博士 (工学) 楊 学 位 論文 題 名
Ar ,SiH4 ガスRF 非平衡プラズマの過渡応答解析 学位論文内容の要旨
靖
近 年 、 プ ラ ズ マ プ ロ セ ス は 、 半 導 体 な ど の 機 能 性 薄 嘆 の 作 製 だ け で は な く 、 コ ン デ ン サ な ど の 回 路 素 子 、 多 層 配 線 、 コ ン タ ク ト 形 成 な ど の 技 術 に も 広 く 応 用 さ れ て い る 。 今 日 、 プ ラ ズ マ プ ロ セ ス は 電 子 デ バ イ ス の 作 製 に 欠 か せ な い 基 礎 技 術 と し て 定 着 し つ っ あ る 。 こ の 中 、 特 に 低 圧 グ ロ ー 放 電 で 作 ら れ るRF非 平 衡 プ ラ ズ マ を 用 い る プ ラ ズ マCVDや プ ラ ズ マ ェ ッ チ ン グ 技 術 は 、 半 導 体 デ バ イ ス の 高 性 能 化 、 高 速 化 、 高 集 積 化 の た め に 重 要 な 技 術 で あ り 、 今 後 ま す ま す そ の 広 が り と 重 要 性 を 増 し て い く と 考 え ら れ る 。 し か し 、 こ の 技 術 を 一 層 発 展 さ せ る た め に はいく っかの課題を解決 しなくてはならない 。そのミ粟題とは :
1.プ ラ ズ マ 中 で 各 種 の 反 応 、 た と え ば 、 電 子 と ガ ス 原 子 ・ 分 子 の 衝 突 、 ラ ジ カ ル と 他 の 粒 子 の 衝 突 、 イ オ ン ・ ラ ジ カ ル と 固 体 表 面 の 衝 突 な ど が 同 時 に 進 行 す る た め 、 表 面 の 加 工 に 問 題 を 生 ず る 。2. 外 部 か ら 与 え る こ と が で き る 制 御 パ ラ メ ー タ に 対 し て 、 プ ラ ズ マ 内 部 の パ ラ メ ー タ の 数 が は る か に 多 い た め 、 外 部 制 御 パ ラ メ ー タ の1つ の セ ッ ト に 対 し て 、 複 数 の プ ラ ズ マ 内 音 献 態 カ 謝 応 す る 場 合 カ 汢 じ 、 反 応 の 戡 眦 再 現 性 と 安 定 性 カ 韻 な わ れ る 。3.基 楓 こ 入 射 す る イ オ ン エ ネ ル ギ ー と 速 度 ベ ク ト ル を 精 確 に 目 的 に 応 じ て 制 御 し 、 優 れ た 異 方 性 と 選 択 性 を も つエッ チングプラズマが 要求される。
こ れ ら の 問 題 を 解 決 す る た め に は 、 プ ラ ズ マ そ の も の を 十 分 に 良 く 理 解 し た 上 で 、 制 御 し な け れ ば な ら な い 。 そ の ー つ に 、 外 部 回 路 の 制 御 に よ る プ ラ ズ マ の 過 渡 応 答 時 間 特 性 を 精 確 に 把握す ることカ蹴される 。
本 論 文 の 目 的 は 、 外 部 回 路 制 御 パ ラ メ ー タ の ー つ で あ る 電 源 電 圧 振 幅Vrfの ス テ ッ プ 変 化 か ら 得 ら れ た プ ラ ズ マ 中 の 電 子 、 イ オ ン お よ び 中 性 粒 子 の 密 度 や エ ネ ル ギ ー の 過 渡 応 答 時 間 特 性 を を 明 ら か に す る こ と で あ る 。 本 論 文 は 全6章 か ら な り 、 各 章 の 内 容 を 以 下 に 要 約 す る 。 第1章 は 、 本 論 文 の 序 論 で あ り 、 本 研 究 の 背 景 、 在 来 の 研 究 、 本 研 究 の 目 的 及 び 本 論 文 の 構成に ついて述べている 。
第2章 は 、 本 研 究 で 用 い た シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 方 法 を 説 明 す る と 共 に 、 境 界 条 件 の 与 え 方 を 新に提 案する。
