、また、 どの程度負担が増加 され るのか と い う2つの疑念 を抱 くだ ろう。つ ま り消 費税 引 き 上 げは、 しかるべ き対策 をとった うえでの、最終 手段の策 とい う性格が求め られ る。 しか し、現在
の 日本の消費税制はこれ ら国民感情 を考慮 してい るとは到底 いえない。税率引 き上げ論議 を交わす 前に解決 しなければな らない先天的な問題が多数 存在 しているのである。
筆者 は税率引 き上 げに対 して、国民の反発を完 全にな くす ことはで きな くとも弱めることはで き ると考 えている。 なぜ な らば、国民の理解 を得て 高付加価値税率 を採用 し、その代わ り社会保障制 度 を充実 させている北欧諸国や ヨーロッパ諸国の 存在 があるか らである。 このように高付加価値税 率で社会保障制度 を充実 させ るとい うこのモデル は、今後の 日本 にとって大いに参考にすべ きもの であると考 えた。
そ こで本稿 では、 まず第2章で 日本の消費税の 概要 を知 り、現在の問題点 を探 るために歴史的系 譜 を追 うO また、第3章 で、 ヨーロ ッパ諸国の付 加価値税制度の実態 を明 らかに し、 日本の消費税 と比較 してその問題点 を提示す る。 そ して、第4 章で比較 によって得 られた 日本の消費税の問題点 に対 して、その理想的な解決プロセスについて検 討 してい くことにす る。
2‑1 日本の消費税の概要
日本 の租税 は表2‑1の よ うに直接税 と間接税 に 区分 され る。その うち間接税に属す る消費税 とは 特定の商品の売買や貸付け、 またはサービスの提 供に対 してその消費に課 され るものである。 この
消 費税 は1989年 (平成元年) の抜本 的税制改正 に よ り誕生 した。 この消費税 を 日本 において採 用すべ きどうかが議論 され るよ うになったのは、
1965年 (昭和40年) か らで ある。 そ して その具 体的政策問題 と して検討 され始めたのが、オ イル シ ョック後の税収の大幅な落ち込みに伴い赤字国 債 を戦後初 めて発行 した1975年 (昭和50年) か
らである3。
表2‑2は、消 費税 法成立 までの流れ をまとめ た 表である. この表 によると、一般的な消 費税 で政 府によって提案 された最初の ものは、大平正芳内 閣が提案 した一般消費税 (仮称)である。 これは 税制調査会4によって出 され た 「1979年 (昭和54 年度)税制改正 に関す る答申」の中で、 (1)税率 は5%、 (2)免税点 は2千万 円、 (3)仕 入 れ税額 控除 は帳簿方式、 (4) 申告納付回数は年2回、 な どが示 され た。 そ して翌年 の1980年 (昭和55年 度 中)の実現 を目指す旨を閣議決定 したが、中小 零細企業の反対が強 く、一般消費税 は法案化 さな いままに終わった。
その次に提案 されたのが中曽根康弘内閣の 「売 上税 法案」 で あ る。 中曽根 総理 は1985年 (昭和 60年) に、税制調査会 に対 して、公平、公正、簡素、
選択、活力 を理念 として、税制の抜本的見直 しを 求 め る諮 問 を行 った。 その結果、1986年 (昭和 61年)に税制調査会 か ら 「税制の抜本的見直 しに ついての答申」が出 され た。 その中で課税 ベース
表2‑1 日本における直接税 と間接税
直接税 間接税
所得税 個人の1年間の所得に対 して課 されるG 消費税 商品.貨物に対 して課 されるoビスの提供などの取引や輸入 される製品の販売、物品の貸付け、サー 法人税 株式会社などの法人の所得に対 して 酒税 清酒 .ビール .ウイスキーなどを製
課 されるo 造場から出荷 したときに課 されるO
相続税 財産 を相続又は遺贈により取得 した たばこ税 たばこを製造場か ら出荷 したときや
ときに課 される○ 輸入 したときに課 されるo
贈与税 個人か ら財産 をもらったときに課 さ 自動車重量税 道路その他の社会資本の充実のため
(出所)筆者作成
日本における消費税の課題と提言 61
表2‑2 消費税法成立 までの沿革
大平正芳内閣 中曽根康弘内閣 竹下萱内閣
1979年 1987年 1988年
(昭和54年)法案提出 (昭和62年)法案提出 (昭和63年)法案提出 一般消費税 (仮称) ¢ 売上税 ぢ〉消費税
(1)税率 5% 5% 3%
(2)免税点 免税点は二千万円 免税点が1億円 免税点が三千万円 (3)非課税取引 非課税取引は原則 として設 非課税取引は全51項 目と 非課税取引は原則 として設
けないo する○ けないo
(性格上課税対象 とす るこ (土地の譲渡、利子、保険料 (性格上課税対象 とす るこ とになじみにくい もののは 飲食料品、家賃、社会保険 とになじみにくいもののは か、社会政策的配慮に基づ 料、学校教育、新聞など) か、社会政策的配慮に基づ
くもの一部に限定) くもの一部に限定)
(4)仕入れ税額控除の方式 帳簿方式 インボイス方式 帳簿方式
(5)申告納付回数 年2回 年4回 年2回
(6)その他事項 中小特例措置 として、簡易 物品税、砂糖消費税、入場 ①中小特例措置 として、簡 課税適用上限 と限界控除適 税、通行税、 トランプ類税 易課税適用上限 は5億 円、
用上限ともに年間4千万円 電気税、ガス税、木材引取 み な し仕 入率 は90%と
(出所)筆者作成
の広 い間接税 の方式 と して3案提示 され たが、 そ の うちの 「日本型 付加価値税 (売上税)」 とい う 1つ の案 に絞 り、1987年 (昭和62年) に売上税 法 案 を国会 に提 出 した。 その概要 は、 (1)税率5%、
(2)免税点 が1億 円、 (3)非課税取 引 は全51項 目、
(4)仕入 れ税 額控 除 は イ ンボ イス方 式、 (5)申 告納付 回数 は年4回、 な どで あった。 しか しこれ につ いて も中小零細企業の反対 が強 く、審議 され ない ままに廃案 となった。
その後の竹下誉内閣の時、竹下総理 は税制調査 会 に対 して抜本的な税制改革の具体的な方策 を諮 問 した。 そ して税制調査会、政府税調の答 申等 を と りまとめ た税 制改革 関係 六 法案 が1988年 (昭 和63年)7月に国会 に提 出 され た。 この法案に対 して も中小零細企業や消費者の反対 が強 く難航 し たが、ついに同年12月についに成立 し、1989年 (平 成元年)の4月に施行 された。
