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フェノール樹脂接着剤の硬化速度に関する研究

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(1)

九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

フェノール樹脂接着剤の硬化速度に関する研究

塔村, 真一郎

九州大学農学研究科林産学専攻

https://doi.org/10.11501/3060357

(2)

第5章 添加剤と硬化速度

フ ェ ノー ル樹脂の硬化速度を高め るために反応性の 高 い物質を添加し たり, ある種の塩類などを加えたりする

ことは これまでに い ろい ろと試みられている。 そのうち レ ゾルシ ノール メタクレ ゾール, イ ソ シ アネート5. 8・

8 4 ) のような高反応性物質は反応体とし て縮合反応系に 入り, ポリマーネ ッ ト ワークの構成成分となる。 これら 以外に硬化促進剤とし て知られるものに, 炭酸ナトリウ ム 8〉, 重炭酸ナトリウム 85), 炭酸カリウム 86〉, ラクト ン類8}, ホル ム ア ミ ド87. 8 8 )などが挙げられる。 このう ち炭酸ナトリウム は, アル カリ性フ ェ ノ ール樹脂接着剤 の硬化促進剤とし て実用的に用いられている。 しかし,

その作用機構に関し ての報告はみあた らない (樹脂製造 の際の アル カリ触媒とし て使用し, 樹脂の性状に及ぼす 触媒の 種類の影響を調べた文献 76・ 77)は あるが, 硬化速

度との関連に は触れていない)。 また, ホル ム ア ミドは 特許文献に挙げられているが, 現実に は 使用されておら ず, 作用機構 も知られていない。

106

(3)

そ こ で, 本章では炭酸ナトリウムの硬化促進作用機構

を解明するために, 種々 の実験を行 っ た。 また, ホルム

アミドに つい ても二, 三の知見を得た。

5 .

1

炭酸ナトリウム の硬化促進作用

5

. 1 . 1 実験方法

5

. 1 . 1 . 1

試料の調製

炭酸ナトリウム の硬化促進効果, 炭酸塩の種類に よる

差異, 添加量の影響を調べるために, 実用に近い フ ェ ノ

ール樹脂を調製し た。 すなわち, F/Pモル比2, NaOH/Pモ

ル比o . 3 5の組成比で9 0 oC, 7 0分間反応させた。

炭酸ナトリウム添加系の硬化速度のF/Pモル比依存性,

NaOH/Pモル比依存性および温度依存性を調べるための実

験には, 既述の方法(4 . 1 . 2) に よ っ て調製し た メチ

ロ ール化フ ェ ノール (6 0 oC, 6 0分反応) を用い た。

(4)

5 . 1 . 1 . 2 各種添加斉11

炭酸ナトリウムと比較するために 用い た各種添加剤は

以下のとおりである。 炭酸塩 : 炭酸リチウム(Li2C03),

炭酸カリウム(K2C03)。 ナトリウム塩 塩化ナトリウム

(N a C

1

) , 酢酸ナトリウム(CH3COONa)。 リ ン酸塩

リ ン酸

水素二カリウム(K2HP04) , リ ン酸二水素カリウム(KH2P04)。

過塩素酸塩 : 過塩素酸リチウム(LiCI04), 過塩素酸ナト

リウム(NaCI04)。 炭酸ナトリウム その他の添加斉1Jの添加

量は各図の注釈に 表示し てある。

硬化の方法, ゲル化時間の測定, ゲル部率の算出法,

粘度の測定などは既述( 1 . 1 ) に準じた。

5 . 1 . 2 結果と考察

5 . 1 . 2 . 1 炭酸ナトリウムの硬化促進作用

炭酸ナトリウムの硬化促進作用機構に つい て はまだ明 確に説明され てい ない ので, まず, 炭酸ナトリウムの作

用が塩効果に よる ものかど うかを調べてみた。

108

(5)

各種添加斉1Jを通常の フ ェ ノール樹脂に添加し たときの ゲル化速度を比較した結果をFig. 28に示す。

他の塩類に比べ, 炭酸ナトリウムの硬化促進効果が著 しく大きく, 単なる塩効果に よるものではない こ とがわ かる。 アルキル化や脱水などの諸反応の触媒とし ての働 きが知られているリン酸塩や過塩素酸塩89) に ついても 数種調べたと こ ろ, リン酸塩に ついてはわずかに硬化を 速めているが, 系が アルカリ性のため, その働きがほと ん どないものと思われる。 しかし中性では フ ェ ノール樹 脂は沈澱凝固してし まうので, 仮に効果があ っ たとし て も使用できない。

次に, 炭酸塩の種類に よる違いを調べてみた。 炭酸塩 にはい ろい ろあるが, リチウム塩, カル シ ウム塩, バリ ウム塩など水に難溶性のものが多く, 炭酸カリウムと炭 酸ナトリウム だけが比較できた。 こ の二種の炭酸塩と フ

ェ ノールlモルあたりo . 1モル添加して, 樹脂の硬化経過 を比較した結果をFig. 29に示す。

樹脂のゲル部生成経過はカリウム塩とナトリウム塩と で全く差異がみられず, 炭酸塩の硬化促進作用の主体は 炭酸部にあると考えられる。 メチ ロ ール基どうし の反応

(6)

Control

Na2C03 2.5%

5 .0%

K2HP04 2 .5弘 5 0 � KH2P04 2.5%

5.0%

LiCI04 5 .0%

NaCI04 5.0%

Na2C03 2.5%

K2日P04 2.5%

Na2C03 2.5%

KH2P04 2.5%

Na2C03 2.5%

LiCI04 2.5%

Na2C03 2.5%

NaCI04 2.5%

。 5 10

ljtg

X

103 (sec-1)

Fig. 28. Effects of salts on the gelation rate of a PF resin.

