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博 士 ( 理 学 ) 角 五 彰 学 位 論 文 題 名 Bio− Gel Mechines Constructed from Muscle Proteins

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Academic year: 2021

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博 士 ( 理 学 ) 角 五    彰

     学 位 論 文 題 名

Bio − Gel Mechines Constructed from Muscle Proteins

(筋肉夕ンパクによるゲルバイオマシーンの創成)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  ゲルによるソフトマシンカミ開発されたことが契機となって世界的にもソフト&ウエットアク チュエ一夕一が着目されるようになり、多くの研究チームがその開発に乗り出していゝる.しか し、これらのソフトマシンはすべて合成高分子やカーポンナノチュープなどを材料とし、さら にエネルギ一効率は生体マシーンと比べるとまだまだ劣っているのに加え生体適合性に欠けて いるものである.生物の動きは筋肉という優れた生体マシーンによってもたらされているが,

その筋肉は、主にアクチン・ミオシンと呼ぱれる分子から構成されており、これらの分子が高 次に渡って秩序をもった階層構造を形成している.ダイナミックな動きはアクチン・ミオシン 間のミクロの変形がその階層構造を経由することにより実現されており,それは極めて高効率 な動カシステムである.さらに筋肉は水としゝう媒体を含み柔軟性も備えている,明らかに従来 のハード&ドライぬ人工マシーンとは異なっている.

  本研究では、筋肉という機能性高分子を分解・再構築し、独自の原理に基づいて作動する生体 適合性のゲルパイオマシーンの開発を目指している.このようなタンパク質特有の酵素活性を生 かしながら人工的に再構築型のマシーンを作るという試みはそれほど多くないのも現状である.

これが実現されると非常に運動効率の高い ゲルパイオマシーン ができると期待される.さら に生体マシーン同様、無公害・生体適合性・広い応用範囲などの特徴を有しており、環境問題・

エネルギ一問題とbゝった地球規模で抱えている問題に貢献することができると期待される.

  一方では,現在,筋収縮の研究は一分子マニュピレーションを用いた分子レベルのアプロー チと生理学的な手法を用いたマクロスコピックレベルからのアプローチされている.しかし、

アクチン.′ミオシン滑り運動のメカニズム、階層構造の役割、収縮の協同性などに関する時空 間的制御の問題については明らかにされていない点が多く、本研究のように筋肉夕ンバクゲル を用いてゲルパイオマシーンを創製することにより筋収縮のメカニズムをメゾスコピックレベ ル か ら 解 き 明 か し 、 生 命 体 機 能 発 現 の 本 質 を 明 ら か で き る と い う 可 能 性 を も つ 。   本論文は第一章の序論,第二章から第五章までの本論,および第6章の結諭から構成されて いる,

第二章では,化学反応を利用したミオシンゲルの作製とその生理学的特性を検討し,さらにミ オシンゲル上でのアクチン運動発現の試みにっいて述べている.ホタテ貝閉殻筋横紋筋部より 抽出・精製したミオシンは2官能基性の架橋剤や縮合剤で化学架橋することによルゲル化する ことがわかった.     10mmX 10rnmX lmmのサイズで得られたミオシンゲルは,高イオン強度 下では高膨潤,低イオン強度下では収縮する.SEMによる構造解析からは,このミオシンゲル が多孔性で秩序をもたないことがわかった.

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  筋収縮はアクチン・ミオシンが互いに相互作用し滑り運動をすることで起こっている.ミオ シン はパロを 分解する 酵素活 性を持ち このATPase活性がその滑り運動に関与している,つ まルミオシンゲルを ゲルパイオマシーン として機能させるためにはA'IPase活性の保持が 必要と顔る.ゲル化に伴う酵素活性への影響を検討するためミオシンゲルのA'IPase活性を測 定した,架橋剤の種類によってATPase活性は異なるもののミオシンゲルは高い活性を保持し ていることがわかった.特にグルタミン転移酵素を利用して作成したミオシンゲルはnativeの ミオシンArPaSe活性とほぽ同等の活性値を保持していることがわかった,これらの結果は,

ミオシンゲルがアクチンと充分に相互作用可能であることを示しており,同時にミオシンゲル 上でのアクチンの滑り運動発現の可能性を支持するものである.

  そこでミオシンゲル上でのアクチンの滑り運動をMotiliぢassayという手法により評価した,

滑り 運動はATPの添加 後直ち に観察さ れ,運動速度は添加するATP濃度に依存していること が わか っ た . さら にuneweaverBurkplotの概 念 を 用 いて 算 出した 運動速度 のV―は,ミ オシンゲルのATPaSe活性と比例関係にあり,両者が強くカップリングしていることを明らか にした,

  第三章では,自己組織化と化学反応を利用した配向ミオシンゲルの作成および得られた配向ミ オシンゲル上でのアクチン運動制御にっいて述べている.第二章で示したミオシンゲル上でのア クチン滑り運動方向は等方的であったが,これはミオシンゲルの無秩序な構造に起因していると 考えられる.ミオシン分子を自己組織化すると同時にShearstressを印加すると数ミクロンオー ダーの秩序構造を持つミオシンゲルが得られた.瓜によルカルポニル基の二色比を分析するとミ オシンゲルは分子レペルで配向していることがわかった.An)ase活性はShearstressの強さに 比例した単調減少を示していた.この配向ミオシンゲル上でアクチンの滑り運動を試みた結果,

アクチンは配向軸方向に沿った運動っまり異方的な滑り運動(極性に関する異方性は確認できな い)を発現することがわかった.その運動異方性および運動速度を解析したところ,瓜で確認さ れた配向レペルの傾向とよく一致していたことから,アクチンの滑り運動はミオシンゲルの配向 性から制御できることを明らかにした.