創 設 時 の消 費税 の概 要 は (1)税 率3%、 (2) 免税 点 が3千万 円、 (4)非課税取 引 は原則 と して 設 けない (4)仕 入 れ税 額控 除 は帳簿 方 式、 (5) 申告 納付 回数 は年2回、 (6)内税 (税 込 み表示 ) か外税 (税抜 き表示) かは事業者 の選択 によると された。 この裏 か ら注 目すべ きは、中曽根 内閣が 提出 した売上税法案で、仕入れ税額控 除の方式 を インボ イス方式 としてい る点で ある。 しか し、竹 下内閣で導入決定 された消 費税 では、 その方式 は 帳簿方式 が採用 され た。 日本 の消 費税 において、
帳簿方式で あるが故 に、発生 した問題 がある。 イ ンボイス制度の重要性 とその問題 につ いて は次章 以降で後述す る。竹下 内閣が帳簿方式 を採用 した のは、中小規模事業者の事務負担増への反発 を考 慮 したか らであ り、 その消 費税法案 その ものに対 す る反対 を懐柔 させ るためで あった。 それ まで提 出 され た大平 内閣の一般消 費税案 、中曽根 内閣が
表2‑3 消 費税法の沿革
1989年 (4月平成元年)1日 消費税法の適用開始
1滴 :1日 (3)‑申開及び納付回数あ勧 口.率の見直 し∴ ̲I
1998年 (平成10年) 消費税法の改正 (1)資産の譲渡等の時期の特例の見直 し 4月1日 (2)適用対象となる会社分割の範囲の見直 し 2001年 (平成13年) 消費税法の改正 (1)仕入れに係わる消費税額の控除
3月1日 (2)特例申告制度の創設
2001年 (4月平成1日13年) 消費税法の改正 (((3)12))合併があった場合の納税義務の免除の特例の見直 し分割等があった場合の納税義務の免除の特例の見直 し合併があった場合の中間申告の見直 し
(出所)筆者作成
提 出 した売上税法案 はともに中小事業者の強い反 対 によってその導入がで きず にあった。 そのため 竹下内閣では、中小事業者 の諸要求 を徹底 的に調 べ させ、諸要求 を部分的に組み入れた。 その諸要 求 の中の1つ が帳簿方式 だったのである。
2‑2 消費税 の沿革
消 費税 の沿革 は表2‑3の通 りで あ る。 ここで消 費税法の大 きな変遠で あり、重要 と思われ る改正 を詳 しくみ て い くこ とにす る。消 費税 は創生 期 で ある1988年 (昭和63年)12月30日に施 行 され、
日本 で初 めての一般 間接税 と して1989年 (平成
元 年)4月1日に適 用 され た。 この消 費税 の導 入 には、すでに行 き詰 まっていた財政再建 に必要 な 新 しい財源の確保のため、直間比率 の見直 しが必 要 になったことや、少子高齢化社会 の備 えと して 幅広 い世代 か ら公平 に税負担 を求 めよ うとす る背 景 があった。 この よ うな流れで消 費税法 は施行 に なった ものの、消 費税 に対す る反対論 は、消 費税 導入後 も根強 くあ り、 さらに多 くの不備や問題点 も抱 えていた。 それ は (1)運用益 の発生 や非課 税の範囲、 (2)簡易課税 や限界控 除の適用上限が 高 い点、みな し仕入率 が実態 とかけ離れてい る点、
(3)簡易課税制度の適用により消 費者か ら預かっ
日本における消費税の課題と提言 63
表2‑4 1991年度 (平成3年)改正内容 1991年度 (平成3年)改正
改正前 改正後
①非課税取引は原則 として設けないo (∋非課税範囲が拡大するo
②性格上課税対象 とす ることになじみにくい もの ①住宅の貸付、入学金等、教科書図書、除算に係わ (土地の譲渡および貸付、利子、保険料)と社会政策 る役務の提供、埋葬料 と火葬料、身体障害者用物
的配慮に基づ くもの(健康保険等に基づいて行わ れる医療の給付、保険所または助産施設の事業、学
校の授業料と入学検定料)の一部に限定するO 品、第二種社会福祉事業を新たに追加するo
①簡易課税適用上限は5億円 (∋簡易課税適用上限を4億円に
②限界控除適用上限は6千万円 ②限界控除適用上限を5千万円に
③みなし仕入率は2区分 ③みなし仕入率を90%、80%、70%、60%の4区分に
(I'l̲JJ所)筆者作成
た税金 が事業者 の手元 に滞留 して しま う点6、 な どであった。
そ こで政府 は見直 し作業 を行 い、1991年 (辛 成3年)4月に開かれ た両 院合 同協議会 で意見 が 一 致 した もの を1991年 (平 成3年度) 改正 と し て議員立法で実現 し、同年10月1日に施行 され た。
これが消 費税 における第1の転換期である。 ここ の改正の主 な内容 は表2‑4に表 され るとお り、 (1) 消費税導入当初の非課税 は性格上課税対象 とす る
ことにな じみに くい もののほか、社会政策的配慮 に基づ くもの一部に限定 されていたが、改正 によ り住宅 の貸付 等、大幅 に拡大 され た非課税範 囲 の拡大 で ある。 (2)簡 易課税 や限界控 除の適 用 上 限 が高 い点、み な し仕入率 が実態 とかけ離 れ てい る点につ いては、簡易課税適用上限 を5億 円 か ら4億 円に、限界控 除適用上限 を6千万 円か ら5 千万 円に、みな し仕入率 を2区分か ら90%、80%、 70%、60%の4区分になった。 申告納付回数 は年 2回か ら年4回 に増加 され たO この改正 によ り当 初の問題点はある程度解消 されたが、依然 として 運用益の発生や益税、食料品の非課税化 といった 問題は残 っていた。バ ランスの とれた税体系の構 築、高齢化に伴 う国民負担の増加、財政体質の改 善 といった視点か ら税率の引 き上げや中小事業者 に対す る特例措置の見直 しなど消費課税の比重 を 高めてい く必要があった。
その後、1994年 (平成6年)11月25日に 「所得 税 法及 び消 費税法 の一部 を改正 す る法律」、「地 方税法 の一 部 を改正 す る法律」 等 の税制改革 法 が成立 し、同年12月2日に交付 され た。 これが消 費税 における第2の転換期で ある。表2‑5に表 され るよ うに、 この税制改革 の 目的は
、( Ⅰ