Notes: Curing temperature: 110oC. PF resin: An ordinary resin with a F/P molar ratio of 2.2 and a NaOH/P molar ratio of 0.35.

110 -

(7)

100

Fig. 29. Time-course of the formation of the gel fraction in PF-carbonate systems at 110oC.

Legend: (): PF-sodium carbonate system with a Na2C03/P molar ratio of 0.1. 口: PF-potassium carbonate system with a K2C03/P molar ratio of 0.1. ム: Control.

Note: PF resin: An ordinary resin with a F/P molar ratio of 2.0 and a NaOH/P molar ratio of 0.35.

(8)

で メチ レ ン 基を生ずるときには, ナトリウム イ オ ンが触 媒的役割を果たし てい るとい う報告9 )もあるが, これは ジメチ レ ン エーテ ル結合が分解し てメチ レ ン結合と ホル ム アルデヒ ドになる反応を触媒するとし ており, 硬化反 応全体の速度を増す ことはない と思われる。 その証拠に 塩化ナトリウムや酢酸ナトリウムを添加し ても, フ ェ ノ

ール樹脂単独のゲル部生成経過と ほとん ど変わらなか っ

また, 炭酸ナトリウムは アルカリとし ての働きもある ので, アルカリ/ フ ェ ノールモル比が変わる こ とによる 速度の増加ではない かとい う こ とも考えられる。 しかし,

これは以下に述べる理由により, 否定される。 Fig. 29 のNaOH/Pモル比はo . 3 5であり, 炭酸ナトリウムが アルカ リとし て働くとすると, アルカリ/フ ェ ノールモル比は o . 3 5以上に なる。 Fig. 13でもわかるように, F/Pモル比 2 . 0の場合 . アルカリ/フ ェ ノールモル比が増すと硬化速 度は減少する傾向にある。 したが っ て, 炭酸ナトリウム の硬化促進効果は アルカリとし ての作用ではなく, 炭酸

部の働きによるものと考えられる。

112

(9)

5

. 1

. 2 . 2 F/Pモ ル比およびNaOH/Pモ ル比の影響

炭酸塩の作用がフ ェ ノール樹脂の硬化反応機構にどう

関わるのかを, フ ェ ノール樹脂単独の系と比較しながら

検討した。

まず, F/Pモル比の影響を調べた。

Fig. 30に炭酸ナトリウムを加えた系の硬化速度の F/P

モル比依存性を コ ン ト ロ ールのそれと比較したものを示

す。 炭酸ナトリウム添加系でも硬化速度は F/Pモル比の

二乗に ほぼ比例し, こ の図か らは炭酸塩の存在が, 樹脂

の硬化速度の F/Pモル比依存性を変える こ とはない (硬

化の主要な反応は メチ ロ ール基どうしの反応であるとい

う反応の内容は変 わらない) と考えられる。

つぎに, 炭酸ナトリウム添加系の ゲル化速度とNaOH/P

モル比の関係をFig. 31に示す。 そし て比較のため コ ン ト

ロ ール (フ ェ ノール樹脂単独系) のときの関係(Fig. 1 3)

を再掲する。

炭酸ナトリウム添加系のゲル化速度は コ ン ト ロ ールの

それより, 大きくな っ ているが, とくに曲線群の左半分

が上方へ大きく移動し ている こ とがわか る。 NaOH/Pモル

(10)

3

2

(刊luu∞)

パ日

、\

OH

守ー・4

×

。 。 4 6 8

(F/P)2 2

F/P molar Relationship between the curing-rates and the

Fig. 30.

in a PF-sodium carbonate system compared with ratios

system.

in the control that

Control system.

PF-sodium carbonate system. ム:

Legend: 。:

lmol of o .lmol to

sodium carbonate:

level of Addition

Notes:

NaOH/P molar ratio:

1100 C.

Curing temperature:

3.14mol/l.

114 - [P] :

phenol.

0.35.

(11)

3

(HIUU切)

A

3.0 2.5 2.0 1.5

2

mu C H

lQ みJ

...-i

、、、

×

0 6 0.5 1.0

B

F/P

3.0 2.5 ル2.0

1.5

ratio molar

NaOH/P 4

3

2

(Hluum)

.j.J

、、、

mh o -

...-i

×

% 1.0

r a t i

0

0.5

molar NaOH/P

rates of NaOH/P molar ratio-dependence of the gelation

31.

Fig.

(B) .

and PF-sodium carbonate systems system (A)

PF control

1mol of to

2mol/l.

O.lmol

、.E'EJ Pム F'EES』

level of sodium carbonate:

1200 C.

Curing temperature:

Addition phenol.

