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インターネット白書2006

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(1)

5

小山 陽子

●有限会社ドス・ティグレス 取締役/オンラインショッププロデューサー

2006年はアフィリエイトに続くドロップシッピングに注目

リスクの少ない売買環境と情報力が生き残りの条件

この1年で普及が進んだブログとアフィリエイトは、ネッ

トユーザーにとってもはや周知の稼ぐ手法である。ブログを

開設し、アフィリエイトとコンテンツ連動型広告からの収益

で儲かっている個人サイトもたくさんある。

2005年を振り返ると、消費者が熱心にECサイトの物販

に加担し始めたことにより、市場が広がる一方で、ネットシ

ョップ側はアフィリエイト手数料による粗利率の低下も見込

んでおく必要が出てきた。また、丹念な検索エンジン対策

(SEO)と高度なキーワード広告出稿戦略はネットショップ

にとって必須課題となっている。検索エンジン以外にもショ

ッピングモール内やモバイルサイトへの露出など、SEOや広

告出稿の先はますます多岐に渡っている。手に負えず、専

門業者にアウトソーシングする傾向がさらに強まり、それが

確実な運営コスト増につながっている。

■ 成功するアフィリエイトとドロップシッピング

アフィリエイトは多くのショップで導入されているが、よ

り収益に結びつけるためアフィリエイター向けの広報も積極

的に行われ始めた。また、アフィリエイトとポイント制の組

み合わせで顧客の囲い込みに成功しているケースもある。一

般消費者は「買って貯める」「売って貯める」「貯めたポイ

ントで買う」という流れに乗ってくれるため、航空会社や大

手リアル販売チェーンのなどのポイントサービスと提携して

いる大手ショッピングモールが相変わらず強い。

2006年はアフィリエイトの次の販売手法として、「ドロッ

プシッピング」が注目される。商品価格を自由に決め、メ

ーカーと消費者の仲介をするこの手法は、2006年夏以降、

日本に登場する。自らの販売力に気づいているアフィリエイ

ターは、ドロップシッピングを活用し、代理店として独立し

ていくはずだ。

■ モバイルサイト出店は公式サイトが有利

若年層や主婦層への携帯電話端末の普及とパケット定額

制の登場で、自宅ではパソコンの代わりに携帯電話でネッ

トショッピングを行うユーザが増えている。特に、各携帯電

話キャリアの公式サイト(楽天=ドコモ、ビッダーズ=au)

の販売件数は格段に伸びている。残念ながら、ショップ側

ネットショップの現状と今後の展望

はこの成長を把握できておらず、現状のサイト運営が手一

杯なこともあり、なかなかモバイルに展開できないでいる。

これからモバイルコマースを積極的に活用するなら、公式サ

イトとなっている大手ショッピングモールへ力点を移すきっ

かけとなるだろう。

■ Web2.0とネットショップ

「ロングテール」「Web2.0」という言葉がクローズアップ

されているが、すでに一部のネットショップでも行われてい

たことが具体的に命名されたにすぎない。従来のようなメー

ルマガジンを頼った低粗利商品の大量販売は影を潜め、よ

り目的が明確な商材を丹念なSEOとキーワード広告出稿を

用いてコンスタントに売っていく手法(=ロングテール型ビ

ジネス)を選ぶ店が目立ってきている。SEM分析、RSS配

信、レビュー・トラックバック受付、AjaxなどWeb2.0的

な仕組みを積極的に取り入れるショップがある一方で、新

技術の流行に翻弄され、傍観を続けるしかない中小ショッ

プも多数あり、両者の差は増すばかりだ。

■ 求められる安全・確実な売買環境

決済に関しては、クレジットカード、銀行振込前払い、

代引きはいまだ全盛で、ICカード型電子マネー(Edyや

Suica)の普及はもう少し先になると思われる。しかし、も

はやユーザーにとって決済方法は購入の条件となってはいな

い。フィッシング詐欺やスパムメール急増によってメールマ

ガジンの開封率は急速に落ち、高額の詐称注文や商品代引

き拒否など、安全な売買環境も次第にゆらいでいる。個人

情報保護法施行から1年経ったが、業務用パソコンから個

人情報が流出する事故が多発。度重なる情報流出に楽天や

ヤフーなどの大手ショッピングモールは、出店業者にセキュ

リティ教育の徹底を要求し、管理画面へのアクセス制限を

強化している。

ショップ側のストレスは徐々に増しており、今後は「ドロ

ップシッピング」などリスクの少ない売買システムに力点を

移す店が増えることが予想される。2006年は、粘り強い自

衛力と情報収集力が生き残りの条件となる。

(2)