)活力 あ る福祉社会の実現 を目指す視点にたって、中堅所 得者層 を中心 とした税負担の重圧感 を緩和す るた め、所得税や個人住民税 の税率構造の累進緩和等 による負担軽減 を行 う、 (Ⅱ)歳 出面 の諸措置 を 安定的に維持す るために社会 の構成員が広 く負担 を分かち合 えるよ う、消 費税 について、中小事業 者 に対す る特例措置等 を改革 し、税率 を引 き上 げ ることによ り消 費課税 の充実 を図 る、 (Ⅲ)地方 分権の推進や地域福祉の充実等の観点か ら地方財 源の充実 を図 るために、消 費譲与税 に代 えて地方 消費税 を創設すること、 を目的 として進め られた。消 費税改正部分は1997年 (平成9年)4月1日か ら の実施 とされた。 この改正 の主 な内容 は (1)潤 費税率 を3%か ら5%に引 き上 げ (うち地方消 費 税 が1%相 当)、(2)資本金1千万 円以上の新設法 人 につ いては設立 当初の2年 間 は免税事業者 にな れ ない規 定 の新設、 (3)中小事 業者 に対 す る特 例措置の見直 しと して、簡易課税適用上限 を4億 円か ら2億 円に、限界控 除適用上 限 は廃止 に、み な し仕入率 を4区分か ら90%、80%、70%、60%、
表2‑5 1997年度 (平成9年)改正 内容 1997年度 (平成9年)改正
改正の目的
(Ⅰ)活力ある福祉社会の実現 を目指す視点にたって、中堅所得者層 を中心 とした税負担の重圧感 を緩和す るため、所得税や個人住民税の税率構造の累進緩和等による負担軽減 を行 う
(Ⅱ)歳出面の諸措置 を安定的に維持す るために社会の構成員が広 く負担 を分かち合 えるよ う、消費税 につ いて、中小事業者に対す る特例措置等を改革 し、税率 を引 き上げることにより消費課税の充実 を図る (Ⅲ)地方分権の推進や地域福祉の充実等の観点か ら地方財源の充実 を図 るために、消費譲与税 に代 えて地
方消費税 を創設すること
改正前 改正後
消費税率3% 消費税率(国税分4%5%、地方消費税分へ引上げ 1%の合計)
資本金1千万円以上の新設法人については設立当初の 2年間は免税事業者になれない規定の新設
① 簡易課税適用上限は4億 円 ①簡易課税適用上限を2億 円に (む限界控除適用上限は5千万円 ②限界控除適用上限は廃止 に
③みな し仕入率は4区分 (彰みな し仕入率 を5区分に 90%、80%、70%、60%、50%の
仕入税額控除制度 は帳簿式 仕入税額控除制度請求書等保存方式へ
(出所)筆者作成。
表2‑6 20032003年度 (年度 (平成平成1515年)改正 内容年)改正
改正の 目的
「消 琴税 は、世代間の公平 の確保、経済社会 の活力の発揮、安定的な歳入構造の確保の観点か ら、今後、
その役割 を高めていか ざるを得ないoそのためには、消費税 に対する特例措置について抜本的な改正 を行 う また、消費税の便宜のため、価格の総額表示が促進 されるよう配慮 してい く必要がある
o 」
平成15年度の税制改正に関する答 申より
改正前 改正後
(∋免税点は3千万円 ①免税点 を1千万円に
①簡易課税適用上限は2億 円 (む簡易課税適用上限は5千万 円に
申告納付回数は年4回 申告納付回数は年(確定申告+中間申告12回へ11回)
(('h所)筆者作成
50%の5区分 に、 (4)仕入税額控 除制度 を帳簿式 成15年度) の改正 は、 「消 費税 は、世代 間 の公平 か ら請求書等保存方式 に見直 し、 (5)申告納付 回 の確保、経済社会 の活力の発揮、安定 的 な歳入構 数 は年4回の ままで あ るが中間 申告 の基 準年税 額 造の確 保の観点か ら、今後 、 その役割 を高 めてい を引下 げ とい った もので あった。 か ざるを得 ない。 そのためには、消 費税 に対 す る 消 費税 にお け る第3の転換期 とな る2003年 (平 特例措置 につ いて抜本 的 な改正 を行 う。 また、消
日本における消費税の課題 と提言 65
費税 の便 宜 の た め、価 格 の総額表示 が促 進 され る よ う配 慮 して い く必要 が あ る。」 と2003年 度 (辛 成15年 度 ) の 税 制 改 正 に 関 す る答 申 が 明 記 して い る とお り、 い わ ゆ る 「益税 」 な ど消 費税 の問題 と され て きた もの の是正 を図 るためで あ った。 そ の改 正 内容 は、 (1) 免税 点 を3千 万 円 か ら1千万 に、
簡 易 課 税 適 用 上 限 を2億 円 か ら5千 万 円 に それ ぞ れ 引下 げ、 (2)申告 納 付 回数 を年4回 か ら年12回 (確 定 申告 + 中 間 申告11回) に増 加 、 (3) 総額 表
示 (税 込 み の価 格表 示 ) の義 務 付 けで あ った。
3‑1 欧州 の付 加 価 値税
20世 紀 の 後 半 に お い て 世 界 で 最 も劇 的 な税 制 の変 化 の1つ は、取 引 高 税 その 他 国 レベ ル の 累積 的 な消 費 課 税 が 付 加 価 値 税 (ⅥllueAddedTax)
へ と転換 され て きた こ とで あ る。 これ は、 フ ラ ン ス が1954年 に付 加 価 値 税 を採 用 した こ と に端 を 発 して い る。 欧 州 経 済 共 同 体 (
EEC)
7を設 立 す表3‑1 日本 と欧州 主 要 国 の付加価 値 税 の概 要
日本 フランス ドイツ イギリス デンマーク スウェーデン ノ)レエー 施行 1989 1968 1968 1973 1967 1969 1970 納税義務者 資産 の譲渡 有 償によ り 営業又 は営 事業活動 と 事業 と して 利益 を得 る 事業 と して
等 を行 う事 財貨 の引渡 業活動 を独 して財貨又 財 貨 又 は ために経済 財貨 の引渡 業者及び輸 し又 はサー 立 して行 う はサー ビス サー ビスの 活動 を独立 し及びサー 入者 ビスの提供 者及び輸 入 の供給 を行 供給 を独立 して行 う者 ビスの提供
を独立 して 行 う者及び
輸入者 者 義務 の ある者及び輸入者う者 で登録 及び輸入者 及び輸入者 を行 う者及して行 う者 び輸入者 非課税 土地の譲渡 土地の譲渡 土地の譲 渡 土地 の譲渡 医療 医療 医療
賃貸 (建 築 用 地 賃貸 賃貸 教育 教 育 教育 住宅 の賃貸 を除 くo た 建物の譲渡 建物 の譲渡 金融 金融 金融
金融 だ し、個人 金融 賃貸 保 険 保 険 保 険
保 険 取得の住宅 保 険 金融 不動産譲渡 不動産取引 不動産 の讃