Notes:

(12)

比o. 3

-0 . 5あたりで . 両者の差が最も大きくな っ ているも

のの, あるNaOH/Pモル比のと こ ろでゲル化速度の極大値

をもち . その極大値はF/Pモル比によ っ て高アル カリ側に

シ フトするという全体的な傾向は, コ ン トロ ールと同じ

である。 し たが っ て, ゲル化速度のNaOH/Pモル比依存性

は炭酸ナトリウムを添加し ても変わらないといえる。 た

だし, その触媒作用の程度はNaOH/Pモル比によ っ て変わ

るようである。

両者のゲル化速度の差をNaOH/Pモル比に対し てプロ ッ

トし たものをFig. 32に 示す。

ご の図より , F / Pモル比2 . 5以下では. NaOH/Pモル比o . 3

のと こ ろがも っ と も差が大きく , 0 . 5以上になると その差

は小さくなり, 硬化速度に対するNaOH/Pモル比依存性に

及ぼすF/Pモル比の影響も小さい。 と こ ろが. F/Pモル比

3の場合だけはNaOH/Pモル比o. 6が最も大きく全体の形も

特異的である。 現段階で こ の現象を説明する こ とはでき

ないが. F/Pモル比2 . 5以下に 関し ては, 次のように 考え

られる。

NaOH/Pモル比がo. 3のときの初期 pHは, コ ン トロ ール

で9.96-9.98, 炭酸ナトリウム添加系で1 0.07-1 0 . 0 9であ

- 116

(13)

2

F/P

3.0 2.5 2.0 1.5

(Hluum)

出 d

。 。 1.0

ratio 0.5

molar NaOH/P

(ðRs) differences

gelation-rate of the

Variations Fig. 32.

carbonate systems and the control molar ratio.

the PF-sodium with NaOH/P between

systems

(14)

り約10前後である。 F/Pモル比による差は ほとん どない。

反応が進行し ていくとpHは多少低くなり, ゲル化時点で は約9 . 5 -

1

0になると予想される (実視IJは困難である)。

一方, こ の系と同じ濃度の炭酸ナトリウム水溶液での pH滴定結果からの計算による炭酸イオ ンと炭酸水素イオ

ンの組成とpHとの関係はFig. 33のようになる。

常温の水溶液と高温の フ ェ ノール樹脂液とでは条件が 違うので こ の量的関係がそのままあてはまるとする こと はできないが, {1頃向は{以たものであろう。 し たが っ て,

硬化促進効果の最も大きいpHIOあたりの炭酸ナトリウム のイオ ン組成は, 炭酸水素イオ ンがリ ッ チな状態であり,

こ の炭酸水素イオ ンが フ ェ ノール樹脂の縮合反応に対し て, 立体的にあるいは電子的に都合のよいものであると

推定できる。 また ,pH9あたりでは炭酸水素ナトリウムイ オ ンの濃度はpH10のときより高いにもかかわらず促進効 果は小さい。 こ の こ とから, 炭酸水素ナトリウ ムイオ ン が, 解離し た フ ェ ノールと未解離の フ ェ ノール聞の反応

を促進し ているものと思われる。

- 118 -

(15)

dむぺ戸吋口O〔~hu

1.0 H C03-

-dJVOJ日

0.5

Cコ キJ OH以吋'H'H吋【oz

。 11 12

pH

9 10

ion and hydrogen Changes of the arnounts of carbonate

33.

Fig.

ìn an aqueous solution at 250C.

as Na2C03・

rnol

/

l

ion with pH 0.233 Concentration:

carbonate Note:

(16)

5 .

1 .

2 . 3 硬化速度の温度依存性

硬化温度を1 0 0 OC , 1 1 0 OC , 1 2 0 OCの3種に設定し硬化速

度に対する温度の影響を調べた。 結果をFig. 34に示す。

アレ ニウス式から求められる見かけの活性化エネルギ

ーは, 炭酸ナトリウム添加系で 22.8kca1/mo1であり,

ン ト ロ ールのそれより .約1 .4kcal/molだけ小さい。

こ のように, 炭酸塩は硬化反応の見かけの活性化エネ

ルギーを僅かながらも低下させる こ とから, 硬化の主反

応であるメチ ロ ール基間の, あるいはメチ ロ ール基とフ

リーのフ ェ ノール核の未置換のオルト位やパラ位との間

の活性複合体形成に関与するのではないかと推測される。

5 .

1

. 2 . 4 硬化速度と粘度に及ぼす添加量の影響

炭酸ナトリウムの添加量と硬化速度の関係を相対速度

で表したものをFig. 35 に示す。 こ の図からわかるよう

に, 炭酸ナトリウムをフ ェ ノ ール 1

m

0 1に対し o . 1 m 0 1 添

加しただけで硬化速度はおよそ 3倍になる。 さらに添加

量を増やすと速度は増大するが .添加量が O. 3mo1 (対フ

- 120 -

(17)

kcal/mol Ea=22.8

ー0.5

-1.0

luu JV\O

kcal/mol Ea=24.2

-1.5

2.7 (K-1 ) 103

2.6 T

×

2.5

Fig. 34. Temperature-dependence of the curing-rate of a PF-sodium with that of a control system.

compared carbonate system

Control system.

carbonate system. ム:

Legend: 0: PF-sodium

60%.

reach to

gel fraction for the

required Time

t60:

Absolute temperature.

energy. T:

Ea: Apparent activation

of 0.35.

lmol ratio:

to molar O.lmol NaOH

/

P carbonate:

2.0.

sodium ratio:

of molar level F

/

P Addition phenol.

