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C-メチルカリックス[4]レゾルシンアレーンの化学修飾による エポキシ樹脂用高耐熱硬化剤の開発

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Academic year: 2021

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全文

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1.緒言

エポキシ樹脂は,接着性,耐熱性,耐薬品性,強靭 性などの優れた性能を有し,電子材料に好適に用いら れている。近年,車載用半導体の増加,パワー半導体 の増加,特に炭化ケイ素等の新規半導体による動作温 度の上昇などにより,電子材料に使用するエポキシ樹 脂への高耐熱化の需要が高まっている。エポキシ樹脂 の高耐熱化の方法として,高架橋密度化,剛直な骨格 の導入,スタッキング構造の導入による高ガラス転移 温度(以下,Tg)化やマトリックス樹脂のミクロブ ラウン運動を抑制する有機・無機ハイブリッド化が考 えられる1)-5) 本報告では,高架橋密度化,樹脂硬化物中への剛直 な骨格の導入を検討した結果を報告する。高 Tgを発 揮するエポキシ樹脂及び硬化剤として,トリフェノー ルメタン(TPM)型エポキシ樹脂,およびトリフェノー ルメタン(TPM)型フェノール樹脂が入手可能である。 しかしながら,これらの組合せで合成される硬化物は, 200 ℃付近に Tgが存在し,熱的特性としては不十分 であった。 一方,C-メチルカリックス[4]レゾルシンアレーン (CRA)6)は,多官能であり,水酸基当量が小さいこ とから,高架橋密度が期待され,さらに芳香族基含有 の環状構造で剛直であることから,合成された架橋物 は,高い Tgを有することが期待される。そこでさま ざまな CRA 誘導体類を合成し,それらを新規硬化剤 としてエポキシ樹脂硬化反応について検討し,得られ た硬化物の熱的特性について検討した。

2.実験操作

2.1 硬化剤の合成方法 2.1.1  C-Methylcalix[4]resorcinarene(CRA)の 合成 文献に記載の方法で合成した6) 2.1.2 CRA-1PGE の合成 500 ml のセパラブルフラスコに,CRA(54.4 g, 0.10 mol),フェニルグリシジルエーテル(PGE)(13.4 g, 0.10 mol),トリフェニルホスフィン(TPP)(0.125 g, 0.48

【報 文】

C-メチルカリックス[4]レゾルシンアレーンの化学修飾による

エポキシ樹脂用高耐熱硬化剤の開発

中村 真也*・工藤 宏人**・西久保 忠臣*** 概   要 高耐熱樹脂組成物用の新規硬化剤として,高 Tgを発揮するものの溶解性が低い環状フェノール化合物 C-メチ ルカリックス[4]レゾルシンアレーン(CRA)の分子修飾による溶解性及び流動性向上を試みた。CRA とグリ シジルフェニルエーテル,アセチルクロリド,あるいはアリルブロミドとの反応により,フェノール性水酸基を 部分的にエーテル化,アセチル化,あるいはアリルエーテル化することで CRA 誘導体類を合成した。その結果, アリルエーテル化の場合,得られた CRA 誘導体(CRA−50% AE)の溶解性や流動性は最も優れていることが 分かった。合成した CRA−50% AE をトリフェノールメタン型エポキシ樹脂の硬化剤として使用したところ, Tgレスの硬化物が得られ,トリフェノールメタン型フェノール硬化剤と同等の流動性を発揮することが分かっ た。 * 日立化成株式会社 開発統括部 エレクトロニクス 関連材料開発センタ 封止材料開発部 〒 307−0015 茨城県結城市大字鹿窪 1772−1 ** 関西大学 化学生命工学部 化学・物質工学科 〒 564−8680 大阪府吹田市山手町 3−3−35 *** 神奈川大学 工学部 物質生命化学科   〒 221−8686 神奈川県横浜市六角橋 3−27−1