医療 建築用地 は 医療 保 険 郵便 不動産賃貸 演
教育 非課税) 教育 医療 旅客輸 送 等 貸付
揺祉等 保 険郵便等譲渡教育貸付者の譲渡 を除 く)住宅の賃貸金融医療中古建物 の(不 動 産 業 郵便等 揺祉等教育 旅行代理業務等 宿泊旅 行 サー ビス等
税
率% 標準税率 消 費税ゼロ税率 方消費税×4(1地) 19.×6 1×6 1○7.5 25○ 25○ 2○4
(山所)税制調査会 [2004]9頁より抜粋
る条 約99条 の下 で、1967年 に定 め られ た第1次 理 事 会 指 令 (67/227/EEC)1粂 及 び第2次 理 事会 指 令 (67/228/EEC)1条 が、 取 引 高 税 か ら付 加 価 値 税 へ の転 換 をEC加 盟 国 に要 求 しその浸 透 を促 した8。 その ため、蓑3‑1か ら明 らか な とお り、EC 加盟 国 は もち ろん、 その周 辺 国 の北 欧 ヨーロ ッパ 諸 国9の付 加 価値 税 制度 の施 行 年 は1970年 前後 と な って い る。2007年 現 在、 標 準 課 税 に お い て世 界 で もっ と も高 い税 率 を課 して い るの は、 デ ン マ ー ク とス ウ ェーデ ンで あ る. その税 率 は250/oと な ってい るO ここで は、 デ ンマ ーク とス ウェーデ ンの2ヵ国 に焦 点 をあてて、 その付加 価値税 の系 譜 をおい、概要 をみ て い くこ とにす る。
3‑2 デ ンマー クの付加価値 税
表3‑3を参 照 しなが らデ ンマ ー クの 付 加 価値 税
度 の概 要 を述 べ る。 デ ンマ ー ク は1967年 に それ まで存在 した取 引高税 や サ ー ビス に対 す る特別税 を廃止 す る代 わ りに、10%の付 加 価 値 税 を導 入 し た。 その後、1970年 か ら1980年 代 に か けてEC加 盟 諸 国 で は、1977年 のEU第 六 次 指 令 に基 づ いて 付加価値税 率 が徐 々に引上 げ られ 、最 終 的 に25%
となった。その導入 の 目的 は、福 祉 国家 建設 に伴 っ て拡大 す る公約部 門 の財政 基盤 と して、 よ り広 く、
かつ安定 した課税 ベ ース を確立 す る こ とで あった。
付加価値税 は極 めて効率 的 な税 財源 で あ り、政党 において も税 率 は引 き下 げない とい う方 針 で合 意 して い る。 また、 法 人 税 に お い て も28%と既 に 相 当低 い水準 にな ってお り、商工会 議所 で は個 人 所得課税 の実効税 率 の引下 げが 目下 の課題 と して い る。
デ ンマ ークの付加価値 税 において特筆 すべ きは、
表3‑2 日本 とヨー ロ ッパ諸 国の付加価値 税 の しくみ
項 目 日本 ヨ‑ロツパ諸国 参考
税額算定方法 前段階税額控除法 前段階税額控除法
提示証拠書類 帳簿方式 インボイス方式
税率 5%の単一課税 標準課税 EUの標 準 税 率 は、最 高 ス ウ 軽減税率 エ ー デ ン、デ ンマ ‑ ク、ハ ン ゼ ロ税率 ガ リーの25%、アイス ラン ド イギ リス とアイル ラン ドはゼ の24.5%、フ ィンラン ド、チエ
ロ税率 を適用o 最低がル クセ ンブル クギ ー、ア イル ラ ン ドース トリア、イタ リア、スロベニ アのイギ リスコ、ポ ー ラ ン ドの20%17.、プラシス5%、ドイツ22%2119.15%、ベル1%、オ6%6%、、
事業者 免税制度 適用上限売上高 3000万 円 前暦年売上高当月直前フランスイギ リスドイツ19713211年間の売上高023万円万円万 円
簡易課税制度 適用上限売上高 5000万 円 適用上限は ドイツ前暦年の年課 税 売 上 高同期間の総売上高は、適 用 申請 時か ら間売上高フランスな し7301万 円860万 円、 か つ2325イギ リス1年 間の万 円
(出所)大関知輔 [2005]57頁を加筆修 11三し筆者作成
日本における消費税の課題と提言 67
表3‑3 デ ンマークの付カロ価値税制度概要 1967年 取引高税やサービスに対する特別税 を廃止
10%の付加価値税 を導入
導入の目的
福祉国家建設に伴って拡大する公約部門の財政基盤 として、より広 く、かつ安定 した課税 ベースを確立すること
1977年 EC加盟諸国では、1977年のEC第六次指令に基づいて付加価値税率が徐々に引上げられた 標準税率25%
軽減税率なし
①歳入に与えるマイナスの影響
①徴収の効率化の観点から単一税率が望ましい
③標準税率 と軽減税率との間で適用品目を峻別する現実上の困難
(出所)旬 刊凶税解説速報編集 部 [2004]8‑11頁 を基 に筆者作成
軽減税率 を採用 していないとい うことがあげ られ る。表3‑1か ら明 らかで ある通 り、欧州諸 国にお いて樫減税率 を採用 していないのはデ ンマークの みである。 これは①歳入 に与 えるマイナスの影響 と、(参徴収の効率化の観点か ら単一税率が望 ま し い、(彰標準税率 と軽減税率 との間で適用品 目を峻 別す る現実上の困難、④税の歪み】0を抑制 したい、
等の理由による。 また、様 々な利害団体が存在す るなか、 どの品 目を軽減税率の対象 とす るかは政 治的に も、徴収の現場において も困難であるとい う税務省等の見解 もある。ただ し、例外的に新聞 に対 してのみゼロ税率が適用 されている。 これは
「デ ンマ‑ク語の保護」 とい う理 由と、政治的な 理由によるものである.一方で、雑誌等は標準課 税が適用 され るため、この点において 「税の歪み」
が生 じているほか、新聞にゼロ税率 を適用す るた めの税務執行 コス トが多大 にかかる点が問題 とさ れてい るOス ウェーデ ン等の隣国 と競争関係にあ るホテル業界や レス トラン業界か らは、軽減税率 適用の要望が強 く、商工会議所 としては支持する 構 えであるが、具体的な意見の集約には至 ってい ない。 なお、健康食品に限って軽減税率 を導入 し てはどうか とい う議論が沸 き起 こっている。それ は、国民の健康増進によ り医療関係支出削減効果 があ り、減収効果 と見合 うのでは、 とい う考 え方 に起因 しているためであ り、福祉国家 と呼ばれ る 由縁 を象徴 している。