Note:

(18)

(0・0NJV吋)(ω臼吋OQ)hベ】吋mOU問日〉

6

4 3 5

2

。 6

。 。 3 2

(U・0【】J-ω) ω

U

島司

むぺHHN」ω〉吋叫ω-ω出

0.3

carbonate

0.2

sodium of

0.1

level Addition

vlscosity the

and cure of rate relative the

ln Changes 35.

Fig.

level of sodium addition

with the system resln

of the carbonate.

molar ratio of F/P

ratio of 0.4.

a with resln molar

122

An ordinary NaOH/P resln:

a and PF

2.0 Notes:

(19)

ェ ノール1 m 0 1 ) あたりでレ ベル オ フする。 こ こ では速度 が 6倍に もなり, 促進硬化そのものはよい のであるが,

同時に粘度の問題が生じる。 こ の図に示す粘度は, 炭酸 ナトリウム添加後, 常温で 3 0分経過したと きのものだが,

添加量とともに粘度が指数関数的に 増大するのが分かる。

したが っ て, 炭酸ナトリウムは添加後にかなり速く樹脂 分子問に作用し てい る こ とが推察される。 しかし, 実用 面では粘度の上昇はポ ッ ト ライ フを短縮するため マイナ ス要因である。

5 . 2 ホルム アミドの硬化促進作用

5 . 2 . 1 実験方法

5 . 2 . 1 .

1

試料の調製

F/Pモル比2, NaOH/Pモル比 o . 3で, 9 5 oC, 4 0分反応さ せた樹脂を用い た。 硬化に用い る試料, ゲル化時間の測 定, ゲル部率の算出は既述( 1 . 1 ) のと おりである。

(20)

5 . 2 . 1 . 2 樹脂液粘度の測定

フ ェ ノール樹脂に所定量のホル ム アミドを添加した後,

2 0 ocに保ち, 回転型粘度計を用い て樹脂液の粘度を一定

時間毎に測定した。

5 . 2 . 1 . 3 各種添加剤

ホル ム アミドと比較するために用い た各種添加剤は以

下のとおりである ア セト アミド(CH3CONH2), ジメチ

ルホル ム アミド(HCON(CH3) 2), ジメチル ア セト アミド

(CH3CHN (CH3) 2), アクリル アミド(CH2CHCONH2)。

ホル ム アミドその他の添加剤の添加量は各図表の注釈

に表示し である。

その他, 硬化の方法, ゲル化時間の測定, ゲル部率の

算出法などは既述( 1 . 1 ) に 準じた。

- 124 -

(21)

5 . 2 . 2 結果と考察

5 . 2 . 2 . 1 ホルム ア ミドの硬化促進効果

ホルム ア ミドを添加した系の硬化過程におけるゲル部

生成の経過を炭酸ナトリウム添加系および コ ン ト ロ ール

のそれらと比較したものをFig. 36に示す。

ホルム ア ミド添加系のゲル部の生成は コ ン ト ロ ールの

それより早く始まり, 確かに硬化初期におい て反応促進

効果がある こ とがわかる。 しかし, 硬化後期におけるゲ

ル部生成速度は, コ ン ト ロ ールよりむし ろ遅くなる。 樹

脂の色は コ ン ト ロ ールや炭酸ナトリウム系のそれらが赤

から赤紫へと変色し ていくのと異なり, 赤から暗灰色に

近ずい ていく。

次に添加量の影響を調べた結果をFig. 37 に示す。 対

フ ェ ノール モル比 o

.

3あたりまでは促進効果が大きくそ

れ以上ではいくぶん緩やかになるが, 少量の添加でゲル

化速度を2

-

3倍に 増大させる こ とができた。

一方, ホルム ア ミド添加後の経過時間とそのときの樹 脂液の粘度をTable 2に示す。 コ ン ト ロ ールは9時間経過

(22)

100

80

60

...吋 キコ にJ

cd

40

正司 斗4

,ー・4

<lJ

20

に土コ

2 4 6 8 10

Curing time (皿in)

Fig. 36. Comparison of the time-course of the formation of the gel fraction in a PF-formamide system with those in PF-sodium carbonate and control systems.

Legend: 0: PF-formamide system. 口: PF-sodium carbonate system. ム: Control system.

Notes: Addition level of sodium carbonate and formamide: 0.1mol to 1mol of phenol. PF resin: An ordinary resin with a F/P molar ratio of 2.1 and a NaOH/P molar ratio of 0.35.

Curing temperature: 120oC.

126

(23)

5 +h 。 4

J

4

・同

+0 Fd

J 4

3

。 2

-+H

d

J

。 。

I

M

o 0.1 0.3 0.5 0.8

Addition level of formamide (HCONH2/P molar ratio)

Fig. 37. Changes in the relative gelation rate of the resin system with the addition level of formamide.

Notes: PF resin: An ordinary resin with a F/P molar ratio of 2.0 and NaOH/P molar ratio of 0.4.