5

【法人】1000人以上

4.5

% 無回答

0.0

% 【法人】500∼999人

1.6

% 【法人】300∼499人

1.9

% 【法人】 50∼299人

9.7

% 【法人】11∼49人

14.6

% 【法人】10人以下

23.6

% 個人事業

44.0

% 8年∼10年未満

3.2

% 5年∼8年未満

12.0

% 3年∼5年未満

16.2

% 2年∼3年未満

19.7

% 1年∼2年未満

17.2

% 6か月∼1年未満

10.7

% 6か月未満

15.9

% 10年以上

3.2

% わからない

1.9

% 0 5 10 15 20 25 30% わからない その他 不動産 ペット イベントチケット予約 旅行・宿泊予約・航空券 生花 車・バイク スポーツ・アウトドア用品 酒・飲料 コンピュータ関連機器 家電・AV機器 化粧品・ヘアケア商品 家具・インテリア用品 医薬品・健康食品 CD・DVD・セルビデオ 書籍 コンピュータソフトウェア 食料品 衣料・アクセサリー

20.1

17.2

14.9

12.6

11.3

11.3

11.3

10.0

10.0

9.1

9.1

7.8

4.9

4.5

4.2

3.6

2.9

2.3

25.6

1.9

% ©impress R&D,2006

従業員規模 N=309

回答者のプロフィール

©impress R&D,2006 ©impress R&D,2006

開店歴 N=309

回答者のプロフィール

取扱商品 N=309

回答者のプロフィール

8年∼10年未満

3.2

% 5年∼8年未満

12.0

% 3年∼5年未満

16.2

% 2年∼3年未満

19.7

% 1年∼2年未満

17.2

% 6か月∼1年未満

10.7

% 6か月未満

15.9

% 10年以上

3.2

% わからない

1.9

% ©impress R&D,2006

実店舗との併売率 N=309

回答者のプロフィール

ネットショップ担当者調査(資料5-6-1〜5-6-5まで)

調査対象

EC担当者(法人・個人事業者、B2C・B2B含む)

地域

全国

サンプリング マクロミルの調査モニターから該当者を抽出

有効回答

309サンプル

調査方法

インタラクティブウェブ調査

調査期間

2006年1月19日〜20日

(※)資料5-6-1〜5-6-5は、インプレス発行『ネットで儲ける! 売上倍増実践ガイド』に掲載したものの一部を転載している。

2005年版とはサンプリングが違い、EC業界団体の所属企業ではない。また個人事業主も多い。売上高や比率の数値が全体

的に低くなっているが、一概には昨年と比較できない。

回答者の44.0%は個人事業者である。法人でも「10人以下」「11人〜49人」が多い。また今年は開店歴3年未満が半数を超えてお

り、比較的新しいネットショップが多い。

(3)

5

「100万円未満」42.4%、

「100万超〜1千万」が合計26.6%

と全体的に売上高は低い。「1千万超〜 1億円」は15.9%にす

ぎない。また、「100万円未満」の回答者の多くが2005年か

らの参入者であると考えられる。かさむランニングコストを十分

回収できない状態で運営している店が多そうだ。

昨年とはサンプルが違うため、一概には言えないが、「増加」と

答えた店が大半(78.8%)だった昨年調査に比べ、今年は「増

加」と答えた店がわずか40.8%、「昨年度並み」と「減少」を

合計すると35.0%も占めている。他店と突出した販促手法がな

いことが、ある種の閉塞感を生んでいる。

年額100万以下のショップが42.4%

次年度の増加見込みは40.8%にとどまる

資料5-6-1 ネットショップの年間売上高 N=309

資料5-6-2 ネットショップ売上高の2005年度の売上

高増減傾向 N=309

アクセス誘導対策は、SEOが突出しており、まずは自店なりのSEOを努力しようという意志がみえる。昨年、

実施済みの1位と2位を占めた「メールマガジン」と「懸賞」は、現在では効果的手法とは見られなくなってい

る。今後の実施予定は「SEO」「メールマガジン」「キーワード広告」の定番手法に「アフィリエイト」が続く。

アクセス誘導はSEOが突出

資料5-6-3 ネットショップのアクセス誘導対策[実施済みと最も投資対効果が高いものと今後の実施予定] N=309

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50% わからない 特に何もしてない その他 動画広告の出稿 価格比較サービスの活用 テーマ別共同販売企画への出品 TV広告への出稿 他のメール媒体への メール広告の出稿 ケータイからの誘導 (空メールの受付など) 懸賞・ポイントサービスの活用 他社サイトへのバナー広告の出稿 アフィリエイトプログラムの導入 紙メディア(雑誌広告やチラシへの 誘導)にURLを記載して誘導 キーワード広告の出稿 オークションへの出品 会員登録してもらった人への メールマガジンの配信 SEO(検索エンジンで上位に 表示されるためのコンテンツ調整) すでに実施している 対策(複数回答) 最も投資対効果の 高いもの(単一回答) 今後有効と考えて 実施したい対策 (複数回答) 37.1% 46.6% 21.0% 28.2% 17.2% 10.5% 6.6% 10.7% 21.4% 5.7% 19.1% 14.2% 5.7% 8.4% 5.2% 16.5% 11.7% 4.4% 11.3% 15.5% 3.9% 10.7% 14.2% 9.1% 3.5% 12.6% 6.8% 2.2% 1.7% 5.8% 8.4% 3.9% 0.9% 4.2% 6.8% 0.9% 2.9% 6.8% 0.91.6% % 4.2% 0.9% 2.6% 1.9% 2.2% 7.9% 4.2% 9.7% 17.5% 21.7% 17.5% ©impress R&D,2006