デ ンマークは付加価値税制度の導入当時か らイ ンボイス制度 を採用 している。仕入れ税額控除 を 適正 に執行す るため、 また、EU27カ国間の財 と サービスの流通円滑化のためのインフラとして も 重要 で あ る。2005年 か らイ ンボ イス制度 の電子 化が導入 された。電子化 は、国境 を越 えた付加価 値税取引に対 して も有効 とな り、 また、付加価値 税 を回避す る不正取引に対す る対策 として も有効 なもの となった。デ ンマーク政府が過去 より電子 化の システ ム構築 に取 り組み、現在 ではEU共通 で進め られている。 それ は同制度 が しっか りと浸 透 していることを意味 し、実際インボイス制度 に 対す る業者の抵抗感 はない。
3‑2 ノル ウェーの付加価値税
つ ぎに表3‑4を参照 しなが ら、 ノル ウェーの付 加価値税制度 の概要 を述 べ る。 ノル ウェーでは 1970年 にそれ まで存在 した多段 階課税 で あ る取 引高税や一般消費税 に置 き換 わる形で、標準課税 20%の付加価値税 を導入 した。当時、同国はEC加 盟 を検討 してお り、税制調和 とい う観点 も導入の 背景 が あった。 その後、1970年 か ら1980年代 に かけてEC加盟諸国では、1977年 のEC第六次指令 に基づ いて付加 価値 税率 が徐 々に引上 げ られ た が、EC諸 国に加盟 して いない同国 は指令 に従 う 義務 が なか ったため、20%の単一税率 は1990年 代始め まで維持 された。 ただ し、課税ベースは非
表3‑4 ノル ウェーの付加価値税制度概要
1970年 多段階課税である取引高税や一般消費税に置 き換わる形で、標準課税20%の付加価値税 を導入
1977年 EC加盟諸国では、1977年のEC第六次指令に基づいて付加価値税率が徐 々に引上 げられた
1990年 ノルウェーは20%の単一税率
1993年 税率は2%引上げ られ、22%となる
2001年 付加価値税改革
①課税ベースの拡大 を主眼
②低所得者層への課税負担の緩和の観点か ら食料品に対す る軽減税率 を導入 (12%)
③歳入中立化の観点か ら標準課税 を24%に引上 げる
2004年 付加価値税改正では旅客郵送や公共放送が新たに課税対象 となる (出所)旬刊国税解説速報編集部 [2004]8‑11貢を基に筆者作成
常 に狭 く、物 品には総 じて課税 され るものの、一 般 的にサ ー ビスは非課税 とされ、税 当局には課税 ベ ‑ スの 拡大 が長 年 の課 題 と され て きた.1993
年 に は税 率 は2%引上 げ られ たが、 これ は減収 と な る所得税改革 とパ ッケージの措置で あるoつ い で2001年 の付 加 価値 税 改 革 で は、(D課 税 ベ ース の拡大 を主 眼 と しつつ 、(9低所得者層への課税負 担の緩和 の観 点か ら食 料品 に対す る軽減税率 を導 入、 さ らに③歳 入 中立 化 の観 点 か ら標準 課 税 を
24%に引上 げ るとい う3点 が政治 的合 意 で実施 さ れ た。 そ して2004年 改 正 で は、旅 客 郵 送 や公共 放送 が新 たに課税 ベ ースに加 え られ たが、軽減税 率 の導入 となった。 しか し税 当局 と しては、仮 に 軽 減税率 ではあって も付加価値税 の対象品 目を拡 大 し、非課税品 目を減 ら してい くことが重要 と考 えて い る。 同国の産業連盟 は、現在の標準税率 に つ いて適正 な水準 と考 えてい るが、む しろ社会保 障税負担 が重 く、 その軽 減 を主 張 してい る。
続 いて軽減税率 につ いては、 その対象 を具体 的 に定 め る上 で問題 が多 く、税務局 および事業者 に とって大 きな執行 コス トを伴 う。特 に食料品の う ち何 を軽 減税率の対象 にす るか につ いて、執行 コ ス トを重視 す る観点 か らで きる限 り単純 に した方 が良い と したO そ こで同国では スウェーデ ンの事 例 を参考 に して一部 の例 外 を除いて、原則 と して
「すべ ての食料 品」 を対 象 にす ることと した。 そ の例外 品 目は政府の規 定 で定 め られてお り、医薬
品、水道水、たば こ、酒 には標準税率 が適 用 され る。
イ ンボ イス制度 につ いて、加盟 国 で は ない が、
基 本 的 にEUで定 め られ た制度 に準拠 して い る。
イ ンボ イスの保 存期 間 は10年 で、電 子 化 は現 在 議論 がな され てい る。
これ まで ヨ‑ロ ッパ諸国の制度 を概観 して きた。
このデ ンマ ークとノル ウェーの事例 か ら、 また表
3‑1と表3‑2でみ た北 欧、 ヨー ロ ッパ 諸 国の特 徴 を まとめ ると、高水準 の付加価値 税率 で低 所得者 の 税負担 は重 いが、 この付加価値税率 を財源 に社会 保障給付 を低所得層 に手厚 く行 ってい る。 日本 と ヨーロ ッパ諸国 との税制 を比較 す る際 に一番注 目 され るのは、標準税率 の差 で あろ う。 しか し、標 準税率 の差 は さほ ど問題 ではない。 なぜ な らいず れ 日本 も
「 2
桁税 率」 にな り、 ヨー ロ ッパ 諸 国並 にな ると筆者 は考 えるか らで ある。 冒頭 で も述べ た通 り、日本 は現在、社会保 障費財源 を 目的に「 2
桁税率」 の議論 が活 発 にな されてい る。 日本 も軽 減税率 や ゼ ロ課税 な どは、 ヨーロ ッパ諸 国 をお手 本 にその税率 に見合 った制度 も構築 され るで あろ う。で は今何 を一番 問題 とす るべ きか。 その問題 点 を次章 で検討す る。
日本における消費税の課題と提言 69
4 日本の消費税の問題点 4‑1 益税の問題
ヨーロ ッパ諸 国 と比較 した際の 日本 における 消 費税 の問題点 は、2つ あげ られ る。1つ 目は益 税 の問題 と、2つ 目は逆進的税負担の問題である。
これ らが解決 されない限 り、国民の強い反発は免 れ ないであろう。 まず1つ 目の益税の問題 か ら検 討 していきたい。
日本で1987年 に採用 した消 費税の算定方法は、
ヨーロッパ諸国の付加価値税 と同様 に、仕入れ税 額控 除方式 で あ る。 それ に もかかわ らず 日本 は ヨーロッパ諸国 と異 な り、仕入れ税額控除のため の提示証拠書類は、帳簿方式 を採用 しているO こ の帳簿方式が益税 を生む元凶であると筆者 は思 う。
