天は天空や天上世界、あと、天上界に住まう者も意味する言葉です。諸天は仏法を守護するという役割を持って います。また、天部に属する諸尊のほとんどがバラモン教やヒンズー教などの異教の神で仏教が「仏教に帰依し た神々」として取り込んで生み出された仏です。如来、菩薩、明王が衆生(人間や諸々の生き物)を救済するの が目的なのに対し、天は仏法を守護する役割があります。 仏法守護の観点から、如来や菩薩の脇侍(きょうじ)、あるいは眷属(けんぞく)として、本尊の脇や周囲に安置 されることが多いです。 大きく特徴を分けると、甲冑(かっちゅう)に身を固めた武人像、女性の姿をした天女像、 怪異な形相の鬼神像 の三つに分けられます。 天女像・・・天女形で女性的で菩薩のような表情をするか、中国風の衣服をまとった貴族風の姿をしています。 武人像・・・神将形で外敵から身を守るために忿怒相(ふんぬそう)をして、甲冑(かっちゅう)を身につけ、 武器を手にするのが一般的です。 鬼神像・・・鳥や象の頭を持つ像など、非人間的な姿を特徴としています。
≪おもな天≫
梵天 (ぼんてん) 帝釈天(たいしゃくてん)とともに天部の最高神です。ヒンズー教では宇宙創造の最 高神とされていましたが、仏教に取り込まれて守護神になりました。悟りを開いた釈 迦を、人々に説法するように促したのが梵天です。 ●特徴 密教に取り込まれる以前の一面二臂(いちめんにひ)の立像(りゅうぞう)の伝統を 伝えるものと、密教化されて四面四臂(しめんしひ)で趺坐(ふざ)するものの2様 に大別できます。前者は奈良時代までさかのぼり、代表作には奈良・東大寺法華堂 (とうだいじほっけどう)像などがあります。後者は、鵞鳥(がちょう)の背に趺坐 (ふざ)することが規定されています。 帝釈天(たいしゃくてん)と一対で表される場合が多く、一般に、如来や菩薩の脇侍 (きょうじ)として三尊像の1つとして作られました。また、密教に取り込まれてか らは、十二天のなかに再編されました。また、帝釈天とで釈迦如来の脇侍(きょう じ)として三尊形式で安置されている事が多いです。 梵名: ブラフマン 真言: オン ハラジャ ハタエイ ソワカ帝釈天 (たいしゃくてん) サンスクリット語でインドラといい、仏法の守護神として、梵天(ぼんてん)と同じよ うに釈迦の成道(じょうどう)の際に力を貸した話や、成道後の教化を助けたことなど が説かれています。音楽神乾闥婆(けんだつば)の娘をめぐって阿修羅(あしゅら)と 戦い、これに打ち勝って阿修羅を仏教に帰依(きえ)させたのは有名な話です。 独尊としての信仰よりはむしろ、梵天と一対、もしくは梵天・四天王と1組に表されて、 仏法の場を守護することを目的に造像されました。 ●特徴 甲冑(かっちゅう)を身につけ、金剛杵(こんごうしょう)、香炉(こうろ)などをも つ二臂(にひ)像が主流ですが、密教に取り込まれてからは、一面三目二臂像が主流で 金剛杵を常に持ち、白象に乗って半跏(はんか)踏み下げとするものが主流になります。 しばし梵天と区別がつかないことがありますが、帝釈天と梵天とは、仏教では同格とし て扱われているからです。また、密教に取り込まれると、十二天のひとりとして再編さ れました。 梵名: シャクロー・デーバーナーム・インドラ 真言: ナウマク サマンダボダナン インダラヤ ソワカ もともと東西南北の方位を護るインドの神として信仰されていたものが、仏教に取り入れられました。帝釈天(たい しゃくてん)の部下として、須弥山(しゅみせん)の4つの門を護(まも)るともいわれています。 日本へは、仏教伝来とほとんど同時に伝わったと考えられています。大阪四天王寺は、聖徳太子が仏教の定着に反対 した物部氏(もののべうじ)を滅ぼすために、四天王像を作って祈願したといわれています。