(24)

ト・・4 r、3 ocコ

Tab1e 2. Changes in the viscosities of the PF-formamide systems at 20. C. (cp)

Addition level Time (h)

of formamide

HCONH2/P 5 7 9

molar ratio

。 340 340 340 380 390

o. 1 320 410 460 600 660

0.3 300 430 820 1390 2290

0.5 280 510 1130 2440 5230

0.8 250 440 1420 3950 23500

(25)

し でも ほとん ど粘度の変化がないのに対し, ホル ム ア ミ

ド添加系では時間とともに粘度が急激に 増大し, 添加量

によ っ ても大きく変化した。 対フ ェ ノール モ ル比 o . 8添

加の場合は 9時間後には黄色のモチ状物とな っ た。 しか

し, こ の生成物はアルカリに容易に溶け, ア ン モニ ア臭

がした。 こ の こ とから ホルム ア ミドが アル カリ媒体中

で加水分解し, それによ っ て樹脂液のpHが低下し, 沈澱

物が生じたのではないかと推察された。

5

.

2 . 2

.

2 加水分解の影響

ホルム ア ミドを添加後5 0 OC での樹脂液pHの経時変化を

Tab1e 3に示す。 ホルム ア ミド を添加した後 .比較的初期

にpHが低下し てい っ た。 こ の こ とからpH低下の原因はア

ルカリ溶液中での ホルム ア ミドの加水分解 であり, ホル

ム ア ミドはフ ェ ノール樹脂に添加後, 明らかに その一部

が次式のように ギ酸とア ン モニアに分解され ていく こ と

がわか っ た。 そし て, ギ酸が フ ェ ノールのカウ ン ターイ

オ ン であるナトリウム イオ ン を奪うため, 樹脂の溶解性

が低下するものと考えられる。

(26)

トー・

Cコ

Tab1e 3. Change in the pH of a PF-formamide system with time at 50oC.

Time (min) 20 30 40 50 100 200

pH 10.22 10.03 9.98 9.96 9.93 9.95 9.93 Notes: PF resin: F/P=2.1. NaOH/P=0.5. Addition 1eve1

of formamide: 0.1 mo1 to 1 mo1 of phenol.

(27)

HCONH2 + NaOH - > HCOONa + NH3↑

こ の表から推定すると, ホルムア ミド は硬化の初期に

ほとんど分解されると思われるが, そう であれば, その

硬化促進作用は分解生成物に よる可能性もある。 そ こ で,

ホルム アミドの分解生成物であるギ酸ナトリウムやギ酸

ア ン モニウムの硬化促進効果を調べてみた。

Table

4 はゲル化時間でみたギ酸ナトリウム, ギ酸ア

ン モニウムの効果をア ン モニアおよびホルムア ミドのそ

れらと比較したものである。 ア ン モニアの添加に よ っ て

多少ゲル化が速まり, ギ酸ナトリウム, ギ酸ア ン モニウ

ムの場合はも っ と速くなる。 しかし, ホルムアミドのそ

れと比べると僅かなものであり, 硬化促進作用の主体は

分解生成物ではなく, ホルム ア ミド自身に あるものと思

われる。

以上のように ホルムアミドは フ ェ ノール樹脂の硬化を

促進する作用をもちながらも, 加水分解が起 こ るために

その効果を十分発揮できない ものと考えられる。

ホルム アミド以外のア ミド類に つい ても硬化促進作用

の有無を調べてみた。 結果をFig. 38 に 示す。

(28)

Tab1e 4. Effects of ammonia and formic acid on the ge1ation-rate of a PF resin.

日ωN

Resin system Ge1ation time (sec)

Control 384

PF-sodiumformate 340

PF-ammonia 373

PF-ammoniumformate 315

PF-formamide 239

Notes: PF resin: F/P=2.0. NaOH/P=0.3. Addition leve1 of formamide: 0.1 mo1 to 1 mo1 of pheno1.

C u r i n g t e m p e r a t u r e: 11 0 oc .

(29)

Control

HCONH2 CH3CONH2 HCON(CH3)2 CH3CON(CH3)2 CH2CHCONH2 Na3C02

。 5

o 5

1 / ts

X

103

10

10 (sec-1)

Fig. 38. Effects of amides on the gelation rate of a PF resin.

Notes: Addition level of all regents: O.lmol to lmol of phenol.

Curing temperature: 110oC. PF resin: An ordinary resin with a F/P molar ratio of 2.2 and a NaOH/P molar ratio of 0.35.

(30)

こ の中で は硬化促進効果のあるものを見い だす こ と は できなか っ た。 たとえば, ジ メチルホル ム ア ミドのよう

に ア ミドの窒素が =級にな っ たもの, また ア セト ア ミド のように ア ミドの カルボニル炭素に付く グループが水素 でなく アルキル基にな っ たものは, 全く効果を示さなか っ た。 したが っ て, ホル ム ア ミドの作用は ア ミド類一般 のものではなく

と考えられる。

5 . 3 まとめ

ホル ム ア ミドの化学構造に特有のもの

フ ェ ノール樹脂の硬化を速める添加斉11とし て, 炭酸ナ トリウムとホル ム ア ミドを取りあげ, そ の硬化促進作用

に つい て次の諸点を明らかにした。

炭酸ナトリウム に 関し て

1 )炭酸ナトリウム の硬化促進作用の主体は炭酸部にあり,

- ナトリウム カチ オ ン ではない。

2 )硬化速度のF/Pモル比依存性 .NaOH/Pモル比依存性は コ

ン ト ロ ールとあまり変わらない こ とから, 炭酸ナトリ ウムは硬化の主反応である メチ ロ ール基ど うしの反応

- 134

(31)