つ まり、 ここに 日本の消費税 における大 きな問題 点 がある。図4‑1の とお り、 ヨーロ ッパ諸国が採 用す るインボイス方式であれば、課税事業者 は税 額計算の際、付加価値税額 を記入 した請求書が必 要 となる。課税事業者が免税事業者か ら仕入れ を 行 えば、インボイスが発行 されないため、仕入れ 控除はで きないことになる。 よって、 この場合 に おける課税事業者の納付すべ き税額 は控除 されな い分、高額になっている。 しか し、帳簿方式のケ‑
スではインボイスを使 わないため、事業者 は仕入 れの際、取引の相手方 が課税事業者か免税事業者 か を判別 す るこ とが困難 で ある。 この ため、 そ
の取引相手が課税事業者か免税事業者 かを問わな いことになる。す ると非課税取引分 を除いて、す べての仕入れが税額 を含んでいるもの とみな して、
売上税額か ら仕入税額 を控除す ることが可能 とな る。 これがいわゆ る益税 とい うものである。
そ して注意すべ きことは、 ここには消費税の基 本論理 か ら逸脱 した2つの問題点があることで あ る】2。1つ は 目、 累積課税 を除去 す るために仕入 れ税額 を控除す るとい う本質的な論理か ら逸脱 し、
除去すべ き累積課税 がないのに仕入れ税額控除を 行い、課税事業者の納付すべ き金額 を削減す ると い うことで ある。2つ 目は、消 費税 は消 費者 が課 税事業者か ら税込価格で買入れた消 費税額 を負担 し、課税事業者 はその消費税額 を納付す るとい う 付加価値税の基本論理か ら逸脱 し、課税事業者が 上記の納付すべ き額の削減 した部分 を留保で きる ことである。 この益税の一連の悪循環 を規定す る と、益税 とは課税事業者 が本来の納付すべ き税額 よりも納付額 を軽減す る結果 として、消費者の負 担で事業者 が受 け取 った消費税額の一部 を課税事 業者 自身が留保す る税額 とい うことにな る‑3。益 税 が発生す る原因 として、上記の例 は課税事業者
が免税事業者か ら仕入 る場合 に生 じる益税である。
これ以外に も免税事業者制度か ら生 じる益税、簡 易課税制度か ら生 じる益税、課税売上割合か ら生
じる益税 などがある。
まず、免税事業者制度か ら生 じる益税 とは、 ど
図4‑1 インボイス方式 と帳簿方式の違 い 北 欧 ヨー ロ ッパ 諸 国
(イ ンボ イ ス方 式 )
千 ‑
〒
(出所)筆者作成
日本 (帳 簿 方 式 )
の ようなものか。免税事業者 とは、基準期間にお け る課税売上高1万 円以下の小規模事業者 とされ、
これ らの事業者 は消 費税 の免除が うけ られ る14。
免税事業者 であって も、非課税取引以外の資産の 譲渡、貸付、役務の提供については、消費税 を預 かることがで きる。 この預かった消費税か ら、 自 己の行った仕入れに係わる消費税 を差 し引 くわけ であるが、 ここに益税の発生す る原因がある。つ
まり、免税事業者 は消費税の納税義務がないため、
課税売上に対 して預かった消費税 か ら、仕入に対 して支払った消費税の差額が益税 とな り、免税事 業者の利益 となるのである。
つ ぎに、簡易課税制度か ら生 じる益税 とは、 ど のような ものか。簡易課税制度 とは、基準期間に おける課税売上高 が5千万 円以下 の中小規模の事 業者 は、課税売上 に係わる消 費税額 が、実際の仕 入れの金額ではな く、課税売上高 にみな し仕入率
15を乗 じた金額 を課税仕入れの額 とみな して、仕 入れ税額控 除 をす ることがで きる制度 である]6。
この制度 は、実際の課税仕入れの額 よりもみな し の仕入れ額 が多 くなる場合 には、実際の仕入れの 額 による場合 より控 除す る税額が多 くな り、それ だけ預かった消 費税の一部が事業者の手元に残 る ことになるため、 これが益税 となる。
消費税導入時において、中曽根 内閣が掲げたイ ンボイス方式 か ら帳簿方式 に変更 された点につ い て は、 冒頭 で述 べ た。 しか し、消 費税 導入 か ら 19年 もの間、一貫 して帳簿方式 が採用 され てい るのは、 なぜ なのか。 その理 由は2つ考 えられ る。
1つ は、 日本 には小規模事業者 が多 く、6‑7割の 免税事業者 が存在す る17。 そのため、免税事業者 の販路が失 われ ることがないよう免税事業者の保 護 目的のため とい うことが考 え られ る。2つ めは、
インボイス方式 にす ることによる小規模事業者の 事務負担増 と徴税側のコス ト増 を懸念 したため と 考 えられ る。 これ らの益税 は、税率が上 がれば上 がるほどその額 も増 える。有識 ある国民の間に広 が る、 この益税 に対す る強い批判 が、消費増税 に 対す る強い反発に繋がっていることに政府関係者 は もっと目を向けるべ きである。
4‑2 逆進性税負担の問題
2つ 目の逆進性税 負担の問題 につ いて検討 して い く。 まず逆進性税負担の問題 とは、低所得者層 ほど所得に占める税負担が重 く、高所得者層には 軽 くなるとい う問題である。 この問題 は、消費税 導入時か ら存在 していた。 それ を裏付 け る もの と して、1980年代 後半 か らの所得税 の減税 に よ り、高所得者の所得税の負担が低 かったことであ る。法人税の税率 も、消費税導入 とともに大 きく 引 き下 げ られ た とい う事実 もある18。3%税率の 消費税の導入時に法人税率 を引 き下 げ、消費税率 5%へ引 き上 げた翌年 の1998年 も法人税率 を引 き 下 げた。つ まり、法人税 を減税 し、その穴埋め材 料 として代わ りに消 費税 を増税 したとい うことで ある。 これ ら過去の実情 もふ まえてか、税制調査 会 が2003年 (平成15年)6月に出 した 「少子高齢 社会 におけ る税制の あ り方」 の中で、「逆進性 の 問題 については、消費税 とい う‑税 目を取 り上げ て議論すべ きものではなく、税制全体、 さらには 社会保障制度等の歳出面 を含めた財政全体で判断 してい くことが必要」 と示 している。つ まり逆進 性の問題 を解決す るには少な くとも、消費税だけ でな く所得税や法人税の税体系 について も考慮す る必要 があるとい える。 しか し、消費税 に焦点 を あてて、逆進性税負担 に関す る特徴 を考察す るな らば、 日本の政府 は消費税の創設時か ら主 に中小 零細企業 に対 しての配慮 を重点的におこなってき た といえる。一方 で、低所得者の消費者 に対 して の逆進性税負担の対策 をうってこなかった。 これ が 日本 における消 費税の2つ 目の問題 といえる。
