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『貫之集』の諸本研究 学位論 文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博士(文学)   ラガワチャリャノヽリ

学 位 論 文 題 名

『貫之集』の諸本研究 学位論 文内容の要旨

  本 論 文 は 平安 時 代 の 歌 人紀 貫 之(870頃 一945)の 和 歌 約900首 を 収め る 私 家 集 『貫 之 集 』 の 諸本 の 本 文 を 比較し てその 祖形 に遡及 するこ とを目 的とし てい る。

本論 文 は 、1(『 貫 之 集 』 九 巻本 諸 本 の 系 統関 係 ) 、2(河 野 記 念 文 化館 蔵 本 『 貫 之集 』 に つ い て )、3(

『貫之 集』の 九巻 本諸本 の衵形 )、4(九 巻本組 本・西 本願 寺本・ 御所本 の異文 対立 )の4章と 「『貫 之集』の 九 巻 本 諸 本 の 校 本 」 「 九 巻 本 祖 形r貫 之 集 』 の 校 本 」 等の 本 文 資 料 から な り 総 字 数 約550000字 で あ る 。   r貫 之集』 の藷本 は通 例3類 に分 かち、 歌仙家 集本( 九巻 本). 西本願 寺本( 十巻本 ). 御所本 (七巻本)を 各系の 代表本 とす る。

  1章 で扱う 諸本は 、歌 本(正 保擶田 帥I煽淋).鴎本(陽明文庫本).村体(樹E圃文庫本、以上九巻本系).西 本 ( 西 本 願 寺 本 ) . 御 本 ( 御 所 本 ) の5本 で あ る 。 こ の5本 の 巻1・2の 本 文 を 比 較 す る と   御本  甘  西本 ・陽 本・桃 本・歌 本147例

  西本  甘  御本 ・陽 本・桃 本・歌 本139例   西本・ 御本  台  陽 本・桃 本・歌 本127例   西本台 御本 甘陽本 ・桃本 ・歌本109例

の対 立 が 顕 著 で あり 、 西 本 ・ 御本 ・ 九 巻本系 (陽本 ・桃 本・歌 本)の 鼎立が 実証 される 。さら に、九 巻本系 諸本の 関係を 見る ために 、改め て歌本 ・陽本 ・桃 本・書 本(書 陵部本 ). 紅本( 紅梅文 章本)..元本 (元禄13 年版本 ).河 本( 河野記 念文化 館本) の7本の本 文を比 較す ると、

  河本<=>陽 本・桃 本・書 本・歌 本,元 本・ 紅本176例   桃本甘 陽本 ・書本 ・河本 ・歌本 ・元 本・紅 本88例   陽本台 桃本 ・書本 ・河本 ・歌本 ・元 本・紅 本66例   陽本・ 桃本 ・書本 甘河本 ・歌本 ・元 本・紅 本64例   陽本・ 桃本 甘書本 河本・ 歌本・ 元本 ・紅本21例   書本付 陽本 ・桃本 ・河本 ・歌本 ・元 本・紅 本20例 の対立 が顕著 であ り、

陽 本 ・ 桃 本 ・ 書 本 ・ 河 本 台 歌 本 ・ 元 本 ・ 紅 本  10例 の対立も見られるこ とから7本の関係は

    〔陽本・桃本〕  河本     丶丶一/

    書本/  歌本・ 元本・紅本〕

となる。このうち上 記矢印「→」で示した対立には、左方優位の本文があると認定され、これに基づき3 通りの系統図を提示 することができるが、上記3系鼎立を考慮すれぱ

39

(2)

     厂 ・ ―    一 西 本      ト ー    ― 御 本

    1   厂 ― ― ― ー 桃 本     1   「 ― ・ L ― ― ― 陽 本     L − ‑ ・ 上 書 本

    L − ‑1 吹 本 ・ 元 本 ・ 紅 本     L ― ― − ー    − ― 河 野 の 形 で 示 す こ と が で き る 。

  2章では歌仙家集本系の中では、他の本と余りにも掛け離れている河本の位置を明らかする。歌本・陽 本 ・桃本 ・書本 ・河本 ・西本 ・御本 の7本の歌本文のみについて異同を見ると、「河本・西本付御本・