  第四章では,自己組織化と化学反応を利用した巨大アクチンゲルの作成と機構にっいて検討し ている.アクチンはカチオン性ポリマーの導入で巨大なファイパーを形成することがわかった.

さらにアクチンとポリカチオン間の相互作用はある臨界濃度以上で起こり恊同的に働くことがわ かった.その成長様式は用いるポリカチオン種に依存しており,また最終生成物に多様なモルフ オロジーを見ることができる.TEMを用いた観察によるとワイヤ一状,パンドル状,ラテラル状 のフんイパ一,そして時にはりング状と多様なコンプレックスが確認された.このように,アク チン にポリ カチオン を導入 すること で積極的に分子設計が可能であることがわかった.

  第五章では第四章で得られた巨大アクチンゲルの運動発現と運動特異性について検討している.

本研究で初めて巨大アクチンゲルの滑り運動を配向ミオシンゲル上で実現した,しかもnativeア クチンの滑り運動速度を越えるような巨大アクチンゲルの存在も確認された,巨大化に伴う運動 特性への影響を検討するため,巨大アクチンの平均移動距離(L)と観測時間の間隔(て)の観 点から解析を行った.アクチンゲルの平均移動距離(L冫は、どの観測領域においてNativeアク チンより値が大きく、そして観測時間(夕イムスケール)に対する依存性も高いということが分 かった,アクチンゲルの運動はNativeアクチンに比ぺ非常に異方的であり,それがアクチンゲ ル高速運動にも起因していると考察された,第六章では,以上の内容を総括して結諭とした.

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学位論 文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 助教授 助教授

長田 西村 佐々木 襲

義仁 紳一郎 直樹 剣萍

     学位論文題名

Bio‑Gel rvIechines Constructed fronlMuSCleProteinS      (筋肉夕ンパクによるゲルバイオマシーンの創成)

  学 位 論 文 は 第 1章 の 序 論 , 第2章 か ら 第 5章 ま で の 本 論 , お よ び 第6章 の 結 論 か ら 構 成 さ れ て い る . 本 論 に つ い て 以 下 に そ の 要 旨 を 述 べ る .

  第 二 章 で は , 化 学 反 応 を 利 用 し た ミ オ シ ン ゲ ル の 作 製 と そ の 生 理 学 的 特 性 を 検 討 し , さ ら に ミ オ シ ン ゲ ル 上 で の ア ク チ ン 運 動 発 現 の 試 み に つ い て 述 べ て い る . ホ タ テ 貝 閉 殻 筋 横 紋 筋 部 よ り 抽 出 ・ 精 製 し た ミ オ シ ン は2官 能 基 性 の 架 橋 剤 や 縮 合 剤 で 化 学 架 橋 す る こ と に よ ル ゲ ル 化 す る こ と が わ か っ た .      10mmXlOmm Xlmrnの サ イ ズ で 得 ら れ た ミ オ シ ン ゲ ル は , 高 イ オ ン 強 度 下 で は 高 膨 潤 , 低 イ オ ン 強 度 下 で は 収 縮 す る .SEMに よ る 構 造 解 析 に よ っ て こ の ミ オ シ ン ゲ ル は 多 孔 性 で ラ ン ダ ム な モ ル フ オ ロ ジ ー を 呈 す るこ と が わか っ た .   筋 収 縮 は ア ク チ ン ・ ミ オ シ ン が 互 い に 相 互 作 用 し 滑 り 運 動 を す る こ と で 起 こ っ て い る . ミ オ シ ン はATPを 分 解 す る 酵 素 活 性 を 持 ち , こ の ATPase活 性 が こ そ が 滑 り 運 動 に 関 与 し て い る . っ ま ル ミ オ シ ン ゲ ル を ゲ ル バ イ オ マ シ ー ン と し て 機 能 さ せ る た め に は

」eiTPase活 性 の 保 持 が 必 要 と な る . ゲ ル 化 に 伴 う 酵 素 活 性 へ の 影 響 を 検 討 す る た め ミ オ シ ン ゲ ル のATPase活 性 を 測 定 し た . 架 橋 剤 の 種 類 に よ っ てATPase活 性 は 異 な る も の の ミ オ シ ン ゲ ル は 高 い 活 性 を 保 持 し て い る こ と が わ か っ た . 特 に グ ル タ ミ ン 転 移 酵 素 で あ る ト ラ ン ス グ ル タ ミ ナ ー ゼ を 利 用 し て 作 成 し た ミ オ シ ン ゲ ル はnativeの ミ オ シ ンA1、Pase活 性 と ほ ぽ 同 等 の 活 性 値 を 保 持 す る こ と が わ か っ た . こ れ ら の 結 果 は , ミ オ シ ン ゲ ル が ア ク チ ン と の 相 互 作 用 が 充 分 に 可 能 で あ る こ と を 示 し て お り , 同 時 に ミ オ シ ン ゲ ル 上 で の ア ク チ ン の 滑 り 運 動 発 現 の 可 能 性 を 支 持 す る も の で あ る .