これ まで ヨーロ ッパ諸国は食料品等の生活必需 品に対す る軽減税率や複数税率、ゼロ税率 を採用 していることを明 らかに した。 ヨーロッパ諸国以 外の国で も、 この逆進性税負担の対策 を行ってい る国が あ る。 例 えば、 カナ ダの付加価値 税 の逆 進性税負担の対策 は、表4‑2か らわか る通 り、第 1に所得 が一定以下 の低所得者 には税額控除があ るO第2に価格の一定額以下の新築住宅 にかか る 付加 価値税額 の一定割合 が還付 され る。第3に病
日本における消費税の課題と提言 71
表4‑2 カナダの逆進性 への対策 カナダの逆進的税対策 第1 所得が一定以下の低所得者への税額控除
第2 価格の一定額以下の新築住宅にかかる付加価値税額に対 しては、一定割合を還付
第3 病院や学校 などの公共サービスに付加価値税は免除 されているがその仕入高が課税 され るため、
この仕入れにかかる税額の一部が還付
第4 外国か らの旅行者が1ケ月以下の滞在期間中にホテルなどに支払った宿泊費や一定額 を超 えた財
(出所)知念裕 [1995]を去引二筆者作成
院や学校 などの公共 サー ビスに付加価値税 は免除 されてい るが、その仕入高が課税 され るため、 こ の仕入れ にかか る税額 の一部 が還付 され る。第4 に外国か らの旅行者 が1ヶ月以下 の滞在期間中に ホテル などに支払 った宿泊費や一定額 を超 えた財 購入費にかか る付加価値税 はすべて還付 され るこ とになってい る】9。一般 的にい える事 だが、消 費 行為 を行 う消 費者 の大部分 は低 中所得者層 が占め
る。 そ うなると、予想 され るのは消費抑制であ り、
消費抑止 に ともな う不景気 とい う経済への悪影響 が懸念 され る。 よって逆進性 につ いては、 この問 題解決無 くして2桁税率 は不可能であるといえる。
ヨーロッパ諸国 と比較 した際の 日本 における消
費税 の問題点 を益税の問題 と、逆進性税負担 の問 題 の2つ を指摘 した。 これ ら2つ の問題 は、消 費 税率2桁 台への引 き上 げに際 して、消 費者 の強 い 反対 とい う大 きな障壁 につ なが るか らである。消 費増税 は、 日本の少子高齢化社会 に向けた安定的 財源の確保 とい う大義名分がある。 しか し、税 を 負担す る消 費者側 には様 々な納得で きない現行の 税制度 へ の疑念や政府 に対す る不信 が あ るため、
筆者 は現段階での実現 は難 しいのではないか との 見解 に至 っている。
4‑3 問題解決のプ ロセス
では、 どの よ うなプロセスを辿れば、消 費者 で
図4‑1増税 に至 る理想的 プロセス
問 題 の 規 模 (出所)筆者作成
ある国民の広い理解が得 られ、スムーズに消費増 税 を実現 で きるのか。 図4‑1は、 これ まで論 じて きた問題点に解決すべ き優先順位 をつ け、増税 に 至 る理想的なプロセスを図式化 した ものである。
矢印の縦軸は消費者のその問題 に対す る直接的な 関連度合 いを表 している。矢印の横軸はその問題 の規模 をさし、円の大 きさがそれに対応 している。
図4‑1で重要 なことは、①益税 問題 よ り受)逆進性 税負担の問題の方 が消費者関連度 は高いが、問題 の規模でい うと⑦逆進性税負担の問題 よりも①益 税 問題の方が現行制度 に対 して改善すべ き事項が 大 きい とい うことである。
よって増税 を実現す るためには、 まず①益税問 題 を解決 し、消費税 が引 き上げ られ ることによっ て得 をす る事業者 に対す る消費者の不満や反発 を 解消 しなければな らない 。つ ぎに逆進性税負担の 問題 を解決 し、低 中所得者層である消費者の不安 や不信 を解消 しなければな らない。 このように し て消 費税 に係 わ る周辺問題 を一つひ とつ解決 し、
国民の理解 を得 ることがで きて、は じめて核心 と なる消費税引 き上 げに対す る具体的な議論ができ るとい うものである。
最後 に、 これ ら問題 を解決す るため、筆者が考 える具体的な策 を提言 したい。 まず、①益税問題 であるが、仕入れ税額控除のための提示証拠書類 を現在の帳簿方式か ら、 ヨーロ ッパ諸国同様にイ ンボイス方式 に変更すべ きである。 インボイス方 式 にすれば、課税事業者 が免税事業者か ら仕入れ を行 う際に発生す る益税 は解消 され るであろう。
免税事業者制度 と簡易課税制度か ら生 じる益税問 題 は、業種 ごとに免税点やみな し仕入れ率の見直 しを早急 に行 う抜本的な改正が必要である。つ ぎ に、逆進性税負担の問題 は、 インボイス方式に変 更 した うえで、軽減税率 を導入 し、低 中所得者層 に対す る社会保障 を手厚 く行 うべ きである。北欧 ヨーロッパ諸国の付加価値税 は、税負担能力の弱 い低所得者層に も高い税率 を負担 させている。 し か し、その代わ りに社会保険の充実や、所得課税 と付加価値税収入等で、児童手当、住宅手当、失 業関係等の給付 を手厚 く行い、生活保障 を確実 に
し、付加価値税の逆進性 を実質的にな くしている。
このモデル を日本 は大 いに参考に し、学ぶべ きで ある。
5
おわりに本稿では、主 と して、 日本の現行の消費税 に対 して北 欧 ヨーロ ッパ 諸 国 と比較 し、 その比較 に よって得 られた問題点 を中心にその理想 的な解決 プ ロセスにつ いて提言 して きた。 この解決 プロ セスは、主 に消 費者 の観 点 か ら考察 した。 しか し、消費税の問題 は消 費者の感情や事情 だけでな く、本来の納税義務者である事業者 に対 して も考 慮 しなければな らない。消費税法には課税の対象 は、国内において事業者 が行った資産の譲渡 など に、消 費税 を課す る20と してい る。 そ して、事業 者 は、国内において行 った課税資産の譲渡等につ き、 この法律 によ り消 費税 を納 める義務 がある21