第3章 で は 、Arプ ラ ズ マ ス テ ッ プ 応 答 時 間 特 性 を 解 析 す る 。 電 源 電 圧 振 幅 を ス テ ッ プ 変 化 させる 際に、電極直前で 、短時間領域におけ る電子数密度の過渡応答は オーハ゛シューI と アンタ゛一 シ ュ ーI 現 象 が 現 わ れ る 。 ス テ ッ プ 滅 少 す る 際 に 、 長 時 間 領 域に おけ る 荷電 粒子 の 過渡 応答 は 、 シ ー ス 領 域 で 約100RF周 期(7〜10彫s) 荷 電 陸 子 密 度 が 勘 ロ し 、 そ の 後 、 約1300RF周 期 (100 ロs) を 経 て 密 度 は 減 少 す る 。 ま た 、 こ の際 、 平均 電子 エ ネル ギーtま三 種 の特 性応 答 時間 を持 ち 、 r1( 約230RF周 期 、17彫s) は ス テ ッ フ 葱 イ 匕 幅 と 関 係 な く 、 イ オ ン の 平 均 ド リ フ 卜 時間 であ る 。 で2は ス テ ッ プ 変 化 幅 に 依 存 し 、 イ オ ン 拡 散 時 間 で 、500RF (37ロs) 周 期 以 上 に な る 。 で3は ス テ ッ プ 変 化 幅 に 依 存 し 、 中 性 粒 子 の 過 渡 応 答 時 間 で あ る 。 ま た 、Arプ ラ ズ マ が ー つ の 定 常 状
態か ら次 の定 常状 態 まで の過 渡応 答 は0.5ms 以 上 カ泌要である 。ステッブ変化する際に、 荷電 粒子 数密 度の 過渡 応 答に 過渡振動 が起き、イオン移動度と電子 拡散係数は荷電粒子数密度 の過 渡振動周期に影響を与える 。
第4 章では、SiH4 プラズ マスのステッブ過渡応答に つしヽて述べる。sn'i4 プラズマの定常状 態では、正イオンシース幅 はノルレクの負イオン密度に よって決定され、負イオン密度の増加に 伴いシ ース幅は増加する。Vrf をス テップ滅少する際に、S1H4 プ ラズマスは三つの過渡応答 可能 性があ る。@ステップ変化幅△Vrf は小さい場合に、荷電粒子密 度が指数的に変化し、次の 定常 状態 に達 する 過渡 時 間は 約5000RF 周 期(370 ロ
s) カ泌 要と する 。 ◎減 少幅 の△Vrf は大き く、
Vrf
を
200V以 下に 下げ ると 、 放電 空間 内に プラ ズ マを維持する ことができなくなる(本研 究で 設定 した 放電 回路 に おけ る条 件) 。 ◎Vrf を350V 前後にステッ プ滅少させる際に、プラズ マは 約
3500RF周 期
(26011s)の タ イ ム ス ケー ル で周 期振 動す る 。こ の振 動は 負イ オ ンの 存在 によ り生 じる こと であ る 。負 イオン拡 散係数が大きくなると振動周 期は短く、負イオンの移動 度が 大きくなると振動周期は長 くなる。
第
5章では、Ar. SiH4 プラズマ の′ルレス応答について検討 する。Ar プラズマにおいて は、
パルス 周期同じく、デューティ比は
1/1より小さい場合では、シ ース領域の電子とイオン密 度が 平均的に減少し、デューテ ィ比は1/1 より大きぃ場合では、密度が増加する。同じデューティ比、
ノルレス周期は長い場合で は、電子とイオン密度が高くなる。SiH4 プラズマにおいて、ノヅレス周 期は2000RF 周期(150 ロs )以上にな ると、荷電粒・子密度の最大 値は′ツレス周期に強く依 存し なく 、デ ュー ティ 比 に強 く依存す る。デューティ比が大きい場 合では、正・負イオン密度 が増 加す し、 正イ オン 電 極に 到着する 時間は長くなり、しかし、負 イオンは、デューティ比が 小さ くな ると 電極 に到 着 時間 は長くな り、正・負イオンは電極に到 着位相が反対である。また 、平 均電 子工 ネル ギー は パル スの変化 に応答する時間は極めて短く 、平均電子工ネルギーの最 大値 はデ ュー ティ 比に 依 存し なく(パ ルス周期は数RF 周期より長い 場合)、電子密度とイオン 密度 は同じ時間スケー儿でノヅレニU 蓋答する。Lq れの場合にラジカルSiH3 はノヅレス変調より電極に 到着する量が増加する。