その後、飛鳥、天平か ら鎌倉時代にかけて多く作られるようになりました。国家護持の守護神として天皇や貴族に信仰されたり、戦勝祈願 の武将にも信仰されました。 ●特徴 インドでは上流貴族の姿で、中国では威厳ある武人の姿に作られ、それが日本にも伝わりました。中国風の甲冑 (かっちゅう)を身につけ、武器を持って忿怒(ふんぬ)の表情をして邪鬼(じゃき)を踏みつけています。邪鬼を 踏みつけるのは、四天王が仏教に対する邪悪なものを打ち負かすことを表現したもので、この邪鬼を一般的に天邪鬼 (あまのじゃく)と呼んでいます。 持物(じぶつ)は一定しませんが、多聞天(たもんてん)は宝塔(ほうとう)を持っている作例が多く遺っています。 奈良・法隆寺金堂(ほうりゅうじこんどう)の四天王像は、現存する最古の作例として有名です。 【東】 持国天 (じこくてん) 梵名のドゥリタラーシュトラは「国土を支えるもの」の意味です。提頭頼咤天王(だい ずらたてんのう、「咤」は正確には、うかんむりがない字)と音写されます。 起源はインドラ配下の盲目のガンダルヴァの王で、そのことから持国天自身も乾闥婆 (けんだつば)と毘舎遮を(びるしゃ)を眷属(けんぞく)として国を支え持ち、大威 徳(だいいとく)があるといわれています。 ●特徴 右手に剣、口を閉じた忿怒(ふんぬ)の表情、邪鬼を踏みつけています。 梵名: ドゥリタラーシュトラ 真言: ノウマク サマンダボダナン オン ダリタラシタラ ララ ハラマダナ ソワカ
【南】 増長天 (ぞうちょうてん) 梵名のヴィルーダカは「発芽し始めた穀物」という意味です。五穀豊穣(ごこくほう じょう)を司り、毘楼勒叉天王(びるろくしゃてんのう)と音写されます。 ●特徴 右手に長い棒を持ち、叫ぶように口を開け、邪鬼(じゃき)を踏みつけ、目を大きく見 開き忿怒(ふんぬ)の表情をしています。 ●眷属(けんぞく) 鳩槃荼(ぐばんだ)、薛茘多(へうれいた)を眷属とし、超人的な成長力をもって仏教 を守護します。 梵名: ヴィルーダカ 真言: ノウマク サマンダボダナン ヴィロダキヤ ヤキシャヂハタエイ ソワカ 【西】 広目天 (こうもくてん) 梵名のヴィは「広く多い」、ルパークシャは「異なった目を持つ、もしくは醜い目を持 つ」という意味です。毘楼博叉天王(びるばくしゃてんのう)と音写されます。 また、直訳した「醜目天(しゅうもくてん)」とも呼ばれる事があります。 諸々の龍を従え、浄天眼(じょうてんげん、=千里眼)をもってこの世を観察し、仏の 教えとそれを信じる者を護ります。 ●特徴 右手に筆、左手に経典(きょうてん)を持ち、邪鬼(じゃき)を踏みつけ、口を閉じ、 はるか遠方を見渡します。 ●眷属(けんぞく) 龍族。 梵名: ヴィルーパークシャ 真言: オン ヴィハタシャ ナガヂハタエイ ソワカ 【北】 多聞天(たもんてん) / 毘沙門天(びしゃもんてん) 夜叉(やしゃ)をしたがえる、四天王最強の天です。 毘沙門天(びしゃもんてん)と同一です。 北方の他、同時に他の三方もまもるとされており、四天王の中でも中心的な地位を占め ています。 ヴァイシュラヴァナといい、吠室羅末拏(べいしらまぬ)・毘舎羅門などと音写され毘 沙門天と訳されます。多聞天が単独でまつられる場合の呼び名が、毘沙門天です。諸々 の夜叉を率いて、仏教の教えを多く聞いて精通しており、仏教を守護します。古代イン ドでは宇宙創造主プラチャーバティの孫で、全世界の富と不老不死の命をあたえられて ヒンズー教で財宝福徳を司る神となりクーベラとよばれます。日本では、毘沙門天とし て単独でも信仰され、また七福神の一人としても信仰を集めています。 