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mmol)及びメチルイソブチルケトン(MIBK)(200mL) を混合し,かくはん棒でかくはんしながら 30 時間加 熱還流した後,アスピレータで減圧しながら,MIBK を留去して,対応する生成物 CRA−1PGE を得た7), 8) 収量は 67.1 g で,収率は 99%であった。 2.1.3 CRA-2PGE の作製 PGE(26.8 g, 0.20 mol)を使用し,CRA−1PGE の 場合と同様にして合成した。収量は 80.5 g で,収率 は 99%であった。 2.1.4 CRA-50% Ac の合成 既報に従い以下の方法で合成した。200 ml の四つ 口フラスコに,CRA (8.17 g,15 mmol)を N- メチ ルピロリドン(NMP)(80 mL)中,ピリジン(9.7 ml,120 mmol)と塩化アセチル(5.1 ml,72 mmol) 存在下,アルゴン雰囲気下,室温で 24 時間反応させた。 その後,反応混合物を貧溶媒に蒸留水(800 mL)を 用いて再沈殿し,対応する固体を得た。得られた固体 をろ過で回収し,良溶媒に THF(100 mL),貧溶媒 に蒸留水(500 mL)を用いて,再沈殿を 3 回行い, 対応する固体を得た。得られた固体を 60 ℃で 2 時間, 120 ℃で 3 時間真空乾燥して,目的の化合物 CRA− 50 % Ac が 得 ら れ た7), 8)。 収 量 は 8.6 g で, 収 率 は 80%であった。 2.1.5 CRA-100% Ac の合成 塩化アセチル(10.2ml,144 mmol)を使用した以 外は,上記 CRA−50% Ac の合成と同様に行い,対 応する化合物 CRA−100% Ac を合成した。収量は 11.6 g で,収率は 90%であった。 2.1.6 CRA-50% AE の合成 300 ml の四つ口フラスコに窒素雰囲気下,ジメチ ルアセトアミド(DMAC)(150 mL)を加え,かくは んしながら CRA(15.0 g,27.8 mmol)を徐々に加え て溶解させた。さらに炭酸カリウム(10.7 g,77.7 mmol)を加えた後,臭化アリル(9.4 g,77.7 mmol) を徐々に滴下し 80 ℃で 7 時間加熱した。反応終了後, 反応液に酢酸エチル(250 mL)を加え 1L のビーカー に移しよくかくはんしながら析出固体が溶解するまで 5N の塩酸を加えた。これに蒸留水約 150 mL を加え た後,有機層を水層が中性になるまで水洗し硫酸マグ ネシウムで脱水後,溶媒を留去し 80 ℃で加熱減圧乾 燥させた。次に得られた固体を THF 50 ml に溶解さ せ,残存する不溶物(CRA)を沪別した。沪液をよ くかくはんしながらヘキサン 900 mL に滴下し得られ た粉体を沪取して 110 ℃で 3 時間加熱減圧乾燥させ, 目的化合物 CRA−50% AE を得た7), 8)。収量は 13.8 g で,収率は 71%であった。 2.2 硬化剤の特性評価 2.2.1 使用した樹脂の構造 使用した市販のエポキシ樹脂及びフェノール樹脂の 構造式を Scheme 1 に示す。 2.2.2 エポキシ樹脂との溶解性評価 アルミカップ上にエポキシ基/(フェノール性水酸 基 + アセトキシ基 + アリルエーテル基)= 1/1 となる ようにエポキシ樹脂と硬化剤を投入し,ホットプレー ト上で 130 ℃から 150 ℃に 20 分かけて徐々に温度を 上げていき,溶解性を評価した。 2.3 樹脂組成物の作製方法 トリフェノールメタン型エポキシ樹脂(EPPN− 502H)を用いて,エポキシ基/(フェノール性水酸基 + アセトキシ基+アリルエーテル基)= 1/1 で樹脂分 が 15 wt%,球状溶融シリカを 85 wt%となるように 配合して,8 インチの 2 本ロールにて 80 ℃で 10 分混

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練した。 2.4 硬化形成過程の調整法 2.4.1 ゲルタイム JSR 製キュラストメータを用い,3 g の樹脂組成物 試料を,180 ℃の条件で測定し,トルク曲線の立ち上 がりまでの時間をゲルタイムとした。 2.4.2 スパイラルフロー EMMI−1−66 に準拠したスパイラル金型がセット されたトランスファプレスを用い,20 g の樹脂組成 物試料を 180 ℃,90 秒,6.9 MPa の条件で成型し, 流動距離を求めた。 2.4.3 熱時硬度 50 mm φ× 3 mm の円板金型をトランスファプレ スにセットし,40 g の樹脂組成物試料を,180 ℃,90 秒,6.9 MPa の条件で成形し,成形直後の熱時硬度を ショア硬度計 D タイプで測定した。 2.5 硬化物特性の測定 2.5.1 測定サンプルの調整 所定の金型を用い,180 ℃,90 秒,6.9 MPa の条件 で樹脂組成物を成形し成型直後の試験片を 175 ℃ま たは 250 ℃で 6 時間の後硬化(AC)を行い,試験片 を作製した。 2.5.2 動的粘弾性 レオメトリックサイエンティフィックエフイー株式 会社製粘弾性測定装置 ARES を用い,175 ℃又は 250 ℃ で 6 時間後,硬化した試験片(10 mm × 70 mm × 3 mm)を,ダイナミックモードで昇温速度 5 ℃/min, 測定周波数 6.28 rad/s の条件で測定した。

