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博士(理学)大野 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(理学)大野 学位論文題名

Mycoplasrna arg む凡むm アルギニンデイミナーゼの 分子ク口一ニングとその免疫抑制機序の解析

学位論文内容の要旨

  1986

年、

F ujiw ara

Elln er

はヒト マクロフ アージ様細胞株、U937の培養上 清中 にヒトリ ンパ球の 増殖を強く抑制する免疫抑制因子の存在を報告した。当研 究室 ではこの 因子の単 一精製を達成し、リンパ球幼若化阻止因子(LBIF)と命名 した 。本研究 ではこの 因子の同定、遺伝子の単離とその全構造の決定、そして、

LBIF

の免 疫抑制メ カニズ ムの分子機序を解明することを目的とした。本論文の要 旨は以下の5点である。

  1

)ヒトマクロファ―ジ様細胞株、U937の培養上清中に存在する免疫抑制因子、

LBIF

を単一精製し、ヒト、および、マウスTリンパ球の増殖、さらに、多くの腫瘍 細胞株の増殖を抑制することを明らかにした。また、この因子の同定を行った結果、

LBIF

はヒ ト培養細 胞に感 染してい たMycoplロ

sm

ロ ロ

rginini

が産生するL‑アルギ ニン分解性酵素、アルギニンデイミナーゼ(EC3,5.3.6)であることを明らかに した 。この酵 素はL‑ア ルギニンを加水分解して、L‑シトルリンとアンモニアに変 換する。

  2

M

. ロ

rginini

アルギニ ンデイミ ナーゼ 遺伝子をクローニングし、その全塩 基 配列 を 決 定 した 。 こ の結 果、オ ―プン リーデイ ングフレ ームは

1

,230 bpで

410

個のアミ 丿酸をコ ードしていた。また、

N

末端アミノ酸の解析から成熟型アル ギニ ンデイミ ナーゼ分 子は開 始コドン のMet残基が除かれSer残基から始まる409 個のアミノ酸によって構成されていることが明らかになった。これから推定される

(2)

分子量は46,372であった。この遺伝子の5 側非翻訳領域には転写開始シグナルの

‑10

‑35

様配列 、および りボゾー ム結合 配列の

Shine‑ Dalgarno

SD

)配列が認 められた。また、3.側非翻訳領域には転写終結シグナルと考えられる2つの逆方向 の 繰り返し 配列が 存在して いた。さらにこの遺伝子には低GC含量、および、ナン セ ンスコド ンTGAが

Trp

コ ドンとし て使用 されると ぃうマ イコプラ ズマ属 特有の 特徴が認められた。

  3

)マイコプラズマ種間におけるアルギニンデイミナーゼの酵素学的性質−至適 温 度、至適

pH

、金属 イオン要求性、ミカエリス定数−には類似性が認められた。

しかしながら、アルギニンデイミナーゼ分子の分子量、等電点、サプユニット構造、

さ らには遺 伝子の 制限断片 長多型(RFLP)の解析からその蛋白、遺伝子構造には 多形性が存在することが示唆された。

  4

)アルギニンデイミナーゼによる免疫抑制の分子機序の解明を試みた。この結 果 、リンパ 球では

L‑

シトルリンをL‑アルギニンに変換する尿素サイクル中の律速 酵 素、アルギニノコハク酸シンテターゼ(ASS)の遺伝子が組織特異的な発現制御 を受けており、酵素活性が著しく低いことが明らかになった。このため、L‑アルギ ニンは細胞増殖に必須のアミノ酸であるが、リンパ球はアルギニンデイミナーゼ活 性によって生成したL‑シトルリンをL‑アルギニンに変換できないために免疫抑制が 起きることが明らかになった。また、腫瘍細胞株を用いた解析で、アルギニンデイ ミナーゼにより増殖抑制を受ける腫瘍細胞株の抑制メカニズムもりンパ球の場合と 同一であることが明らかになった。一方、アルギニンデイミナーゼによる増殖抑制 を 受けない 細胞株 ではASS遺伝子の 発現が 認められ 、この活性が存在するために

L‑

シ トルリン を利用 することが可能になり、増殖を行うことが明らかになった。

  5

)ヒト 悪性黒 色腫細胞 株は調ぺ たかぎ りの全て におい て、

invitro

でアル ギ ニンデイミナーゼによる増殖抑制を受け、この抑制機序はルンパ球の場合と同一の

ASS

遺伝子 の低発 現による ものであることが明らかになった。また、in vivoにお いてもァルギニンデイミナ―ゼ分子の抗腫瘍活性が報告されており、この分子の組 織特異的な遺伝子の発現制御メカニズムにもとづぃた増殖抑制活性より、癌治療へ の応用の可能性が考えられた。

  

また、種々の自血病患者の自血病細胞におけるASS遺伝子の発現を検討した結果、

47

(3)

急性 白 血 病細 胞 (

ALL

,AML)で はASS遺 伝子の 発現亢進 が認め られたが 、慢性 自血 病 細 胞(

CLL

CML

) は正常 レペルで あった 。このこ とは、

ASS

遺伝 子の発 現制御メカニズムと自血病の発症の分子機序との間には何らかの関連性があること を示唆し た。さ らに、CMLでは慢性期においてはASS遺伝子の発現は低いものの、