十二天の一人でもあります。 ●特徴 右手を高く上げて宝塔(ほうとう)を持ち、左手は金剛棒(こんごうぼう)を持ち、口 を閉じて、遠方を見つめ、二体の邪鬼(じゃき)を踏みつけています。 甲冑(かっちゅう)を身につけ、中国の武人の姿に作られます。平安時代には、北方を 護ることから、特に東北地方で盛んに信仰されました。室町時代以降は七福神の一人と して、福徳、財宝の神として信仰されました。 上杉謙信が旗印に「毘」の字を書いたのは、自分が毘沙門天の生まれ変わりであると信 じていたためとされています。京都・鞍馬寺(くらまでら)の毘沙門天立像(平安後期、 木造、国宝)は、左手を額にかざして、遠くを見つめる、独特のポーズで人気がありま す。 ●眷属(けんぞく) 吉祥天(きっしょうてん)、善膩師童子(ぜんにしどうじ)を従えます。 梵名: ヴァイシュラヴァナ 真言: ナウマク サマンダボダナン ベイシラマンダヤ ソワカ
金剛力士 (こんごうりきし) / 仁王(におう) / 執金剛神 (しゅうこんごうしん) 梵名のヴァジュラダラは「金剛杵(こんごうしょう)をもつもの」の意味です。もとは、 執金剛神(しゅうこんごうしん)という神だったのですが、のちに金剛力士(こんごう りきし)に発展したものと考えられています。たま、独尊のときを執金剛神とよび、2 尊のときには金剛力士、仁王と呼びます。 寺の山門の両側に立ち、にらみつけているのが仁王です。仏と寺を守ります。阿形(物 事の始めという意味です。口を開けています)と 吽形(終着点という意味)。「阿吽 (あうん)の呼吸」の阿吽です。金剛杵をもって仏教を害する者を撃退するといわれ、 金剛力士はその分身、化身とも考えられています。 執金剛神像はほとんど作例がなく、奈良・東大寺法華堂(とうだいじほっけどう)のそ れが有名です。 梵名: ヴァジュラダラ 真言: オン ウーン ソワカ 吉祥天 (きっしょうてん) サンスクリット語でシュリー・マハー・デーヴィーという古代インドの福徳の神で、仏 教に取り込まれて、美および福徳神としての性格を継承しながら、鬼子母神(きしもじ ん)の娘、毘沙門天の妻とみなされるようになりました。 日本では奈良時代から盛んに信仰され、一種の福神として信仰を集めていましたが、同 時に美しい女神としての性格も伝えられました。後には美人の代名詞となり、吉祥天に まつわる様々な物語も伝えられています。鎌倉時代になると、人気を弁才天に奪われ、 その信仰はおとろえ、現在ではあまり目立った信仰は見られません。密教系では、功徳 天(くどくてん)とも呼ばれています。 また、もともとは七福神の一人でしたが、今では 福禄寿(ふくろくじゅ)にとって代わ られています。 ●特徴 中国・唐代(七世紀~十世紀)の貴婦人の姿に作られます。二臂(にひ)像で、中国風 の優雅な衣装を身にまとい、宝冠をかぶり、華やかな装身具を身につけています。一重 まぶたに切れ長の目をした、下ぶくれの顔は、当時の美人の典型だったと思われ、高松 塚古墳の壁画などにも見られます。左手には何でも叶えてくれる如意宝珠を持ちます。 右手は施無畏印(せむいいん)や与願印(よがんいん)を結ぶか、蓮華(れんげ)を もっているものもあります。 梵名: マハーシュリー、シュリーマハーデーヴィー 真言: オン マカリシエイ ソワカ 鬼子母神 (きしもじん) / 訶梨帝母 (かりていも) もとはインドの鬼神・般闍迦(はんじゃか)の妻で500人あるいは1万人の子供を 持っていたとされ、はじめは他人の幼児を捕らえて食う鬼女でしたが、釈迦が彼女の子 供のひとりを隠して、子を失う母親の苦しみを悟らせ、以後改心して安産と子供を守護 する善神になりました。 ●特徴 天女形で、左手で幼子を抱き、右手で吉祥果(ザクロ)をとって宝宣台(ほうせんだ い)に坐して右足を踏み下げるもの(「訶梨帝母(かりていも)経」)と、宣台に腰掛 けるもの(「訶梨帝母真言経」)の2様があります。 訶梨帝母は訶利底や青色鬼、大薬叉女(だいやくしゃにょ)とも呼ばれますが、日本で は鬼子母神と呼ばれるのが一般的です。 梵名: ハーリーティー 真言: オン ドドマリ ギャキテイ ソワカ