3.結果と考察

3.1  C -メチルカリックス[4]レゾルシンアレーン (CRA)誘導体類の合成 CRA は,水酸基当量が小さいこと及び環状構造で あることから,エポキシ樹脂の硬化剤として用いたと きに高架橋密度となり,高 Tgを発揮すると予想され る。しかしながら,溶解性が低いため,エポキシ樹脂 との相溶性が悪く,エポキシ樹脂組成物中に溶け残る, すなわち,固形分として存在することから,粘度上昇 による流動性低下の懸念がある。また,硬化後も硬化 物中に溶け残りとして存在して,良好な硬化物が得ら れない可能性がある。そこで,CRA のフェノール性 水酸基を化学修飾して溶解性の向上を試みた。今回, CRA のフェノール性水酸基 8 個に対して 1 個のフェ ニルグリシジルエーテル(PGE)を導入した CRA 誘 導体 CRA−1PGE を合成した。同様にして,CRA の フェノール性水酸基 8 個に対して 2 個のフェニルグリ シジルエーテル(PGE)を反応させた CRA−2PGE を合成した。次に,CRA のフェノール性水酸基の半 分 を ア セ チ ル 化 し た CRA 誘 導 体 CRA−50 % Ac, CRA のフェノール性水酸基の全てをアセチル化した CRA 誘導体 CRA−100% Ac を合成した。さらには, CRA のフェノール性水酸基の半分をアリルエーテル 化した CRA−50% AE を合成した(Scheme 2)。 CRA−1PGE と CRA−2PGE を硬化剤として応用 する場合,得られた硬化物の架橋点は CRA を硬化剤 に用いた場合よりも低下し,架橋密度は低下すると考 えられる。一方,CRA−Ac の場合,アセチル化部位 が活性エステルとして,架橋点として作用することが 予想される(Scheme 3)。 さらに,CRA−50% AE の場合,架橋硬化反応時 にクライゼン転位が進行し,アリルエーテル化部分は, フェノール性水酸基に変化し,架橋点として作用する ことが期待される(Scheme 4)。 Scheme 2 CRA 誘導体類の合成.

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3.2 CRA 誘導体類とエポキシ樹脂との相用性 エポキシ樹脂類と CRA 誘導体類の架橋硬化反応は, 均一系で進行させることが必要である。そこで, CRA 誘導体類とエポキシ樹脂との溶解性について検 討した。また,高耐熱(高 Tg)の硬化物を得ること が目的であることから,エポキシ樹脂としては,高 Tg化が期待されるトリフェノールメタン(TPM)型 エポキシ樹脂であるエポキシ当量 170 の日本化薬社製 EPPN−502H(Scheme 1)を用いた。エポキシ基と (フェノール性水酸基+アセトキシ基 + アリルエーテ ル基)が等量となるようにエポキシ樹脂と硬化剤を混 合して 130 から 150 ℃に昇温して溶け残りを観察し た。結果を Table 1 に示す。完全に溶けたものを○, 目視にて溶け残りが少なく明らかに未修飾の CRA よ り改善しているものを△,目視で CRA との違いが観 察されないものを×とした。 その結果,CRA−50% AE のみが,完全に溶解し, 相溶性が最も高いことが分かった。また,CRA− 50% Ac の溶解性は向上しているものの一部溶け残り があることが分かった。その他は明らかな溶解性向上 効果は観察されなかった。CRA−50% AE は,混合 して加熱を始めると,エポキシ樹脂が溶けるのとほぼ 同時に溶解し,エポキシ樹脂と相溶するため,特に優 れた溶解性であると考えられる。 3.3  CRA 誘導体類とエポキシ樹脂との熱硬化反 応と得られた硬化物の特性 CRA 誘導体類と EPPN−502H との架橋硬化反応を 検討した。比較として,CRA と MEH−7500 を用い て同様に検討した。特に,MEH−7500 はトリフェノー ルメタン(TPM)型フェノール樹脂で(水酸基当量 103),高 Tg化が期待される。樹脂組成物は樹脂分が 15 wt%,球状溶融シリカを 85 wt%となるように作 製した。架橋硬化反応条件,および得られた架橋硬化 物の物理的特性の結果を Table 2 に示す。 CRA を硬化剤として用いた樹脂組成物は,ゲルタ イム及び熱時硬度から,硬化性は良好であるが,流動 性( ス パ イ ラ ル フ ロ ー) が 低 い こ と が 分 か っ た。 CRA と CRA−1PGE は溶解性が低く,流動時は固形 分として存在するため,MEH−7500 と比較して流動 性が大幅に低下することが分かった。CRA−50% Ac は CRA を用いた樹脂組成物より流動性が低下するこ とが分かった。このことは,CRA−50% Ac の溶解性 は高いものの CRA と比較して分子量が大きくなって いるため,溶解後の粘度が高くなっていることが原因 と考えられる。さらに,CRA−50% AE の場合,CRA Table 1  EPPN−502H と CRA 及び CRA 誘導体の 150 ℃に