を促進し ている可能性が高い。

3 )促進効果はNaOH/Pモル比0.3 (pH=10前後) のと こ ろ で

一番大きく, アル カリが多くなると小さくな っ た。

炭酸ナトリウム の解離状態から考え て, 炭酸水素イオ

ン が硬化促進作用をも つものと推定される。

4 )炭酸ナトリウム の添加によ っ て, 硬化反応の見かけの

活性化エネルギーは約1.4kcal/mol低下する。

ホルム アミドに関し て

1 )ホルム アミドの硬化促進作用に よりゲル化の速度は高

まるが, ゲル化以降のゲル部生成速度は コ ン ト ロ ール

より遅い。 また, 炭酸ナトリウム に比べると促進効果

は小さい。

2 )ホルム アミドは フ ェ ノール樹脂に添加後速やかに加水 分解を起こし た。 これにより系のpHが下がり, 沈澱を

生じ, 粘度が増大するものと思われる。

3 )ギ酸ナトリウム のような加水分解物に硬化促進作用は

なく, ホルム アミド自体に作用の中心があるようであ

る。

(32)

イキa門ufff J

訟肋

本研究は, 国産針葉樹材の用途拡大のために接着製品 の開発が要求され ている ことを背景とし て, 速硬化性 フ ェ ノール樹脂の開発を目指し て, フ ェ ノール樹脂の硬化 速度と これに影響を及ぼす様々 な因子との関係を定量的 かつ系統的に明らかにするとと もに, 未だに体系化され ていない硬化反応機構につい て, 速度論的な ア プロ ーチ を行 っ たものである。

フ ェ ノール樹脂の硬化反応は非常に複雑なうえ, 通常 の反応追跡の分析手段は ほとんど使えないため, 本研究 では反応度を反映する パラメータとし て, ゲル化とゲル 化後の三次元架橋部(ゲル部)生成率をとりあげた。 ゲ ル化は樹脂液の流動停止を観察する ことで, またゲル部 生成率は アルカリ抽出に よる不溶部の重量 を測定する こ と で定量化できたので, これらをゲル化時間, 一定のゲ ル部率に達するに要する時間とし て硬化速度の尺度とし た。

この手法を用い て, 硬化速度に影響を及ぼすと思われ

136 -

(33)

る各種の因子につい て, 系統的な研究を行 っ た。 また得

られた結果を基に, 硬化反応につい て速度論的な立場か

ら検討を行 っ た。

以下に本論文の結果を総括し て述べる。

まず, 第1章では, 縮合時間に よ っ て縮合度を変え た

one-stage 樹脂と, い っ たん重合度のは っ きりし た ノ ボ

ラ ッ クを製造し, これをメチ ロ ール化し たtwo-stage 樹

脂の二つのタイプの樹脂を調製し, 硬化速度と分子サイ

ズの影響を調べた。 one-stage 樹脂を用い た場合, 樹脂

液の縮合度を高め ると, 硬化速度も粘度も縮合時間5 0分

くらい までは緩やかに 増加するが, その後は, 特に粘度

が急上昇する。

またtwo-stage 樹脂の場合, 硬化速度と樹脂の平均分

子サイズ(数平均重合度 車) の関係は ほぼ直線とな っ た。

しかし, 一方で樹脂液の粘度は重合度と指数関数的関係 にあり, 液状接着剤!とし て用い るには限界がある。

なお本論では触れなか っ たが, 分子サイズの範鴎には

分子量(こ こでは数平均重合度 車 で代表した) の他に分

子形態、とい う フ ァ クターがある。 つまり, 分子が線状か

球状か, あるい は ラ ン ダム型かハイオルト型かとい っ た

(34)

ような違い が速度に ど う影響するかである。 これ は試料 の調製自体が難しく, 今後に 残された課題である。

第2章以下は, 樹脂の組成変数と硬化速度の関係をと りあげ, 硬化反応機構につい て, 系統的に論じた。

試料には メチ ロ ー ル化 フ ェ ノール用い た。 これは縮合

度の影響を除くためである。

とこ ろで フ ェ ノール樹脂の硬化反応は, 同時多発的に

起こ るため, 素反応速度を一つ一つ求めるのは不可能で

ある。 しかし, 硬化反応全体の次数を調べれば, 最も主

要な反応を推定する こ とができる。 全硬化反応は樹脂濃

度の関数となるので, 樹脂濃度と硬化速度との関係を調

べれば, 次数を求める こ とができる。

そ こ で, まず第2章では, 樹脂濃度と硬化速度の関係

を検討した。 その結果, 硬化速度はF/Pモル比に依らず,

樹脂濃度と比例的関係とな っ た。 こ の こ とは, 全硬化反

応速度が樹脂濃度に関しての二次速度式に従うこ とを示

す。 つまり, 硬化反応の主要なものは二分子間で進行す

る反応であり, 一次反応で表されるキ ノ ン メチドを経由

する反応(Scheme 1の反応(d) ) は , あまり重要でない こ

とがわか っ た。 反応(d) 以外の反応はすべて樹脂濃度に

- 138 -

(35)