韋駄天 (いだてん) インドバラモン教の神で、仏教に取り込まれてからは、特に禅系で信仰され、増長天 (ぞうちょうてん)のもとで、伽藍(がらん)の守護神として重んじられ、庫裏(く り)に祀られるようになりました。 俊足の持ち主として、釈迦涅槃(しゃかねはん)の折りに鬼神が仏舎利(ぶっしゃり) を盗んだのを知って、これを追いかけて取り戻したとする俗説とともにその信仰が広ま りました。速く走ることをいう「韋駄天走り」の語も、この説話にちなむものです。 ●特徴 一般的には甲冑(かっちゅう)を身につけ、合掌して宝剣を捧げた姿をしています。 梵名; スカンダ又はカルッティーケーヤ 真言: オン イダテイタ モコテイタ ソワカ 歓喜天 (かんぎてん) / 聖天 (しょうてん) 古代インドでは、仏道修行の邪魔をする神でしたが、仏教に取り込まれてからは、あら ゆる障害・困難を排除して仏法を守護する神となりました。そのため、密教(特に真言 系)においては各種の修法が行われる際に、その成就を願い聖天壇を設けて勧請(かん じょう)が行われるようになりました。大半が秘仏とされています。 夫婦和合や子授けの神として信仰を集め、奈良・宝山寺(ほうざんじ/生駒聖天/いこ ましょうてん)像や京都・等持院(とうじいん)像などが有名です。 ●特徴 条帛(じょうはく)・裙(裳すそ)を着けた象頭人身の異形の姿で表される独尊像のほ かに、男天と女天の夫婦2神がひしと抱きあう双身像があります。像の種類の豊富さは 他に類を見ません。 梵名: ナンデイケーシユヴァラ 真言: オン キリ ギャクウン ソワカ 摩利支天 (まりしてん) サンスクリット語のマリーチの音写で、インドの民間信仰から仏教に取り込まれました。 陽炎を神格化したものとされ、特に密教系では必勝祈願の神として信仰されました。近 世以降はとくに相撲界において、必勝を祈願して信仰されました。目に見えない速さで 移動でき、さらに大きな神通力を持ちあらゆる困難から免れます。 甲斐駒ヶ岳、木曽御嶽山(おんたけさん)は摩利支天を祀る山として有名です。 ●特徴 天女形で左手に扇子を持つ二臂の坐像と、猪の背に置かれた三日月の上に立ち、刀やう ちわ、弓、矢、槍などを持つ三面六臂または八臂像などがあります。 梵名: マリーチ 真言: オン・マリシ・エイ・ソワカ
閻魔天 (えんまてん) / 閻魔(大)王 (焔摩、焔魔とも書く) / 夜摩 (やま) 閻魔天は、中国において道教の冥界思想とも融合して閻魔大王となりました。その結果、 日本には閻魔天・閻魔大王の両様がもたらされることになりました。 閻魔天は平安時代に密教の流入とともにその像の形が知られるようになり、十二天のひ とりとして受容されるほか、単独の信仰として延命・除災・除病などのご利益があると されます。 また閻魔大王は鎌倉時代以降、浄土教の隆盛とともに、冥界の十王(十三仏)のひとり として、十王信仰の浸透とともに受容されるようになりました。 閻魔は地蔵菩薩と深い関わりを持っています。地蔵菩薩は地獄で閻魔の裁きを受ける人 を、地獄と現世との堺に立って助けてくれるのです。死後、地獄に墜ちるか天国に行け るかは、地蔵と閻魔の話し合いにかかっています。 梵名ヤマという言葉には一対をなすという意味もあり。