おける溶解性 エポキシ樹脂 硬化剤 相溶性 EPPN-502H CRA × EPPN-502H CRA-1PGE × EPPN-502H CRA-2PGE × EPPN-502H CRA-50%Ac △ EPPN-502H CRA-100%Ac × EPPN-502H CRA-50%AE ○ Table 2  EPPN−502H と各種硬化剤との樹脂組成物の硬化特性 硬化剤 ゲルタイム スパイラル フロー スパイラル フロー/ゲ ルタイム比 熱時硬度 s cm cm/s shore-D MEH-7500 21 83 4.0 88 CRA 22 46 2.1 89 CRA-1PGE 22 45 2.0 88 CRA-2PGE −a) a) a) -a)

CRA-50%Ac 18 20 1.1 87 CRA-100%Ac −a) a) a) -a)

CRA-50%AE 15 74 4.9 85

a) Not determined.

Scheme 3 CRA−50% Ac とエポキシ樹脂との架橋反応.

Scheme 4  CRA−50% AE のクライゼン転移反応を利用した エポキシ樹脂との架橋反応.

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を用いた樹脂組成物より流動性が大幅に向上した。こ の場合,スパイラルフロー/ゲルタイム比が大きいこ とから,ゲルタイムを調整することで,MEH−7500 の場合以上の流動性が得られると期待できる。また, 熱時硬度についても,CRA と比較してやや劣るが, 80(shore-D)を超えていれば成形には全く問題ない と考えられる。 以上より,CRA−50% AE が,溶解性に優れ,溶 解後に低粘度であることから流動性に優れると考えら れ,硬化特性の点で最も優れた硬化剤として利用可能 であることが判明した。 3.4  CRA 誘導体とエポキシ樹脂との架橋硬化物 の動的粘弾性

次に,CRA,および CRA 誘導体と EPPN−502H の熱硬化反応で作製した架橋硬化物の動的粘弾性を測 定した。後硬化の条件を 175 ℃,6 時間とした場合の 結果を Fig. 1 に示す。 CRA を硬化剤として用いた場合,低温と高温での 弾性率変化が少なく,250 ℃までの範囲には明確な Tgを示さないことが判明した。CRA はエポキシ樹脂 との溶解性は悪いため,良好な硬化物が得られない可 能性があると考えていたが,硬化時に溶けながら反応 して,大部分が反応しながら均一となっていると推定 した。CRA−1PGE 及び CRA−50% Ac を用いた場合, CRA より若干高温における弾性率が低下するものの, ほぼ同等で Tgレスに近い挙動を示すことが分かった。 CRA−50% AE の場合は,MEH−7500 と同様に 175 ℃付近から徐々にゴム状態へ変化していくことが分 かった。しかしながら,高温(250 ℃付近)での弾性 率は,MEH−7500 を用いた場合よりも高く,250℃ 付近から上昇に転じていることから,測定中に架橋反 応が進行している可能性が示唆された。すなわち,本 条件の 175 ℃の後硬化では不十分の可能性がある。 そこで,後硬化条件を 250 ℃,6 時間として,CRA, MEH−7500 及び CRA−50% AE を硬化剤として用 いた硬化物の動的粘弾性を測定した(Fig. 2)。 その結果,CRA を用いた場合,175 ℃後硬化と 250 ℃後硬化で大きな変化はないが,CRA−50% AE を 用いた場合は,175 ℃で後硬化した硬化物に見られた ガラス状態からゴム状態への変化は観察されなかっ た。さらに,この場合,Tgレスに近い挙動を示すこ Fig. 1  175 ℃,6 時間後硬化で得られた硬化化合物の動的粘 弾性. Fig. 2  250 ℃,6 時間後硬化で得られた硬化化合物の動的粘 弾性. とが判明した。以上のように CRA−50% AE は CRA の場合と同様な架橋硬化物が得られることが判明し た。このことから,CRA−50% AE は,高温下の架 橋硬化反応において,クライゼン転移反応が進行し, 水酸基が生成され,新たな架橋点が形成された可能性 があることが示唆された。 以上のことから,CRA−50% AE は優れた溶解性, 耐熱性,架橋反応特性を有する硬化剤として,応用可 能であることが判明した。