他 の 九 巻本 」「河 本・西 本甘御 本・他 の九巻本 」「河 本・西 本・御 本台他 の九巻 本」の 対立は 少な く、また河本の独自異文には優位と認められるものがないことから、河本は九巻本系の末流本文と断定で きる。

  3章で は、陽 本・桃 本・書 本・歌 本・西本 ・御本 の6本の 本文の比較を詳細に記述し、共通異文中の

「陽 本・桃 本・書本・歌本台西本・御本」の対立391例の中に陽本等の方が優位のものが127例、西本・

御本の方が優位のものが40例あることから、この異文対立の中間に祖形との接点があるものとの予測を提 示し、九巻本の本文原形を復元する。この予測は

    r― ― 御 本

祖 形 T― lL― ― 西 本     L一   ― ― 九 巻 本

で あ る が 、

     厂 ー ― 御 本    ロ 祖 形 T 一 御 本

イ 祖 形 十 ― − 一 西 本   L11一 ー ― l西 本     L ― ― −    ー ― 九 巻 本   L ― ― ― ―    ― 九 巻 本

の可能性も否定しない。

  4章では復元九巻本、西本、御本の本文を比較・分析する。また近年公刊された素本(冷泉家素寂本)に つ い ては「 西本・ 承本台 素本・ 九巻本 」「西 本・素 本台承本 ・九巻 本」の 両様の 対立が あるこ とか ら、いずれかに合成本文のある可能性を指摘している。

  最後に、現状での慎重な結論として上記(イ)の形を提示する。そして、その方向での本文校訂のための 素料として、復元九巻本を底とした校本を付載する。

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(3)

学 位論文審査の要旨

     学 位 論 文 題 名

『貫之集』の諸本研究

  本 論文と 先行研究の違いを、ここでは本論文筆者の遡源本文と先行 研究者の田中登(『校訂貫之集』 1987)の 校 訂 本 文 と の 比 較 に よ り 示 し て 置 く 。 田 中 は 陽 本 を 底 本 と し て 対 立 異 文 を 次の よ う に 処 置し て い る 。     採 用  不 採用

  陽 本独自 異文365189(陽 本)  196   御 本  180  5( 御本 )  175   西 本  233  6( 西本 )  227   鼎 立異文  202202(陽本)

田 中は、 結果と して諸 本の系 統を 次のよ うに設 定して しま ったこ とにな る。

本 論 文 の 筆 者 は 優 劣 判 定 を控 え 気 味 で ある が 、 基 本 的 には     採 用  不 採 用

  陽 本 独 自 異 文 365127以 下 ( 陽 本 ) 238以 上   御 本  180  ワ ( 御 本 )180?

  西 本  233  っ ( 西 本 )233?   鼎 立 異 文  202  ?125? ( 陽 本 )

と な っ て お り 、 ほ ぼ 次 の よ う な 系 統 を 想 定 し て い る 。

  こ れ によ れ ぱ 、 田 中の 校 訂 本 文 に 比し て 、300例 以 上の 異文に ついて 、善 本文の 遡上に 成功し てい る。今 後 さ ら に 慎 重に 校 訂 を 進 めれ ば 、 次 の 形に 決 着 す る もの と 見 込 ま れ る。

祖 形T一 御本

    ―lT― − −一 西 本     L― −  −一 九 巻 本

  本 論 文 は 『 貫之 集 』 の 諸 本の 系 統 関 係 を 確定 し 、 そ の 本文 に つ い て 従来 より大 幅に善 本文へ 遡源 するこ と を可 能 に し て お り、 今 後 の 『 貫之 集 』 研 究 にと っ て 欠 く こと の で き ない 論考 である と考え られる 。この 意 味で 本 論 文 は 『 貫之 集 』 研 究 ・和 歌 史 研 究 を進 展 さ せ る もの で あ る 。審 査担 当者は 全員一 致して ラガワ チ ャ リ ャ ハ リ 氏 に 博 士 ( 文 学 ) の 学 位 を 授 与 す る の が 至 当 で あ る と の 結 論 に 達 し た 。

41−

雅 文 二 俊 康 淳 澤 藤 藤 宮 後 佐 授 授 授         教 教 教 助 査 査 査

。 主

副 副

参照

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