関し て二次の反応であり, 硬化反応の主体となり得る。

硬化反応速度をメチ ロ ール基濃度の関数とし てみる こ

とは, 反応機構にも有益な情報を与えると考えられる。

そ こ で . 第3章でメチ ロ ール基濃度を反映するF/Pモル比

と硬化速度の関係を調べた。

その結果 .硬化速度はF/Pモル比の増加とともに増大し

た。 また理論的には硬化速度がレ ベルオ フすると思われ

るF/Pモル比3以上の領域でも, 速度は増加した。 こ の こ

とは, 遊離のホル ム アルデヒ ドが何らかの硬化促進作用

を及ぼし ている こ とを示唆するものである。 したが っ て 真の F/Pモル比の影響は遊離ホル ム アルデヒ ドの存在し

ない系で調べる必要がある。 実験の結果, F / Pモル比2以

下では ゲル化まで, ホル ム アルデヒ ドがほとんど存在し

ない こ とがわか っ た。

そ こ で, F/Pモル比 2以下でF/Pモル比と硬化速度との 関係をみると, 硬化速度はF/Pモル比の二乗に比例した。

F/Pモル比は ,硬化反応の主たる反応体であるメチ ロ

ル基と比例的関係にあるので, (アル カリ性では, メチ

ロ ール化の速度はメチ レ ン化に比べかなり速いので, メ

チ ロ ール化 フ ェ ノール中に遊離のホル ム アルデヒ ドが残

(36)

っ ていたとしても, 反応初期に速やかにメチ ロ ール化さ

れ . メチ ロ ール基量はほぼF/Pモル比に比例する)換言す

れば, 硬化速度はメチ ロ ール基濃度の二乗に比例するこ

ととなる。 つまり, メチ ロ ール基どうしの反応が全硬化

反応のなかで優勢に起こるものと考えられる。

しかしながら, 計算によると, すべての反応がメチ ロ

ール基間だけで起こるとするとFig. 10 のような関係と

なり ,F/Pモル比の低い領域では実測値のそ れと合わない。

したが っ て , F / Pモル比の低いと こ ろ では, メチ ロ ール基

と フ ェ ノール核の フ リーのオルト位やパラ位との間でも

かなり縮合反応が起こ っ ているものと考えられる。 この

場合 .反応(c)が有力な候補となる。

また, 従来の研究では樹脂濃度の影響を考慮していな

いために, その他の因子の影響が混乱を招く結果となる

ことが過去のデー タの検討からわか っ た。

続く第4章では, NaOH/Pモル比と硬化速度の関係を調

べた。 その結果 .硬化速度のNaOH/Pモル比依存性はF/Pモ

ル比によ っ て傾向が異なり, あるNaOH/Pモル比で極大を

示すようなカーブとな っ た。 そし てこの極大値はF/P モ

ル比 3のときNaOH/Pモル比o . 5付近に あり, 以下F/Pモル

- 140 -

(37)

比の減少とともに, 低NaOH/Pモル比側へシ フトし た。

NaOH/Pモル比o . 6以上の高アル カリ側では . Cannizzaro 反応が起こ っ ており, この領域では遊離ホル ム アルデヒ

ドの硬化促進作用がほとんど働い ていないと思われる。

F/Pモル比3のときのモデルとし てTMPを用い て .硬化反 応の速度と機構に つい てさらに詳しく検討した。

まず. T M Pの硬化速度はTMPに関し て一次とも二次ともい えないことがわか っ た。 また, メチ ロ ール基濃度に関し てみると, 硬化速度は見かけ上二次に従うが, 反応の進 行とともに加速される傾向にあ っ た。 さらに. T M P 系と TMDPM系の縮合速度の比較から .オルト位と パラ位のメチ

ロ ール基の反応性には差があり, パラ位の方が反応性が 高いことがわか っ た。

ホル ム アルデヒ ドには明らかにメチレ ン結合生成を促 進する作用があり, その作用は パラ位よりオルト位のメ チ ロ ール基聞に対し て効果的であると思われる。 この硬

化促進作用は触媒的なものであると推定された。

また .TMP系の硬化速度のNaOH/Pモル比依存性は .F/Pモ ル比3のそれをよく反映し ていた。 そこで . 理論的な速度 式を提案し ,TMP系での速度論データを基に ゲル化のシ ミ

(38)

ュ レ ーシ ョ ン を行 っ て, 反応機構に ついて検討した。

その結果, 解離 フ ェ ノールと未解離 フ ェ ノールに つい

たメチ ロ ール基閣の反応が最も速く, 以下未解離ど うし,

解離どうしの順に 遅くなり, その比率が1:0.1:0.05とし

たときに実験値とよく一致した。 また, メチ ロ ール基の

反応性はオルト位とパラ位で差異があ っ てもなくてもゲ

ル化速度には影響しない こ とがわか っ た。 こ のシ ミ ュ レ

シ ョ ン ではホル ム アルデヒ ドの触媒作用を考慮してな

いが, こ の作用がNaOH/Pモル比に依らないとすると全体

の傾向は変わらない。 低NaOH/Pモル比の領域に おいては

実測値は理論値とよく一致するが, 高NaOH/Pモル比の領

域ではCannizzaro反応によりホル ム アルデヒ ドと アルカ

リが消費されるため, 理論値と合わなくなるものと考え

られる。

F/Pモル比が 3の場合はTMPモデルを用いてうまく説明

できたが . F / Pモル比がより低いものは, メチ ロ ール基以

外に フ ェ ノール核の未置換のオルト位やパラ位やホル ム

アルデヒ ドもメチ ロ ール化の反応物として考慮せねばな

らず, フ ェ ノールの解離状態や各反応位の反応性の差異

を考えると, 非常に複雑になる。

- 142 -

(39)