双子の妹ヤミーがいたといわれ、 双王とも呼ばれます。インドのヴェーダ神話では光明神の一人で、妹のヤミーと共に最 初の生を受けた人間であり、初めての死者となりました。初めの死者として、冥界に至 り、冥界の支配者となり死者の罪悪を裁く神となりました。 十王は、人の死後3年にわたり、各忌日に順番に裁判を行なうといわれます。 ●特徴 <閻魔天> 菩薩形で一方の手に半月形の上に人頭を付けた人頭幢を持ち、他方の手の掌を仰ぐかも しくは腰に当てて、水牛の上で一方の足を踏み下げて座っています。 <閻魔王> いかめしい顔をして右手に笏をもち、ゆったりとした衣装をつけて座っています。これ は、閻魔が地獄に墜ちた亡者の生前の罪状を厳しく取り調べている様を表現しています。 梵名:ヤマ 真言:ナウマク サマンダボダナン エンマヤ ソワカ 大自在天 (だいじざいてん) ヒンズー教の最高神の一つであるシヴァ神の異名で、伊舎那天(いしゃなてん)とも同 体といわれています。 降三世明王(ごうざんぜみょうおう)像では大自在天とその妻の 烏摩(うま)が足下に踏みつけられています。これは仏教の明王が、外教のヒンズー教 の最高神より優れていることを表しています。 ●特徴 三目八臂(はっぴ)の忿怒(ふんぬ)形が一般的で、八本の手には、それぞれ刀、三叉 戟(さんさげき)、法輪などの持物(じぶつ)をもち、白牛の上に座ります。また、二 臂像や三面四臂像などの作例もあります。 梵名: マヘーシュヴァラ 真言: オン イシャナヤ ソワカ 羅刹天 (らせつてん) 神通力をもって人をひきつけ、それを食う悪鬼でしたが、仏教に取り込まれてから守護 神となり、十二天(仏像・その他参照)の一人に数えられます。 ●特徴 画像に表されることが多く、甲冑(かっちゅう)をつけて刀をもち、白獅子に乗ります。 梵名: ラクシャス または ラクシャサ 真言: ナウマク サンマンダ ボダナン ニルリテイ ソワカ
六道の入り口で人間の行為をチェックし、次の生まれ変わり先を決める裁判官です。中国的な道服を着て、忿怒(ふん ぬ)形の作例が多く作られています。 人間は六道の中で輪廻しますので、 どの世界に連れて行かれるかは、この十王(十三仏)の判断に委ねられています。 泰広王から五道転輪王までを十王、不動明王から虚空蔵菩薩までを十三仏と呼びます。十三仏は十王の発展形と考えら れ、室町時代以降、特に禅系、密教系で信仰されました。 死後七日目から七日ごとに裁判を行います。初七日に始まり、四十九日まで法要があるのはこのためです。 100日、1年、 3年、7年、13年、33年は再審査と考えられています。 十王(十三仏)すべてを彫像した作例はありませんが、画像の作例は多く遺されています。 裁判の日 十王 十三仏 1. 死後7日 秦広王(しんこうおう) 不動明王(ふどうみょうおう) 2. 死後14日 初江王(しょごうおう) 釈迦如来(しゃかにょらい) 3. 死後21日 宋帝王(そうていおう) 文殊菩薩(もんじゅぼさつ) 4. 死後28日 五官王(ごかんおう) 普賢菩薩(ふげんぼさつ) 5. 死後35日 閻魔王(えんまおう) 地蔵菩薩(じぞうぼさつ) 6. 死後42日 変成王(へんじょうおう) 弥勒菩薩(みろくぼさつ) 7. 死後49日 太(泰)山王(たいざんおう) 薬師如来(やくしにょらい) 49日で来世が決まる 8. 死後100日 平等王(びょうどうおう) 観音菩薩(かんのんぼさつ) 9. 死後1年 都市王(としおう) 勢至菩薩(せいしぼさつ) 10. 死後3年 五道転輪王(ごどうてんりんおう) 阿弥陀如来(あみだにょらい) 11. 死後7年 蓮上王(れんじょうおう)※諸説あり 阿閃如来(あしゅくにょらい) 12. 死後13年 抜苦王(ばっくおう)※諸説あり 大日如来(だいにちにょらい) 13. 死後33年 慈恩王(じおんおう)※諸説あり 虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)