4.まとめ

CRA の高 Tgを維持したまま溶解性を向上させる ため,CRA の水酸基を部分グリシジルエーテル化し た CRA 誘導体(CRA−1PGE,CRA−2PGE),アセ チ ル 化 し た 誘 導 体(CRA−50 % Ac,CRA−100 % Ac),およびアリルエーテルした CRA 誘導体(CRA −50% AE)を合成した。合成した CRA 誘導体類と エポキシ樹脂(EPPN−502H)との相用性と熱硬化反 応および,得られた硬化物の動的粘弾性について検討 した。その結果,CRA−50% AE の場合,エポキシ 樹脂との相用性及び低粘度性は大きく向上して,成形 性は大きく改善した。さらに,CRA−50% AE を用 いて得られた硬化物は,250 ℃で後硬化することで, CRA を用いた場合の硬化物と同様に優れた熱的特性

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を示すことが判明した。以上のことから,CRA− 50% AE は,高耐熱用樹脂組成物の硬化剤として期待 される。 参考文献 1) “総説エポキシ樹脂 基礎編 I”,エポキシ樹脂技術 協会(2003). 2) “総説エポキシ樹脂 最近の進歩 I”,エポキシ樹脂 技術協会(2009). 3) 高橋昭雄,ネットワークポリマー,33,2,34−35 (2012). 4) D. Nakajima et al., The Electronic Components and Technology Conference, 54, 1825(2004). 5) 中村 孝,MATERIAL STAGE, 9, 7, 47(2009). 6) H. Kudo, K. Mitani, T. Nishikubo, M. Mitsuishi, and

T. Miyashita, Bull. Chem. Soc. Jan., 77, 819−826 (2004).

7) 工藤宏人,亀山 敦,西久保 忠臣,日本印刷学会誌, 39,394−399(2003).

8) T. Nishikubo, A. Kameyama, and H. Kudo, Polymer Journal, 35(3), 213−229(2003).

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Development of High Thermal Resistant Hardener using C-Methylcalix[4]

Resorcinarene Derivatives for Epoxy Thermosetting Resin System

Shinya naKaMura,* Hiroto KudO,** and Tadatomi niShiKubO***

* Encapsulation Materials R&D Dept., Electronics-related Materials Development Center, R&D Headquarters, Hitachi Chemical Co.,Ltd.

(1772−1, Kanakubo, Yuuki-shi, Ibaraki 307−0015, Japan)

** Department of Chemistry and Materials Engineering, Faculty of Chemistry, Materials and Bioengineering, Kansai University

(3−3−35, Yamate-cho, Suita-shi, Osaka 564−8680, Japan)

*** Department of and Material and Life Chemistry, Faculty of Engineering, Kanagawa University (3−27−1, Rokkakubashi, Yokohama-shi, Kanagawa 221−8686,Japan)

Synopsis

Synthesis and physical properties of C-methylcalix[4]resorcinarene (CRA) derivatives were examined relevant to novel cross-linkers for epoxy thermosetting resin system. The CRA derivatives were synthesized by the reaction of CRA with glycidyl phenyl ether (PGE), acetyl chloride (AC), and allyl bromide, yielding CRA−PGE, CRA−AC, and CRA− AE, respectively. Among them, CRA−AE had better solubility and flowability. Furthermore, the curing material could be obtained by epoxy thermosetting system using CRA−AE, and its no Tg could be shown, i.e., it is a Tg-less cured resin.

(Received September 29, 2017 ; Accepted November 7, 2017)

[Original]

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