以 上 の
Ar丶
S1H4プ ラ ズ マ の 過 渡 応 答 時 間 特 性 を 本 研 究 に よ り 明 ら か に し た 。
第6 章は 、本 研究 の結 論 であ り、 本研 究で 得 られた結果を まとめて示し、今後の研究 課題
について述べる。
学位論文審査の要旨 主 査 教授 酒井洋輔 副査 教授 長谷川英機 副 査 教授 本間利久 副 査 教授 榎戸武揚
学 位 論 文 題 名
Ar , SiH4 ガスRF 非平衡プラズマの過渡応答解析
近年 、弱電 離非平衡 プラズ マは機能 性薄膜の ブロセ スのみな らず、 半導体デバイス の高速化、高集積化に伴い高度なPVD (Plasma Vapor Deposition )やエッチング技術にま すま す重要 性を増し ている。しかし、現実には、ブラズマ中では電子とガス原子・分子 間の 衝突、 ラジカル の生成、それと他粒子の衝突反応、イオンやラジカルの固体表面へ の衝 突など は同時に 進行するため、基板上に流入する粒子の制御が容易ではない。さら には 、基板 表面の電 荷蓄積、ブラズマ中でのダスト発生等のことが問題となっている。
この 問題に 対処する ため、現在RF プラズマをバルス制御する方法が提案されている。し か し 、 そ の 際 の ブ ラ ズ マ の 応 答 特 性 に は 明 ら か に さ れ て い な い 点 が 多 い 。
本論文は、Ar と
SiH4ガスプラズマを駆動するRF (
13.56MHz )電圧をバルス変調した際に 得ら れる電 子、イオ ンおよび中性粒子の密度、電子エネルギーやシース電界の過渡応答 特性を流体モデルを用いて解析したものである。
Ar
ガス プラズ マにおいて、電源電圧をステップ的に減少すると、電子・イオン密度は バルク中では単調に減少するが、シース領域では約100RF 周期(7‑‑ 10 肛s )間は増加し、
その 後減少 し約1300RF 周期(100 弘s )で定常値に達する。この特性はイオンのドリフト 速度 と両極 性拡散係 数に依存することが明らかにされた。また、平均電子工ネルギーの 過渡 変化に は三種類 の特性時間、すなわちf .(イオンのシース移動時間;約17 皿
s)、
f
,(荷電 粒子密 度空間分布の再調整時間;約37,LLs )、f ヨ(励起粒子の拡散時間)が 対応 し、定 常状態を 得るまで に必要 な時間は
0.
5ms以上 であるこ とを明らかにした。
電気 的負性 ガスであ る
SiH4定常 ブラズマ のシー ス幅はバ ルクの 負イオン密度により 決定 される 。電源電 圧550V をス テップ的 に変化した場合、@電圧のステップ変化値△
V rfの小 さい場 合、プラ ズマ密 度は時間 とともに 指数的に変化し、その過渡時間は約500
ORF周期(
370us)、 ◎△Vrf く−200V に なると プラズマ を維持 できなく なる、◎△Vrf をー
350V前後に した場合 プラズ マは約3500RF の周期
(260Us) で振動 する、ことを明ら かに した。 特に、◎ 振動の生じる現象は本研究で発見したものである。その原因を詳細 に検 討する とともに 、振動は負イオンの存在(その拡散係数と移動度)によって生じる ことを示し、本現象が基板表面に与える効果を検討した。
さら には、 バルス変調されたAr とSiH4 ガスRF プラズマの応答について検討し、ブラズ
マ の 特 性 と バ ル ス の 周 期 と デ ュ ー テ イ と の 間 の 関 係 を 広 く 検 討 し た 。
以上 のよう に、本論文はブラズマによる半導体集積デバイス微細ブロセスに重要な技
術であるバルス変調RF ブラズマの過渡応答特性を電算機シミュレーションにより、定量 的に検討したものであり、非平衡プラズマ工学および半導体プロセス工学の進歩に貢献 するところ大なるものがある。