荼吉尼天 (=荼枳尼天) (だきにてん) サンスクリット語のダーキニーの音写で、神通力で人の死を六ヶ月前に察知し、死者の 心臓を食べるといわれ、神通力を得ようとする修行者の信仰を集めました。 ●特徴 白狐にまたがる天女形で、右手に宝珠(ほうじゅ)・左手に剣を持つ二臂(にひ)像と、 右手に剣・矢・鉢・未開敷蓮華(みかいふれんげ)、左手に摩尼宝珠(まにほう じゅ)・弓・錫杖(しゃくじょう)を持ち、左の残り1手は施無畏印(せむいいん)と する八臂(はっぴ)像があります。 白狐に乗ることから、稲荷(いなり)信仰と混同されるようになりました。愛知県・豊 川稲荷は荼吉尼天を祀っています。 また南北朝以降、同じ福徳神の大黒天・弁才天・聖天などとも結びついて、様々な異形 像が次々と出現しました。 梵名: ダーキニー 真言: オン アフルアフル サラサラ ソワカ 伎芸天 (ぎげいてん) 美しい姿で音を奏でたことから、伎芸を成就させる神とされています。 ●特徴 天女形で、左手で花を盛った皿を持ち、右手は裾をつかんでいます。奈良・秋篠寺(あ きしのでら)が作例として遺されていますが、これが伎芸天である確証はないといわれ ています。他は仏画として描かれています。 梵名: 不詳 真言: ノウボウ マケイジンバラヤ ウシマ ボウシキャヤ ソワカ 十六善神 (じゅうろくぜんじん) 「大般若経」および、この経を読誦(どくじゅ)する人を守護する護法神です。般若十 六善神・十六薬叉将・十六夜叉神・十六神王などの別称があり、その尊名は諸経におい て一定せず、四天王と十二神将とを併せた総称と解するものもあります。日本では、 もっぱら、大般若会の本尊として安置される釈迦如来もしくは般若菩薩を守護する眷属 (けんぞく)として登場します。 ●四天王 / 仏像・天を参照 ●十二神将(薬師如来に仕える12の夜叉 / 仏像・その他を参照
仏神混交の民間信仰です 弁才天 (べんざいてん) 梵名のサラスヴァティーは『水多き地』という意味で、古代インドの聖なる河の名前を 神格化したもので、重要な女神として崇拝されていました。土地に豊穣をもたらす神で、 ヴァーチという弁舌の神と同一視されるようになり、音楽・学問の神として信仰される ようになり、妙音天(みょうおんてん)・美音天・弁天とよばれるようになります。 後に仏教に取り込まれ、日本古来の水神信仰と結び付き、池や湖沼などに棲む魔物を鎮 める力があるとされて、各地の水辺に弁才天をまつる弁天堂が造られました。近世にな り金運の神としての性格が強まり「弁財天」とも書かれるようになりました。 ●由来: ヒンズー教 ●特徴 二臂(にひ)像と八臂(はっぴ)像があります。二臂像は密教系の形で、通常、琵琶を 奏でる菩薩形坐像として表され、その典型を胎蔵界曼荼羅(たいぞうかいまんだら)の 中に見出されます。この姿は、室町時代以降、七福神の一人として親しまれることとな る弁才天の原形でもあります。八臂像は、「金光明経(こんこうにょうきょう)」系の 形で、奈良・東大寺法華堂(とうだいじほっけどう)像は、日本におけるこの姿の弁才 天の現存最古の作とされています。八臂の弁才天は、鎌倉時代以降、福徳神としての性 格が強調されるにつれて、持物(じぶつ)の一部を宝珠(ほうじゅ)・鑰(鍵)・宝棒に 改められ、髻(もとどり)に老相の人頭蛇身(宇賀神)を付けるようになります。 