急性転化 すると

30

倍以上の 発現亢 進が認め られた。CML自血病患者の急性転化は その90ワ。以上が3年以内に死亡するが、今日、臨床的診断でこれを予測することは

(4)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査

教授 教授 教授

東 杉 本 菊 地

市郎 和則 九二三

    学 位論文題名

Mycoplasma argmJnJアルギニンデイミナーゼの分子クローニングと     そ の免疫抑制機序の 解析

  1986年 、F ujiw araとEllnerはヒトマクロファージ様細胞株、U937の培養上清中にヒトリンパ球の 増殖を強 く抑制する免疫抑制因子の存在を報告した。当研究室ではこの因子の単一精製を達成し、リ ンバ球幼 若化阻止因子(LBIF)と命名した。申請者は、この因子の同定、遺伝子の単離とその全構造 の 決 定 、 そ し てLBIFの 免 疫 抑 制 メ カ ニ ズ ム の 分 子 機 序 に 関 す る 研 究 を 行 な っ た 。   1)ヒト マクロフアージ様 細胞株、U937の培養 上清中に存在する 免疫抑市U因子、LBIFを単一精製 し、ヒト 、およびマウスTリンバ球の 増殖、さらに、多くの腫瘍細胞株の増殖を抑制することを明ら かにした 。また、この因子の同定を行なった結果、LBIFはヒト培養細胞に感染していたMycoplasm.a argininiが産生するL−アルギニン分解性酵素、アルギニンデイミナーゼ(EC 3.5.3.6)であることを 明らかにした。この酵素はL−アルギニンを加水分解して、L−シトルルンとアンモニアに変換する。  _     2)M. argininiアルギニンデイミナーゼ遺伝子をクローニングし、その全塩基配列を決定した。こ の結果、 オープン1J一デイ ングフレームは1230 bpで410個のアミ丿酸をコードしていた。また、N 末端アミ ノ酸の解析から成熟型アルギニンデイミナーゼ分子は開始コドンのMet残基が除かれSer残基 から始ま る409個の アミノ酸によって 構成されていることが明らかになった。これから推定される分 子量は46,372であった。この遺伝子の5 側非翻訳領域には転写開始シグナルの‑10,‑35様配列、およ びりボゾーム結合配列のShine‑Dalgarno(SD)配列が認められた。また、3f側非翻訳領域には転写終結 シグナルと考えられる2つの逆方向の繰り返し配列が存在していた。さらにこの遺伝子には低GC含量、

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(5)

およ びナンセンスコドンTGAがTrpコドンとして使用されるとぃうマイコプラズマ属特有の特徴が認 められた。

  3)マイ コプラ ズマ種 間におけるアルギニンデイミナーゼの酵素学的性質一至適温度、至適pH 金属イオン要求性、ミカエリス定数一には類似性が認められた。しかしながら、アルギニンデイミナ ーゼ分子の分子量、等電点、サプユニット構造、さらには遺伝子の制限断片長多型(RFLP)の解析か らその蛋白、遺伝子構造には多形性が存在することが示唆された。

  4)アルギニンデイミナーゼによる免疫抑制の分子機序について解析を行なった結果、リンパ球で はL.シトルリンをL―アルギニンに変換する尿素サイクル中の律速酵素、アルギニノコハク酸シンテタ ーゼ(ASS)の遺伝子が組織特異的な発現制御を受けており、酵素活性が著しく低いことが明らかに なった。このため、L―アルギニンは細胞増殖に必須のアミノ酸であるが、リンパ球はアルギニンデイ ミナーゼ活性によって生成したL−シトルリンをL−アルギニンに変換できないために免疫抑制が起きる ごとが明らかになった。また、腫瘍細胞株を用いた解析で、アルギニンデイミナーゼにより増殖抑制 を受ける腫瘍細胞株の抑制メカニズムもりンパ球の場合と同一であることが明らかになった。一方、

アルギニンデイミナーゼによる増殖抑制を受けない細胞株ではASS遺伝子の発現が認められ、この活 性が存在するためにLーシトルリンを利用することが可能になり、増殖を行うことが明らかになった。

  5)ヒト悪性黒色腫細胞株は調べたかぎりの全てにおいて、加vitroでアルギニンデイミナーゼによ る増殖抑制を受け、この抑制機序はりンパ球の場合と同一のASS遺伝子の低発現によるものであるこ とが明らかになった。また、而VIVOにおいてもァルギニンデイミナーゼ分子の抗腫瘍活性が報告され ており、この分子の組織特異的な遺伝子の発現制御メカニズムにもとづぃた増殖抑制活性より、癌治 療への応用の可能性が考えられた。

  また、種々の自血病患者の自血病細胞におけるASS遺伝子の発現を検討した結果、急性自血病細胞

(ALL,AML)で はASS遺伝子の発現亢進が認められたが、慢性自血病細胞(CLL,CML)は正常レベ ルであった。このことは、ASS遺伝子の発現制御メカニズムと自血病の発症の分子機序との間には何 らか の関連性があることを示唆した。さらに、CMLでは慢性期においてはASS遺伝子の発現は低いも のの 、急性転化すると30倍以上の発現亢進が認められた。CML自血病患者の急性転化はその90%以上 が3年以内に死亡するが、現在臨床的診断でこれを予測することは困難であることから、ASS遺伝子 の発現異常をマーカーにすることにより、CMLの急性転化を分子生物学的に予知する方法の可能性が 示唆された。

  審査 員一同 は、申 請者 が博士 (理学 )の学 位を 得るに 十分な 資格を 有する もの と認定 した。

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