  そ こ で ミ オ シ ン ゲ ル 上 で の ア ク チ ン の 滑 り 運 動 をMotility assayと い う 手 法 に よ り 評 価 し た . 滑 り 運 動 は | ゜ 冊 の 添 加 後 直 ち に 観 察 さ れ , 運 動 速 度 は 添 加 す る バrP濃 度 に 依 存 し て い る こ と が わ か っ た . さ ら にLineweaver−Burkplotの 概 念 を 用 い て 算 出 し た 運 動 速 度 のV― は , ミ オ シ ン ゲ ル の バI、Pase活 性 と ほ ぽ 比 例 関 係 に あ り , 両 者 が 強 く カ ッ プ リ ン グ し て い る こ と を 明 ら か に し た ,

  第 三 章 で は , 自 己 組 織 化 と 化 学 反 応 を 利 用 し た 配 向 ミ オ シ ン ゲ ル の 作成 お よ び得 ら れ た配 向 ミ オ シ ン ゲ ル 上 で の ア ク チ ン 運 動 制 御 に つ い て 述 べ て い る . 第 二 章 で 示し た ミ オシ ン ゲ ル

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上でのアクチンは全く等方的な滑り運動を示すことがわかった.これはミオシンゲルのラン ダムなモルフォ口ジーに起因しているものと考えられる.ミオシン分子を自己組織化すると 同時に化学架橋する際に外部から水流によるShear stress を印加すると数ミクロンオーダ ーの秩序構造を持つミオシンゲルが得られることがわかった.IR により1650cm −1 のカル ポニル基の二色比を分析するとミオシンゲルは分子レベルで配向していることがわかった.

j ゜ n 、Pase 活性に関しては印加するShearstress の強さに比例し単調減少を示した.次にこ の配向ミオシンゲル上でアクチンの滑り運動を試みた.その結果アクチンは配向軸方向に沿 った運動っまり異方的な滑り運動(極性に関する異方性は確認できない)を発現することが わかった.その運動の異方性および運動速度を解析したところ,それらはIR で確認された カルポニル基の配向性と非常に高い相関性を示した.この結果からアクチンの滑り運動はミ オ シ ン ゲ ル の 配 向 性を コ ン ト ロ ー ル す る こ と で制 御 可 能 で あ ること がわ かっ た.

   第四章では,自己組織化と化学反応を利用した巨大アクチンゲルの作成と機構について検 討している.アクチンはカチオン性ポリマーの導入で巨大なファイバーを形成することがわ かった.さらにアクチンとポリカチオン間の相互作用はある臨界濃度以上で起こり協同的に 働くことがわかった,その成長様式は用いるポリカチオン種に依存しており,また最終生成 物に多様ぬモルフオロジーを見ることができる.TEM を用いた観察によるとワイヤー状,

バンドル状,ラテラル状のファイバー,そして時にはりング状と多様なコンプレックスが確 認された.このように,アクチンにポリカチオンを導入することで積極的に分子設計が可能 であることがわかった.

   第五章では第四章で得られた巨大アクチンゲルの運動発現と運動特異性について検討して いる.本研究で初めて巨大アクチンゲルの滑り運動を配向ミオシンゲル上で実現した.しか も native アクチンの滑り運動速度を越えるような巨大アクチンゲルの存在も確認された.

巨大化に伴う運動特性への影響を検討するため,巨大アクチンの平均移動距離(L )と観測 時間の間隔(て)の観点から解析を行った.アクチンゲルの平均移動距離(L )は、どの観 測領域においてNative アクチンより値が大きく、そして観測時間(夕イムスケール)に対 する依存性も高いということが分かった,アクチンゲルの運動はNathre アクチンに比ベ非 常 に異方 的で あり,それがアクチンゲル高速運動にも起因しているとが考察された.

   著者は、筋肉という機能性高分子を分解・精製した後,自己組織化を利用するとともに 化学架橋によって全く新しい構造形態を有するアクチンゲル・ミオシンゲルの構築を行っ た.さらにこの再構築ゲルは觚、P を加水分解する際に生じる化学エネルギーで作動する パイオゲルマシーンとして有用であることをっきとめた.このように筋肉夕ンパクの学術 的・応用的に価値のある独創的な知見を得ている.よって著者は北海道大学博士(理学)

の学位を授与される資格があるものと認める.

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