ネットショップの現状と

今後の展望

わからない

8.7

% 10億円以上 

1.3

% 5億円∼10億円未満 

0.0

% 4億円∼5億円未満 

0.6

% 3億円∼4億円未満 

0.6

% 2億円∼3億円未満 

0.0

% 1億円∼2億円未満 

3.9

% 5,000万∼1億円未満 

2.6

% 1,000万∼ 5,000万円未満

13.3

% 500万∼ 1,000万円未満

9.4

% 100万∼ 500万円未満

17.2

% 100万円未満

42.4

% ©impress R&D,2006 わからない

10.0

% 昨年、 ネットショップは 開いていなかった

14.2

% 大きく減少

3.6

多少減少

5.8

% 昨年度並み

25.6

% 多少増加

31.4

% 大きく増加

9.4

% ©impress R&D,2006

(4)

5

すでにブログ、RSS配信、動画は積極的に利用され始めたが、SNSとポッドキャストはまだこれからだ。顧客

が求める新商品の情報などを効率よく送ることができるRSS配信は、受信量過剰で効果が低くなってきたメー

ルマガジンに代わる手法として注目される。1年後はネットショップの常識となっているだろう。

1年後は常識となる可能性もあるRSS配信

資料5-6-4 ネットショップにおけるブログ/RSS/SNS/ポッドキャストの活用[現在実施中と今後実施したい]

N=309

すでに実施 している対策 今後実施する 対策 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50% わからない 特にない その他 ポッドキャスト SNS 動画 RSS ブログ/CMS

34.3

24.6

11.3

17.8

11.0

9.7

5.2

19.4

7.4

1.6

1.9

0.0

6.5

27.8

46.0

11.3

% ©impress R&D,2006

数値に表れていないが「常設している」回答者の多くが携帯対

応ショッピングモールの出店者であると思われる。半数以上が

「開店済み」か「予定」者であるが、「予定もない」「検討してい

ない」を合わせると40.8%になる。サービスが多様化するネッ

ト業界の中で、自店の運営スキルに合った販売方法や範囲に専

念する店も多い。

Eストアーの調査結果である。「品揃え」「ページデザイン」「価格

設定」など本来の業務をさておいても、集客にコストと労力を投

入せざるを得ない状況が浮き彫りとなった。ショッピングモール

では自由にSEOを施せないので、集客の難しさがさらに問題と

なっているはずだ。楽天ではモール内検索へのキーワード広告が

始まった。広告コスト上昇はさらに頭の痛い問題となるだろう。

モバイルサイトは「常設」派と「予定

なし」に二極化

ネットショップが最も苦労しているのは

「集客」

資料5-6-5 ネットショップにおけるモバイルサイトの開

設状況 N=309

資料5-6-6 売り上げを増やすために最も苦労している点

N=400

検討していない

25.9

% 開設していないし、 開設する予定もない

14.9

% 開設を 予定している

14.9

% 現在開設を 準備中

11.3

% 常設している

33.0

% ©impress R&D,2006 0 10 20 30 40 50 60 70% その他 物流・配送 (商品配送) 価格設定 ホームページ制作技術 (デザイン) 品揃え (商品調達・開発) 集客・宣伝

61.5

34.0

20.0

19.8

8.5

2.2

% 出所 Eストアー「ウェブショップ成功のための課題・解決策に関する調査」 2005年11月

(5)

5

楽天では2005年半ばから新規店がぐんと増え、2004年からの2年間で出店数を2倍に延ばした。だが同時

期に2,765店もの退店者が出たことも無視できない。店舗運営サポートの細やかさでは群を抜く楽天。売り上

げ増につながるという魅力がある一方、システム使用料、マイレージポイントやアフィリエイト手数料などの負

担も大きい。

楽天への出店数はこの2年で倍増

資料5-6-7 楽天の新規出店・退店数の推移[2004年-2005年]

0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 第4四半期 第3四半期 第2四半期 2005年第1四半期 第4四半期 第3四半期 第2四半期 2004年第1四半期 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 16,000 新規出店数 退店数 課金店舗数

8,099

8,777

9,665

10,587

11,312

12,409

13,833

2,126

802

15,157

出所 同社発表資料を元に編集部で作成

長い間セレクトショップ制でモールイメージを大事に育ててきたヤフーだが、2005年から出店料の安さを武器

に猛攻勢をかけ、一気に出店数を延ばした。ショッピングとオークション(個人向けを除くビジネスサービス)

を加えるとほぼ 16,000店で、楽天と肩を並べる規模にまで育っている。新たに開始したブログと SNS

(Yahoo!360°)というコミュニティとどう連動させていくかに注目したい。

2005年から急激に出店数を伸ばすヤフー

資料5-6-8 ヤフーのショッピングとオークションの店舗数推移[2004年-2005年]

0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 10,000 第4四半期 第3四半期 第2四半期 2005年第1四半期 第4四半期 第3四半期 第2四半期 2004年第1四半期 ショッピング オークション

9,445

6,878

出所 同社発表資料を元に編集部で作成

ネットショップの現状と

今後の展望

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