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論文審査の要旨

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Academic year: 2021

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論文審査の要旨 博士の専攻分野の名称 博 士 (教育学)

氏名 足立 達也

学位授与の要件 学位規則第4条第①・2項該当 論 文 題 目

100m走の加速局面における前傾姿勢の

保持を意識する時間の違いがパフォーマンスに及ぼす影響

論文審査担当者

主 査 教授 上田 毅 審査委員 教授 出口 達也 審査委員 教授 古賀 信吉

〔論文審査の要旨〕

本論文では 100m 走の加速局面における前傾姿勢の保持を意識する時間を三種類用い た.一つ目は,普段の練習や試合において,前傾姿勢の保持を意識する時間であった(前 傾通常).二つ目は,一つ目よりも短く前傾姿勢の保持を意識する時間であった(前傾短), 三つ目は,一つ目よりも長く前傾姿勢の保持を意識する時間であった(前傾長).本論文の 目的は,これらの3種類の試技を用いて,前傾姿勢の保持を意識する時間の違いが,100m 走のパフォーマンスに及ぼす影響を検討することであった.

本論文は五章により構成されている.

第二章では,100m 走の加速局面における前傾姿勢の保持を意識する時間の違いが,前 傾角度,疾走速度,ピッチとストライドに及ぼす影響を明らかにすることであった.その 結果,1)5m,10m,20m,30m地点において,前傾短の前傾角度は小さく,前傾長の前 傾角度は大きかった. 2)0m―10m,0m―30m,0m―40m において,前傾通常と前傾 長の疾走速度は,前傾短よりも大きかった.

第三章では,100m 走の加速局面における前傾姿勢の保持を意識する時間の違いが,加 速局面における下肢の動作に及ぼす影響と,加速局面,中間局面,減速局面におけるパフ ォーマンスと筋放電量に及ぼす影響を明らかにすることであった.その結果,1)減速局面 において,前傾長の疾走速度は,前傾短よりも大きかった.2)加速局面において,前傾長 のストライドは前傾短よりも大きかった.とりわけ,15m付近において,前傾長のストラ イドは前傾短よりも大きかった.

第四章では,総合考察をおこなった.前傾姿勢の保持を意識する時間の違いが,必ず同 じ結果を引き起こすとは限らないことを示唆した.例えば,第二章の結果では,加速局面 における前傾通常の疾走速度は前傾短よりも大きかったが,第三章の結果では,同様の差 は認められなかったことが挙げられた.さらに第二章の加速局面と100m全体,第三章の 加速局面と中間局面と減速局面の結果から,前傾短,前傾通常,前傾長の疾走速度,ピッ チ,ストライドの具体的な数値の差を検討した.第二章の100m全体の疾走速度,第三章 の加速局面,中間局面,減速局面の疾走速度では,前傾長,前傾通常,前傾短の順で大き い値が示された.したがって,第三章の100m全体の疾走速度では,前傾長,前傾通常,

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前傾短の順で大きい値が示されていると考えられた.第二章の加速局面,100m 全体のピ ッチ,第三章の減速局面のピッチでは,前傾長,前傾通常,前傾短の順で大きい値が示さ れた.第三章の加速局面,減速局面のストライドでは,前傾長,前傾通常,前傾短の順で 大きい値が示された.つまり,前傾姿勢の保持を意識する時間を長くすると,100m 全体 の疾走速度は大きくなる可能性が示唆された.一方,前傾姿勢の保持を意識する時間を短 くすると,100m 全体の疾走速度は小さくなる可能性が示唆された.したがって,前傾姿 勢の保持を意識する時間の長短は,100m 全体の疾走速度と関係することが明らかになっ た.また,100m走は,加速局面と中間局面と減速局面から構成されている.したがって,

100m 走の疾走速度の増減には,各局面の疾走速度が関係する.しかし,前傾姿勢の保持 を意識する時間の違いは,各局面の疾走速度に必ず同じ影響があるとは限らないことが明 らかになった.

第五章では,本論文を総括している.通常疾走(前傾通常)よりも前傾姿勢の保持を意 識する時間を短くすることは,100m 走のパフォーマンスを低下させることが明らかにな った.一方,通常疾走よりも前傾姿勢の保持を意識する時間を長くすることは,100m 走 のパフォーマンスを向上させる可能性が明らかになった.

本論文は次の三点において高く評価できる.

1)100m走の加速局面における前傾姿勢の保持を意識する時間を通常より長く意識する

ことで100m走の加速局面の前傾姿勢を調整できることを明らかにした.

2)100m走の加速局面における前傾姿勢の保持を意識する時間を通常より長く意識する ことによって,100m 全体の疾走速度が高くなる可能性を示した.また,前傾姿勢の保持 を意識する時間を短くすると,100m全体の疾走速度は低くなる可能性を示した.

3)100m 走は,加速局面と中間局面と減速局面から構成されている.このため,100m 走の疾走速度の増減には,各局面の疾走速度が関係する.その点について,前傾姿勢の保 持を意識する時間の違いは,各局面の疾走速度に必ず同じ影響があるとは限らないことを 明らかにした.さらに,ピッチとストライドの積である疾走速度は,前傾姿勢の保持を意 識する時間通常より長く意識しても,ピッチやストライドに必ずしも同じ影響があるとは 限らないことも明らかにした.

以上,審査の結果,本論文の著者は博士(教育学)の学位を授与される十分な資格があ るものと認められる.

平成30年2月5日

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