と明確 に規定 している。つ まり、消費者 が消費税 の納税義務者ではないのであるo しか し、消 費税 は一切の負担者 が消 費者であるような建前 になっ ているため、事業者の負担については認識 され る ことが少 ない よ うに感 じられ る。実 際 には、 中 小規模 事業者 間 には過 当競争 があ り、消 費税 を 転嫁22で きず に中小規模事業者 自身 も負担 してい る。つ まり、消費税 の税率引 き上げは、中小規模 事業者 にとって も死活問題 となって くるのである
23。 こうした現状 をふ まえ、今後、ア ンケ ー トな どによって中小規模事業者の取引の実態調査 も行 い、現状 をしっか りと把握 し、消費者 と事業者の 双方 にとってよ り良い税制度 となるように検討 し ていかなければな らない。
日本の消費税制度 はその導入以来、度重 なる改 正 を繰 り返 して その改善 がな されて きた。2003 午 (平成15年) の改正 では、価格表示 について、
消 費税 を含めた総額表示 が義務付 け られた
2 4
。EUをは じめとして、諸外国では既 に消費者保護の観 点か ら最終消費者 に対 してはほとんど税込み表示 で あ り、事業者 間取 引 では税抜 き表示 が通例 と なっていた。一方、 日本では消費者 に対 して税抜
日本における消費税の課題と提言 73
き、税込みなど価格表示 はバ ラバ ラで、消費税 に 対す る透明性 が欠落 していた。 そのため 「総額表 示方式」 にす ることがこの税 に対する消費者の信 頼 を得 るために必要であるとの主 旨で、その実現 に向 けた議論 がな されていたが、 これ は2003年 (平成15年)の改正で実現 したのである25。
このように、北欧 ヨーロッパ諸国は税制度に関 して先進的であ り、参考にすべ き制度 を既 に実践 している。 日本 はこの北欧 ヨーロッパ諸国の税制 度 を参考に しなが ら深 く研究 し、まさに議論の中 心課題 となっている消費税引き上 げについて検討 され るべ きである。 日本の税制度 はまだ発展途上 であるので、今後の改正に期待 したい。 また、筆 者 として も、益税問題や、逆進性の問題について さらに具体的な解決策 を提示で きるよう今後 も継 続 して研究 を深めてい くことを決意 し、本稿の論
を閉 じることに したい。
注1234
朝 日新聞2007年10月18日付 朝 日新聞2007年11月15目付 裕渡辺秦 [2006]81頁
昭和1962年 に総理府に設置 された。現在 は、
租税制度 に関す る基本事項 を調査、審議す る 内閣府の付属期間である。税制調査会 には、
政府系 と自民党系がある。政府系の政府税制 調査会 は、内閣総理大臣の諮問に応 じて調査 審議 し、 その結果 を答申 した り、中長期的な 税制改正の方向性 を打ち出 した りす る機関で
ある。本稿 では、政府系 を指 している。
直間比率 とは、租税収入に占める直接税 と間 接税 との比率 をい う。直接税 とは所得税、法 人税、相続税、 などの よ うに、納税者 が同 時に税 を負担す る担税者になる税金の ことで ある。一方、間接税 とは、消費税、酒税、た ばこ税、 自動車重量税などのように、納税者 と担税者 が別の人である場合 を指す。 日本の 国税における直接税 と間接税の比率は、ほぼ 6:4である。 アメ リカでは9:1と直接税の比率
が高 く、歴史的に付加価値税 の導入が早 かっ た
EU
諸国 では、間接税の比率 が高 くな って いる。なお、直接税 より間接税の比率の高 い 方 が景気動向 を受 けずに税収面 で安定す ると い う見方 がある。一方で能力に応 じ租税 を負 担 し、主体的に権利 を行使 で きる直接税の比 率の高い方 が法理論的には正 しい とす る考 え 方 もある。6 これが益税の問題である。 この益税の問題点 については第4章で詳 しく検討す る。
7 欧州共 同体 は1957年 に ヨー ロ ッパ の国家連 合体 と して、経済統合 の 目的で設置 され た。
1993年には
、EU
(欧州連合) に発展 した。8 一高龍司 [2006]35‑36頁
9 北欧 ヨーロッパ諸国の定義 は、高い付加価値 税率 を設定 している北欧3ヵ国 (デ ンマーク、
スウェーデ ン、 ノル ウェー) とヨーロッパ主 要諸国 をさす こととする。
10 自国よりも税率の低 い他国での国境 を越 えた 取 引や、課税 回避 目的の闇仕事 の増加 等が、
デ ンマークにおいて税の歪み として問題 とさ れている。
‖ 税制調査会 が2004年8月29日か ら9月5日にか けて行 った欧州6ヶ国への海外調査結果 に基
2345
づ く。
大間知啓輔 [2005]44頁 大間知啓輔 [2005]44貢
消 費税法規通達集 消費税法 第9条,5‑6頁 みな し仕入れ率 とは,控除 され る課税仕入の 税額 を課税売上高に対す る税額の一定割合 を い う。
16 5つの事業 に区分 されてお り、第1種 は90%、
第2種 は80%、第3種 は70%、第4種 は60%、 第5種 は50%となっている0
17 消 費税 法規 通 達 集 消 費 税 法 第37条 1項, 27‑28頁及び消 費税法施行令 第56条,135頁 阿部徳辛 [2002]147頁
大間知啓輔 [2005]8‑10頁。
知念裕 「付加価値税の理論 と実際」税務経理 協会,[1995]162頁
21 消 費税 法規 通 達集 消 費税 法 第4条1項 消 費税法規 通達集 消 費税法 第5条1項
22 税 制 改革 法 の第11条 「事 業 者 は消 費税 に広 く薄 く負担 を求 め るとい う消 費税 の性格 にか んがみ、消 費税 を円滑 かつ適正 に転嫁す るも の とす る‑」 とあ り、消 費税 を 「転嫁す るも の とす る」 と規 定 してい る。 しか し、転嫁 は 法的 な強制力 をもたない ことか ら、経済的な 力関係 に よって左右 され る。つ ま り立場 の弱 い事業者 は消 費税 の転嫁 がで きるかで きない か、大 きな不安 がある。
大 間知啓輔 [2005]186頁
消 費税法規 通達集 消 費税法 第63条2項 日本 の 「総額表示 方式 」 におい て もEU諸 国 同様 、事業者 間取 引につ いては、 ただ し書 き で この限 りで ない と規 定 してい る。
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