【三弁天】 神奈川・江ノ島、滋賀・琵琶湖に浮かぶ竹生島(ちくぶしま)、広島・厳島(いつくし ま)を通称三弁天と呼び、古くから信仰を集めました。 梵名:サラスヴァティー 真言:オン ソラソバティエイ ソワカ 大黒天 (だいこくてん) 梵名のマハーカーラはマハーは『大』、カーラは『時』という意味で『大いなる暗黒』 を意味します。体の色が黒いことから大黒天と呼ばれ、もとはヒンズー教の最高神でし た。古代インドでは戦闘の神でしたが、中国に伝来してからは寺院の守護神、豊穣の神、 財宝の神とされました。大日如来の化身であるともされています。日本に伝わってから は、古くは戦闘神と信仰されましたが、読み方とその袋を担ぐ姿が日本神話の大国主命 と同一視され福の神として信仰につながっていきました。 ●由来: ヒンズー教 ●特徴 六臂(ろっぴ)像と二臂(にひ)像があります。六臂像は荷葉座(かしょうざ)に坐し、 古代インドにおいて仏教に取り入れられる以前の戦闘神としての性格を残しています。 二臂像は、寺院守護神として、神将形で右手に小さな袋包みの口を握り、左手に宝棒を 持って岩座に坐るものと、狩衣を着て左肩に袋をかたげて立つものとがあります。 梵名:マハーカーラ 真言:オン マカキャラヤ ソワカ
寿老人 (じゅろうじん) 中国の伝説上の人物。南極老人星(カノープス)の化身でもあります。 酒を好み頭が長く、白髪で赤い顔をした長寿の神とされます。日本では七福神として知 られていますが、福禄寿はこの寿老人と同一神と考えられていることから、七福神から 外されたこともありました。その場合には、猩猩(しょうじょう)が入ります。 ●由来: 道教(中国) ●特徴 不死の霊薬を含んでいる瓢箪(ひょうたん)を運び巻物を持ち鹿を連れた像もあります。 手には、これも長寿のシンボルである不老長寿の桃を持っているものあります。 真言: オン バザラユセイ ソワカ 福禄寿 (ふくろくじゅ) 中国では、鶴・鹿・桃を伴うことによって、福星・禄星・寿星の三星をそれぞれ神格化 した三体一組の神像や、コウモリ・鶴・松によって福・禄・寿を具現化した一幅の絵な どが作られ広く用いられました。中国において明代以降広く民間で信仰され、春節には 福・禄・寿を描いた「三星図」を飾る風習があります。 ●由来: 道教(中国) ●特徴 背が低く、長頭で長い髭をはやし、杖に経巻を結び、鶴を伴っている像とされます。 真言: オン マカシリ ソワカ 布袋 (ほてい) 中国の唐時代に実在していた契比(かいし)という禅僧だといわれており、大きな布の 袋(布袋)を担ぎ、布施を受けたものは、何でもその中にいれたということから、布袋 と呼ばれるようになりました。日本では主に財福の神として信仰を集めています。 弥勒菩薩(みろくぼさつ)の化身ともいわれます。 ●由来: 道教(中国) ●特徴 大きなお腹と耳たぶを持ち、その中に世の濁りを収めてしまうことから、和合の神とし て信仰されております。 真言: オン マイタレイヤ ソワカ 恵比寿 (えびす) えびすは日本の神で古来から漁業の神で、漁民のあいだで信仰され、海上交通の護り神 として商家などにも信仰が広がりました。 夷、戎、胡、蛭子、恵比須、恵比寿、恵美須などとも表記し、えびっさん、えべっさん、 おべっさんなどとも呼称される。えびすはえびす神社にて祀られます。 ●由来: 神教(日本) ●特徴 釣り竿と鯛を持っています。 真言: 南無恵比寿太神 毘沙門天 (びしゃもんてん) (仏像・天を参照) ●由来: ヒンズー教 ●兜跋毘沙門天(とばつびしゃもんてん) 毘沙門天の異形像で、地天が両腕で毘沙門天を捧げ、尼藍婆(にらんば)、毘藍婆(び らんば)の邪鬼を従えます。東寺の同像は王城守護のため平安京の羅城門の階上に安置 されていたものといわれています。