• 検索結果がありません。

三ッ木道夫先生のご退職によせて

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "三ッ木道夫先生のご退職によせて"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

三ッ木道夫先生のご退職によせて

著者 ギルデンハルト ベティーナ

雑誌名 コミュニカーレ

号 8

ページ 101‑102

発行年 2019‑03

権利 同志社大学グローバル・コミュニケーション学会

URL http://doi.org/10.14988/pa.2019.0000000067

(2)

ご退職の先生を送る

(3)
(4)

101

三ッ木道夫先生のご退職によせて

ベティーナ・ギルデンハルト

三ッ木道夫先生のことを一言で表現しようと思えば、ドイツ語の「フィロ ローゲ(Philologe)」という言葉がぴったり当てはまる。この言葉の由来は、

ギリシャ語の「φιλόλογος(フィロロゴス)」であり、直訳すれば、「学問の友」

という意味である。ドイツでは、19 世紀から造詣が深く、ラテン語とギリシャ 語の古典に詳しく、文学全般を研究する学者をさすものとして定着してきた。

ラテン語と古典ギリシャ語をも習得され、ドイツ文学および言語思想史を専 門とされている三ッ木先生はまさにその精神を体現している方である。先生 は長年にわたって「翻訳」を中心に研究を重ねてこられた。多くの業績の中、

例えば 2008 年に出版された『思想としての翻訳―ゲーテからベンヤミン、

ブロッホまで』(白水社)では、ドイツ語圏の 19 世紀から 20 世紀にいたる までの文学や思想に関する論考を訳出されている。この力作は、まさしく

「フィロローゲ」にしかできないものである。本書は、詩人、思想家、学者 などの様々な文章をドイツ語の原文から邦訳したものであるが、原文に対し て忠実でありながら、それぞれの独特な文体から訳出された自然な日本語は、

三ッ木先生の文献に対する深い愛を如実に物語っている。近年、人文学に対 する関心が薄くなっていると言われているが、21 世紀の日本で生活しなが ら、19 世紀のドイツ文学・歴史・思想を「精神的なふるさと(geistige Heimat)」として持っている先生の姿を通じて、時間と空間を超越するとい う人文学の力と魅力を再確認することができる。私にとって印象的なのは、

19 世紀の文学などについて語る際の、先生の微笑みである。その笑みは研 究を通じて(先生はいつも謙遜して「お勉強」と仰っているが)、「精神的な ふるさと」を見つけた者の喜びにほかならない。

先生の文献に対する愛は、「教育」の面においても表れている。ドイツ語 教育では、ドイツ語を単なるコミュニケーション手段として教えるのではな

(5)

102

く、ドイツ語そのものの面白さも学生に伝えることに勤しんでこられた。ド イツ語の独特な表現や言い回しを取り上げることは、学生の知的な好奇心や 興味を引きつける。先生と私の間でも、ドイツ語と日本語の面白い表現につ いての話にはしばしば花が咲いたものである。先生はドイツ語教育における 新しい動向に対しても常にオープンで、新しい教授法を柔軟に授業に取り入 れてこられた。ドイツ語パートが 2007 年から同志社大学で採用している

「ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)」に基づくドイツ語検定試験 Start Deutsch(A1)と Zertifikat A2 の実施・運営にも多大なご尽力をされてこ られた。また、ご定年間近にもかかわらず、ドイツ語パートの HP のリニュー アルにも手を掛けてこられたように、同志社大学におけるドイツ語教育を多 方面から支えてこられた。グローバル・コミュニケーション学部では、先生 は Communicative Skills in German の授業の他に、2017 年と 2018 年に学部 の看板科目である Seminar Project を担当されたが、2017 年の担当プロジェ クト「日本文化理解の一助となる映画祭・写真展の開催を目指す」はみごと 最優秀賞に輝いた。

多くの学生にとって、三ッ木先生は「お父さん」のような存在である。卒 業後も、教え子たちの人生相談に乗ったり、結婚式に呼ばれたりというよう に、先生の活動の場は教室という狭い空間をはるかに越えている。また、次 世代の若いドイツ語講師陣の育成にも心血を注いでこられ、講師控室ではよ く嘱託講師の方々とお話される姿が見かけられる。学務においても、先生は 労を惜しまず、全学共通教養教育センター所長など、様々な役職を担ってこ られた。研究・教育・学務をバランスよくこなしてこられた三ッ木先生はま さに模範的な同僚である。

三ッ木先生は、2019 年 3 月にご定年を迎えられる。15 年間、お世話になっ た私にとっては、先生がいらっしゃらない職場は未だに想像がつかず、寂し くて仕方がないものだ。大黒柱がいなくなるという不安を抱えながらも、先 生が築き上げてこられた土台の上で、教えていただいたことを生かし、頑張っ ていく所存である。三ッ木先生、長い間本当にどうもありがとうございまし た。

参照

関連したドキュメント

そのように「大きな」存在だが、日々接する中村先生は、常に穏やかで控

フォアマン先生と日本との関わりは長きにわたります。1971

学内では図書館長の要職をつとめられただけでなく, 学生主導で ISO14001 の認 証取得を唱導され, 「環境 ISO 学生会議」

イタリア語,ダイビング,ドローン,コーヒー焙煎などです。また,新し物好きの面が あり, 特に, Apple 製品はいつも最初に新製品を購入し,

学外においても講演を数多くなされてきた。本年2月には,ガレリアかめおか

木股知史先生は, 2019年10月に満68歳を迎えられ, 2020月 3 月末をもって甲南大学文学部の教授を退任さ れます。 先生は1975年 3

− 谷富夫先生は, 2020年 3 月末をもって文学部教授 を定年退職されます。 先生は, 1977年に九州大学文学 部哲学科 (社会学専攻)

青山義孝先生は2018年 3 月末をもって定年退職され ます。 1982年 (昭和57年) に講師として着任され, 1985年に助教授,