こ の研究に は, 種々 の メチ ロ ール フ ェ ノールモ ノ マー ( 5種類ある) をそれぞれ合成して . それらと フ ェ ノール の組成を変えて . 目的のF/Pモル比に相当する系で速度論 的データを収集する必要がある。 そして, 考えられる反

応を網羅した速度式に, これらのデータあるいは過去に 行われたモデル化合物のデータをイ ン プ ッ トし, コ ン ピ

ユ ーター ・ シ ミ ュ レ ーシ ョ ン を行うとい っ たような こ と が今後の課題となる。

最後に第5章では, フ ェ ノール樹脂に速硬化性を付与 するという観点から最も現実的であるが, その働きにお いて不明な点の多い添加斉11. 本研究では炭酸ナトリウム とホルム アミドに ついて, 硬化速度に及ぼす影響および 硬化促進作用機構を調べた。

まず炭酸ナトリウムに つい ては, その硬化促進作用は 炭酸塩に共通しており, 作用の中心は炭酸部にありナト リウム カチオ ン ではない ことがわか っ た。 このうち炭酸 水素イオ ン の比率の高い状態と思われるNaOH/Pモル比

o . 3付近でいちばん促進硬化が大きか っ た。 したが っ て,

この炭酸水素イオ ン の化学的構造は, 硬化反応に対して 立体的にあるいは電子的に都合のよいものであると推定

(40)

される。 また, 炭酸ナトリウムの添加により, 硬化反応 の見かけの活性化エネルギーは .約1.4kca1/mo1低下した。

炭酸ナトリウム は, 対フ ェ ノールモル比 o . 3の添加で

硬化速度を 6倍に 高める ことができた。 しかし樹脂液の

粘度は添加量とともに, 指数関数的に増大した。 こ の点

は実用では作業性に問題を来すため, 適当な添加が望ま

しい。 ホルムア ミドに関し ては, その添加によりゲル化

は速くなるが, ゲル化以降の硬化速度に つい ては コ ン ト

ロ ールよりむし ろ遅くな っ た。 ホルムア ミド添加後,

ェ ノール樹脂中の アル カリによ っ てギ酸とア ン モニアに

加水分解される ことがわか っ た。 これにより, 樹脂のpH

が低下し, 溶解性が悪化し て沈澱を生じ, 結果とし て系

の粘度が増大する。 このため, ホルムア ミド添加系の場

合ゲル化は見かけ上の現象であり, 硬化反応の進行によ

るものではないとい え る。

加水分解物の硬化促進作用の可能性を検討したと こ ろ,

ギ酸ナトリウム等の物質に その作用はなく, また, 他の

ア ミド類にも促進効果がみられない ことから, ホルム ア

、 ドの硬化促進作用は ホルムア ミド自体の化学構造によ

る可能性が大きい。

- 144 -

(41)

ホル ム アミド は それ自身に 硬化促進作用をもちながら,

その加水分解物に より本来の効果を発揮できていないも のと推定される。 また, 分解物であるア ン モニアの刺激 臭が強く, 硬化促進能自体も炭酸ナトリウ ム に比べると 小さい ことから, 実用的に用いるのは問題が多いと思わ れる。

(42)

設叶 剖羽附

本研究の遂行, 論文の作成ならびに公私の両面にわた っ て, 終始変わらぬ御指導と御助言を賜 っ た九州大学教 授 坂田 功先生に衷心より感謝の意を表します。 また,

本研究の遂行, 論文の取りまとめはもちろん の こ と, 実 験の御指導から人生哲学まで幅広く御教示い ただいた九 州大学助教授 樋口 光夫先生に心より感謝い たし ます。

本論文の取りまとめに際し, 多くの御教示と御指導を いただいた九州大学教授 坂井 克己先生, ならびに九 州大学助教授 田中 浩雄先生に厚く御礼申し上げます。

また, 本研究の遂行に あたり, 御協力ならびに御助言 をいただい た山口東彦, 森田光博助手, その他林産学科 の諸先生方に心より感謝いたします。

そし て, 長い学生生活の間, お世話にな っ た高分子材 料学講座の皆様方に心より感謝いたします。

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89)田部浩三 . "触媒のはたらき ", 化学同人 , 1974, p.72-74.

(50)
(51)

Fig.  28.  Effects  of  salts  on  the  gelation  rate  of  a  PF  resin.
Fig.  29.  Time-course  of  the  formation  of  the  gel  fraction  in  PF-carbonate  systems  at  110oC
Fig.  34.  Temperature-dependence  of  the  curing-rate  of  a  PF-sodium  with  that  of  a  control  system
Fig.  36.  Comparison  of  the  time-course  of  the  formation  of  the  gel  fraction  in  a  PF-formamide  system  with  those  in  PF-sodium  carbonate  and  control  systems
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参照

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